KOKUSAI ELECTRIC 6525 東証P
事業内容
2026年7月31日の時価総額は約15,000億円。株価・時価総額は同日15時台に確認できる市場データを基準とした概算で、半導体製造装置株の中でも成膜・トリートメント領域への特化度が高い銘柄として評価されている。
株式会社KOKUSAI ELECTRICは、2017年2月2日設立、本社を東京都千代田区大手町に置く半導体製造装置メーカー。代表取締役社長執行役員は塚田和徳氏、決算期は3月、上場市場は東京証券取引所プライム市場。事業は半導体製造装置の開発、製造、販売、搬入、セットアップ、メンテナンス、修理、部品販売を中心に構成される。
2026年3月期は、売上収益235,079百万円、営業利益41,836百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益30,099百万円。売上収益は前期比1.6%減、営業利益は18.5%減、当期利益は16.4%減となった。2027年3月期会社予想は、売上収益280,000百万円、営業利益54,500百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益38,800百万円で、売上収益は19.1%増、営業利益は30.3%増を見込む。
半導体製造装置事業(単一セグメント)
KOKUSAI ELECTRICの事業は、半導体製造工程のうち薄膜を形成する成膜プロセスと、形成後の膜質を改善するトリートメントプロセスに強く結びついている。
顧客の投資サイクルは、3D NAND、DRAM、ロジック・ファウンドリーの設備投資に左右される。2024年3月期はメモリ市況の調整を受けて売上・利益が大きく落ち込んだが、2025年3月期にはメモリ投資の回復、中国向けを含む装置需要、サービス売上の下支えにより営業利益率が21.5%まで戻った。
2026年3月期は売上水準を維持したものの、製品ミックス、研究開発投資、供給体制強化、地域別需要の変化が収益性に影響した。営業利益は41,836百万円となり、2022年3月期および2023年3月期のピーク利益水準と比べると低いが、装置専業メーカーとして高い利益水準を維持している。
事業の焦点は、バッチALDによる高生産性、複雑な高アスペクト比構造への成膜対応、膜質改善プロセス、既存装置向けサービスの4点にある。半導体デバイスの微細化・3次元化が進むほど、薄膜の均一性、段差被覆性、熱処理条件、界面制御が重要になるため、同社の競争力はプロセス難度の上昇と連動しやすい。
成膜プロセス装置
成膜プロセス装置は、KOKUSAI ELECTRICの中核製品群である。公式製品情報では、LP-CVD、酸化、アニール、拡散、ALDなどの成膜関連プロセスが示されている。
ALDは原子層レベルで薄膜を制御する成膜技術で、3D NANDの深い溝構造、DRAMのキャパシター構造、先端ロジックの微細構造など、段差被覆性と膜厚均一性が要求される領域で重要性が高い。KOKUSAI ELECTRICはこのALDをバッチ処理と組み合わせ、多数枚のウェハーを一括処理することで、生産性と膜品質の両立を狙う。
主力装置の代表例には、300mm向け大型バッチ装置であるAdvanced TSURUGI Plus-III、300mm向けバッチ成膜装置Advanced TSURUGI、ミニバッチ装置TSURUGI-C2などがある。高付加価値工程では、装置単体の性能だけでなく、量産時のスループット、プロセス再現性、保守性、装置の設置面積、薬液・ガス使用効率が顧客の投資判断に影響する。
競争軸は、単枚処理装置とバッチ処理装置の使い分けにある。Applied MaterialsやASM Internationalは単枚ALD、PECVD、エピタキシーなどで強いポジションを持つ一方、KOKUSAI ELECTRICはバッチ成膜の高生産性と熱処理装置の専門性で差別化する。
今後の注目点は、NAND向けの投資回復だけでなく、DRAM、ロジック・ファウンドリーでの採用拡大である。中長期戦略では、NANDで培った成膜技術をDRAMとロジックに広げる方向性が示されており、製品ミックスの高度化が利益率回復の鍵になる。
トリートメント(膜質改善)プロセス装置
トリートメントプロセス装置は、成膜後の膜質を改善し、半導体デバイスの信頼性や電気特性を高めるための装置群である。プラズマ窒化、プラズマ酸化、低温アニール、キュア、脱ガス、酸化、拡散、アニールなどが対象領域となる。
半導体の構造が微細化・多層化すると、成膜した膜の密度、欠陥、不純物、界面状態を制御する工程の重要性が増す。特に低温処理、薄膜の均一性、ダメージ抑制、界面改質は、先端ロジックやメモリで歩留まりに直結する。
KOKUSAI ELECTRICは、成膜装置とトリートメント装置を同じ顧客基盤に提案できる点が特徴である。顧客側から見ると、成膜条件と膜質改善条件を一体で最適化できるため、装置メーカーのプロセス知見が量産立ち上げ速度に影響する。
中長期資料では、トリートメント市場で同社が主要プレーヤーの一角であることが示されている。競合はApplied Materialsと東京エレクトロンが中心で、プラズマ処理、熱処理、表面改質、界面制御の各工程で比較される。
この分野では、装置販売だけでなく、量産ライン投入後の条件出し、プロセス改善、保守・部品供給が継続収益に結びつく。装置の設置台数が積み上がるほど、サービス売上と顧客接点の維持が競争優位に転化しやすい。
サービス・200mm以下向けレガシー装置
サービス事業は、装置の安定稼働、保守、部品供給、機能アップグレード、移設、改造、中古装置、顧客向け教育などを含む。半導体工場では装置停止が生産損失に直結するため、サービスサポートの品質は新規装置選定にも影響する。
公式サービス情報では、稼働装置を長期間にわたり支援する体制が示されている。グローバルでの部品供給、修理、改造、アップグレードの対応力は、既存顧客との関係を深める重要な収益源となる。
200mm以下向けでは、VERTEX Revolutionなどのバッチ熱処理装置が掲載されている。パワー半導体、アナログ、センサー、車載向けなどでは200mm以下のラインも残り、最先端メモリとは異なる投資サイクルで需要が発生する。
サービス売上は新規装置ほど市況変動が大きくないため、景気後退局面の利益下支え要因となる。中長期資料ではサービス売上比率25%から30%が目標として示されており、装置販売とサービスの組み合わせが事業の安定性を高める。
競合比較では、Applied MaterialsのApplied Global Servicesや東京エレクトロンのフィールドサービス網が強い。KOKUSAI ELECTRICは、バッチ成膜・熱処理装置に関する専門性、既存装置の改造・延命、プロセス改善対応で差別化する構図となる。
1.会社予想と実績
2024年3月期から2026年3月期は期首に公表された通期会社予想と通期実績を比較。2027年3月期は最新の通期会社予想を掲載しています。
| 指標 | 2024/3 | 2025/3 | 2026/3 | 2027/3 | ||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 会社予想 | 実績 | 達成率 | 会社予想 | 実績 | 達成率 | 会社予想 | 実績 | 達成率 | 会社予想 | 実績 | 達成率 | |
| 売上高(売上収益) (百万円) | 180,000 | 180,838 | 100.5% | 217,500 | 238,933 | 109.9% | 244,000 | 235,079 | 96.3% | 280,000 | — | 最新予想 |
| 営業利益 (百万円) | 29,109 | 30,745 | 105.6% | 44,800 | 51,320 | 114.6% | 49,200 | 41,836 | 85.0% | 54,500 | — | 最新予想 |
| 経常利益相当(税引前利益) (百万円) | 28,280 | 29,757 | 105.2% | 44,000 | 50,789 | 115.4% | 48,400 | 40,739 | 84.2% | 53,400 | — | 最新予想 |
| 親会社株主帰属純利益 (百万円) | 20,200 | 22,374 | 110.8% | 29,000 | 36,004 | 124.2% | 36,000 | 30,099 | 83.6% | 38,800 | — | 最新予想 |
| EPS(基本的1株当たり利益) (円) | 87.67 | 96.82 | 110.4% | 124.50 | 154.60 | 124.2% | 154.54 | 129.00 | 83.5% | 166.08 | — | 最新予想 |
達成率=実績÷期首会社予想×100。予想はすべて単一値です。
2.達成・未達理由
NAND投資抑制は続いたものの、1Qを底に装置販売が回復し、中国の成熟ノード投資とDRAM・Logic/Foundryの堅調さが下支えしました。売上総利益率も予想40.9%に対し41.5%へ改善し、利益指標の超過幅が広がりました。
DRAM・Logic/Foundry・NANDのすべてで装置販売が伸び、部品販売とレガシー装置も好調でした。装置・サービス双方の増収が利益を押し上げ、期首予想を全指標で上回りました。
中国地場DRAM向けの大型投資が一服し、NAND装置とDRAMアップグレードの伸長では補い切れませんでした。工場稼働率低下、製品構成の悪化、研究開発などの先行投資も重なり、売上・利益とも期首予想を下回りました。
AI向け高性能DRAM・Logic/Foundryを中心とする設備投資加速と、工場稼働率の大幅改善を前提に増収増益を見込みます。受注上振れと顧客投資の前倒しは追い風ですが、実績は未発表です。
3.事業セグメントの自信度
公式の報告セグメントは半導体製造装置事業の単一セグメントです。会社が業績説明で用いるNAND、DRAM、Logic/Foundry、サービスの区分で自信度を追跡しています。
NAND向け
NANDを中心に一部の半導体デバイスメーカーの投資抑制が続きました。
市況低迷が全社減収の中心でした。
NANDも年度終盤に回復の兆しが見られ、今後回復が進むものと期待できます。
底打ち確認から回復期待へ転換しました。
NANDでも主にデバイスの世代交代に向けた設備投資が進んでおります。
増産投資より世代交代が中心で、回復は選別的です。
世界各国向けNANDは世代交代投資が継続(200~300層)。中国地場向けNANDは2026年前半は端境期も後半から投資再開。
中国の端境期を織り込みつつ、通期では装置売上増を見込みます。
世代交代需要が継続し、中国地場投資の再開余地もあります。増産投資の強さはDRAMほどではないため、非常に強気までは置きません。
DRAM向け
成熟ノードを含むDRAM、Logic/Foundryへの投資が堅調
NANDの落ち込みを一部補いました。
生成AIの普及等を背景に先端DRAMに対する需要が増加しています。
生成AI需要が明確な成長ドライバーになりました。
主にDRAM向けのアップグレード改造が伸長しました。一方で、前期に活発だった中国でのDRAM向け設備投資が落ちついた影響
サービスは伸びましたが、新規装置の反動減が重荷でした。
世界各国向けの先端DRAM・Logic/Foundryといったところでアップサイドの期待ができるとみています。
投資前倒しと受注上振れが予想に未反映の可能性があります。
会社はDRAM装置売上の大幅増を見込み、先端DRAMには追加上振れ余地も示しています。
Logic / Foundry向け
世界各国でも先端品開発に対する投資は継続されており
市況低迷下でも先端開発投資は継続しました。
Logic/Foundryは、一部のデバイスメーカーに投資抑制が見られるものの、全体として先端ノード向けの設備投資が加速しています。
一部弱含みを抱えつつ、全体の方向は拡大です。
生成AI用途の高性能Logic、DRAMを中心にデバイスの世代交代や生産規模拡大に向けた設備投資が高水準で推移
AI向け高性能Logicが高水準の投資を維持しました。
GAA 第1世代と第2世代でのPORは確定しているため、お客様の投資規模が決まれば当社の売上も確実に見込めることになります。
POR確定により、顧客投資が売上へつながる可視性が高いと判断します。
GAA世代のPOR確定とAI投資拡大が重なり、会社の表現は最も強い水準です。
サービスビジネス(部品・改造・レガシー装置)
24/3期は、装置売上の減少により、サービスビジネスの比率が拡大。
比率上昇は装置減少の反面で、積極的な成長シグナルではありません。
部品販売やレガシー装置販売が好調に推移し、サービスビジネスの売上収益が増加
複数カテゴリーで増収し、安定収益源として強まりました。
主にDRAM向けのアップグレード改造(新規装置の代替として既存装置の性能や機能を向上させる改造)が伸長しました。
装置の置き換え需要を改造で取り込みました。
新基準でのサービス売上比率は19%の見込み。
分類変更後も安定収益ですが、旧基準では大幅増を見込んでいません。
アップグレード需要は底堅い一方、最新計画の主役は新規装置とアプリケーション別成長です。
4.最新予想信頼度
会社予想は売上収益2,800億円、営業利益545億円、税引前利益534億円、親会社帰属純利益388億円、EPS166.08円です。2024年3月期と2025年3月期は全5指標を超過しましたが、2026年3月期は期首予想を全指標で下回りました。最新の受注上振れと顧客投資前倒しを踏まえると、売上は達成圏内、利益は工場稼働率と高付加価値製品比率の改善次第と判断します。
達成できると判断する理由
- 2026年3月期の受注高は2,640億円で会社想定を約300億円上回り、その一部は2027年3月期予想に未反映と会社が説明しています。
- 複数顧客から2027年予定の投資を前倒ししたいとの話があり、先端DRAM・Logic/Foundryに上振れ余地があります。
- 会社は2026年のWFE成長率を前年比15%へ引き上げ、世界各国向けは20%成長を見込んでいます。
- 先端デバイス向け装置の構成比が高く、工場の大幅な稼働率改善も計画しているため、売上増以上の利益成長が可能です。
- 過去3期のうち2024年3月期と2025年3月期は期首予想を全指標で超過しており、回復局面では予想を上回る実績があります。
達成できないと判断する理由
- 営業利益率は17.8%から19.5%へ約1.7ポイントの改善が必要で、売上達成だけでは利益予想に届きません。
- コンベンショナル装置の比率上昇を見込み、売上総利益率は目標より約1ポイント慎重に設定されています。
- 人件費・研究開発費・DX関連費用などで販管費が約80億円増える想定です。
- 2026年3月期は中国DRAM投資の一服で期首予想を全指標で下回っており、顧客投資時期の変化が再び起きるリスクがあります。
- 中国NANDは上期に端境期を見込み、輸出規制・関税・地政学要因も顧客の設備投資判断を遅らせる可能性があります。
収益計上時期を見る際の注意点
第2四半期累計予想は売上収益1,523億円、営業利益325億円で、通期予想の54.4%・59.6%を上期に計上する前提です。下期は売上1,277億円、営業利益220億円となるため、最新計画は上期偏重です。
装置売上は顧客への納入時期に左右され、四半期ごとの売上・利益は納入数量と製品構成で変動します。会社は予算策定後に顧客の投資前倒しが生じたと説明しており、下期見通しは今後変わる可能性があります。
最終判断
先端DRAM・Logic/Foundryの投資前倒しと受注上振れが予定どおり売上へ転換すれば、売上収益2,800億円は達成可能性が高く、上振れ余地もあります。営業利益545億円は、工場稼働率の改善と高付加価値製品比率の維持が実現すれば達成圏内です。一方、顧客納入の後ずれ、コンベンショナル装置比率の上昇、先行費用の増加が重なる場合は、売上より先に利益が未達となる可能性があります。
直近5年業績サマリー
| 業績項目 | 2022年3月期 実績 |
2023年3月期 実績 |
2024年3月期 実績 |
2025年3月期 実績 |
2026年3月期 実績 |
2027年3月期 会社予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 百万円 | 245,425 | 245,721+296 +0.1% | 180,838-64,883 -26.4% | 238,933+58,095 +32.1% | 235,079-3,854 -1.6% | 280,000+44,921 +19.1% |
| 営業損益 百万円 | 70,652 | 56,064-14,588 -20.6% | 30,745-25,319 -45.2% | 51,320+20,575 +66.9% | 41,836-9,484 -18.5% | 54,500+12,664 +30.3% |
| 経常損益 税引前利益・百万円 | 69,264 | 55,895-13,369 -19.3% | 29,757-26,138 -46.8% | 50,789+21,032 +70.7% | 40,739-10,050 -19.8% | 53,400+12,661 +31.1% |
| 当期純利益 親会社所有者帰属・百万円 | 51,339 | 40,305-11,034 -21.5% | 22,374-17,931 -44.5% | 36,004+13,630 +60.9% | 30,099-5,905 -16.4% | 38,800+8,701 +28.9% |
| EPS 円 | 220.29 | 172.95-47.34 -21.5% | 96.01-76.94 -44.5% | 154.49+58.48 +60.9% | 129.15-25.34 -16.4% | 166.49+37.34 +28.9% |
| PER 倍 | – | – | 43.6 | 15.7 | 38.8 | 38.6 |
| PBR 倍 | – | – | 5.21 | 2.88 | 5.33 | – |
| BPS 円 | 512.85 | 690.33+177.48 +34.6% | 804.07+113.74 +16.5% | 841.74+37.67 +4.7% | 940.87+99.13 +11.8% | – |
| 純資産 百万円 | 119,519 | 160,881+41,362 +34.6% | 187,388+26,507 +16.5% | 196,168+8,780 +4.7% | 219,270+23,102 +11.8% | – |
| 営業CF 百万円 | 73,615 | 29,993-43,622 -59.3% | 2,942-27,051 -90.2% | 38,477+35,535 +1207.9% | 48,801+10,324 +26.8% | – |
| 投資CF 百万円 | -3,348 | -7,825-4,477 -133.7% | -11,950-4,125 -52.7% | -27,706-15,756 -131.8% | -16,954+10,752 +38.8% | – |
| 財務CF 百万円 | -3,508 | -25,113-21,605 -615.9% | -6,312+18,801 +74.9% | -58,106-51,794 -820.6% | -21,514+36,592 +63.0% | – |
| 現金及び現金同等物 百万円 | 108,399 | 106,053-2,346 -2.2% | 92,619-13,434 -12.7% | 44,755-47,864 -51.7% | 56,543+11,788 +26.3% | – |
単位:売上高・損益・純資産・キャッシュフローは百万円、EPS・BPSは円、PER・PBRは倍。EPS・PER・PBR・BPSは2026年7月27日までの自己株式取得反映後の発行済株式数(自己株式控除後)233,049,556株で再計算。過去5期のPER・PBRは期末最終取引日終値、2027年3月期会社予想PERは2026年7月31日15時台に確認できる市場株価データを基準に算出。2022年3月期と2023年3月期は上場前のためPER・PBRを表示しない。
株価推移、出来高、移動平均、半導体製造装置セクター内での相対感を確認する。
中期経営計画
中長期的な事業戦略および事業目標|売上収益3,000億円から3,300億円をめざす
KOKUSAI ELECTRICは、公式資料「中長期的な事業戦略および事業目標について」で、成膜技術とトリートメント技術を軸にした成長戦略を示している。対象は固定的な単年度予想ではなく、中長期的な事業目標である。
基本方針は、NANDで培ったバッチALDと高アスペクト比構造への成膜技術を、DRAM、ロジック・ファウンドリー、周辺プロセスへ広げることにある。装置販売では新技術・新製品の開発、量産採用プロセスの拡大、砺波事業所を含む生産・開発能力の強化が重要施策となる。
サービスでは、部品供給、保守、移設、改造、機能アップグレードを拡大し、装置販売後の継続収益を厚くする。顧客工場での稼働台数が増えるほどサービス売上の基盤が拡大し、装置市況の変動に対する耐性が高まる。
資本政策では、ネットキャッシュ化後のフリーキャッシュフローを成長投資と株主還元に配分する方針が示されている。2026年7月には自己株式取得と消却の適時開示もあり、株主還元姿勢は半導体装置サイクルとあわせて確認が必要な論点である。
中長期的な事業戦略資料へ競合他社
1. Applied Materials, Inc.(AMAT)
Applied Materialsは、半導体製造装置、材料工学、ディスプレイ製造装置、装置サービスを展開する世界最大級の半導体製造装置メーカーである。
KOKUSAI ELECTRICとの競合領域は、ALD、CVD、プラズマ処理、熱処理、膜質改善、先端ロジック・DRAM向け材料形成、装置保守サービスである。Applied Materialsは単枚処理・クラスター型装置、材料統合、先端ロジックのGAAや選択成膜で強い。
一方、KOKUSAI ELECTRICは多数枚を同時処理するバッチALD、3D NANDやDRAMの高アスペクト比構造、バッチ熱処理と膜質改善装置に強みを持つ。顧客の設備投資判断では、単枚処理による高度な材料統合と、バッチ処理による高生産性が比較される。
2026年度第2四半期は、売上高79.1億米ドル、GAAP営業利益25.2億米ドル、営業利益率31.9%、希薄化後EPS3.51米ドル。Semiconductor Systemsの売上高は59.65億米ドル、Applied Global Servicesの売上高は16.65億米ドルで、装置販売とサービスの両面からKOKUSAI ELECTRICに圧力をかける。
2. 東京エレクトロン(8035)
東京エレクトロンは、成膜、熱処理、コータ・デベロッパ、エッチング、洗浄、テストなど幅広い製品を持つ日本の半導体製造装置大手である。
KOKUSAI ELECTRICとの最大の競合領域は、300mmバッチ成膜・熱処理装置である。TELINDY PLUS、EVAROS、TELFORMULAなどの縦型炉・バッチ装置は、KOKUSAI ELECTRICのAdvancedAce、QUIXACE、TSURUGI系装置と比較される。
競合プロセスは、LP-CVD、酸化、拡散、アニール、バッチALD、3D NAND向け高アスペクト比構造、DRAM向け薄膜形成である。東京エレクトロンは総合装置メーカーとして顧客接点が広く、前工程の複数装置を横断した提案力を持つ。
2027年3月期第1四半期は、売上高7,323億円、営業利益2,114億円、営業利益率28.9%、親会社株主に帰属する四半期純利益1,643億円。KOKUSAI ELECTRICにとって、国内企業では最も直接的なバッチ成膜・熱処理の競合といえる。
3. ASM International N.V.(ASM)
ASM Internationalは、ALD、エピタキシー、PECVD、垂直炉、サービス製品を展開するオランダの半導体製造装置メーカーである。
KOKUSAI ELECTRICとの競合は、熱ALD、PEALD、300mmバッチ縦型炉、200mm以下向けバッチ縦型炉、DRAM・ロジック・ファウンドリー向け成膜プロセスで発生する。ASMは単枚ALDと先端ロジック向け材料形成で強く、KOKUSAI ELECTRICはバッチ処理と高生産性で対抗する。
垂直炉・バッチ炉ではSONORAやA400 DUOが比較対象になり、KOKUSAI ELECTRICの200mm以下向け熱処理装置やバッチ成膜装置と競合する。先端ノードでは、ASMのXP8 Synergisなどの単枚ALDプラットフォームが、プロセス難度の高い成膜工程で比較対象となる。
2026年第2四半期は、売上高10.031億ユーロ、粗利益率51.9%、営業利益3.228億ユーロ、営業利益率32.2%、純利益2.854億ユーロ。スペア・サービス売上も2.087億ユーロ規模で、装置販売後の継続収益という点でもKOKUSAI ELECTRICと競争する。
出典
- 株式会社KOKUSAI ELECTRIC 公式サイト
- 株式会社KOKUSAI ELECTRIC 会社概要
- 株式会社KOKUSAI ELECTRIC 事業紹介
- 株式会社KOKUSAI ELECTRIC 製品・サービス情報
- 株式会社KOKUSAI ELECTRIC サービスサポート
- 株式会社KOKUSAI ELECTRIC 株主・投資家向け情報
- 株式会社KOKUSAI ELECTRIC 決算短信・説明会資料
- 株式会社KOKUSAI ELECTRIC 2026年3月期 決算短信
- 株式会社KOKUSAI ELECTRIC 2025年3月期 決算短信
- 株式会社KOKUSAI ELECTRIC 2024年3月期 決算短信
- KOKUSAI ELECTRIC Consolidated Financial Statements for 2022 and 2023
- 株式会社KOKUSAI ELECTRIC 中長期的な事業戦略および事業目標について
- 株式会社KOKUSAI ELECTRIC 自己株式の取得状況および取得終了並びに自己株式の消却に関するお知らせ
- Applied Materials Announces Second Quarter 2026 Results
- Tokyo Electron Earnings Release
- ASM News and Press Releases

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