タムラ製作所 6768 東証プライム
弱電用変成器(トランス)大手 ─ トランス・リアクタ・はんだ材料・情報機器、AIサーバー電源・データセンター需要
事業内容 ─ 弱電用変成器(トランス)大手
タムラ製作所は1924年(大正13年)創業の老舗電子部品メーカー。本社は東京都練馬区東大泉。当社、子会社34社及び関連会社7社(連結子会社30社、持分法適用関連会社6社)で構成され、電子部品、電子化学実装及び情報機器の製造販売を主な事業とし、各事業に関連する研究開発等の事業活動を展開しています。連結従業員約4,318名。主力製品はトランス(変成器)・リアクタ等の電子部品で、エアコン向けリアクタ、ITインフラ・AIサーバー・データセンター向け大型トランス・リアクタは需要堅調。最近ではメキシコ工場増強による北米データセンター向け変圧器需要拡大、ブラジル工場増強による産機向け低・中電圧トランス受注増対応も推進中。主要顧客はマキタ等。長期ビジョンとして「世界のエレクトロニクス市場に高く評価される脱炭素社会実現のリーディングカンパニー」を目指しています。
主要事業セグメント
電子部品関連事業(主力)
2024年3月期セグメント売上高725億3,500万円・セグメント利益29億5,900万円・セグメント利益率4.1%(改善傾向)。トランス・リアクタなどの電子部品を製造・販売。主要顧客における在庫調整の影響を受けつつも、売上構成の改善でセグメント利益率は改善。電動工具向けチャージャ、エアコン用リアクタ、AIサーバー・データセンター向け大型トランス・リアクタを主力に展開。メキシコ工場増強で北米DC向け変圧器需要に対応、ブラジル工場増強で産機向け低・中電圧トランス受注増に対応中。
電子化学実装関連事業
はんだ材料、絶縁膜、電子化学材料を主力とする事業。タムラ製作所が製造販売するほか、海外の製造子会社が製造し、タムラ製作所が仕入れて販売する体制。主要海外子会社に田村香港㈲、タムラ化学韓国㈱、上海祥楽田村電化工業㈲、タムラシンガポール㈱などを擁する。電子部品実装に不可欠な化学材料を世界の電子機器メーカーに供給。
情報機器関連事業
放送・無線機器、業務用通信機器を主力とする事業。タムラ製作所が国内の製造子会社(㈱会津タムラ製作所)に製造委託し、その製品を仕入れて販売。日本の放送インフラ・公共通信向けに長年実績を持つ。
AIサーバー・データセンター向け電源・電子部品
AIデータセンターの急速な拡大に伴う電源・電子部品需要の構造的拡大が事業機会。生成AI普及に伴うサーバー電力需要拡大対応として、ITインフラ向け大型トランス・リアクタの供給を強化中。2026年3月期第3四半期累計はAIサーバーやデータセンター関連需要の拡大により売上高+8.6%増、営業利益+19.6%増と本業ベース増収増益で推移した。
北米データセンター向け変圧器(メキシコ工場)
北米のデータセンター向け変圧器需要拡大を受けて、メキシコ工場の生産能力増強を推進中。日経ヴェリタス報道(2025/7/25)でも「北米でDC向け変圧器需要、メキシコ工場増強で攻め」と報じられている。中長期成長ドライバーの一つとして位置付けられている。
クリーンエネルギー関連市場
太陽光・風力発電・EV充電インフラなどクリーンエネルギー関連市場の中長期成長を事業機会と捉え、第14次中期経営計画でカーボンニュートラルへの潮流を事業機会と位置付け。脱炭素社会実現への対応で電源・トランス需要の拡大を見込む。
直近5年の業績サマリー
2026年3月期は売上高1,235億5,900万円(前期比+8.34%)、営業利益52億8,700万円(同+1.77%)、経常利益48億7,900万円(同△3.60%)、親会社株主に帰属する当期純損失13億8,500万円(前期27億8,200万円の黒字から赤字転落)となりました。中国事業再編に伴う特別損失計上が純損益赤字転落の主因。本業ベース(営業利益)は前期比+1.77%とわずかに増益を確保しました。2027年3月期会社予想は売上高1,300億円(+5.21%)、営業利益56億円(+5.92%)、経常利益49億円、当期純利益45億円(黒字転換)と、業績回復軌道入りを計画しています。
| 項目(連結・百万円) | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 2027年3月期 会社予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 88,328 | 107,993 +22.3% |
106,622 △1.3% |
114,051 +7.0% |
123,559 +8.3% |
130,000 |
| 営業損益 | 1,564 | 4,829 +208.8% |
4,940 +2.3% |
5,195 +5.2% |
5,287 +1.8% |
5,600 |
| 経常損益 | 2,001 | 4,329 +116.3% |
4,956 +14.5% |
5,061 +2.1% |
4,879 △3.6% |
4,900 |
| 当期純損益 | △84 | 2,047 黒字転換 |
2,240 +9.4% |
2,782 +24.2% |
△1,385 赤字転落 |
4,500 |
| EPS(一株利益) | △1.02円 | 25.01円 | 27.41円 | 34.02円 | △17.28円 | 56.55円 |
| 決算発表時株価 (参考) |
610円 | 625円 | 720円 | 720円 | 900円 | ― |
| 実績PER | -598倍 | 24.99倍 | 26.27倍 | 21.16倍 | -52.08倍 | ― |
| 予想PER | ― | ― | ― | ― | ― | 16.82倍 |
| PBR | 1.00倍 | 0.97倍 | 1.02倍 | 0.92倍 | 1.14倍 | ― |
| PSR | 0.57倍 | 0.48倍 | 0.56倍 | 0.52倍 | 0.61倍 | ― |
本ページに掲載している業績数値は、各社が公表する決算短信を一次情報として作成しています。 数値は決算短信発表時点のものであり、将来的に修正される可能性があります。 業績予想は会社発表時点のものであり、実績と異なる場合があります。 PER・PBR・PSRは決算発表日の終値で算出した参考値です。 正確な情報は各社公式IRサイトを必ずご確認ください。
業績のポイント
2026年3月期は売上高1,236億円(+8.3%)・営業利益53億円(+1.8%)と本業ベース増収増益で着地。AIサーバー・データセンター関連需要の拡大が業績を牽引した。一方、中国事業再編に伴う特別損失計上により当期純損益は13億8,500万円の赤字に転落。2027年3月期会社予想は売上高1,300億円・営業利益56億円・当期純利益45億円(黒字転換)と本格的な業績回復を計画。第14次中期経営計画では2027年度(2028年3月期)にROE 8%・PBR 1倍以上を目標としており、構造改革効果と成長事業(AIサーバー・データセンター・クリーンエネルギー)の業績寄与が今後の鍵。
第14次中期経営計画(2025年4月~2028年3月)
同社は2022年4月~2025年3月の第13次中期経営計画「Energize the Future 100」(創業100周年=2024年度をターゲット)に続き、第14次中期経営計画(2025年4月~2028年3月の3カ年)を策定。第13次中期経営計画では収益性と資産効率が課題となったことを踏まえ、第14次計画では事業戦略・財務戦略・サステナビリティ戦略の一体推進で、ターゲットとする2027年度はROE 8%・PBR 1倍以上を目指す方針です。
2027年度(2028年3月期)数値目標
- ROE 8%以上
- PBR 1倍以上
長期ビジョン
- 世界のエレクトロニクス市場に高く評価される脱炭素社会実現のリーディングカンパニー
- カーボンニュートラルへの潮流を事業機会と捉え、変革を進める
事業戦略
- クリーンエネルギー関連市場の中長期成長への対応強化
- AIデータセンター需要の構造的拡大を前提とした成長事業拡大
- メキシコ工場増強による北米DC向け変圧器需要対応
- ブラジル工場増強による産機向け低・中電圧トランス受注増対応
- 中国事業再編による事業ポートフォリオ最適化
- 生産設備の増強や更新を引き続き推進
財務戦略
- 収益性と資産効率の改善(第13次中期経営計画の反省を踏まえ)
- 自己資本のほか、ファイナンス・リースや銀行借入の利用を予定
- 2026年は自己株式取得(9億9,998万円)を実施
サステナビリティ戦略
- 第14次中期経営計画の事業戦略と一体でマテリアリティの見直しを実施
- コンプライアンスの徹底とコーポレートガバナンス・リスクマネジメントの強化
- 2024年6月の株主総会で社外取締役が過半数となる取締役会構成(取締役会の監督機能強化)
株主還元
- 2026年3月期年間配当:13円(中間5円・期末8円)
- 配当利回り(予想):1.68%(2026/5/22終値ベース)
強みと注目点
① 弱電用トランス大手としての確立されたポジション
創業1924年の老舗電子部品メーカーで、弱電用変成器(トランス)の大手として確立されたポジション。トランス・リアクタ・はんだ材料・情報機器など、電子機器に不可欠な部材を幅広く供給。連結子会社30社、持分法適用関連会社6社のグローバル生産・販売体制を擁する。
② AIサーバー・データセンター需要の取り込み
AIデータセンターの急速な拡大に伴う電源・電子部品需要の構造的拡大を取り込み。2026年3月期第3四半期累計はAIサーバーやデータセンター関連需要の拡大により売上高+8.6%増、営業利益+19.6%増と業績寄与が顕在化。生成AI普及に伴うサーバー電力需要拡大対応として、ITインフラ向け大型トランス・リアクタの供給を強化中。
③ 北米データセンター向け変圧器需要対応
北米のデータセンター向け変圧器需要拡大を受けて、メキシコ工場の生産能力増強を推進中。日経ヴェリタス報道(2025/7/25)でも報じられた成長戦略の柱。中長期成長ドライバーとして期待される領域。
④ クリーンエネルギー関連市場の中長期成長
太陽光・風力発電・EV充電インフラなどクリーンエネルギー関連市場の中長期成長を事業機会と捉える。第14次中期経営計画ではカーボンニュートラルへの潮流を事業機会と位置付け、脱炭素社会実現への対応で電源・トランス需要の拡大を見込む。
⑤ グローバル生産・販売体制
連結子会社30社、持分法適用関連会社6社で日本・中国・その他アジア・米国・欧州・欧米にグローバル展開。地域別・事業別の多角化により、特定市場・顧客への依存リスクを抑制している。メキシコ・ブラジル工場増強で北米・中南米市場拡大も推進中。
弱み・リスク要因
有価証券報告書および中期経営計画資料から判明している同社の事業上の課題・リスクは以下のとおりです。
① 2026年3月期に純利益赤字転落(中国事業再編特損)
2026年3月期は売上高+8.3%増収・営業利益+1.8%増益にもかかわらず、中国事業再編に伴う特別損失計上により親会社株主に帰属する当期純損失13億8,500万円を計上し、前期27億8,200万円の黒字から赤字転落。第3四半期決算で通期予想を下方修正(当期純利益当初28億円→6億円)した後、実績は赤字着地となった。
② 営業利益率の低水準
2026年3月期の営業利益率は4.28%。中期経営計画では営業利益率5.0%を目標としているが未達状態が続いている。第13次中期経営計画でも収益性が課題と総括されており、第14次中期経営計画でROE 8%達成へ向けた利益水準の引き上げが必須課題。
③ ROE目標達成のハードル
2027年度(2028年3月期)のROE 8%目標に対し、2026年3月期実績は赤字で算出不可、2027年3月期予想ROEは7.17%にとどまる。第13次中期経営計画では収益性と資産効率が課題と総括されており、目標達成までの道のりは長い。資本コストを上回る利益水準の維持が継続的な課題。
④ 業績ボラティリティの大きさ
過去5期の当期純損益は▲84百万円→20億円→22億円→28億円→▲14億円と大きく変動。さらに2009年3月期に営業赤字13億円・最終赤字75億円、2018~2020年3月期には複数年で大幅な赤字を計上した経緯がある。市況・地政学リスク・為替変動による業績変動リスクが構造的に存在。
⑤ 主要顧客集中・在庫調整リスク
主要顧客はマキタ等、特定顧客への依存度が比較的高い構造。電子部品関連事業は主要顧客における在庫調整の影響を受け、売上高が前年度を下回ることがある。電動工具向けチャージャ、エアコン用リアクタなど主力製品における顧客の在庫調整リスクが業績に影響する。
⑥ 中東情勢・米国通商政策リスク
同社が決算短信で言及しているとおり、中東情勢や米国の通商政策など不確実性は残る想定。連結子会社30社のグローバル生産体制を擁するため、地政学リスク・通商政策変更による事業環境変化リスクが構造的に存在。米国相互関税等の影響も業績に波及するリスクがある。
⑦ 中国市場の減速・素材価格高騰
中国市場の減速や、家電市場・産業機器関連市場の需要低調による売上下振れリスク。素材価格高騰や為替変動による製造コスト上昇圧力も継続。中国事業再編は経営資源最適化の取り組みだが、構造改革に伴う一時費用負担と地域収益基盤の見直しが必要な状況。
- 株式会社タムラ製作所「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年5月11日開示)
- 株式会社タムラ製作所「2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)」(2025年11月10日開示)
- 株式会社タムラ製作所「2026年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」
- 株式会社タムラ製作所「2025年3月期 有価証券報告書」(第102期)
- 株式会社タムラ製作所「中期経営計画」(第13次「Energize the Future 100」、第14次中期経営計画)
- 株式会社タムラ製作所 公式IRサイト
本ページは投資情報の提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。

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