4446 Link-Uグループ

Link-Uグループ 4446 東証P

Link-U Group Inc.|マンガサービス、制作、マーケティングを軸に、電子コミック配信基盤、マンガアプリ開発・運用、海外向けマンガ配信、Webtoon制作、IP流通を展開するコンテンツテック企業。

※2026年6月29日時点の情報

事業内容

2026年6月29日の時価総額は約108億円。

Link-Uグループ株式会社は2013年8月20日設立、本社は東京都千代田区外神田2-2-3、代表者は代表取締役グループCEOの松原裕樹、決算期は7月31日。2026年6月29日時点では東証プライム市場に上場し、マンガ・アニメを中心とするコンテンツを世界へ届けるためのグローバルコンテンツ事業基盤を構築している。

2026年7月期第3四半期累計は売上収益3,548百万円、営業利益241百万円、税引前四半期利益244百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益139百万円。売上収益は前年同期比3.6%減、営業利益は13.4%減となった一方、親会社所有者帰属四半期利益は127.4%増となった。通期会社予想は売上収益4,900から5,100百万円、営業利益320から400百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益150から200百万円である。

インターネットサービス事業:マンガ配信基盤とアプリ運用

同社は単一セグメント開示であり、直近5期の全社売上高は2021年7月期1,634百万円から2025年7月期4,835百万円へ拡大した。電子コミック、マンガアプリ、海外配信、制作、マーケティングが成長領域である。
売上高・売上収益推移(百万円)
1,634 2021 2,275 2022 3,129 2023 3,662 2024 4,835 2025 5,000 1,500

Link-Uグループは、出版社・IPホルダー向けに、電子コミック配信基盤、マンガアプリ、Webサービスの開発・運用、データ配信、サーバー運用、ユーザーグロース支援を提供する。

強みは、自社設計サーバーによる大量データ配信のコスト効率、出版社との共同運営実績、国内外のマンガサービス運用から得られるユーザーデータ、コンテンツ配信とマーケティングを横断できる体制にある。

国内市場では、総合書店系マンガサービス、出版社共同アプリ、サブスクリプション、広告収益、課金収益を組み合わせる。海外市場では、MANGA Plus by SHUEISHA、Manga UP!、海外向け配信、翻訳・ローカライズ、海外プラットフォーム連携を通じて、日本IPの国際流通を担う。

同社の開示では、2025年7月期からIFRSを適用している。2021年7月期から2024年7月期までは日本基準、2025年7月期以降はIFRSであるため、長期比較では会計基準の差を考慮する必要がある。

マンガサービス事業:国内外の配信プラットフォーム運営

2026年7月期第2四半期資料では、マンガサービス提供数は国内外30以上、総MAUは2,000万、月間閲覧数は5億とされる。国内競争が厳しい一方、海外マンガサービスの拡大が成長テーマである。

マンガサービス事業は、出版社・IPホルダーのコンテンツをアプリやWebで配信し、課金、広告、サブスクリプション、定期購読、海外配信を組み合わせる事業である。

具体的には、集英社の海外向けマンガ雑誌アプリ・Webサービス「MANGA Plus by SHUEISHA」において開発・運用・マーケティングを担う。英語・スペイン語など9言語で人気作品をグローバルに配信し、サブスクリプションサービスも展開している。

スクウェア・エニックスと共同で運営・展開する海外向けマンガアプリ「Manga UP!」では、人気マンガ作品をグローバルに向けて英語などで展開している。2026年4月には全世界累計750万ダウンロードを突破した。

2026年6月26日には、「MANGA Plus by SHUEISHA」と「Manga UP!」が経済産業省のIP360における「流通プラットフォーム拡大支援」区分に採択された。どちらも2027年7月期および2028年7月期に実施される取り組みであり、2026年7月期業績への影響は軽微とされるが、中長期の海外成長材料として重要度が高い。

国内マンガアプリ市場では、LINEマンガ、ピッコマ、BOOK☆WALKER、各出版社アプリなどが競合し、読者時間、配信作品、課金率、広告単価を奪い合う。Link-Uグループにとって、海外配信、翻訳、サブスクリプション、出版社共同運営の拡大が差別化の中心になる。

制作事業:Webtoon・マンガ制作とIP創出

2026年7月期第2四半期資料では、制作事業は大型案件の受注などにより四半期売上が過去最高とされている。配信基盤だけでなく、IPの制作・創出へ領域を広げている点が重要である。

制作事業は、マンガ、Webtoon、翻訳・ローカライズ、コンテンツ制作、共同制作を通じて、配信する作品そのものを増やす領域である。

従来のLink-Uは、配信基盤とアプリ運用の会社という見方が強かった。一方、グループ化後は、原作小説、Webtoon制作、マンガ制作、紙出版、キャラクタービジネス、アニメ・ドラマ制作、デジタルマーケティング、マンガアプリ開発運営をつなぐ構想を打ち出している。

2026年7月期第2四半期資料では、パートナーとの共同制作や、生成AIを活用した制作スタートアップ、韓国・ベトナム拠点のグローバルWebtoonスタジオなどが示されている。生成AIについては、権利侵害のないデータだけで学習したものと説明されており、制作効率化とIP創出の両面を狙う。

制作事業は、ヒット作品が生まれれば配信、課金、翻訳、海外展開、二次利用につながる可能性がある。一方で、作品制作は先行費用、制作人材、品質管理、権利処理、ヒット確率に左右される。配信基盤よりも収益のばらつきが大きくなる点に注意が必要である。

マーケティング事業:グロース支援と事業再構築

2026年7月期第3四半期累計では、マンガサービス事業と制作事業が堅調だった一方、マーケティング事業の取引縮小が売上・利益の重荷となった。短期業績の下振れ要因として確認が必要である。

マーケティング事業は、コンテンツやサービスのグロース、広告宣伝、ファン共創型マーケティング、デジタルマーケティング支援を担う領域である。

Link-Uグループは、コンテンツを配信するだけでなく、読者獲得、継続率向上、課金率向上、海外展開時のマーケティング、作品認知の拡大まで関与する。配信基盤とマーケティングを一体で提供できる点は、出版社やIPホルダーにとって利便性が高い。

ただし、2026年7月期第2四半期資料では、ファン共創マーケティングの縮小に伴いマーケティング売上が低調となり、グループ成長戦略に合わせた事業モデル再構築が示されている。2026年7月期第3四半期でもマーケティング事業の取引縮小が重荷となっており、短期的には回復まで時間がかかる可能性がある。

マーケティング事業の再構築が進めば、マンガサービスと制作事業の成長を支える補完領域になる。反対に、取引縮小が続く場合は、全社売上の伸びを抑える要因になる。

直近5年業績サマリー

業績項目 2021年7月期 2022年7月期 2023年7月期 2024年7月期 2025年7月期 2026年7月期
会社予想
売上高
(百万円)
1,634 2,275
+641 / +39.2%
3,129
+854 / +37.5%
3,662
+533 / +17.0%
4,835
+1,173 / +32.0%
4,900から5,100
+65から+265 / +1.3%から+5.5%
営業損益
(百万円)
225 117
△108 / △48.0%
434
+317 / +270.9%
353
△81 / △18.7%
326
△27 / △7.6%
320から400
△6から+74 / △2.1%から+22.3%
経常損益
(百万円)
219 86
△133 / △60.7%
397
+311 / +361.6%
375
△22 / △5.5%
308
△67 / △17.9%
300から380
△8から+72 / △2.9%から+23.0%
当期純利益
(百万円)
157 33
△124 / △79.0%
204
+171 / +518.2%
229
+25 / +12.3%
147
△82 / △35.8%
150から200
+3から+53 / +1.4%から+35.1%
EPS
(円)
11.08 2.33
△8.75 / △79.0%
14.39
+12.06 / +517.6%
16.16
+1.77 / +12.3%
10.37
△5.79 / △35.8%
10.58から14.11
PER
(倍)
135.69 289.92 65.45 35.28 32.59 54.15から72.21
PBR
(倍)
10.08 4.66 5.88 3.25 1.85 4.18
BPS
(円)
149.15 144.77
△4.38 / △2.9%
160.08
+15.31 / +10.6%
175.32
+15.24 / +9.5%
182.66
+7.34 / +4.2%
純資産
(百万円)
2,184 2,130
△54 / △2.5%
2,313
+183 / +8.6%
2,775
+462 / +20.0%
2,629
△146 / △5.3%
営業CF
(百万円)
255 74 401 115 222
投資CF
(百万円)
△639 △104 △193 △29 △112
財務CF
(百万円)
△8 △139 557 56 △362
現金及び現金同等物
(百万円)
1,041 923 1,756 1,900 1,654
2021年7月期から2024年7月期は日本基準、2025年7月期以降はIFRS。経常損益欄について、2025年7月期および2026年7月期会社予想はIFRSの税引前利益を記載。EPS、BPS、PER、PBRは、発行済株式総数の変化を踏まえ、最新の発行済株式総数14,174,100株を基準に再計算。BPSは親会社株主に帰属する自己資本または親会社の所有者に帰属する持分を用いて算定。過去5期のPER・PBRはユーザー提供の各期末終値(2021年7月期1,503円、2022年7月期675円、2023年7月期942円、2024年7月期570円、2025年7月期338円)を使用。会社予想列のPERは2026年6月29日終値764円と2026年7月期会社予想EPS10.58から14.11円、PBRは2026年6月29日終値764円と2025年7月期再計算BPSを使用。

中期経営計画

中期経営計画の最終年度|海外マンガ・制作・AI活用を重点化

2026年7月期は、同社が掲げる中期経営計画の最終年度にあたる。2026年7月期第2四半期説明資料では、財務インパクトとして売上収益60億円、営業利益6億円を掲げ、マンガ・アニメを中心としたコンテンツを世界へ届けるグローバルコンテンツ事業基盤の構築を示している。

2026年7月期 中計・期初目線 第3四半期時点の通期予想
売上収益 6,000百万円 4,900から5,100百万円
営業利益 600百万円 320から400百万円
税引前利益 300から380百万円
親会社の所有者に帰属する当期利益 150から200百万円

中期戦略の核は、グローバル事業の加速、事業領域の拡張、AIによる生産性向上、IP創出の強化である。

2026年7月期第3四半期時点では、通期予想が売上収益4,900から5,100百万円、営業利益320から400百万円へ下方のレンジで示されており、当初の売上収益60億円・営業利益6億円には届かない見通しとなっている。

ただし、2026年6月26日のIP360採択は、中期計画後の2027年7月期および2028年7月期に効く材料である。MANGA Plus by SHUEISHAとManga UP!を通じて、日本のマンガIPを海外市場へ流通させる基盤を強化する取り組みであり、海外マンガ事業の成長と政府支援の接点として注目される。

中期経営計画へ

競合他社

① KADOKAWA(9468)

株価は約3,829円、時価総額は約5,131億円。出版、映像、ゲーム、Webサービス、教育、IP創出を持つ総合エンタメ企業であり、電子書籍・電子コミック領域ではLink-Uグループの大手競合である。

2026年3月期は売上高282,908百万円、営業利益8,102百万円、経常利益11,701百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,278百万円。出版・IP創出事業では、書籍・雑誌、電子書籍・電子雑誌、Web広告、権利許諾を展開している。

競合領域は、BOOK☆WALKER、カドコミ、KADOKAWA系コミック・ライトノベルIP、電子書籍・電子雑誌配信である。Link-Uグループは出版社向けマンガアプリ・電子書籍配信基盤の開発運用や海外配信を担う立場だが、KADOKAWAはコンテンツ保有、自社電子書籍ストア、無料マンガ配信をグループ内に持つため、出版社向けDX支援、マンガアプリ運用、電子コミック読者獲得で競合する。

② WEBTOON Entertainment Inc.(WBTN)

株価は約12.1米ドル、時価総額は約15.7億米ドル、円換算では約2,541億円。グローバルのデジタルコミック・Webtoonプラットフォーム企業であり、日本ではLINE Digital Frontierを通じてLINEマンガ、ebookjapan、bookfanなどを展開する。

2026年第1四半期は売上高320.9百万米ドル、純損失8.8百万米ドル、調整後EBITDA9.5百万米ドル。売上は前年同期比でやや減少したが、赤字幅と調整後EBITDAは改善した。

競合領域は、デジタルコミック、縦読みマンガ、電子書籍販売、海外マンガ配信、IP展開である。WEBTOONはグローバル配信網、縦読みマンガ制作力、LINEマンガの国内ユーザー基盤を持つ。Link-Uグループが注力する海外向けマンガサービス、IP流通、Webtoon制作では、WEBTOONの規模とブランドが大きな競争圧力になる。

③ メディアドゥ(3678)

株価は約1,295円、時価総額は約197億円。電子書籍取次の国内大手であり、出版社から預かったコンテンツや書誌情報の管理、電子書店への配信、キャンペーン管理、売上分配までを担う。

2026年2月期は売上高108,537百万円、EBITDA3,660百万円、営業利益2,453百万円、当期純利益1,818百万円。電子書籍流通事業の既存・新規商流の成長が売上を押し上げた。

競合領域は、出版社と電子書店をつなぐデジタル流通インフラである。メディアドゥは出版社2,200社以上、電子書店150店以上との取引実績を持つ。Link-Uグループはマンガアプリ運用、高速配信、出版社共同サービス運営に強みがあり、出版社のデジタル戦略支援案件で競合しやすい。

強みと将来性

出版社との関係、配信技術、海外展開、IP360採択

Link-Uグループの強みは、出版社・IPホルダーとの共同運営実績と、自社設計サーバーによる大量データ配信技術を同時に持つ点である。

電子コミックやマンガアプリは、コンテンツの魅力だけでなく、表示速度、課金導線、サーバー安定性、コスト効率、ユーザー分析、更新頻度、広告運用が収益性に影響する。Link-Uグループは、アプリ開発・運用、データ配信、マーケティング、サブスクリプション導入まで関与できるため、出版社にとって外部開発会社以上の運営パートナーになりやすい。

海外展開も重要である。MANGA Plus by SHUEISHAは、英語・スペイン語など9言語で集英社作品をグローバル配信し、全世界累計4,000万ダウンロードを突破している。Manga UP!はスクウェア・エニックスとの共同運営で、2026年4月に全世界累計750万ダウンロードを突破した。

2026年6月には、MANGA Plus by SHUEISHAとManga UP!の両案件が、経済産業省IP360の「流通プラットフォーム拡大支援」区分に採択された。具体的な助成金額は非公開だが、補助率2分の1、補助上限額30億円、補助期間は最長2028年2月末までの枠組みであり、2027年7月期以降の海外展開を後押しする可能性がある。

制作事業では、Webtoon、マンガ制作、翻訳、ローカライズ、生成AI活用、グローバルスタジオとの連携を進めている。配信基盤だけではなく、作品創出、流通、読者獲得、海外展開まで広げることで、単なる受託開発よりも高い成長余地を持つ。

2026年7月期第3四半期時点では、マンガサービス事業と制作事業が堅調とされる。マーケティング事業の取引縮小を吸収し、海外マンガと制作の成長が継続できれば、中期計画後の成長評価が変わりやすい。

弱みとリスク要因

国内競争、マーケティング事業の縮小、計画未達、会計基準変更

最大のリスクは、国内電子コミック市場の競争激化である。LINEマンガ、ピッコマ、BOOK☆WALKER、ebookjapan、出版社独自アプリなどが読者時間、広告在庫、課金需要、作品獲得で競合している。

Link-Uグループは出版社と共同でサービスを運営する立場であり、コンテンツ保有者ではない。強いIPを持つ出版社との関係は強みだが、IPの権利や独占配信の主導権を自社で完全に握るわけではない。収益性は、出版社との契約条件、配信作品の人気、広告市況、課金率、開発・運用費用に左右される。

2026年7月期第3四半期累計では、売上収益が前年同期比3.6%減、営業利益が13.4%減となった。マンガサービス事業と制作事業は堅調だった一方、マーケティング事業の取引縮小が重荷となっている。マーケティング事業の再構築に時間がかかる場合、全社売上の伸びが鈍化する。

中期計画との乖離もリスクである。2026年7月期は中期経営計画の最終年度であり、当初は売上収益60億円、営業利益6億円が示されていた。しかし第3四半期時点の通期予想は売上収益49億から51億円、営業利益3.2億から4.0億円であり、計画水準を下回る見通しとなっている。

2025年7月期からIFRSを任意適用しているため、過去の日本基準実績との比較には注意が必要である。2025年7月期の売上収益は4,835百万円と拡大したが、親会社の所有者に帰属する当期利益は147百万円で、前期の日本基準ベース229百万円からは減少している。

株価面では、2021年7月末終値1,503円から2025年7月末終値338円まで大きく下落した後、2026年6月29日終値は764円となった。IP360採択を材料に上昇した局面では、2027年7月期以降の実際の売上寄与、助成金の認識時期、海外配信の継続成長が確認できないと、期待先行の反動が出やすい。

出典

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