4418 JDSC

JDSC 4418 東証G

Japan Data Science Consortium Co. Ltd.|AI、機械学習、生成AI、数理最適化を企業の業務や産業構造へ実装し、マーケティング支援、金融アドバイザリー、Physical AIへ事業領域を広げる。
※2026年7月14日時点の情報

事業内容

2026年7月14日の時価総額は約148.9億円。終値920円と、同日時点の発行済株式総数16,181,100株を基に算出した。連結売上高ではマーケティング支援事業の比率が高い一方、企業価値の成長軸はAIソリューション事業、AIエージェント、Physical AI、産業別の共同事業にある。

会社の概要:2013年に一般社団法人日本データサイエンス研究所として発足し、2018年に株式会社化、2020年にJDSCへ社名変更した。本社は東京都文京区小石川1丁目4番1号 住友不動産後楽園ビル16階。代表取締役CEOは加藤エルテス聡志、代表取締役COOは佐藤飛鳥。決算期は6月末、東京証券取引所グロース市場に上場する。資本金は10百万円、2026年6月時点の役職員数は234人。

直近決算の概要:2026年6月期第3四半期累計は、売上高17,192百万円、営業利益448百万円、経常利益425百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益355百万円。前年同期比では売上高5.5%減、営業利益11.6%減となったが、AIソリューション事業は売上高3,162百万円、セグメント利益359百万円と成長した。通期予想は売上高23,100百万円、営業利益750百万円、経常利益700百万円、親会社株主に帰属する当期純利益520百万円である。

AIソリューション事業

売上高は2021年6月期の1,089百万円から2025年6月期の2,832百万円へ拡大した。セグメント損益は研究開発、人材採用、案件構成によって変動したが、2025年6月期は411百万円まで改善した。2026年6月期第3四半期累計は売上高3,162百万円、利益359百万円となり、9カ月時点で前期通期の売上高を上回った。
AIソリューション事業の5期推移(百万円)
3200 2200 1200 200 -300 1089 1413 1867 1896 2832 38 -54 79 -79 411 2021/6 2022/6 2023/6 2024/6 2025/6 売上高 セグメント損益

大企業が保有する業務データ、設備データ、顧客データを利用し、経営課題の定義、データ分析、AIモデル開発、システム実装、運用改善までを一貫して支援する。事業開発、データサイエンス、エンジニアリングの人材を同じ案件へ配置し、分析結果だけでなく業務フローや事業モデルの変更まで踏み込む。

主要技術は、機械学習、需要予測、数理最適化、画像認識、自然言語処理、異常検知、生成AI、AIエージェントである。実証実験で終了するのではなく、顧客の既存システムや現場業務へ組み込み、継続運用することを重視する。

製造業では、品質予測、設備保全、需要予測、生産計画、エネルギー最適化を支援する。物流・SCMでは、在庫配置、輸配送、配車、物流拠点の運用、需要と供給の最適化を扱う。不動産・都市開発では、建物データ、設備データ、人流データを利用し、スマートビルディングや街づくりを支援する。

エネルギー分野では、電力需要予測、空調・設備制御、エネルギー利用の効率化を進める。金融分野では、金融機関が保有するデータを活用した営業高度化、審査、地域企業支援などを扱う。官公庁・行政では、行政データ分析、EBPM、行政手続の高度化へ対象を広げている。

home insight、response insight、demand insightなど、個別案件で開発した技術資産をサービス化している。特定顧客向けに開発したモデルを同じ業界の共通課題へ横展開できれば、開発工数だけに売上高が連動する受託型モデルから、ライセンスや継続利用料を含む構造へ移行できる。

生成AIでは、企業固有の文書、業務データ、専門知識を利用するAIエージェントの開発を進める。汎用チャットボットではなく、業務判断、調査、計画、実行支援までを対象とし、現場で利用できる精度、セキュリティ、監査性を確保することが重要になる。

2026年2月には代表取締役COO直下にPhysical AIビジネス開発室を新設した。製造・物流を起点に、VLAモデル、ロボット基盤モデル、シミュレーション、自律制御、ハードウェア連携を組み合わせ、導入後の運用まで含む事業モデルの構築を進める。

フィナンシャル・アドバイザリー事業

2023年6月期から報告セグメントとなり、売上高は73百万円から2025年6月期の352百万円へ増加した。セグメント損益は2023年6月期の10百万円の損失から、2025年6月期は121百万円の利益へ改善した。2026年6月期第3四半期累計は売上高300百万円、利益85百万円だった。
フィナンシャル・アドバイザリー事業の5期推移(百万円)
400 300 200 100 0 -50 0 0 73 164 352 0 0 -10 8 121 2021/6 2022/6 2023/6 2024/6 2025/6 売上高 セグメント損益

連結子会社のファイナンス・プロデュースを中心に、M&A、資金調達、資本政策、事業提携、スタートアップ支援などを提供する。大企業とスタートアップの双方を対象に、企業価値評価、候補先探索、交渉、取引実行までを支援する。

JDSCがAIやデータサイエンスの案件を通じて接点を持つ大企業と、技術や事業基盤を持つスタートアップを結び付けられる点が特徴となる。単純な財務助言ではなく、事業開発、技術評価、資本提携を組み合わせた共同事業の創出を目指す。

JDSCグループがAIプロダクトや産業別サービスを育成する際にも、資金調達、M&A、JV組成の専門能力を利用できる。外部顧客からの手数料収入に加えて、グループ内の事業開発を支える機能を持つ。

案件の成約時期や大型案件の有無によって四半期業績が変動しやすい。売上高の継続性より、案件パイプライン、成功報酬の計上時期、顧客企業との継続取引を確認する必要がある。

2024年6月期にはファイナンス・プロデュース取得時ののれんに対して減損損失を計上した。2025年6月期はセグメント利益が改善したものの、買収時の事業計画と実績の差、のれん残高、専門人材の定着は継続的な確認項目となる。

マーケティング支援事業

メールカスタマーセンターの連結子会社化により、2024年6月期から売上高が大きく増加した。売上高は2024年6月期の14,397百万円から2025年6月期に19,872百万円へ拡大したが、セグメント利益は122百万円から47百万円へ減少した。2026年6月期第3四半期累計は売上高13,729百万円、利益1百万円だった。
マーケティング支援事業の5期推移(百万円)
22000 16500 11000 5500 0 -500 0 0 0 14397 19872 0 0 0 122 47 2021/6 2022/6 2023/6 2024/6 2025/6 売上高 セグメント損益

連結子会社のメールカスタマーセンターを中心に、ダイレクトメールの企画、制作、印刷、封入、発送代行、顧客データ管理などを提供する。大規模な発送業務を一括で受託し、顧客企業の販売促進や顧客接点を支援する。

連結売上高では最大の事業だが、郵便料金、印刷費、発送数量、外注費の影響を受けやすく、AIソリューション事業より利益率が低い。売上高の規模と企業価値への利益貢献を分けて確認する必要がある。

2026年6月期は郵便料金改定、ダイレクトメール発送量の減少、案件構成などが収益を圧迫した。第3四半期累計のセグメント利益は1百万円にとどまり、連結営業利益の伸びを抑える要因となった。

JDSCのAI技術を利用し、顧客リストの分析、反応率予測、発送対象の最適化、クリエイティブ評価、オンライン施策との統合を進められれば、単純な発送代行から高付加価値なマーケティング支援へ変化する余地がある。

物流会社との資本・事業連携やMCC Logisticsの設立により、発送業務と物流オペレーションのデータをAIで最適化する構想も持つ。マーケティング、物流、需要予測を一体化できるかが、既存事業をAI化するうえでの重要な検証点となる。

直近5年業績サマリー

業績項目 2021年6月期 2022年6月期 2023年6月期 2024年6月期 2025年6月期 2026年6月期
会社予想
売上高
(百万円)
1,089 1,413 +324 / +29.7% 1,939 +526 / +37.2% 16,457 +14,518 / +748.5% 23,055 +6,598 / +40.1% 23,100 +45 / +0.2%
営業損益
(百万円)
38 -54 -92 / 赤字転落 68 +122 / 黒字転換 50 -18 / -26.1% 581 +531 / +1,047.4% 750 +169 / +29.0%
経常損益
(百万円)
27 -79 -106 / 赤字転落 24 +103 / 黒字転換 -12 -36 / 赤字転落 524 +536 / 黒字転換 700 +176 / +33.5%
当期純利益
(百万円)
27 -82 -109 / 赤字転落 1 +83 / 黒字転換 -278 -279 / 赤字転落 345 +623 / 黒字転換 520 +175 / +50.4%
EPS
(円)
1.71 -5.13 -6.84 / 赤字転落 0.08 +5.21 / 黒字転換 -17.21 -17.29 / 赤字転落 21.36 +38.57 / 黒字転換 32.14 +10.78 / +50.5%
PER
(倍)
13,338.1 55.5 20.5
PBR
(倍)
2.62 4.76 3.34 4.92
BPS
(円)
188.61 221.72 +33.11 / +17.6% 223.70 +1.98 / +0.9% 207.72 -15.98 / -7.1% 241.06 +33.34 / +16.1%
純資産
(百万円)
3,051 3,587 +536 / +17.6% 3,619 +32 / +0.9% 3,361 -258 / -7.1% 3,900 +539 / +16.0%
営業CF
(百万円)
150 -147 -297 / 赤字転落 341 +488 / 黒字転換 -713 -1,054 / 赤字転落 893 +1,606 / 黒字転換
投資CF
(百万円)
-14 -129 -115 / 支出拡大 -517 -388 / 支出拡大 -1,752 -1,235 / 支出拡大 -114 +1,638 / 支出縮小
財務CF
(百万円)
2,628 614 -2,014 / -76.6% -31 -645 / 支出転換 1,617 +1,648 / 収入転換 -299 -1,916 / 支出転換
現金及び現金同等物
(百万円)
3,015 3,353 +338 / +11.2% 3,146 -207 / -6.2% 2,297 -849 / -27.0% 2,777 +480 / +20.9%
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中期経営計画

中期経営計画 2025年6月期-2028年6月期

2024年12月に公表した中期経営計画では、2028年6月期の売上高266億円、営業利益18億円、EBITDA21億円を目標とする。営業利益率は6.8%、EBITDAマージンは7.9%、ROEは18%を目標としている。

2025年6月期実績の売上高230億55百万円に対し、2028年6月期目標までの売上高成長幅は約35億円である。一方、営業利益は5億81百万円から18億円へ約3倍に拡大する計画であり、売上規模よりも利益率改善が重要なテーマとなる。

基本戦略は、AIソリューションサービスを中核にしながら、個別案件で蓄積した技術資産を複数企業へ横展開することである。需要予測、数理最適化、生成AI、AIエージェントなどを標準化し、プロダクト、ライセンス、共同事業による継続収益を増やす。

産業戦略では、製造、物流・SCM、不動産・都市開発、エネルギー、金融、行政の共通課題を対象とする。個社ごとのPoCを繰り返すのではなく、業界内で再利用できるモデル、データ基盤、業務プロセスを構築し、産業全体へ展開する。

M&AとJVも成長手段として利用する。ファイナンス、マーケティング、物流などの既存事業へAIを導入するとともに、新たなデータ、顧客基盤、現場オペレーションを獲得し、AIサービスの実装先を増やす。

Physical AIでは、製造・物流の現場を起点に、ロボット基盤モデル、VLAモデル、自律制御、シミュレーション、運用データの循環を組み合わせる。街づくり、不動産、電力・インフラまで対象を拡張する方針である。

長期的には営業利益率20%以上、ROE30%以上を目指す。労働集約的なAI受託開発と低利益率のマーケティング支援から、再利用可能なAI資産、ソフトウェア、共同事業の比率を高めることが収益構造転換の条件となる。

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競合他社

① PKSHA Technology(3993)

2026年7月14日時点の時価総額は約918.8億円。自然言語処理、画像認識、機械学習を基盤に、企業別AIソリューション、AI SaaS、AIエージェント、業務変革を展開する。

2026年9月期第2四半期累計は、売上収益187億12百万円、調整後EBITDA42億53百万円、事業利益34億1百万円、親会社株主に帰属する利益18億65百万円。売上収益は前年同期比85.8%増加した。

JDSCとは、企業別AI開発、生成AI、AIエージェント、製造業DX、画像認識、Physical AI、大企業向けの業務実装で競合する。PKSHAは研究開発、個別ソリューション、標準化したAI SaaSを循環させる事業基盤を持つ。

PKSHAは対話AI、FAQ、音声認識、コンタクトセンターなど、自然言語領域のプロダクト展開で優位性を持つ。導入企業数と継続課金基盤が大きく、AIソリューションで得た知見をSaaSへ転換する能力が高い。

JDSCは、物流・SCM、需要予測、数理最適化、エネルギー、産業共同開発で差別化する必要がある。個社案件の売上拡大だけでなく、業界横断で利用できるサービスの開発速度が競争力を左右する。

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② エクサウィザーズ(4259)

2026年7月14日時点の時価総額は約899.8億円。AIプロダクトとAIソリューションを展開し、生成AI、AIエージェント、企業DX、人材育成、介護・ヘルスケアなどを扱う。

2026年3月期は売上高119億96百万円、営業利益15億94百万円、経常利益15億66百万円、親会社株主に帰属する利益15億33百万円、EBITDA20億51百万円。営業利益率は13.3%だった。

AIプロダクト事業は売上高49億16百万円、セグメント利益18億66百万円、AIソリューションサービス事業は売上高72億38百万円、セグメント利益22億17百万円だった。

JDSCとは、生成AI、AIエージェント、大企業向けAI導入、データ活用、AI人材育成、プロダクト化で競合する。エクサウィザーズは、exaBase生成AIをはじめとする標準製品と販売基盤を持ち、継続課金収入を拡大している。

JDSCが個別案件の技術資産を横展開する際、エクサウィザーズの製品開発力、顧客基盤、営業力が直接的な競争相手となる。JDSCには、物流、製造、エネルギーなどの産業固有データを利用した高付加価値なAIエージェントが求められる。

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③ ABEJA(5574)

2026年7月14日時点の時価総額は約240.9億円。ABEJA Platformを基盤に、AI戦略、データ基盤、モデル開発、システム実装、MLOps、継続運用までを一貫して支援する。

2026年8月期第2四半期累計は売上高23億51百万円、売上総利益13億58百万円、営業利益3億84百万円。売上高は前年同期比30.0%増、営業利益は32.6%増、営業利益率は16.4%だった。

通期予想は売上高45億円、営業利益6億円へ上方修正された。高付加価値なAI変革案件、既存顧客への追加提案、プラットフォームを利用した継続運用が成長を支える。

JDSCとは、企業別AI導入、LLM、画像認識、製造業DX、Physical AI、MLOpsで競合する。両社とも顧客企業の現場へ入り、戦略策定から実装、運用までを担うため、案件獲得とAI人材採用の両面で競争する。

ABEJAは標準プラットフォームと高い粗利益率、JDSCは産業共同開発、需要予測、数理最適化、事業開発との統合を主要な競争軸とする。JDSCが利益率を高めるには、独自技術を案件ごとに作り直さず再利用できる構造が必要になる。

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強みと将来性

産業知識、事業開発、データサイエンス、システム実装を一体化する能力

JDSCの強みは、AIモデルの精度だけを提供する企業ではなく、顧客の経営課題、現場業務、データ、システム、事業収益を一体として扱う点にある。事業開発人材、データサイエンティスト、エンジニアが同じ案件へ関与し、課題設定から本番運用までを支援する。

AI導入では、技術的にモデルを構築できても、現場の業務フロー、データ品質、既存システム、責任分界、投資対効果が障害となる。JDSCは顧客企業と共同で業務設計や組織変革まで進めるため、単発の分析案件よりも長期的な関係を築きやすい。

需要予測、在庫最適化、物流、数理最適化、エネルギー制御など、企業収益やコストへ直接影響するテーマを得意とする。生成AIだけに依存せず、構造化データ、時系列データ、設備データ、オペレーションデータを扱える点は、産業AIでの差別化要因となる。

大企業との共同研究開発で得た技術を、同じ産業の別企業や周辺産業へ横展開する構想を持つ。技術資産を標準化できれば、顧客ごとに人員を増やす受託型モデルよりも、高い限界利益を得られる可能性がある。

2026年6月期第3四半期累計のAIソリューション事業は、売上高が前年同期比53.6%増、営業利益が24.1%増となった。第3四半期3カ月のJDSC単体売上高は12億10百万円、営業利益は1億32百万円、営業利益率は10.9%であり、コア事業は連結売上高の減少とは異なる成長を示した。

連結子会社を通じて、マーケティング、ファイナンス、物流の顧客基盤と実業データを保有する点も特徴である。AI企業が外部顧客のデータへ一時的にアクセスするだけでなく、グループ事業のオペレーション自体をAI化し、継続的に改善できる。

AZ-COM丸和との資本・業務関係は、物流現場のデータ、設備、顧客ネットワークへAIを実装する機会を生む。物流需要予測、配車、倉庫運用、ロボット、自動化を組み合わせれば、AIソリューションとPhysical AIを接続できる。

Physical AIビジネス開発室を独立組織として設置したことで、ソフトウェアだけでなく、ロボット、センサー、制御、シミュレーション、運用データを統合する体制を明確にした。製造・物流から街づくり、電力、インフラへ展開できれば、案件規模と継続収益の拡大が期待できる。

2026年6月期第3四半期末の純資産は6,291百万円、自己資本比率は57.0%へ上昇した。第三者割当増資によって財務基盤が強化され、採用、研究開発、M&A、共同事業へ投資する余力が拡大している。

企業価値が大きく変化する条件は、AIソリューション売上高の高成長だけではない。AIエージェントやPhysical AIが本番運用へ移行し、ライセンス、利用料、成果連動収入などのストック型売上として開示されることが重要になる。

弱みとリスク要因

連結売上高の大部分を低利益率事業が占め、AI事業の成長が全社利益へ反映されにくい

最大の弱みは、連結売上高とAI企業としての実態に差がある点である。2025年6月期の連結売上高23,055百万円のうち、マーケティング支援事業が19,872百万円を占めた。AIソリューション事業は成長しているが、連結売上高の大部分はダイレクトメール関連である。

マーケティング支援事業は売上規模が大きい一方、2025年6月期のセグメント利益は47百万円だった。郵便料金、印刷費、発送数量、外注費などの影響を受け、売上高の増加が営業利益へつながりにくい。

2026年6月期第3四半期累計では同事業のセグメント利益が1百万円まで低下した。AIソリューション事業が増益でも、マーケティング支援の採算悪化によって連結営業利益が前年同期比で減少する構造となっている。

AIソリューション事業は人材集約型である。データサイエンティスト、AIエンジニア、クラウドエンジニア、事業開発人材を採用できなければ、需要があっても案件を受注できない。採用後に案件への配置が遅れれば、人件費が先行する。

2026年3月末時点の人員は194人で、入社予定者を含めると228人とされる。人員増加に対して売上高や粗利益の伸びが追い付くか、従業員一人当たり売上高、稼働率、案件単価を確認する必要がある。

AI案件はPoCから本番運用へ移行できない場合がある。顧客側のデータ不足、システム制約、現場の抵抗、投資対効果、法務・セキュリティ審査によって、開発期間が延びたり契約規模が縮小したりする。

生成AIやAIエージェントは参入企業が多く、モデル自体の差別化が難しい。クラウド企業、総合コンサルティング会社、SIer、PKSHA Technology、エクサウィザーズ、ABEJAなどと、顧客案件とAI人材の双方で競争する。

Physical AIは成長余地が大きい一方、ロボット、センサー、設備、安全性、現場検証、保守体制が必要となる。ソフトウェア案件より資本負担と導入期間が大きく、実証実験から商用運用へ移行するまでの不確実性が高い。

M&Aでは、買収価格、のれん、顧客流出、人材離職、統合費用のリスクがある。2024年6月期にはファイナンス・プロデュースののれんについて139百万円の減損損失を計上しており、事業計画未達が純利益を大きく変動させた実績がある。

2025年6月期末の発行済株式数13,833,000株に対し、2026年7月14日時点では16,181,100株へ増加した。増資による財務基盤強化は成長投資に有効だが、利益の伸びが株式数の増加を下回る場合、1株当たり利益が希薄化する。

2026年6月期第3四半期累計の通期予想に対する進捗率は、売上高約74.4%、営業利益約59.8%である。営業利益750百万円を達成するには、第4四半期に約302百万円の営業利益が必要となる。

2026年7月14日終値920円に対し、現在の発行済株式数で再計算した2026年6月期予想EPS32.14円を用いるPERは約28.6倍となる。第3四半期末純資産を現在株式数で除した参考BPSは約388.8円、参考PBRは約2.37倍であり、AI事業の成長と中期利益目標の達成を一定程度織り込む。

顧客データ、個人情報、機密情報を扱うため、情報漏えい、モデルの誤回答、著作権、学習データ、AI規制、説明責任も重要なリスクとなる。事故が発生した場合、損害賠償だけでなく、大企業や官公庁との取引継続へ影響する可能性がある。

出典

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