ユニチカ 3103 東証スタンダード
1889年創業の老舗化学・繊維企業 ─ REVIC支援下の事業再生計画で「溶かして押し出す」高分子コア技術に集中
事業内容
ユニチカは1889年(明治22年)創業の老舗化学・繊維企業。紡績会社として創業後、「溶かして押し出す」を源流とする繊維由来の高分子コア技術を軸に、フィルム・樹脂・ガラス繊維などの高分子・機能資材事業へ事業領域を拡大してきた。2024年11月28日に株式会社地域経済活性化支援機構(REVIC)に事業再生計画を提出して再生支援決定を受け、繊維事業からの撤退を含む大規模構造改革を進行中。2025年4月30日にはREVICからの第三者割当による種類株式発行(約200億円)と減資(資本金1億円)を実行し、議決権の2/3超をREVICが保有する体制に。
主要事業セグメント(3セグメント)
① 高分子事業(中核事業)
フィルム・樹脂の製造・販売。食品包装用ガスバリアフィルム「エンブレムHG」、電子部材向け「ユニピール」「ユニアミド」などが主力製品。電子材料分野の需要が引き続き高く、堅調に推移。「溶かして押し出す」技術の本流事業。
② 機能資材事業(中核事業)
ガラス繊維、不織布などの製造・販売。世界最薄級ガラスクロス、PFAS対応ACF(異方性導電フィルム)など、半導体・電子機器・環境関連向けの高機能素材を展開。次世代成長領域として注力。
③ 繊維事業(撤退対象)
各種繊維製品の製造・販売。事業再生計画にもとづき撤退方針が決定。子会社ユニチカテキスタイル㈱、大阪染工㈱、P.T.EMBLEM ASIA、P.T.UNITEX等の繊維関連子会社は債務超過状態にあり、構造改革対象。
主力製品の特徴
エンブレムHG
食品包装用ガスバリアフィルム。食品の長期保存性を高める高機能フィルムで、ナイロンフィルム分野での主力製品。
ユニピール/ユニアミド
電子部材向けポリエステル樹脂・ポリアミド樹脂。半導体製造や電子機器分野で需要が拡大している高付加価値製品。
世界最薄級ガラスクロス
機能資材事業の主力製品。電子機器のさらなる薄型化・高密度化に貢献する世界トップクラスの薄物ガラスクロス。
PFAS対応ACF
異方性導電フィルム。PFAS規制対応の次世代環境配慮型製品として注力。電子部品の接続材料分野で展開。
直近3年の業績サマリー
2026年3月期は売上1,185.63億円(前期比△6.2%)、営業利益105.49億円(+80.3%)、経常利益103.92億円(+121.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益181.53億円(前期△242.83億円から黒字転換)と、事業再生計画の効果が大きく顕在化。一方、2027年3月期予想は売上840億円(△29.2%)、営業利益80億円(△24.2%)、経常65億円(△37.5%)、純利益50億円(△72.5%)と、繊維事業撤退の影響で減収減益見通し。
| 項目(連結・百万円) | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 2026年3月期 会社予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 114,713 | 117,942 +2.8% |
118,341 +0.3% |
126,411 +6.8% |
118,563 △6.2% |
110,000 |
| 営業損益 | 6,005 | 1,327 △77.9% |
△2,475 赤字転落 |
5,851 黒字転換 |
10,549 +80.3% |
9,500 |
| 経常損益 | 6,399 | 1,069 △83.3% |
△1,014 赤字転落 |
4,693 黒字転換 |
10,392 +121.4% |
9,000 |
| 当期純損益 | 2,223 | 102 △95.4% |
△5,443 赤字転落 |
△24,283 赤字拡大 |
18,153 黒字転換 |
20,000 |
| EPS(一株利益) | 33.32円 | △3.13円 | △94.41円 | △421.18円 | 310.33円 | 342.35円 |
| 決算発表時株価 (参考) |
271円 | 232円 | 219円 | 151円 | 1,815円 | ― |
| 実績PER | 8.13倍 | -74.12倍 | -2.32倍 | -0.36倍 | 5.85倍 | ― |
| 予想PER | ― | ― | ― | ― | ― | 5.30倍 |
| PBR | 0.89倍 | 0.70倍 | 0.90倍 | -1.22倍 | 3.12倍 | ― |
| PSR | 0.14倍 | 0.11倍 | 0.11倍 | 0.07倍 | 0.88倍 | ― |
本ページに掲載している業績数値は、各社が公表する決算短信を一次情報として作成しています。 数値は決算短信発表時点のものであり、将来的に修正される可能性があります。 業績予想は会社発表時点のものであり、実績と異なる場合があります。 PER・PBR・PSRは決算発表日の終値で算出した参考値です。 正確な情報は各社公式IRサイトを必ずご確認ください。
業績のポイント
2026年3月期は事業再生計画にもとづく構造改革が進展。高分子事業の電子材料分野が好調で、収益性が大幅改善。事業再生関連の特別損失計上を吸収して純利益181.53億円の黒字に転換。2025年4月30日にREVIC(地域経済活性化支援機構)から第三者割当C種種類株式発行で約200億円の資金調達、A種・B種種類株式の無償取得消却、資本金1億円への減資を実行。総議決権の2/3超をREVICが保有する体制となり、再生プロセスを加速。2027年3月期は繊維事業撤退の影響で売上840億円(△29.2%)、純利益50億円(△72.5%)と減収減益見通しだが、ローコスト運営体制の確立と高分子・機能資材での付加価値製品販売拡大を進める方針。普通株式は無配継続、C種種類株式は1株2.27円の配当予定。
中期経営計画・事業再生計画
事業再生計画(2024年11月28日提出)
2024年11月28日に株式会社地域経済活性化支援機構(REVIC)に事業再生計画を提出し、同日REVICより再生支援決定の通知。繊維事業からの撤退をはじめとした大規模な構造改革を伴う内容で、株主・金融機関・取引先を含むステークホルダーが多大な負担を伴う。藤井実社長は、繊維に端を発する「溶かして押し出す」コア技術を“DNA”と位置づけ、フィルム・樹脂・ガラス繊維へ通底する強みとして磨き直すと宣言。
2025年4月30日の資本増強・資本構成変更
- 従来発行のA種種類株式・B種種類株式の無償取得・消却
- 新たにC種種類株式を発行、REVICに全数割当
- REVICから出資金約200億円の払い込み
- 資本金・資本準備金を増加させた後、減資を実行して資本金1億円に
- C種種類株式に議決権付与、REVICが総議決権の2/3超を保有
事業再生計画の使途
- 不採算事業撤退に伴う資金:140億円
- 建物解体等のための資金:60億円
- 合計:構造改革資金200億円
2027年3月期は事業再生計画の2年目
- ローコスト運営体制の確立
- 高分子・機能資材で付加価値製品の販売拡大
- 設備投資・新製品開発の推進
- 売上840億円(-29.2%)、利益は増益幅が縮小する見立て
長期方針
- 「溶かして押し出す」コア技術を軸とした選択と集中
- 食品包装用フィルム・電子材料・機能資材を成長3本柱に
- 撤退部門の譲渡と継続事業の収益回復を両輪に
強みと注目点
① 「溶かして押し出す」高分子コア技術
繊維紡績会社として1889年に創業した同社は、繊維由来の高分子コア技術を「DNA」として保持。エンブレムHG(食品包装用ガスバリアフィルム)、ユニピール・ユニアミド(電子部材向け)、世界最薄級ガラスクロス、PFAS対応ACFなど、生活と産業を下支えする素材分野で独自ポジション。
② 電子材料分野の堅調な需要
2026年3月期は高分子事業セグメントで電子材料分野の需要が引き続き高く堅調推移。ユニピール・ユニアミドなどの電子部材向け樹脂、世界最薄級ガラスクロス、PFAS対応ACFといった半導体・電子機器関連の高機能製品が業績を牽引。
③ REVIC支援による再生プロセス
地域経済活性化支援機構という公的機関の再生支援を受け、200億円の資金調達と資本構成見直しを完了。REVICが議決権2/3超を保有することで、事業再生に必要な意思決定が迅速に進められる体制を構築。
④ 2026年3月期の純利益181.53億円の黒字転換
2025年3月期に固定資産減損損失379億円を計上して純損失242.83億円となった反動からの黒字転換ではなく、特別損失148.84億円を吸収しての黒字転換。事業構造改革の効果が確実に現れた決算となった。経常利益103.92億円は前期比+121.4%増(2.2倍)。
⑤ 老舗ブランドと顧客基盤
1889年創業の137年の歴史を持つ老舗企業。本社大阪市北区中之島で関西を代表する化学・繊維企業として、長年蓄積した顧客基盤・技術基盤・ブランド力を保持。事業再生計画下でも継続事業(高分子・機能資材)の収益基盤は安定。
弱み・リスク要因
① 普通株式の無配継続
当事業年度の普通株式および種類株式の配当は無配。今後の配当は収益状況・財務体質改善・内部留保充実を勘案して決定する方針だが、しばらく無配継続が予想される。C種種類株式(REVIC保有)には1株2.27円の配当が予定されており、普通株主との配当格差が存在。
② REVICが議決権の2/3超を保有
2025年4月30日のC種種類株式発行により、REVIC(地域経済活性化支援機構)が総議決権の2/3超を保有。実質的にREVIC主導の経営となっており、既存普通株主のガバナンス影響力が大幅に低下。今後の事業計画・株主還元・M&A等の重要決議はREVICの意向次第。
③ 2027年3月期の減収減益見通し
事業再生計画にもとづく繊維事業からの撤退が本格化し、2027年3月期は売上840億円(-29.2%減)、営業利益80億円(-24.2%減)、経常利益65億円(-37.5%減)、純利益50億円(-72.5%減)と大幅減収減益見通し。構造改革の痛みを伴うフェーズ。
④ 主要連結子会社の債務超過
2025年6月時点で主要連結子会社のうち、ユニチカテキスタイル㈱(39.53億円)、大阪染工㈱(24.68億円)、P.T.EMBLEM ASIA(65.39億円)、P.T.UNITEX(55.55億円)が債務超過状態。繊維関連子会社の整理がリスク要因。
⑤ 石油化学原燃料価格・為替変動リスク
高分子事業・合成繊維事業の取扱製品は主としてナフサから精製される化学原料を加工。石化原燃料の購入価格変動を製品価格に転嫁できない場合、業績悪化リスク。さらに海外子会社(インドネシア等)保有による為替リスク、海外売上比率の影響も大きい。
⑥ 株主資本の毀損
2025年3月期に固定資産減損損失379億円計上、2026年3月期にも特別損失148.84億円計上と、過去2期で連続して大規模特別損失を計上。会社の収益力に対する累積損失が大きく、財務体質回復は道半ば。
会社概要
| 社名 | ユニチカ株式会社(UNITIKA LTD.) |
|---|---|
| 創業 | 1889年(明治22年) |
| 代表取締役社長 | 藤井 実 |
| 本社所在地 | 大阪府大阪市北区中之島 |
| 資本金 | 1億円(2025年4月30日減資後) |
| 事業内容 | 高分子事業(フィルム・樹脂)、機能資材事業(ガラス繊維・不織布)、繊維事業(撤退方針) |
| 上場市場 | 東証スタンダード |
| 決算月 | 3月 |
| 業種 | 繊維製品 |
| 主要連結子会社 | ユニチカトレーディング㈱(連結売上高10%超)、ユニチカテキスタイル㈱、大阪染工㈱、P.T.EMBLEM ASIA、P.T.UNITEX等 |
| 主要株主 | 株式会社地域経済活性化支援機構(REVIC、議決権2/3超保有) |
| 比較銘柄 | 東レ、帝人、富士紡HD |
沿革 ─ 創業からの歩み
- 1889年紡績会社として創業
- 高度成長期合成繊維・化学事業へ展開、ナイロン・ポリエステル製品で日本の繊維産業を牽引
- 2024年3月期売上1,184億円、営業損失25億円、経常損失10.14億円、純損失54億円
- 2024年11月28日REVICに事業再生計画を提出、再生支援決定の通知受領
- 2025年3月期売上1,264億円、営業利益59億円、経常利益46.93億円、固定資産減損損失379億円により純損失242.83億円計上
- 2025年2月7日臨時株主総会で資本構成変更・減資について承認決議
- 2025年4月30日第三者割当によるC種種類株式発行(REVIC割当)で約200億円調達、A種・B種種類株式の無償取得消却、資本金を1億円に減資、REVICが議決権2/3超を保有
- 2026年2月6日2026年3月期3Q決算発表、通期業績予想を上方修正(経常利益60→90億円、+50.0%上方修正)
- 2026年5月14日2026年3月期通期決算発表:売上1,185.63億円・営業利益105.49億円・経常利益103.92億円・純利益181.53億円と黒字転換、自己資本比率35.7%まで改善
- 2026年5月22日株価ストップ高、過去最高益更新と再生プロセス順調を好感
- ユニチカ株式会社 公式サイト
- ユニチカ株式会社「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年5月14日開示)
- ユニチカ株式会社「2025年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」(2025年5月14日開示)
- ユニチカ株式会社「2026年3月期 第3四半期 決算短信」(2026年2月6日開示)
- ユニチカ株式会社「事業再生計画」(2024年11月28日REVIC提出)
- ユニチカ株式会社「第三者割当によるC種種類株式の発行に関するお知らせ」(2025年4月30日)
- 株探ニュース「ユニチカ【3103】、今期経常は37%減益へ」(2026年5月14日)
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