シリコンスタジオ 3907 東証スタンダード
3DCG・リアルタイムレンダリング技術のミドルウェア企業 ─ ゲーム業界の「画作り」を支える黒子の技術者集団、フィジカルAI事業へ本格進出
事業内容
シリコンスタジオは1999年11月、米Silicon Graphics Inc.の日本法人として設立された日本SGI株式会社の関連会社として設立。リアルタイムグラフィックスに関する事業を幅広く展開することを目的とし、ゲーム業界・メディア業界を中心としたデジタルコンテンツ開発に関わる事業を営んでいる。創業者たちはSGI社で世界最先端の3DCG技術に触れ、そのDNAを継承。ミドルウェア製品の開発で培った3DCG技術およびレンダリング技術をコア技術とし、ゲーム開発・映像効果・CG等に関するミドルウェアの開発・販売、ゲーム業界・映像業界に特化した人材派遣・有料職業紹介事業を展開する。連結子会社1社(イグニス・イメージワークス株式会社)、関連会社1社(株式会社イリンクス)を擁する。2025年7月、東証グロースから東証スタンダード市場への市場区分変更を申請し承認、現在は東証スタンダード市場上場。2026年5月、フィジカルAI事業を本格始動。
主要事業セグメント(2セグメント体制)
① 開発推進・支援事業
ゲーム・映像業界の企業に対する最先端リアルタイムCG技術ミドルウェアの開発・販売を行う中核事業。代表的なミドルウェア製品は「YEBIS」(ポストエフェクト・カメラエフェクト処理)、「Mizuchi」(リアルタイム3DCGレンダリングエンジン)、「Enlighten」(ライティング処理)など。コンソールゲーム・PCゲーム・モバイルゲーム業界の主要タイトルで採用されている。2025年7月にはポストエフェクトミドルウェア「YEBIS 4」の提供を開始。受託開発、サーバーネットワークの構築・運用・監視も提供。
② 人材事業
クリエイティブ人材に特化した人材派遣・有料職業紹介事業。ゲーム・映像業界向けに、エンジニア、デザイナー、プロデューサー等の専門人材を派遣・紹介する。2026年11月期1Qは有料職業紹介の成約数増加によりセグメント利益が改善している。
③ フィジカルAI事業(2026年5月本格始動)
2026年5月12日、自民党議員連盟による「フィジカルAIへの資金支援拡大」決議案や米国でのフィジカルAIブームを背景に、フィジカルAI事業を本格始動すると適時開示。元NVIDIA幹部をCPAIO(Chief Physical AI Officer)として迎え入れ、日本製造業の「訓練場」構築を目指す。物理ベースレンダリング(PBR)による合成データ生成ソリューション「BENZaiTEN」(機械学習向け教師画像生成)、NVIDIA Omniverseソリューション等を展開。自動車・製造業向けに導入実績あり。
直近の業績サマリー
2025年11月期は売上高4,303百万円(前期比△2.5%減)、営業利益147百万円(+2.8%増)、経常利益148百万円(+20.3%増)、当期純利益206百万円(+136.8%増)と、減収ながら利益面では大幅な増益を達成。EPSは75.06円。2026年11月期会社予想は売上高4,571百万円(+6.2%増)、営業利益122百万円、当期純利益81百万円。ただし、2026年11月期第1四半期(2025年12月〜2026年2月)は売上高9.04億円(前年同期比△8.5%減)、営業損失1.64億円と厳しいスタート。開発推進・支援事業での大型案件終了や損失計上が業績を押し下げた。通期業績予想は据え置き。
| 項目(連結・百万円) | 2021年11月期 | 2022年11月期 | 2023年11月期 | 2024年11月期 | 2025年11月期 | 2026年11月期 会社予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,986 | 4,510 +13.1% |
4,554 +1.0% |
4,414 △3.1% |
4,303 △2.5% |
4,571 |
| 営業損益 | △96 | 381 黒字転換 |
238 △37.5% |
143 △39.9% |
147 +2.8% |
122 |
| 経常損益 | △71 | 394 黒字転換 |
246 △37.6% |
123 △50.0% |
148 +20.3% |
121 |
| 当期純損益 | △101 | 254 黒字転換 |
200 △21.3% |
87 △56.5% |
206 +136.8% |
81 |
| EPS(一株利益) | △35.48円 | 87.90円 | 69.41円 | 31.19円 | 75.06円 | 29.85円 |
| 決算発表時株価 (参考) |
834円 | 1,215円 | 1,056円 | 782円 | 724円 | ― |
| 実績PER | -23.51倍 | 13.82倍 | 15.21倍 | 25.07倍 | 9.65倍 | ― |
| 予想PER | ― | ― | ― | ― | ― | 24.25倍 |
| PBR | 1.75倍 | 2.10倍 | 1.71倍 | 1.23倍 | 1.07倍 | ― |
| PSR | 0.60倍 | 0.78倍 | 0.67倍 | 0.50倍 | 0.46倍 | ― |
本ページに掲載している業績数値は、各社が公表する決算短信を一次情報として作成しています。 数値は決算短信発表時点のものであり、将来的に修正される可能性があります。 業績予想は会社発表時点のものであり、実績と異なる場合があります。 PER・PBR・PSRは決算発表日の終値で算出した参考値です。 正確な情報は各社公式IRサイトを必ずご確認ください。
業績ハイライト
2022年11月期に営業赤字から黒字転換以降、減収傾向ながら4期連続の営業黒字を維持。2025年11月期は当期純利益が前期比+136.8%と大幅増益を達成。一方、2026年11月期1Qは大型案件終了影響で営業損失を計上したため、フィジカルAI事業の本格始動による業績寄与が今後の焦点となる。実績PER 9.65倍、PBR 1.07倍と、業績に対して株価指標は割安水準にある。
強みと注目点
① 3DCG・リアルタイムレンダリング技術の専門性
SGI社のDNAを継承するリアルタイム3DCG技術が最大の強み。「YEBIS」「Mizuchi」「Enlighten」等のミドルウェアはコンソール・PC・モバイルゲーム業界の主要タイトルで採用されており、ゲーム業界における高い知名度と技術ブランドを持つ。
② フィジカルAI事業による成長転換
2026年5月12日に本格始動を発表したフィジカルAI事業は、ゲーム業界向け技術を製造業・自動車・ロボティクス領域に応用する戦略。元NVIDIA幹部のCPAIO就任、NVIDIA Omniverseソリューションの展開等、米国フィジカルAIブームと国策(自民党のフィジカルAI支援案)の波を捉えた成長戦略。
③ 人材事業のシナジー
ゲーム・映像業界に特化した人材派遣・有料職業紹介事業を展開。ミドルウェア事業との顧客基盤・情報シナジーで、業界トップクラスのクリエイティブ人材ネットワークを保有。2026年11月期1Qも有料職業紹介の成約数増加でセグメント利益が改善している。
④ デジタルツイン・産業向け拡張
2025年6月、西松建設のトンネル3Dデジタルツイン構築をゲームエンジン活用で支援。ゲーム業界向け技術をデジタルツインや建設・製造業に応用する事例が増加中。フィジカルAI事業との相乗効果が期待される。
⑤ 安定収益基盤と割安株価指標
4期連続営業黒字、実績PER 9.65倍、PBR 1.07倍、PSR 0.46倍と、利益水準に対し株価指標は割安。市場区分のスタンダード移行も完了し、財務健全性は維持されている。
弱み・リスク要因
① 2026年11月期1Qの営業赤字計上
2026年11月期第1四半期は売上高9.04億円(前年同期比△8.5%減)、営業損失1.64億円と厳しい結果。開発推進・支援事業での大型案件終了や損失計上が影響。通期業績予想は据え置きだが、達成にはフィジカルAI事業の早期収益化が不可欠。
② ゲーム業界の変化に依存
主力ミドルウェア事業はゲーム業界向けに依存。ゲーム業界の景気変動、ヒットタイトル動向、プラットフォーム変化(コンソール→スマホ→クラウドゲーミング等)の影響を直接受ける。
③ フィジカルAI事業の収益化不透明
2026年5月本格始動のフィジカルAI事業は、開示資料・適時開示・各種報道のいずれにおいても具体的な売上目標・収益貢献時期等の明示はない。テーマ性物色による株価上昇に対し、実際の収益貢献にはタイムラグを要する可能性がある。
④ 海外売上比率の低さ
ミドルウェア事業は国内ゲーム業界中心。海外市場(特に米中欧)のゲーム業界・フィジカルAI市場への展開拡大が中長期の課題。
⑤ 競合の激化
ミドルウェア市場ではUnity、Unreal Engine等のグローバルゲームエンジン大手が圧倒的な普及率を持つ。3DCG技術領域での競争激化、ライセンスモデルの転換等のリスクがある。
会社概要
| 会社名 | シリコンスタジオ株式会社(Silicon Studio Corp.) |
|---|---|
| 証券コード | 3907(東証スタンダード) |
| 業種 | 情報・通信業 |
| 設立 | 1999年11月 |
| 上場 | 2015年2月 東証マザーズ上場、2022年4月 東証グロース、2025年 東証スタンダードに市場区分変更 |
| 主要関連会社 | イグニス・イメージワークス株式会社(連結子会社)、株式会社イリンクス(関連会社) |
| 決算期 | 11月(11月決算) |
| 主要事業 | 開発推進・支援事業、人材事業、フィジカルAI事業 |
| 主要製品 | YEBIS 4、Mizuchi、Enlighten、BENZaiTEN |
沿革 ─ 設立からの歩み
- 1999年11月米Silicon Graphics Inc.の日本法人として設立された日本SGI株式会社の関連会社として、シリコンスタジオ株式会社設立
- 2000年10月米Intrinsic Graphics Inc.(現Vicarious Visions)とゲームソフトウェア開発用ミドルウェアに関する業務提携契約を締結、PlayStation2向け「Alchemy」の開発を開始
- 2003年12月コンテンツ・クリエイターの人材派遣事業を開始
- 2004年7月人材紹介事業を開始
- 2008年1月ゲーム開発本部を発足し自社企画ゲームコンテンツ制作を開始
- 2015年2月東証マザーズに上場
- 2018年7月コンテンツ事業(自社ゲーム開発)から撤退
- 2022年4月東証グロース市場へ移行
- 2025年7月15日東京証券取引所スタンダード市場への市場区分変更申請
- 2025年7月15日ポストエフェクトミドルウェア「YEBIS 4」の提供を開始
- 2025年東証スタンダード市場へ移行
- 2026年5月12日適時開示「シリコンスタジオ、フィジカルAI事業を本格始動」、元NVIDIA幹部CPAIO就任を発表
- 2026年5月21日フィジカルAI事業継続物色で終値1,113円(+15.58%)のストップ高
直近の急騰要因(2026年5月21日 ストップ高)
2026年5月12日の適時開示「シリコンスタジオ、フィジカルAI事業を本格始動」が起点となり、その後継続的に物色されている。同社はゲーム・映像業界向け先端リアルタイムCG技術の知見を活用し、製造業・自動車・ロボティクス領域におけるフィジカルAI事業(現実世界でAIを訓練・運用する事業)に参入。元NVIDIA幹部をCPAIO(Chief Physical AI Officer)として迎え入れた。自民党議員連盟による「フィジカルAIへの資金支援拡大」決議案が報じられたことで国策テーマとしても物色が継続。5月13日以降ストップ高を含む急騰が続き、5月21日も終値1,113円(+15.58%)の連続的物色対象となった。米OpenAI IPO申請観測でソフトバンクグループ等のAI関連株が急騰した相場の波に乗った形。

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