6228 ジェイ・イー・ティ

JET 6228 東証S

J.E.T. Co., LTD.|半導体前工程向け洗浄装置の開発・設計・製造・販売・保守を主力とし、LIB検査装置、全固体電池対応、アグリ事業も展開する装置メーカーです。

※2026年6月13日時点の情報

事業内容

2026年6月12日終値ベースの時価総額は約105億円。
JETは2009年4月設立、本店を岡山県浅口郡里庄町に置く半導体製造装置メーカーです。代表者は平井洋行氏、決算期は12月、上場市場は東証スタンダードで、2023年9月25日に東証スタンダード市場へ上場しました。主な事業内容は、半導体洗浄装置の開発・設計・製造・販売・保守サービスです。
2025年12月期は売上高14,662百万円、営業損失1,493百万円、経常損失1,575百万円、親会社株主に帰属する当期純損失2,336百万円でした。中国市場における成熟世代向け装置の停滞、利益率の低い装置の計上、棚卸評価損などが重なり、2024年12月期の黒字から赤字へ転落しています。

半導体洗浄装置・前工程向け装置

主力は、半導体製造の前工程で使われる半導体洗浄装置です。半導体製造では、ウエハ表面に付着した微粒子、金属汚染、有機物などを除去する洗浄工程が複数回必要となります。会社は、半導体前工程の30%から40%程度で洗浄装置が使用されると説明しており、洗浄装置は微細化・高集積化に欠かせないプロセス装置です。JETはバッチ式洗浄装置と枚葉式洗浄装置を展開し、顧客仕様に応じたカスタマイズを行う点を特徴としています。販売先は韓国、中国、台湾を中心とし、日本・米国向けの取り組みも進めています。装置の新規販売だけでなく、既存装置の改造、部品販売、メンテナンスなどのフィールドサービスも手掛けています。

バッチ式・枚葉式洗浄装置

バッチ式洗浄装置は、複数枚のウエハをまとめて処理する方式で、量産効率や処理能力が重視される工程に適しています。枚葉式洗浄装置は、ウエハを1枚ずつ処理する方式で、微細化が進む先端プロセスや高い洗浄均一性が求められる工程で重要になります。同社は、顧客の製造ライン、薬液、プロセス条件、処理対象に応じて装置仕様を設計する受注生産型の事業を行っています。半導体洗浄装置は、顧客の量産工程に組み込まれるまで評価・仕様調整・検収が必要で、装置メーカーにはプロセス理解と現場対応力が求められます。納入後も、保守、改造、部品供給を通じて顧客の量産ラインを支えることが収益機会になります。先端半導体、メモリ、AIデータセンター向け需要が強い局面では、洗浄工程の重要性も高まりやすい領域です。

LIB事業・電解液漏液検査装置

LIB事業では、リチウムイオン電池の製造・検査装置を展開しています。代表的な製品として、電解液漏液検査装置「ELC-J1000」や、超音波溶接装置「UWS-J1000」が紹介されています。電池の製造工程では、発熱、発火、破裂などのリスクを製造段階で検知することが重要であり、同社は特許を取得した検査技術を活用して品質管理に関わる装置を提供しています。会社は、全固体電池への対応も開始していると説明しており、固定33タグでは全固体電池関連として整理できます。LIB事業は半導体洗浄装置とは異なる市場ですが、精密装置、検査、製造プロセス管理という点では同社の装置開発ノウハウを応用できる領域です。ただし、現時点では半導体事業に比べて売上規模は限定的で、量産採用と継続受注の確認が必要です。

アグリ事業・周辺事業

アグリ事業では、無農薬・低農薬の農産物生産を目指し、オスミック農産物生産事業の仕組みを活用した高糖度トマトの生産・出荷に取り組んでいます。2020年には高糖度トマトの初出荷を開始しており、2021年には年間出荷実績を積み上げています。事業規模は半導体装置事業に比べて小さく、同社の中核収益源ではありません。一方で、半導体市況の変動を受けやすい装置事業とは異なるテーマを持つため、事業ポートフォリオの一部として位置付けられます。現時点で投資判断上の主な確認点は、半導体洗浄装置、LIB関連装置、過年度訂正後の収益回復であり、アグリ事業は補完的な位置付けとみるのが自然です。

直近5年業績サマリー

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期 2026年12月期予想
売上高 19,102 23,420
(+22.6%)
23,129
(-1.2%)
19,316
(-16.5%)
14,662
(-24.1%)
営業損益 1,852 2,200
(+18.8%)
1,762
(-19.9%)
1,087
(-38.3%)
-1,493
(赤字転落)
経常損益 1,703 2,018
(+18.5%)
1,593
(-21.1%)
960
(-39.7%)
-1,575
(赤字転落)
親会社株主帰属当期純損益 1,167 1,217
(+4.3%)
1,128
(-7.3%)
540
(-52.1%)
-2,336
(赤字転落)
EPS 102.86円 107.63円 95.59円 41.19円 -177.97円
BPS 646.23円 731.65円 901.88円 922.03円 740.54円
純資産 7,308 8,274 11,823 12,103 9,720
営業CF 1,126 -3,597 1,181 -1,390 3,080
投資CF -208 -210 106 302 -420
財務CF 402 3,731 338 392 -2,778
現金及び現金同等物 4,131 4,105 2,742 2,118 2,013
PER(期末日株価ベース) 37.0倍 24.5倍
PBR(期末日株価ベース) 3.92倍 1.09倍 0.89倍
単位は百万円。EPS・BPS・PER・PBRは円又は倍で表示しています。
2023年1月1日付で普通株式1株につき2株、2024年4月1日付で普通株式1株につき3株の株式分割を実施しています。EPS・BPSは会社開示の分割調整後数値を使用し、2023年12月期のPER・PBRは2024年4月の株式分割を反映した比較ベースで算出しています。2021年12月期と2022年12月期は期末株価を確認できないためPER・PBRを算出していません。2025年12月期はEPSがマイナスのためPERを算出していません。2026年12月期業績予想は第2四半期決算発表時に開示予定とされているため「ー」としています。2022年12月期から2025年12月期の一部数値は過年度訂正後の数値です。

中期経営計画

中期経営計画「Innovation 2027」の見直し

JETは中期経営計画「Innovation 2027」を策定しており、2025年12月16日の進捗報告で財務目標を見直しています。見直し後の2027年12月期目標は、売上高227億円、原価率80.4%、営業利益9.5億円、営業利益率4.1%です。会社は、AI、EV、自動運転、IoT、データセンター需要を背景に半導体需要の拡大を見込む一方、2024年以降は一部半導体メーカーの投資減速や中国市場での競争激化も認識しています。基本方針は、半導体前工程向け洗浄装置を主力に、韓国・中国・台湾市場を中心とする既存顧客基盤を維持しながら、新製品投入、原価改善、品質管理、フィールドサービス強化を進めることです。2026年12月期の業績予想は、過年度訂正や特別調査に伴い第2四半期決算発表時に開示予定とされており、当面は訂正後の収益回復、受注動向、原価率改善が重要な確認点になります。

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強みと注目点

① 半導体前工程の洗浄装置に特化した技術と実績

JETの最大の強みは、半導体製造の前工程で不可欠となる洗浄装置に特化している点です。洗浄工程は、ウエハ表面の異物や汚染を除去し、後工程の歩留まりやデバイス性能に影響する重要工程です。会社は、半導体前工程の30%から40%程度で洗浄装置が使われると説明しており、微細化・高集積化が進むほど洗浄品質の重要性は高まります。JETはバッチ式と枚葉式の両方を扱い、顧客仕様に合わせた受注生産型の装置を提供しています。標準品を大量販売するモデルではなく、顧客の製造プロセス、薬液、処理条件、検収基準に合わせて設計・調整するため、技術対応力が差別化要因になります。過去の大手半導体メーカーへの納入実績も、次世代案件や保守需要につながる重要な資産です。

② 韓国・中国・台湾を中心とする海外顧客基盤

同社は、韓国、中国、台湾を中心に半導体洗浄装置を販売しており、アジアの主要半導体生産地域と接点を持っています。半導体製造装置は、顧客の量産ラインに採用されるまでの評価期間が長く、採用後は保守、改造、部品供給、次世代装置提案などを通じて関係が継続しやすい特徴があります。JETは装置販売だけでなく、納入済み装置のフィールドサービスも手掛けており、顧客の量産現場に近い立場でプロセス改善や保守ニーズを把握できます。韓国ZEUSグループとの関係もあり、海外販売、部品調達、アフターサービスの面で補完関係を持つ点は特徴です。AIサーバー向けDRAMやHBM、データセンター投資の拡大が半導体設備投資を押し上げる局面では、洗浄装置需要にも波及する可能性があります。ただし、2025年12月期は中国市場の成熟世代向け投資停滞が業績悪化につながっており、海外顧客基盤は強みであると同時に市況影響を受けやすい要素でもあります。

③ LIB・全固体電池対応による隣接領域への展開

半導体洗浄装置に加えて、LIB事業を持つ点も注目です。リチウムイオン電池では、製造工程での異常検知や品質管理が安全性と歩留まりに直結します。JETは電解液漏液検査装置や超音波溶接装置を展開し、電池製造工程での不良検知や安全性向上に関わる装置を提供しています。会社は全固体電池への対応開始も説明しており、電池の次世代技術に関連するテーマを持っています。半導体装置と電池装置は市場こそ異なりますが、精密装置、プロセス制御、顧客仕様への対応、検査技術という点では共通する部分があります。半導体市況に依存しすぎない成長余地として、LIB関連装置が中長期的に収益貢献できるかは確認したいポイントです。

弱み・リスク要因

① 2025年12月期の赤字転落と原価率悪化

最大のリスクは、2025年12月期に大幅な減収と赤字転落となった点です。売上高は14,662百万円で前期比24.1%減、営業損益は1,493百万円の損失、経常損益は1,575百万円の損失、親会社株主に帰属する当期純損益は2,336百万円の損失でした。会社は、中国市場における成熟世代向け装置の停滞、国産メーカーとの競合、利益率の低い装置の計上、開発要素の多い新規案件、製品の棚卸評価損などを要因として説明しています。受注生産型の装置メーカーでは、大型案件の採算が悪化すると全社利益に大きく影響します。2025年12月期は営業キャッシュ・フローがプラスでしたが、これは収益性の回復を意味するものではなく、売掛金や前受金など運転資金の変動にも左右されます。今後は、売上高の回復だけでなく、原価率、棚卸評価、受注損失引当、低採算案件の有無を確認する必要があります。

② 過年度訂正と決算開示遅延に伴うガバナンスリスク

2026年5月に、過年度有価証券報告書等の訂正報告書の提出と過年度決算短信等の訂正が開示されています。特別調査委員会の調査結果を踏まえ、過去の会計処理を遡って訂正する必要が生じたためです。訂正対象には、発行者情報、有価証券報告書、四半期報告書、半期報告書、決算短信などが含まれ、2022年12月期から2025年12月期にかけて複数の業績数値が修正されています。また、2026年12月期第1四半期決算の開示は四半期末後45日を超え、2026年8月12日に開示予定とされています。投資家にとっては、業績そのものに加えて、内部統制、会計処理、開示体制の改善状況が重要な確認点になります。決算開示の遅れや訂正が続く場合、信用力、株価評価、資金調達、取引先との関係に影響する可能性があります。

③ 半導体設備投資サイクルと地域・顧客依存

JETの主力事業は半導体洗浄装置であり、半導体メーカーの設備投資サイクルに業績が大きく左右されます。AIサーバー、DRAM、HBM、NANDなどの投資が強い局面では追い風になりますが、成熟世代向け装置の投資が止まる局面や、中国市場で国産メーカーとの価格競争が激化する局面では収益性が悪化します。受注生産型の大型装置では、受注、設計、製作、出荷、立ち上げ、検収までに時間がかかり、売上計上時期がずれやすい点もリスクです。特定地域や特定顧客への依存度が高い場合、顧客の投資延期、仕様変更、検収遅延、貿易規制、地政学リスクの影響を受けやすくなります。さらに、装置販売の粗利率が低下した場合、売上が増えても利益が伸びない可能性があります。投資判断では、受注残、地域別売上、主要顧客動向、原価率、棚卸資産、引当金の推移を継続して確認する必要があります。

出典

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