5838 楽天銀行
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事業内容と業績
銀行業
直近業績サマリー
| 業績項目 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 2027年3月期予想 |
|---|---|---|---|---|---|
| 経常収益(売上高相当) | 120,445 | 137,950 +17,505 / +14.5% | 184,534 +46,584 / +33.8% | 255,579 +71,045 / +38.5% | 343,456 +87,877 / +34.4% |
| 営業損益 | — | — | — | — | — |
| 経常損益 | 38,746 | 48,367 +9,621 / +24.8% | 71,524 +23,157 / +47.9% | 103,091 +31,567 / +44.1% | 125,780 +22,689 / +22.0% |
| 当期純利益 | 27,692 | 34,436 +6,744 / +24.4% | 50,779 +16,343 / +47.5% | 73,072 +22,293 / +43.9% | 88,145 +15,073 / +20.6% |
| EPS | 168.37円 | 198.42円 +30.05円 / +17.8% | 291.03円 +92.61円 / +46.7% | 418.76円 +127.73円 / +43.9% | 505.10円 +86.34円 / +20.6% |
| 一株配当金 | 0.00円 | 0.00円 ±0.00円 / 前年同値 | 0.00円 ±0.00円 / 前年同値 | 0.00円 ±0.00円 / 前年同値 | 0.00円 ±0.00円 / 前年同値 |
| 純資産 | 231,684 | 279,587 +47,903 / +20.7% | 319,117 +39,530 / +14.1% | 389,529 +70,412 / +22.1% | — |
| 営業CF | 594,695 | 1,027,880 +433,185 / +72.8% | 183,758 △844,122 / △82.1% | 354,295 +170,537 / +92.8% | — |
| 投資CF | △193,578 | △301,058 △107,480 / △55.5% | △732,563 △431,505 / △143.3% | △457,557 +275,006 / +37.5% | — |
| 財務CF | — | 13,324 | 0 △13,324 / △100.0% | 0 ±0 / 前年同値 | — |
| フリーCF | 401,117 | 726,822 +325,705 / +81.2% | △548,805 △1,275,627 / △175.5% | △103,262 +445,543 / +81.2% | — |
単位:百万円(EPS・一株配当金を除く)。銀行業の決算短信では一般事業会社の「売上高」「営業利益」を開示しないため、売上高相当として経常収益を使用し、営業損益は「—」表示。フリーCFは営業CF+投資CFの単純合計であり、銀行業では預金・貸出・有価証券運用の影響が大きいため、一般事業会社のフリーCFとは意味合いが異なります。2027年3月期予想は2026年8月6日の上方修正後の会社予想です。
1.会社予想と実績
銀行業のため営業利益は開示されていません。経常収益・経常利益・親会社株主帰属純利益・EPSについて、各期の期初会社予想と通期実績を比較しています。
経常収益
経常利益
当期純利益
EPS
2.達成・未達理由
投資用マンションローン・提携ローン・カードローン等の貸出金、楽天カード債権等を裏付資産とする信託受益権が増加し、資金運用収益が拡大しました。口座数増加と生活口座化で為替関連手数料も増加し、期初予想を上回りました。
運用資産の増加に加え、日本銀行の政策金利引き上げに伴う運用利回り上昇で資金運用収益が大幅に伸びました。口座数増加と生活口座化による役務取引等収益も増加し、期初予想に仮置きしていたフィンテック再編関連費用の影響を吸収して大幅に上回りました。
運用資産の増加と政策金利引き上げによる運用利回り上昇が継続し、資金運用収益が拡大しました。預金金利引き上げで資金調達費用も増えましたが、収益増が上回り、会社は2026年2月に通期予想を上方修正。最終実績はその修正予想も上回りました。
第1四半期は経常収益78,425百万円、経常利益30,209百万円、親会社株主帰属四半期純利益20,965百万円となり、前年同期を上回りました。会社は第1四半期発表時に通期予想を経常収益343,456百万円、経常利益125,780百万円、純利益88,145百万円へ上方修正しています。
3.事業セグメントの自信度
楽天銀行グループは銀行業の単一セグメントです。決算短信に記載された会社コメントのトーンと実績から、銀行業全体に対する自信度を推定しています。
銀行業
更なる口座数・預金量の伸長による顧客基盤の拡充、収益性の向上を実現し、持続的な事業の成長を図ります。
デジタルシフトによる顧客ニーズ拡大を前提に、口座・預金・収益性の同時拡大を明確に掲げています。
新サービスの導入や資産運用の強化等を通じて今まで以上に収益性と成長性を重視した経営に取り組んでまいりました。
口座数1,500万超、預金10兆円超に拡大し、貸出・運用資産・役務収益の成長が続きました。
サービス改善や資金運用の拡大等を通じて収益性と成長性の向上にさらに注力しました。
政策金利上昇と運用資産拡大を収益増につなげ、経常利益は前年比47.8%増となりました。
商品性の拡充や資金運用の拡大等を通じて事業規模の拡大と収益性の向上にさらに注力しました。
口座数1,807万、単体預金残高約12.96兆円まで拡大し、経常利益は1,030億円台へ伸長しました。
2027年3月期第1四半期の増収増益を受けて会社は通期予想を上方修正しています。過去3期連続で期初予想を上回った実績もあり、現時点の会社トーンは強い状態です。
4.最新予想信頼度
2027年3月期の最新会社予想は、経常収益343,456百万円、経常利益125,780百万円、親会社株主に帰属する当期純利益88,145百万円、EPS505.10円です。第1四半期実績は経常収益78,425百万円、経常利益30,209百万円、四半期純利益20,965百万円、EPS120.14円です。
達成できると判断する理由
- 第1四半期の経常収益は前年同期比36.4%増、経常利益は26.2%増。上方修正後の通期予想が求める増収率34.4%、増益率22.0%をQ1時点で上回っています。
- 過去3期の第1四半期経常利益が通期実績に占めた割合は約21~24%でした。今回の上方修正後予想に対するQ1単純進捗率は24.0%で、過去の進捗レンジ上限付近です。
- 2024年3月期、2025年3月期、2026年3月期はいずれも期初会社予想を上回って着地しています。2027年3月期も第1四半期発表時点で既に予想を上方修正しています。
達成できないと判断する理由
- 預金残高の拡大と普通預金金利の引き上げにより資金調達費用が増加しており、追加利上げや預金獲得競争の激化は利ざやを圧迫する可能性があります。
- 上方修正後は経常利益125,780百万円と期初予想から8.8%引き上げられており、第2四半期以降9か月で残り95,571百万円の経常利益が必要です。
- 人件費、ソフトウエア償却費、業務委託費、広告宣伝費など営業経費も増加しており、顧客基盤拡大のための投資が想定以上に膨らむ場合は利益計画の下振れ要因になります。
収益計上時期を見る際の注意点
銀行業は製造業のような明確な第4四半期偏重とは言いにくく、直近3期では第1四半期経常収益が通期の約22~24%、経常利益が約21~24%を占めています。2027年3月期Q1の上方修正後予想に対する22.8%・24.0%は、季節性を調整していない単純進捗率ですが、過去実績と大きな乖離はありません。
最終判断
現時点では、上方修正後の2027年3月期会社予想は達成可能と判断します。Q1の増収増益率と進捗率は通期計画と整合しており、会社自身もQ1後に予想を引き上げています。主な下振れリスクは、預金金利上昇による資金調達コスト増と営業経費増です。2026年9月25日13:59時点の株価6,390円を最新会社予想EPS505.10円で割ると、会社予想が達成された場合のPERは約12.7倍です。
5838 楽天銀行|中期経営計画分析
楽天銀行が現在「中期経営計画」として掲載しているのは、2022年4月策定の「中長期ビジョン」です。 目標年度は2027年3月期です。
2026年8月公表の最新IR資料では、「金利のある世界における新たな中長期目標」よりも、楽天グループのフィンテック事業再編を優先して検討するとしており、新しい中長期数値目標は現時点では公表されていません。
① 企業が掲げる目標業績数字
| 指標 | 2021年3月期 起点 | 2027年3月期 目標 | 2026年3月期 実績 | 最新状況 |
|---|---|---|---|---|
| 単体口座数 | 1,052万口座 | 約2,500万口座 | 約1,800万口座 | 2026年6月末 1,846万口座 目標進捗 約73.8% |
| 単体預金量 | 5.7兆円 | 約20兆円 | 12.9兆円 | 2026年6月末 13.36兆円 目標進捗 約66.8% |
| 連結経常収益 | 1,033億円 | 約2,000億円 | 2,555億円 | 目標を既に超過 |
| 連結経常利益 | 275億円 | 約700億円 | 1,030億円 | 目標を既に超過 |
2022年に設定した利益面の目標は、目標年度を待たず2026年3月期ですでに達成しています。 一方、口座数と預金量については2027年3月期目標に対して未達です。
② 目標達成へのロードマップ・成長戦略
- 楽天エコシステムからの低コストな顧客獲得
- 楽天ポイント・楽天カード・楽天証券・楽天モバイル等との連携
- 給与受取や口座振替を増やし「生活口座」「メイン口座」化を推進
- 優遇金利やポイント施策による預金獲得
- 法人・個人事業主口座の拡大
- 預金残高を原資とした運用資産の拡大
- 貸出金・買入金銭債権をバランス良く積み上げ
- 投資用マンションローン、ABL、証券化資産などミドルリスク資産を拡大
- 楽天カード債権など楽天グループ独自資産を活用
- メイン口座利用者へのクロスセル
- 決済・振込・デビットカード等の取引増加
- BaaSパートナーとの連携
- 法人顧客向け銀行サービスの拡充
- 楽天グループのデータを活用したマーケティング高度化
- AIを利用した審査精度向上
- 銀行アプリを活用した新規ビジネス
- 楽天グループ内の金融サービスとのクロスセル強化
現在の成長ドライバー
| 項目 | 最新状況 | 意味 |
|---|---|---|
| 口座数 | 1,846万口座 | 前年同期比 +8.1% |
| 預金残高 | 13.36兆円 | 前年同期比 +13.9% |
| メイン口座数 | 600万口座 | 前年同期比 +7.7% |
| 主要運用資産 | 9.21兆円 | 前年同期比 +20.7% |
| 2027年3月期Q1 経常利益 | 302億円 | 前年同期比 +26.1% |
| Q1年換算ROE | 22.0% | 高い資本効率を維持 |
③ 達成リスク・計画上の不確実性
- 国内外の経済情勢の変化
- 競合銀行・FinTech企業との競争激化
- 事業規模拡大に伴うコンプライアンス・リスク管理体制の強化
- システムの安定性・事務の堅確性確保
- 金利環境の変化
- フィンテック事業再編による事業構造・業績への影響
特に2027年3月期の最新業績予想は、政策金利1.00%を前提としており、それ以降の追加利上げは織り込んでいません。 また、楽天グループのフィンテック事業再編による楽天カード、楽天証券ホールディングスの業績は最新会社予想には織り込まれていません。
④ 中期目標の達成状況
| 目標 | 進捗 | 状態 |
|---|---|---|
| 口座数 2,500万 | 1,846万 | 未達 |
| 預金量 20兆円 | 13.36兆円 | 未達 |
| 経常収益 2,000億円 | 2026年3月期 2,555億円 | 達成済み |
| 経常利益 700億円 | 2026年3月期 1,030億円 | 達成済み |
⑤ 中期目標達成時の株価割安度
2022年策定の中長期計画には、当期純利益・EPSの目標値が設定されていません。さらに、経常利益700億円という目標は2026年3月期に1,030億円まで拡大し、すでに大幅に超過しています。
そのため「中期目標達成時のEPS × 現在PER」という方法で合理的な目標株価を算出することはできません。
最新業績との比較で見るポイント
2027年3月期の最新会社予想は、 経常収益3,434億円、経常利益1,257億円、当期純利益881億円。
したがって今後は、旧中長期計画の「700億円達成」ではなく、 フィンテック事業再編後に楽天銀行が新たに提示する中長期利益目標が次の重要な確認材料になります。
主な情報源:楽天銀行「中期経営計画/中長期ビジョン」、2027年3月期Q1 IRプレゼンテーション、楽天銀行財務データ

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