ミナトホールディングス 6862 東証S
事業内容
2026年6月19日の時価総額は約201億円。
ミナトホールディングスは1956年12月設立、東京都港区新橋に本社を置く持株会社で、グループ会社の経営管理を行っています。代表取締役会長兼グループCEOは若山健彦氏、代表取締役社長兼COOは相澤均氏、決算期は3月、市場区分は東証スタンダードです。
2026年3月期は売上高36,572百万円、営業利益4,232百万円、経常利益4,042百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2,108百万円となり、半導体メモリーの需給逼迫と価格上昇を背景に、売上高・各段階利益が大きく伸長しました。
デジタルデバイス事業
デジタルデバイス事業は、ミナトグループの収益の中核です。主にサンマックス・テクノロジーズを中心として、産業機器向けメモリーモジュール、DIMM、SSD、eMMC、eMCPなどを扱います。
顧客領域は、産業用コンピューター、OA機器、組み込み機器、スマートフォン関連、プリンター関連などです。民生用の汎用品だけでなく、長期供給、安定品質、個別仕様への対応が重視される産業用途を対象にしている点が特徴です。
2026年3月期は、メモリーメーカーが生成AI向け高付加価値メモリーに生産能力を振り向けたことで、PC・スマートフォン向けなど汎用メモリーの需給が引き締まりました。この環境下で、同社グループは仕入先との関係を活用し、安定調達力を収益機会に変えました。
同事業は、メモリー市況の影響を受けやすい一方、市況上昇局面では売上高と利益が大きく拡大します。2026年3月期のセグメント利益は4,262百万円まで拡大しており、グループ全体の過去最高益を牽引しました。
今後も生成AI、データセンター、産業機器、エッジ機器の普及によってメモリー需要は構造的に拡大しやすい一方、製品単価や調達価格は市況変動を受けます。ミナトホールディングスにとっては、調達力、在庫管理、顧客との長期取引が収益安定化の鍵になります。
デジタルエンジニアリング事業
デジタルエンジニアリング事業は、ROM書込み装置、デバイスプログラマ、ROM書込みサービス、タッチパネル、デジタルサイネージ、ソフトウェア・ハードウェア設計、ODM・EMSなどを含む技術サービス型の事業です。
ROM書込みサービスは、半導体や電子機器に組み込まれるメモリーへプログラムを書き込む工程を担います。顧客にとっては製造工程の一部を外部委託できるため、量産時の品質管理、短納期対応、設備投資抑制の面で価値があります。
2026年3月期は、ROM書込み数量の増加が収益を押し上げました。前期までの設備投資に伴う償却負担が軽くなったことも利益回復に寄与しています。
一方で、ディスプレイソリューションでは、WiCanvasやタッチパネルなどの大型案件の有無によって売上が変動します。そのため、同事業は継続案件の積み上げと、自社製品・受託開発案件のバランスが重要になります。
メモリーや半導体関連の調達ビジネスだけでなく、書込み、設計、表示機器、ODM・EMSまで対応できることは、ミナトグループの事業領域を広げる役割を持っています。
ICTプロダクツ事業
ICTプロダクツ事業は、プリンストンを中心に、デジタル会議システム、ライセンス、eスポーツ関連製品、PC周辺機器、スマートフォン周辺機器、メモリー関連製品などを扱います。
法人向けでは、会議室、学校、自治体、企業のオフィス環境に関連する製品を展開します。デジタル会議システムは、ハイブリッドワークや遠隔会議の定着を背景に、一定の需要が見込まれる領域です。
個人・法人の双方に向けたPC周辺機器やモバイルアクセサリーは、製品ライフサイクルが短く、価格競争もあります。その一方で、販売チャネル、商品企画力、在庫管理、サポート体制を整えれば、継続的な売上基盤になりやすい事業です。
2026年3月期は、大型モニター案件の反動があったものの、デジタル会議システムの販売が本格化し、USBデバイス、Webカメラ、モバイルアクセサリーなどの販売も増加しました。
同事業は、半導体メモリー市況に依存するデジタルデバイス事業と異なり、商品ラインアップと販売力で収益を作る事業です。グループ全体の収益変動を和らげる役割もあります。
その他・デジタルコンソーシアム関連
その他領域は、Webサイト構築、システム開発、技術者派遣、環境エレクトロニクス、ベンチャー投資、映像編集、ライブエンターテインメント、音楽コンテンツ、企業向けモビリティ、マーケティング、クリエイティブデザインなどを含みます。
ミナトホールディングスは、成長戦略として「デジタルコンソーシアム構想」を掲げています。これは、デジタル技術を持つ企業との連携やM&Aを進め、グループ内でシナジーを生み出す考え方です。
2026年3月期には複数の会社を連結化しており、事業領域は半導体メモリーだけでなく、デジタルマーケティング、音楽・映像、エンターテインメント、クリエイティブ領域まで広がっています。
この領域は、まだセグメント利益の規模は大きくありません。しかし、M&Aによる売上規模拡大、既存顧客へのクロスセル、新たな収益源の育成という意味で、中期成長戦略の実験場でもあります。
直近5年業績サマリー
| 業績項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 2027年3月期 会社予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 24,578 | 22,599 △8.1% |
19,018 △15.8% |
24,540 +29.0% |
36,572 +49.0% |
48,000 +31.2% |
| 営業損益 | 783 | 810 +3.4% |
1,235 +52.5% |
767 △37.9% |
4,232 +451.7% |
3,500 △17.3% |
| 経常損益 | 781 | 895 +14.6% |
1,224 +36.8% |
582 △52.5% |
4,042 +593.6% |
3,200 △20.8% |
| 当期純利益 | 673 | 590 △12.3% |
1,483 +151.4% |
373 △74.8% |
2,108 +464.1% |
2,150 +1.9% |
| EPS | 84.91円 | 74.44円 | 187.11円 | 47.06円 | 265.97円 | 271.27円 |
| PER | 5.35倍 | 7.36倍 | 5.96倍 | 20.42倍 | 7.55倍 | 9.36倍 |
| PBR | 0.91倍 | 0.99倍 | 1.54倍 | 1.29倍 | 1.97倍 | ― |
| BPS | 499.99円 | 552.98円 | 725.37円 | 745.68円 | 1,019.83円 | ― |
| 純資産 | 3,963 | 4,383 +10.6% |
5,749 +31.2% |
5,910 +2.8% |
8,083 +36.8% |
― |
| 営業CF | △454 | 1,768 | 144 | 92 | △6,132 | ― |
| 投資CF | △122 | △289 | △1,541 | △1,642 | △42 | ― |
| 財務CF | 857 | △631 | 336 | 1,122 | 6,412 | ― |
| 現金及び現金同等物 | 2,640 | 3,539 +34.1% |
2,490 △29.6% |
2,068 △16.9% |
2,331 +12.7% |
― |
EPS、PER、PBR、BPSは2026年3月期末の発行済株式数7,925,714株で再計算しています。過去5期PER・PBRは各3月末終値を使用し、2027年3月期会社予想PERは2026年6月19日終値2,540円を使用しています。この5年間で株式分割・株式併合は実施されていません。
中期経営計画
中期経営計画2027
ミナトホールディングスは、2023年3月期から2027年3月期までを対象とする「中期経営計画2027」を公表しています。ビジョンは「デジタルコンソーシアムで、未来の社会を創造する。」です。
基本方針は、デジタル技術を持つ企業との連携やM&Aを進め、コンソーシアムを拡大し、シナジーによって新製品・新サービスを創出することです。重点テーマは、既存事業の拡大、新規事業投資、グローバル展開です。
当初の2027年3月期目標は、売上高480億円、営業利益25億円、ROE15%以上、自己資本比率30%以上でした。2026年3月期決算短信で示された2027年3月期会社予想は、売上高48,000百万円、営業利益3,500百万円、経常利益3,200百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2,150百万円で、売上高は中期計画水準と同じ水準にあります。
事業戦略では、デジタルデバイス、デジタルエンジニアリング、ICTプロダクツを基盤にしながら、M&Aやベンチャー投資で新しいデジタル領域を取り込みます。2026年3月期には新規連結会社が加わり、メモリー関連だけでなく、音楽・映像、マーケティング、クリエイティブ領域にも展開が広がっています。
中期経営計画資料へ競合他社
① 加賀電子株式会社(8154)
時価総額は約2,333億円、株価は4,445円です。加賀電子は独立系エレクトロニクス商社の大手で、電子部品・半導体の調達販売とEMSを主力とします。
2026年3月期は売上高6,589.41億円、営業利益278.24億円、親会社株主に帰属する当期純利益310.99億円となりました。M&Aによる規模拡大に加え、一部半導体のスポット販売も寄与しました。
ミナトホールディングスとは、半導体・電子部品の調達力、産業機器メーカー向けの供給、EMS領域で競合します。規模は加賀電子が大きいものの、ミナトは産業用メモリーに焦点を当てた専門性で差別化しています。
② エレコム株式会社(6750)
時価総額は約1,613億円、株価は1,749円です。エレコムはPC周辺機器の大手で、法人向け機器、ネットワーク、ストレージ、周辺アクセサリーなどを幅広く展開しています。
2026年3月期は売上高1,321.32億円、経常利益166.05億円となりました。PC更新需要や法人向け周辺機器需要を取り込み、増益基調となっています。
競合領域は、産業用フラッシュストレージ、メモリー製品、PC周辺機器、法人向けICTソリューションです。ミナトのICTプロダクツ事業や産業機器向けメモリーと重なる部分が多く、製品力と販売チャネルで競争関係にあります。
③ テクノホライゾン株式会社(6629)
時価総額は約209億円、株価は991円です。テクノホライゾンは映像機器、教育ICT、書画カメラ、FA関連、光学・電子機器などを展開する企業で、ミナトホールディングスと比較的近い時価総額の企業です。
2026年3月期は売上高513.8億円、営業利益23.32億円、親会社株主に帰属する当期純利益24.62億円となり、利益面が大きく改善しました。
競合領域は、デジタルサイネージ、映像・会議システム、教育・オフィス向けICT機器、組み込み関連機器です。ミナトのデジタルエンジニアリング事業やICTプロダクツ事業と重なります。
強みと将来性
産業用メモリーの調達力とM&Aによる事業拡張力
ミナトホールディングスの最大の強みは、産業用メモリーを中心とするデジタルデバイス事業の収益力です。2026年3月期は、半導体メモリーの需給逼迫と価格上昇を背景に、デジタルデバイス事業が売上高22,255百万円、セグメント利益4,262百万円まで拡大しました。
メモリーは市況商品の性格がありますが、産業機器向けでは安定供給、品質、長期サポート、個別仕様への対応が重要です。ミナトグループは、この領域で顧客との関係と仕入先との関係を築いており、単なる価格競争だけではない取引基盤を持っています。
生成AIの普及により、メモリーメーカーは高付加価値メモリーへ生産能力を振り向けています。その結果、汎用メモリーや産業用途向けメモリーの需給が引き締まる局面が発生しやすくなっています。この環境は、調達力を持つ商社・技術サービス企業にとって収益機会になります。
もう一つの強みは、デジタルコンソーシアム構想に基づくM&Aです。同社は、メモリー、書込み、映像・表示、ICT機器、Web、音楽・映像、マーケティング、クリエイティブといった複数の領域をグループ内に取り込んできました。
このM&A戦略は、単純な売上規模拡大だけでなく、既存顧客へのクロスセルや、新しいデジタルサービスの組み合わせを狙うものです。持株会社として各事業会社の専門性を残しながら、グループとして資本、人材、顧客、技術をつなげることで成長余地を作っています。
2027年3月期会社予想では、売上高48,000百万円、営業利益3,500百万円を見込んでいます。営業利益は2026年3月期比で減益予想ですが、中期経営計画で掲げた売上高480億円水準には到達する見通しです。
将来性を見るうえでは、半導体メモリー市況が高水準を維持できるか、M&Aで加わった新規事業を利益貢献につなげられるか、ICTプロダクツやデジタルエンジニアリングで安定収益を積み上げられるかが重要です。
弱みとリスク要因
メモリー市況依存、営業CF悪化、M&A統合リスク
ミナトホールディングスのリスクは、デジタルデバイス事業の業績がメモリー市況に左右されやすいことです。2026年3月期はメモリー価格の上昇と需給逼迫が追い風になりましたが、反対に価格下落局面や在庫調整局面では、売上高や粗利が圧迫される可能性があります。
実際に、2023年3月期から2024年3月期にかけては、半導体関連市場で部品調達の調整や在庫調整が続き、売上高は減少しました。2025年3月期は売上高が回復した一方で、営業利益は767百万円に減少しており、売上拡大がそのまま利益拡大につながらない局面もあります。
財務面では、2026年3月期の営業キャッシュ・フローが△6,132百万円となっています。売上高と利益が大きく伸びた一方で、運転資金や在庫、売上債権の動きによって現金流出が発生した形です。
同社は2026年3月期に財務キャッシュ・フロー6,412百万円を計上しており、成長局面で資金調達を活用しています。急成長する局面では在庫確保や仕入資金が必要になりますが、市況反転時には在庫評価、資金繰り、金利負担がリスクになります。
M&Aについても注意が必要です。買収によって売上規模や事業領域は広がりますが、買収後の管理体制、人材定着、事業シナジー、のれんや投資回収が課題になります。買収先の収益性が想定を下回る場合、グループ全体の利益率を押し下げる可能性があります。
競争面では、加賀電子やエレコムのように資本力、調達力、販売チャネルで大きく上回る企業が存在します。ミナトは専門性と機動力で差別化できますが、価格競争や大口顧客の取引条件変更に対しては規模の小ささが弱点になる場合があります。
今後は、メモリー市況の追い風が弱まった場合でも、ICTプロダクツ、デジタルエンジニアリング、M&A新規領域で安定利益を確保できるかが評価の分かれ目になります。
出典
- ミナトホールディングス株式会社 公式サイト
- ミナトホールディングス株式会社 会社概要
- ミナトホールディングス株式会社 グループ情報
- ミナトホールディングス株式会社 IR財務レポート
- ミナトホールディングス株式会社 決算短信・決算説明資料
- ミナトホールディングス株式会社 中期経営計画2027

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