6464 ツバキ・ナカシマ

ツバキ・ナカシマ(6464)企業分析|精密ボール世界トップシェア | ストップ高安研究所

ツバキ・ナカシマ 6464 東証プライム

精密ボールのグローバルトッププレーヤー ─ ベアリング用精密ボールで世界シェア約30%、2025-2029年中期経営計画で再成長へ

※2026年5月26日時点の情報

事業内容 ─ 精密ボール・精密ローラーのグローバルトッププレーヤー

株式会社ツバキ・ナカシマは1934年創業(1936年6月設立)、奈良県に本社を置く精密ボール・精密ローラーのグローバルトップ企業。代表執行役社長CEOは松山達氏。日本、米国、イタリア、ポーランド、スロバキア、オランダ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、イギリス、中国、タイ、インド、台湾の12カ国で製造販売を行うグローバル展開企業で、国内外の連結子会社21社を擁する。グローバルでのスチールボール+セラミックボール市場におけるシェアは当社推定で約30%とトッププレーヤー。精密ボールは主にボールベアリングの重要な構成要素として、自動車や工作機械等の最終製品の品質・信頼性を支えている。セラミックボールは軽量性・強度・絶縁性・耐摩耗性・耐熱性・耐食性を活かし、風力発電機・電気自動車・5G・半導体製造装置等の成長分野で需要拡大が見込まれている。2007年にMEBO(マネジメント・エンプロイー・バイアウト)を実施した経緯を持つ。

主要事業セグメント

プレシジョン・コンポーネントビジネス(主力)

精密ボール、精密ローラー、リテーナー、シートメタル部品の製造販売を行う主力事業。精密ボールは主にボールベアリングの重要な構成要素として使用され、自動車や工作機械等の最終製品の品質・信頼性を確実なものとしている。精密ローラーは精密ボールと類似の用途に加えて、油圧ポンプ及びモーター等の非ベアリング用途にも使用される。グローバルでスチールボール+セラミックボール市場の約30%シェア(当社推定)を有するトッププレーヤー。

セラミックボール事業(成長領域)

軽量性、強度、絶縁性、耐摩耗性、耐熱性、耐食性等の優れた特性を活かし、風力発電機、電気自動車(EV)、5G技術をサポートする半導体製造装置等、環境に優しい未来を創造するために不可欠な製品として展開。脱炭素・モビリティ電動化・半導体投資拡大局面で需要拡大が期待される成長領域。中期経営計画では成長セグメントとして経営資源を集中投下する方針。

ブロア・リアルエステイトビジネス

送風機(ブロア)の製造販売と不動産事業を併営。報告セグメントとしては「ブロア・リアルエステイトビジネス」として開示されている。当連結会計年度よりリニアビジネスを非継続事業に分類したことに伴い、報告セグメントを「プレシジョン・コンポーネントビジネス」「ブロア・リアルエステイトビジネス」の2区分に変更している。

非継続事業(リニアビジネスの分類変更)

従来のリニアビジネス(ボールねじ・送風機)を非継続事業に分類。事業ポートフォリオの整理を通じた経営資源の最適化・選択と集中を進行中。本中期経営計画期間においても、グローバルフットプリントの見直しや生産拠点の再編、生産アロケーション最適化を主軸にコスト競争力の強化を図る方針。

グローバル12カ国の製造拠点ネットワーク

日本、米国、イタリア、ポーランド、スロバキア、オランダ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、イギリス、中国、タイ、インド、台湾の計12カ国で製造販売を行うグローバル製造ネットワーク。グローバルフットプリントを生かした生産アロケーションの見直し、「地産地消」にこだわらないグローバルでの最適生産を推進中。

直近5年の業績サマリー

2025年12月期は売上高698億3,700万円(前年度比△8.0%)と4期連続の減収。営業損益は前期8.14億円から△223.36億円と大幅な赤字に転落し、当期純損益も9.12億円から△272.14億円と巨額の赤字計上となった。EPSも前期22.91円→△702.80円と大幅悪化。競争環境激化や市場低迷により収益性が大きく低下し、収益目標未達が続く厳しい局面にある。一方、2026年12月期会社予想は売上高700億円・営業利益25億円・親会社株主に帰属する当期純利益5億円・EPS13.07円と、本格的な業績回復を計画。2025年12月期決算発表時株価314円に対する予想PERは24.02倍となる。2025年2月に新中期経営計画(FY25-29、5か年)を策定し、新経営陣のもと事業・コスト構造の大幅な変革を実行中。

項目(連結・百万円) 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期 2026年12月期
会社予想
売上高 67,926 79,036
+16.4%
80,337
+1.6%
75,921
△5.5%
69,837
△8.0%
70,000
営業損益 5,816 △9,065
赤字転落
853
黒字転換
814
△4.6%
△22,336
赤字転落
2,500
当期純損益 3,554 △9,089
赤字転落
△1,287
赤字縮小
912
黒字転換
△27,214
赤字転落
500
EPS(一株利益) 88.04円 △225.35円 △32.38円 22.91円 △702.80円 13.07円
決算発表時株価
(参考)
1,379円 969円 750円 456円 314円
実績PER 15.66倍 -4.30倍 -23.16倍 19.90倍 -0.45倍
予想PER 24.02倍
PBR 1.05倍 0.77倍 0.55倍 0.30倍 0.32倍
PSR 0.82倍 0.49倍 0.37倍 0.24倍 0.17倍
【業績数値に関する免責事項】
本ページに掲載している業績数値は、各社が公表する決算短信を一次情報として作成しています。 当連結会計年度よりリニアビジネスを非継続事業に分類したことに伴い、報告セグメントを変更しています。 数値は決算短信発表時点のものであり、将来的に修正される可能性があります。 業績予想は会社発表時点のものであり、実績と異なる場合があります。 PER・PBR・PSRは決算発表日の終値で算出した参考値です。 正確な情報は各社公式IRサイトを必ずご確認ください。

業績のポイント

2025年12月期は売上高698億円(△8.0%)と4期連続の減収、営業損失△223億円・当期純損失△272億円と巨額の赤字計上。EPSも△702.80円と大幅悪化。中国・インド系プレイヤーの価格競争激化、欧州経済停滞、米国関税強化等の事業環境悪化に加え、構造改革費用の負担が業績を圧迫した。一方で2026年12月期会社予想は売上高700億円・営業利益25億円・純利益5億円・EPS13.07円と本格的な業績回復を計画。2025年2月策定の新中期経営計画(FY25-29)に基づき、新経営陣のもと事業・コスト構造の大幅な変革を実行中。中計期間前半(FY25-26)は再成長・高収益実現のための種まき期間と位置付け、後半で利益を大幅改善させる方針。PBR0.32倍・PSR0.17倍と業績規模に対する市場評価は極端な低水準にあり、業績回復への期待が織り込まれていない状況。

中期経営計画 Mid-Term Business Plan 2025-2029(2025年2月17日策定)

同社は2025年2月17日に、2025年12月期から2029年12月期までの5か年を対象期間とした新中期経営計画を策定・公表した。「ツバキ・ナカシマは、キャッシュ創出を最重要KPIとする企業体へと生まれ変わる」を基本コンセプトに、事業・コスト構造の大幅な変革を実行しキャッシュを創出する体質の構築を目標としている。2029年12月期の目標指標は売上収益870億円・営業利益100億円。中計期間前半(FY25-26)は再成長・高収益実現のための種まき期間、後半で利益大幅改善を狙う2段階アプローチを採用している。

2029年12月期数値目標

  • 売上収益:870億円
  • 営業利益:100億円
  • キャッシュ創出体質への転換

基本コンセプト

  • 「キャッシュ創出を最重要KPIとする企業体」への変革
  • 事業・コスト構造の大幅な変革を実行
  • 新経営陣(CEO 松山達氏)のもと再生戦略を推進
  • 財務基盤の強化と株主還元のための営業キャッシュフローを確保

FY25-26(前半):種まき期間

  • 再成長・高収益実現のための種まき期間
  • 徹底的な調達・生産コストの削減施策
  • 在庫・売掛金・買掛金の圧縮を早急に推進
  • キャッシュ創出の実現に注力

FY27-29(後半):刈り取り期間

  • コスト・成長施策の効果創出による利益の大幅改善
  • 株主還元のための営業キャッシュフロー確保
  • 財務基盤の強化

戦略の方向性

  • グローバルフットプリントを生かした生産アロケーションの見直し
  • 生産拠点の再編(「地産地消」にこだわらないグローバル最適生産)
  • 成長セグメント(セラミックボール等)の再定義と経営資源の集中投下
  • 債権・債務及び在庫水準の最適化

強みと注目点

① 精密ボールのグローバルトッププレーヤー(世界シェア約30%)

1934年創業の90年以上の生産実績を持ち、グローバルでのスチールボール+セラミックボール市場におけるシェアは当社推定で約30%とトッププレーヤー。精密ボールはボールベアリングの重要構成要素として、自動車・工作機械の品質・信頼性を支える基幹部品。グローバル12カ国の製造拠点ネットワークと、長年にわたって培われた技術力が同社の競争優位の源泉。

② セラミックボール事業の成長領域への展開

セラミックボールは軽量性・強度・絶縁性・耐摩耗性・耐熱性・耐食性等の特性を活かし、風力発電機・電気自動車(EV)・5G・半導体製造装置等、環境に優しい未来を創造するために不可欠な製品。脱炭素・モビリティ電動化・半導体投資拡大の構造的成長局面で、需要拡大が見込まれる成長領域。中期経営計画では成長セグメントとして経営資源を集中投下する方針が明確化されている。

③ 新中期経営計画(FY25-29)による事業構造変革

2025年2月に新中期経営計画を策定・公表。「キャッシュ創出を最重要KPIとする企業体」への変革を掲げ、新経営陣(CEO 松山達氏)のもと事業・コスト構造の大幅な変革を実行中。2029年12月期目標は売上収益870億円・営業利益100億円と本格的な業績回復・成長路線を目指している。

④ 業績規模に対する市場評価の極端な低水準(PBR0.32倍・PSR0.17倍)

2025年12月期決算発表時点でPBR0.32倍・PSR0.17倍と、業績規模(売上高698億円)に対する市場評価は極端な低水準。巨額赤字計上の影響が大きく、業績回復への期待が織り込まれていない状況。2026年12月期会社予想(売上高700億円・営業利益25億円・純利益5億円)が達成されれば、市場評価の見直し余地が存在する。

⑤ 2026年12月期は本格回復計画

2025年12月期巨額赤字(営業損失△223億円・純損失△272億円)から、2026年12月期は売上高700億円・営業利益25億円・親会社株主に帰属する当期純利益5億円へと回復計画。本格的な業績回復シナリオが示されており、中期経営計画の前半(種まき期間)で進めるコスト削減・キャッシュ創出施策の早期効果発現が期待される段階。

弱み・リスク要因

有価証券報告書および中期経営計画資料から判明している同社の事業上の課題・リスクは以下のとおりです。

① 2025年12月期巨額赤字計上

2025年12月期は売上高698億円(△8.0%)と4期連続減収、営業損失△223億円・経常損失同水準・当期純損失△272億円と巨額の赤字を計上した。EPSは△702.80円と大幅悪化。競争環境激化や市場低迷、構造改革費用の負担が複合的に業績を圧迫。業績の本格的な悪化局面に入っており、回復への確かな道筋がまだ示されていない段階。

② 中国・インド系プレイヤーの価格競争激化

当中期経営計画期間(FY25-29)においても、競争環境はさらに厳しくなることが想定されている。中国・インド系プレイヤーは①現地材を活用したコスト競争力の高さ、②収益よりも量を取りに行く戦略により、ボール市場でのプレゼンスをさらに拡大する見通し。OEM・ベアリングメーカー両方のレイヤーで中国系プレイヤーのプレゼンスが増大しており、価格競争の激化は構造的・継続的な圧力となる。

③ 4期連続の減収トレンド

売上高は2023年12月期803億円→2024年12月期759億円→2025年12月期698億円と減収が続く。営業利益は2022年12月期△90億円→2023年12月期黒字転換→2025年12月期△223億円と大幅な悪化となっており、業績の安定性に大きな課題がある。新中期経営計画でも前半(FY25-26)は「種まき期間」と位置付けられており、業績回復には時間を要する見通し。

④ マクロ経済環境のリスク(欧州・米国)

欧州経済は引き続き弱含みであり回復に時間がかかる見込み。米国新政権による更なる関税強化や米国内のインフレ加速の可能性が懸念され、マクロ経済環境の変化が加速する予想。グローバル12カ国の製造販売拠点を持つ同社にとって、各国の経済・関税政策の変動が業績に直接的・複合的な影響を与える可能性がある。

⑤ 中期経営計画の実行リスク

中期経営計画は当社のコントロールが及ばない外部環境を含む前提に基づいているため、戦略の実行が想定どおり進まない、または成長目標を達成できない場合、業績に悪影響を及ぼす可能性がある。「キャッシュ創出を最重要KPIとする企業体」への変革は大規模な構造改革を伴うため、施策の遅延・効果未達リスクが存在する。

⑥ 国内外法規制リスク

国内外で事業を行うにあたり、大気・水質、製造物責任、独占禁止、知的財産、外為法等の各種法規制の適用を受けている。これらに違反した場合、罰金や業務停止等の制裁により社会的信用や業績に悪影響が生じる可能性。また規制の新設・改正や運用強化により対応コストの増加や事業運営上の制約が生じ、業績等に影響を与える可能性がある。

主な出典:
  • 株式会社ツバキ・ナカシマ 公式サイト
  • 株式会社ツバキ・ナカシマ「2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)」
  • 株式会社ツバキ・ナカシマ「中期経営計画 Mid-Term Business Plan 2025-2029」(2025年2月17日公表)
  • 株式会社ツバキ・ナカシマ「中期経営計画の策定に関するお知らせ」(2025年2月17日適時開示)
  • 株式会社ツバキ・ナカシマ「有価証券報告書」

本ページは投資情報の提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました