6503 三菱電機

三菱電機(6503)|FA・防衛・パワー半導体・業績予想分析

三菱電機 6503 東証P

Mitsubishi Electric Corporation|FA、電力・社会インフラ、防衛・宇宙、昇降機、空調、自動車機器、IT、パワー半導体を展開する総合電機メーカー。

※2026年7月20日時点の情報

事業内容

2026年7月17日の時価総額は約11兆3,479億円。 同日の終値5,370円と、2026年3月期末の発行済株式総数2,113,201,551株を基準に算出した。

三菱電機は1921年1月15日設立。本社は東京都千代田区丸の内二丁目7番3号の東京ビル、代表執行役・執行役社長は漆間啓。決算期は3月で、東京証券取引所プライム市場に上場する。事業区分はインフラ、インダストリー・モビリティ、ライフ、デジタルイノベーション、セミコンダクター・デバイスを中核とする。

2026年3月期は売上高5,894,747百万円、営業利益433,095百万円、税引前当期純利益526,077百万円、親会社株主に帰属する当期純利益407,758百万円。前期比では売上高6.8%増、営業利益10.5%増、税引前利益20.3%増、純利益25.8%増となった。インフラ、インダストリー・モビリティ、ライフ、半導体・デバイスの増益が全社利益を押し上げた。

インフラ|電力・鉄道・社会システム・防衛宇宙

セグメント業績推移サマリ: 2026年3月期の売上高は1兆4,634億円、営業利益は1,547億円。前期比で売上高は約19.5%増、営業利益は約73.0%増となり、営業利益率は7.3%から10.6%へ上昇した。エネルギーシステム、防衛・宇宙、交通、UPSを含む社会インフラ需要が利益成長を支えた。

インフラ事業は、社会システム、エネルギーシステム、防衛・宇宙システムを中核とする。発電所、送配電網、鉄道、道路、公共施設、通信、宇宙、防衛など、停止や障害が社会活動へ直接影響する設備を扱う。

エネルギーシステムでは、発電機、変圧器、開閉装置、保護制御装置、電力変換設備、系統安定化システムを提供する。再生可能エネルギーの接続増加、老朽設備更新、送電容量の増強が需要要因となる。

データセンター向けでは、受配電設備、UPS、電力監視、設備制御を扱う。AIサーバーの普及に伴う消費電力増加は、大容量電源、冗長化、電源品質、冷却設備との統合需要につながる。

社会システムでは、鉄道車両用電機品、列車制御、駅設備、交通管制、道路設備、水処理、公共監視システムを提供する。既設設備の更新と保守契約が長期的な収益基盤となる。

鉄道向けでは、主電動機、推進制御装置、補助電源、ブレーキ制御、列車情報システムを展開する。納入後の運用期間が長く、安全性、信頼性、部品供給、保守対応が受注条件となる。

防衛・宇宙では、レーダー、誘導関連機器、衛星、宇宙観測、通信・情報システムなどを扱う。国家予算、大型案件の工程、契約採算、検収時期によって年度別売上が変動しやすい。

2026年3月期の受注高は、インフラ全体で1兆9,785億円。エネルギーシステムと防衛・宇宙システムが大型受注を積み上げ、翌期以降の売上基盤を形成した。

営業利益率は2024年3月期の3.0%から2026年3月期の10.6%へ改善した。大型案件の売上増加に加え、価格改善、事業構成、採算管理が利益成長へ寄与した。

投資判断では、インフラ受注高、受注残、データセンター関連需要、防衛・宇宙案件の売上計上、変圧器や開閉装置の生産能力を確認する必要がある。

リスクは、長期案件の設計変更、原材料価格、工程遅延、政策・予算の変更、採算の低い案件である。売上高だけでなく、受注時点の採算と営業利益率の持続性が重要となる。

インダストリー・モビリティ|FA・CNC・ロボット・自動車機器

セグメント業績推移サマリ: 2026年3月期の売上高は1兆6,738億円、営業利益は1,310億円。前期比で売上高は約1.8%増、営業利益は約58.6%増となり、営業利益率は5.0%から7.8%へ回復した。FAシステムの需要増加が、自動車機器の事業縮小や地域別需要の弱さを補った。

インダストリー・モビリティ事業は、FAシステムと自動車機器で構成される。工場自動化の中核機器から自動車の電動化・制御機器までを扱い、世界の設備投資と自動車生産の影響を強く受ける。

FAシステムでは、MELSECのPLC、MELSERVOのACサーボ、FREQROLのインバーター、表示器、CNC、産業用ロボット、低圧配電機器を展開する。

PLCは製造ラインの動作順序、入出力、設備間連携を制御する。サーボは位置と速度を高精度に制御し、半導体製造装置、電子部品実装機、工作機械、包装機械などに使用される。

インバーターはモーターの回転速度を制御し、設備の省エネルギーと精密運転を実現する。モーター、PLC、サーボ、HMIを自社で揃えることが、工場単位の一括提案につながる。

CNCは工作機械の軸制御、加工プログラム、主軸・送り制御を担う。自動車、航空機、一般機械、金型、電子部品などの設備投資が需要を左右する。

産業用ロボットでは、組立、搬送、加工、検査工程を自動化する。人手不足への対応だけでなく、PLC、サーボ、画像処理、製造データとの連携が競争軸となる。

自動車機器では、電動パワーステアリング関連、電動化機器、車載制御機器などを扱う。販売台数、顧客構成、地域別需要、車種切替、価格改定の影響を受ける。

2026年3月期は、スマートフォンやAI関連の設備投資、工作機械需要によりFAシステムが増収となった。一方、自動車機器は中国の日系メーカー販売減少や北米向けカーマルチメディア事業の縮小が影響した。

セグメント営業利益は826億円から1,310億円へ増加した。FA需要の回復、価格・製品構成、事業構造改革により、売上高の伸びを上回る利益成長となった。

2026年3月期のFAシステム受注高は8,656億円で前期比22%増。受注が売上に先行するため、半導体・電子部品、工作機械、中国設備投資の動向を継続的に確認する必要がある。

競合はSiemens、ABB、Schneider Electric、ファナック、安川電機など。三菱電機はPLC、サーボ、インバーター、CNC、ロボットの統合性と国内・アジアの顧客基盤で競争する。

利益率の焦点は、FAの需要回復、自動車機器の構造改革、ソフトウェア・サービス比率である。売上規模が大きいため、利益率1ポイントの変化が全社利益へ与える影響も大きい。

ライフ|昇降機・ビルシステム・空調冷熱・家電

セグメント業績推移サマリ: 2026年3月期の売上高は2兆3,182億円、営業利益は1,705億円。前期比で売上高は約6.1%増、営業利益は約8.5%増となり、営業利益率は7.2%から7.4%へ上昇した。ビルシステムと空調・家電の双方が連結売上の最大セグメントを形成する。

ライフ事業は、ビルシステムと空調・家電で構成される。連結売上高の約4割を占め、地域別需要、住宅・建設市場、設備更新、為替の影響を広く受ける。

ビルシステムでは、エレベーター、エスカレーター、ビル管理、入退室、監視制御、設備保守を提供する。新設需要だけでなく、既設昇降機の改修と長期保守が安定収益となる。

昇降機は安全性、停止時間、保守拠点、部品供給が重要である。世界各地の既設台数を基盤に、点検、部品交換、制御更新、省エネルギー改修を継続的に取り込む。

ビル管理では、空調、照明、電力、入退室、昇降機を統合管理する。建物のエネルギー効率、運用人員の削減、設備異常の早期把握が導入目的となる。

空調・冷熱では、ルームエアコン、業務用空調、ビル用マルチ空調、冷凍・冷蔵設備、換気機器を展開する。国内、欧州、北米、アジアで地域別の製品構成と販売網を持つ。

空調需要は、気温、住宅着工、商業施設投資、省エネルギー規制、冷媒規制の影響を受ける。高効率インバーター、ヒートポンプ、低環境負荷冷媒への対応が競争力となる。

パワー半導体、インバーター、モーター、制御技術をグループ内で保有するため、空調機器の効率向上と小型化へ技術を横展開できる。

2026年3月期は、国内のビル更新、海外の昇降機、欧州・日本・北米の空調需要などが増収へ寄与した。営業利益率も7.4%まで改善した。

ビルシステムの受注高は7,262億円で前期比5%増。受注残と保守契約の積み上がりが翌期以降の売上とサービス収益を支える。

競合は昇降機でOtis、KONE、Schindler、空調でダイキン工業、Carrier、Trane Technologiesなど。三菱電機は昇降機、空調、受配電、ビル管理を組み合わせた総合提案で競争する。

リスクは、中国不動産市場、欧州景気、原材料・物流費、冷媒規制、天候である。地域別売上、価格改定、保守売上の拡大、営業利益率の改善度が重要となる。

デジタルイノベーション|ITインフラ・製造DX・サイバーセキュリティ

セグメント業績推移サマリ: 2026年3月期の売上高は1,580億円、営業利益は119億円。前期比で売上高は約7.6%増、営業利益は約10.2%増となり、営業利益率は7.4%から7.5%へ上昇した。ITインフラ、セキュリティ、製造業DXを成長領域とする。

デジタルイノベーション事業は、ITインフラ、システムインテグレーション、製造業DX、サイバーセキュリティ、データ活用を扱う。

2025年4月に三菱電機デジタルイノベーション株式会社を設立し、グループ内のIT・デジタル事業を集約した。機器販売とソフトウェア、クラウド、運用サービスを接続する役割を持つ。

製造業向けでは、FA機器から取得する設備データ、生産実績、品質情報、エネルギー使用量を統合し、工場運営の可視化と改善を支援する。

製品設計、製造、保守のデータを接続することで、設備停止の予防、歩留まり改善、生産計画の最適化、保守部品の管理につなげる。

ITインフラでは、サーバー、ネットワーク、クラウド移行、運用監視を提供する。顧客の基幹システムや社会インフラを扱うため、可用性とセキュリティが重要となる。

サイバーセキュリティでは、IT環境だけでなく、工場、電力、鉄道、ビルなどの制御システムを対象とする。OT環境は長期間使用される設備が多く、停止せずに安全性を高める必要がある。

Nozomi Networksの連結化は、産業制御・重要インフラ向けセキュリティの製品と顧客基盤を強化する。買収後の売上成長と利益貢献が中期戦略の評価項目となる。

2026年3月期は、ITインフラ・セキュリティ、製造DXソリューションが増収に寄与した。営業利益率は7.5%であり、全社が2030年度に目指す高収益水準への引き上げ余地がある。

SiemensやSchneider Electricは、産業ソフトウェア、デジタルツイン、クラウド型サービスで世界規模の事業基盤を持つ。三菱電機はFA、電力、ビル、空調の実機データとの接続で差別化する。

投資判断では、ソリューション売上高、継続課金型収益、Nozomi Networksの成長、営業利益率、DX・AX人材の増加を確認する必要がある。

セミコンダクター・デバイス|IGBT・SiC・光高周波デバイス

セグメント業績推移サマリ: 2026年3月期の売上高は2,871億円、営業利益は475億円。売上高は前期比約0.3%増、営業利益は約17.0%増となり、営業利益率は14.2%から16.5%へ上昇した。5事業の中で最も高い営業利益率を確保した。

セミコンダクター・デバイス事業は、パワーデバイス、光デバイス、高周波デバイスを展開する。主力は産業、鉄道、電力、空調、自動車向けのIGBT・SiCパワーモジュールである。

パワー半導体は、電力の変換と制御を担い、インバーター、モーター駆動、UPS、鉄道車両、空調機器、再生可能エネルギー設備に搭載される。

三菱電機は、半導体チップとパワーモジュールを自社のFA、鉄道、空調、電力機器へ応用できる。最終製品側の要求を半導体設計へ反映できる垂直統合が技術基盤となる。

IGBTは高電圧・大電流用途で広く使用される。電力損失、耐久性、放熱、パッケージ構造が装置の効率と信頼性を左右する。

SiCはシリコンより電力損失を低減しやすく、高温、高電圧、高周波での動作に適する。電気自動車、鉄道、再生可能エネルギー、産業電源で採用拡大が見込まれる。

光・高周波デバイスは、光通信、データセンター通信、無線通信などに利用される。AI処理量の増加は、サーバー間の高速・省電力通信需要を押し上げる。

2026年3月期は売上高がほぼ横ばいだった一方、営業利益は406億円から475億円へ増加した。価格、製品構成、原価改善によって利益率が上昇した。

2025年度の設備投資は1,051億円で、全社セグメントの中で最大だった。生産能力増強に伴う減価償却費と稼働率が、今後の利益率を左右する。

2026年度の研究開発費計画は192億円で前年度比26%増。SiC、次世代パワーモジュール、光通信デバイスへの開発投資を拡大する。

競合はInfineon Technologies、STMicroelectronics、onsemi、富士電機、中国系パワー半導体メーカーなど。性能、品質、供給力、価格、顧客認証が競争条件となる。

高固定費型の事業であるため、需要減少や在庫調整は工場稼働率を通じて利益へ大きく影響する。受注高、在庫、設備稼働率、減価償却費、SiC量産の進捗が重要となる。

2026年3月期の受注高は3,204億円で前期比19%増。利益率の上昇を伴う受注成長が続くかが、全社の2030年度収益目標達成における焦点となる。

1.会社予想と実績

各期の期首時点(前年度の期末決算発表時)に公表された通期会社予想と、期末実績を比較しています。2027年3月期は最新会社予想であり、実績・達成率は未発表です。

達成率=実績 ÷ 会社予想 × 100。IFRSでは「経常利益」を開示していないため、税引前当期純利益で代替しています。2027年3月期の利益目標は「調整後営業利益」で、事業・資産売却損益、減損損失等を除く会社独自指標のため、過年度の営業利益とは定義が異なります。レンジ予想はありません。

青:会社予想、赤:実績。達成率100%以上は赤、100%未満は青、最新予想は黄。

2.達成・未達理由
2022年3月期売上のみ達成、利益は未達
売上 100.2% 営業 96.9% 税引前 98.1% 純利益 96.9% EPS 97.5%

売上高は、FAシステム、電動化関連製品、パワー半導体、海外空調の需要拡大と円安効果で小幅に上振れました。

利益は、素材・物流費の上昇、部材不足、重電システムと家庭電器の採算悪化、土地売却益の減少が響き、各利益とEPSが未達でした。

2023年3月期売上・EPS達成、利益は僅かに未達
売上 104.9% 営業 97.2% 税引前 99.0% 純利益 99.5% EPS 100.5%

売上高は、円安、価格転嫁、ライフ、インダストリー・モビリティ、IT・半導体の拡大で会社予想を上回りました。

営業利益は、インフラの採算悪化、自動車機器の素材・物流費負担と減損、販管費増が重く未達。税引前利益と純利益も僅かに届きませんでした。EPSの達成は、自己株式取得等による平均株式数減少の効果を含むと推定されます。

2024年3月期営業利益のみ僅かに未達
売上 101.1% 営業 99.6% 税引前 103.1% 純利益 109.6% EPS 112.1%

売上高は、円安と価格転嫁、インフラ、ライフ、自動車機器の伸長により上振れました。

営業利益はほぼ計画線でしたが、FA需要減とIT関連費用増などで僅かに未達。一方、金融損益・持分法利益、税負担、自己株式取得の効果が加わり、税引前利益、純利益、EPSは達成しました。

2025年3月期営業利益のみ未達
売上 104.2% 営業 98.0% 税引前 101.7% 純利益 102.9% EPS 103.8%

売上高は、円安、価格改善、インフラとライフの拡大が寄与し、予想を大きく上回りました。

営業利益は、FAの需要低迷、自動車機器の中国販売減、販管費増が重荷となり僅かに未達。持分法投資利益の増加などにより、税引前利益、純利益、EPSは達成しました。

2026年3月期全項目達成
売上 109.2% 営業 100.7% 税引前 111.9% 純利益 119.9% EPS 121.4%

売上高は、防衛・宇宙、社会システム、ビルシステム、FA、空調・家電の事業規模拡大、価格改善、円安により大幅超過しました。

特別退職制度「ネクストステージ」に伴う費用1,053億円を計上しても営業利益は予想を上回りました。金融収益の増加、金融費用の減少、持分法投資利益の拡大も加わり、税引前利益、純利益、EPSは大幅達成となりました。

2027年3月期最新予想・実績未発表
売上 6,200,000百万円 調整後営業 590,000百万円 税引前 640,000百万円 純利益 475,000百万円 EPS 231.01円

会社は、防衛・社会インフラ、FA、ビル・空調の事業規模拡大、価格改善、ポートフォリオ組替、ネクストステージ施策の効果を見込みます。

一方、素材価格上昇、デジタルイノベーションと半導体の費用・償却負担、自動車機器の需要・再編リスクを織り込む必要があります。

3.事業セグメントの自信度

強気・中立・弱気は、会社の原文コメント、売上・利益の方向、最新計画の伸び率から推理した評価です。2022年3月期は旧部門区分を現在の事業領域に対応させています。

インフラ

自信度推移:弱気 → 弱気 → 中立 → 強気 → 強気 → 強気
2022年3月期弱気
国内の公共分野向けの減少などにより減少

旧重電システム。案件変動と採算悪化が利益を圧迫。

2023年3月期弱気
防衛・宇宙システム事業の採算悪化

売上は増えたが営業利益は減少し、収益管理に課題。

2024年3月期中立
防衛システム事業・宇宙システム事業の大口案件により増加

受注・売上は回復。採算改善は途上。

2025年3月期強気
防衛・宇宙分野における需要が堅調に推移

政府関連需要と社会・電力分野が成長をけん引。

2026年3月期強気
防衛・宇宙分野ともに需要が堅調に推移

売上・利益が大幅増。収益性も明確に改善。

2027年3月期強気
防衛システム、社会システムの事業規模増などにより増収・増益の見通し

売上1兆6,400億円、調整後営業利益1,700億円を計画。

判断強気継続

防衛・社会システムの受注環境と2026年3月期の急伸が裏付け。ただし大型案件の採算・検収時期には注意が必要です。

インダストリー・モビリティ

自信度推移:強気 → 中立 → 中立 → 弱気 → 強気 → 強気
2022年3月期強気
デジタル化関連や脱炭素関連の設備投資を中心に需要が拡大

FAと電動化関連製品が伸長。

2023年3月期中立
一部素材価格や物流費の上昇

売上成長に対し、自動車機器の費用・減損で利益が低下。

2024年3月期中立
FAシステム事業は…需要の落ち込みなどにより減少

自動車機器が補ったが、FA循環は弱含み。

2025年3月期弱気
リチウムイオンバッテリー関連の需要減少

FA低迷と中国自動車市場の弱さで売上・利益が減少。

2026年3月期強気
AI・スマートフォン・工作機械向けの需要増加

FAが回復し、自動車機器も価格改善で利益が回復。

2027年3月期強気
価格改善やFAシステムでの事業規模増

売上1兆6,850億円、調整後営業利益1,740億円を計画。

判断強気へ転換

FAの循環回復と価格改善が主因。自動車機器の再編効果が計画通り出るかが利益達成の鍵です。

ライフ

自信度推移:中立 → 中立 → 強気 → 強気 → 中立~強気 → 強気
2022年3月期中立
欧米を中心とした空調機器の需要増加

売上は伸びたが、素材・物流費で利益は弱含み。

2023年3月期中立
欧米向け空調機器の需要拡大

数量と円安で増収。原材料負担は残存。

2024年3月期強気
上期を中心に空調機器の需要が堅調に推移

価格転嫁と円安も寄与し、利益が大幅増。

2025年3月期強気
ビルシステム事業は国内・アジア向けで増加

ビル・空調の拡大で増収増益。

2026年3月期中立~強気
空調・家電事業は…売上高は増加、営業利益は減少

ビルは好調だが、空調は素材・為替・費用増の影響。

2027年3月期強気
ビルシステム及び空調・家電での需要増などにより増収・増益の見通し

売上2兆4,300億円、調整後営業利益2,100億円を計画。

判断強気

最大売上セグメントとして成長をけん引。空調の原材料・為替感応度が主なリスクです。

デジタルイノベーション

自信度推移:中立 → 強気 → 中立 → 強気 → 強気 → 中立~弱気
2022年3月期中立
システムインテグレーション事業が増加

旧情報通信・サービス領域。安定成長。

2023年3月期強気
システムインテグレーション事業・ITインフラサービス事業が増加

旺盛なDX需要を取り込み増収増益。

2024年3月期中立
売上高は増加、営業利益は減少

需要は強いが、費用増が利益を圧迫。

2025年3月期強気
システムインテグレーション事業が増加

案件拡大と採算改善で増益。

2026年3月期強気
DX・IT関連の需要が堅調に推移

OTセキュリティを含む成長基盤を強化。

2027年3月期中立~弱気
OTセキュリティの事業規模増により増収も、費用増により減益の見通し

売上1,800億円、調整後営業利益100億円を計画。

判断成長投資優先

売上への自信は強い一方、Nozomi Networksを含む投資・統合費用により短期利益の確度は低めです。

セミコンダクター・デバイス

自信度推移:強気 → 強気 → 強気 → 中立 → 中立~強気 → 中立
2022年3月期強気
パワー半導体の需要が堅調に推移

脱炭素・電動化需要が追い風。

2023年3月期強気
パワー半導体の需要などが堅調に推移

売上・利益が拡大。

2024年3月期強気
パワー半導体の堅調な需要により増加

成長投資を伴いながら増収増益。

2025年3月期中立
通信用光デバイスの需要増加

光デバイスが支えた一方、パワー半導体は停滞。

2026年3月期中立~強気
通信用光デバイスの需要が堅調に推移

光が好調、パワー半導体は調整局面。利益率は改善。

2027年3月期中立
通信用光デバイスの需要増などにより増収も、償却費増などにより減益の見通し

売上3,000億円、調整後営業利益430億円を計画。

判断売上は強気、利益は中立

AI・データセンター向け光デバイスが牽引する一方、大型設備投資の償却負担が利益を抑えます。

その他

自信度推移:中立 → 中立 → 弱気 → 弱気 → 中立 → 中立~弱気
2022年3月期中立

原文コメント:部門別の定性説明はなく、数表開示が中心。

主力事業を支える周辺領域として評価。

2023年3月期中立

原文コメント:部門別の定性説明はなく、数表開示が中心。

売上・利益の数値推移から中立と判断。

2024年3月期弱気

原文コメント:部門別の定性説明はなく、数表開示が中心。

売上・利益の減少から弱気と判断。

2025年3月期弱気
MDロジス(株)を株式の一部譲渡により連結子会社から持分法適用会社に変更しています。

物流事業の持分一部譲渡で年度比較が難しくなりました。

2026年3月期中立

原文コメント:部門別の定性説明はなく、数表開示が中心。

売上縮小の一方、利益は底堅く中立と判断。

2027年3月期中立~弱気
売上高8,220億円、調整後営業利益370億円

会社計画の数表から、売上・利益とも主力5部門より慎重と判断。

判断中立~弱気

定性コメントが限定的で、ポートフォリオ変更の影響も大きいため、主力5セグメントより確度を低く評価しました。

4.最新予想信頼度
判定:達成可能性は「中立~やや高い」。売上高は比較的高く、調整後営業利益は実行精度が必要。

2027年3月期は、売上高5.2%増に対して調整後営業利益17.7%増を狙う計画です。インフラ、FA、ライフの需要拡大と価格改善が続けば達成可能ですが、利益率を8.5%から9.5%へ高めるため、素材費・成長投資・事業再編を厳格に管理する必要があります。

売上高予想6,200,000百万円 / +5.2%
調整後営業利益590,000百万円 / +17.7%
税引前利益640,000百万円 / +21.7%
純利益475,000百万円 / +16.5%
単純進捗率未算出第1四半期未発表

達成できると判断する理由

  • 2026年3月期は、期首予想に対して売上高109.2%、営業利益100.7%、税引前利益111.9%、純利益119.9%と全項目を達成しました。
  • インフラは防衛・宇宙、社会システムを中心に需要が強く、2027年3月期も増収増益を計画しています。
  • FAはAI・スマートフォン・工作機械向け需要が回復し、自動車機器では価格改善とポートフォリオ組替の効果を見込みます。
  • ライフはビルシステムと空調・家電の需要増が続き、全社最大の増収・増益源として期待できます。
  • ネクストステージ施策、価格改善、低収益事業の見直しが計画どおり進めば、売上成長を上回る利益成長が可能です。

達成できないと判断する理由

  • 最新目標は調整後営業利益であり、過年度の営業利益と定義が異なります。見かけ上の伸び率だけで難度を判断できません。
  • 売上高5.2%増に対し調整後営業利益17.7%増を求めるため、1ポイントの利益率改善が遅れると未達になりやすい計画です。
  • 素材価格上昇、物流費、関税・地政学、為替変動が価格改善効果を相殺する可能性があります。
  • デジタルイノベーションは費用増、半導体は償却費増で減益計画。成長投資の超過は全社利益の下振れ要因です。
  • 自動車機器の需要減・再編、パワー半導体の調整、大型インフラ案件の採算・検収遅延がリスクです。

収益計上・進捗率を見る際の注意点

現時点では2027年3月期の第1四半期実績が未発表のため、進捗率は掲載していません。今後の四半期進捗率は「累計実績 ÷ 通期会社予想」の単純な進捗率です。三菱電機は、社会インフラ、防衛・宇宙、ビルシステムなど検収・工事進行の影響を受ける事業を含むため、四半期ごとの利益が均等に計上されるとは限りません。特に大型案件の検収時期と年度末の案件集中を確認する必要があります。

会社予想の為替前提は、米ドル150円、ユーロ175円、人民元21.5円です。実勢レートとの差が広がる場合、売上・利益の進捗率だけでなく為替影響も分けて評価すべきです。

直近5年業績サマリー

単位:百万円、EPS・BPSは円、PER・PBRは倍。IFRSのため「経常損益」には税引前当期純利益を記載。EPS・BPS・PER・PBRは、2026年3月期末の発行済株式総数から自己株式を控除した2,046,435,776株を共通分母として再計算。BPSは親会社株主帰属持分を使用。過去5期のPER・PBRはユーザー提供の各期末最終取引日終値を使用。2027年3月期予想PERは2026年7月17日終値5,370円を使用。
業績項目 2022/3
実績
2023/3
実績
2024/3
実績
2025/3
実績
2026/3
実績
2027/3
会社予想
売上高 4,476,758 5,003,694 +526,936
+11.8%
5,257,914 +254,220
+5.1%
5,521,711 +263,797
+5.0%
5,894,747 +373,036
+6.8%
6,200,000 +305,253
+5.2%
営業損益 252,051 262,352 +10,301
+4.1%
328,525 +66,173
+25.2%
391,850 +63,325
+19.3%
433,095 +41,245
+10.5%
590,000 調整後営業利益
経常損益
(税引前利益)
279,693 292,179 +12,486
+4.5%
365,853 +73,674
+25.2%
437,265 +71,412
+19.5%
526,077 +88,812
+20.3%
640,000 +113,923
+21.7%
当期純利益 203,482 213,908 +10,426
+5.1%
284,949 +71,041
+33.2%
324,084 +39,135
+13.7%
407,758 +83,674
+25.8%
475,000 +67,242
+16.5%
EPS 99.43円 104.53円 +5.09円
+5.1%
139.24円 +34.71円
+33.2%
158.37円 +19.12円
+13.7%
199.25円 +40.89円
+25.8%
232.11円 +32.86円
+16.5%
PER 14.18倍 15.10倍 18.04倍 17.18倍 25.03倍 23.14倍
PBR 0.97倍 1.00倍 1.37倍 1.41倍 2.28倍
BPS 1,454.21円 1,582.77円 +128.56円
+8.8%
1,827.24円 +244.47円
+15.4%
1,930.03円 +102.79円
+5.6%
2,191.26円 +261.23円
+13.5%
純資産 3,097,397 3,363,224 +265,827
+8.6%
3,866,418 +503,194
+15.0%
4,076,366 +209,948
+5.4%
4,629,993 +553,627
+13.6%
営業CF 282,371 166,711 -115,660
-41.0%
415,479 +248,768
+149.2%
455,905 +40,426
+9.7%
575,993 +120,088
+26.3%
投資CF -114,867 -148,533 -33,666
-29.3%
-94,119 +54,414
+36.6%
-191,750 -97,631
-103.7%
-344,407 -152,657
-79.6%
財務CF -241,319 -119,568 +121,751
+50.5%
-240,118 -120,550
-100.8%
-265,333 -25,215
-10.5%
-304,817 -39,484
-14.9%
現金及び現金同等物 727,179 645,870 -81,309
-11.2%
765,384 +119,514
+18.5%
757,331 -8,053
-1.1%
731,609 -25,722
-3.4%

中期経営計画

新中期経営戦略|2030年度に向けた収益力と資本効率の向上

三菱電機は2026年5月29日に、2030年度を目標年度とする新中期経営戦略を公表した。「収益性」「資本効率」「成長性」を追求し、機器・コンポーネント、保守サービス、ソリューションを組み合わせた事業構造へ移行する。

2030年度 調整後営業利益率 12%以上
2030年度 ROE 12%
2025年度から2030年度 売上CAGR 3から5%
2026年度から2030年度 キャッシュ創出 4.6兆円
2027年3月期会社予想

2027年3月期は売上高6兆2,000億円、調整後営業利益5,900億円、調整後営業利益率9.5%、税引前利益6,400億円、親会社株主帰属利益4,750億円を計画する。

調整後営業利益は、営業利益から事業・資産売却損益、減損損失などのその他損益を控除した経営管理指標である。2026年3月期の調整後営業利益は5,012億円、利益率は8.5%だった。

事業ポートフォリオ

強化事業は2030年度に売上高成長率9%、調整後営業利益率15%を目標とする。成長投資を重点配分し、低収益事業では構造改革、提携、売却を含む選択を進める。

ソリューション事業は、2025年度売上高約0.4兆円から2030年度に約1.0兆円へ拡大し、調整後営業利益率を7%から15%へ引き上げる方針である。

コンポーネント及び保守・サービス事業は、売上高を2.6兆円から3.5兆円へ拡大し、調整後営業利益率を12%から15%へ高める目標を掲げる。

FA、電力、ビル、空調、半導体などの機器データをソフトウェアやサービスへ接続し、納入時の一括収益だけでなく、運用期間中の継続収益を増やす。

成長投資と株主還元

2026年度から2030年度までのキャッシュ創出額4.6兆円を、研究開発、設備投資、M&A、株主還元へ配分する。投資案件は成長率だけでなく、ROICや資本コストを基準に評価する。

株主還元は総還元性向60%以上を基本とし、調整後DOE3%程度を目安とする安定配当と、資本状況に応じた自己株式取得を組み合わせる。

デジタル・AI変革を担うDX・AX人材は2030年度に2万人を目標とする。人材、データ、ソフトウェアを既存機器へ組み込み、製品単体から課題解決型の収益構造へ移行する。

事業別の確認点

インフラではデータセンター、防衛・宇宙、送配電投資を成長源とする。インダストリー・モビリティではFA需要の取り込みと自動車機器の構造改革を進める。

ライフでは昇降機保守、空調の高効率化、ビル設備統合を強化する。デジタルイノベーションでは製造DXとOTセキュリティ、半導体・デバイスではSiCと光通信デバイスへ投資する。

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競合他社

① Siemens AG(XETR:SIE)

時価総額 約37.5兆円
株価 261.70ユーロ
株価基準日 2026年7月17日

Siemensは、Digital Industries、Smart Infrastructure、Mobilityを中核とする世界最大級の産業技術企業である。FA、受配電、鉄道、ビル、データセンター、産業ソフトウェアで三菱電機と広く競合する。

FAではSIMATICのPLC、SINAMICSのドライブ、サーボ、産業用コンピューター、モーション制御を展開する。三菱電機のMELSEC、MELSERVO、FREQROL、CNC、ロボットと直接競合する。

Siemensは機器だけでなく、設計、シミュレーション、製造実行、デジタルツイン、クラウド型IoTまでを統合する。産業ソフトウェアの規模は三菱電機に対する大きな優位性となる。

Smart Infrastructureでは、受配電、ビル管理、データセンター、設備エネルギー管理を提供する。三菱電機の電力設備、ビルシステム、空調、設備監視と競合する。

Mobilityでは、鉄道車両、信号、列車制御、鉄道デジタルサービスを展開する。鉄道システムの大型国際案件では、三菱電機の車両電機品や列車制御と競争する。

業績サマリ

2026年度第2四半期の受注高は241億ユーロで比較可能ベース前年同期比18%増、売上高は198億ユーロで6%増となった。

産業事業利益は約30億ユーロ、利益率は15.4%、純利益は約22億ユーロ。Digital Industriesの利益率は18.5%、Smart Infrastructureは18.6%だった。

三菱電機は、FA、電力、鉄道、昇降機、空調、半導体を一社で保有する点と、国内・アジアの既設設備、保守網で差別化する。

② ABB Ltd(SIX:ABBN)

時価総額 約29.2兆円
株価 79.20スイスフラン
株価基準日 2026年7月17日

ABBは、エレクトリフィケーション、モーション、プロセスオートメーションを展開する世界的大手である。受配電、モーター、インバーター、制御、ビル、データセンター電源で三菱電機と競合する。

モーション分野では、高圧・低圧モーター、産業用ドライブ、PLCを組み合わせる。三菱電機のFREQROL、モーター、MELSEC、MELSERVOと競合する。

エレクトリフィケーションでは、遮断器、開閉装置、配電盤、電力品質設備、データセンター向け配電を提供する。三菱電機の受配電、UPS、ビル設備と重複する。

プロセスオートメーションは、化学、鉱業、石油・ガス、紙パルプ、水処理、船舶などに強い。海外大型プラントにおける製品範囲と保守網が競争力となる。

ABBは世界規模の販売・サービス網を持ち、複数国へ展開する顧客へ共通仕様を提供できる。三菱電機は日本・アジアのFA顧客、鉄道、ビル、空調との統合で対抗する。

業績サマリ

2026年第2四半期の受注高は約120.4億米ドルで比較可能ベース28%増、売上高は約94.8億米ドルで14%増となった。

オペレーショナルEBITAは約19.3億米ドルで20%増、同マージンは20.2%、純利益は約12.3億米ドルだった。

高い利益率とグローバル受注基盤は、三菱電機が2030年度に調整後営業利益率12%以上を目指す際の比較対象となる。

③ Schneider Electric SE(EURONEXT:SU)

時価総額 約27.9兆円
株価 262.45ユーロ
株価基準日 2026年7月17日

Schneider Electricは、エネルギーマネジメントと産業オートメーションを中核とする。配電、UPS、データセンター、PLC、インバーター、ビル管理、産業ソフトウェアで三菱電機と競合する。

データセンター向けでは、UPS、配電盤、ラック、冷却、設備監視を一体で提供する。三菱電機のUPS、受配電、空調、ビル管理と正面から競合する。

産業オートメーションでは、Modicon PLC、Altivarドライブ、HMI、モーション制御を展開する。MELSEC、FREQROL、MELSERVOとの製品競争が発生する。

EcoStruxureとAVEVAを通じ、設備データ、設計、製造実行、エネルギー管理を統合する。産業ソフトウェアと継続課金型収益では三菱電機より大きな事業基盤を持つ。

ビル分野では、配電、ビル管理、空調制御、セキュリティを統合する。三菱電機は昇降機と空調機器を自社で持つ点が差別化要因となる。

業績サマリ

2025年12月期の売上高は約401.5億ユーロ、調整後EBITAは約75.2億ユーロ、同マージンは18.7%、純利益は約41.6億ユーロだった。

2026年第1四半期の売上高は約97.7億ユーロで、オーガニック成長率は11.2%。エネルギーマネジメントは12.8%増、産業オートメーションは4.4%増となった。

AI・クラウド向けデータセンター投資が続く局面では、電源、配電、冷却、設備監視の統合提案力が三菱電機との競争を左右する。

出典

本ページは公開情報を基に作成した企業分析であり、特定の有価証券の売買を推奨または勧誘するものではありません。業績予想、株価、時価総額、為替、投資指標、製品構成、中期目標は変動または変更される可能性があります。投資判断は最新の開示資料を確認したうえで、自身の責任で行ってください。

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