テクニスコ 2962 東証S
TECNISCO, LTD.|高性能ヒートシンクと精密ガラス部品を、複数の加工工程を融合する「クロスエッジ」技術で試作から量産まで提供する精密部品メーカー。
※2026年6月25日時点の情報
事業内容
2026年6月25日の時価総額は約126億円。参照株価1,369円と、2026年6月期第3四半期末の発行済株式総数9,193,374株を用いて算出した。
1970年2月設立。本社は東京都品川区南品川、代表取締役社長は関家圭三。6月決算で、東京証券取引所スタンダード市場に上場している。広島、中国・蘇州、シンガポールに生産拠点を持ち、切断、研削、研磨、金属膜形成、接合などを組み合わせた精密加工部品事業を展開する。開示上は単一セグメントだが、製品群はヒートシンク製品、ガラス製品、その他の精密加工品に分けられる。
2026年6月期第3四半期累計は、売上高2,708百万円、営業損失277百万円、経常損失217百万円、親会社株主に帰属する四半期純損失221百万円。前年同期の営業損失793百万円から赤字幅は縮小した。欧米の産業用レーザー向け高性能ヒートシンクと、アジア向けガラス製品の需要回復が進んでいる。通期会社予想は売上高4,200百万円、営業利益60百万円で、営業黒字への転換を見込む。2026年6月30日には運転資金と財務基盤の安定化を目的として2,300百万円を借り入れ、同日に既存借入1,130百万円を返済する予定である。
精密加工部品事業全体|単一セグメントの受託加工モデル
業績推移サマリ: 売上高は2022年6月期の5,480百万円をピークに減少し、2025年6月期は3,362百万円となった。2026年6月期は4,200百万円への回復を見込むが、第3四半期累計では営業損失が残っており、第4四半期の収益改善が通期黒字化の焦点となる。
連結売上高推移(百万円)
テクニスコの事業は、精密加工部品事業の単一セグメントである。受注品の材料、形状、寸法精度、熱特性、気密性などの要求に応じて、加工工程を個別に組み合わせる受託加工型の事業構造を持つ。
中核となるのが、切断、研削、研磨、金属膜形成、接合という異なる加工技術を社内で横断的に組み合わせる「クロスエッジ」である。単一の加工だけでは製造が難しい複雑形状や微細構造について、工程設計から試作、量産立ち上げまで対応する。
対象材料は銅タングステン、銅モリブデン、ダイヤモンド複合材料などの放熱材料に加え、ガラス、シリコン、サファイア、セラミックス、アルミニウムなど多岐にわたる。材料ごとに異なる硬度、脆性、熱膨張率、加工反応を考慮し、加工条件を最適化する必要がある。
最終用途は産業機器、光・無線通信、自動車、ライフサイエンス、モバイル機器、航空宇宙、環境・エネルギー分野に広がる。主力は高出力半導体レーザー向けヒートシンクであり、光通信モジュール、パワー半導体、検査・分析装置向けの精密ガラス部品も重要な収益源である。
広島工場は主要な国内生産拠点であり、中国・蘇州とシンガポールにも製造機能を持つ。各拠点の機能は完全には代替できないため、生産拠点ごとの稼働率と製品構成が連結採算に影響する。
2024年6月期以降は、中国の景況悪化、顧客の在庫調整、価格競争、欧米向け高採算製品の需要変動によって売上高が減少した。固定費負担が重い製造業であるため、売上数量の低下が工場稼働率と粗利益率の低下に直結しやすい。
2025年6月期には生産設備等について1,271百万円の減損損失を計上した。設備の帳簿価額は圧縮されたが、事業の収益力を回復できるかどうかは、受注数量、販売価格、高付加価値品の構成比、固定費削減の進捗に左右される。
2026年6月期第3四半期は、売上高が前年同期比8.5%増加し、営業赤字も大幅に縮小した。回復局面に入っている一方、通期営業利益60百万円の達成には第4四半期の利益寄与が必要となる。
ヒートシンク製品|半導体レーザー・光通信・パワー半導体向け放熱部品
業績推移サマリ: ヒートシンク製品売上高は2022年6月期の3,291百万円から、2025年6月期には1,367百万円まで減少した。中国市場の需要減少と価格競争が主因である。2026年6月期は不採算製品の見直しと欧米顧客の需要回復により、採算改善が進んでいる。
ヒートシンク製品売上高推移(百万円)
ヒートシンク製品は、半導体や光デバイスが発生する熱を外部へ逃がし、素子の性能低下や故障を防ぐための放熱部品である。テクニスコでは高出力半導体レーザー、光通信モジュール、パワー半導体、MPUなどに使用される製品を扱う。
高出力半導体レーザーでは、発光部の温度上昇が光出力、波長安定性、寿命に影響する。ヒートシンクには高い熱伝導性だけでなく、半導体素子に近い熱膨張特性、平坦度、表面粗さ、接合性が求められる。
主な材料にはCu-W、Cu-Mo、ダイヤモンド複合材料などがある。銅は熱伝導性に優れるが熱膨張率が大きく、タングステンやモリブデンとの複合化によって熱膨張率を調整する。ダイヤモンド複合材料は、より高い放熱性能が求められる用途の候補となる。
製品群にはヒートスプレッダー、サブマウント、キャリア、マウント、Cu-AlN-Cuサブマウント、マイクロチャネルクーラー、シームレス高耐圧マイクロチャネルなどが含まれる。
マイクロチャネルクーラーは、微細な流路へ冷媒を通し、発熱源の近傍から熱を除去する部品である。通常の受動的な金属ヒートシンクより複雑な加工と接合が必要であり、微細流路の寸法精度、気密性、耐圧性が品質を左右する。
光通信向けでは、高速通信モジュール内のレーザーや受光素子の温度を安定させるため、放熱部品の小型化と高精度化が求められる。デバイスの高密度化と通信速度の上昇は熱設計を難しくするため、高熱伝導材料と精密加工技術の重要性は高い。
2024年6月期と2025年6月期は、中国市場の景況悪化、顧客需要の減少、中国メーカーとの価格競争が重なった。不採算品の販売を続けると売上高を確保しても利益が残りにくいため、2026年6月期は採算性を重視した受注構成への転換を進めている。
欧米の主要顧客では産業用レーザー向け需要が回復傾向にある。中国向け数量の単純な回復だけでなく、高性能品や高付加価値品の比率を高められるかが、ヒートシンク事業の利益回復を判断するポイントとなる。
ガラス製品|微細穴・流路・気密封止を担う精密ガラス加工
業績推移サマリ: ガラス製品売上高は2023年6月期に1,438百万円まで拡大した後、2025年6月期は1,118百万円となった。2026年6月期はアジア地域の複数顧客で需要が回復し、売上改善が進んでいる。
ガラス製品売上高推移(百万円)
ガラス製品は、光学特性、電気絶縁性、気密性、耐薬品性、平坦性などを利用する精密部品である。用途は光通信、イメージセンサー、半導体、モバイル機器、検査装置、バイオ・医療機器に及ぶ。
製品群には微細穴ガラス、TGV、マイクロ流路チップ、マイクロ流路ウエハ、キャビティガラス、キャップガラス、メッシュガラス、スペーサーガラスなどがある。
TGVはガラス基板を厚さ方向に貫通する微細穴を形成し、穴の内部を導体化して電気接続に利用する技術である。ガラスはシリコンと比較して電気絶縁性や高周波特性に利点があり、センサー、半導体パッケージ、光デバイスなどで活用余地がある。
微細穴加工では、穴径、位置精度、穴壁の品質、欠けやクラックの抑制が重要となる。ガラスは脆性材料であるため、加工条件が適切でなければ微小な欠陥が強度低下や気密不良につながる。
マイクロ流路製品は、液体や気体を微細な流路内で制御するための部品である。バイオ分析、検査装置、ライフサイエンス関連の消耗品などに用いられ、流路形状、表面状態、接合部の気密性が性能を左右する。
キャップガラスやキャビティガラスは、センサーや電子部品を外気、湿気、異物から保護する封止部材として利用される。微細加工したガラスと金属膜形成、接合工程を組み合わせることで、単純な板ガラスより付加価値の高い部品となる。
2023年6月期は海外のライフサイエンス市場向け需要が売上を押し上げた。その後は欧米や国内顧客の短期的な需要変動を受け、2025年6月期まで売上高が減少した。
2026年6月期第3四半期には、アジア地域の複数顧客で需要が回復した。ヒートシンク製品と異なる需要先を持つため、ガラス製品の拡大は収益源の分散にもつながる。
その他の精密加工品|シリコン・サファイア・セラミックス・加工工具
業績推移サマリ: その他製品売上高は2022年6月期の970百万円から2024年6月期の831百万円まで減少したが、2025年6月期は876百万円へ増加した。主力2製品が減収となる中で、売上構成上の安定要素となった。
その他製品売上高推移(百万円)
その他製品には、シリコン、アルミナ、アルミニウム、サファイアなどを用いた精密加工部品や、加工工具関連製品が含まれる。顧客の図面や仕様に基づき、切断、研削、研磨、穴加工、金属膜形成、接合などを組み合わせる。
シリコン加工品は半導体やセンサー関連の部材として利用される。シリコンは半導体材料である一方、脆性があり、薄型化や微細加工では欠け、割れ、反りの管理が必要となる。
サファイアは硬度、耐熱性、光学特性に優れるが、加工が難しい材料である。精密な切断と研磨が必要なため、加工ノウハウが品質とコストを左右する。
セラミックスは電気絶縁性、耐熱性、耐摩耗性などを持ち、半導体や電子部品、産業機器に使用される。材料ごとの特性差が大きく、工具、加工速度、冷却条件、仕上げ方法を個別に設計する必要がある。
工具製品では、コアドリルなどの加工用製品も扱う。自社が精密加工を行う過程で蓄積した加工条件や工具選定の知見を、製品開発へ応用できる。
同社は2017年以降、シンガポールを拠点として新材料分野にも取り組んでいる。既存の加工工程へ新材料を組み合わせることで、従来のヒートシンクやガラス部品とは異なる製品領域を開拓する方針である。
その他製品の売上規模はヒートシンク製品より小さいが、2025年6月期は前期比で増加した。特定の主力製品や地域需要への依存を下げるうえで、新材料、工具、特殊加工品の育成は重要となる。
量産規模の拡大だけでなく、顧客が加工方法を確立できていない案件へ早期に参加し、試作段階から工程設計を担えるかが、高付加価値化の鍵となる。
直近5年業績サマリー
| 業績項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 | 2026年6月期 会社予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,346 |
5,480 +1,134 / +26.1% |
5,347 -133 / -2.4% |
4,683 -664 / -12.4% |
3,362 -1,321 / -28.2% |
4,200 +838 / +24.9% |
| 営業損益 | 154 |
619 +465 / +301.9% |
273 -346 / -55.9% |
-476 -749 / 赤字転落 |
-1,443 -967 / 赤字拡大 |
60 +1,503 / 黒字転換予想 |
| 経常損益 | 353 |
887 +534 / +151.3% |
329 -558 / -62.9% |
-318 -647 / 赤字転落 |
-1,629 -1,311 / 赤字拡大 |
40 +1,669 / 黒字転換予想 |
| 当期純利益 | 277 |
802 +525 / +189.5% |
222 -580 / -72.3% |
-603 -825 / 赤字転落 |
-2,976 -2,373 / 赤字拡大 |
30 +3,006 / 黒字転換予想 |
| EPS | 30.13円 |
87.24円 +57.11円 / +189.5% |
24.15円 -63.09円 / -72.3% |
-65.59円 -89.74円 / 赤字転落 |
-323.71円 -258.12円 / 赤字拡大 |
3.26円 黒字転換予想 |
| PER | ― 未上場 |
― 未上場 |
― 未上場 |
算出不可 EPS赤字 |
算出不可 EPS赤字 |
419.5倍 |
| PBR | ― 未上場 |
― 未上場 |
― 未上場 |
1.03倍 | 1.79倍 | ― |
| BPS | 264.21円 |
382.67円 +118.46円 / +44.8% |
406.71円 +24.04円 / +6.3% |
509.93円 +103.22円 / +25.4% |
176.65円 -333.28円 / -65.4% |
― |
| 純資産 | 2,429 |
3,518 +1,089 / +44.8% |
3,739 +221 / +6.3% |
4,688 +949 / +25.4% |
1,624 -3,064 / -65.4% |
― |
| 営業CF | 837 |
1,042 +205 / +24.5% |
361 -681 / -65.4% |
-386 -747 / 支出転換 |
-256 +130 / 支出縮小 |
― |
| 投資CF | -337 |
-634 -297 / 支出拡大 |
-792 -158 / 支出拡大 |
-434 +358 / 支出縮小 |
-184 +250 / 支出縮小 |
― |
| 財務CF | -380 |
-247 +133 / 支出縮小 |
416 +663 / 収入転換 |
2,092 +1,676 / +402.9% |
226 -1,866 / -89.2% |
― |
| 現金及び現金同等物 | 612 |
835 +223 / +36.4% |
729 -106 / -12.7% |
2,080 +1,351 / +185.3% |
1,812 -268 / -12.9% |
― |
発行済株式総数の増加を反映するため、EPSとBPSは2026年6月期第3四半期末の発行済株式総数9,193,374株を用いて全期間を再計算した。
2024年6月期のPBRは株価524円、2025年6月期のPBRは株価317円、2026年6月期会社予想列のPERは参照株価1,369円で算定した。2023年6月期末以前は未上場のためPER・PBRを記載していない。赤字期のPERは算出不可。
2025年6月期は生産設備等に関する減損損失1,271百万円を計上。2026年6月期は会社予想であり、実績値とは異なる可能性がある。
中期経営計画
VISION 2030と収益基盤の再構築
独立した中期経営計画として、売上高や営業利益の年度別数値目標を網羅した資料は確認できない。会社は2030年に向けた「VISION 2030」を掲げ、既存の受託加工事業を強化しながら、独自製品を量産事業へ育成する方向性を示している。
直近の定量目標は2026年6月期会社予想で、売上高4,200百万円、営業利益60百万円、経常利益40百万円、親会社株主に帰属する当期純利益30百万円。2025年6月期の大幅赤字から黒字へ転換し、事業継続に必要な収益基盤を回復することが当面の目標となる。
基本方針
- 中国市場で採算性が低下したヒートシンク製品の選別を進め、売上数量より利益を重視する。
- 欧米の産業用レーザー顧客向け高性能ヒートシンクの需要回復を取り込む。
- アジア地域で回復しているガラス製品需要を受注へつなげる。
- 固定費、製造原価、在庫水準を抑制し、工場稼働率の上昇を粗利益改善へ結び付ける。
- クロスエッジ技術を生かし、複数材料と複数工程を必要とする高付加価値案件へ集中する。
- 2030年に向け、受託加工だけに依存しない独自製品の量産化を目指す。
成長戦略の評価では、単純な売上回復だけでなく、粗利益率、営業キャッシュ・フロー、借入金の返済・借換状況、新製品の量産開始時期を継続的に確認する必要がある。
IR情報へ競合他社
① 住友電気工業<5802>|アライドマテリアル
2026年6月25日株価:12,240円
時価総額:約9兆7,178億円
テクニスコと直接競合する製品は、住友電気工業の完全子会社であるアライドマテリアルが中心となる。アライドマテリアルは非上場であるため、親会社の住友電気工業を比較対象とした。
アライドマテリアルは、Cu-W、Cu-Mo、Cu-Diamondなどを使用したヒートスプレッダー、半導体レーザー向けサブマウント、高出力半導体向け放熱部品、タングステン・モリブデン精密加工品を扱う。
高出力半導体レーザー、光通信モジュール、パワー半導体、化合物半導体、高周波デバイスなど、テクニスコのヒートシンク製品と用途が重なる。特に、低熱膨張と高熱伝導を両立させた複合材料製品は直接的な競合領域である。
アライドマテリアルは材料開発から加工、量産までを行い、大規模な顧客基盤とグローバル供給力を持つ。標準化しやすい大量生産品では、調達力、設備投資力、供給能力の差が競争力となる。
住友電気工業の2026年3月期業績は、売上高約5兆1,102億円、営業利益約4,182億円、経常利益約4,313億円、親会社株主に帰属する当期純利益約3,695億円。事業規模と財務力はテクニスコを大きく上回る。
テクニスコは材料の大量供給ではなく、切断、研削、研磨、金属膜形成、接合を組み合わせた特殊形状品、少量多品種品、顧客別の工程開発で差別化する必要がある。
② MARUWA<5344>|高熱伝導セラミック基板
2026年6月25日株価:69,080円
時価総額:約8,547億円
MARUWAは、窒化アルミニウムを中心とした高熱伝導セラミック基板、メタライズドセラミック基板、光通信向けセラミック部品、半導体パッケージ用基板、薄膜回路基板などを展開する。
窒化アルミニウムは、高い熱伝導性、電気絶縁性、シリコンに近い熱膨張特性を持つ。半導体やレーザーの熱を逃がしながら電気的に絶縁する必要がある用途で使用される。
テクニスコのCu-W、Cu-Mo、ダイヤモンド複合材料などを用いた金属系ヒートシンクとは材料が異なるが、高出力レーザー、光通信デバイス、パワー半導体、半導体パッケージの設計段階で代替候補となる。
MARUWAは材料開発、焼成、メタライズ、回路形成までを一貫して行える。電気絶縁性を必要とする放熱基板では、金属系製品に対して材料特性上の優位性を持つ場合がある。
2026年3月期業績は、売上高約744.76億円、営業利益約249.76億円、経常利益約263.21億円、親会社株主に帰属する当期純利益約181.63億円。2027年3月期は売上高841億円、営業利益297億円を予想している。
テクニスコは金属、ガラス、シリコン、サファイアなど複数材料への対応力と、マイクロチャネルを含む複雑な構造加工で差別化する。顧客の熱設計において、金属系部品とセラミック基板のどちらを採用するかが競争点となる。
③ フェローテックホールディングス<6890>|温調・半導体材料部品
2026年6月25日株価:10,190円
時価総額:約5,408億円
フェローテックホールディングスは、サーモモジュール、パワー半導体用絶縁放熱基板、石英製品、ファインセラミックス、CVD-SiC、シリコンパーツ、金属加工品などを展開する。
小型サーモモジュールは、光通信用レーザー、励起用レーザー、センサーなどの温度を電気的に制御する部品である。テクニスコのヒートシンクが熱を外部へ逃がす受動部品であるのに対し、サーモモジュールは電流によって冷却・加熱する能動部品となる。
構造は異なるものの、光通信モジュールや高出力レーザーの熱設計では、顧客の性能要求、設置スペース、消費電力、コストによって代替または組み合わせの対象となる。
パワー半導体用基板、石英、セラミックス、シリコンパーツについても、テクニスコが扱う精密加工品と競合領域が重なる。フェローテックは複数の材料・部品を一括提案でき、量産供給力を持つ。
2026年3月期業績は、売上高約2,889.33億円、営業利益約275.61億円、経常利益約260.63億円、親会社株主に帰属する当期純利益約148.86億円。半導体製造装置関連と電子デバイスの双方に事業基盤を持つ。
テクニスコは、特殊形状、微細加工、異種材料接合、少量多品種の顧客別開発で差別化する必要がある。標準品を大量供給する案件より、顧客との共同開発や工程設計が必要な案件で競争力を発揮しやすい。
強みと将来性
複数材料・複数工程を横断するクロスエッジ技術
最大の強みは、切断、研削、研磨、金属膜形成、接合という異なる加工工程を社内で組み合わせ、顧客の要求仕様に合わせた製造工程を構築できる点にある。
精密部品では、一つの工程だけが優れていても最終製品の品質は安定しない。切断時の欠け、研削後の反り、研磨面の粗さ、金属膜の密着性、接合部の気密性などが相互に影響する。複数工程を一体で設計できることは、工程間の責任分界を減らし、品質問題の原因を追跡しやすくする。
外部の加工会社へ工程を分散する場合、材料の輸送、工程間の検査、仕様調整、納期管理が必要になる。社内で工程を連続させることができれば、試作の反復を速め、顧客の設計変更にも対応しやすい。
対応材料が金属だけに限定されず、ガラス、シリコン、サファイア、セラミックスに広がっている点も強みである。顧客は部品単体ではなく、熱、光、電気、機械強度、気密性を含むシステム全体の性能を求める。複数材料を扱えることで、用途に応じた材料と加工方法を提案できる。
ヒートシンク分野では、Cu-W、Cu-Mo、ダイヤモンド複合材料、マイクロチャネル構造など、高性能な熱制御を必要とする製品群を持つ。産業用レーザー、光通信、パワー半導体など、発熱密度が高い用途では、熱設計が製品性能の制約となりやすい。
ガラス分野では、微細穴、TGV、マイクロ流路、キャビティ、金属膜形成、接合を組み合わせられる。単純なガラス加工ではなく、電子部品、センサー、ライフサイエンス装置へ組み込まれる機能部品を製造できる。
顧客ごとの専用品を試作段階から支援する事業モデルは、大手企業が標準品の量産を優先する市場で差別化要因となる。少量多品種や開発初期の案件は量産効率が低い一方、加工方法が確立されていないほど、工程設計の知見が価値を持つ。
将来性は、高出力レーザー、光通信、パワー半導体、センサー、バイオ分析などで熱管理と微細加工の要求が高度化することにある。デバイスが小型化・高出力化すると、単位面積当たりの発熱量が増え、放熱部品の性能と加工精度が重要になる。
2026年6月期第3四半期には、欧米の高性能ヒートシンクとアジアのガラス製品で需要回復が確認されている。回復した売上を粗利益と営業キャッシュ・フローへ変換できれば、2024年6月期以降の収益悪化から転換する可能性がある。
2030年に向けて独自製品を量産化する方針も、中長期の成長余地となる。受託加工で蓄積した顧客課題と加工技術を自社製品へ転換できれば、顧客別案件だけに依存しない収益源を形成できる。
ただし、技術的な強みが直ちに利益へ結び付くとは限らない。高付加価値品の受注比率、量産歩留まり、設備稼働率、販売価格を改善し、技術価値を利益率として実証することが必要となる。
弱みとリスク要因
赤字継続、財務余力、需要変動、価格競争への対応
最大の弱みは、売上高の減少が工場稼働率と利益率の低下へ直結しやすい固定費型の事業構造である。2023年6月期の売上高5,347百万円から、2025年6月期は3,362百万円まで減少した。
2024年6月期は営業損失476百万円、2025年6月期は営業損失1,443百万円となった。売上数量の低下、価格競争、高採算製品の需要減少、在庫廃棄などが重なり、営業赤字が拡大した。
2025年6月期には生産設備等について1,271百万円の減損損失を計上し、親会社株主に帰属する当期純損失は2,976百万円となった。純資産は前期末の4,688百万円から1,624百万円へ減少した。
2026年6月期第3四半期末の純資産は1,588百万円、自己資本比率は27.7%である。第3四半期累計の営業損失は277百万円まで縮小したが、通期営業利益60百万円を達成するには第4四半期に大きな利益を計上する必要がある。
会社予想の通期純利益は30百万円にとどまる。参照株価1,369円と再計算EPS3.26円で算定した予想PERは約419.5倍となり、最終利益の絶対額が小さいため、利益のわずかな変動でもPERが大きく変化する。
資金面では、2026年6月30日に2,300百万円を三菱UFJ銀行から借り入れ、同日に既存借入1,130百万円を返済する予定である。新規借入の期限は2026年10月31日で、代表取締役の資産管理会社が保有する有価証券が担保となる。
借入によって当面の運転資金を確保できる一方、返済期限までの期間が短く、返済または再度の借換条件が財務運営上の重要事項となる。営業キャッシュ・フローの黒字化が遅れた場合、金利負担や資金調達条件が収益を圧迫する可能性がある。
地域別では海外売上への依存度が高く、中国、欧米、アジアの設備投資や顧客在庫の変動を受ける。特に中国の産業用レーザー市場では、景況悪化、顧客需要の減少、現地競合との価格競争が業績悪化の要因となった。
為替変動も業績へ影響する。円安は外貨建て売上の換算額を押し上げやすい一方、輸入材料や海外拠点費用を増加させる可能性がある。円高は外貨建て売上の円換算額を減少させる。為替予約などで影響を抑えても、完全には排除できない。
原材料には銅、タングステン、モリブデン、ガラス、貴金属、非金属材料などを使用する。資源価格、エネルギー価格、物流費の上昇や調達難が発生し、販売価格への転嫁が遅れると利益率が低下する。
広島、蘇州、シンガポールの生産拠点は、それぞれ設備や加工機能が異なる。大規模災害、停電、感染症、物流停止、地政学的問題によって一つの拠点が停止しても、他拠点へ直ちに全生産を移管できない可能性がある。
顧客別の専用品は一度採用されると継続取引につながる可能性がある一方、主要顧客の設計変更、在庫調整、製品終息によって受注が急減することがある。少数案件の需要変動が工場稼働率へ与える影響を確認する必要がある。
収益回復の確認には、四半期ごとの売上高だけでなく、売上総利益率、営業損益、在庫、営業キャッシュ・フロー、借入金残高、欧米向けヒートシンクとアジア向けガラス製品の販売動向を追跡することが重要となる。

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