東京エレクトロン 8035 東証P
Tokyo Electron Ltd.|成膜、塗布現像、エッチング、洗浄、テスト、3次元実装、フィールドソリューションを展開する半導体製造装置メーカー。
※2026年8月2日時点の情報
事業内容
2026年8月2日の時価総額は約259,758億円。 直近取引日である2026年7月31日の終値55,500円、同日時点の発行済株式数468,032,733株を基準に算出した。
東京エレクトロンは1963年11月11日設立。本社は東京都港区赤坂、代表取締役社長・CEOは河合利樹、主要事業は半導体製造装置事業である。 2026年4月1日現在、資本金は549億6,119万円、従業員数は単独2,436人、連結20,812人、世界18の国と地域で102拠点を展開している。
2026年3月期は売上高2,443,533百万円、営業利益624,936百万円、経常利益630,338百万円、親会社株主に帰属する当期純利益574,454百万円。 2027年3月期第1四半期は売上高732,388百万円、営業利益211,407百万円、経常利益215,626百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益164,341百万円。 2027年3月期中間期会社予想は売上高1,620,000百万円、営業利益458,000百万円、経常利益464,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益349,000百万円である。
半導体製造装置単一セグメント|会社全体の業績推移
半導体製造装置単一セグメント 業績推移
連結売上高と営業利益。単一セグメントのため会社全体の業績推移として表示
単位:百万円(全年度同一縮尺、縦軸最大2,500,000百万円)
同社の主要事業は半導体製造装置事業である。公式の会社概要は、主要事業を半導体製造装置事業とし、2026年3月期売上高を2兆4,435億円としている。
決算短信では、2027年3月期第1四半期において「半導体製造装置」の単一セグメントであるためセグメント別記載を省略している。そのため、事業別分析では会社全体の売上高、営業利益、営業利益率をセグメント業績の中心に置く。
2024年3月期は半導体設備投資の調整局面を受け、売上高が前期比17.1%減、営業利益が26.1%減となった。2025年3月期は売上高が前期比32.8%増、営業利益が52.8%増となり、利益率も回復した。
2026年3月期は売上高が前期比0.5%増と小幅増にとどまった一方、営業利益は10.4%減だった。営業利益率は2025年3月期の28.7%から2026年3月期の25.6%へ低下している。
2027年3月期第1四半期はデータセンター向けAIサーバー需要の拡大が半導体市場全体の成長を牽引し、AI用途の半導体向け設備投資が前年同期比で顕著に伸長したと説明されている。
同四半期の売上高は732,388百万円、営業利益は211,407百万円で、営業利益率は約28.9%だった。第1四半期時点では、2026年3月期通期の営業利益率25.6%を上回る水準で始まっている。
中間期会社予想は売上高1,620,000百万円、営業利益458,000百万円で、会社計画ベースの中間期営業利益率は約28.3%となる。第1四半期から第2四半期にかけて高水準の売上と利益を見込む内容である。
投資判断上は、短期的な四半期売上だけでなく、WFE市場、AIサーバー、HBM、先端ロジック、メモリ、アドバンストパッケージング関連投資が同社装置群にどの工程で寄与するかを分解して見る必要がある。
コータ/デベロッパ|EUV・High NA時代のリソグラフィ周辺装置
コータ/デベロッパは、ウェーハ上にフォトレジストを塗布し、露光後に現像するリソグラフィ周辺の中核装置である。半導体の微細化が進むほど、塗布膜厚、ベーク条件、現像均一性、欠陥抑制、スループットの管理が重要になる。
公式製品一覧には、CLEAN TRACK LITHIUS Pro DICE、CLEAN TRACK LITHIUS Pro AP、CLEAN TRACK LITHIUS Pro Z、CLEAN TRACK LITHIUS Pro V、CLEAN TRACK ACTシリーズなどが掲載されている。
CLEAN TRACK LITHIUS Pro DICEは300mmウェーハ対応の塗布現像装置で、High NAを含むEUVプロセス技術への対応性向上と生産性・信頼性の向上を掲げるプラットフォームである。
CLEAN TRACK LITHIUS Pro Zは、EUVプロセスを含む先端リソグラフィに対応し、高信頼性と高生産性の両立を訴求している。EUV世代では露光装置単体だけでなく、レジスト塗布、露光、現像、洗浄、検査までの工程統合が歩留まりに影響する。
CLEAN TRACK LITHIUS Pro APは次世代パッケージングおよびSpin-on Hard Maskプロセス向けに最適化したプラットフォームである。アドバンストパッケージングがAI半導体の性能向上に関わる中で、前工程と後工程の境界領域に製品機会が広がる。
同社の競争力は、露光工程の前後にある塗布・現像の量産実績と、先端プロセス側の工程要件を製品世代に反映する点にある。ASMLの露光装置とは直接同じ装置ではないが、EUV工程の歩留まり、スループット、工程条件の最適化では顧客投資の対象が重なる。
半導体製造装置市場では、先端ロジック、DRAM、NAND、HBM、チップレット、先端パッケージングの各工程でパターニング工程が増えやすい。東京エレクトロンのコータ/デベロッパは、その繰り返し工程の中で需要の厚みを持つ。
エッチング・洗浄|微細化と高アスペクト比構造を支える工程装置
エッチング装置は、フォトリソグラフィで形成したパターンに基づき、膜を選択的に加工する工程装置である。デバイス構造が立体化し、高アスペクト比化すると、加工精度、選択比、ダメージ制御、チャンバー安定性が歩留まりに直結する。
公式製品一覧には、300mmウェーハ対応プラズマエッチング装置のEpisode UL、300mmウェーハ対応プラズマエッチング装置のTactras、ガスケミカルエッチング装置のCertas LEAGAが掲載されている。
Tactrasは高信頼性と高生産性を提供し、搬送速度とフットプリントで世界最高水準を達成しているとされる。Episode ULはフレキシブルなチャンバー数、省スペース化、メンテナンス性向上、Smart化を特徴としている。
洗浄装置は、ウェーハ表面や裏面、ベベル、微細構造のパーティクルや残渣を除去する装置である。微細化が進むほど、わずかな粒子やダメージが不良要因となるため、洗浄は単なる補助工程ではなく歩留まり制御の重要工程となる。
公式製品一覧では、CELLESTAシリーズ、EXPEDIUS、NSシリーズ、ANTARES、ZETAなど、枚葉洗浄、バッチ洗浄、スクラバー洗浄、低温エアロゾル技術を用いた装置が掲載されている。
CELLESTA -i MDは、10nmノード以細の最新洗浄プロセスへの対応を掲げる枚葉洗浄装置である。CELLESTA MS2は両面同時処理と最外周部までの洗浄機能により、パーティクル制御性と生産性の向上を訴求している。
エッチングと洗浄は、Lam Research、Applied Materials、SCREENホールディングスなどとの競合が発生しやすい領域である。東京エレクトロンの強みは、塗布現像、成膜、洗浄、エッチング、テスト、3次元実装を横断して工程提案できる点にある。
成膜・熱処理|薄膜形成、ALD、CVD、PVDの工程ポートフォリオ
成膜装置は、ウェーハ上に絶縁膜、導電膜、バリア膜、ハードマスク、金属膜などを形成する装置群である。ロジック、メモリ、パワー半導体、先端パッケージングのいずれでも、膜質、膜厚均一性、段差被覆性、低抵抗化が重要になる。
公式製品一覧には、TELINDY PLUS、TELINDY PLUS IRad、EVAROS、TELFORMULA、ALPHA-8SE、NT333、Triase、Episode、EXIM、LEXIAなどが掲載されている。
NT333は、東京エレクトロン初の300mmウェーハ対応セミバッチ式成膜装置で、独自の成膜手法により膜厚制御、高品質成膜、高アスペクト比内の膜質均質性を実現すると説明されている。
Triaseシリーズは、Ti、TiN、Wなどの成膜に関連する枚葉CVD装置を含む。微細配線、コンタクト、ビア、バリア形成では、低抵抗化と高カバレッジが重要であり、デバイス世代の進展に応じて材料・プロセスの更新が続く。
LEXIA-EXはPVD装置として、スループットの向上、フットプリント削減、CO2排出量削減を掲げる。装置性能だけでなく、顧客工場の生産性、クリーンルーム面積、電力消費、環境負荷も装置選定の比較軸になる。
2025年2月のIR Dayでは、前工程、アドバンストパッケージング、AI半導体、HBM、3DIC、チップレット、GAA、Backside PDN、3D DRAMなどが事業機会として挙げられている。成膜はこれらの構造変化に広く関わる工程である。
競争環境ではApplied Materialsが成膜の大型競合となる。東京エレクトロンは単一の成膜装置だけでなく、成膜前後のエッチング、洗浄、塗布現像、ボンディング、テストを含めた工程ポートフォリオで顧客提案を行う。
テスト・3次元実装・フィールドソリューション|AI半導体と稼働率向上の接点
テスト装置は、ウェーハ段階で良品判定を行う工程に関わる。先端パッケージングやチップレット構造では、KGD、すなわち良品ダイを高精度に選別する重要性が増す。
公式製品一覧では、Prexa Wafer Proberを最新の300mm対応全自動ウェーハプローバとし、高い生産性と先進機能を提供し、先端パッケージ技術におけるKGDテストに貢献すると説明している。
AI半導体では、ロジック、HBM、インターポーザ、チップレット、3DICが組み合わされる。後工程側の歩留まり損失を抑えるには、前工程だけでなく、ボンディング前後のテスト、ウェーハハンドリング、レーザー加工、薄化、洗浄の工程制御が必要になる。
3次元実装領域では、ウェーハボンダー/デボンダー、レーザーエッジトリミング、レーザー剥離などが事業機会に含まれる。半導体の性能向上が微細化単独からヘテロジニアスインテグレーションへ広がるほど、東京エレクトロンの製品カバー範囲が投資テーマに重なる。
フィールドソリューションは、装置納入からアフターメンテナンスまで一貫した技術サービス/サポートを提供し、装置の高稼働率を実現する領域である。公式サービスページは、86,000台以上の装置出荷台数を生かしたビジネスと、AIやデジタル技術、ナレッジマネジメントツールを活用した効率化を示している。
装置メーカーの収益性を見る際、装置本体の出荷サイクルだけでなく、据え付け後の保守、改造、スペアパーツ、プロセス改善、アップグレードが利益の安定性に関わる。顧客工場の稼働率が高い局面では、フィールドソリューションの重要性が増す。
東京エレクトロンの製品ラインアップは、リソグラフィ周辺、成膜、エッチング、洗浄、テスト、3次元実装に広がっている。AI半導体の需要が先端ロジック、HBM、アドバンストパッケージングを同時に押し上げる局面では、複数工程にまたがる事業機会を持つ点が特徴である。
1.会社予想と実績
2022年3月期から2026年3月期は期首の通期会社予想と通期実績を比較。2027年3月期は通期予想が未開示のため、最新の上期予想と第1四半期実績を掲載しています。
| 指標 | 2022/3 | 2023/3 | 2024/3 | 2025/3 | 2026/3 | 2027/3(上期/Q1) | ||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 会社予想 | 実績 | 達成率 | 会社予想 | 実績 | 達成率 | 会社予想 | 実績 | 達成率 | 会社予想 | 実績 | 達成率 | 会社予想 | 実績 | 達成率 | 上期予想 | Q1実績 | 単純進捗 | |
| 売上高 (百万円) | 1,700,000 | 2,003,805 | 117.9% | 2,350,000 | 2,209,025 | 94.0% | 1,700,000 | 1,830,527 | 107.7% | 2,200,000 | 2,431,568 | 110.5% | 2,600,000 | 2,443,533 | 94.0% | 1,620,000 | 732,388 | 45.2%単純進捗 |
| 営業利益 (百万円) | 442,000 | 599,271 | 135.6% | 716,000 | 617,723 | 86.3% | 393,000 | 456,263 | 116.1% | 582,000 | 697,319 | 119.8% | 727,000 | 624,936 | 86.0% | 458,000 | 211,407 | 46.2%単純進捗 |
| 経常利益 (百万円) | 442,000 | 601,724 | 136.1% | 716,000 | 625,185 | 87.3% | 395,000 | 463,185 | 117.3% | 584,000 | 707,727 | 121.2% | 736,000 | 630,338 | 85.6% | 464,000 | 215,626 | 46.5%単純進捗 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 (百万円) | 330,000 | 437,076 | 132.4% | 523,000 | 471,584 | 90.2% | 300,000 | 363,963 | 121.3% | 445,000 | 544,133 | 122.3% | 566,000 | 574,454 | 101.5% | 349,000 | 164,341 | 47.1%単純進捗 |
| EPS(1株当たり当期純利益) (円) | 707.16 | 935.95 | 132.4% | 1,119.32 | 1,007.82 | 90.0% | 640.53 | 783.75 | 122.4% | 961.19 | 1,182.40 | 123.0% | 1,235.51 | 1,254.57 | 101.5% | 767.51 | 361.36 | 47.1%単純進捗 |
達成率=実績÷期首会社予想×100。2027年3月期はQ1実績÷最新上期予想の単純進捗率です。EPSは2023年4月1日の1株→3株の株式分割を遡及換算し、2022年3月期・2023年3月期の期首予想を3分の1に調整しています。レンジ予想はありません。
2.達成・未達理由
ロジック/ファウンドリからDRAM・NANDまで設備投資が高水準で推移し、半導体製造装置売上が急拡大。売上総利益率の上昇と販管費率の低下が重なり、期首予想を大幅に上回りました。
上期まで市場は高水準でしたが、年後半にメモリ顧客の在庫調整と投資見直しが進行。売上不足に加え、売上総利益率低下と販管費増で利益の未達幅が拡大しました。
メモリ・先端ロジック投資は抑制された一方、中国の成熟世代向け投資と生成AI向けアドバンストパッケージ需要が想定を上回りました。売上総利益率改善も寄与し、全指標を超過しました。
生成AI向けメモリ、アドバンストパッケージ、先端ロジック/ファウンドリ、中国の成熟世代向け投資が広く伸長。増収と売上総利益率47.1%への改善で、利益は期首予想を2割前後上回りました。
中国の設備投資一服を生成AI向けの伸長で補い切れず、売上は未達。売上総利益率の低下と研究開発費増で営業・経常利益も下振れました。一方、投資有価証券売却益が税引前利益を押し上げ、純利益とEPSは小幅に達成しました。
第1四半期の好調な先端投資を踏まえ、上期予想を売上高1兆6,200億円、営業利益4,580億円へ引き上げました。表示率はQ1実績に対する単純進捗で、未達判定ではありません。
3.事業セグメントの自信度
2024年3月期から報告セグメントは「半導体製造装置」の単一セグメントです。旧区分のFPD製造装置・その他は、独立開示されていた期間のみ追跡しています。
半導体製造装置
情報通信技術の拡充に伴うデータ社会への移行や脱炭素社会への取り組みを背景に、半導体の重要性が高まっており、今後も半導体製造装置市場はさらなる成長が見込まれております。
広範なデバイス投資を背景に成長継続を明言。
メモリ向け設備投資は、年後半より在庫調整に伴う投資の見直しがおこなわれましたが、一年を通じてみると高い水準となりました。
年間実績は高水準だが、年後半の減速を認識。
調整局面を迎えていた半導体製造装置向け設備投資も底打ちの兆候が見られました。
回復を断定せず、底打ちの兆候という慎重な表現。
生成AI用途のメモリやアドバンストパッケージ向け設備投資が顕著に伸長するとともに、中国における成熟世代向け設備投資も継続しました。
AI・中国・先端ロジックの複数ドライバーが揃う。
前年度と比べ中国における設備投資は一服感がみられた一方、生成AI用途の半導体向け設備投資が顕著に伸長しました。
AIは強いが、中国減速との綱引き。
AI用途の半導体向け設備投資が顕著に伸長しました。
上期予想を上方修正し、下期の需要加速も想定。
AIサーバー、先端ロジック、DRAM、アドバンストパッケージが同時に伸び、Q1後に上期予想を引き上げています。中国依存から先端投資主導への転換も進んでいます。
FPD製造装置(旧区分)
テレビ用大型液晶パネル向け設備投資が一巡したことにより、FPD TFTアレイ向け製造装置市場全体としては減速傾向となりました。
大型液晶投資の一巡で売上は前期比28.6%減。
テレビ用大型液晶パネル向け設備投資が一巡したことにより、FPD TFTアレイ向け製造装置市場全体としては減速傾向となりました。
有機EL投資は継続したが、売上は前期比10.3%減。
当連結会計年度から、報告セグメントを「半導体製造装置」の単一セグメントに変更したため、セグメント別の記載を省略しております。
独立セグメントとしての開示を終了。
2024年3月期から単一セグメント化され、独立した自信度評価はできません。
その他(旧区分)
当セグメントの当連結会計年度の外部顧客に対する売上高は、1億3千1百万円(前連結会計年度比1.4%増)となりました。
規模は小さく、ほぼ横ばい。
当セグメントの当連結会計年度の外部顧客に対する売上高は、1億4千4百万円(前連結会計年度比10.0%増)となりました。
増収だが全社影響は限定的。
当連結会計年度から、報告セグメントを「半導体製造装置」の単一セグメントに変更したため、セグメント別の記載を省略しております。
独立区分の開示を終了。
全社に占める規模は小さく、2024年3月期以降は独立区分の開示がありません。
4.最新予想信頼度
2027年3月期は通期予想が未開示のため、判断対象は最新の上期会社予想です。第1四半期後に予想が上方修正され、残りの第2四半期に必要な伸びも会社の出荷計画と整合しています。
達成できると判断する理由
- Q1時点で売上45.2%、営業利益46.2%、純利益47.1%まで進捗。上期の半分未満の期間で、利益はほぼ47%に到達しています。
- 上期予想はQ1発表時に上方修正済みで、最新の顧客投資・出荷計画を反映しています。
- Q2に必要な売上はQ1比21.2%増。会社は半導体製造装置のQ2売上をQ1比約33%増と見込んでおり、必要水準を上回ります。
- 塗布現像、エッチング、アドバンストパッケージの各領域で高い成長を見込み、単一製品への依存が小さい構成です。
- Q1営業利益率28.9%は上期予想28.3%を上回り、売上だけでなく採算面にも余裕があります。
達成できないと判断する理由
- 売上計上は顧客の設備投資時期、出荷・据付・検収の進行に左右され、Q2への計上集中が遅延すると上期予想を下回る可能性があります。
- 中東情勢、サプライチェーン、輸出規制、顧客の投資計画変更は、会社自身も要注視としている下振れ要因です。
- 中国投資の一服が続く中、先端ロジック・メモリ投資の加速が想定より弱ければ、売上構成と利益率の双方に影響します。
- 通期予想が未開示であるため、下期の需要加速という定性的見通しを年間数値の達成可能性へ直接置き換えることはできません。
収益計上時期の見方
今上期はQ2偏重の計画です。Q1実績を単純に2倍するだけでは上期予想に届きませんが、会社計画ではQ2の半導体製造装置売上がQ1比約33%増となる前提です。掲載した45~47%はあくまで単純進捗率であり、季節性や出荷・検収時期を調整した進捗率ではありません。
直近5年業績サマリー
| 業績項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 2027年3月期 中間期会社予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,003,805基準期 | 2,209,025+205,220 / +10.2% | 1,830,527△378,498 / △17.1% | 2,431,568+601,041 / +32.8% | 2,443,533+11,965 / +0.5% | 1,620,000中間期予想 |
| 営業損益 | 599,271基準期 | 617,723+18,452 / +3.1% | 456,263△161,460 / △26.1% | 697,319+241,056 / +52.8% | 624,936△72,383 / △10.4% | 458,000中間期予想 |
| 経常損益 | 601,724基準期 | 625,185+23,461 / +3.9% | 463,185△162,000 / △25.9% | 707,727+244,542 / +52.8% | 630,338△77,389 / △10.9% | 464,000中間期予想 |
| 当期純利益 | 437,076基準期 | 471,584+34,508 / +7.9% | 363,963△107,621 / △22.8% | 544,133+180,170 / +49.5% | 574,454+30,321 / +5.6% | 349,000中間期予想 |
| EPS | 933.86円 | 1,007.59円 | 777.64円 | 1,162.60円 | 1,227.38円 | 745.67円発行済株式数で再計算 |
| PER | 67.73倍 | 15.92倍 | 50.88倍 | 17.30倍 | 30.33倍 | ― |
| PBR | 21.98倍 | 4.69倍 | 10.52倍 | 5.07倍 | 8.42倍 | ― |
| BPS | 2,878.11円 | 3,417.55円 | 3,760.81円 | 3,963.84円 | 4,422.76円 | ― |
| 純資産 | 1,347,048基準期 | 1,599,524+252,476 / +18.7% | 1,760,180+160,656 / +10.0% | 1,855,209+95,029 / +5.4% | 2,069,996+214,787 / +11.6% | ― |
| 営業CF | 283,387基準期 | 426,270+142,883 / +50.4% | 434,720+8,450 / +2.0% | 582,174+147,454 / +33.9% | 539,732△42,442 / △7.3% | ― |
| 投資CF | -55,632基準期 | -41,756+13,876 / +-24.9% | -125,148△83,392 / △199.7% | -169,609△44,461 / △35.5% | -96,492+73,117 / +-43.1% | ― |
| 財務CF | -167,256基準期 | -256,534△89,278 / △53.4% | -325,012△68,478 / △26.7% | -388,836△63,824 / △19.6% | -425,359△36,523 / △9.4% | ― |
| 現金及び現金同等物 | 335,648基準期 | 472,471+136,823 / +40.8% | 461,608△10,863 / △2.3% | 485,072+23,464 / +5.1% | 505,414+20,342 / +4.2% | ― |
中期経営計画
2027年までの財務目標とFY2025-FY2029の成長投資
2025年2月26日のIR Day資料では、2027年までの中期経営計画財務目標として、売上高3兆円以上、営業利益率35%以上、ROE30%以上が掲げられている。 2026年3月期実績は売上高2兆4,435億円、営業利益率25.6%、ROE29.6%であり、売上高と営業利益率の上積みが財務目標達成の焦点となる。
基本方針
事業の中心にあるのは、半導体の技術革新を通じてデジタル化と地球環境保全の両立に貢献するという考え方である。 公式資料では、半導体市場が2030年に1兆ドル、2050年に5兆ドルへ拡大する見通しを示し、AI、クラウド、IoT、自動運転、6G/7G、量子、Industry 5.0などを長期需要ドライバーとして扱っている。
事業戦略
戦略の中核は、前工程とアドバンストパッケージングをまたぐ製品ラインアップの拡張である。 IR Day資料では、EUVコータ/デベロッパ、ガスケミカルエッチ、コンダクターエッチ、PVD、プラズマCVD、ダブルサイドスクラバー、裏面・ベベル洗浄、ウェーハボンダー、レーザー装置、プローバなどが先端ロジック、DRAM、NAND、ロジックパッケージング、HBMパッケージング、先端ロジック/メモリテストの事業機会として示されている。
FY2025-FY2029の投資計画では、研究開発費1.5兆円、設備投資7,000億円、人材採用10,000人、年2,000人の採用ペースを掲げる。 東京エレクトロン宮城の生産新棟は2027年夏の竣工予定、延床面積約88,600平方メートル、建設費用約1,040億円とされている。
中期経営計画資料へ
競合他社
1 ASML Holding N.V.(ASML)
ASMLはオランダの半導体製造装置メーカーで、EUV露光装置、High NA EUV、DUV露光装置、メトロロジー、計算リソグラフィ、カスタマーサポートを展開する。
東京エレクトロンとASMLは、装置カテゴリでは「コータ/デベロッパ」と「露光装置」という補完関係にある。ただし、リソグラフィ工程では塗布、露光、現像、欠陥抑制、スループットが一体で評価されるため、EUVおよびHigh NA EUV世代のプロセス主導権で競合・連携の両面を持つ。
2026年第2四半期のASMLは売上高93.26億ユーロ、売上総利益率54.0%、営業利益34.56億ユーロ、純利益29.18億ユーロ。2026年通期売上高見通しは430億から450億ユーロ、通期売上総利益率見通しは54から56%である。
AI向け先端ロジック、HBMを含むメモリ、先端ノード投資の拡大により、ASMLのEUV/DUV需要は高水準で推移している。東京エレクトロンにとっては、ASML装置の採用拡大がEUVコータ/デベロッパや関連プロセスの投資機会にもつながる。
2 Applied Materials, Inc.(AMAT)
Applied Materialsは米国の大手半導体製造装置メーカーで、成膜、エッチング、イオン注入、熱処理、計測・検査、先端パッケージング、サービスを広く展開する。
東京エレクトロンとは、成膜、エッチング、熱処理、洗浄、先端パッケージング、サービスで顧客投資が重なる。特にCVD、PVD、ALD、熱処理、配線・コンタクト形成、先端ロジックやメモリの材料工程では比較対象となりやすい。
2026年度第2四半期のApplied Materialsは売上高77.74億米ドル、非GAAP営業利益率30.7%、非GAAP EPS2.94米ドル。半導体システム部門が収益の中心で、顧客のAI・先端ノード投資と材料工学の需要が業績を支える構図である。
東京エレクトロンは、塗布現像や洗浄を含む幅広い工程カバーを持つ。Applied Materialsは材料成膜とプロセス統合の大型競合であり、顧客の設備投資配分を巡って直接比較される銘柄である。
3 Lam Research Corporation(LRCX)
Lam Researchは米国の半導体製造装置メーカーで、エッチング、成膜、洗浄、先端パッケージング、サービス領域を展開する。メモリや先端ロジックの高アスペクト比加工、3D NAND、DRAM、先端配線工程で存在感が大きい。
東京エレクトロンとは、プラズマエッチング、ガスケミカルエッチング、成膜、洗浄、先端パッケージング、サービスで競合する。NANDのチャネルホールやスリットエッチ、DRAMのキャパシタ関連工程、ロジックの微細加工では、顧客がLamとTELの技術を比較する場面が発生する。
2026年6月四半期のLam Researchは、半導体設備投資の回復とAI関連メモリ需要を背景に、エッチング・成膜領域の需要を取り込んでいる。特にHBMや先端メモリ投資は、エッチング、成膜、洗浄の複合的な装置需要に結びつきやすい。
東京エレクトロンにとってLam Researchは、工程カバーと顧客基盤が重なる代表的な競合である。TELの投資テーマを追う場合、Lamの受注、メモリ投資コメント、エッチング・成膜の収益性は比較材料となる。
出典
- 東京エレクトロン株式会社 公式サイト
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