4392 FIG

FIG 4392 東証P

Future Innovation Group, Inc.|業務用IP無線、タクシー・バス運行、決済、ホテルシステムを束ねるIoT・ペイメントと、搬送ロボット、半導体・自動車向け製造装置を展開する持株会社。
※2026年7月10日時点の情報

事業内容

2026年7月10日の時価総額は約383億円。株価終値は1,090円、発行済株式数は35,167,729株。

FIGは2018年7月2日設立、本社は大分県大分市東大道二丁目5番60号。代表者は代表取締役社長の村井雄司氏、決算期は12月、東京証券取引所プライム市場と福岡証券取引所本則市場に上場する。11の事業会社を傘下に置き、IoT・ペイメント事業とロボット・オートメーション事業を報告セグメントとする。

2026年12月期第1四半期は売上高3,889百万円、営業利益397百万円、経常利益400百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益262百万円。前年同期比で売上高は12.7%増、営業利益は55.0%増となった。通期会社予想は売上高14,000百万円、営業利益1,000百万円、経常利益1,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益680百万円で据え置かれている。

IoT・ペイメント

旧IoTセグメントは2021年12月期から2025年12月期までに売上高が7,452百万円から9,282百万円へ24.6%増加し、セグメント利益は961百万円から1,527百万円へ58.9%増加した。利益率は12.9%から16.4%へ上昇しており、通信、クラウド、決済、保守を組み合わせた継続収益の積み上がりが収益基盤となっている。
旧IoTセグメント業績推移(単位:百万円)
10,500 7,875 5,250 2,625 0 2021 2022 2023 2024 2025 7,452 8,672 8,361 8,407 9,282 961 1,410 1,181 1,070 1,527 売上高 セグメント利益
IoT・ペイメントは、モバイルクリエイト、石井工作研究所、ケイティーエスなどのグループ会社が持つ通信、ソフトウェア、端末、クラウド、保守運用の機能を組み合わせる事業である。

業務用IP無線「iMESH」は、携帯通信網を利用して広域の音声通話、位置情報、動態管理を提供する。物流、警備、公共交通、自治体、防災など、車両や作業員の位置と連絡を同時に管理する現場が主要用途となる。専用基地局を自社で整備する従来型無線と比べ、通信エリアを広く確保しやすく、端末販売だけでなく回線利用料、クラウド利用料、保守料を継続的に得られる構造を持つ。

タクシー向けではクラウド型配車システム「新視令forクラウド」、車載端末、決済、動態管理を提供する。配車指令、乗務員との通信、車両位置、乗車履歴、運賃決済を連携できるため、単一製品の販売ではなくタクシー事業者の運行業務全体に入り込む。バス向けではバスロケーションシステム「モバステーション」などを通じ、車両位置、運行状況、利用者向け案内を提供する。

ペイメント領域は、決済端末、決済センター、ICカードを活用した運賃精算、公共交通・自治体向けキャッシュレス基盤を扱う。交通分野で蓄積した端末制御、運賃収受、通信、保守の知見を自治体、ホテル、その他業種へ広げる方針である。中期経営計画ではキャッシュレス取扱高を2025年12月期の約400億円から2028年12月期に700億円へ拡大する目標を掲げる。

ホテル向けでは客室テレビ、館内案内、動画配信、Wi-Fi、決済、設備連携を含むホテルスマートシステムを開発、導入、保守まで一括提供する。宿泊施設の省人化と利用者体験の改善を同時に狙える一方、既存顧客基盤の縮小が課題として示されており、更新需要の確保と新規サービスへの転換が必要となる。

2026年12月期第1四半期のIoT・ペイメントは売上高2,680百万円、セグメント利益583百万円。前年同期の組替後売上高2,387百万円、同利益460百万円に対し、売上高は12.3%増、利益は26.7%増となった。通期のサブスクリプション売上高は2025年12月期の4,476百万円から2026年12月期に4,700百万円、2028年12月期に5,250百万円を目指す。

ロボット・オートメーション

旧マシーンセグメントは2021年12月期から2025年12月期までに売上高が4,812百万円から4,035百万円へ16.1%減少した一方、セグメント利益は290百万円から410百万円へ41.4%増加した。案件構成による売上変動は大きいが、2025年12月期の利益率は10.2%まで上昇した。
旧マシーンセグメント業績推移(単位:百万円)
5,600 4,200 2,800 1,400 0 2021 2022 2023 2024 2025 4,812 4,020 4,925 3,546 4,035 290 259 534 322 410 売上高 セグメント利益
ロボット・オートメーションは、半導体後工程装置、精密金型、自動車関連の組立・検査設備、搬送ロボット、ロボット制御、産業用ドローンを扱う。2026年12月期から、従来IoT側に含まれていたドローン事業とロボット制御事業を旧マシーン事業へ移し、現在の報告セグメントへ再編した。

半導体関連では、封止、切断、検査など後工程向け設備と精密加工技術を提供する。自動車関連では顧客仕様に合わせた組立装置、検査装置、省人化設備を設計し、製造、据付、保守まで対応する。量産型の標準製品だけでなく、顧客工場の工程に合わせた個別設計が中心であり、受注から売上計上までの期間と案件採算が四半期業績を左右しやすい。

搬送ロボットではAGV、AMR、GTP型ロボットなどを展開する。SLAM技術を利用して周辺環境を把握し、人や障害物が存在する現場でも自律走行させる技術を持つ。上位の倉庫管理・生産管理システムとの接続、複数台の運行制御、設備連携まで一括で設計できることが、単体ロボットメーカーとの差別化要素となる。

純国産ロボットを前面に出し、導入先ごとのカスタマイズと保守を組み合わせる。自動車、半導体、電池、住宅設備などの大手製造業を顧客基盤に持ち、工場の労働力不足、省人化、搬送自動化を需要源とする。大規模な標準化案件では世界大手に規模で劣るが、中小規模の複雑な現場や既存設備との接続では個別対応力を発揮しやすい。

2026年12月期第1四半期のロボット・オートメーションは売上高1,208百万円、セグメント利益109百万円。前年同期の組替後売上高1,064百万円、同利益70百万円に対し、売上高は13.5%増、利益は55.7%増となった。

中期経営計画ではロボット関連売上高を2028年12月期に30億円へ拡大する。資本業務提携先である匠の売上高は2025年12月期見込7億円、2026年12月期予想12億円とされる。匠のM&Aは成長手段の選択肢として示されているが、計画公表時点で資本業務提携以外の交渉は開始されていない。

旧スマートシティと事業ポートフォリオ再編

旧スマートシティは2021年12月期に売上高0百万円、セグメント損失5百万円、2022年12月期に売上高220百万円、利益115百万円、2023年12月期に売上高247百万円、利益116百万円を計上した。2024年12月期以降は報告セグメントから外れており、グラフの「非報告」は売上高・利益がゼロという意味ではない。
旧スマートシティセグメント業績推移(単位:百万円)
280 205 130 55 -20 2021 2022 2023 2024 2025 0 220 247 -5 115 116 非報告 非報告 売上高 セグメント利益
旧スマートシティは、再生可能エネルギー、地域インフラ、不動産関連などを含む新規事業の受け皿として設けられていた。2022年12月期と2023年12月期は比較的小規模ながら利益を確保したが、資産売却と事業ポートフォリオの見直しを経て、2024年12月期から独立した報告セグメントではなくなった。

この再編は、経営資源をIoT・ペイメントとロボット・オートメーションへ集中する動きと一致する。複数の小規模事業を抱える持株会社から、通信・決済の継続収益と自動化市場の成長を二本柱とする構造へ移行している。

2024年12月期は売上高12,016百万円、営業利益363百万円、親会社株主に帰属する当期純損失1,412百万円となった。資産売却を含むポートフォリオ再編により投資キャッシュ・フローは2,918百万円の流入、財務キャッシュ・フローは5,674百万円の流出となり、貸借対照表とキャッシュ・フローが大きく変動した。2025年12月期は売上高13,318百万円、営業利益834百万円、当期純利益783百万円へ回復した。

2025年12月期の旧IoTと旧マシーンのセグメント利益合計は1,937百万円だった一方、全社費用などの調整額はマイナス1,103百万円で、連結営業利益は834百万円となった。事業会社の利益成長だけでなく、持株会社費用と共通開発費を抑制できるかが連結利益率を左右する。

2026年12月期からのセグメント変更により、ドローンとロボット制御はロボット・オートメーション側へ移された。戦略上の区分は明確になったが、過去の旧IoT・旧マシーン数値と現在の二事業を単純比較できない点には注意が必要となる。

直近5年業績サマリー

項目
EPS・BPSは現在の発行済株式数35,167,729株で再計算
2021年12月期
期末終値325円
2022年12月期
期末終値391円
2023年12月期
期末終値316円
2024年12月期
期末終値283円
2025年12月期
期末終値288円
2026年12月期
会社予想・7月10日終値1,090円
売上高
百万円
12,264 12,914前年差 +650
+5.3%
13,534前年差 +620
+4.8%
12,016前年差 -1,518
-11.2%
13,318前年差 +1,302
+10.8%
14,000前年差 +682
+5.1%
営業損益
百万円
566 932前年差 +366
+64.7%
723前年差 -209
-22.4%
363前年差 -360
-49.7%
834前年差 +471
+129.3%
1,000前年差 +166
+19.9%
経常損益
百万円
573 964前年差 +391
+68.3%
715前年差 -249
-25.8%
393前年差 -322
-45.0%
826前年差 +433
+110.3%
1,000前年差 +174
+21.0%
当期純利益
百万円
441 685前年差 +244
+55.2%
210前年差 -475
-69.4%
-1,412前年差 -1,622
赤字転落
783前年差 +2,195
黒字転換
680前年差 -103
-13.2%
EPS
12.54 19.48前年差 +6.94
+55.3%
5.97前年差 -13.51
-69.4%
-40.15前年差 -46.12
赤字転落
22.26前年差 +62.41
黒字転換
19.34前年差 -2.92
-13.2%
PER
25.9 20.1 52.9 12.9 56.4
PBR
1.31 1.44 1.18 1.24 1.16
BPS
248.24 272.30前年差 +24.06
+9.7%
268.80前年差 -3.50
-1.3%
228.73前年差 -40.07
-14.9%
248.27前年差 +19.54
+8.5%
純資産
百万円
8,878 9,709前年差 +831
+9.4%
9,595前年差 -114
-1.2%
8,172前年差 -1,423
-14.8%
8,863前年差 +691
+8.5%
営業CF
百万円
63 359前年差 +296
+469.8%
-578前年差 -937
マイナス転換
3,160前年差 +3,738
プラス転換
507前年差 -2,653
-84.0%
投資CF
百万円
-2,523 -1,848前年差 +675
支出縮小
-838前年差 +1,010
支出縮小
2,918前年差 +3,756
プラス転換
-78前年差 -2,996
マイナス転換
財務CF
百万円
2,513 1,291前年差 -1,222
-48.6%
1,430前年差 +139
+10.8%
-5,674前年差 -7,104
マイナス転換
-1,114前年差 +4,560
支出縮小
現金及び現金同等物
百万円
2,376 2,185前年差 -191
-8.0%
2,202前年差 +17
+0.8%
2,612前年差 +410
+18.6%
1,889前年差 -723
-27.7%

中期経営計画

中期経営計画 2026年12月期-2028年12月期

FIGは、労働力不足という社会課題に対し、ロボット・オートメーション、IoT、ペイメントを組み合わせて顧客の省人化と運営最適化を支援する方針を掲げる。前中期計画で整備した成長基盤を収益へ転換し、売上成長と資本効率を同時に高める段階に入る。

2028年12月期の数値目標は売上高170億円、売上総利益53億円、営業利益15億円、ROE10.0%、ROIC8.0%。2026年12月期会社予想の売上高140億円、売上総利益43億円、営業利益10億円、ROE7.4%、ROIC5.7%から、3年間で利益成長を売上成長より速める計画である。2030年12月期には営業利益20億円、ROE11%以上を目指す。

ロボット分野では、SLAMを基盤とする自律制御、上位システム連携、純国産製品、製造業の顧客基盤、匠との資本業務提携を成長の柱とし、2028年12月期のロボット関連売上高30億円を目標とする。匠のM&Aは選択肢の一つだが、計画公表時点で追加交渉は開始していない。

ペイメント分野では、公共交通で培った運賃収受と決済基盤を自治体、ホテル、他業種へ展開し、キャッシュレス取扱高を約400億円から700億円へ拡大する。IoT分野ではデータ活用による業務可視化と運営最適化を強化し、サブスクリプション売上高を2028年12月期に52.5億円へ引き上げる。

株主還元と資本市場の目標として、配当性向30%以上、PBR2倍、PER20倍を掲げる。現在株式数で再計算した2026年12月期予想PERは7月10日終値ベースで56.4倍であり、計画利益の達成と希薄化後EPSの成長が評価維持の前提となる。
中期経営計画資料へ

競合他社

① ダイフク<6383>
2026年7月10日終値は6,867円、時価総額は約2兆6,083億円。物流システム、マテリアルハンドリング、倉庫・配送センター、自動車工場、半導体工場、空港向けの搬送・保管・仕分け・制御ソフトウェアを世界規模で提供する。

FIGとはAGV・AMR、工場内搬送、物流自動化、半導体・自動車向け生産設備で競合する。ダイフクは大型案件の設計、施工、海外拠点、保守網、研究開発投資で大きく先行するため、標準化された大規模案件ほど競争優位が強い。FIGは中小規模の複雑な工程、既存設備との接続、通信・IoTとの統合、迅速なカスタマイズで対抗する構図となる。

2026年12月期第1四半期は売上高1,727億円、営業利益262億円、受注高2,213億円。前年同期比で売上高は7.8%増、営業利益は13.2%増、受注高は54.7%増となった。2026年12月期会社計画は売上高7,000億円、営業利益1,050億円、経常利益1,085億円、親会社株主に帰属する当期純利益800億円、受注高7,800億円から8,200億円。

FIGにとっては、同社の製品性能だけでなく、導入実績、施工能力、世界的な保守体制が参入障壁となる。一方、FIGのロボット関連売上高目標30億円はダイフクの売上規模に比べ小さく、直接的な全面競争より、用途を絞った個別案件での獲得が現実的となる。
② GMOペイメントゲートウェイ<3769>
2026年7月10日終値は9,753円、時価総額は約7,467億円。オンライン決済、対面決済、決済代行、継続課金、金融関連サービスを提供し、加盟店と決済事業者をつなぐ大規模な決済処理基盤を持つ。

FIGとは決済端末、決済センター、公共交通、自治体、ホテル、店舗向けキャッシュレスで競合する。GMOペイメントゲートウェイは決済処理量、加盟店基盤、オンラインサービス、金融機能で優位に立つ。FIGはタクシー・バスの運行管理、車載端末、業務用無線、ホテル設備と決済を一体化し、現場の運用まで含めて提供できる点が差別化要素となる。

2026年9月期第2四半期累計は売上収益460.84億円、売上総利益305.00億円、営業利益187.92億円、税引前利益188.67億円、親会社の所有者に帰属する利益120.42億円。前年同期比で売上収益は13.1%増、営業利益は22.7%増、決済処理金額は5.8兆円で7.4%増となった。

決済機能の単独比較では規模と処理能力の差が大きい。FIGが700億円のキャッシュレス取扱高目標を収益へ結び付けるには、交通・自治体・ホテルに特化した端末、精算、保守、運用データの一体提供で価格競争を避ける必要がある。
③ JVCケンウッド<6632>
2026年7月10日終値は1,131円、時価総額は約1,827億円。業務用デジタル無線、公共安全向け通信、車載機器、テレマティクス、映像・音響機器を展開する。

FIGとは業務用無線、広域通信、車両動態管理、公共交通、テレマティクスで競合する。JVCケンウッドは無線端末の製品群、世界販売網、公共安全分野の導入実績を持つ。FIGのiMESHは携帯通信網を利用した広域IP無線に、位置情報、配車、バスロケーション、決済、クラウドを組み合わせられる点が特徴となる。

2026年3月期は売上収益3,569億円、事業利益209億円、営業利益205億円、税引前利益217億円、親会社の所有者に帰属する当期利益168億円。前期比では売上収益3.6%減、事業利益17.5%減、営業利益5.7%減、当期利益17.2%減となった。2027年3月期会社計画は売上収益3,640億円、事業利益234億円。

無線機器だけで競争するとブランド、製品数、販売網の差が大きい。FIGはタクシー・バス事業者の業務フローに組み込まれた配車、運行、位置、決済、保守の総合システムとして受注し、端末単価ではなく運用全体の改善効果を示す必要がある。

強みと将来性

通信・決済・ロボットをグループ内で統合できる事業構造
FIGの強みは、ソフトウェア、通信端末、クラウド、決済、製造装置、ロボットを別々に販売するのではなく、顧客の業務フローに沿って一体化できる点にある。

タクシーでは配車、車両位置、業務用無線、運賃、決済、運行データをつなぎ、バスでは位置情報、利用者案内、運賃収受、保守を組み合わせる。ホテルでは客室システム、館内案内、ネットワーク、決済、設備管理まで接続できる。個別機器の置き換えではなく、顧客業務の中核へ組み込まれるため、導入後の回線、クラウド、保守、決済処理が継続収益になりやすい。

ロボット・オートメーションでは、機械設計、精密加工、制御、ソフトウェア、SLAM、通信、上位システム接続をグループ内で組み合わせる。標準ロボットの販売だけでは対応しにくい既存工場の制約や、設備ごとに異なる搬送条件に合わせた個別設計が可能となる。自動車、半導体、電池などの製造業顧客を既に持つため、新しいAMRやGTPをゼロから販売するより導入提案の入口を確保しやすい。

2026年12月期第1四半期は両セグメントで増収増益となり、IoT・ペイメントの利益は前年同期比26.7%増、ロボット・オートメーションの利益は55.7%増となった。会社の通期営業利益計画1,000百万円に対し、第1四半期で397百万円を計上しており、初動は強い。

将来性の中心は、通信・決済のストック収益と、労働力不足を背景に拡大する自動化需要の組み合わせにある。サブスクリプション売上高52.5億円、キャッシュレス取扱高700億円、ロボット関連売上高30億円という2028年目標が同時に進めば、安定収益と成長投資を両立しやすくなる。

大手競合と比べて企業規模は小さいが、交通、ホテル、製造現場という用途を限定し、端末、通信、ソフトウェア、保守を一括提供することで、汎用品の価格競争から距離を取れる。中期計画が掲げるROE10.0%、ROIC8.0%の達成には、売上拡大だけでなく、持株会社費用、開発費、案件採算の管理が必要であり、資本効率を明示した点は過去の拡大型経営からの変化となる。

弱みとリスク要因

高い期待倍率、株式希薄化、案件変動を同時に管理する必要
最大の株価リスクは、利益成長に対して評価倍率が先行している点にある。2026年12月期会社予想の親会社株主に帰属する当期純利益680百万円を現在の発行済株式数35,167,729株で割ったEPSは19.34円。7月10日終値1,090円に対する予想PERは56.4倍で、中期経営計画が目標とするPER20倍を大きく上回る。通期利益の上振れや2027年以降の増益が鈍化すれば、業績が増益でも倍率調整が起こり得る。

発行済株式数は2026年3月末の31,593,115株から7月10日の35,167,729株へ約11.3%増加した。新株予約権の行使と株式報酬による新株発行に加え、転換社債の転換では自己株式が交付されている。資金調達と提携強化には効果がある一方、既存株主の一株当たり利益と一株当たり純資産は希薄化する。今後の利益成長率は連結利益の増減だけでなく、増加後の株式数を基準に判断する必要がある。

ロボット・オートメーションは、自動車、半導体、電池などの設備投資循環と大型案件の検収時期に左右される。受注から設計、製造、据付、検収まで時間がかかり、案件の延期や仕様変更は売上計上時期と採算を変動させる。旧マシーン売上高は2023年12月期4,925百万円から2024年12月期3,546百万円へ減少しており、年度間の振れは小さくない。

IoT・ペイメントは継続収益を持つ一方、通信キャリアへの依存、端末調達、セキュリティ、決済障害、公共交通事業者の投資余力がリスクとなる。ホテル向けは既存顧客基盤の縮小が課題で、更新需要を新サービスへ転換できなければ、保守収益も時間とともに減少する。

事業ポートフォリオとセグメント区分の変更が多く、過去数値の連続性が弱い。2026年12月期からドローンとロボット制御を旧IoTからロボット・オートメーションへ移したため、現在の成長率と過去5年の旧セグメント推移は完全には一致しない。投資判断では連結業績に加え、組替後の四半期比較と受注動向を確認する必要がある。

2025年12月期は二事業のセグメント利益合計1,937百万円に対し、全社費用などの調整額がマイナス1,103百万円だった。事業会社で利益が増えても、持株会社費用、共通開発費、M&A関連費用が拡大すると連結営業利益への寄与が薄まる。

キャッシュ・フローも振れが大きい。営業キャッシュ・フローは2023年12月期のマイナス578百万円から2024年12月期に3,160百万円へ改善した後、2025年12月期は507百万円へ低下した。現金及び現金同等物は2024年12月期の2,612百万円から2025年12月期に1,889百万円へ減少している。匠との連携、ロボット開発、M&Aを進める場合、投資余力と資金調達条件の管理が重要となる。

競合との規模差も大きい。ロボットではダイフク、決済ではGMOペイメントゲートウェイ、業務用無線ではJVCケンウッドが、研究開発、人員、販売網、顧客基盤で上回る。FIGは全方位で競争せず、交通、ホテル、地域インフラ、中規模工場など、複数技術を一体化できる用途へ経営資源を集中する必要がある。

出典

コメント

タイトルとURLをコピーしました