日本ケミコン 6997 東証プライム
アルミ電解コンデンサ世界トップシェア ─ 1931年創業の電子部品メーカー、AIサーバー・車載向けで需要拡大
事業内容
日本ケミコンは1931年創業のアルミ電解コンデンサ世界トップシェアメーカー。コンデンサ事業を主軸に、車載市場・産業機器市場・ICT市場(サーバー等)を3大戦略市場と位置付け、AIサーバー向け高容量コンデンサや車載SRSエアバッグ装置向けなど、高付加価値品の拡販を推進しています。海外売上高比率は78.6%(2025年3月期)と極めて高く、グローバル展開が事業の柱となっています。
主要製品ライン
アルミ電解コンデンサ(主力製品)
世界トップクラスのシェアを誇る同社の中核製品。前工程からの一貫生産体制が強み。リード形、基板自立形(KVCシリーズ、LVBシリーズ)、車載用、ハイブリッド型など、用途別の幅広いラインナップを展開。
LBYシリーズ(2026年5月22日発表)
車載SRSエアバッグ装置およびAIサーバー用途に最適なリード形アルミ電解コンデンサ。新開発の高倍率アルミニウム電極箔の採用により、従来シリーズ比で最大約23%の高容量化を実現。既にサンプル対応を開始しており、2026年9月からの量産開始を予定。
液浸冷却対応アルミ電解コンデンサ
業界初のサーバー「液浸冷却」対応アルミ電解コンデンサを開発。AIサーバーの高発熱・高密度実装環境に対応する次世代品。
導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ
従来のアルミ電解コンデンサと導電性高分子を組み合わせた高性能タイプ。低ESR・高信頼性を実現し、車載・産業機器・通信機器など高要求用途に対応。
電気二重層キャパシタ・その他
電気二重層キャパシタ(EDLC)、積層セラミックコンデンサ、CMOSカメラモジュール、インダクタなど、コンデンサ以外の電子部品も展開。
直近3年の業績サマリー
2025年3月期は産業機器の在庫調整長期化とEV市場の減速で売上高1,226億円(-18.6%減)、営業利益37億円(-60.3%減)の大幅減収減益。2026年3月期はAIサーバー向け旺盛な需要を背景に売上+11.5%増の1,368億円となったが原材料高騰で営業利益は-9.9%減。2027年3月期は売上1,600億円・営業利益80億円(+137.4%増)のV字回復計画を発表しています。
| 項目(連結・百万円) | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 2026年3月期 会社予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 140,316 | 161,881 +15.4% |
150,740 △6.9% |
122,684 △18.6% |
136,821 +11.5% |
137,000 |
| 営業損益 | 8,798 | 12,939 +47.1% |
9,422 △27.2% |
3,740 △60.3% |
3,369 △9.9% |
4,000 |
| 経常損益 | 8,038 | 10,994 +36.8% |
7,913 △28.0% |
1,568 △80.2% |
2,094 +33.5% |
2,500 |
| 当期純損益 | △12,124 | 2,273 黒字転換 |
△21,291 赤字転落 |
37 黒字転換 |
2,367 +6297.3% |
3,000 |
| EPS(一株利益) | △597.88円 | 112.09円 | △1,029.15円 | 1.75円 | 106.29円 | 134.67円 |
| 決算発表時株価 (参考) |
1,910円 | 2,156円 | 1,618円 | 1,040円 | 3,415円 | ― |
| 実績PER | -3.19倍 | 19.23倍 | -1.57倍 | 594.29倍 | 32.13倍 | ― |
| 予想PER | ― | ― | ― | ― | ― | 25.36倍 |
| PBR | 0.87倍 | 0.87倍 | 0.91倍 | 0.55倍 | 1.68倍 | ― |
| PSR | 0.28倍 | 0.27倍 | 0.22倍 | 0.18倍 | 0.56倍 | ― |
本ページに掲載している業績数値は、各社が公表する決算短信を一次情報として作成しています。 数値は決算短信発表時点のものであり、将来的に修正される可能性があります。 業績予想は会社発表時点のものであり、実績と異なる場合があります。 PER・PBR・PSRは決算発表日の終値で算出した参考値です。 正確な情報は各社公式IRサイトを必ずご確認ください。
業績のポイント
2026年3月期は売上高でV字回復への足掛かりをつけたが、原材料高騰により営業利益は減益。台湾競争法違反に関する和解金の受取(16.48億円)を特別利益に計上したことで、親会社株主に帰属する当期純利益は23.67億円と前期(37百万円)から急拡大。2027年3月期は売上1,600億円・営業利益80億円・年間配当25円(+5円増配)の大幅増益計画。AIサーバー向けLBYシリーズの量産開始(9月予定)が業績ドライバーとなる見込み。
中期経営計画・成長戦略
同社は明示的な複数年の中期経営計画として数値目標を継続的に公表しており、直近では2027年3月期に売上高1,600億円・営業利益80億円のV字回復計画を提示。3大戦略市場(車載・産業機器・ICT)に経営資源を集中し、高付加価値品で勝負する方針を打ち出しています。
経営方針
「地球環境と人を尊重し、全社員の創意により社会と環境に貢献する企業となる」を経営理念とする。アルミ電解コンデンサ世界トップシェアという立場を活かし、ICT市場(特にAIサーバー)、産業機器市場、車載市場の3大戦略市場で高付加価値品の拡販を推進。
2027年3月期業績目標(V字回復計画)
- 売上高:1,600億円(前期比+16.9%増)
- 営業利益:80億円(前期比+137.4%増)
- 年間配当:25円(前期比+5円増配)
成長戦略の柱
- ICT市場(AIサーバー向け):LBYシリーズの量産開始(2026年9月予定)、液浸冷却対応コンデンサの拡販
- 車載市場:SRSエアバッグ装置向け高容量コンデンサ、EV関連用途への対応
- 産業機器市場:高付加価値品(KVC・LVBシリーズ等)の展開
- 原材料高騰対応・コスト最適化による収益体質改善
株主還元
- 2027年3月期予想配当:25円(前期20円から+5円増配)
強みと注目点
① アルミ電解コンデンサ世界トップシェア
1931年創業の老舗電子部品メーカーで、アルミ電解コンデンサ世界トップクラスのシェアを誇る。前工程からの一貫生産体制(材料の電極箔製造から最終製品まで)が技術的優位性の源泉。
② AIサーバー需要への対応力
業界初の「液浸冷却」対応アルミ電解コンデンサ開発、5月22日発表のLBYシリーズ(23%高容量化)など、AIサーバー時代の需要に技術で応える製品ポートフォリオを整備。エヌビディアGB300以降の高発熱・高密度実装サーバーにおいて重要な役割を果たす可能性。
③ 3大戦略市場のバランス
車載市場、産業機器市場、ICT市場(サーバー等)の3大戦略市場に分散しており、特定市場の景気変動の影響を緩和できる構造。直近では産業機器のサイクル底打ち、AIサーバー需要急増という追い風が同時に到来。
④ V字回復シナリオ
2025年3月期の大幅減益(営業利益-60.3%)からの回復軌道。2027年3月期計画では営業利益が80億円(+137.4%増)と大幅な戻りを見込む。実現すれば株価評価の改善余地は大きい。
弱み・リスク要因
① 巨額訴訟リスク(Dyson訴訟)
英Dyson社よりシンガポールで約1.45億ポンド(約280億円超)の損害賠償請求訴訟を提起されており、経営の最大懸念事項。万一不利な判決の場合、財務インパクトは極めて大きく、株価評価への重大な下押し要因。
② 海外売上比率78.6%の為替・地政学リスク
海外売上高比率が極めて高く、円相場・米中対立・地政学リスクなどの外的要因に業績が大きく左右される。特に中国市場での競合激化リスクが高い。
③ 中国・台湾メーカーとの価格競争
低価格を武器とする中国・台湾コンデンサメーカーとの激しい価格競争・技術開発競争に晒されている。価格主導型の市場では同社の高品質を活かしきれない局面もある。
④ キャッシュ・フローの悪化
2025年3月期は減収局面ながら棚卸資産が約39億円増加し、営業キャッシュ・フローが赤字転落(4.93億円の支出)。資金繰りの重さが鮮明で、財務効率の改善が課題。
⑤ 営業利益率の低さ
2026年3月期営業利益率2.5%、2025年3月期3.0%、2027年3月期予想でも5.0%にとどまる見込み。電子部品メーカーとしては低水準で、収益体質の根本的改善が必要。
会社概要
| 社名 | 日本ケミコン株式会社(NIPPON CHEMI-CON CORPORATION) |
|---|---|
| 創業 | 1931年8月(佐藤電気工業所として創業) |
| 創業者 | 佐藤 敏雄 |
| 代表者 | 今野 健一 |
| 本社所在地 | 東京都品川区大崎五丁目6番4号 |
| 資本金 | 54億5,200万円 |
| 従業員数(連結) | 6,045名(2023年3月末時点) |
| 事業内容 | コンデンサ(アルミ電解コンデンサ、導電性高分子ハイブリッド、積層セラミック、電気二重層キャパシタ等)・電子部品の製造・販売 |
| 上場市場 | 東証プライム(1970年9月1日上場) |
| 決算月 | 3月 |
| 主要取引先 | ホンダ等の自動車メーカー、サーバーメーカー、産業機器メーカー |
| 主要子会社 | ケミコン東日本(国内製造)、ケミコンデバイス(国内製造)、United Chemi-Con, Inc.(米国)、Europe Chemi-Con(ドイツ)、P.T. Indonesia Chemi-Con(インドネシア)他連結子会社19社 |
沿革 ─ 創業からの歩み
- 1931年8月佐藤敏雄が東京で「佐藤電気工業所」として創業
- 1947年日本ケミコン株式会社として法人設立
- 1970年9月東京証券取引所に上場
- 1970年代〜80年代米国子会社United Chemi-Con設立、欧州子会社Europe Chemi-Con設立など海外展開を本格化
- 2018年3月欧州委員会よりコンデンサ業界の価格カルテルに関する制裁金9,800万ユーロが課される
- 2022年4月東証の市場区分見直しにより、プライム市場へ移行
- 2024年〜AIサーバー向け液浸冷却対応コンデンサ開発、車載SRSエアバッグ・AIサーバー向けLBYシリーズ開発を推進
- 2026年5月22日LBYシリーズ発表、2026年9月量産開始を公表
- 日本ケミコン株式会社 公式サイト
- 日本ケミコン株式会社 企業・IR
- 日本ケミコン株式会社「2026年3月期 決算短信」(2026年5月14日開示)
- 日本ケミコン株式会社「2025年3月期 決算短信」(2025年5月13日開示)
- 日本ケミコン株式会社「有価証券報告書 第78期」(2025年6月26日開示)
- 日本ケミコン株式会社 LBYシリーズ製品リリース(2026年5月22日)
本ページは投資情報の提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。

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