カシオ計算機 6952 東証P
CASIO COMPUTER CO., LTD.|G-SHOCKを中心とする時計を収益の柱に、関数電卓・学習サービス、電子楽器、AIペットMoflinなどを展開する。
※2026年8月3日時点の情報
事業内容
2026年8月3日の時価総額は約5,075億円。 同日の終値は2,164.5円で、2027年3月期第1四半期末の発行済株式総数 234,461,814株を基準に算出した。
カシオ計算機は1957年6月1日設立。本社は東京都渋谷区本町1-6-2、 代表取締役 社長 CEOは高野晋、決算期は3月、東証プライム市場に上場する。 2026年3月31日時点の資本金は485億9,200万円、 従業員数は単独2,053名、連結8,259名。 主要製品は時計、電卓、電子辞書、電子文具、電子楽器、その他である。
2026年3月期は売上高276,267百万円、営業利益23,071百万円、 経常利益25,684百万円、親会社株主に帰属する当期純利益18,227百万円。 2027年3月期第1四半期は売上高74,511百万円、営業利益12,811百万円、 経常利益13,423百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益9,377百万円。 通期予想は売上高300,000百万円、営業利益34,000百万円へ上方修正された。
時計事業|G-SHOCKとCASIO WATCHの2軸成長
時計事業 業績推移
時計セグメントの売上高とセグメント利益。3カード・全5期間を共通縮尺で表示
単位:百万円(縦軸は1,000百万円=1.5px、全グラフ共通)
時計事業は腕時計とクロックで構成される。収益の主軸はG-SHOCKであり、耐衝撃構造、防水性、デジタル・アナデジ表現、メタル外装、コラボレーションを組み合わせて価格帯を広げている。
G-SHOCKの中ではMR-G、MT-G、FULL-METAL、G-STEEL、MASTER OF G、G-SQUADなどが異なる用途と価格帯を担う。高価格帯はブランド価値と独自技術を収益へ転換する領域であり、エントリー帯は若年層との接点を維持する役割を持つ。
CASIO WATCHはA158WAやMTP-1302Dなどの定番・普及価格帯を軸に、レトロデザインやカラー展開によって女性・若年層を取り込む。2027年3月期第1四半期はG-SHOCKとCASIO WATCHがともに前年同期比2桁成長となり、中東以外の全地域で伸長した。
同四半期はG-SHOCKの5000・5600シリーズ、2100シリーズ、コラボレーションモデルが好調だった。CASIO WATCHもグローバルで伸び、EDIFICEの機械式モデルも寄与した。
2022年3月期から2024年3月期までは売上拡大に対して利益率が低下した。2025年3月期は売上高がほぼ横ばいでも利益率が12.2%まで持ち直し、2026年3月期は売上増と利益率14.7%への改善が同時に進んだ。
競争軸は、耐久性だけではない。高価格帯の外装・仕上げ、電波ソーラー、Bluetooth連携、機械式、女性向け、EC・直営店、ファンコミュニティまで含むブランド運営が重要になる。
中期経営計画はG-SHOCKとCASIO WATCHの2軸で顧客層を広げ、G-SHOCKの若年層再獲得、インド・ブラジルなど成長地域の拡大、CRM強化を掲げる。CASIO WATCHでは女性ユーザー向け投資と高付加価値化を進める。
2029年3月期の時計事業目標は売上高207,000百万円、営業利益32,500百万円、営業利益率15.7%。2026年3月期からの増収だけでなく、利益率を約1ポイント高める計画である。
投資判断ではG-SHOCKの販売数量、高価格帯構成、CASIO WATCHの継続成長、主要地域と新興国の伸び、為替影響、販促費と粗利率のバランスを同時に確認する必要がある。
コンシューマ事業|EdTechとサウンド
コンシューマ事業 業績推移
コンシューマセグメントの売上高とセグメント利益。3カード・全5期間を共通縮尺で表示
単位:百万円(縦軸は1,000百万円=1.5px、全グラフ共通)
コンシューマ事業はEdTechとサウンドを中心に、電子辞書、一般電卓、関数電卓、学習アプリ、電子ピアノ、キーボード、電子文具などを扱う。
EdTechの基盤は学校・教育現場で使われる関数電卓である。ハード単体の販売だけでなく、ClassPad.netなどICT化に対応する学習サービスを組み合わせ、教育制度・授業運用との接点を広げる。
関数電卓は国・地域ごとの学期、試験制度、教科書、学校採用に需要が左右される。新興国での普及率とシェア拡大、模倣品対策、学校向け活動、オンラインサービスの有料化が収益力を決める。
2027年3月期第1四半期のEdTechは、新学期需要を迎える地域で受注が前倒しとなり増収だった。前倒し需要は次四半期以降の反動を伴う可能性があるため、半期累計と通期で確認する必要がある。
サウンドはPriviaを含む電子ピアノ、キーボード、音楽制作・演奏体験を提供する。デザイン性、薄型筐体、音源・鍵盤技術、アプリ連携を組み合わせる一方、2027年3月期第1四半期はグローバルの厳しい市況が続き、売上は横ばいだった。
コンシューマ利益率は2022年3月期の7.3%から2024年3月期の2.3%へ低下した。2025年3月期以降は改善しているが、2026年3月期でも4.2%にとどまる。
中期計画では2029年3月期のコンシューマ売上高92,000百万円、営業利益9,000百万円、利益率9.8%を目標とする。内訳はEdTechが売上高68,000百万円、営業利益8,500百万円、サウンドが売上高24,000百万円、営業利益500百万円である。
計画達成にはEdTechの高収益を維持しながら、サウンドを赤字から黒字へ転換する必要がある。売上成長よりも、製品構成、在庫、販促費、固定費、アプリ・サービス収入の寄与が重要な確認点となる。
電子辞書は日本市場の構造変化を受けやすく、関数電卓とICTサービスは海外教育制度への対応力が問われる。電子楽器はヤマハ、ローランド、河合楽器製作所などとの競争が続く。
システム・その他|事業売却と固定費構造の適正化
システム・その他 業績推移
2022年3月期から2025年3月期はシステムとその他の合算、2026年3月期は再編後のその他。3カード・全5期間を共通縮尺で表示
単位:百万円(縦軸は1,000百万円=1.5px、全グラフ共通)
従来のシステム事業には、ハンディターミナル、電子レジスター、人事・中小企業向けソリューションなどが含まれていた。その他には成形部品、金型、終了・非継続事業などが含まれる。
2025年3月期にはハンディターミナルと電子レジスターがその他へ区分変更された。2026年3月期は人事ソリューション及び中小企業向け経営支援事業の譲渡に伴い、システム区分がその他へ統合された。
グラフは区分変更前後を同じ経済実態で追うため、旧システムと旧その他を合算している。個別区分の推移ではなく、縮小・譲渡対象を含む周辺事業全体の売上と損益を見るための表示である。
売上高の縮小は事業売却と非継続領域の整理を反映する。損失額は縮小しているが、2026年3月期も赤字であり、全社営業利益に対する負担が残る。
中期経営計画は、組織構造と固定費構造の適正化、不採算領域の抜本改革、成長領域への重点投資を掲げる。周辺事業を維持するか、撤退・譲渡するかは、成長性だけでなく資本コストを基準に判断する方針である。
2029年3月期のその他は売上高6,000百万円、営業損失500百万円を計画する。非継続事業を残しながらも赤字幅を縮小し、全社調整額を含む固定費も削減する前提である。
投資判断では、売却益のような一時要因と継続的な営業損益を分けて確認する必要がある。事業縮小で売上が減っても、赤字削減と経営資源の再配分が進めば全社価値にはプラスになり得る。
一方、撤退費用、契約・訴訟、システム移行、拠点再編などが追加コストとなる可能性がある。四半期ごとのその他損益と調整額、特別損益、キャッシュフローを追う必要がある。
新規事業|AIペットMoflinとパーソナルウェルビーイング
Moflinは人との関わりを通じて個性が形成されるAIペットであり、カシオが保有する音響、センシング、機構、ソフトウェア、量産・品質管理の資産を組み合わせた製品である。
中期計画はパーソナルウェルビーイングを注力領域とし、Moflinを北米・英国からグローバルへ拡大する方針を示す。カラーバリエーション追加、コミュニティ施策、周辺サービス、パートナーシップも重点施策に含む。
製品販売だけでなく、利用データ、感情の見える化、ケアなどへ展開できれば、継続収入と顧客接点の形成につながる。ただし、具体的な売上・利益、契約件数、継続率は独立開示されていない。
新規事業の組織はR&Dを含めて社長直轄へ再編し、既存事業から独立した推進力を高める。音響、光学、プリンタなどの既存技術を別用途へ転用する方針である。
新規事業は研究開発費、マーケティング費、海外展開費が先行しやすい。短期利益だけで評価すると投資を抑制し過ぎる一方、売上・粗利・継続率が見えないまま費用が拡大するリスクもある。
2029年3月期計画では新規領域の黒字化を目指す。Moflinの出荷地域、販売台数、サービス収入、返品・修理、ユーザー継続率、広告効率が開示されるかが重要になる。
タグの「ロボット」は、Moflinを継続事業として公式資料に明記し、海外展開と周辺サービスを中期戦略に組み込んでいることを根拠とする。
1.会社予想と実績
2022年3月期から2026年3月期は期首通期会社予想と通期実績を比較。2027年3月期は第1四半期発表時の最新修正予想を掲載しています。
| 指標 | 2022/3 | 2023/3 | 2024/3 | 2025/3 | 2026/3 | 2027/3 | ||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 会社予想 | 実績 | 達成率 | 会社予想 | 実績 | 達成率 | 会社予想 | 実績 | 達成率 | 会社予想 | 実績 | 達成率 | 会社予想 | 実績 | 達成率 | 会社予想 | 実績 | 達成率 | |
| 売上高 (百万円) |
265,000 | 252,322 | 95.2% | 270,000 | 263,831 | 97.7% | 265,000 | 268,828 | 101.4% | 275,000 | 261,757 | 95.2% | 270,000 | 276,267 | 102.3% | 300,000 | — | 最新予想 |
| 営業利益 (百万円) |
26,500 | 22,011 | 83.1% | 27,000 | 18,164 | 67.3% | 16,000 | 14,208 | 88.8% | 16,000 | 14,236 | 89.0% | 24,000 | 23,071 | 96.1% | 34,000 | — | 最新予想 |
| 経常利益 (百万円) |
24,500 | 22,174 | 90.5% | 25,000 | 19,570 | 78.3% | 15,000 | 17,920 | 119.5% | 15,000 | 14,131 | 94.2% | 23,000 | 25,684 | 111.7% | 34,000 | — | 最新予想 |
| 親会社株主帰属純利益 (百万円) |
17,000 | 15,889 | 93.5% | 17,500 | 13,079 | 74.7% | 10,500 | 11,909 | 113.4% | 10,000 | 8,064 | 80.6% | 16,500 | 18,227 | 110.5% | 23,500 | — | 最新予想 |
| EPS(1株当たり当期純利益) (円) |
70.07 | 65.53 | 93.5% | 73.14 | 54.65 | 74.7% | 43.89 | 50.91 | 116.0% | 43.14 | 35.22 | 81.6% | 72.35 | 80.05 | 110.6% | 106.50 | — | 最新予想 |
達成率=実績÷会社予想×100。予想はすべて単一値で、レンジ予想はありません。2022年3月期予想は2021年3月期決算短信、2023年3月期以降は各前年の期末決算短信に記載された期首予想を使用しています。
2.達成・未達理由
北米需要の回復やG-SHOCK高価格帯、教育・楽器の増収はあったものの、東南アジアの部材メーカー稼働制限、中国の都市封鎖、部品不足・物流費・原材料高、システム減収が重なり、売上・利益とも期首予想を下回りました。
時計、関数電卓、システムは増収でしたが、中国の景気停滞、原材料・エネルギー高、楽器のエントリーモデル需要減、販管費増が収益を圧迫。事業整理損なども加わり、利益指標は大幅未達となりました。
時計と関数電卓の増収で売上は超過。一方、中国市場の回復遅れ、北米の実店舗減少、サウンド需要低迷、システム見直しで営業利益は未達でした。為替差益が経常利益を、固定資産売却益が純利益を押し上げました。
中国低迷、EdTechの一部新興国通貨安、サウンド市況悪化、システム縮小に加え、ランサムウェア攻撃で調達・生産・出荷が一時停止。特別退職金や構造改革費用も純利益を押し下げました。
G-SHOCKとCASIO WATCHの2軸戦略、関数電卓の伸長で売上は超過。サウンドの厳しい市況やコスト負担で営業利益はわずかに届かなかった一方、為替差益、固定資産・関係会社株式の売却益が経常利益と純利益を押し上げました。
第1四半期の時計好調と米国関税の還付などを踏まえ、期初予想から売上高50億円、営業・経常利益各80億円、純利益50億円を上方修正しました。
3.事業セグメントの自信度
年度ごとに変化した原文コメントを各セグメントのカード内にのみ掲載し、業績推移と合わせて会社の自信度を推理しています。
時計
北米を中心に需要は回復傾向にあり、増収となりました
需要回復と高価格帯の好調は前向き。ただし供給制約と中国影響が残りました。
中国における景気減速の影響を受けたものの、国内でのインバウンド需要の回復
高価格帯と2100シリーズは好調でしたが、中国減速が重石でした。
中国市場の回復が想定よりも低調であったことに加え、北米の実店舗減少の影響
主要地域の販売環境悪化を明示し、利益も縮小しました。
中国を除く地域は増収となり、「G-SHOCK」の中高価格帯は順調に推移しました
中国を除く回復と中高価格帯の強さが下支えしました。
「G-SHOCK」と「CASIO WATCH」の2軸戦略が奏功し増収となりました
ブランド戦略が売上と利益の双方に結びつきました。
それぞれが前年同期比で2桁成長をし、中東以外のエリアすべてで伸長して大幅に増収
地域・ブランドの広がりが明確で、上方修正の主因です。
2軸戦略の成果が複数地域で確認され、Q1の時計売上は510億円、セグメント利益は117億円。全社予想達成を左右する主力事業です。
コンシューマ(EdTech・サウンド)
電卓、辞書ともに増収となりました。楽器は想定以上の部材・物流費高騰の影響
教育需要は回復した一方、楽器はコスト上昇を受けました。
関数電卓はインド・ASEANやオセアニアなどの地域でペントアップ需要を取り込み、増収となりました
関数電卓は強いものの、楽器の需要減が相殺しました。
サウンドは、新型コロナウイルス感染症のパンデミック時の巣ごもり需要の反動による需要の落ち込みが続き
関数電卓は増収でも、サウンドの長期低迷が利益を圧迫しました。
一部の新興国で通貨安の影響を受け、減収となりました。サウンドは、流通在庫は解消されつつある一方、市況の厳しさが続き
EdTechとサウンドがともに減収で、回復確度は低い局面でした。
関数電卓が堅調に推移し、増収となりました。サウンドは、市況の厳しさが続き、減収となりました
EdTechの改善とサウンドの弱さが併存しました。
関数電卓が新学期需要を迎える地域で受注が前倒しとなり、増収となりました。サウンドは、グローバルで厳しい市況が続き、横ばい
Q1増益は強いものの、前倒し需要とサウンド停滞に注意が必要です。
Q1のコンシューマ利益は33億円まで伸びましたが、EdTechの受注前倒しとサウンドの低迷が混在。持続性の確認が必要です。
システム
コロナ影響による商談の延期などを受け、減収となりました
減収かつ22億円のセグメント損失でした。
大型案件の納入が進み増収となりました
売上は回復したものの、25億円の損失が継続しました。
事業の見直しを進める過程で、減収となりました
成長より縮小・整理を優先する局面に移りました。
従来「システム」に計上していたハンディターミナル、電子レジスターの事業を「その他」に計上しております
事業範囲を縮小し、報告区分も再編しました。
従来、セグメント情報における報告セグメントについては、「時計」「コンシューマ」「システム」「その他」の4区分としておりましたが、当連結会計年度より「システム」を「その他」に含め
事業譲渡に伴い独立セグメントではなくなりました。
報告セグメント 時計 コンシューマ その他
独立した売上・利益は開示されていません。
独立セグメントとしての成長評価は終了。残存・新規領域は「その他」で管理されています。
その他・新規事業
新規事業は、選択と集中により効果的なリソースの投入を行い、事業化促進
事業化を進める段階で、収益寄与はまだ限定的でした。
新規領域は、次代の事業の柱となるNextコア領域の見極めと育成
探索・育成を重視する段階でした。
成長領域へ集中
既存システムの縮小と成長領域への再配分を進めました。
新規事業は、保有する技術や資産を進化させながら、新たな領域で事業の創出に向けた取り組みを強化
新規事業の創出姿勢は強まりましたが、セグメントは赤字でした。
AIペット「Moflin」の展開をグローバルで加速
具体的な成長商品と海外展開を打ち出しました。
その他が△2億円
成長投資を続ける一方、Q1もセグメント損失でした。
Moflinなどの成長余地はあるものの、Q1は2億円の損失。全社利益への寄与はまだ限定的です。
4.最新予想信頼度
第1四半期の好調を受けて全5指標を上方修正しました。通期営業利益340億円は前期比47.4%増と高い目標ですが、Q1時点で128億円を確保し、会社自身も上期利益を厚く見込んでいます。
Q1進捗率は各Q1実績÷最新通期予想の単純計算であり、季節性や受注前倒しを調整していません。
達成できると判断する理由
- 時計はG-SHOCKとCASIO WATCHがともに2桁成長し、中東以外の全地域で伸長。Q1セグメント利益は117億円まで拡大しました。
- Q1営業利益率は17.2%で、通期目標の11.3%を大きく上回っています。初期の利益バッファーは厚めです。
- 第2四半期累計予想は営業・経常利益205億円で、通期予想の60.3%。会社予想上、上期で過半を確保する計画です。
- Q1発表時に通期予想を上方修正しており、直近の販売実績と米国関税の還付をすでに織り込んでいます。
達成できないと判断する理由
- EdTechのQ1増収には新学期需要地域での受注前倒しが含まれ、米国関税の還付も一時要因です。Q1利益を単純に年率換算できません。
- サウンドは厳しい市況が継続し、その他セグメントも赤字。時計への利益依存度が高まっています。
- 中東情勢、エネルギー・物流コスト、関税政策、為替変動が想定を悪化させると、下期の利益率が低下する可能性があります。
- 2022~2026年3月期の期首営業利益予想は5期連続未達で、利益計画には過去の下振れ傾向があります。
収益計上時期の見方
会社は明確な通期の季節性を説明していませんが、最新予想では上期に営業利益205億円、下期に135億円を見込むため、利益計画は上期偏重です。Q1の関数電卓には受注前倒しがあり、下期には同効果の反動が出る可能性があります。
直近5年業績サマリー
| 業績項目 | 2022/3 実績 |
2023/3 実績 |
2024/3 実績 |
2025/3 実績 |
2026/3 実績 |
2027/3 会社予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 252,322 | 263,831+11,509 / +4.6% | 268,828+4,997 / +1.9% | 261,757-7,071 / -2.6% | 276,267+14,510 / +5.5% | 300,000+23,733 / +8.6% |
| 営業損益 | 22,011 | 18,164-3,847 / -17.5% | 14,208-3,956 / -21.8% | 14,236+28 / +0.2% | 23,071+8,835 / +62.1% | 34,000+10,929 / +47.4% |
| 経常損益 | 22,174 | 19,570-2,604 / -11.7% | 17,920-1,650 / -8.4% | 14,131-3,789 / -21.1% | 25,684+11,553 / +81.8% | 34,000+8,316 / +32.4% |
| 当期純利益 | 15,889 | 13,079-2,810 / -17.7% | 11,909-1,170 / -8.9% | 8,064-3,845 / -32.3% | 18,227+10,163 / +126.0% | 23,500+5,273 / +28.9% |
| EPS | 67.77 | 55.78-11.98 / -17.7% | 50.79-4.99 / -8.9% | 34.39-16.40 / -32.3% | 77.74+43.35 / +126.0% | 100.23+22.49 / +28.9% |
| PER | 20.8 | 23.3 | 25.5 | 35.5 | 18.0 | 21.6 |
| PBR | 1.51 | 1.37 | 1.31 | 1.31 | 1.40 | – |
| BPS | 933.61 | 945.14+11.53 / +1.2% | 985.89+40.74 / +4.3% | 933.53-52.36 / -5.3% | 1,002.99+69.47 / +7.4% | – |
| 純資産 | 218,897 | 221,600+2,703 / +1.2% | 231,153+9,553 / +4.3% | 218,927-12,226 / -5.3% | 235,191+16,264 / +7.4% | – |
| 営業CF | 16,419 | 11,339-5,080 / -30.9% | 30,516+19,177 / +169.1% | 16,144-14,372 / -47.1% | 30,153+14,009 / +86.8% | – |
| 投資CF | -6,096 | -3,146+2,950 / +48.4% | -218+2,928 / +93.1% | 4,674+4,892 / +2244.0% | -8,914-13,588 / -290.7% | – |
| 財務CF | -19,033 | -15,232+3,801 / +20.0% | -21,846-6,614 / -43.4% | -24,788-2,942 / -13.5% | -17,368+7,420 / +29.9% | – |
| 現金及び現金同等物 | 133,904 | 130,232-3,672 / -2.7% | 144,641+14,409 / +11.1% | 140,370-4,271 / -3.0% | 150,658+10,288 / +7.3% | – |
中期経営計画
2026年度から2028年度 中期経営計画
2026年5月公表の中期経営計画は、2029年3月期に売上高3,150億円、 営業利益350億円、営業利益率11.1%、 ROE10%超、ROIC約9%を目指す。 2026年3月期実績の売上高2,763億円、営業利益231億円、営業利益率8.4%から、 コア事業の再成長と不採算領域の改革を同時に進める計画である。
数値目標と事業ポートフォリオ
時計事業は2029年3月期に売上高2,070億円、営業利益325億円、 営業利益率15.7%を目標とする。 コンシューマは売上高920億円、営業利益90億円、利益率9.8%。 内訳はEdTechが売上高680億円・営業利益85億円、サウンドが売上高240億円・営業利益5億円である。
時計はG-SHOCKとCASIO WATCHの2軸成長を進める。 G-SHOCKは若年層向けエントリー、アイコニックモデル、高価格帯、CRM、インド・ブラジルなどを強化する。 CASIO WATCHは女性・Z世代、高付加価値商品、店舗・EC接点を広げる。
EdTechは関数電卓の普及率・シェア拡大、新興国需要、模倣品対策、ICTサービスを強化する。 サウンドは構造改革で早期黒字化し、新技術とアプリ連携による制作・演奏体験を拡張する。 新規事業はMoflinを海外へ広げ、ウェルネス領域で独自ポジションを構築する。
キャピタルアロケーション
3年間の営業キャッシュフローは850億円+αを想定する。 戦略投資300億円、通常設備投資250億円、 次世代環境投資200億円、株主還元600億円+αへ配分する。 戦略投資はM&A・アライアンス、ブランド、生産・営業拠点などを対象とする。
株主還元はDOE5%水準の安定配当と機動的な自己株式取得を組み合わせ、 総還元性向100%水準を目指す。 2029年3月期の目標財務構成は手元流動資金1,000億円水準、自己資本比率60~65%、 配当性向60%水準である。
2027年3月期予想との接続
中期計画公表時の2027年3月期計画は売上高2,950億円、営業利益260億円だったが、 2026年7月31日の第1四半期決算で通期予想を売上高3,000億円、 営業利益340億円、経常利益340億円、 親会社株主に帰属する当期純利益235億円へ上方修正した。 上方修正後の営業利益は2029年3月期目標350億円に近い水準であり、 2028年度までの成長は利益額だけでなく、事業別の持続性と投資後の資本効率で評価する必要がある。
中期経営計画資料へ競合他社
① Garmin Ltd.(NYSE:GRMN)
GarminはGPS、スポーツ・フィットネス機器、アウトドア、航空、船舶向け機器を展開する。カシオとの直接競合はスポーツウォッチ、アウトドアウォッチ、GPSウォッチ、スマートウォッチである。
Forerunner、fēnix、epix、Venu、Instinct、MARQ、Approach、Descentなどが、G-SQUAD、G-SHOCK MOVE、PRO TREK、Master of G、OCEANUSと用途面で重なる。
GarminはGPS、地図、心拍・睡眠、トレーニング負荷、健康データ、Garmin Connectによるアプリ連携を強みとする。カシオは耐衝撃、防水、長時間駆動、ブランド認知、ファッション性で差別化する。
2026年第2四半期は売上高約20.2億米ドルで前年同期比11%増、営業利益6.16億米ドルで30%増、営業利益率30.4%だった。通期見通しも引き上げた。
Garminはハード販売に加えて運動・健康データを蓄積するエコシステムを持つ。カシオにとってはG-SHOCKのブランド価値を維持しながら、スポーツ解析やスマート機能をどこまで選択的に強化するかが競争点となる。
② セイコーグループ(8050)
セイコーグループは腕時計、ムーブメント、クロック、システムソリューション、デバイスソリューションなどを展開する。カシオとの競合の中心は腕時計である。
Grand Seiko、King Seiko、Prospex、Astron、Presage、Seikoブランド各製品が、OCEANUS、EDIFICE、PRO TREK、G-SHOCK、CASIO WATCHと価格帯・用途で競合する。
セイコーは機械式、スプリングドライブ、高級クオーツ、GPSソーラー、ダイバーズなどに強い。カシオは耐衝撃構造、デジタル・アナデジ、電波ソーラー、Bluetooth、軽量・多機能で差別化する。
2026年3月期は売上高335,686百万円、営業利益30,873百万円、経常利益33,100百万円、親会社株主に帰属する当期純利益22,000百万円規模。海外時計と高付加価値化が利益成長を支えた。
ProspexはPRO TREKやG-SHOCK Master of G、AstronはOCEANUSやEDIFICE、普及価格帯はCASIO WATCHと競合する。伝統・機械式のセイコーと、デジタル・タフネスのカシオはブランド軸が異なるが、消費者の予算と販売チャネルでは直接競合する。
③ シチズン時計(7762)
シチズン時計は時計、工作機械、デバイス・電子部品を展開する。カシオとの競合は光発電、電波、チタン、アウトドア、ビジネス、レディース、普及価格帯の腕時計に集中する。
Eco-Drive、ATTESA、PROMASTER、EXCEED、xC、CITIZEN COLLECTION、CITIZEN L、Q&Qが、Tough Solar、OCEANUS、EDIFICE、PRO TREK、SHEEN、BABY-G、CASIO WATCHと競合する。
シチズンは光発電Eco-Drive、チタン、アナログ時計、ムーブメント供給に強い。カシオは耐衝撃、デジタル表示、電波ソーラー、センサー、若年層・ストリート向けブランドで差別化する。
2026年3月期は売上高346,800百万円、営業利益30,200百万円、経常利益38,400百万円、親会社株主に帰属する当期純利益31,100百万円。時計事業は売上高約197,000百万円、営業利益約25,000百万円で全社利益の中心だった。
PROMASTERはPRO TREKやMaster of G、ATTESAはOCEANUSやEDIFICE、Q&QはCASIO WATCHと価格・販路・用途が重なる。ソーラーとアナログのシチズン、タフネスとデジタルのカシオという差はあるが、中価格帯から普及価格帯まで競合範囲が広い。
出典
- カシオ計算機 公式コーポレートサイト
- カシオ計算機 会社概要
- カシオの事業内容
- CASIO 製品情報
- CASIO 法人向け製品
- カシオ計算機 投資家情報
- カシオ計算機 決算資料
- 2022年3月期 決算短信
- 2023年3月期 決算短信
- 2024年3月期 決算短信
- 2025年3月期 決算短信
- 2026年3月期 決算短信
- 2027年3月期 第1四半期決算短信
- 2026年度から2028年度 中期経営計画
- Garmin 2026年第2四半期決算
- Garmin GPSランニングウォッチ
- セイコーグループ IRライブラリー
- セイコーウオッチ 公式サイト
- シチズン時計 投資家情報
- シチズン時計 2026年3月期決算説明資料
- シチズンウオッチ 公式サイト
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