3260 エスポア

エスポア 3260 名証N

ESPOIR CO., LTD.|不動産の企画・開発・販売、賃貸・管理、不動産コンサルティングを展開する名証ネクスト上場企業。近年は系統用蓄電池用地および送電系統に係る権利を販売用不動産として扱う案件も増えている。

※2026年7月1日時点の情報

事業内容

2026年7月1日の時価総額は約40.2億円。同日の株価終値700円と、2026年2月期末の発行済株式数5,742,000株を用いて算出した。

エスポアは1972年9月1日設立。本社は東京都渋谷区南平台町15-1、代表取締役社長は鈴木魁太氏。決算期は2月、上場市場は名古屋証券取引所ネクスト市場である。事業内容はリアルエステートコーディネート&マネジメントで、開発・販売事業、賃貸・管理事業、不動産コンサルティング事業を報告セグメントとしている。

2026年2月期は売上高556百万円、営業利益10百万円、経常利益15百万円、親会社株主に帰属する当期純利益11百万円となり、前期の赤字から黒字転換した。新規の不動産コンサルティング事業が利益を押し上げた一方、仕掛販売用不動産の増加により営業キャッシュ・フローは928百万円の支出超となった。2027年2月期の会社業績予想は、開示可能となった時点で公表する方針である。

全社業績と不動産再建フェーズ

売上高は2022年2月期1,483百万円から2025年2月期306百万円まで縮小したが、2026年2月期は556百万円へ回復した。営業損益は2025年2月期211百万円の赤字から、2026年2月期10百万円の黒字へ転換した。
連結売上高推移(単位:百万円)
1,483 1,395 708 306 556 2022 2023 2024 2025 2026

エスポアは、マンション開発、買取再販、宅地開発、商業施設開発、賃貸管理を組み合わせてきた不動産会社である。公式サイトでは「新築マンションの分譲事業」「不動産に関する企画・開発・マネジメント」を軸とし、一画の宅地から大規模な商業施設まで、地域を限定せずに価値を創造する方針を掲げている。

過去5期の業績は大きく変動している。2023年2月期は多額の最終赤字を計上し、2024年2月期は固定資産譲渡などにより大幅な最終黒字となった。2025年2月期は売上高が306百万円まで落ち込み、営業損失211百万円、純損失247百万円を計上した。

2026年2月期は、開発・販売事業、賃貸・管理事業、不動産コンサルティング事業の3本柱で再建を進めた。特に不動産コンサルティング事業は売上高155百万円、セグメント利益155百万円を計上し、全社黒字化の主要因となった。

一方で、2026年2月期末の自己資本比率は1.2%にとどまり、純資産は21百万円である。黒字化は前進だが、財務余力は薄く、販売用不動産の回収、資金繰り、第三者委員会調査の進展が投資判断上の重要論点となる。

開発・販売事業

開発・販売事業の外部顧客向け売上高は2025年2月期81百万円から2026年2月期204百万円へ増加した。セグメント損益は2025年2月期14百万円の赤字から2026年2月期5百万円の黒字へ改善した。
開発・販売事業 売上高推移(単位:百万円)
81 204 2025 2026

開発・販売事業は、マンション開発、買取再販、宅地開発、商業施設開発、再開発、用途転換を行うセグメントである。従来からの不動産開発ノウハウを背景に、土地や建物の潜在価値を見極め、販売や再生によって収益化する。

2026年2月期は、愛知県岩倉市の1区画を販売し、長野県伊那市の1物件を引き渡した。さらに、2023年8月に仕入れた神奈川県横浜市保土ヶ谷区の9区画開発物件は、販売に向けた準備を継続している。

この事業の収益は、案件の引き渡し時期に強く左右される。不動産販売は1件あたりの売上規模が大きい反面、仕入れ、開発、販売、決済までの期間が長く、年度ごとの売上高と利益にばらつきが生じやすい。

2026年6月30日には、栃木県佐野市水木町字桧内に所在する系統用蓄電池の発電設備等への送電系統に係る権利を、新たな販売用不動産として取得することを開示した。取得価格は2026年2月期売上高の10%に相当する55百万円以上で、用地及び権利での売却を目的とする。

賃貸・管理事業

賃貸・管理事業の外部顧客向け売上高は2025年2月期201百万円から2026年2月期182百万円へ減少した。セグメント損失は2025年2月期26百万円から2026年2月期1百万円へ縮小した。
賃貸・管理事業 売上高推移(単位:百万円)
201 182 2025 2026

賃貸・管理事業は、商業施設賃貸、商業施設運営管理、土地・建物賃貸を行うセグメントである。2026年2月期時点で、北海道苫小牧市の商業施設および神奈川県川崎市高津区の土地を所有し、当該物件の賃貸を行っている。

2024年4月からは、時間貸し駐車場事業も開始した。遊休地や保有不動産の小口収益化という点では、不動産開発よりも短期に収益化しやすいが、稼働率、賃料水準、管理コスト、設備費の影響を受ける。

2025年2月期は、賃貸・管理事業において減損損失が発生し、全社赤字の一因となった。2026年2月期はセグメント損失が縮小しており、賃貸収益の安定化とコスト抑制が進んだ。

不動産会社として安定収益源を持つ意義は大きい。開発・販売事業は案件単位で業績がぶれやすいが、賃貸・管理は継続収入を生みやすい。もっとも、保有資産の収益性が低下した場合は減損リスクが再発するため、資産入れ替えと稼働率管理が重要になる。

不動産コンサルティング事業

不動産コンサルティング事業は2025年2月期に売上実績がなく、2026年2月期に売上高155百万円、セグメント利益155百万円を計上した。全社黒字化を支えた最重要セグメントである。
不動産コンサルティング事業 売上高推移(単位:百万円)
0 155 2025 2026

不動産コンサルティング事業は、旧来の相場を基準として売り手と買い手をつなぐだけの仲介ではなく、不動産が持つエリアや立地特性を多様な視点で分析し、専門的な知見・技術や独自ネットワークを有するパートナーと提携しながら、潜在価値を引き出す事業である。

2026年2月期は、東京都台東区および神奈川県横浜市中区の物件において、不動産コンサルティング業務を完結した。売上高とセグメント利益は同額の155百万円で、営業黒字化の直接的な押し上げ要因となった。

この事業の魅力は、在庫を大きく抱える開発・販売事業と比べ、案件によっては資本効率が高くなりやすい点である。ノウハウ、案件発掘力、提携先ネットワーク、価格形成能力が収益源となる。

ただし、2026年2月期決算短信では、期末月に計上した不動産コンサルティング等の役務提供に関する収益認識取引3件について、外部調査の結果により過年度を含む財務諸表に広範な影響を及ぼす可能性がある旨が記載されている。収益の継続性と会計処理の確実性は、今後最も慎重に確認すべき論点である。

直近5年業績サマリー

項目(連結・百万円) 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期 2027年2月期
会社予想
売上高 1,483 1,395
△88 / △5.9%
708
△687 / △49.2%
306
△402 / △56.8%
556
+250 / +81.7%
営業損益 43 72
+29 / +67.4%
139
+67 / +93.1%
△211
赤字転落
10
黒字転換
経常損益 22 25
+3 / +13.6%
123
+98 / +392.0%
△200
赤字転落
15
黒字転換
当期純利益 76 △2,359
赤字転落
1,421
黒字転換
△247
赤字転落
11
黒字転換
EPS 13.49円 △418.73円 252.23円 △43.84円 1.95円
PER 65.97倍 赤字 2.89倍 赤字 360.05倍
PBR 5.82倍 債務超過 68.54倍 債務超過 188.60倍
BPS 153.01円 △241.40円 10.65円 △7.10円 3.73円
純資産 862 △1,360
債務超過
60
債務超過解消
△40
債務超過
21
債務超過解消
営業CF 308 257
△51 / △16.6%
△357
赤字転落
△336
+21 / 改善
△928
△592 / 支出増
投資CF △196 △60
+136 / 支出減
6,699
黒字転換
△99
赤字転落
△68
+31 / 支出減
財務CF △273 △179
+94 / 支出減
△6,107
△5,928 / 支出増
132
黒字転換
866
+734 / +556.1%
現金及び現金同等物 377 395
+18 / +4.8%
629
+234 / +59.2%
326
△303 / △48.2%
196
△130 / △39.9%
EPS、BPS、PER、PBRは、2026年2月期末の自己株式控除後株式数5,633,769株を用いて再計算した。PER、PBRの算定に用いた期末株価は、ユーザー提供の2022年2月末890円、2023年2月末845円、2024年2月末730円、2025年2月末3,145円、2026年2月末703円。2025年10月24日付で1株につき3株の株式分割が行われているため、2025年2月期以前の期末株価は分割前の実際終値、2026年2月期は分割後株価である。2027年2月期の会社業績予想は未開示のため空欄とした。

中期経営計画

独立した中期経営計画は未確認|販売用不動産と蓄電池関連権利で収益化を模索

2026年7月1日時点で、連結売上高、営業利益、ROE、投資額などを複数年度で体系的に定めた独立した中期経営計画資料は公式IRサイトで確認できない。2027年2月期の会社業績予想も、開示可能となった時点で公表する方針である。

2026年2月期売上高 556百万円
2026年2月期営業利益 10百万円
2026年2月期純資産 21百万円
2027年2月期予想 未開示

経営上の最優先課題は、債務超過の再解消後に財務基盤を厚くし、開発・販売、賃貸・管理、不動産コンサルティングを継続的に収益化することである。2026年2月期は黒字化したが、自己資本比率は1.2%であり、収益の継続性とキャッシュ創出力の改善が必要となる。

2026年6月30日には、栃木県佐野市の系統用蓄電池の発電設備等への送電系統に係る権利を取得することを開示した。同日には、北海道亀田郡七飯町字上軍川の系統用蓄電池用地および送電系統に係る権利の売却も開示している。いずれも販売用不動産としての取得・売却による収益化を目的とする。

ただし、系統用蓄電池関連案件は、系統連系、契約上の権利、売却先との交渉、取得価格、引渡時期によって業績影響が大きく変わる。会社は2027年2月期の業績予想を策定中としており、案件の売却確定、利益額、資金回収の開示が中期的な評価材料となる。

もう一つの重要課題は、第三者委員会の調査である。2026年6月30日に第三者委員会による調査の一時中断が開示されており、調査報告書の受領が困難な状況とされた。会計処理、ガバナンス、継続企業の前提に関する不確実性が残るため、再建フェーズでは開示の透明性が株価評価を左右する。

競合他社

1. ヤマイチエステート(2984)

株価:738円
時価総額:約64.0億円
主な競合領域:宅地開発、戸建住宅分譲、分譲マンション、商業用地開発、不動産賃貸

ヤマイチエステートは、近畿圏を中心に宅地開発、戸建住宅、分譲マンション、不動産賃貸、商業施設・事業用地の開発を展開する企業である。2026年3月期は売上高が減少した一方、営業利益は増益となり、不動産開発・販売事業が収益を支えた。

エスポアとは、土地の取得、開発、販売、賃貸管理の領域で競合する。ヤマイチエステートは規模が大きく、住宅用地、商業用地、分譲マンション、賃貸マンションを幅広く展開している。エスポアにとっては、案件発掘力、土地活用提案力、開発実績、販売力で比較される相手となる。

2. アズ企画設計(3490)

株価:2,950円
時価総額:約44.5億円
主な競合領域:収益不動産の取得・再生・販売、不動産賃貸、不動産管理、リノベーション

アズ企画設計は、東京23区を中心に収益不動産を取得し、リノベーションやリーシング改善によって収益性を高め、投資家に販売する不動産販売事業を主力とする。2026年2月期は売上高135.43億円、営業利益7.74億円、経常利益4.68億円、親会社株主に帰属する当期純利益2.94億円だった。

エスポアが新たに強化している不動産コンサルティング、不動産価値向上、売買取引支援と、アズ企画設計の収益不動産再生モデルは競合する。エスポアが小規模な開発・賃貸・コンサルティングを組み合わせるのに対し、アズ企画設計は仕入れ、再生、投資家向け販売までの一連の流れを事業化している。

3. 日本システムバンク(5530)

株価:1,025円
時価総額:約23.5億円
主な競合領域:コインパーキング運営、駐車場機器販売・保守、土地活用、プロパティマネジメント

日本システムバンクは、コインパーキングの運営、駐車場機器の販売・保守、プロパティマネジメントを展開する名証メイン上場企業である。2026年6月期第3四半期累計は、売上高59.86億円、営業利益4.02億円となり、通期予想も上方修正された。

住宅・商業施設開発会社ではないが、エスポアの土地・建物賃貸、商業施設運営、不動産活用提案とは近い領域で競合する。特に遊休地を収益化する提案、土地所有者への活用提案、賃貸・管理の面で競争関係が生じる。エスポアが時間貸し駐車場事業を開始した点でも、土地活用型の競合として意識される。

強みと将来性

不動産の価値創造ノウハウと小型案件の機動力

エスポアの強みは、宅地、商業施設、マンション、土地活用など、不動産の用途を変えながら価値を作るノウハウを持つ点である。公式サイトでは、地域を限定せず、各地域のパートナーと連携し、その土地特有の傾向を捉えたマーケティングやコーディネート・マネジメントを行う方針が示されている。

2026年2月期に新たな収益源となった不動産コンサルティング事業は、このノウハウを役務提供に転換する取り組みである。在庫を大量に抱える開発型ビジネスと異なり、コンサルティングは案件単位で高い利益率を生みやすい。2026年2月期は売上高とセグメント利益が同額の155百万円となり、全社黒字化の中核となった。

将来性では、系統用蓄電池関連の土地・権利を販売用不動産として扱う案件が注目される。再生可能エネルギーの導入拡大、電力需給調整ニーズ、蓄電池事業者による系統枠確保の重要性を背景に、用地と送電系統に係る権利を組み合わせた不動産案件は、通常の住宅地・商業地とは異なる収益機会を持つ。

会社規模が小さいため、大手デベロッパーのような大規模開発ではなく、個別案件の情報、権利関係、売却先候補との交渉、提携先の専門性を活かす機動力が重要になる。1件の案件が業績に与える影響は大きく、売却が成功した場合は短期的な業績変化率が高くなる。

ただし、将来性は案件の確度に依存する。開発・販売、不動産コンサルティング、蓄電池関連権利のいずれも、継続的な案件獲得と利益実現が確認されるまでは、単発収益として評価する必要がある。

弱みとリスク要因

財務脆弱性、会計・ガバナンスリスク、案件依存度

最大のリスクは、財務基盤の薄さである。2026年2月期末の純資産は21百万円、自己資本比率は1.2%であり、黒字化後も資本余力は限定的である。販売用不動産の仕入れや蓄電池関連権利の取得には資金が必要で、案件回収が遅れると資金繰りへの影響が大きくなる。

営業キャッシュ・フローは2024年2月期から2026年2月期まで3期連続の支出超である。2026年2月期は928百万円の支出超となり、財務キャッシュ・フロー866百万円の流入で補った。これは利益黒字化とキャッシュ創出が一致していないことを示す。

会計・ガバナンス面のリスクも大きい。2026年2月期の計算書類、付属明細書、連結計算書類について、会社法監査で監査意見不表明の監査報告書を受領した旨が記載されている。また、第三者委員会の調査は2026年6月30日時点で一時中断しており、調査報告書の受領が困難な状況とされた。

不動産コンサルティング等の役務提供に関する収益認識取引3件については、外部調査の結果により、過年度を含む連結財務諸表に広範な影響を及ぼす可能性があるとされている。調査結果次第では、過年度決算、自己資本、上場維持、信用力に影響する可能性がある。

事業面では、1件あたりの案件依存度が高い。販売用不動産、蓄電池関連権利、不動産コンサルティングは、売却時期、契約条件、取得価格、相手先の信用力により収益が大きく変動する。売上高が小さいため、1案件の未達や遅延が業績全体を大きく揺らす。

出典

本ページは公開情報、会社開示資料、ユーザー提供の期末株価情報をもとに作成したものであり、特定の有価証券の売買を推奨するものではありません。業績予想、将来見通し、株価指標は作成時点の情報に基づき、実際の結果と異なる可能性があります。投資判断は一次情報を確認のうえ、自己責任で行ってください。

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