Heartseed 219A 東証グロース
Heartseed Inc. ─ iPS細胞由来心筋球で重症心不全治療を目指す慶応大学発バイオベンチャー
事業内容 ─ iPS細胞由来心筋球による心筋再生医療
Heartseed株式会社は、2015年11月に設立された慶応義塾大学発の再生医療バイオベンチャー。本社は東京都港区芝浦、代表取締役社長兼執行役員CEOは福田惠一氏(慶應義塾大学医学部循環器内科教授)。iPS(人工多能性幹)細胞から心筋細胞を作製し、それを凝集させた微小組織「心筋球」を重症心不全の患者に移植する治療法(心筋補填療法/Remuscularization)の開発を主力事業としている。社名は心筋球がフウセンカズラ(英名heartseed)という植物の種に似ていることに由来する。2024年10月28日に東証グロース市場へ新規上場。2026年3月末時点の従業員数は44名、資本金は1,327百万円(2025年12月末時点)。
主要パイプラインと事業内容
HS-001(先行開発品・開胸手術による心筋内投与)
他家iPS細胞から作製した純化精製心筋細胞からなる再生医療等製品。虚血性心疾患による重症心不全患者を対象に、開胸手術によって心筋内に移植する治療プログラム。国内において安全性・有効性を評価する第I/II相試験(LAPiS試験)を実施し、2025年2月に最終10例目の患者投与が完了。2026年6月1日に解析結果を発表し、主要評価項目である安全性について承認申請に向けた方針に影響を及ぼす懸念は認められず、副次評価項目の有効性についても複数項目で承認申請方針を支持する結果が得られたとした。2026年中の国内製造販売承認申請を目指している。
HS-005(次世代開発品・カテーテルによる心筋内投与)
HS-001の次世代品で、開胸手術ではなく専用カテーテルシステムを用いて心筋壁に投与することで、患者への侵襲を大幅に低減した低侵襲型の心筋補填療法。投与カテーテルシステムは日本ライフライン株式会社との提携により、同社の心臓カテーテル製造ノウハウを応用して開発が進む。国内では2025年内の治験届提出を目標とし、2026年の患者投与開始を予定している。グローバル展開を視野に入れた戦略的な開発品と位置付けられる。
HS-040(自家iPS細胞由来・テーラーメイド・メディシン)
患者自身のiPS細胞から作製する自家iPS細胞由来の心筋球で、拒絶反応リスクを排除したテーラーメイド・メディシン展開を見据えた開発品。基礎研究段階にあり、製造プロセスの確立や臨床応用に向けた研究開発を進めている。
プラットフォーム技術の他領域展開
iPS細胞からの心筋細胞分化誘導技術、未分化細胞除去のための純化精製技術、専用移植針(デバイス)といったコア技術をプラットフォームとして、心筋補填療法以外の再生医療領域への展開も視野に入れている。
直近5年の業績サマリー
同社は2024年10月に東証グロース市場へ新規上場した新興バイオベンチャーであり、2024年10月期以前の上場前期間の業績は決算短信ベースの公表対象外となっている。また2024年12月、決算期を10月から12月に変更した(変更後最初の事業年度=2025年12月期)。2025年12月期は売上高3,026百万円(前期比+246.6%)、営業利益272百万円・経常利益288百万円・当期純利益190百万円と黒字転換した。2026年12月期は売上高467百万円・当期純損失2,158百万円の予想となっており、開発投資が先行する局面に再び入る見通し。
| 項目(連結・百万円) | 2021年10月期 | 2022年10月期 | 2023年10月期 | 2024年10月期 | 2025年12月期 | 2026年12月期 会社予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | ― | ― | ― | 873 | 3,026 +246.6% |
467 |
| 営業損益 | ― | ― | ― | △1,038 | 272 黒字転換 |
△2,207 |
| 経常損益 | ― | ― | ― | △818 | 288 黒字転換 |
△2,155 |
| 当期純損益 | ― | ― | ― | △812 | 190 黒字転換 |
△2,158 |
| EPS(一株利益) | ― | ― | ― | △49.43円 | 8.44円 | △94.44円 |
| 決算発表時株価 (参考) |
― | ― | ― | 1,560円 | 1,926円 | ― |
| 実績PER | ― | ― | ― | -31.56倍 | 228.20倍 | ― |
| 予想PER | ― | ― | ― | ― | ― | -20.39倍 |
| PBR | ― | ― | ― | 5.24倍 | 6.12倍 | ― |
| PSR | ― | ― | ― | 29.38倍 | 14.38倍 | ― |
本ページに掲載している業績数値は、各社が公表する決算短信を一次情報として作成しています。 数値は決算短信発表時点のものであり、将来的に修正される可能性があります。 業績予想は会社発表時点のものであり、実績と異なる場合があります。 PER・PBR・PSRは決算発表日の終値で算出した参考値です。 正確な情報は各社公式IRサイトを必ずご確認ください。
※2024年10月28日に東証グロース市場へ新規上場した銘柄であり、上場前期間の業績は決算短信ベースの公表対象外。
※2024年12月、決算期を10月から12月に変更(変更後最初の事業年度=2025年12月期)。
※2025年9月29日、提携先であったノボノルディスク・エーエスとの独占的技術提携・ライセンス契約が解消された。
経営方針・成長戦略
同社は2026年3月時点で「事業計画及び成長可能性に関する事項」を東証グロース市場向けに開示しているが、複数年の財務数値目標(売上高・利益)を明示した中期経営計画は確認できていない。開発マイルストーンを中心とした成長戦略を以下に整理する。
主要マイルストーン(「事業計画及び成長可能性に関する事項」2026年3月時点に基づく)
- HS-001:LAPiS試験の解析結果に基づき、2026年中に国内製造販売承認申請を目指す
- HS-005:2025年内の治験届提出、2026年の患者投与開始を目標
- ノボノルディスク提携解消後の戦略:HS-001・HS-005に関する全世界の権利・知的財産権が同社に返還され、国内では従来50:50のプロフィットシェアから100%同社帰属に変更
成長戦略の方向性
- 心筋補填療法の早期国内上市
- より低侵襲な心筋補填療法(HS-005)による世界市場の浸透
- プラットフォーム技術を活かした他の再生医療領域への展開
- 自家iPS細胞を用いたテーラーメイド・メディシン展開
2026年12月期 会社予想
- 売上高467百万円・営業損失2,207百万円・当期純損失2,158百万円
- ※複数年の財務数値目標を明示した中期経営計画は確認できていない
強みと注目点
① 心筋補填療法(Remuscularization)でのグローバル先行ポジション
iPS細胞から作製した心筋細胞を凝集させた「心筋球」を心臓に移植する独自の心筋補填療法を確立。HS-001は2025年2月にLAPiS試験の最終10例目投与を完了し、2026年6月1日には解析結果を発表、2026年中の国内製造販売承認申請を目指す段階にある。心筋を直接補填する治療は世界的にも先行する位置付けにある。
② 慶応大学発・独自のコア技術プラットフォーム
代表取締役社長の福田惠一氏(慶應義塾大学医学部循環器内科教授)の研究成果に基づく、iPS細胞からの心筋分化誘導技術、純化精製技術、専用移植針(デバイス)といったコア技術を保有。HS-001・HS-005・HS-040と複数のパイプラインを支えるプラットフォーム技術となっている。
③ ノボノルディスク提携解消で国内収益100%帰属に変更
2025年9月のノボノルディスク・エーエスとの提携解消により、HS-001・HS-005に関する全世界の権利および知的財産権が同社に返還された。国内では従来の50:50プロフィットシェア契約から100%同社帰属に変更され、製品化が成功した場合の国内収益性は向上する。HS-005のカテーテル投与パートナーシップ(日本ライフライン)も提携解消後も継続している。
弱み・リスク要因
有価証券報告書・決算短信および公開情報から判明している同社の事業上の課題・リスクは以下のとおりです。
① ノボノルディスク提携解消による海外マイルストン収入の喪失
2025年9月29日、提携先であったノボノルディスク・エーエスから、HS-001・HS-005に関する全世界の独占的技術提携・ライセンス契約解消の通知を受領。これにより、最大5億9,800万米ドル(約900億円)に上る契約一時金・マイルストン収入、および上市後の海外売上に応じたロイヤルティ収入の権利が失われた。海外での開発・販売は同社が独自に進める必要があり、巨額の開発投資負担リスクが増大している。
② 通期赤字の継続見通し
2026年12月期会社予想は売上高467百万円・営業損失2,207百万円・当期純損失2,158百万円。2025年12月期はノボノルディスクとの提携関連の収益等で一時的な黒字化となったが、2026年12月期は開発投資が先行し再び大幅赤字となる見通し。承認・上市までの期間中は研究開発費・治験費用が継続して発生し、資金調達と業績進捗の両立が課題となっている。
③ パイプライン集中リスクと承認・上市の不確実性
収益基盤はHS-001(2026年中の国内承認申請目標)とHS-005(2026年患者投与開始目標)に集中しており、これらの治験・承認・上市の遅延や追加対応によるコスト増、当局審査の不確実性は業績への影響が大きい。再生医療等製品は臨床試験で予期せぬ安全性事象が生じた場合に開発計画が大きく変動する可能性もある。
- Heartseed 公式サイト
- Heartseed IR情報
- Heartseed株式会社「2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)」
- Heartseed株式会社「2026年12月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)」
- Heartseed株式会社「事業計画及び成長可能性に関する事項(2026年3月時点)」
- Heartseed株式会社「他家iPS細胞由来心筋球(HS-001)の第I/II相治験(LAPiS試験)解析結果に関するお知らせ」(2026年6月1日適時開示)
- Heartseed株式会社「ノボノルディスク・エーエスとの提携関係の解消に関するお知らせ」(2025年9月30日適時開示)
本ページは投資情報の提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。

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