9227 マイクロ波化学

マイクロ波化学 <9227> 企業紹介 | ストップ高安研究所

マイクロ波化学 9227 東証グロース

大阪大学発スタートアップ ─ マイクロ波技術プラットフォームを化学産業に応用、グリーン・ヘルスケア・エレクトロニクス分野で展開

※2026年5月23日時点の情報

事業内容

マイクロ波化学は2007年8月設立の大阪大学発スタートアップ。「世界が知らない世界をつくれ」をミッションに掲げ、電子レンジにも使われるマイクロ波を活用した独自の製造技術を化学業界に提供しています。化学産業の従来製造プロセスでは「外部から・間接的に・全体に」エネルギーを伝えますが、マイクロ波化学は「内部から・直接・特定の物質だけに」エネルギーを与える真逆の伝達手段により、エネルギー消費量を従来の1/3に削減することを可能にしています。2023年に日本スタートアップ大賞2023で大学発スタートアップ賞(文部科学大臣賞)を受賞。

主要事業セグメント

同社の報告セグメントは「マイクロ波化学関連事業」の単一セグメント。顧客課題に応じて、研究開発からエンジニアリング・製造支援までをワンストップでソリューションとして提供しています。

マイクロ波技術プラットフォーム(コア技術)

マイクロ波を化学プロセスに応用する独自の技術プラットフォーム。マイクロ波吸収能検証/周波数選定、ラボ検証/反応最適化、反応器設計/シミュレーション、ベンチ・パイロット検証、制御・安全システム構築の各段階でソリューションを提供。

研究開発・エンジニアリング事業(4フェーズ展開)

研究開発会社としての側面とマイクロ波プロセスを設計して反応器を納入するエンジニアリング会社の両面を持つ。フェーズ1〜2は共同開発費・実証機の設計費という形で収益計上、フェーズ3〜4は反応器の納入により本格的な収益を獲得。

炭素繊維製造分野

三井化学名古屋工場内にマイクロ波を活用したCF(炭素繊維)製造技術に関する実証設備を完工。マイクロ波を用いた炭素繊維製造用実証設備供給に関する契約を締結している。

鉱山プロセス(ベリリウム・ニッケル等)

マイクロ波加熱を用いた省エネ・CO2削減精製技術によりベリリウム鉱石の溶解に成功。ベリリウム製造実証におけるマイクロ波加熱反応器の設計・製作業務委託契約を締結。マイクロ波標準ベンチ装置を用いたニッケル鉱石のか焼及び還元にも成功。鉱石製錬用のマイクロ波回転炉床炉の設計・製造で中外炉工業と戦略的提携。

ケミカルリサイクル(サーキュラーエコノミー)

マイクロ波熱分解技術を標準化して、家電や車などに使われているプラスチックからレジ袋まで多様な廃棄プラスチックに対応。2021年3月期からマイクロ波技術を用いたケミカルリサイクルへの取り組みを開始し、計20社以上・30件以上のプロジェクトで要素技術を蓄積。三菱ケミカルグループとはPMMAケミカルリサイクル事業を推進中。

メタン熱分解・その他

マイクロ波を用いたメタン熱分解の実証開発に関する契約を締結。水素製造・CO2フリープロセスとして注目される領域。グリーン・ヘルスケア・エレクトロニクスを成長分野に位置付け。

直近3年の業績サマリー

2025年3月期は売上16.08億円(前期比-13.7%減)、営業利益1.87億円(+39.6%増)、経常利益1.82億円(+40%増)、最終損益1.61億円の黒字転換(前期は9.44億円の赤字)。2025年5月に決算期を3月→6月に変更し、2026年6月期は15ヶ月決算で売上16.13億円・営業損失8.53億円・経常損失8.64億円・当期純損失8.84億円を見込む。3Q累計は売上5.56億円(前年同期比-17.9%減)、当期純損失7.01億円と赤字拡大。財務状況の悪化が課題。

項目(連結・百万円) 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年6月期
会社予想
売上高 1,215 1,863
+53.3%
1,608
△13.7%
1,613
営業損益 59 134
+127.1%
187
+39.6%
△853
経常損益 26 130
+400.0%
182
+40.0%
△864
当期純損益 75 △944
赤字転落
161
黒字転換
△884
EPS(一株利益) 5.09円 △61.12円 10.24円 △55.76円
決算発表時株価
(参考)
1,770円 1,095円 505円
実績PER 347.74倍 -17.92倍 49.32倍
予想PER -9.06倍
PBR 15.93倍 19.98倍 7.52倍
PSR 21.59倍 9.09倍 4.95倍
【業績数値に関する免責事項】
本ページに掲載している業績数値は、各社が公表する決算短信を一次情報として作成しています。 数値は決算短信発表時点のものであり、将来的に修正される可能性があります。 業績予想は会社発表時点のものであり、実績と異なる場合があります。 PER・PBR・PSRは決算発表日の終値で算出した参考値です。 正確な情報は各社公式IRサイトを必ずご確認ください。

業績のポイント

2025年3月期は売上16.08億円(前期比-13.7%減)と減収ながら、営業利益1.87億円(+39.6%増)・経常利益1.82億円(+40%増)と利益面では大幅増益。最終損益も1.61億円の黒字に転換(前期9.44億円の赤字)。ただし、2026年6月期(15ヶ月決算、決算期変更による特殊会計年度)は研究開発投資の継続強化により売上16.13億円・営業損失8.53億円・経常損失8.64億円・当期純損失8.84億円と再び大幅赤字予想。3Q累計(4-12月、9ヶ月実績)は売上5.56億円(前年同期比-17.9%減)、当期純損失7.01億円と赤字拡大。新規案件獲得は通期計画29件に対して24件、契約済み案件総数は計画61件に対して71件と順調に推移。自己資本比率は32.3%まで低下。

中期経営計画・成長戦略

同社は明示的な複数年の中期経営計画として数値目標文書を継続的に公表していないが、「事業計画及び成長可能性に関する事項」を継続的に開示しており、長期的な事業戦略の方向性を示しています。

経営ミッション

「世界が知らない世界をつくれ」をミッションに掲げ、マイクロ波技術の社会実装によりエネルギー消費量の削減と化学産業の革新を目指す。

事業戦略の柱

  • 4フェーズ・ソリューションモデル:フェーズ1(マイクロ波吸収能検証/周波数選定)→フェーズ2(ラボ検証/反応最適化)→フェーズ3(反応器設計/シミュレーション)→フェーズ4(ベンチ・パイロット検証/制御・安全システム構築)の段階的なソリューション提供
  • 横展開可能なプラットフォーム化:マイクロ波技術プラットフォームを様々な化学製品の製造プロセスに応用
  • 顧客との長期的関係構築:化学産業は研究開発段階から商業化まで時間とコストがかかるため、安定的な収益確保のための長期パートナーシップを重視

成長領域の重点分野

  • グリーン領域:ケミカルリサイクル、メタン熱分解、CO2削減プロセス
  • ヘルスケア領域:医薬品製造プロセス
  • エレクトロニクス領域:電子材料製造プロセス
  • 炭素繊維製造:三井化学等との提携による実証推進
  • 鉱山プロセス:ベリリウム・ニッケル等の精製、中外炉工業との戦略的提携

事業環境・体制

  • 2024年3月:大型試験を行うための実証棟が竣工
  • 2025年5月:決算期を3月→6月に変更(2026年6月期は15ヶ月決算)
  • 2026年5月:大出力マイクロ波発振器に知見のある池田佳隆氏が技術アドバイザーに参画
  • 研究開発の先行投資を継続するとともに、事業開発を強化することで共同開発契約・ライセンス契約締結による収益計上を推進
  • 剰余金の配当は年1回の期末配当を基本方針(現状は無配)

強みと注目点

① 大阪大学発スタートアップの技術基盤

2007年の創業以来、産業化は困難と言われていたマイクロ波プロセスの事業化に取り組み続け、マイクロ波技術のプラットフォームを確立。共同創業者の塚原保徳氏(大阪大学)が研究開発の中心的存在として活動。日本スタートアップ大賞2023で大学発スタートアップ賞(文部科学大臣賞)を受賞。

② エネルギー削減の社会的意義

マイクロ波技術の導入によってエネルギー消費量を従来の1/3に削減可能。脱炭素・CO2削減・グリーントランスフォーメーション(GX)の社会要請に直接応える技術として注目される。

③ 大手化学メーカーとの提携

三井化学(炭素繊維製造実証設備)、三菱ケミカルグループ(PMMAケミカルリサイクル)、中外炉工業(鉱山プロセス)など、大手企業との戦略的提携が進展。事業の社会実装が現実化している。

④ 多分野への応用可能性

炭素繊維製造、鉱山プロセス(ベリリウム、ニッケル)、ケミカルリサイクル(家電、車、レジ袋)、メタン熱分解、医薬品、電子材料など、極めて幅広い分野への応用が可能。事業の横展開ポテンシャルが大きい。

⑤ 2025年3月期の利益面での実績

2025年3月期は減収ながら営業利益+39.6%増・経常利益+40%増の大幅増益を達成し、最終損益も黒字転換。研究開発フェーズの先にビジネスモデルの収益性が証明された。

弱み・リスク要因

① 2026年6月期の大幅赤字予想

2025年3月期で黒字転換したものの、2026年6月期は売上16.13億円・営業損失8.53億円・経常損失8.64億円・当期純損失8.84億円と再び大幅赤字を予想。研究開発投資先行型のビジネスモデルゆえに業績の変動が大きい。

② 自己資本比率の低下

2026年6月期2Q時点で自己資本比率が32.3%まで低下し、キャッシュ・フローも悪化。継続的な研究開発投資により、財務基盤の脆弱性が懸念される。

③ 売上の下半期偏重

売上は下半期に偏重する傾向があり、四半期間の業績変動が大きい。3Q累計は売上5.56億円と前年同期比-17.9%減となっており、4Q(来年4-6月の3ヶ月含む15ヶ月決算)への業績集中構造が顕著。

④ 商業化までの長期間

化学産業の特性上、研究開発段階から商業化までに時間とコストがかかる。共同開発契約においては顧客との合意による開発期間延長等により、検収が当初予定より遅れた場合に経営成績に影響を及ぼす可能性がある。

⑤ 共同創業者・経営層への依存

代表取締役社長CEOの吉野巌氏が経営戦略・事業開発推進、代表取締役CSOの塚原保徳氏が研究開発を担うキーパーソン構造。両氏への依存度が高く、特定個人の離脱・健康リスクが事業継続に影響を与える可能性。

会社概要

社名マイクロ波化学株式会社(Microwave Chemical Co., Ltd.)
設立2007年8月(マイクロ波環境化学株式会社として設立、2011年11月にマイクロ波化学株式会社に商号変更)
共同創業者吉野 巌(三井物産出身)、塚原 保徳(大阪大学)
代表取締役社長CEO吉野 巌
代表取締役CSO塚原 保徳
本社所在地大阪府吹田市 大阪大学吹田キャンパス内
資本金28億7,174万円
事業内容マイクロ波化学関連事業(マイクロ波技術プラットフォームを活用した研究開発・エンジニアリング・製造支援)
上場市場東証グロース
上場日2022年6月24日
決算月6月(2025年5月に3月から変更、2026年6月期は15ヶ月決算)
セグメントマイクロ波化学関連事業の単一セグメント
開発拠点本社・研究室(大阪大学吹田キャンパス内)、世界初の大規模マイクロ波化学工場(大阪市住之江区)、実証棟(2024年3月竣工)
主要提携先三井化学(炭素繊維)、三菱ケミカルグループ(PMMAリサイクル)、中外炉工業(鉱山プロセス)など国内外の化学メーカー・機関

沿革 ─ 創業からの歩み

  • 2007年8月吉野巌氏(三井物産出身)と大阪大学・塚原保徳氏が共同創業者となり、「マイクロ波環境化学株式会社」として京都市上京区に設立
  • 2008年10月本社を大阪府吹田市の彩都バイオイノベーションセンターに移転
  • 2011年11月「マイクロ波化学株式会社」に商号変更
  • 2012年10月本社を大阪府吹田市の大阪大学吹田キャンパス内に移転
  • 2015年大阪府住之江区に世界初の大規模マイクロ波化学工場を開設、大阪大学ベンチャーキャピタル1号ファンドの第1弾投資対象に
  • 2021年3月期マイクロ波技術を用いたケミカルリサイクルへの取り組みを開始
  • 2022年6月24日東京証券取引所グロース市場に新規上場(証券コード9227)
  • 2023年日本スタートアップ大賞2023で大学発スタートアップ賞(文部科学大臣賞)を受賞、吉野巌氏が代表取締役社長CEOに就任
  • 2024年3月大型試験を行うための実証棟が竣工
  • 2024年三井化学名古屋工場内にマイクロ波を活用したCF製造技術に関する実証設備を完工、ベリリウム鉱石の溶解に成功
  • 2025年3月期売上16.08億円・営業利益1.87億円・最終損益1.61億円黒字転換
  • 2025年5月決算期を3月から6月に変更(2026年6月期は15ヶ月決算)
  • 2025年マイクロ波標準ベンチ装置を用いたニッケル鉱石のか焼及び還元に成功、中外炉工業と鉱石製錬用のマイクロ波回転炉床炉の設計・製造に関する戦略的提携
  • 2026年5月22日米CHIPS法・グリーンテクノロジー物色テーマでストップ高(個別好材料銘柄として)
主な出典:
  • マイクロ波化学株式会社 公式サイト
  • マイクロ波化学株式会社「2025年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)」(2025年5月9日開示)
  • マイクロ波化学株式会社「2025年3月期 通期決算説明資料(事業計画及び成長可能性に関する事項)」(2025年5月9日)
  • マイクロ波化学株式会社「2026年6月期 第2四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)」(2025年11月13日開示)
  • マイクロ波化学株式会社「2026年6月期 第3四半期決算短信」(2026年2月開示)
  • マイクロ波化学株式会社「決算期(事業年度の末日)の変更に関するお知らせ」(2025年5月9日)
  • マイクロ波化学株式会社 有価証券報告書

本ページは投資情報の提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。

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