ストップ高後の株価推移
| 経過期間 | 騰落率 | TOPIX超過 | 最大上昇 | 最大下落 |
|---|
6072 株式会社ERTH Group
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事業内容と業績
地盤事業
2022年3月期のセグメント数値は、2023年3月期短信に再掲された組替後比較値。2022〜2024年の売上高はセグメント内振替を含む「計」を使用。2027年3月期Q1は3か月実績のため年度値とは直接比較できません。
BIM Solution事業
2022年3月期数値は2023年3月期短信の組替後比較値。セグメント利益率は各期のセグメント売上高に対する単純比率。
直近5年業績サマリー
| 業績項目 | 2022年3月期 連結 | 2023年3月期 連結 | 2024年3月期 連結 | 2025年3月期 連結 | 2026年3月期 連結 | 2027年3月期 会社予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 22.17億円 | 23.08億円 9.14千万円 / +4.1% | 18.77億円 △4.31億円 / -18.7% | 18.78億円 0.06千万円 / +0.0% | 31.94億円 13.16億円 / +70.1% | 36億円 会社予想 |
| 営業損益 | △2.97千万円 | 1.09億円 1.38億円 / 黒字転換 | △4.87千万円 △1.57億円 / 赤字転落 | 1.09億円 1.58億円 / 黒字転換 | 3.55千万円 △7.4千万円 / -67.6% | △1.25億円 会社予想 |
| 経常損益 | △2.87千万円 | 1.02億円 1.31億円 / 黒字転換 | △5.87千万円 △1.61億円 / 赤字転落 | 1.1億円 1.69億円 / 黒字転換 | 4.59千万円 △6.45千万円 / -58.4% | △9.5千万円 会社予想 |
| 当期純利益 | △4.66千万円 | 7.33千万円 1.2億円 / 黒字転換 | △9.53千万円 △1.69億円 / 赤字転落 | 7.42千万円 1.7億円 / 黒字転換 | 1.97億円 1.23億円 / +165.4% | △1.27億円 会社予想 |
| EPS | -2.04円 | 3.21円 +5.25円 / 黒字転換 | -4.15円 -7.36円 / 赤字転落 | 3.25円 +7.40円 / 黒字転換 | 8.82円 +5.57円 / +171.4% | -5.66円 会社予想 |
| 1株配当金 | 0.00円 | 0.00円 +0.00円 / 前年比算出対象外 | 0.00円 +0.00円 / 前年比算出対象外 | 0.00円 +0.00円 / 前年比算出対象外 | 0.00円 +0.00円 / 前年比算出対象外 | 0.00円 会社予想 |
| 純資産 | 12.4億円 | 13.21億円 8.08千万円 / +6.5% | 12.56億円 △6.5千万円 / -4.9% | 11.93億円 △6.3千万円 / -5.0% | 14.34億円 2.41億円 / +20.2% | — |
| 営業CF | 1.06億円 | 1.46億円 4千万円 / +37.7% | △0.4千万円 △1.5億円 / 赤字転落 | 6.7千万円 7.1千万円 / 黒字転換 | 4.8千万円 △1.9千万円 / -28.4% | — |
| 投資CF | 2.55億円 | 0.1千万円 △2.54億円 / -99.6% | △4千万円 △4.1千万円 / 赤字転落 | △2.5千万円 1.5千万円 / 赤字縮小 | △4.11億円 △3.86億円 / 赤字拡大 | — |
| 財務CF | 0円 | 0円 0円 / 前年比算出対象外 | △6.4千万円 △6.4千万円 / 前年比算出対象外 | △1.87億円 △1.23億円 / 赤字拡大 | 1.14億円 3.01億円 / 黒字転換 | — |
| フリーCF | 3.61億円 | 1.47億円 △2.14億円 / -59.3% | △4.4千万円 △1.91億円 / 赤字転落 | 4.2千万円 8.6千万円 / 黒字転換 | △3.63億円 △4.05億円 / 赤字転落 | — |
表示金額は決算短信の集計値を四捨五入して億円・千万円で表示。フリーCF=営業CF+投資CF。CFのうち2027年3月期はQ1短信に四半期CF計算書がないため空欄。EPS・配当は円。前年比の金額差分は表示の丸めと差が生じる場合があります。
1.会社予想と実績
各年度の前年度末の決算短信に記載された期初通期会社予想と同年度の実績を比較。2027年3月期は2026年8月7日公表Q1短信に記載された通期会社予想です。2022年3月期の期首予想は本資料から確認できません。
| 指標 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 2027年3月期 | ||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 会社予想 | 実績 | 達成率 | 会社予想 | 実績 | 達成率 | 会社予想 | 実績 | 達成率 | 会社予想 | 実績 | 達成率 | 会社予想 | 実績 | 達成率 | |
| 売上高 | 23億円 | 23.08億円 | 100.4% | 21.5億円 | 18.77億円 | 87.3% | 20億円 | 18.78億円 | 93.9% | 31.5億円 | 31.94億円 | 101.4% | 36億円 | — | 最新予想 |
| 営業利益 | 1.04億円 | 1.09億円 | 104.4% | 1.3億円 | △4.87千万円 | 赤字転落 | 5.1千万円 | 1.09億円 | 214.6% | 3千万円 | 3.55千万円 | 118.3% | △1.25億円 | — | 最新予想 |
| 経常利益 | 9.8千万円 | 1.02億円 | 104.1% | 1.18億円 | △5.87千万円 | 赤字転落 | 4.8千万円 | 1.1億円 | 230.1% | 2.8千万円 | 4.59千万円 | 164.0% | △9.5千万円 | — | 最新予想 |
| 当期純利益 | 8.3千万円 | 7.33千万円 | 88.3% | 9千万円 | △9.53千万円 | 赤字転落 | 2.5千万円 | 7.42千万円 | 296.9% | 1千万円 | 1.97億円 | 1970.1% | △1.27億円 | — | 最新予想 |
| EPS | 3.64円 | 3.21円 | 88.2% | 3.94円 | -4.15円 | 赤字転落 | 1.09円 | 3.25円 | 298.2% | 0.45円 | 8.82円 | 1960.0% | -5.66円 | — | 最新予想 |
2027年3月期の赤字計画に対する達成率は、実績との比率が業績判断を誤らせるため算出していません。2026年3月期の純利益達成率には保険関連の特別損益が影響します。
2.達成・未達理由
住宅関連需要の回復で増収となった一方、営業体制拡大のための人員増など先行投資が利益を圧迫し、営業・経常とも赤字。2022年3月期の期首予想は提供資料内で確認できないため、達成率は算出しません。
地盤事業の原価改善とBIM業務の拡大が寄与し、売上高と営業利益は予想を上回りました。純利益は約7.3千万円で期首予想8.3千万円に届かず、収益面の達成が純利益には十分波及しませんでした。
住宅着工減少を背景に売上が会社予想を下回り、BIM Solution事業の損失拡大や住宅関連事業の再編負担が重なり、営業・経常・最終利益とも赤字。JIBANGOO事業は施工請負から設計管理等への転換を進めました。
売上高は住宅市場の縮小の影響などで期首計画を下回りました。一方、地盤解析の改善に伴う地盤補償費用の減少、地盤部門の利益率改善とBIMの損失縮小により、営業利益・経常利益・純利益・EPSは予想を上回りました。
ハウスワランティの連結による地盤事業の増収などで売上高が伸びました。他方、営業利益は前期比67.6%減。純利益約1.97億円には損害補償引当金戻入の特別利益2.51億円と旧保険契約解約に伴う特別損失0.66億円が含まれるため、単純な純利益成長を恒常的な稼ぐ力とみなすべきではありません。
2027年3月期会社予想は売上36億円、営業損失1.25億円、経常損失9.5千万円、最終損失1.27億円。Q1は売上約8.10億円、営業損失約3.42千万円。利益予想が赤字のため利益「達成率」は数値化せず、期末までの残額を確認します。
3.事業セグメントの自信度
決算短信の事業説明に基づく自信度の整理。引用は各期の決算短信原文(2022年の業績区分は後年に組替)。「強気・中立・弱気」は文章表現と収益性に基づく定性的判断であり、会社が公表した評価ではありません。
地盤事業
事業規模拡大に向け営業体制の見直しを図り
先行投資の負担が先行。
保険契約条件の見直しによる原価低減により利益は前年同期比で増加
利益率改善が進展。
国内の住宅市場は依然として厳しい状況にありますが
住宅着工減少の逆風を認識。
売上原価において損害補償費用の削減が進み
補償原価低減による増益。
当初想定を上回る受注を獲得しており
蓄電所向け地盤関連需要に手応え。
営業体制の強化等に伴う先行投資によりセグメント利益は前年同期比で減益
売上増でも利益が低下。
BIM Solution事業
BIMを活用した3Dパース(完成予想図)・ウォークスルー動画・VR等
既存の制作サービスを中心に提供。
BIMモデリング業務の請負を開始
サービス領域の拡大。
BIM Solution事業を当社グループの新たな柱とすべく
売上減とセグメント赤字化。
受注拡大と受注単価のアップが進み
新規受注と採算改善を確認。
高付加価値案件の受注が増加しておりますが
CG需要の減少により売上は減少。
高付加価値領域の売上構成比の上昇により収益性が改善
減収でも利益は増加。
4.最新予想信頼度
2027年3月期会社計画は売上36億円(前期比+12.7%)、営業損失1.25億円、経常損失9.5千万円、親会社帰属純損失1.27億円、EPS△5.66円。最新Q1は売上約8.10億円、営業損失約3.42千万円、純損失約4.2千万円。新規投資事業・資金調達はQ1末後の開示であり、この予想との混同を避けて判断します。
会社計画を達成できると考える理由
- 2026年3月期の売上は前期比+70.1%と拡大。2027年3月期の増収計画は+12.7%と比較的緩やか。
- 2027年3月期Q1の地盤事業売上は前年同期比+13.7%。住宅・非住宅案件の新規取引が進んでいる。
- BIM Solution事業はQ1で約0.058億円のセグメント利益を計上し、前年同期の約0.023億円から改善。
- 地盤事業への系統用蓄電所向け需要とグループ統合による販路拡大は、今後の売上を支える可能性がある。
会社計画の下振れ・上振れ要因とリスク
- Q1売上は通期計画の22.5%(機械的な4分の1進捗25%を下回る)。四半期偏重があるかはこの資料だけでは確認できない。
- 営業損失はQ1だけで約3.42千万円。住宅着工減少や本社関連費用、営業先行投資が続けば営業利益回復は遅れる。
- 2026年3月期純利益には引当金戻入が含まれ、2027年3月期の恒常収益の参考にはしにくい。
- 2026年10月30日のバリュー投資事業開始、新株予約権による資金調達は保有資産構成や希薄化リスクを変化させ得るが、現時点の既存短信から将来の収益額を検証できない。
残り9か月の達成必要値(Q1実績控除後)
| 項目 | 通期会社予想 | Q1実績 | Q2〜Q4の合計必要値 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 36億円 | 8.1億円 | 27.9億円 |
| 営業損益 | △1.25億円 | △3.42千万円 | △9.08千万円 |
| 経常損益 | △9.5千万円 | △3.3千万円 | △6.2千万円 |
| 当期純損益 | △1.27億円 | △4.2千万円 | △8.5千万円 |
Q1の経常・純損益は短信サマリーの百万円未満切捨て値に基づく概算。差額も概算です。売上進捗率は季節性を考慮しない単純比率。
2026年10月30日公表のバリュー投資事業は2030年3月期の時価投資残高4,200億円・年間インカム収益120億円を目標としており、これは既存の2027年3月期損益予想にも、2027年3月期Q1実績にも計上された確定業績ではありません。
最終判断
既存の地盤・BIM事業については、36億円の売上計画の達成余地はある一方、会社自身が営業赤字を想定しているため、「黒字化」と「会社計画の達成」を混同しないことが重要です。 新規投資事業と新株予約権の資金調達は業績構造・株式数を大きく変え得るため、次回決算短信と適時開示により、資金調達実行額、投資残高、営業外損益、希薄化を再確認する必要があります。
2027年3月期会社予想EPSが△5.66円のため予想PERは算出不能。参考株価:2026年10月30日東証終値957円(将来の株価を保証するものではありません)。
資料・一次情報
地盤ネットホールディングス株式会社(現・株式会社ERTH Group)発行の2022年3月期〜2026年3月期の各決算短信、および2027年3月期第1四半期決算短信(添付資料)。商号変更・新規投資事業・新株予約権発行は2026年10月1日/10月30日公表の会社適時開示に基づく。
ERTH Group
中期経営計画 × バリュー投資事業 × 新株予約権
既存の地盤・BIM事業の成長計画に、国内上場株式を中心とするバリュー投資事業が加わった。2026年10月30日の開示7件に基づき、「2030年目標」「資金調達」「希薄化」「既存株主が判断すべき条件」を分けて整理する。
最初に押さえる3つの違い
「4,200億円」は2030年の投資残高目標であって売上高・利益・時価総額ではない。「120億円」は年間インカム収益であって純利益ではない。「207.5億円」は新株予約権行使を前提とする最大調達額であり、発表時点で入金済みの資金ではない。
01 中期経営計画の全体像
ERTH Group(旧・地盤ネットホールディングス)の経営計画は、①地盤・BIM Solutionを中心とする既存事業の中期成長計画と、②2026年10月30日に開始を発表したバリュー投資事業の2030年目標を区別して読む必要がある。
| 区分 | 対象時期 | 確認できる目標・計画 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 既存事業の中期計画 | 2025年3月期〜2027年3月期を対象 | 地盤・BIM事業の拡張、ハウスワランティ統合、非住宅・蓄電所向け地盤需要、3D点群・BIM高度化 | 会社公表のロードマップには2027年3月期約31億円・2028年3月期40億円の売上高イメージを掲載。確定的な業績予想と区別。 |
| 2027年3月期の通期業績予想 | 2027年3月期 | 連結売上高36億円、営業損失1億2,500万円 | 2026年5月14日時点の会社予想。新投資事業の2030年目標とは異なる。 |
| 新・バリュー投資事業 | 2030年3月期 | 時価投資残高4,200億円、年間インカム収益120億円、1株当たりルックスルー純資産2,700円 | 将来の資金調達・株式市場・投資先の業績を前提とした中長期目標。新規事業の売上高・純利益目標としては公表されていない。 |
既存事業は、ハウスワランティとの統合による取引基盤拡大、SCANnaviなど3D計測関連サービス、BIM・点群データを活用した高付加価値案件、蓄電所など非住宅・エネルギーインフラ市場への拡張を推進する。新投資事業は持株会社単体で運営し、既存事業の事業資金を確保しながら並行する方針だ。
02 バリュー投資事業の2030年目標
| 指標 | 2030年3月期目標 | 意味 |
|---|---|---|
| 時価投資残高 | 4,200億円 | 保有する有価証券ポートフォリオの市場価値 |
| 年間インカム収益 | 120億円 | 配当金・貸株収益などの継続収入。売買益や純利益とは異なる |
| 1株当たりルックスルー純資産 | 2,700円 | 投資先企業の純資産に保有割合を掛けて取り込む考え方による独自KPI。株価目標・会計上のBPSとは異なる |
リターンの源泉は、投資先の事業成長・配当等によるFundamental Return、対話・経営改善によるStrategic Return、割安評価の是正によるValuation Returnの3本柱。投資事業の資本コストについて会社資料は8〜10%程度を想定する。
2030年目標の「時価投資残高4,200億円」は「現在持っている資産が4,200億円」という意味ではない。今回の調達がすべて成立しても、初期の最大調達額は約207.5億円で、2030年の目標規模の約4.9%にとどまる。
03 目標達成時の業績上昇余地
比較基準は2026年3月期の連結通期実績(2026年5月14日決算発表、6月26日有価証券報告書提出、日本基準)。既存事業の売上高イメージは連結業績との参考比較とし、新投資事業の投資残高・インカム収益を過去の売上・営業利益と同一指標として比較しない。
| 比較指標 | 2026年3月期実績 | 比較対象 | 増減額 | 増減率 | CAGR |
|---|---|---|---|---|---|
| 連結売上高 | 31億9,357万円 | 2028年3月期ロードマップ上の売上高イメージ40億円 | +8億643万円 | +25.3% | 11.9%/年(2年間) |
| 連結売上高(参考) | 31億9,357万円 | 2027年3月期会社予想36億円 | +4億643万円 | +12.7% | 対象外(中計目標でなく年度業績予想) |
| 連結営業利益 | 3,548万円 | 2027年3月期会社予想 △1億2,500万円 | △1億6,048万円 | 赤字化見込み | 算出対象外 |
| 連結経常利益 | 4,591万円 | 中計比較可能な目標値を確認できない | — | — | — |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1億9,701万円 | 中計比較可能な目標値を確認できない | — | — | — |
| 投資事業・時価投資残高/インカム収益/ルックスルー純資産 | 2026年3月期に同定義で比較できる事業通期実績なし | 4,200億円/120億円/2,700円 | 比較可能な数値が確認できない | — | — |
2026年3月期の詳細実績:売上高31億9,357万3,000円、営業利益3,548万円、経常利益4,591万4,000円、親会社株主に帰属する当期純利益1億9,701万3,000円。2028年3月期40億円は成長ロードマップ上のイメージであり、厳密なコミットメント目標ではない。表示額は四捨五入。なお2026年3月期純利益には損害補償引当金戻入益など一過性要因が含まれる。
比較の限界:2030年のインカム収益120億円と、2026年3月期の連結売上高31.9億円や純利益1.97億円の倍率を「業績成長率」とすることはできない。対象事業・指標が異なり、新株発行に伴う株数も変動する。2030年EPS目標の裏付けがないため、PER一定による理論株価は掲載しない。
04 投資先の選び方とKaihouの役割
資産・PBR・収益・CF
リサーチ・議決権
銘柄・投資額を決定
配当・価値向上を追求
国内上場株式が中心。PBRだけで判断せず、ROE・財務健全性・保有資産・キャッシュフロー・事業競争力などを総合評価する。短期売買益が主目的ではなく、配当・株主還元・市場評価の改善を重視。投資先との建設的対話も想定する。
| Kaihouとの契約 | 内容 |
|---|---|
| 契約期間 | 成立日から2年間、以降自動更新あり |
| 固定報酬 | なし(投資残高比例の固定報酬なし) |
| 成功報酬 | 半期ごとの純実現利益(売却損益・デリバティブ決済損益・配当収入から直接費用控除)の10%(税抜)。通算損失なら報酬0円、報酬額上限なし |
| 最終意思決定 | Kaihouは助言、投資先・投資金額の最終決定はERTHの投資委員会。売却は取締役会決定 |
| 利益相反管理 | KaihouはERTHの「その他の関係会社」。兼任取締役2名は顧問契約締結の審議・決議から除外。売却承認を取締役会事項とする |
05 第5〜8回新株予約権:発行スキームを分解
今回のスキームは、株式をただちに約207.5億円分発行して資金を受け取る方式ではない。新株を将来取得できる権利(新株予約権)を発行し、権利が実際に行使された分だけ株式と資金が増える仕組みである。
| 新株予約権 | 割当先 | 行使価額 | 潜在株式数 | 最大行使時調達額 | 希薄化率(既存発行済株数比) |
|---|---|---|---|---|---|
| 第5回 | EVO FUND | 1,200円 | 200万株 | 24億円 | 8.9% |
| 第6回 | EVO FUND | 1,400円 | 200万株 | 28億円 | 8.9% |
| 第7回 | アストリス | 1,700円 | 150万株 | 25.5億円 | 6.7% |
| 第8回 | 会社以外の全株主 | 580円 | 約2,242万株※ | 約130億円 | 最大96.9%※ |
| 合計 | 異なる2系統 | — | 約2,792万株※ | 約207.5億円 | 単純合計約120.6%※ |
※2026年9月30日時点の発行済株式数2,314万8,000株、自己株式72万3,506株を基準とした見込数。第8回割当前に第5〜7回が行使されると、第8回の権利数や合計数は変わり得る。表の120.6%は2026年9月30日発行済株式数を分母とする単純な潜在株式数割合であり、株価下落率や最終持分減少率ではない。
最大調達額の内訳は、第5〜7回で77.5億円、第8回で約130億円。発行費用控除後の会社計画上の手取見込額は計約206億3,700万円で、国内上場有価証券の取得資金に充当(支出予定:2026年11月〜2029年11月)。権利が行使されなければ最大額には達しない。
06 第8回(580円)――既存株主に何が起こるか
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 権利付与基準 | 2026年12月31日株主確定日の株主名簿(会社保有自己株式除く) |
| 割当日 | 2027年1月4日 |
| 付与割合 | 保有1株につき第8回新株予約権1個を無料付与。権利1個につき新株1株を580円で取得可能 |
| 一般株主の権利行使期間 | 2027年1月25日〜2月26日(証券会社の締切りは短い場合あり) |
| 非上場 | 取引所で権利を売買できず、譲渡には取締役会承認が必要。上場型ライツ・オファリングではない |
| 未行使分 | 2027年3月1日に会社が無償取得。取締役会承認の特定投資家へ適正な譲渡対価で譲渡する可能性あり。取得後譲渡先の行使は3月1日〜26日 |
1,000株を保有している場合
| 選択 | 費用 | 保有株式数 | 留意点 |
|---|---|---|---|
| 割当権利を全行使 | 580円 × 1,000個 = 58万円 | 1,000株 → 2,000株 | 第8回を全株主が比例行使する部分については持分比率を基本的に維持。ただし第5〜7回の第三者割当分による別途希薄化はある |
| 行使しない | 0円 | 1,000株のまま | 権利は原則無償取得され、他者が行使すると持分比率・1株当たり価値の希薄化があり得る |
無償なのは「権利の付与」だけ。株式を受け取るには580円/株の追加払込みが必要。権利を行使しない株主に現金が自動支払される仕組みではない。信用買い建玉や貸株サービス中の現物株は名義の関係で権利を受けられない場合があるため、取引証券会社で確認が必要。
大株主のKaihou関連では、KAIHOU SINGAPOREから株式会社Kaihouに480万株を貸し付ける予定で、Kaihouが第8回約699万個の権利を得る想定。Kaihouは全量行使の資金が不足するため、一部を行使し残りを第三者へ譲渡する意向を示している(2026年10月30日時点の予定)。
07 第5〜7回TIP――高い行使価額を設定した理由
ターゲット・イシュー・プログラム(TIP)は、行使価額を1,200円・1,400円・1,700円の3段階に固定した第三者割当新株予約権。一般的な行使価額修正型(MSワラント)と異なり、株価が下がっても原則として行使価額を自動で引き下げない。ただし株式分割など所定の場合の価額調整はあり得る。
- 行使期間:2026年11月19日〜2028年11月20日。第8回の一般株主行使期間(2027年1月25日〜2月26日)と2026年12月29・30日は行使しない条件。
- 第5・6回の強制行使条項:行使価額の101%以上の売買高等、契約所定の条件に応じた一定数量の行使を求める仕組み(会社資料は該当売買高の10%以上と説明)。株価が一瞬超えたら全数が自動行使される意味ではない。
- 会社側の制御:行使停止指定や一定条件での予約権取得の仕組みを設定。
- 需給面:権利行使で発行された株式が売却される場合、市場の売り圧力が生じ得る。割当先のヘッジ取引や貸株にも注意。
第5〜7回の行使が進むためには相応の株価水準と契約条件が必要である。77.5億円を確実に調達できるものではない。
08 希薄化――「96.9%」「25%弱」の読み方
| 計算項目 | 数値 | 解釈 |
|---|---|---|
| 基準発行済株式 | 2,314万8,000株 | 2026年9月30日時点(自己株式含む) |
| 第5〜7回潜在株 | 550万株 | 発行済株式比約23.8% |
| 第8回潜在株 | 約2,242万4,494株 | 同約96.9%(株主基準日で変動し得る) |
| 全回号合算の潜在株 | 約2,792万4,494株 | 2026年9月末の固定株数で単純合算 |
| 合算の発行済株式比 | 約120.6% | 第8回の数が基準日に変動しない仮定による単純な潜在株割合 |
第8回をすべて行使する株主は、同条件でほかの株主も比例行使する場合、第8回に由来する相対的な保有比率を基本的に守れる。ただし追加資金が必要であり、第5〜7回の第三者割当株は既存株主の持分を別途薄める。「第8回を行使すれば希薄化が一切ない」という意味ではない。
発行済株式が増えると、利益総額や純資産が同じならEPS・1株当たり純資産が低下する。したがって投資残高4,200億円に到達したとしても、それだけで1株価値が上がるとは限らない。調達した資金によって既存株主の希薄化を上回る運用成果・企業価値を生み出せるかが核心となる。
09 4,200億円の達成条件――数字から確認する
| 確認指標 | 計算結果 | 読み方 |
|---|---|---|
| 目標投資残高 ÷ 今回最大調達額 | 約20.2倍 | 今回の資金だけでは目標額に不足。追加の資金調達、再投資、資産価値上昇等が必要 |
| 時価残高目標と今回調達額の差 | 3,992億5,000万円 | あくまで規模の差額。必要追加調達額そのものではない |
| 年間インカム収益 ÷ 時価投資残高 | 約2.86% | 両目標が同時成立したときの単純な収益率の目安。実際の税後利回り・ROEではない |
| 投資執行の目安 | 月間30〜50億円程度 | 会社が示す投資実行の目安。毎月一定の残高増加や確定的な投資実績ではない |
会社は、投資リターンを再投資し、保有資産に対して市場から高い評価(NAVプレミアム)を得た状態で追加調達を進める構想を説明している。プレミアムがないまま増資を重ねたり、投資先の価値が低下したりすれば、目標投資残高は伸びても1株価値の成長につながらない可能性がある。
年間120億円は全額が株主の受取配当になるわけではない。投資先から得る配当・貸株収益等の事業収入を示す目標であり、税金、費用、Kaihouへの成功報酬の対象となる部分、保有資産の損益などを経て会社の利益が決まる。新投資事業の会計上の通期売上・営業利益・EPSについて、会社が比較可能な目標値を開示していることは確認できない。
10 達成リスクと注視ポイント
| リスク | 確認する指標・開示 |
|---|---|
| 資金調達の未達 | 第8回行使率・未行使分の引受先決定、第5〜7回行使実績、実際の手取金額 |
| 高目標と初期資金の乖離 | 追加調達の時期・条件、期末時価投資残高、再投資額とポートフォリオ回転率 |
| 投資損失・バリュートラップ | 評価損益、実現損益、配当・貸株収益、投資先財務と銘柄集中状況 |
| 希薄化・株式需給 | 発行済株数、未行使新株予約権、株式売却・貸株状況、1株当たりKPI |
| 利益相反・ガバナンス | Kaihouとの関係会社取引、成功報酬の実額、兼任役員の特別利害関係人としての除外、独立した意思決定 |
| 既存事業の収益悪化 | 地盤・BIM事業のセグメント利益、2027年3月期業績予想との進捗、既存事業向け資金確保 |
市場変動による保有株の評価損・減損、投資先企業の業績悪化、株価低迷による新株予約権未行使、資金調達の遅延、大量の新株供給による需給悪化が目標未達につながり得る。会社資料でも資金調達状況・市場環境次第で目標は大きく変わるとしている。
11 今後の重要日程
| 日付 | 予定 |
|---|---|
| 2026年11月12日 18:00 | 中間決算・新規事業・新株予約権の説明会(Zoom、アーカイブ予定なし) |
| 2026年11月18日 | 第5〜7回新株予約権の割当予定日 |
| 2026年11月19日 | 第5〜7回行使期間開始(所定の停止期間あり) |
| 2026年12月31日 | 第8回新株予約権の株主確定日 |
| 2027年1月4日 | 第8回新株予約権の無償割当日 |
| 2027年1月25日〜2月26日 | 第8回・一般投資家の権利行使期間 |
| 2027年3月1日 | 第8回未行使分を会社が無償取得。取得後譲渡先の権利行使開始 |
| 2027年3月26日 | 第8回・取得後譲渡先権利行使期間終了 |
| 2028年11月20日 | 第5〜7回の予定行使期間終了 |
| 2030年3月期 | 新規バリュー投資事業の中長期目標の対象年度 |
上記は2026年10月30日時点の開示予定。証券会社の事務上の受付締切り、株主名簿の取扱い、追加開示により変更・制約がある場合がある。
12 出典と計算条件
主たる出典はすべて会社一次資料。アップロードされた2026年10月30日付開示資料7点と、過年度の公式決算・中期計画関連資料を区別して使用した。
- 2026年10月30日「バリュー投資事業の開始に関するお知らせ」および添付「バリュー投資事業説明資料」(事業目的、投資方針、2030年目標、KPI、ガバナンス/添付
140120261030561555.pdf)。 - 2026年10月30日「ファイナンス補足説明資料」(p.4:調達概要、p.6:回号別条件、p.12:日程、p.14:2030年目標/
140120261030561561.pdf)。 - 2026年10月30日「第三者割当による第5回、第6回及び第7回新株予約権の発行並びに新株予約権の買取契約(TIP)の締結に関するお知らせ」(
140120261030561274.pdf)。 - 2026年10月30日「新株予約権(非上場)の無償割当てに関するお知らせ」(
140120261030561550.pdf)、「株主に対する新株予約権(非上場)の無償割当に関するご説明(Q&A)」(140120261030561564.pdf)。 - 2026年10月30日「株式会社Kaihouとの投資顧問契約締結に関するお知らせ」(
140120261030561568.pdf)、「2027年3月期第2四半期決算及び新規事業・新株予約権の発行に関する説明会開催のお知らせ」(140120261030561571.pdf)。 - 2026年3月期「有価証券報告書」(2026年6月26日提出、地盤ネットホールディングス、連結日本基準)および2026年5月14日公表「決算短信」:2026年3月期有価証券報告書。
- 2025年5月14日公表の中期経営計画を引用した2025年11月13日「決算補足説明資料」p.13:JPX開示資料。会社の最新開示一覧:ERTH Group公式IR。
計算方法:上昇率=(目標値÷2026年3月期通期実績−1)×100、CAGR=(目標値÷実績)^(1/年数)−1。希薄化率は潜在株式数÷2026年9月30日発行済株式数(自己株式含む)×100。収益利回りは120億円÷4,200億円×100。独自計算部分は会社の業績予想ではない。
本記事の数値目標は会社が達成した場合の条件付き評価であり、業績・株価の実現予想や保証ではない。投資事業の収益・評価額は市場環境、追加資金調達、投資先の業績に大きく左右される。

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