宮越ホールディングス 6620 東証P
Miyakoshi Holdings, Inc.|中国・深圳の大規模複合開発WICを進める一方、半導体・ロボティクスの調達・販売を新たな収益事業として立ち上げる総合投資会社。
※2026年6月26日時点の情報(株価は同日前場終値ベース)
事業内容
2026年6月26日前場終了時点の時価総額は約343億円。前場終値858円と発行済株式数40,014,943株を用いて算出した。同日は半導体・ロボティクス新規事業の進展と2027年3月期業績予想の上方修正を公表し、株価は一時ストップ高の907円まで上昇した。大引け前の作成であるため、同日の確定終値と時価総額は取引終了後の値と異なる可能性がある。
宮越ホールディングスは2011年10月に株式移転で設立され、事業の源流は1966年の電子部品製造にさかのぼる。本社は東京都大田区大森北一丁目23番1号。代表取締役会長兼社長は宮越邦正。決算期は3月末で、東京証券取引所プライム市場に上場する。連結上の報告セグメントは「不動産開発及び賃貸管理」の単一セグメントだが、2026年度からはWIC事業に加えて半導体・ロボティクスを中心とするイノベーション事業を成長の柱に据えている。
2026年3月期は営業収益391百万円、営業損失333百万円、経常損失839百万円、親会社株主に帰属する当期純損失1,937百万円となった。WIC着工に向けた既存建物の解体に伴い減損損失848百万円と取壊費用等95百万円を特別損失に計上し、長期貸付金に対する貸倒引当金944百万円も営業外損失に計上した。2027年3月期会社予想は、6月26日の修正後で営業収益3,500百万円、営業利益150百万円、経常利益487百万円、当期純利益330百万円としている。
不動産開発及び賃貸管理事業
業績推移サマリ:営業収益は2022年3月期の1,407百万円から2026年3月期の391百万円へ縮小した。営業利益も499百万円から333百万円の損失へ転じている。WIC着工に備えたテナント退去、長期契約の抑制、既存建物の解体が進んだことが、既存賃貸収入と利益の減少に反映された。
報告セグメントの営業収益・営業損益推移(百万円)
既存の収益基盤は、中国・深圳市に保有する不動産の賃貸と管理である。子会社の深圳皇冠(中国)電子有限公司が、旧工場用地と建物を活用してテナントから賃料を得てきた。
ただし、現在の賃貸運営は収益最大化を目的とした通常局面ではない。WICの開発許可取得と建設着手に備え、多額の設備投資を伴う新規テナントの受け入れを抑え、契約更新時にも長期契約を避けてきた。
2026年3月期には既存テナントの退去と建物解体が本格化したため、営業収益は前期比62.0%減少した。従来の賃貸事業が縮小する一方、WIC完成後の賃料収入とイノベーション収入へ収益構造を切り替える移行期にある。
連結財務諸表では不動産開発、既存賃貸、半導体、ロボティクスを個別の報告セグメントとして区分していない。このため、上記グラフは単一報告セグメントの連結営業収益と営業損益を示している。
深圳ワールド・イノベーション・センター(WIC)
業績推移サマリ:WICは建設前のため、独立した売上高・営業利益の実績は開示されていない。2026年3月期は着工準備に伴う既存施設の解体、固定資産の減損、土地使用権再取得に向けた手続きが進み、損益上は先行費用が表面化した段階にある。
WICは深圳市福田区の車公廟エリアで進める大規模な都市更新プロジェクトである。先行開発区画の用地面積は21,991平方メートルで、地下鉄4路線が乗り入れる車公廟駅から約300メートルに位置する。
計画する建物は地上約250メートルのオフィスビル2棟と約150メートルの住宅棟で、オフィス、住宅、商業施設、公共施設を組み合わせる。地下部分を含む総建築面積は約454千平方メートルとされている。
設計は日建設計と深圳市華陽国際工程設計が担当する。長寿命、安全性、環境性能を重視した「100年建築」を掲げ、通常の賃貸オフィスではなく、企業の研究開発、マーケティング、中国本社機能を集積する産業プラットフォームを目指す。
2025年に先行区画の開発実施主体と建設指標の規劃修正案が承認され、会社は実質的な開発許可を取得したと説明している。2026年に着工し、2030年のグランドオープンを目標とする。
研究開発用建物の延床面積25.1万平方メートルについては、土地使用権保有者による都市更新再開発として土地使用権費用が免除される見通しである。一方、商業施設と宿舎の延床面積約9万700平方メートルは、新たな土地使用権費用の算定対象となる予定である。
会社資料では、完成後の不動産評価額を約3,382億円から3,385億円、建設・土地費用を約1,039億円と試算している。年間賃料収入は約288億円、開業当初のイノベーション収入は年75億円程度を想定する。
入居企業候補として、日米欧など約30カ国のハイテク企業を想定する。2026年4月時点で100社超から入居意向を取得し、その74%が売上高1,000億円超の企業であると開示している。
入居意向書や入居承諾書は需要の強さを測る重要資料だが、賃貸借契約の締結や賃料発生を意味するものではない。建設進捗、資金調達、正式契約への移行率が事業価値を判断する主要な確認項目となる。
半導体の戦略的調達・販売事業
業績推移サマリ:半導体事業は2026年3月期まで独立した実績がなく、2027年3月期から収益化を見込む新規事業である。受注見通しが当初計画を上回ったとして、2027年3月期の営業収益予想は2,000百万円から3,500百万円へ上方修正された。
半導体事業では、中国の大手メーカーと日本企業をつなぐ戦略的調達パートナーを目指す。単純な輸入販売に限定せず、調達、検品、輸送、納品までを一貫して担う商流を構築する方針である。
取扱対象はNANDメモリー、NORフラッシュメモリー、DRAM、SiC・GaNを含むパワー半導体、エッジAI関連製品である。日本や欧米メーカーの生産終了品について、代替品や相当品の選定、基板再設計まで提案する。
2026年6月26日の開示では、NANDを手掛けるYMTC、DRAMを手掛けるCXMTとの提携交渉を進めているとした。両社を含む中国半導体メーカー上位10社を調達先候補として開拓する。
日本側では半導体商社との業務提携を進め、2027年3月までに大手上場企業10社との連携強化を目標としている。中国メーカーの供給力と日本企業の調達需要を結び、日中双方の主要市場を広くカバーする商流ネットワークを形成する構想である。
会社は2027年3月期予想の修正理由として、中国のメモリー半導体メーカーとの交渉具体化、安定供給体制の構築見通し、日本企業との大口商談の進展を挙げた。
修正後予想は営業収益3,500百万円、営業利益150百万円である。従来の不動産賃貸収入に比べ売上規模が大きくなる一方、商社型事業となるため、売上高だけでなく粗利益率、在庫回転、売掛金回収、為替条件の確認が重要になる。
供給先や販売先の具体名、契約数量、契約期間、利益率は開示時点で限定的である。交渉中の案件が正式契約と継続受注に移行するかが、新規事業の再現性を判断する焦点となる。
ロボティクス・WIC TOKYO構想
業績推移サマリ:ロボティクス事業とWIC TOKYOは立ち上げ段階で、個別の売上高・利益推移は開示されていない。MIYAKOSHI Vision 2030では、半導体、AI、モビリティ、ライフサイエンスと並ぶ重点投資領域に位置付けられている。
ロボティクス分野では、ヒューマノイドロボット、協働ロボット、無人搬送車AGV、ロボットハンド、アクチュエーターなどを取扱対象とする。
日本の製造現場が抱える人手不足や省人化需要に対し、中国企業の製品を紹介するだけでなく、ロボットSIerや技術パートナーと連携して導入支援を行う方針である。
中国14省4直轄市の政府・企業ネットワークを利用し、現地で実用化が進む製品や技術を早期に把握する。メーカーとの直接ルートを調達力の基盤とし、日本側では現場課題に合わせた技術提案を行う。
WIC TOKYOは、日中の先端技術をつなぐ国内拠点として構想されている。候補地は羽田空港周辺など、先端企業が集積する東京都内のエリアである。
中国の大手メーカーや、日本市場での総代理店契約等を結ぶ技術企業に展示ブースを提供し、専任スタッフが製品説明や商談を代行する。契約を宮越ホールディングス経由とすることで、展示、営業、販売を一体化した事業モデルを目指す。
WIC TOKYOは現時点では構想段階であり、所在地、投資額、開設時期、収益計画は確定開示されていない。具体的な拠点契約や取扱メーカーの正式発表が、事業進捗を測る重要な材料となる。
直近5年業績サマリー
| 業績項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 2027年3月期 会社予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高・営業収益 (百万円) |
1,407 | 1,319 △88 / △6.3% | 1,137 △182 / △13.8% | 1,030 △107 / △9.4% | 391 △639 / △62.0% | 3,500 +3,109 / +795.1% |
| 営業損益 (百万円) |
499 | 466 △33 / △6.6% | 421 △45 / △9.7% | 284 △137 / △32.5% | △333 △617 / 赤字転落 | 150 +483 / 黒字転換 |
| 経常損益 (百万円) |
855 | 779 △76 / △8.9% | 769 △10 / △1.3% | 552 △217 / △28.2% | △839 △1,391 / 赤字転落 | 487 +1,326 / 黒字転換 |
| 当期純利益 (百万円) |
658 | 501 △157 / △23.9% | 536 +35 / +7.0% | 365 △171 / △31.9% | △1,937 △2,302 / 赤字転落 | 330 +2,267 / 黒字転換 |
| EPS (円) |
16.46 | 12.54 △3.92 / △23.8% | 13.40 +0.86 / +6.9% | 9.14 △4.26 / △31.8% | △48.42 △57.56 / 赤字転落 | 8.25 +56.67 / 黒字転換 |
| PER (倍) |
56.62 | 66.27 | 102.54 | 140.92 | ―赤字 | ― |
| PBR (倍) |
1.58 | 1.37 | 2.19 | 1.96 | 1.06 | ― |
| BPS (円) |
591.11 | 607.33 +16.22 / +2.7% | 628.68 +21.35 / +3.5% | 657.87 +29.19 / +4.6% | 612.70 △45.17 / △6.9% | ― |
| 純資産 (百万円) |
24,904 | 25,678 +774 / +3.1% | 26,646 +968 / +3.8% | 27,994 +1,348 / +5.1% | 26,093 △1,901 / △6.8% | ― |
| 営業CF (百万円) |
539 | 630 +91 / +16.9% | 744 +114 / +18.1% | 473 △271 / △36.4% | △906 △1,379 / 支出超転換 | ― |
| 投資CF (百万円) |
△874 | △334 +540 / +61.8% | △258 +76 / +22.8% | △530 △272 / △105.4% | 2,821 +3,351 / 収入超転換 | ― |
| 財務CF (百万円) |
0 | △199 △199 / 比較率なし | 0 +199 / +100.0% | 0 増減なし | 0 増減なし | ― |
| 現金及び現金同等物 (百万円) |
2,574 | 2,709 +135 / +5.2% | 3,261 +552 / +20.4% | 3,359 +98 / +3.0% | 5,485 +2,126 / +63.3% | ― |
業績数値は各期の決算短信に記載された連結数値を使用している。2027年3月期会社予想は2026年6月26日公表の修正値を採用した。
期末株価は指定値である2022年3月期932円、2023年3月期831円、2024年3月期1,374円、2025年3月期1,288円、2026年3月期650円を使用した。
発行済株式数は各期とも40,014,943株で変更がないため、EPSとBPSは決算短信記載値を使用し、PERは期末株価をEPSで除して算出、PBRは期末株価をBPSで除して算出した。赤字期のPERと、基準株価が確定していない会社予想列のPER・PBRは記載していない。
キャッシュ・フローの増減率は前期値の絶対額を分母として算出した。収入超と支出超が入れ替わった年度は、率ではなく転換内容を表示している。
中期経営計画
MIYAKOSHI Vision 2030 ~飛躍に向けた新たな基盤作り~
2035年度の長期ビジョンとして「時価総額1兆円企業の実現」を掲げ、その中間地点となる2030年度までを事業基盤の構築期間と位置付けている。成長の柱は、深圳WIC事業と、半導体・ロボティクス等を対象とするイノベーション事業の二つである。
WIC事業では、2029年までに200社超から入居意向表明を取得し、2030年のグランドオープン後、速やかに営業利益100億円規模の安定収益基盤を確立する方針である。
イノベーション事業では、ロボティクス、半導体、AIソリューション、モビリティ、ライフサイエンスを重点領域とする。投資予算は100億円から150億円規模を想定し、M&Aと事業提携を組み合わせて商社機能と技術機能を拡張する。
2026年6月26日には、YMTCとCXMTを含む中国半導体メーカーの調達先開拓、日本の大手上場企業10社との連携強化、WIC TOKYO構想を公表した。同時に2027年3月期予想を上方修正し、営業収益3,500百万円、営業利益150百万円、経常利益487百万円、当期純利益330百万円とした。
2030年度目標は現在の業績規模を大幅に上回る。WICの着工・竣工、入居意向企業との正式契約、半導体事業の継続受注、M&A実行、必要資金の調達が計画達成の前提となる。
中期経営計画資料へ競合他社
① 華潤置地有限公司(1109/香港)
華潤置地は、中国を代表する大型不動産開発会社の一つで、深圳においてオフィス、商業施設、ホテル、住宅を組み合わせた大規模複合開発を展開する。
深圳華潤大厦「春笋」や深圳湾万象城を運営し、国内外企業の本社、研究開発部門、高級オフィステナントを誘致している。WICと同様に、企業集積と不動産賃料、商業運営収入を組み合わせる事業モデルを持つ。
2025年12月期の売上高は約2,814億元で前年同期比0.9%増、株主帰属利益は約254億元、コア純利益は約225億元だった。不動産販売の採算が低下する一方、ショッピングモール、オフィス、ホテル等の保有型事業が業績を下支えした。
華潤グループの信用力、既存施設の運営実績、テナントネットワークを持つため、深圳で大企業や外資企業の中国本社を誘致する局面ではWICの強力な競争相手となる。
② 招商局蛇口工業区控股(001979/深圳)
招商蛇口は、深圳の都市開発、住宅、商業施設、産業園区、賃貸住宅、ホテル、展示会施設、クルーズ港、施設管理を総合的に展開する。
代表的な産業拠点である蛇口網谷は、旧工業地域を再開発し、インターネット、デジタル技術、生命科学、スマート製造、文化関連企業を集積している。
2025年12月期の売上高は約1,547億元で前年同期比13.5%減、株主帰属利益は約10.2億元で同74.7%減だった。不動産引き渡しと投資収益の減少で減収減益となった。
深圳の旧工業用地を研究開発・産業拠点へ転換し、政策支援、企業誘致、資金調達、人材支援、企業間連携を提供する点で、WICに最も近い直接競合である。
長年の開発実績、行政との連携、既存企業ネットワークを持つため、先端技術企業の誘致、産業クラスター形成、オフィス賃貸の各領域で競争する。
③ 万科企業股份有限公司(000002/深圳)
万科企業は、中国各地で住宅、オフィス、商業施設、研究開発施設、物流、施設管理を展開する大手不動産会社である。
深圳万科雲城は、オフィス、住宅、商業、産業スペースを一体化した都市型複合施設で、デザイン、デジタル、文化関連企業を集積する。
2025年12月期の売上高は約2,334億元で前年同期比32.0%減、株主帰属純損失は約886億元となった。不動産開発・資産運営事業の粗利益率がマイナスとなり、債務再編が重要課題となっている。
万科雲城とWICは、単なるオフィス賃貸ではなく、研究開発、商業、住宅、交流機能を組み合わせた都市型イノベーション拠点という点で競合する。
万科は施設開発とプロパティマネジメントの実績を持つ一方、財務制約が新規投資の負担となっている。宮越ホールディングスにとっては、施設運営力では強力な競合だが、財務健全性とプロジェクト集中度で差別化余地がある。
強みと将来性
中国ネットワーク、不動産権益、商流を重ねる事業構造
最大の強みは、中国での事業期間の長さと、政府・有力企業との関係を事業資産として利用できる点にある。中国進出は1977年で、日本企業約1,300社の中国誘致に関与した実績を持つ。
WICへの企業誘致を通じ、中国14省4直轄市の政府や企業との関係を構築している。会社は、これらの地域が中国GDPの80%超を占めると説明している。
このネットワークは、WICの入居企業誘致だけでなく、中国半導体メーカーやロボティクス企業の発掘、日本企業への販売、技術提携、M&A候補の探索に横展開できる。
WIC用地は深圳市福田区の中心部にあり、地下鉄車公廟駅から約300メートルという交通利便性を持つ。通信、EV、ドローン、IT企業が集積する深圳で、研究開発機能と中国本社機能の両方を誘致できる立地である。
先行区画では開発実施主体と建設指標の承認を得ており、構想だけの段階から既存建物解体と着工準備の段階へ進んだ。研究開発用建物25.1万平方メートルの土地使用権費用が免除される見通しであることも、土地原価を抑える要因となる。
2026年3月期末の自己資本比率は92.5%、純資産は260億円、現金及び現金同等物は54億円である。WIC建設資金を単独で賄える規模ではないが、開発着手前の財務基盤として負債依存度が低い。
WICは賃料収入だけでなく、企業間マッチング、生活支援、人材紹介、技術連携などのサービス収入を組み込む。完成後の不動産価値と、入居企業を起点とする商流価値を同時に取り込む設計である。
半導体事業は、WIC完成を待たずに中国ネットワークを収益化する役割を持つ。2027年3月期予想を上方修正したことで、不動産開発の長い回収期間を新規商流事業で補う方向が明確になった。
半導体、ロボティクス、AI、モビリティはWICへの入居誘致対象とイノベーション事業の取扱対象が重なる。取引先として関係を構築した企業を将来の入居企業や共同事業先へ展開できれば、二つの事業間で顧客基盤を共有できる。
2030年度にWIC事業とイノベーション事業で営業利益各100億円を目指す計画は、現在の企業規模に対して大きい。達成確度は今後の契約と資金調達に左右されるが、WIC開発許可と半導体商流の具体化により、評価材料が不動産開発一つから二本立てへ拡張した。
弱みとリスク要因
大型開発と新規商流の同時立ち上げに伴う実行リスク
WICの最大のリスクは、計画規模に対して宮越ホールディングスの現在の収益規模と手元資金が小さい点である。会社試算の建設・土地費用は約1,039億円で、2026年3月期末の現金及び現金同等物54億円を大幅に上回る。
会社はシンジケートローン組成に向けた協議を進めているが、融資額、金利、返済条件、自己資金負担、共同出資者の有無は確定していない。資金調達条件によって、既存株主の経済価値や将来のキャッシュ・フローが変化する。
開発許可を実質的に取得しても、設計確定、土地使用権の再取得、既存建物解体、建設会社選定、融資実行、着工、竣工、入居開始まで複数の段階が残る。2030年のグランドオープンは将来計画であり、工程の遅延は賃料発生時期を後ろ倒しにする。
研究開発用建物の土地使用権費用は免除される見通しだが、商業施設と宿舎部分の土地使用権費用は算定前である。最終的な土地費用や建設費が会社試算を上回る可能性を監視する必要がある。
入居意向表明や入居承諾書は将来需要を示す一方、法的拘束力を持つ長期賃貸借契約や保証金の受領とは異なる。200社超という入居目標が、どの時点で正式契約と稼働率に転換するかが重要となる。
WIC完成後評価額、年間賃料、イノベーション収入は、稼働率、賃料水準、人民元相場、還元利回りなどの前提に依存する。評価額と実際の売却可能額や担保評価額は必ずしも一致しない。
既存賃貸事業はWIC着工に向けて縮小している。新規事業の収益化が遅れた場合、既存収入の減少と先行費用の発生が重なる空白期間が長期化する。
2026年3月期は固定資産の減損損失848百万円、取壊費用等95百万円、貸倒引当金944百万円を計上し、当期純損失は1,937百万円となった。開発移行期には、追加の除却費用、評価損、設計費、専門家費用が発生する可能性がある。
半導体事業は、交渉や大口商談の進展を根拠に2027年3月期予想を引き上げたが、取引実績はまだ限定的である。調達先との正式契約、品質保証、輸出入規制、顧客認証、代替品評価に時間を要した場合、売上計上が遅れる。
メモリー半導体は市況変動が大きく、価格下落、供給過剰、在庫評価損、急な需給逼迫が商社型事業の利益率と運転資金に影響する。中国メーカーと日本企業の間に入るため、人民元・円・米ドルの為替変動も採算管理上のリスクとなる。
中国企業製の半導体や先端技術製品には、輸出管理、経済安全保障、顧客企業の調達方針変更が影響する。取扱可能な製品や販売先が政策変更によって制限される可能性がある。
ロボティクスとWIC TOKYOは構想段階であり、拠点費用、技術者確保、保守体制、製造物責任、SIerとの役割分担が確定していない。複数の新規事業を同時に進めることで、経営人材と管理体制への負荷が高まる。
競合となる華潤置地、招商蛇口、万科企業は、開発規模、行政連携、テナント誘致、施設運営の実績で宮越ホールディングスを上回る。WICは建物の完成だけでなく、競合施設より高い入居価値と継続的な企業支援を示す必要がある。
出典
- 宮越ホールディングス株式会社 公式サイト
- 宮越ホールディングス 事業紹介
- 宮越ホールディングス WIC事業
- 宮越ホールディングス イノベーション事業
- 宮越ホールディングス IRニュース
- 2022年3月期 決算短信
- 2023年3月期 決算短信
- 2024年3月期 決算短信
- 2025年3月期 決算短信
- 2026年3月期 決算短信
- 2026年3月期 有価証券報告書
- MIYAKOSHI Vision 2030 ~飛躍に向けた新たな基盤作り~
- 投資家の皆さまへ ― 不動産と半導体の二本立てへ ―
- 通期連結業績予想の修正に関するお知らせ
本ページは、公表資料に基づく企業・事業分析を目的として作成したものであり、特定の有価証券の売買を推奨するものではありません。将来予想、開発計画、評価額、収益目標は会社が公表した前提に基づくもので、許認可、資金調達、建設進捗、市況、為替、契約状況その他の要因により変更される可能性があります。投資判断は必ず最新の決算短信、有価証券報告書、適時開示等を確認した上で自己責任により行ってください。

コメント