直近5年業績サマリー
| 業績項目 | 2021年10月期 | 2022年10月期 | 2023年10月期 | 2024年10月期 | 2025年12月期 | 2026年12月期予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,196 | 2,456 前年比 +11.8% | 2,934 前年比 +19.5% | 3,207 前年比 +9.3% | 3,208 前年比 +0.1% | 3,000 前年比 △6.5% |
| 営業損益 | 11 | △328 前年比 △2984.2% | △262 前年比 +20.0% | △52 前年比 +80.3% | 121 前年比 +333.9% | 500 前年比 +314.1% |
| 経常損益 | 52 | △325 前年比 △722.6% | △273 前年比 +16.0% | △53 前年比 +80.5% | 65 前年比 +221.9% | 498 前年比 +666.2% |
| 当期純利益 | 108 | △366 前年比 △439.1% | △446 前年比 △21.8% | △102 前年比 +77.2% | △28 前年比 +72.8% | 600 前年比 +2268.2% |
| EPS | 36.83 | △124.76 前年比 △438.7% | △145.68 前年比 △16.8% | △31.97 前年比 +78.1% | △5.18 前年比 +83.8% | 101.25 前年比 +2054.6% |
| 一株配当金 | 0.00 | 0.00 前年比 ±0.0% | 0.00 前年比 ±0.0% | 0.00 前年比 ±0.0% | 0.00 前年比 ±0.0% | 0.00 前年比 ±0.0% |
| 純資産 | 646 | 285 前年比 △55.8% | 40 前年比 △86.1% | △53 前年比 △232.9% | 986 前年比 +1977.2% | ー |
| 営業CF | 184 | △4 前年比 △102.1% | △149 前年比 △3696.0% | 227 前年比 +252.3% | 594 前年比 +162.0% | ー |
| 投資CF | △247 | △284 前年比 △14.9% | △261 前年比 +8.1% | △161 前年比 +38.4% | △61 前年比 +61.9% | ー |
| 財務CF | 112 | 58 前年比 △48.7% | 545 前年比 +848.2% | 295 前年比 △45.9% | △287 前年比 △197.3% | ー |
| フリーCF | △63 | △287 前年比 △355.2% | △409 前年比 △42.4% | 66 前年比 +116.1% | 533 前年比 +706.1% | ー |
1.会社予想と実績
2021年10月期~2024年10月期は期初公表の通期会社予想、2025年12月期は業績予想見送り後に初めて公表された2025年5月12日予想と実績を比較。2026年12月期は2026年8月14日修正後の最新予想を掲載しています。
2.達成・未達理由
売上は主力MAが堅調で初回予想を上回った。一方、M&A取得関連費用、対応リソース不足による外注費増、積極採用による採用費増が営業利益を圧迫。最終利益は繰延税金資産の計上による法人税等調整額の利益効果で予想を上回った。
イベントクラウドがコロナ影響下で当初計画に苦戦し、メタバースも営業立ち上がり遅れで大幅ビハインド。成長投資に伴う人件費増も重なった。加えて収益認識基準適用で売上高・売上原価が各167百万円減少し、期初の黒字予想から営業・経常・最終赤字へ転落した。
主力サブスクリプション売上が当初予算に届かず、イベントは競合サービス台頭と高採算大型案件不足で成果が伸びなかった。メタバースも事業計画に対して遅れ、141百万円の減損損失を計上。採用増に伴うコスト調整も年度内に十分進まず、黒字予想を大きく下回った。
売上は期初予想の約98%まで到達し、サブスクリプション売上は15.1%増と堅調だった。一方、イベントは受注件数が伸び切らず、広告も予算比ビハインド。広告・メタバースの減損損失計78百万円もあり最終赤字。採用抑制・配置転換・広告費抑制で損失は大幅縮小したが、期初の黒字予想には届かなかった。
2024年末時点では業績予想を見送り、2025年5月12日の初回公表値と比較。広告事業譲渡や大型コンサル案件収束でフロー売上が減り売上は99.3%にとどまった一方、採用抑制、人員再配置、広告施策見直し、運用効率化、のれん償却費減少で営業利益は予想を大幅超過し経常黒字化。社債償還損61百万円等で最終赤字は残ったが、赤字幅は大きく縮小した。
3.事業セグメントの自信度
マーケティングクラウド事業
大型案件解約を吸収し、サブスクリプションとプロフェッショナルがともに堅調。
主力は概ね順調だが、統合対象となるメタバースの立ち上がり遅れが重荷。
主力SaaSは成長継続も期初予算未達。旧メタバースも計画進捗が遅れた。
ストック売上成長と採算改善が鮮明。不採算の広告・メタバースを整理し主力集中へ。
2区分へ再編後、ストック型売上が順調で利益率も大幅改善。
SMPにList Finderが加わり、アカウント基盤が拡大。ストック売上も順調。
イベントクラウド事業
リアル開催制限は逆風だったが、オンライン・バーチャルが穴を埋めた。
コロナ影響が続き、柔軟な提案をしても期初計画に届かなかった。
リアル回帰で市場は改善した一方、競争激化と大型案件不足で収益が低迷。
市場・収益率は改善したが、年度全体では受注件数が伸び切らず。
リアル回帰を取り込み、大型イベントの会期増で増収増益。
案件納品時期の変更で前倒し要素はあるが、会社は通期達成へ順調と評価。
4.最新予想信頼度
2026年12月期中間期は売上高1,441.7百万円、営業利益311.7百万円、経常利益310.6百万円、親会社株主帰属中間純利益396.4百万円。最新通期予想に対する単純進捗率は次の通りです。
中間期時点で利益3項目は60%超まで進み、会社自身も8月14日に営業利益予想を350百万円から500百万円、経常利益を349百万円から498百万円、純利益を289百万円から600百万円へ上方修正しています。採用抑制、人員再配置、AI活用、広告施策見直しによるコスト低下が続き、マーケティングクラウドのストック型売上も順調です。通期達成に必要な下期売上は約1,558百万円、営業利益は約188百万円で、利益面には一定の余裕があります。
イベントクラウドの中間期好調には「大型案件の納品時期の変更」という前倒し要素があり、中間期利益を単純に年率換算できません。売上高は48.1%進捗のため下期に中間期比約8%多い売上が必要です。また、純利益の上方修正には繰延税金資産計上の効果も含まれるため、営業面だけで最終利益の伸びを評価するのは適切ではありません。
※進捗率は中間実績÷最新通期会社予想の単純進捗率です。2025年12月期は14か月決算であり、前年同期との期間比較には注意が必要です。
シャノン(3976)最新経営計画分析
2026年8月19日時点|「国産MA No.1奪還」に向け、経営再建から成長フェーズへ
① 現在掲げている目標業績数字
| 指標 | 2026/3 公表時 | 2026/8/14 最新予想 | 2Q実績 | 最新予想への進捗 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 30.0億円 | 30.0億円 | 14.41億円 | 48.0% |
| 営業利益 | 3.50億円 | 5.00億円 | 3.11億円 | 約62.2% |
| 経常利益 | 3.49億円 | 4.98億円 | 3.10億円 | 約62.2% |
| 親会社株主帰属純利益 | 2.89億円 | 6.00億円 | 3.96億円 | 66.0% |
※2025年12月期は決算期変更により14カ月決算のため、前年との単純比較には注意が必要です。
重要KPI・非財務目標
| KPI | 目標・方針 | 最新状況 | 分析 |
|---|---|---|---|
| MA総アカウント数 | FY2026 1,000件 | 2Q末 888件 | 約88.8%まで到達 |
| ARR | FY2026想定 17億円 | 3月公表値 | アカウント増と単価の両立が焦点 |
| 売上高販管費率 | 55%以下 | 47.7% | 目標水準をクリア |
| ストック型売上比率 | サブスク中心の収益構造へ | 70.2% | 前年通期64.0%から上昇 |
② 目標達成へのロードマップ
再建フェーズを完了
不採算事業の整理、販管費コントロール、生産性改善、 Innovation X Solutions(IX)の取得を進め、 赤字体質から利益志向の経営へ転換。
TAMをミドル・SMBへ拡大
従来の大企業中心から、従業員100~1,000名のミドル企業、 100名未満のSMBまでターゲットを広げ、顧客母数そのものを拡大。
価格・プランを拡充
ターゲット企業に合わせ機能を絞った廉価プランを投入。 「デジタルプラン」などにより、導入価格を下げ新規企業を取り込む。
販売モデルを変更
展示会・営業担当中心の高単価型に加え、デジタルマーケティングを起点に 少ない営業工数で多数の案件を獲得するモデルを構築。
UI/UX・AIで製品力を強化
新UI、AIコンシェルジュ、AIとの対話によるフォーム・Webページ生成などを実装。 専門知識がなくても使えるMAへ進化させる。
アカウントを非連続に拡大
Innovationグループから譲り受けたList Finder顧客も活用。 SMPへのリプレイスを進めながら1,000アカウントを目指し、 「国産MA No.1奪還」につなげる。
アカウント目標の進捗
数量面では目標まで残り112件。ただし、List Finderアカウント自体には減少傾向もあり、 SMPへのリプレイスと新規獲得を並行して進める必要があります。
現時点の達成状況を分析
- 利益目標の達成確度は大きく改善。 2Q時点で営業利益3.11億円を計上し、従来通期計画3.5億円の約89%まで到達したため、 会社は通期目標を5億円へ上方修正しました。
- 新しい営業利益5億円に対しても2Q時点で約62%。 下期に必要な営業利益は約1.89億円であり、利益面では相応のバッファを確保した状態です。
- 一方、売上高は48%進捗。 年間30億円達成には下期約15.59億円が必要です。 会社はイベントクラウド事業について下期偏重を見込んでいるため、 下期の案件計上が予定どおり進むかが売上面の確認ポイントです。
- アカウント数は888件で1,000件目標に接近。 ただし低価格帯顧客の拡大だけでは売上・ARRが伸びにくい可能性があるため、 「件数」だけでなくARR・解約率・SMPへの移行率を見ることが重要です。
- 販管費率は47.7%まで低下し、経営KPIの55%以下をクリア。 現時点では「売上成長より利益改善が先行している」構図が鮮明です。
③ 会社が開示している達成リスク
| 主要リスク | 発生可能性 | 影響度 | 会社の対応策・分析ポイント |
|---|---|---|---|
| 市場環境・競争 | 低 | 高 | MA市場の成長鈍化、価格競争、競合プロモーション等。 市場・競合動向を継続的に把握し早期対応する方針。 |
| 為替変動 | 高 | 低 | 円安による外部クラウドサーバー費用増。 リザーブドインスタンス等により為替影響を軽減。 |
| 親会社との関係 | 低 | 低 | グループ経営方針変更やガバナンス上のリスク。 経営の独立性と公正な意思決定プロセスの確保を図る。 |
| 技術革新・AI実装 | 中 | 高 | 技術革新の速度、AI機能の不適合、法的課題。 外部技術も取り込み、最新技術を迅速に製品へ実装する方針。 |
| 収益構造改革・利益率向上 | 中 | 高 | 新規アカウント獲得費用の増加や廉価プランへの移行による単価低下。 利益最大化を優先し、コスト管理とLTV最適化を進める。 |
| システム障害 | 低 | 高 | AWS等の大規模障害や想定外事象。 複数リージョン・AZ、脆弱性診断、監視等により冗長性・安全性を確保。 |
投資家目線での要点
利益改善 SaaS MA AI SMB展開
現在のシャノンは、かつての「先行投資を伴う売上拡大型」から 「収益性を確保しながらアカウントを増やすモデル」へ転換しています。 2Q時点ではコスト改革の成果が利益に強く表れ、会社自身が通期利益を大幅上方修正しました。
今後の最大の確認ポイントは、 1,000アカウント達成後もARR・売上高が伸びるかです。 廉価なミドル・SMB向けプランの比率が高まり過ぎれば、 アカウント数が増えても顧客単価が低下する可能性があります。 したがって、アカウント数、ARR、ストック売上高、解約率をセットで追う必要があります。

コメント