4478 フリー(freee)

プラットフォーム事業

プラットフォーム事業 業績推移
売上高・セクター利益(調整後営業利益)を同一軸で表示 / 利益率は年度ラベル下に表示
売上高利益損失

事業内容

プラットフォーム事業は、スモールビジネス向けにクラウドERPと金融サービスを提供する単一報告セグメントです。主力の「freee会計」「freee人事労務」を軸に、申告、請求・販売、支出管理、勤怠、経費精算、創業支援、連結会計、予約など周辺業務へサービスを拡張しています。会計事務所経由の顧客獲得と既存顧客へのクロスセルでARRを積み上げるサブスクリプション型が中心です。2026年6月期には「freee Agent Hub」「freee AIアシスタント」を展開し、「Done by You」から「Done for You」への転換を掲げ、バックオフィス業務そのものをAIエージェントに任せる体験へ提供価値を広げています。

資格スクエア事業は2021年12月に売却され、現在のプラットフォーム事業には含まれません。2022年6月期のプラットフォーム事業実績も同事業を除く管理区分です。

直近5年業績サマリー

業績項目2022年6月期2023年6月期2024年6月期2025年6月期2026年6月期2027年6月期(予想)
売上高
(百万円)
14,380
19,219
+4,839 / +33.7%
25,430
+6,211 / +32.3%
33,270
+7,840 / +30.8%
42,441
+9,171 / +27.6%
52,210
+9,769 / +23.0%
営業損益
(百万円)
△3,042
△7,919
△4,877 / +160.3%
△8,386
△467 / +5.9%
610
+8,996 / △107.3%
1,091
+481 / +78.9%
経常損益
(百万円)
△3,085
△7,982
△4,897 / +158.7%
△8,638
△656 / +8.2%
412
+9,050 / △104.8%
746
+334 / +81.1%
当期純利益
(百万円)
△11,609
△12,338
△729 / +6.3%
△10,150
+2,188 / △17.7%
1,370
+11,520 / △113.5%
1,077
△293 / △21.4%
EPS
(円)
-208.22
-215.64
△7.42 / +3.6%
-174.43
+41.21 / △19.1%
23.28
+197.71 / △113.3%
18.20
△5.08 / △21.8%
一株配当金
(円)
0.00
0.00
0.00 / 0.0%
0.00
0.00 / 0.0%
0.00
0.00 / 0.0%
0.00
0.00 / 0.0%
0.00
0.00 / 0.0%
純資産
(百万円)
36,428
27,059
△9,369 / △25.7%
16,952
△10,107 / △37.4%
19,663
+2,711 / +16.0%
21,186
+1,523 / +7.7%
営業CF
(百万円)
△1,069
△4,753
△3,684 / +344.6%
△6,767
△2,014 / +42.4%
3,661
+10,428 / △154.1%
1,519
△2,142 / △58.5%
投資CF
(百万円)
△4,483
△1,935
+2,548 / △56.8%
△1,088
+847 / △43.8%
△4,601
△3,513 / +322.9%
△5,898
△1,297 / +28.2%
財務CF
(百万円)
451
543
+92 / +20.4%
3,705
+3,162 / +582.3%
4,977
+1,272 / +34.3%
4,765
△212 / △4.3%
フリーCF
(百万円)
△5,552
△6,688
△1,136 / +20.5%
△7,855
△1,167 / +17.4%
△940
+6,915 / △88.0%
△4,379
△3,439 / +365.9%
1.会社予想と実績

2022年6月期から2026年6月期は各期首に公表された通期会社予想と通期実績を比較し、2027年6月期は最新の通期会社予想を掲載しています。

売上高営業利益=調整後営業利益で代替経常利益親会社株主帰属純利益EPS
会社は通期予想でGAAP営業利益・経常利益・親会社株主帰属純利益・EPSを開示していません。営業利益の比較は会社のガイダンスKPIである調整後営業利益を代替使用し、レンジ予想は中央値で比較しています。
売上高期首会社予想と通期実績(レンジ予想は中央値)会社予想実績025,00050,00075,000100,00014,92314,3802022/6達成率 96.4%18,82119,2192023/6達成率 102.1%25,40025,4302024/6達成率 100.1%33,06033,2702025/6達成率 100.6%41,26042,4412026/6達成率 102.9%52,2102027/6最新予想単位:百万円
赤=達成・超過、青=未達、黄=最新予想。
営業利益(調整後営業利益で代替)期首会社予想と通期実績(レンジ予想は中央値)会社予想実績-10,000-5,00005,00010,000-2,508-2,2502022/6達成率 110.3%-7,127-7,1952023/6達成率 99.0%-8,225-7,5622024/6達成率 108.1%500.51,8852025/6達成率 376.6%2,4802,6632026/6達成率 107.4%5,7502027/6最新予想単位:百万円
赤=達成・超過、青=未達。赤字予想は「実績が予想より損失縮小」で100%超になるよう達成率を調整しています。
経常利益期首会社予想と通期実績(レンジ予想は中央値)会社予想実績-20,000-10,000010,00020,000非開示-3,0852022/6算出不可非開示-7,9822023/6算出不可非開示-8,6382024/6算出不可非開示4122025/6算出不可非開示7462026/6算出不可非開示2027/6予想非開示単位:百万円
会社予想が非開示のため実績のみ表示。
親会社株主帰属純利益期首会社予想と通期実績(レンジ予想は中央値)会社予想実績-20,000-10,000010,00020,000非開示-11,6092022/6算出不可非開示-12,3382023/6算出不可非開示-10,1502024/6算出不可非開示1,3702025/6算出不可非開示1,0772026/6算出不可非開示2027/6予想非開示単位:百万円
会社予想が非開示のため実績のみ表示。
EPS期首会社予想と通期実績(レンジ予想は中央値)会社予想実績-500-2500250500非開示-208.222022/6算出不可非開示-215.642023/6算出不可非開示-174.432024/6算出不可非開示23.282025/6算出不可非開示18.202026/6算出不可非開示2027/6予想非開示単位:円
会社予想が非開示のため実績のみ表示。
指標2022年6月期2023年6月期2024年6月期2025年6月期2026年6月期2027年6月期
予想実績達成率予想実績達成率予想実績達成率予想実績達成率予想実績達成率予想実績達成率
売上高
(百万円)
14,92314,38096.4%18,82119,219102.1%25,40025,430100.1%33,06033,270100.6%41,26042,441102.9%52,210最新予想
営業利益(調整後営業利益で代替)
(百万円)
-2,508-2,250110.3%-7,127-7,19599.0%-8,225-7,562108.1%500.51,885376.6%2,4802,663107.4%5,750最新予想
経常利益
(百万円)
非開示-3,085算出不可非開示-7,982算出不可非開示-8,638算出不可非開示412算出不可非開示746算出不可非開示予想非開示
親会社株主帰属純利益
(百万円)
非開示-11,609算出不可非開示-12,338算出不可非開示-10,150算出不可非開示1,370算出不可非開示1,077算出不可非開示予想非開示
EPS
(円)
非開示-208.22算出不可非開示-215.64算出不可非開示-174.43算出不可非開示23.28算出不可非開示18.20算出不可非開示予想非開示
2.達成・未達理由
2022年6月期期首売上予想は未達、調整後営業利益は超過
売上 96.4%調整後営業利益 110.3%経常・純利益・EPS 予想非開示

期首連結売上予想には資格スクエア事業が含まれていましたが、同事業を期中に売却したため売上は期首予想を下回りました。売却後に修正された連結売上予想14,361百万円に対しては実績14,380百万円と上回っています。主力プラットフォーム事業はARR、有料課金ユーザー企業数、売上高を伸ばし、調整後営業損失は期首予想より縮小しました。

2023年6月期売上超過、調整後営業利益は中央値比わずかに未達
売上 102.1%調整後営業利益 99.0%経常・純利益・EPS 予想非開示

インボイス制度開始を控えた需要獲得が好調で、売上は会社予想を約4億円上回りました。調整後営業損失は積極的な人員増強・マーケティング投資により拡大しましたが、実績△7,195百万円は会社予想レンジ△7,452~△6,802百万円の範囲内です。中央値比較ではわずかに未達となります。

2024年6月期売上・調整後営業利益とも達成
売上 100.1%調整後営業利益 108.1%経常・純利益・EPS 予想非開示

インボイス制度対応機能、プロダクト拡充、マーケティング施策によりユーザー基盤とARPUが伸長し、売上は予想を小幅に上回りました。調整後営業損失は△7,562百万円で、期首レンジの上限側△7,800百万円よりも損失が小さく、想定以上に改善しました。

2025年6月期売上・調整後営業利益とも大幅達成
売上 100.6%調整後営業利益 376.6%経常・純利益・EPS 予想非開示

会計事務所経由の新規顧客獲得、既存顧客へのクロスセル、M&Aを活用したプロダクト拡充が成長を支えました。売上は期首予想を上回り、調整後営業利益1,885百万円は期首予想レンジ1~1,000百万円を大きく超過。GAAP営業利益も黒字へ転換しました。

2026年6月期売上・調整後営業利益とも達成
売上 102.9%調整後営業利益 107.4%経常・純利益・EPS 予想非開示

会計事務所チャネルとクロスセルに加え、AI関連プロダクト・サービスの市場浸透を進め、プラットフォームARR、有料課金ユーザー企業数、ARPUがいずれも増加しました。実績売上42,441百万円と調整後営業利益2,663百万円は、期首予想レンジの中央値をともに上回りました。

2027年6月期最新会社予想・通期実績は未発表
売上 52,210百万円調整後営業利益 5,750百万円経常・純利益・EPS 予想非開示

ユーザー基盤の拡大と顧客価値向上による23.0%増収に加え、生産性向上で調整後営業利益を前期比115.9%増とする計画です。2026年8月14日時点では2027年6月期の四半期実績がまだ公表されていないため、進捗率による評価はできません。

3.事業セグメントの自信度

現在の報告セグメントはプラットフォーム事業の単一セグメントです。各年度の表現変化と実績から会社の自信度を推理しています。

プラットフォーム事業

自信度推移:強気 → 強気 → 強気 → 非常に強気 → 非常に強気 → 非常に強気
2022年6月期強気
クラウドERP市場における普及率の上昇余地は大きく残されていると認識しております。

成長余地を大きく見込み、機能開発と会計事務所ネットワークへの投資を継続。

2023年6月期強気
販売管理業務を一元管理できる「freee販売」を新たにリリースしました。

会計・人事労務から販売、請求、SaaS管理へ提供領域を拡大。

2024年6月期強気
クラウドERP市場の拡大ポテンシャルは高いと認識しております。

市場浸透の余地を明確に示し、M&Aも使ってプロダクト拡充を継続。

2025年6月期非常に強気
会計事務所経由での新規顧客獲得の推進、及び、既存の顧客基盤を活用したクロスセル販売の促進を行いました。

成長チャネルが明確化し、調整後営業利益とGAAP営業利益の黒字化を実現。

2026年6月期非常に強気
AI時代における顧客体験の変化を「Done by You」から「Done for You」へのシフトと捉え

AIエージェントを新たな価値提供の中核に据え、成長と生産性向上を同時に追求。

2027年6月期非常に強気
利益項目については、堅調な売上成長に加えて生産性向上に取り組むことで、調整後営業利益(注2)は5,750百万円(前連結会計年度比115.9%増)、調整後営業利益率は11.0%を見込んでおります。

23%成長を維持しながら利益率を大きく引き上げる計画で、利益成長への自信が強い。

最新判断非常に強気

成長率維持と利益率11%への引き上げを同時に計画。AIエージェントを含む価値拡張と生産性向上を次の成長段階として明確に位置付けています。

4.最新予想信頼度
判定:2027年6月期の達成可能性は「やや高い」。ただし利益目標は売上以上に難度が高い。

最新会社予想は売上高52,210百万円、調整後営業利益5,750百万円、調整後営業利益率11.0%。2027年6月期の四半期実績はまだ公表されていないため、進捗率は算出していません。

2027/6 売上予想52,210
売上成長率+23.0%
調整後営業利益5,750
利益成長率+115.9%
調整後営業利益率11.0%

達成できると判断する理由

  • 2023年6月期から2026年6月期まで、売上は期首会社予想を毎期達成。2026年6月期も期首レンジ中央値を約2.9%上回りました。
  • 調整後営業利益は2024年6月期以降、期首レンジ中央値を上回っており、赤字縮小から黒字化、利益拡大へ転じています。
  • 2026年6月期のプラットフォームARRは前期末比21.8%増、有料課金ユーザー企業数は14.0%増、ARPUは6.8%増。23%の売上成長目標に近い基礎成長率があります。
  • 会計事務所チャネル、クロスセル、AIエージェントという複数の成長・生産性向上策が同時に進んでいます。

達成できないと判断する理由

  • 調整後営業利益は前期比115.9%増が必要で、調整後営業利益率も約6.3%から11.0%へ大幅に上げる必要があります。
  • 売上成長率23.0%は2026年6月期末ARR成長率21.8%をやや上回るため、ユーザー獲得だけでなくARPU上昇やクロスセルの継続が必要です。
  • 2026年6月期の営業キャッシュ・フローは1,519百万円と前期3,661百万円から減少し、投資キャッシュ・フローも△5,898百万円。成長投資と資金効率の両立が課題です。
  • 会社はGAAP営業利益以下の通期予想を開示していないため、調整後営業利益の達成がそのまま最終利益の上振れを意味するわけではありません。

利益計上時期の見方

2027年6月期について、決算短信には特定四半期への利益偏重を示す説明はありません。継続課金型の売上基盤を持つ一方、開発・販売投資やソフトウェア資産の償却などで四半期利益率は変動し得ます。現時点では四半期実績がないため、単純進捗率による判断は行いません。

総合判断

売上目標は過去数年の期首予想達成実績とARRの伸びから実現可能性が比較的高いとみます。焦点は利益率11.0%への引き上げで、クロスセルとAI活用による生産性向上が計画どおり進めば達成余地は大きい一方、成長投資が再加速すれば利益目標の難度は上がります。

TSE 4478 / freee K.K.

フリー株式会社(freee) 最新中期経営戦略分析

2026年8月13日公表の「2026年6月期 決算説明資料」における 「中長期財務見通し・中長期成長戦略」を最新の中期経営計画相当として分析。

証券コード:4478 最新開示:2026年8月13日 主要目標年度:2028年6月期 テーマ:AI × 統合型経営プラットフォーム
結論: freeeの中期戦略は、2028年6月期に 「売上高成長率+調整後営業利益率=40%以上(Rule of 40)」 を達成することが最上位の財務目標。 2027年6月期に売上高522.1億円・調整後営業利益率11%まで引き上げ、 AIによる全社生産性向上、法人顧客拡大、クロスセル、会計事務所エコシステム、 HR・ファイナンス領域の拡大によって成長と利益率改善を同時に進める計画である。

① 企業が掲げる目標業績数字

FY2027 売上高
522.1億円
前年比 +23.0%
FY2027 調整後営業利益
57.5億円
前年比 +115.9%
FY2027 調整後営業利益率
11.0%
FY2026実績 6.3%
FY2028 最重要目標
Rule of 40
40%以上
指標 2026年6月期 実績 2027年6月期 目標・予想 2028年6月期 中期目標
売上高 424.4億円 522.1億円 金額目標は非開示
売上高成長率 +27.6% +23.0% 20%以上
調整後営業利益 26.6億円 57.5億円 金額目標は非開示
調整後営業利益率 6.3% 11.0% 15%以上
調整後FCFマージン ▲0.8% 5~10% 調整後営業利益と同水準を想定
法人NRR 110%以上
Rule of 40 23%+11%=約34% 40%以上
数値上のポイント: 2028年6月期は「売上高成長率20%以上」「調整後営業利益率15%以上」がそれぞれ下限として示されているが、 単純合計では35%である。したがってRule of 40を達成するには、 例えば「成長率25%+利益率15%」または「成長率20%+利益率20%」など、 少なくとも一方を最低ライン以上に引き上げる必要がある。

なお、2027年6月期売上高522.1億円を達成したうえで翌期に20%成長すると仮定した場合、 2028年6月期売上高は機械的には約626.5億円相当となる。 これは会社が開示した売上高金額目標ではなく、成長率からの単純計算である。

② 目標達成へのロードマップ

FY2026 ─ 基盤構築

高成長を維持しながら黒字基盤を強化

売上高424.4億円、調整後営業利益率6.3%。 プラットフォームARRは435.9億円まで拡大し、 法人MidやHR、法人カードなどが成長。 AIを開発・営業・サポート等へ本格導入。

FY2027 ─ 利益率改善を加速

売上522.1億円・利益率11%へ

新規顧客獲得と既存顧客へのクロスセルで23%成長を確保。 AIによる生産性向上とコスト効率化で、 調整後営業利益を57.5億円へ倍増させる計画。 法人NRR110%以上も重要KPI。

FY2028 ─ 収穫フェーズ

Rule of 40を達成

売上高成長率20%以上を維持しつつ、 調整後営業利益率15%以上へ改善。 成長率と利益率の合計40%以上を実現し、 高成長SaaSから「成長+収益性」を両立する経営モデルへの移行を目指す。

中期成長戦略の中核

freeeが目指すのは 「スモールビジネス経営のデファクトスタンダード」。 最新戦略では、AIによる「Done for You」体験を全体に横串で通し、 その上で3つの事業領域を拡大する構造となっている。
AI

「Done for You」への進化

  • AIエージェントに業務の起点から終点まで任せられる体験を構築
  • 会計・人事労務などのSystem of RecordとAIを統合
  • freee Agent Hubなど会計事務所向けAIを展開
  • 開発、営業、マーケティング、サポート、管理部門の生産性向上にもAIを利用
01

会計事務所のデファクトスタンダードへ

  • 専門家と顧客をつなぐ強固なエコシステムを構築
  • 会計事務所経由の顧客獲得効率を高める
  • 顧問先へのfreee導入を通じて顧客基盤を拡大
  • クロスセルと高い継続率によりLTVを最大化
02

法人向けニーズのカバレッジ拡大

  • 業種別・個社別のニーズに対応するソリューションを拡充
  • 医療・福祉、建設など従来より幅広い業種へ顧客基盤を拡大
  • 法人Midでは新規顧客獲得とクロスセルを並行して推進
  • 顧客数拡大後にARPU上昇余地を取り込む
03

HR・ファイナンス領域を強化

  • 人事労務アウトソース、タレントマネジメント、健康管理、福利厚生等を拡大
  • 法人カードを中心とするトランザクション収益を拡大
  • 会計と決済・金融をつなぐEmbedded Financeを強化
  • クロスセル、ARPU向上、解約率低下を通じLTVを最大化

利益率改善の具体策

Rule of 40達成には売上成長だけでなく、コスト構造の改善が不可欠。 freeeは2027年6月期の費用率について、以下のレンジを提示している。

費用項目 FY2026 実績 FY2027 見通し 主な改善策
売上原価率 19.0% 19~22% AIによるサポート効率化、ITツールコスト最適化
R&D比率 15.4% 12~15% AI駆動開発で開発生産性を向上
R&D比率
資産化影響除き
25.8% 22~25% 人員・外注費の増加ペースを売上成長以下に抑制
S&M比率 50.2% 45~48% 営業生産性向上、AI活用、広告投資最適化
調整後G&A比率 9.1% 7~8% AI・業務効率化により管理部門の増員を抑制

計画達成に向けた分析

成長面は法人Midが主エンジン

FY2026のプラットフォームARRは前年比21.8%増、 法人全体は24.0%増、法人Midは27.2%増。 FY2027売上高23%成長を支えるだけの成長モメンタムは現時点で確認できる。

最大の焦点は利益率の上昇速度

調整後営業利益率はFY2026の6.3%からFY2027に11.0%へ 4.7ポイント改善させる計画。 さらにFY2028は15%以上が最低ラインであり、 AIによる人員生産性とS&M比率低下の実現度が重要となる。

Rule of 40は見た目以上に高いハードル

FY2027計画を単純合算すると「23%+11%=34%」。 FY2028に40%へ到達するには合計でさらに約6ポイント改善が必要。 「20%成長・15%利益率」という最低ラインだけでは40%に届かない。

AIは売上とコストの双方に効かせる設計

AI関連の直接的な収益だけを頼る計画ではなく、 顧客獲得、会計事務所エコシステム、クロスセルに加え、 開発・営業・管理部門のコスト生産性改善にもAIを利用する点が特徴。

③ 達成リスク・留意点

A-SaaS終了による一時的なユーザー減少

会社は、A-SaaSサービス終了に伴う解約の影響により、 2027年6月期第1四半期の法人純増ユーザー数が一時的に減少する見通し と明記している。短期的には法人ユーザー数の伸びを押し下げる要因となる。

フリー・キャッシュ・フローの予測変動

FY2026の調整後FCFは▲3.5億円、マージン▲0.8%となり会社予想を下回った。 未払金や前受収益、支払いタイミングなどによる変動が大きく、 会社自身もFCFはボラティリティが生じやすいと説明している。

Rule of 40の評価指標を変更

2028年6月期のRule of 40は、従来の 「売上高成長率+調整後FCFマージン」から 「売上高成長率+調整後営業利益率」へ変更された。 会社は、調整後営業利益率の方が経営上のコントロール性と予想確度が高いことを理由としている。 FCFについても重要指標として継続モニタリングする方針。

コスト改善計画には不確実性

会社資料では、各費用率の見通しについて、 今後の売上高成長、投資の進捗、その他のリスク・不確定要素によって 実際の数値が異なる可能性があるとしている。 特に売上成長を維持しながらS&M・R&D・G&A比率を同時に低下させられるかが重要となる。

総合評価: FY2026時点で法人ARR・Mid ARRが20%台の成長を維持しており、 FY2027の売上成長目標には一定の裏付けがある。 一方、2028年6月期のRule of 40達成には、 売上高20%超の成長継続だけでなく調整後営業利益率の急速な改善も必要。 今後の決算では「法人ARR成長率」「法人NRR」「S&M比率」 「調整後営業利益率」「調整後FCF」の5項目を追うことで、 中期目標への進捗を把握しやすい。

参照資料

※本ページは会社開示資料をもとに中期経営戦略を整理・分析したものであり、 株式の売買を推奨するものではありません。

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