8035 東京エレクトロン

東京エレクトロン 8035 東証P

Tokyo Electron Ltd.|半導体製造装置を主力とする世界的装置メーカー。成膜、リソグラフィ、エッチング、洗浄、テスト、ボンディング/デボディングまで、半導体前工程を中心に広い製品群を持つ。
※2026年7月5日時点の情報

事業内容

2026年7月5日時点の直近取引日である2026年7月3日の時価総額は約342,600億円。株価終値は73,200円。

東京エレクトロンは1963年11月11日設立、本社は東京都港区赤坂5-3-1 赤坂Bizタワー38F。代表者は代表取締役社長・CEOの河合利樹氏、主要事業は半導体製造装置事業、決算期は3月、上場市場は東京証券取引所プライム市場。会社概要では2026年3月期売上高2兆4,435億円、連結従業員数20,812人、世界18の国と地域、102拠点での展開が示されている。

2026年3月期の連結業績は、売上高2,443,533百万円、営業利益624,936百万円、経常利益630,338百万円、親会社株主に帰属する当期純利益574,454百万円。2027年3月期については、通期予想は開示されておらず、第2四半期累計予想として売上高1,570,000百万円、営業利益431,000百万円、経常利益437,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益328,000百万円が示されている。

半導体製造装置事業

東京エレクトロンは半導体製造装置事業の単一セグメントとして開示しているため、業績推移は全社連結の売上高と営業利益で表示する。売上高は2022年3月期の2兆38億円から2026年3月期の2兆4,435億円へ拡大。営業利益は2025年3月期に6,973億円まで伸長した後、2026年3月期は6,249億円となった。
半導体製造装置事業 業績推移(単位:億円)
30,000 22,500 15,000 7,500 0 2022 2023 2024 2025 2026 20,038 22,090 18,305 24,316 24,435 5,993 6,177 4,563 6,973 6,249 売上高営業利益
半導体製造装置事業は、半導体メーカーの前工程を中心に装置と技術サービスを供給する事業である。

半導体の微細化、3次元化、複雑化が進むほど、ウェーハ上に薄膜を形成し、感光材を塗布し、露光後に現像し、不要な膜を削り、異物を除去する工程の制御難度は上がる。東京エレクトロンはこの工程群に対して、成膜、リソグラフィ、エッチング、洗浄などの装置を供給している。

装置メーカーとしての収益構造は、半導体メーカーの設備投資サイクルに強く連動する。ロジック、ファウンドリ、DRAM、NAND、パワー半導体、先端パッケージなどの投資が重なる局面では売上と利益が大きく伸びる一方、顧客の投資調整が入る局面では受注、売上、稼働率が変動しやすい。

2024年3月期は半導体市況の調整を受けて減収減益となったが、2025年3月期は売上高2兆4,315億円、営業利益6,973億円へ回復した。2026年3月期は売上高が過去高水準を維持した一方、営業利益は前期比で減少し、売上高営業利益率は25.6%となった。

投資判断上は、売上成長だけでなく、先端向け製品ミックス、研究開発費、顧客の量産投資時期、フィールドソリューションの拡大、地政学リスクへの耐性を同時に見る必要がある。

パターニング関連装置

公式製品ページでは、東京エレクトロンがパターニングの4連続工程に装置を持つ会社であることが示されている。リソグラフィ向けコータ/デベロッパ、エッチング、洗浄を含む工程連携が同社の中核となる。
リソグラフィ工程では、ウェーハにフォトレジストを塗布し、露光後に現像するコータ/デベロッパが重要になる。東京エレクトロンはCLEAN TRACKシリーズを展開し、露光装置の前後工程を支える位置にある。

ASMLがEUVやDUV露光装置そのものを担うのに対し、東京エレクトロンは露光前後の塗布、現像、ベーク、洗浄などの工程品質を支える。先端ロジックやDRAMでは、露光技術だけでなく、膜厚、レジスト塗布均一性、現像制御、欠陥管理が歩留まりに直結する。

エッチング工程では、リソグラフィで形成された回路パターンに沿って膜を削る。公式製品ページでは、微細化やEUVリソグラフィへの対応によりエッチング装置への期待が高まっていること、同社が最先端向けのクリティカル工程で差別化に注力していることが示されている。

洗浄工程は、各プロセス間で異物を除去し、欠陥を防ぐ基幹工程である。先端半導体では、微小なパーティクルや薬液残りが歩留まりを左右するため、洗浄性能と乾燥技術が重要になる。東京エレクトロンは枚葉洗浄装置を含む製品群を持ち、プロセス性能と生産性の両立を狙っている。

パターニング関連装置の強みは、個別装置の性能だけでなく、工程間のつながりを理解したプロセス提案にある。顧客がEUV、High NA、GAA、HBM、3D NANDなどへ移行するほど、装置単体の性能差だけでなく、前後工程を含めた統合最適化が差別化要因になる。

成膜・熱処理・先端構造形成

成膜はウェーハ表面に絶縁膜や金属膜を形成する基幹工程。公式製品ページでは、Oxide/Anneal、CVD、ASFD、ALD、PVDなどの成膜装置を提供していることが示されている。
成膜工程は、半導体の素子、配線、絶縁層、バリア膜などを形成する工程であり、膜厚、均一性、段差被覆性、膜質、欠陥密度がデバイス性能に直結する。

微細化が進むと、単純に薄い膜を作るだけでは不十分になる。数ナノメートル以下の膜厚制御、高アスペクト比構造の内部まで均一に膜を入れる技術、選択的に膜を形成する技術、後工程を含めた熱履歴管理が重要になる。

東京エレクトロンは、バッチ式熱処理装置、枚葉成膜装置、ALD装置、PVD装置などを持ち、ロジック、メモリ、パワーデバイス、先端パッケージに対応する製品群を展開している。

成膜領域ではApplied Materials、Lam Research、ASM Internationalなどとの競合が強い。特にGAAトランジスタ、DRAM、3D NAND、HBM向けの構造が複雑化するほど、成膜、エッチング、洗浄を組み合わせた技術提案が重要になる。

先端構造形成では、ウェーハボンディング/デボンディングや3Dインテグレーション関連装置も重要になる。AI半導体では、前工程だけでなく、HBMや先端パッケージを含む実装側のボトルネックが設備投資テーマになりやすい。

フィールドソリューション・サービス

装置販売後の保守、部品、改造、プロセスサポートは、半導体製造装置メーカーの収益安定化に直結する。中期経営計画では、世界最大級の出荷実績を生かしたフィールドソリューション事業の強化が掲げられている。
半導体製造装置は、顧客工場に導入された後も長期にわたり稼働する。装置の稼働率、歩留まり、保守性、アップグレード対応は、顧客の量産能力を左右する。

東京エレクトロンにとって、フィールドソリューションは新規装置販売に依存しすぎない収益基盤になる。装置の納入台数が積み上がるほど、保守部品、改造、プロセス改善、リペア、技術サービスの対象が増える。

顧客側から見れば、装置選定は初期性能だけでなく、量産立ち上げ後の安定稼働、トラブル対応力、グローバルサポート、部品供給力まで含めて評価される。

先端半導体工場では、1台の装置停止がライン全体の稼働率に影響する。装置メーカーが顧客現場に深く入り込み、プロセスデータや保守履歴を活用できるほど、顧客粘着性は高まる。

半導体設備投資が調整局面に入っても、既存ラインの稼働維持、改造、歩留まり改善需要は残りやすい。フィールドソリューションの拡大は、売上の安定化と利益率の下支えという点で中長期の重要テーマになる。

直近5年業績サマリー

業績項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期 2027年3月期
2Q累計予想
売上高
(百万円)
2,003,805 2,209,025+205,220 / +10.2% 1,830,527-378,498 / -17.1% 2,431,568+601,041 / +32.8% 2,443,533+11,965 / +0.5% 1,570,000
営業損益
(百万円)
599,271 617,723+18,452 / +3.1% 456,263-161,460 / -26.1% 697,319+241,056 / +52.8% 624,936-72,383 / -10.4% 431,000
経常損益
(百万円)
601,724 625,185+23,461 / +3.9% 463,185-162,000 / -25.9% 707,727+244,542 / +52.8% 630,338-77,389 / -10.9% 437,000
当期純利益
(百万円)
437,076 471,584+34,508 / +7.9% 363,963-107,621 / -22.8% 544,133+180,170 / +49.5% 574,454+30,321 / +5.6% 328,000
EPS
(円)
935.95 1,007.82 783.75 1,182.40 1,254.57 721.12
PER
(倍)
22.53 15.92 50.49 17.01 29.68
PBR
(倍)
7.38 4.73 10.49 5.01 8.28
BPS
(円)
2,857.48 3,389.68 3,773.11 4,016.34 4,498.85
純資産
(百万円)
1,347,048 1,599,524+252,476 / +18.7% 1,760,180+160,656 / +10.0% 1,855,209+95,029 / +5.4% 2,069,996+214,787 / +11.6%
営業CF
(百万円)
283,387 426,270+142,883 / +50.4% 434,720+8,450 / +2.0% 582,174+147,454 / +33.9% 539,732-42,442 / -7.3%
投資CF
(百万円)
-55,632 -41,756+13,876 / +24.9% -125,148-83,392 / -199.7% -169,609-44,461 / -35.5% -96,492+73,117 / +43.1%
財務CF
(百万円)
-167,256 -256,534-89,278 / -53.4% -325,012-68,478 / -26.7% -388,836-63,824 / -19.6% -425,359-36,523 / -9.4%
現金及び現金同等物
(百万円)
335,648 472,471+136,823 / +40.8% 461,608-10,863 / -2.3% 485,072+23,464 / +5.1% 505,414+20,342 / +4.2%
【業績数値に関する注意事項】
業績数値は各期の決算短信をもとに記載。2022年3月期のEPSとBPSは、2023年4月1日付の1株を3株とする株式分割を反映した分割調整後の値。PERとPBRは、ユーザー提供の期末最終取引日終値を用いて算出。2027年3月期は会社が通期予想を開示していないため、第2四半期累計予想を掲載。

中期経営計画

2023年3月期から2027年3月期までの中期経営計画

2022年6月8日に公表された新中期経営計画では、2023年3月期から2027年3月期までの5年間を対象に、財務目標として売上高3兆円以上、営業利益率35%以上、ROE30%以上が掲げられている。

基本方針は、半導体の技術革新に貢献する夢と活力のある会社を目指すこと。高付加価値の最先端技術を有する製品と技術サービスを提供し、中長期的な利益拡大と企業価値向上を狙う。

事業戦略では、5年間で1兆円以上の研究開発費を投入する方針、世界最大級の出荷実績を生かしたフィールドソリューション事業の強化、データとAIを活用した生産性および付加価値の向上、E-COMPASSを通じたサプライチェーンでの環境負荷低減、2050年に向けたネットゼロ宣言が示されている。

2026年3月期実績は売上高2兆4,435億円、営業利益率25.6%であり、中期計画の数値目標に対しては、2027年3月期の上期予想と下期見通し、AI関連投資、HBM、先端ロジック、DRAM、NAND、フィールドソリューションの回復角度が焦点になる。
中期経営計画資料へ

競合他社

1. ASML Holding N.V.(ASML)
時価総額は約112.3兆円。株価は2026年7月3日米国市場基準で1,769.32ドル、1ドル161.27円換算で約285,400円。

ASMLはEUV露光装置、DUV露光装置、計測・検査、計算リソグラフィ、カスタマーサポートを展開する半導体製造装置最大級の企業。2026年第1四半期は売上高88億ユーロ、粗利率53.0%、基本EPS7.15ユーロ。

東京エレクトロンとは、露光装置そのものではなく、EUVやHigh NAを含む先端パターニング工程全体の主導権で競合する。ASMLは露光工程の中心、東京エレクトロンはコータ/デベロッパや洗浄、エッチングを含む前後工程を担うため、工程上は補完関係だが、顧客のプロセス設計、歩留まり改善、装置投資配分では同じ先端半導体メーカー向けに影響力を競う。
2. Applied Materials, Inc.(AMAT)
時価総額は約77.7兆円。株価は2026年7月3日米国市場基準で603.04ドル、1ドル161.27円換算で約97,300円。

Applied Materialsは、成膜、エッチング、CMP、イオン注入、検査・計測、先端パッケージ、サービスまで広い装置ポートフォリオを持つ。2026年度第2四半期は売上高79.1億ドル、GAAP営業利益25.2億ドル、営業利益率31.9%、GAAP EPS3.51ドル。半導体システム部門は売上高59.65億ドル、営業利益20.92億ドル、営業利益率35.1%。

東京エレクトロンとの競合度は非常に高い。成膜、エッチング、洗浄前後のプロセス統合、先端パッケージ、HBM/DRAM、GAAトランジスタ、ロジック向け前工程で製品領域が重なる。Applied Materialsは材料工学を軸にした総合装置ポートフォリオで強く、顧客が先端ノードのプロセスをまとめて最適化する局面では、東京エレクトロンにとって最も包括的な直接競合の一社になる。
3. Lam Research Corporation(LRCX)
時価総額は約71.3兆円。株価は2026年7月3日米国市場基準で351.41ドル、1ドル161.27円換算で約56,700円。

Lam Researchは、薄膜成膜、プラズマエッチング、フォトレジスト除去、ウェーハ洗浄、精密質量計測などを展開する。2026年3月期四半期は売上高58.41億ドル、GAAP粗利率49.8%、GAAP営業利益率35.0%、GAAP EPS1.45ドル。

東京エレクトロンとの競合が最も強い領域はエッチング装置。Lamは高アスペクト比加工、原子層エッチング、導体・誘電体エッチングで強みを持ち、3D NAND、DRAM、HBM、先端ロジック、先端パッケージ向けで競合する。東京エレクトロンはコータ/デベロッパ、エッチング、洗浄、成膜、テスト、3Dインテグレーションまで広い一方、Lamはエッチングと成膜の専門性で深く競争する構図になる。

強みと将来性

パターニング工程を横断する装置群と先端顧客への深い入り込み
東京エレクトロンの強みは、半導体前工程の中でも難度が高いパターニング周辺に複数の装置群を持つ点にある。

成膜、リソグラフィ、エッチング、洗浄の各工程は、単独で完結するものではない。ある工程の膜質、レジスト状態、エッチング選択性、洗浄条件が次工程の歩留まりに影響する。東京エレクトロンは、こうした工程間のつながりを前提に装置とプロセス提案を行える立場にある。

特にEUV、High NA、GAA、HBM、3D NAND、先端パッケージでは、微細化だけでなく、構造の複雑化、積層化、材料多様化が進む。顧客は装置単体のスペックだけでなく、量産立ち上げ時の歩留まり、装置稼働率、プロセス安定性、保守体制を重視する。

東京エレクトロンはグローバルな顧客基盤と出荷実績を持ち、装置納入後のフィールドソリューションも拡大余地がある。新規装置販売が半導体投資サイクルに左右される一方、保守、部品、改造、プロセス改善は既存装置の稼働台数に応じて積み上がる。

将来性は、AIサーバー、生成AI、HBM、先端ロジック、DRAM、NAND、パワー半導体、先端パッケージの設備投資継続にかかる。AI半導体の需要拡大が続く場合、前工程装置だけでなく、ボンディング/デボンディングやテスト関連も含め、東京エレクトロンの製品領域は広がりやすい。

弱みとリスク要因

半導体設備投資サイクル、地政学、競争激化への感応度
東京エレクトロンの最大のリスクは、半導体メーカーの設備投資サイクルに業績が大きく左右される点である。

半導体製造装置は顧客の投資判断が集中する局面では急速に伸びるが、顧客が在庫調整や投資先送りに入ると、受注と売上の反動が大きくなりやすい。2024年3月期のように市況調整が入ると、売上高、営業利益、営業利益率が同時に低下する。

地政学リスクも大きい。半導体製造装置は各国の輸出管理、対中規制、顧客の生産拠点再編、為替変動の影響を受ける。中国、台湾、韓国、米国、日本、欧州の設備投資動向が変化すれば、出荷先、製品ミックス、保守需要、在庫水準に影響する。

競争面では、ASML、Applied Materials、Lam Researchなどの巨大装置メーカーが強い。ASMLは露光装置で工程の中心を握り、Applied Materialsは成膜から検査、先端パッケージまで広いポートフォリオを持ち、Lam Researchはエッチングと成膜で深い競争力を持つ。

東京エレクトロンが高い利益率を維持するには、先端顧客向けの技術差別化、研究開発投資の回収、サプライチェーン安定化、フィールドソリューションの拡大が必要になる。売上高が高水準でも、製品ミックス、開発費、人件費、部材費、為替、価格交渉によって営業利益率は変動する。

出典

本ページは公開情報および会社公表資料をもとに作成した情報提供コンテンツであり、特定の有価証券の売買を推奨するものではありません。株価、時価総額、PER、PBRなどは取得時点や計算前提により変動します。投資判断は最新の開示資料を確認したうえで、自己責任で行ってください。

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