5942 日本フイルコン

日本フイルコン 5942 東証S

Nippon Filcon Co., Ltd.|産業用機能フィルター・コンベア、電子部材・フォトマスク、環境・水処理、不動産賃貸を展開。製紙用網を源流に、工業用特殊網、フォトマスク、プールろ過装置まで広い領域を持つ素材・設備系企業。

※2026年7月1日時点の情報

事業内容

2026年7月1日の時価総額は約158.5億円。株価は715円、発行済株式数は22,167,211株。日本フイルコンは1916年創業、1936年設立の産業用フィルター・フォトマスク・水処理関連企業で、本社は東京都稲城市大丸2220、代表者は名倉宏之、決算期は11月、東証スタンダード市場に上場している。

事業は、産業用機能フィルター・コンベア事業、電子部材・フォトマスク事業、環境・水処理関連事業、不動産賃貸事業で構成される。2025年11月期末の資本金は2,685百万円、従業員数は連結1,273名、単体433名。

2025年11月期は売上高27,842百万円、営業利益668百万円、経常利益944百万円、親会社株主に帰属する当期純損失726百万円。2026年11月期は2026年7月1日に通期予想を上方修正し、売上高28,500百万円、営業利益1,400百万円、経常利益1,600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益800百万円を見込む。

産業用機能フィルター・コンベア事業

外部顧客売上高は2021年11月期16,839百万円から2025年11月期20,031百万円へ拡大。2024年11月期に20,088百万円まで伸び、2025年11月期はほぼ横ばい圏で推移した。セグメント利益は2024年11月期1,135百万円から2025年11月期786百万円へ低下した。
外部顧客売上高推移(単位: 百万円)
2021 2022 2023 2024 2025 16,839 18,775 18,497 20,088 20,031

同事業は、製紙用網、各種工業用特殊網、産業用フィルター、コンベア関連製品を扱う日本フイルコンの主力事業である。

製紙用網は紙を抄く工程で使われる消耗性の機能部材で、紙・板紙メーカーの生産設備に組み込まれる。顧客の紙質、抄紙速度、原料配合、水切れ、寿命、洗浄性などに応じた仕様設計が重要で、単なる汎用品販売ではなく、操業条件への適合力が競争力になる。

国内では紙需要の構造変化が続く一方、段ボール原紙や特殊紙などの分野では安定した更新需要が残る。海外では紙・板紙需要の伸びる地域もあり、同社の中期方針では海外販売体制の見直し、ドイツ販売子会社の再編、タイ子会社への生産移管を掲げる。

コンベア関連製品では、食品、物流、工場内搬送、各種生産ライン向けの搬送部材として案件を取り込む。製紙用網だけに依存しない周辺用途の開拓が、同事業の収益安定化に直結する。

2026年11月期中間期は、同事業の外部顧客売上高が10,187百万円、セグメント利益が606百万円。国内連結子会社で退職金制度変更に伴う退職給付費用が減少したことも、通期利益予想の上方修正要因となっている。

電子部材・フォトマスク事業

外部顧客売上高は2022年11月期3,927百万円を底に、2025年11月期4,557百万円まで3期連続で増加。2025年11月期のセグメント利益は369百万円で、2024年11月期500百万円からは減少したが、2026年11月期中間期は486百万円まで回復している。
外部顧客売上高推移(単位: 百万円)
2021 2022 2023 2024 2025 4,173 3,927 4,163 4,365 4,557

同事業は、フォトマスク製品、フォトエッチング製品、太陽光発電システムなどを扱う。主要な事業主体はファインエレクトロニクスカンパニーで、電子部材分野における微細加工・マスク技術が中核になる。

フォトマスクは、半導体、センサー、電子部品、表示デバイス、各種高機能部材の製造工程で使われる原版に近い役割を持つ。顧客の製品開発サイクルと連動しやすく、試作から量産移行までの案件獲得が売上の伸びを左右する。

会社の中期方針では、AI、データセンター、通信高速化を背景に、省エネルギー化・高集積化に対応する電子部品の需要が見込まれるとしている。高周波デバイス、センサー、電子部品向けフォトマスク需要の取り込みが重点となる。

2026年11月期中間期は、同事業の外部顧客売上高が2,399百万円、セグメント利益が486百万円。2026年11月期通期予想の上方修正理由でも、電子部材・フォトマスク事業の需要堅調が明記されている。

2025年11月期は純損失となったが、電子部材・フォトマスク事業の増収基調と2026年中間期の利益回復は、同社の再評価材料になりやすい。

環境・水処理関連事業

外部顧客売上高は2023年11月期4,292百万円をピークに、2024年11月期3,153百万円、2025年11月期2,223百万円へ減少。セグメント利益は2024年11月期63百万円の損失から、2025年11月期64百万円の利益へ黒字化した。
外部顧客売上高推移(単位: 百万円)
2021 2022 2023 2024 2025 2,747 2,215 4,292 3,153 2,223

同事業は、プールろ過装置、ろ過装置、アクア関連製品、屋外施設関連製品、絶縁継手などを扱う。事業主体はアクアプロダクトカンパニーで、2012年に旧アクア事業部を独立させた事業部門である。

学校プール、公共施設、ホテル、スポーツ施設、各種水処理設備向けに、設計、施工、保守に近い性格を持つ案件を取り込む。ろ過装置やプール関連設備は、設備投資や更新予算の影響を受けやすい。

中期方針では、少子化、猛暑、民間委託の進展により、学校プール市場は縮小傾向にあるとされる。一方で、同社はプール本体とろ過装置の両方を扱う国内メーカーとしての特徴を持ち、ホテル向けなど民間需要の開拓余地がある。

2026年11月期中間期は、同事業の外部顧客売上高が1,256百万円、セグメント利益が80百万円。2025年11月期に黒字を確保した後、利益水準の維持が焦点になる。

不動産賃貸事業

外部顧客売上高は2021年11月期1,024百万円、2022年11月期1,034百万円、2023年11月期1,034百万円、2024年11月期1,033百万円、2025年11月期1,032百万円と安定推移。セグメント利益も700百万円台後半を維持している。
外部顧客売上高推移(単位: 百万円)
2021 2022 2023 2024 2025 1,024 1,034 1,034 1,033 1,032

同事業は、自社で所有する不動産の賃貸・管理を担う。店舗、マンション、駐車場などとして賃貸し、保有資産の維持管理を行う。

製造業を主軸とする同社にとって、不動産賃貸事業は景気変動や設備投資サイクルから比較的独立した収益源である。売上高は1,000百万円前後で安定し、セグメント利益は700百万円台後半と高い利益率を維持している。

中期方針では、工場跡地や寮跡地などの所有不動産を活用し、収益力を維持するとしている。賃料改定交渉や修繕への対応が課題となるが、製造事業の利益変動を下支えする役割は大きい。

2026年11月期中間期は、同事業の外部顧客売上高が515百万円、セグメント利益が386百万円。安定収益基盤として、全社利益の下支え機能が続いている。

直近5年業績サマリー

業績項目 2021/11 2022/11 2023/11 2024/11 2025/11 2026/11予
売上高24,78125,950
+1,169(+4.7%)
27,986
+2,036(+7.8%)
28,639
+653(+2.3%)
27,842
△797(-2.8%)
28,500
+658(+2.4%)
営業損益1,1031,060
△43(-3.9%)
631
△429(-40.4%)
924
+293(+46.4%)
668
△256(-27.8%)
1,400
+732(+109.6%)
経常損益1,6151,685
+70(+4.3%)
1,019
△666(-39.5%)
1,130
+111(+10.9%)
944
△186(-16.5%)
1,600
+656(+69.5%)
当期純利益1,0841,077
△7(-0.7%)
1,270
+193(+17.9%)
622
△648(-51.0%)
△726
赤字転落
800
黒字転換
EPS50.7351.28
+0.55(+1.1%)
62.56
+11.28(+22.0%)
31.65
△30.91(-49.4%)
△37.47
赤字転落
41.34
黒字転換
PER10.29.17.516.0赤字17.3
PBR0.510.440.410.440.46
BPS1,004.281,062.35
+58.07(+5.8%)
1,140.26
+77.91(+7.3%)
1,158.21
+17.95(+1.6%)
1,143.22
△14.99(-1.3%)
純資産21,96622,723
+757(+3.4%)
23,156
+433(+1.9%)
23,259
+103(+0.4%)
22,552
△707(-3.0%)
営業CF2,973799
△2,174(-73.1%)
1,785
+986(+123.4%)
1,971
+186(+10.4%)
2,994
+1,023(+51.9%)
投資CF△1,730△1,110
+620(+35.8%)
△513
+597(+53.8%)
△1,013
△500(-97.5%)
△2,439
△1,426(-140.8%)
財務CF△1,279380
+1,659(+129.7%)
△1,639
△2,019(-531.3%)
△579
+1,060(+64.7%)
△345
+234(+40.4%)
現金及び現金同等物3,8624,664
+802(+20.8%)
4,375
△289(-6.2%)
4,822
+447(+10.2%)
5,113
+291(+6.0%)
単位は売上高・利益・純資産・キャッシュフローが百万円、EPS・BPSが円、PER・PBRが倍。PER・PBR計算には、ユーザー提供の各期末株価を使用。2026年11月期予想PERは2026年7月1日時点株価715円を使用。2026年11月期予想は、2026年7月1日公表の通期連結業績予想修正後の数値。

中期経営計画

目標と基本方針

日本フイルコンは、2028年11月期を最終年度とする中期経営計画で、売上高28,869百万円、営業利益1,500百万円、ROE6.0%、配当性向30%以上かつDOE2.4%以上を目標に掲げている。

重点施策は、収益力の回復、人的資本の開発、グループガバナンスの強化。産業用機能フィルター・コンベア事業では、海外販売体制の見直し、ドイツ子会社再編、タイ子会社への生産移管、仕様削減、自動化・歩留まり改善を進める。

電子部材・フォトマスク事業では、AI、データセンター、通信高速化に伴う省エネルギー化・高集積化需要を取り込み、高周波デバイス、センサー、電子部品向けフォトマスクの拡販を狙う。環境・水処理関連事業では、学校プール市場縮小への対応と、ホテル向け需要の開拓を進める。

2028年11月期 売上高28,869百万円
2028年11月期 営業利益1,500百万円
ROE6.0%
株主還元配当性向30%以上・DOE2.4%以上

競合他社

1. ニッタ(5186)

時価総額:約1,724億円、株価:約5,890円。2026年3月期の売上高は918.34億円、営業利益は58.62億円。

ニッタは、伝動・搬送用ベルト、ベルトコンベヤユニット、エアフィルタ、ケミカルフィルタなどを展開する。日本フイルコンの産業用機能フィルター・コンベア事業と、工場内搬送、食品搬送、物流ライン、クリーン環境向けフィルター分野で競合する。

規模面ではニッタが大きく、自己資本比率も高い。半導体製造装置向け製品の需要回復や、原材料価格上昇分の販売価格転嫁が収益を押し上げている。日本フイルコンは製紙用網を基盤とする一方、ニッタは伝動・搬送・フィルターの広い顧客基盤を持つ。

2. 三ツ星ベルト(5192)

時価総額:約1,221億円、株価:約3,925円。2026年3月期の売上高は922.98億円、営業利益は86.78億円、経常利益は101.78億円。

三ツ星ベルトは、伝動ベルト、樹脂コンベヤベルト、ゴムコンベヤベルト、搬送システム製品、ふるい分け用ウレタン網などを展開する。日本フイルコンとは、食品搬送、物流搬送、工場内搬送、産業用メッシュ・ベルト領域で競合する。

同社はベルト専業色が強く、国内外の産業機械・自動車・一般産業向けに広い納入基盤を持つ。日本フイルコンは製紙用網と特殊網の技術を起点にしており、三ツ星ベルトは伝動・搬送部材の総合力で競争する構図になる。

3. バンドー化学(5195)

時価総額:約974億円、株価:約2,203円。2025年度の売上収益は1,192.57億円、コア営業利益は95.51億円、営業利益は120.73億円。

バンドー化学は、自動車用ベルト、産業用ベルト、搬送用ベルト、高機能エラストマー製品などを展開する。日本フイルコンとは、産業用コンベア、搬送ベルト、工場内ライン向け部材の領域で競合する。

バンドー化学は自動車・産業機械向けの販売網が厚く、売上規模も日本フイルコンを大きく上回る。日本フイルコンは、製紙用網、特殊網、フォトマスク、水処理、不動産賃貸を組み合わせる多角型であり、搬送ベルト専業大手とは収益構造が異なる。

強みと将来性

製紙用網を起点にした特殊網・フィルター技術と、電子部材・不動産の収益補完

日本フイルコンの強みは、製紙用網を起点にした産業用機能フィルター・コンベア技術を長期にわたり蓄積している点である。抄紙工程は顧客の操業条件ごとに要求性能が異なり、品質、耐久性、水切れ、搬送性、保守性を合わせ込む必要がある。製品仕様の設計力と現場対応力が参入障壁になりやすい。

もう一つの強みは、電子部材・フォトマスク事業を持つこと。2025年11月期の同事業売上高は4,557百万円で、2022年11月期以降は増収基調にある。2026年11月期中間期では同事業の利益回復が鮮明で、会社はAI、データセンター、通信高速化に伴う省エネルギー化・高集積化需要を事業機会としている。

不動産賃貸事業の安定性も無視できない。売上高は1,000百万円前後で横ばいだが、セグメント利益は700百万円台後半を維持しており、製造系事業の変動を下支えする収益源になっている。

2026年11月期は、電子部材・フォトマスク事業の需要堅調、製造経費の抑制、退職給付費用の減少を背景に、通期営業利益予想が1,400百万円へ上方修正された。2025年11月期の純損失から黒字転換する計画であり、短期的には利益回復の進捗、長期的には電子部材分野の成長取り込みが評価軸になる。

弱みとリスク要因

国内製紙市場の成熟、環境・水処理の需要変動、電子部材の投資サイクル

最大のリスクは、主力の産業用機能フィルター・コンベア事業が国内製紙市場の構造変化を受ける点である。国内紙需要は中長期で減少圧力を受けやすく、製紙用網の国内更新需要だけでは高成長を描きにくい。海外展開、生産移管、仕様削減、自動化・歩留まり改善が進まなければ、収益力回復は限定的になる。

環境・水処理関連事業では、学校プール市場の縮小が課題になる。少子化、猛暑、民間委託の進展により、従来型の学校プール需要は減少しやすい。2023年11月期に外部顧客売上高4,292百万円まで増えた後、2025年11月期は2,223百万円まで減少しており、案件の大きさや時期によって売上が振れやすい。

電子部材・フォトマスク事業は成長余地がある一方で、顧客の開発投資、量産移行時期、半導体・電子部品市況、価格交渉、製造コストの影響を受ける。会社の中期方針でも、労務費・外注費の上昇による価格交渉難航リスクが示されている。

2025年11月期は営業利益が668百万円まで減少し、親会社株主に帰属する当期純損失726百万円を計上した。2026年11月期の黒字転換計画は重要な反転材料だが、電子部材の需要、産業用機能フィルター・コンベアの採算改善、環境・水処理の案件回復が同時に崩れると、利益計画に下振れ圧力がかかる。

出典

本記事は公開情報に基づく銘柄分析であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株価、時価総額、業績予想、各種指標は作成時点の情報を含み、将来変更される可能性があります。投資判断は必ず最新の開示資料を確認したうえで自己責任で行ってください。

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