5967 TONE

TONE 5967 東証S

TONE CO., LTD.|作業工具、トルク管理機器、ボルト締結機器を開発・製造・販売する総合工具メーカー。シヤーレンチ、建方1番、ナットランナー、トルクレンチなど、建築・橋梁・産業設備の締結作業に強みを持つ。

※2026年7月1日時点の情報

事業内容

2026年7月1日の時価総額は約116億円。同日の株価終値496円と、2026年5月31日現在の発行済株式数23,426,000株を用いて算出した。2026年5月期利益予想と配当予想の上方修正を受け、同日は前日比80円高のストップ高水準で取引を終えた。

TONEは1938年8月6日設立。本社は東京都荒川区東日暮里四丁目7番5号、本店所在地は大阪府河内長野市寿町6番25号。代表取締役社長執行役員は矢野大司郎氏。決算期は5月、上場市場は東京証券取引所スタンダード市場である。事業内容は、作業工具、トルク管理機器、ボルト締結機器の開発・製造・販売で、2025年5月31日現在の連結従業員数は160名。

2026年5月期第3四半期累計は、売上高5,204百万円、営業利益723百万円、経常利益810百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益610百万円。売上高は前年同期比0.5%減だったが、営業利益は同28.5%増となった。2026年6月30日に公表された通期予想の上方修正では、売上高7,859百万円、営業利益1,363百万円、経常利益1,473百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,089百万円を見込む。

ボルティング・ソリューション事業全体

連結売上高は2021年5月期6,120百万円から2025年5月期7,591百万円へ増加した。2024年5月期に大きく伸長した後、2025年5月期は横ばいに近い増収となり、営業利益率は2021年5月期18.7%から2025年5月期13.2%へ低下した。
連結売上高推移(単位:百万円)
6,120 6,446 6,800 7,578 7,591 2021 2022 2023 2024 2025

TONEは、プロ向け作業工具を起点に、トルク管理機器、ボルト締結機器へ製品領域を広げてきた。会社概要では「締結」に関する課題解決を通じて価値を提供する企業として位置付けられており、単なる工具販売ではなく、ボルト締結作業そのものを効率化・品質管理するソリューション色が強い。

主力領域は、ソケットレンチ、スパナ、めがねレンチ、ドライバー類、ビット類、モンキレンチ、プライヤ類などの作業工具と、トルクレンチ、電動ツール、パワーデジトルク、ナットランナー、建方1番、シヤーレンチなどの機器類である。製品は建築、橋梁、プラント、自動車、一般産業、輸送、通信、航空・宇宙などの現場で使われる。

事業特性として、作業工具類はブランド、販路、新製品、セール企画、モータースポーツを通じた認知向上が売上を支える。一方、機器類は建築・橋梁市場の需要、インフラ投資、鉄骨建築、物流倉庫、工場建設、特殊品対応、トルク管理の高度化に左右される。

2026年5月期は、売上高こそ前回予想を下回る見通しとなったが、高付加価値製品群の販売強化、生産効率化、全社的なコスト削減により、利益予想を上方修正した。売上数量の拡大だけでなく、製品ミックスと採算管理が業績の焦点となる。

国内セグメント

国内売上高は2021年5月期4,835百万円から2024年5月期6,097百万円へ拡大し、2025年5月期は6,064百万円。国内は連結売上高の約8割を占め、作業工具類と建築・橋梁向け機器類の双方が収益基盤となっている。
国内セグメント売上高推移(単位:百万円)
4,835 5,059 5,250 6,098 6,065 2021 2022 2023 2024 2025

国内セグメントは、作業工具類と機器類を国内市場に販売するセグメントである。一般産業、自動車整備、建築、橋梁、プラント、通信、輸送など、現場用途が広い。

2025年5月期は、作業工具類について、顧客要望を捉えたセール企画、需要発掘のための展示会出展、モータースポーツ支援を通じたブランディング活動によりTONEブランド浸透を図った。一方で、物価高や先行き不透明感による購買活動の鈍化が売上の重しとなった。

機器類では、主力製品のシヤーレンチ、建方1番が建築・橋梁市場で高い認知を持つ。ただし、資材高騰、人材不足、建設需要の低迷が影響しやすい。国内セグメントの2025年5月期売上高は6,064百万円、セグメント利益は532百万円で、2024年5月期から利益が低下した。

国内での課題は、既存の作業工具販売だけではなく、現場の省力化、締付精度、品質管理、作業時間短縮に踏み込む提案力である。建設・インフラ投資が回復する局面では、シヤーレンチ、建方1番、ナットランナー、トルク管理機器が採算改善のけん引役となる。

海外セグメント

海外売上高は2021年5月期1,285百万円から2025年5月期1,527百万円へ増加した。2025年5月期は国内が減益だった一方、海外セグメント利益は469百万円となり、利益率は高水準を維持した。
海外セグメント売上高推移(単位:百万円)
1,285 1,387 1,551 1,481 1,527 2021 2022 2023 2024 2025

海外セグメントは、作業工具類、トルクレンチ、新製品、シヤーレンチ、ナットランナー、トルク管理機器を海外市場に販売する。TONE公式の事業領域では、アジア、北中南米、ヨーロッパなど、世界のプロフェッショナルに製品が使われていると説明されている。

2026年5月期第3四半期累計では、海外の作業工具類は東アジアでの景気後退の影響を受けた。一方、機器類は北米の建設需要が堅調で、シヤーレンチ、ナットランナー、トルク管理機器の提案販売により売上高が前年同期を上回った。

海外の強みは、ボルト締結という用途が国や業種を問わず存在することである。大型建築、橋梁、工場、物流倉庫、プラント、輸送インフラでは、締付作業の精度と安全性が不可欠であり、TONEの機器類は省力化と品質安定に結びつく。

リスクは地域ごとの景気変動と地政学リスクである。欧州、中国、東アジアの景気鈍化、米国関税政策、紛争、為替、物流費は海外販売に影響する。北米の建設需要が継続するか、海外セグメントの利益率を維持できるかが確認点となる。

作業工具・特注工具・サポート体制

営業利益率は2021年5月期18.7%、2022年5月期15.3%、2023年5月期18.0%、2024年5月期14.8%、2025年5月期13.2%で推移した。高付加価値製品群の比率、生産効率化、コスト削減が利益率回復の重要な要素となる。
連結営業利益率推移(単位:%)
18.7 15.3 18.0 14.8 13.2 2021 2022 2023 2024 2025

TONEの作業工具は、ソケットレンチセット、ソケット、アダプター、ハンドル、T形レンチ、L形レンチ、スパナ、めがねレンチ、ドライバー、ビット、モンキレンチ、パイプレンチ、プライヤ、ハンマーなど幅広い。自動車整備、設備保全、製造現場、建設現場で使われる基礎的な工具群である。

特注工具では、既製品では作業できない現場、限られた作業に特化した効率化、手持ち工具に合わせた専用トレー製作など、顧客ごとの作業条件に対応する。公式サイトでは、カスタムオーダー工具・特注仕様工具の製作を掲げている。ただし、作業工具類の新規依頼は当面停止と明記されているため、受注体制の制約は確認が必要である。

サポート面では、修理センター、修理・校正受付、取扱説明書、移動展示・PRカー、トルクの自動換算、技術資料などを用意している。トルク管理機器は販売後の校正・修理が重要であり、サポート体制は顧客の継続利用につながる。

利益率の回復には、単価の高い機器類やトルク管理機器、特殊品・提案型販売の拡大が重要である。2026年5月期の上方修正は、売上高の未達見通しを利益面で補っており、採算重視の販売と生産効率化が業績に表れた局面といえる。

直近5年業績サマリー

項目(連結・百万円) 2021年5月期 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期 2026年5月期
会社予想
売上高 6,120 6,446
+326 / +5.3%
6,800
+354 / +5.5%
7,578
+778 / +11.4%
7,591
+13 / +0.2%
7,859
+268 / +3.5%
営業損益 1,146 985
△161 / △14.0%
1,222
+237 / +24.1%
1,124
△98 / △8.0%
1,002
△122 / △10.9%
1,363
+361 / +36.0%
経常損益 1,194 1,086
△108 / △9.0%
1,266
+180 / +16.6%
1,254
△12 / △0.9%
1,091
△163 / △13.0%
1,473
+382 / +35.0%
当期純利益 841 692
△149 / △17.7%
866
+174 / +25.1%
942
+76 / +8.8%
787
△155 / △16.5%
1,089
+302 / +38.4%
EPS 37.09円 30.52円
△6.57 / △17.7%
38.19円
+7.67 / +25.1%
41.54円
+3.35 / +8.8%
34.71円
△6.84 / △16.5%
48.03円
+13.32 / +38.4%
PER 8.41倍 15.47倍 14.13倍 12.23倍 13.11倍 9.47倍
PBR 0.88倍 1.26倍 1.26倍 1.08倍 0.91倍
BPS 354.66円 375.48円 428.93円 470.56円 498.25円
純資産 8,042 8,514
+472 / +5.9%
9,726
+1,212 / +14.2%
10,670
+944 / +9.7%
11,298
+628 / +5.9%
営業CF 1,050 770
△280 / △26.7%
382
△388 / △50.4%
△760
赤字転落
629
黒字転換
投資CF △49 △1,345
△1,296 / 支出増
△238
+1,107 / 支出減
△549
△311 / 支出増
△352
+197 / 支出減
財務CF 471 △112
赤字転落
△13
+99 / 支出減
1,700
黒字転換
△607
赤字転落
現金及び現金同等物 2,374 1,698
△676 / △28.5%
1,839
+141 / +8.3%
2,248
+409 / +22.2%
1,913
△335 / △14.9%
EPS、BPS、PER、PBRは、2026年5月期第3四半期末の自己株式控除後株式数22,675,222株を用いて再計算した。PER、PBRの算定に用いた期末株価は、ユーザー提供の2022年5月末312円、2023年5月末472円、2024年5月末539.5円、2025年5月末508円、2026年5月末455円。2026年5月期会社予想は、2026年6月30日に公表された上方修正後の通期連結業績予想を掲載している。

中期経営計画

独立した中期経営計画は未確認|ボルティング・ソリューションと高付加価値製品を軸に展開

2026年7月1日時点で、売上高、営業利益、ROE、投資額などを複数年度で体系的に示した独立した中期経営計画資料は、公式IRサイト上では確認できない。代替として、会社が掲げるボルティング・ソリューション・カンパニーとしての方針、毎期の業績予想、2026年5月期の上方修正内容を確認する。

2026年5月期予想売上高 7,859百万円
2026年5月期予想営業利益 1,363百万円
2026年5月期予想純利益 1,089百万円
2026年5月期予想配当 13.00円

経営方針の中心は、ボルト締結分野で顧客が求める価値を捉え、スピード感と一体感のある製品開発体制を基軸に、ボルト締結に最適な手段を提供することである。

事業戦略では、作業工具のブランド浸透に加え、シヤーレンチ、建方1番、ナットランナー、トルク管理機器などの高付加価値製品群を伸ばすことが重要となる。建築・橋梁、プラント、一般産業、自動車整備、輸送、通信などの現場では、省力化、締付精度、作業標準化、安全性が投資テーマとなる。

2026年5月期の上方修正では、売上高は前回予想を下回る一方、営業利益、経常利益、純利益は上振れ見込みとなった。理由として、高付加価値製品群の販売強化、生産効率化、全社的なコスト削減が挙げられている。中期的には、売上拡大だけではなく、製品ミックスの改善と利益率維持が評価軸となる。

競合他社

1. マキタ(6586)

株価:5,690円
時価総額:約1.62兆円
主な競合領域:充電式インパクトレンチ、インパクトドライバ、電動工具、エア工具、建設・設備作業向け工具

マキタは電動工具・園芸用機器・エア工具・清掃用機器を世界展開する総合電動工具メーカーである。2026年3月期は売上収益7,776億円、営業利益1,047.05億円。TONEとは企業規模が大きく異なるが、建設現場、設備工事、自動車整備、産業メンテナンス向けの締付・締結作業で競合する。

競合の中心は、充電式インパクトレンチなどの高トルク工具である。マキタは電動工具全般のブランド力、電池プラットフォーム、販売網を持ち、現場作業のコードレス化・省力化ニーズを幅広く取り込む。TONEはシヤーレンチ、ナットランナー、トルク管理機器など、ボルト締結に特化した専門性で差別化する必要がある。

2. KTC(京都機械工具・5966)

株価:2,550円
時価総額:約63億円
主な競合領域:ラチェットハンドル、ソケット、レンチ、スパナ、工具セット、デジタルトルクレンチ、作業管理システム

KTCは国内の代表的な作業工具メーカーで、自動車整備市場に強い。2026年3月期は売上高83.34億円、営業利益7.53億円、経常利益8.17億円、親会社株主に帰属する当期純利益5.01億円。TONEとは、ソケット、レンチ、ラチェット、工具セット、トルクレンチなどのハンドツール領域で直接競合する。

KTCはプロメカニック向け汎用工具、自動車整備用特殊工具、省力化機器、収納機器、デジタルトルクレンチ、作業管理システムを展開する。TONEが建築・橋梁・産業設備寄りのボルト締結機器に強いのに対し、KTCは自動車整備、整備工場、作業管理ソリューション寄りで競争力を持つ。

3. ロブテックス(5969)

株価:1,210円
時価総額:約24億円
主な競合領域:作業工具、電設工具、リベッター、ナッター、ファスニング関連工具

ロブテックスは「LOBSTER/エビ印」ブランドで知られる老舗工具メーカーである。2026年3月期は売上高57.11億円、営業利益1.82億円、経常利益1.91億円、親会社株主に帰属する当期純利益1.22億円。TONEとは、レンチ、プライヤ、電設工具、現場作業工具の販売チャネルで競合する。

ロブテックスはリベッター、ナッター、ファスニング関連製品に強みを持つ。締結作業の省力化・効率化という顧客課題では、TONEのボルト締結機器と重なる。TONEはトルク管理や建築・橋梁向け電動締結機器で差別化し、ロブテックスはエビ印ブランドとファスニング工具の幅で競争する。

強みと将来性

締結領域への集中と高付加価値機器の利益改善力

TONEの強みは、ボルト締結という明確な用途に経営資源を集中している点である。一般的な作業工具だけでなく、トルク管理機器、シヤーレンチ、建方1番、ナットランナーまで展開し、締付作業の精度、省力化、安全性、品質管理に踏み込む。

ボルト締結は、建築、橋梁、プラント、一般産業、自動車、輸送、通信、航空・宇宙など幅広い現場に存在する。特に大型構造物やインフラ関連では、締付不足や締付過多が品質・安全に直結するため、工具の性能と作業管理の重要性が高い。

シヤーレンチ、建方1番、ナットランナー、トルク管理機器は、汎用ハンドツールよりも現場課題との結びつきが強い。人手不足、熟練作業者不足、工期短縮、品質保証の要求が高まるほど、省力化機器や締付管理機器の必要性は増す。

2026年5月期の上方修正は、売上高が前回予想を下回る見通しでありながら、営業利益、経常利益、純利益を上方修正した点が重要である。高付加価値製品群の販売強化、生産効率化、コスト削減が利益に結びついており、売上規模の大きさだけではない収益改善余地を示した。

将来性は、国内外のインフラ更新、物流倉庫、工場建設、北米建設需要、トルク管理の高度化にある。作業工具ブランドとしての認知を維持しながら、締結機器とトルク管理機器の構成比を高められれば、収益性の安定化が期待できる。

弱みとリスク要因

建設需要、物価高、製品ミックスに左右される収益構造

TONEの弱みは、国内市場への依存度が高いことと、建築・橋梁向け機器類が建設需要に左右されやすいことである。2025年5月期の国内売上高は6,064百万円で、連結売上高の約8割を占めた。国内の購買活動が鈍化すると、全社売上に直接影響する。

建築・橋梁市場では、資材高騰、人材不足、工期遅延、公共・民間投資のタイミングが売上変動要因となる。シヤーレンチや建方1番は競争優位性の高い製品群だが、建設需要が弱い局面では、優位性があっても販売数量が伸びにくい。

作業工具類はブランド力が重要だが、汎用工具市場ではKTC、ロブテックス、マキタ、海外ブランド、ホームセンター向け低価格品など競合が多い。価格競争に巻き込まれると、利益率低下につながる。

海外では、北米の建設需要が堅調な一方、東アジアや欧州、中国の景気停滞、地政学リスク、関税政策、為替、物流費の影響を受ける。海外セグメントは利益率が高いが、地域別需要の振れが大きい場合、全社利益の安定性を損なう。

財務面では、2025年5月期の営業キャッシュ・フローは629百万円へ黒字回復したものの、2024年5月期は△760百万円だった。棚卸資産、設備投資、借入金、自己株式取得、配当のバランス次第でキャッシュの変動が大きくなる。成長投資と株主還元を進める局面では、営業キャッシュ・フローの持続性を確認する必要がある。

出典

本ページは公開情報、会社開示資料、ユーザー提供の期末株価情報をもとに作成したものであり、特定の有価証券の売買を推奨するものではありません。業績予想、将来見通し、株価指標は作成時点の情報に基づき、実際の結果と異なる可能性があります。投資判断は一次情報を確認のうえ、自己責任で行ってください。

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