7815 東京ボード工業

東京ボード工業 7815 東証S

Tokyo Board Industries Co., Ltd.|木質廃棄物をほぼ100%原材料とするJIS規格パーティクルボード「E・V・Aボード」を製造販売する、木材マテリアルリサイクル型の建材メーカー。

※2026年6月29日時点の情報

事業内容

2026年6月29日の時価総額は約11.2億円。株価は306円。

東京ボード工業は東京都江東区新木場に本社を置く木質ボードメーカー。設立は1947年5月、資本金は1億円、代表取締役社長は井上弘之氏、上場市場は東証スタンダード。事業内容は、産業廃棄物及び一般廃棄物の木くず中間処理、木質廃棄物を破砕したチップを原材料とするパーティクルボード「E・V・Aボード」の製造販売、合板販売である。

2026年2月期は、決算期変更により2025年4月1日から2026年2月28日までの11カ月決算。連結業績は売上高6,625百万円、営業損失81百万円、経常損失190百万円、親会社株主に帰属する当期純損失777百万円。期初から佐倉工場の新たなチップ乾燥設備が稼働し、安定したパーティクルボード生産を行えていたが、2025年11月1日に発生した佐倉工場製造ラインの小火により操業が停止し、製品出荷数の削減を余儀なくされた。2026年6月10日に佐倉工場の生産再開を公表し、2026年6月26日には新木場の本社及び工場に係る固定資産譲渡を決定、2027年2月期に概算4,250百万円の固定資産売却益を特別利益へ計上予定としている。

木材環境ソリューション事業|E・V・Aボードを軸にした主力事業

木材環境ソリューション事業の外部顧客向け売上高は、2022年3月期7,184百万円、2023年3月期8,094百万円、2024年3月期6,753百万円、2025年3月期7,334百万円、2026年2月期6,254百万円。2026年2月期は11カ月決算であることに加え、佐倉工場の小火による操業停止が売上・収益を圧迫した。なお、同社はその他事業の重要性が乏しいとしてセグメント利益の詳細開示を省略している。
木材環境ソリューション事業の外部顧客向け売上高推移(百万円)
2022/32023/32024/32025/32026/2 7,184 8,094 6,753 7,334 6,254

木材環境ソリューション事業は、東京ボード工業の実質的な主力事業である。

木質廃棄物を破砕・選別し、チップ化した原料からパーティクルボードを製造する。

主力製品の「E・V・Aボード」は、木質廃棄物をほぼ100%原材料として作られるJIS規格パーティクルボードであり、マンション二重床の床下地材、家具・什器、内装材などで使われる。

東京ボード工業の特徴は、単に製品を製造するだけではなく、木くずの受け入れ、中間処理、チップ化、ボード製造、販売、さらに納品と廃材回収を組み合わせた循環物流まで一体で構築している点にある。

このモデルは、建設現場から排出される木質廃棄物を資源として回収し、再び建材として建設現場へ戻す循環型ビジネスである。

2023年3月期は売上高8,466百万円まで拡大したが、同年に佐倉工場でチップ乾燥設備焼損が発生し、その後の生産体制に影響を残した。

2024年3月期は佐倉工場の平常状態に比べ少量での生産が続き、売上高は7,135百万円へ減少した。

2025年3月期は新たなチップ乾燥設備の稼働開始が遅れたものの、臨時生産体制と経費削減で営業赤字幅を縮小し、最終損益は黒字化した。

2026年2月期は、11カ月決算であるうえ、2025年11月の佐倉工場小火により操業が停止し、出荷数量が制限された。

このため、同社の業績は製品需要だけでなく、生産設備の稼働率、佐倉工場の復旧状況、チップ乾燥設備の安定稼働に強く左右される。

木質廃棄物を燃焼させるサーマルリサイクルではなく、炭素をボード内に固定したまま建材として再利用するマテリアルリサイクルは、脱炭素・資源循環の観点で差別化要素になる。

ただし、売上規模に対して固定費と設備負担が重く、住宅着工数の減少局面や設備トラブル発生時には損益が悪化しやすい。

木質廃棄物リサイクル・中間処理

同社は1991年より木質廃棄物のマテリアルリサイクルを基軸とする資源循環型ビジネスモデルを展開。新木場、埼玉、横浜などのグループ拠点を活用し、木くずの受け入れ、分別、破砕、チップ化を行う。業績上は木材環境ソリューション事業に含まれるため、個別の売上・利益は開示されていない。
営業キャッシュ・フロー推移(百万円)
2022/32023/32024/32025/32026/2 1,199 1,076 △350 1,325 725

木質廃棄物リサイクルは、東京ボード工業の事業モデルそのものを支える機能である。

同社は、産業廃棄物や一般廃棄物として発生する木くずを受け入れ、破砕・選別したうえでパーティクルボード原料にする。

木材を燃やすのではなく、木材として再利用することで、長年にわたり樹木が固定してきた炭素を製品内に残すことができる。

建設現場に製品を納め、同時に木質廃棄物を回収する循環物流は、単なる建材メーカーとは異なる収益構造を形成している。

木くず中間処理とボード製造を一体化しているため、廃棄物処理ニーズと建材需要の両面を取り込める点が強みとなる。

一方で、原料である木質廃棄物の受け入れ品質、異物混入、分別コスト、処理能力、製造ラインの稼働率が収益性に直結する。

リサイクル率100%を掲げ、関東圏を網羅する拠点体制と1日1,000トン規模の処理能力を示しているが、この処理能力を最終製品の安定販売へ結びつけるには、製造設備の安定稼働が不可欠である。

2026年2月期は営業キャッシュ・フローが725百万円のプラスとなった一方、投資キャッシュ・フローは1,312百万円の支出となった。

設備復旧や更新投資を継続しながら、リサイクル型製品の販売数量を回復できるかが次の焦点になる。

壁武者・合板販売・その他事業

その他事業の外部顧客向け売上高は、2022年3月期382百万円、2023年3月期373百万円、2024年3月期383百万円、2025年3月期400百万円、2026年2月期371百万円。全社売上に占める割合は小さいが、合板販売や長尺構造用パネル「壁武者」など、主力パーティクルボードの用途拡大を補完する領域である。
その他事業の外部顧客向け売上高推移(百万円)
2022/32023/32024/32025/32026/2 382 373 383 400 371

東京ボード工業の製品は、E・V・Aボードだけではなく、用途拡大型の製品や合板販売も含む。

長尺構造用パネル「壁武者」は、構造用パーティクルボードの用途を広げる製品であり、耐震性強化や施工現場の省力化を訴求する。

住宅・マンション建設では、大工不足、工期短縮、施工品質の安定化が課題になりやすく、長尺パネル化や下地材の標準化は顧客にとって価値がある。

合板販売は、主力のパーティクルボードとは異なる木質建材需要に対応する補完的な事業である。

その他事業の売上規模は300百万円台から400百万円程度で推移しており、全社売上を大きく動かすほどの規模ではない。

ただし、パーティクルボードの用途が床下地材に偏るほど、住宅市況やマンション着工に対する感応度が高まる。

壁武者や合板販売、内装材・構造用部材への展開は、用途分散によって主力製品の販売先を広げる意味を持つ。

今後は、単なるリサイクル建材という位置付けだけでなく、環境性能、施工効率、品質安定性を設計指定やゼネコン・建材商社ルートへどう浸透させるかが重要になる。

直近5年業績サマリー

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年2月期 2027年2月期
会社予想
売上高
(百万円)
7,565 8,466
+901 / +11.9%
7,135
△1,331 / △15.7%
7,733
+598 / +8.4%
6,625
△1,108 / △14.3%
営業損益
(百万円)
△938 △242
+696 / 赤字縮小
△939
△697 / 赤字拡大
△32
+907 / 赤字縮小
△81
△49 / 赤字拡大
経常損益
(百万円)
△914 △223
+691 / 赤字縮小
△891
△668 / 赤字拡大
△90
+801 / 赤字縮小
△190
△100 / 赤字拡大
当期純利益
(百万円)
△1,223 △507
+716 / 赤字縮小
△957
△450 / 赤字拡大
293
+1,250 / 黒字転換
△777
△1,070 / 赤字転落
EPS
(円)
△472.20 △195.92
+276.28
△369.25
△173.33
113.09
+482.34
△300.10
△413.19
PER
(倍)
5.06
PBR
(倍)
0.46 0.86 2.68 0.96 1.27
BPS
(円)
1,049.48 848.35
△201.13
479.25
△369.10
596.13
+116.88
302.71
△293.42
純資産
(百万円)
3,472 3,005
△467 / △13.5%
2,067
△938 / △31.2%
2,402
+335 / +16.2%
1,652
△750 / △31.2%
営業CF
(百万円)
1,199 1,076
△123
△350
△1,426
1,325
+1,675
725
△600
投資CF
(百万円)
△463 △324
+139
△544
△220
△1,118
△574
△1,312
△194
財務CF
(百万円)
△451 △25
+426
△15
+10
△35
△20
△18
+17
現金及び現金同等物
(百万円)
1,789 2,515
+726 / +40.6%
1,605
△910 / △36.2%
1,776
+171 / +10.7%
1,171
△605 / △34.1%
2026年2月期は決算期変更により11カ月の変則決算。EPS、PER、PBR、BPSは、2026年2月期末の発行済株式数3,660,369株から自己株式1,068,490株を控除した2,591,879株を基準に記載。期末株価はユーザー提供の2022年3月末487円、2023年3月末728円、2024年3月末1,286円、2025年3月末572円、2026年2月末385円を使用。赤字EPSの期のPERは算出しない。2027年2月期会社予想は、2026年6月29日時点で未定。

中期経営計画

2027年2月期は業績予想未定、固定資産売却益4,250百万円を予定

2026年6月29日時点で、東京ボード工業は明確な複数年度の数値目標を伴う中期経営計画を確認できない。2027年2月期の連結業績予想についても、2026年2月期決算短信では「適正かつ合理的に算定することが困難」として未定としている。

短期の重要材料は、佐倉工場の生産再開と固定資産売却である。佐倉工場は2025年11月の小火により操業停止していたが、消火設備の増設と設備点検を経て2026年6月10日より生産を再開した。

また、2026年6月26日には、東京都江東区新木場の本社及び工場に係る固定資産の譲渡を決定した。譲渡後も譲渡先との賃貸借契約により継続使用するため、事業所の閉鎖または移転はない。

2027年2月期 業績予想未定
固定資産売却益約4,250百万円
佐倉工場2026年6月10日再開
2026年2月期 自己資本比率7.0%

事業戦略は、木質廃棄物の受け入れからパーティクルボード製造、販売、循環物流までを一体化した木材マテリアルリサイクルモデルの復旧・再強化が中心となる。

2026年2月期末の自己資本比率は7.0%と低く、財務体質の改善が急務である。固定資産売却益は最終損益と純資産の改善に大きく寄与する可能性がある一方、営業収益力そのものは佐倉工場の稼働率回復と製品販売数量に依存する。

評価の焦点は、固定資産売却による一過性利益ではなく、佐倉工場の段階的な生産数量回復、住宅・マンション向けパーティクルボード需要、設備投資後の減価償却負担、営業損益の黒字化にある。

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競合他社

① アイカ工業(4206)

時価総額は約2,514億円、株価は約3,719円。化成品と建装建材を展開し、メラミン化粧板、ポリ板、化粧ボード、不燃化粧板「セラール」、木工・家具用接着剤などを扱う。

2026年3月期の連結業績は、売上高2,517.64億円、営業利益291.43億円、経常利益301.36億円、親会社株主に帰属する当期純利益185.33億円。建装建材セグメントでは、メラミン化粧板や不燃建材などが伸長し、売上高1,155.02億円、営業利益248.03億円となった。

東京ボード工業とは、パーティクルボードそのものではなく、建装ボード、内装建材、家具・什器向け表面材、建材商社ルート、設計指定の領域で競合する。東京ボード工業が木質ボード基材を供給する一方、アイカ工業は表面材・化粧材で高付加価値を取りにいくため、同じ内装・家具・店舗什器向け予算をめぐる隣接競合になる。

② ノダ(7879)

時価総額は約111億円、株価は約640円。住宅建材、床材、内壁材、造作材、ドア・引戸、収納、MDF、合板などを展開する木質建材メーカー。

2025年11月期は、連結売上高646.86億円、営業損失0.47億円、経常損失0.29億円、親会社株主に帰属する当期純損失8.29億円。木質建材事業は売上高398.04億円、セグメント利益8.08億円となった一方、合板事業は合板市況の弱さや住宅需要低迷の影響を受けた。

東京ボード工業とは、マンション二重床の下地材、床・壁・内装下地材、木質ボード、合板代替材の領域で競合する。ノダは内装建材の品ぞろえを持ち、東京ボード工業はリサイクル原材料を使うE・V・Aボードで環境性能を訴求する構図である。

③ 永大産業(7822)

時価総額は約111億円、株価は約240円。住宅用木質建材、内装システム、住設機器、木質ボードを製造販売する住宅資材メーカー。

2026年3月期は、売上高737.74億円、営業利益7.19億円と黒字転換。一方で、木質ボード事業子会社の減損損失51.47億円により、親会社株主に帰属する当期純損失は28.46億円となった。2027年3月期は売上高765億円、営業利益16億円、経常利益14億円、当期純利益20億円を見込む。

東京ボード工業とは、パーティクルボード、木質ボード、床下地材、フローリング基材、住宅資材で直接競合する。永大産業は子会社ENボードを通じてパーティクルボード供給力を持ち、住宅資材全体の品ぞろえとフローリング・内装材との一体提案が強みである。東京ボード工業は木質廃棄物リサイクルを前面に出した環境性能で差別化する必要がある。

強みと将来性

木質廃棄物を建材へ戻す循環モデルと、固定資産売却による財務改善余地

東京ボード工業の最大の強みは、木質廃棄物をほぼ100%原材料とするパーティクルボードを量産する循環型モデルである。

建設現場などから発生する木くずを回収し、中間処理を行い、チップ化してE・V・Aボードへ再生し、再び建材として供給する。

この仕組みは、廃棄物処理と建材製造を同時に取り込むため、単なる木質ボードメーカーよりも環境価値を訴求しやすい。

木材を燃やさず、炭素をボード内に固定したまま再利用する考え方は、脱炭素、資源循環、建設廃棄物削減の流れと親和性が高い。

同社は、木質廃棄物の回収から製品納品までをつなぐ循環物流も構築しており、動脈物流と静脈物流を組み合わせることで輸送効率の改善を狙える。

関東圏を中心とした拠点体制と、建設会社・建材商社との取引基盤は、リサイクル建材の継続供給において重要な資産である。

2026年6月には佐倉工場の生産再開を公表しており、今後は段階的に生産数量を増やしていく局面に入る。

佐倉工場の稼働率が戻れば、2026年2月期に低下した出荷数量と売上高の回復余地がある。

固定資産売却により、2027年2月期に概算4,250百万円の特別利益を計上予定である点も大きい。

2026年2月期末の自己資本は784百万円、自己資本比率は7.0%であるため、固定資産売却益が計画通り実現すれば、財務指標の見え方は大きく改善する可能性がある。

ただし、これは営業利益ではなく一過性の特別利益である。

市場評価が本格的に変わるには、佐倉工場復旧後の通常操業、木材環境ソリューション事業の売上回復、営業損益の黒字化が必要になる。

同社の将来性は、環境価値の高いリサイクル建材を、住宅・マンション・内装・構造用パネルの需要へどこまで結びつけられるかにかかっている。

弱みとリスク要因

設備トラブルへの感応度、低い自己資本比率、住宅市況依存

最大のリスクは、生産設備への依存度が高いことである。

同社は佐倉工場や新木場リサイクリング工場を核にパーティクルボードを製造しており、設備停止が直ちに出荷数量と売上高に影響する。

2022年12月には佐倉工場のチップ乾燥設備焼損が発生し、その後の生産体制に影響を与えた。

2025年11月には佐倉工場製造ラインの小火により操業が停止し、2026年2月期の売上・収益を大きく圧迫した。

このように、同社は製品需要よりも先に、設備の安定稼働が業績回復の前提になる。

2026年2月期末の自己資本比率は7.0%で、財務余力は高くない。

固定資産売却益4,250百万円は財務改善材料だが、本社及び工場を譲渡後も賃貸借契約で継続使用するため、今後は賃借料負担や資産保有メリットの喪失も確認する必要がある。

また、固定資産売却益は営業キャッシュを恒常的に生むものではない。

営業損益は2022年3月期から2026年2月期まで5期連続で赤字であり、構造的な収益性改善はまだ確認されていない。

住宅市場もリスク要因である。

2026年2月期は、2025年4月から2026年2月までの新築着工数が前年同期比で減少し、持家、貸家、分譲住宅のいずれも厳しい環境だった。

東京ボード工業の主力製品はマンション床下地材など建設需要に近いため、住宅・マンション着工の弱さは販売数量と価格交渉力に影響しやすい。

競合面では、永大産業、ノダ、アイカ工業などが住宅建材・木質ボード・内装建材を広く展開している。

東京ボード工業は環境性能で差別化できる一方、競合各社は品ぞろえ、営業網、財務規模、施工現場への提案力で優位に立つ場面がある。

投資判断では、固定資産売却益による一時的な最終黒字ではなく、佐倉工場の生産数量、営業利益、営業キャッシュ・フロー、自己資本比率、借入条件、住宅着工動向を継続的に確認する必要がある。

出典

本記事は公開情報をもとに作成したものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。掲載情報は作成時点の内容であり、将来変更される可能性があります。投資判断は必ず各社の公式開示資料を確認し、自己責任で行ってください。

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