6134 FUJI

FUJI 6134 東証P

FUJI CORPORATION|電子部品実装ロボット、半導体製造装置、工作機械を手掛ける産業機械メーカー。主力のロボットソリューション事業では、マウンターやダイボンダを中心に、AIサーバー、半導体、車載関連の設備投資需要を取り込む。
※2026年6月16日時点の情報

事業内容

2026年3月31日終値ベースの時価総額は約4,120億円。期末終値4,686円に、2026年3月期末の自己株式控除後株式数87,913,069株を掛けた概算である。
FUJIは1959年4月設立、本社は愛知県知立市、代表者は五十棲丈二氏、決算期末は3月31日。東京証券取引所プライム市場および名古屋証券取引所プレミア市場に上場している。
2026年3月期は、売上高180,642百万円、営業利益29,282百万円、経常利益31,291百万円、親会社株主に帰属する当期純利益15,733百万円。ロボットソリューション事業がAIサーバー関連設備需要や半導体関連設備需要を背景に大きく伸長した。

ロボットソリューション事業

2026年3月期の外部顧客向け売上高は168,737百万円、セグメント利益は33,623百万円。連結売上高の大半を占める中核事業である。

主な製品は、電子部品実装ロボット、スクリーン印刷機、半導体製造装置である。電子部品実装ロボットでは、モジュール型電子部品装着機「NXTR」や拡張型オールインワン装着機「AIMEXR」などを展開している。

2026年3月期は、タイ、インドを中心としたアジア地域でAIサーバー関連の設備需要が高水準で推移した。加えて、ダイボンダを含む半導体関連の設備需要も伸長した。

「NXTR」では自動化、高密度実装、性能向上、機能拡張が評価され、従来主力機種からの切り替えが進んだ。2024年9月に完成した岡崎工場の新工場棟も、生産体制強化の一部を担っている。

収益面では、売上増加と操業度改善が利益を押し上げた。一方で、AIサーバーや半導体関連の設備投資は顧客の投資サイクルに左右されるため、受注環境の変化が業績に反映されやすい。

マシンツール事業

2026年3月期の外部顧客向け売上高は9,705百万円、セグメント損益は107百万円の損失。自動車関連の設備需要が低調に推移し、特に北米市場で販売数量が大きく減少した。

主な製品は工作機械であり、旋盤、複合加工機、量産加工ライン向け設備などを手掛ける。複合加工旋盤「ACUFLEX」など、部品加工ニーズの多様化に対応する製品競争力の向上を進めている。

同事業では、生産効率や提案営業力の向上、ターンキービジネスでの優位性確立、新規顧客開拓が重要なテーマである。ロボットソリューション事業に比べると売上規模は小さいが、自動車部品加工や省人化ライン構築の需要回復局面では業績改善余地がある。

ただし、2026年3月期は赤字化しており、収益基盤の安定化が課題である。市場回復の遅れ、競合の高機能複合加工機、自動化システムとの競争が重荷になりやすい。

その他・新規領域

2026年3月期のその他区分の外部顧客向け売上高は2,199百万円、セグメント利益は85百万円。報告セグメントに含まれない制御機器製造、電子機器製造、画像処理開発などが含まれる。

会社は、電子部品実装ロボット以外の製品の事業化も進めている。スマートロッカーシステム「Quist」、移乗サポートロボット「Hug」、廃棄物選別ロボット「R-PLUS」などを次世代の柱となる事業候補として育成している。

これらの領域は、現時点では連結売上高に占める比率が小さい。したがって短期業績への寄与は限定的だが、ロボット技術、画像処理、制御技術を既存領域以外へ展開する取り組みとして位置づけられる。

主力事業への依存度を下げるには、新規領域の売上規模拡大と採算性の改善が必要である。

直近5年業績サマリー

業績項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期 2027年3月期
会社予想
売上高 148,128 153,326
+3.5%
127,059
△17.1%
127,387
+0.3%
180,642
+41.8%
211,000
+16.8%
営業損益 28,472 27,108
△4.8%
13,421
△50.5%
13,781
+2.7%
29,282
+112.5%
43,600
+48.9%
経常損益 29,943 29,016
△3.1%
15,010
△48.3%
15,328
+2.1%
31,291
+104.1%
44,300
+41.6%
親会社株主帰属当期純利益 21,188 20,454
△3.5%
10,438
△49.0%
10,906
+4.5%
15,733
+44.3%
33,000
+109.7%
EPS(一株利益) 219.70円 212.05円 110.59円 119.64円 178.79円 375.37円
PER(期末日株価ベース) 10.1倍 10.5倍 24.1倍 17.5倍 26.2倍
PBR(期末日株価ベース) 1.03倍 0.96倍 1.08倍 0.85倍 1.77倍
BPS 2,163.55円 2,332.15円 2,463.67円 2,461.37円 2,642.59円
純資産 208,782 225,104 228,278 218,682 232,454
営業CF 15,720 12,994 30,187 23,413 9,181
投資CF △11,598 △5,779 △12,366 △11,418 △6,971
財務CF △6,513 △7,951 △17,148 △16,195 △9,038
現金及び現金同等物 59,538 59,982 62,466 58,005 53,159
単位は百万円。EPS・BPSは円、PER・PBRは倍。
PER・PBRは各決算期末の終値を用いて算出。2027年3月期会社予想のPER・PBR・BPS・キャッシュフローは、期末株価または予想純資産・予想キャッシュフローが未公表のため空欄。直近5期で発行済株式数は97,823,748株。継続企業の前提に関する注記は該当事項なし。2026年3月期はファスフォードテクノロジに係るのれん等の減損損失を計上。

中期経営計画

中期経営計画2026

FUJIは2024年度から2026年度までの3か年計画として「中期経営計画2026」を策定している。2024年5月時点の計画では、最終年度に売上高180,000百万円、営業利益33,000百万円、営業利益率18.8%を目指す方針を示した。

2026年3月期決算時点では、ロボットソリューション事業のAIサーバー関連、半導体関連、車載関連の需要取り込みが進み、2027年3月期の会社予想は売上高211,000百万円、営業利益43,600百万円となっている。計画策定時の売上高・営業利益目標を上回る見通しである。

基本方針は、主力事業である電子部品実装ロボットと半導体製造装置の売上拡大、収益力強化、新規市場・顧客開拓である。マシンツール事業ではターンキーソリューションの強化と収益基盤の安定化を進める。新規領域ではQuist、Hug、R-PLUSなどの事業化を推進し、将来の柱となる事業創出を図る。
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競合他社

① パナソニック ホールディングス(6752)

時価総額は約10.01兆円。電子部品実装機分野では、パナソニック コネクトのモジュラーマウンター「NPM」シリーズなどが競合する。

パナソニックは2026年3月期に売上高8兆487億円、営業利益2,364億円を計上した。2027年3月期は営業利益5,500億円、親会社の所有者に帰属する当期純利益4,200億円を見込む。

FUJIの電子部品実装ロボットと、パナソニックの高生産性・高精度マウンターは、スマートフォン、車載基板、AIサーバー関連基板などの実装ラインで競合する。ライン全体の省人化、部品供給自動化、実装品質の高度化でも比較対象になりやすい。

② ヤマハ発動機(7272)

時価総額は約1.24兆円。ロボティクス事業で表面実装機、印刷機、検査装置、ディスペンサーなどを展開しており、FUJIのロボットソリューション事業と競合する。

ヤマハ発動機の2026年12月期第1四半期は、ロボティクス事業の売上収益が263億円、営業利益が7億円となった。全社では二輪車やマリン事業の比重が大きいが、実装機分野では「YRM20」などの高効率モジュラー機がFUJI製品と比較される。

ヤマハは印刷、塗布、実装、検査を含むライン提案を強めており、実装工程全体の最適化を求める顧客では競争が起きやすい。

③ DMG森精機(6141)

時価総額は約5,356億円。工作機械、自動化システム、デジタルソリューションを展開し、FUJIのマシンツール事業と競合する。

DMG森精機は2026年12月期第1四半期に売上収益1,355億円、営業利益34億円を計上した。2026年12月期は増収増益を見込んでおり、受注残、MRO、スペアパーツ、エンジニアリング事業を成長要因としている。

FUJIは量産ライン向けの工作機械やターンキー提案に強みを持つ一方、DMG森精機は5軸加工機、複合加工機、自動化システムで強いブランド力を持つ。自動車部品加工、工程集約、省人化投資の案件では競合関係になる。

強みと将来性

AIサーバー・半導体関連需要を取り込むロボットソリューションの収益力

FUJIの最大の強みは、ロボットソリューション事業が連結売上高の中心であり、2026年3月期に大幅な増収増益を実現した点である。外部顧客向け売上高168,737百万円、セグメント利益33,623百万円という規模は、全社業績を左右する中核である。

特に、AIサーバー関連の設備需要、半導体関連設備需要、車載電子部品の高度化は、電子部品実装ロボットやダイボンダの需要につながる。2027年3月期の会社予想でも、売上高211,000百万円、営業利益43,600百万円と、さらに成長を見込んでいる。

製品面では「NXTR」「AIMEXR」などを軸に、自動化、高密度実装、機能拡張を訴求している。顧客が求める実装ラインの省人化、品質安定、部品多様化への対応は、設備更新や新規投資の判断材料になりやすい。

財務面でも自己資本比率83.5%、純資産232,454百万円と厚みがある。成長投資、研究開発、生産体制強化を行う余力を一定程度持っていることは、設備投資サイクルの変動を受ける産業機械メーカーにとって重要である。

中期経営計画の最終年度に向けて、会社予想が当初目標を上回る水準にある点も注目される。AIサーバー、半導体、車載領域の設備需要が継続する場合、主力事業の営業レバレッジが業績拡大に結びつく可能性がある。

弱みとリスク要因

主力事業集中、設備投資サイクル、マシンツール事業の赤字化

最大のリスクは、ロボットソリューション事業への依存度が高いことである。2026年3月期の連結売上高180,642百万円のうち、ロボットソリューション事業の外部顧客向け売上高は168,737百万円であり、全社売上の大半を占める。

AIサーバー関連や半導体関連の需要は強い一方、設備投資サイクルの反転が起きると、受注、売上、利益が同時に鈍化しやすい。顧客の工場投資、半導体市況、スマートフォンや車載電子部品の需要、為替動向、地政学リスクの影響を受ける。

2026年3月期の営業キャッシュフローは9,181百万円に低下した。売上債権や棚卸資産の増加が背景にあり、急成長局面では運転資金負担が大きくなりやすい。利益が伸びても、キャッシュ創出が追いつかない局面には注意が必要である。

マシンツール事業は2026年3月期に107百万円のセグメント損失となった。自動車関連の設備需要が低調で、特に北米市場の販売数量減少が響いた。主力事業が好調な局面では目立ちにくいが、工作機械事業の採算改善が遅れると全社利益率の重荷になる。

また、2026年3月期にはファスフォードテクノロジに係るのれん等の減損損失を計上している。半導体製造装置領域は成長余地がある一方、需要変動や収益見通しの変化が会計上の損失につながる可能性もある。

株価面では、2026年3月期末株価ベースのPERは26.2倍、PBRは1.77倍まで上昇した。成長期待が織り込まれるほど、受注減速、利益率低下、会社予想未達に対する株価感応度は高まりやすい。

出典

本ページは公開情報をもとに作成した個別銘柄分析であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。掲載内容は作成時点の情報に基づきます。投資判断は必ず最新の会社開示資料を確認し、ご自身の責任で行ってください。

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