三井ハイテック 6966 東証プライム
超精密加工技術のものづくり企業(Mitsui High-tec)─ ICリードフレーム首位級、EV向けモーターコアで世界シェア6〜7割、精密金型・工作機械も展開
事業内容 ─ リードフレーム首位級・EVモーターコア世界大手
株式会社三井ハイテック(Mitsui High-tec)は、1949年創業、福岡県北九州市に本社を置く超精密加工技術のものづくり企業。代表取締役は三井康誠氏、連結子会社15社で構成され、従業員数は約5,091名。創業以来培ってきた精密金型技術を核に、半導体用のICリードフレーム、ハイブリッド車・電気自動車(EV)向けのモーターコア(積層鉄心)、精密金型・工作機械を主力製品とする。事業は「金型・工作機械事業」「電子部品事業(ICリードフレーム)」「電機部品事業(モーターコア)」の3セグメントで構成。ICリードフレームでは世界首位級のシェアを持ち、米テキサス・インスツルメンツへの大量受注を契機に量産体制を確立した歴史を持つ。EV・HV向けモーターコアでは「厚板を薄くした上で金型を打つ技術的優位性」により、競合の参入や内製化の脅威から防衛し、2022年時点で世界シェア60〜70%を確保しているとされる。なお社名は創業者・三井孝昭氏の名に由来し、三井グループとは無関係。中国・北米・欧州に現地法人を持つグローバル企業で、海外展開を加速している。2026年1月期は売上高2,183.29億円(前期比+1.6%)と微増収だったが、特別損失約65億円の計上等により当期純利益は31.51億円(前期比-74.2%)と大幅減益となった。なお本日の株価上昇について、当社からの個別の適時開示は確認されていない。
主要事業セグメント
電機部品事業(モーターコア・拡大成長事業)
ハイブリッド車・EV向けの駆動用モーターコア(積層鉄心)を製造。「厚板を薄くした上で金型を打つ技術的優位性」により世界シェア60〜70%を確保しているとされる主力事業。新中期経営計画で「拡大成長事業」と位置付け、欧米を中心とした増産体制の整備を進める。電動車市場の成長を取り込む成長ドライバー。
電子部品事業(ICリードフレーム・安定成長事業)
半導体パッケージに使われるICリードフレームを製造する事業で、世界首位級のシェアを持つ。精密金型技術を応用したリードフレームの量産で成長してきた祖業に近い事業。新中期経営計画では「安定成長事業」と位置付け、製品開発と量産のための設備投資を行う。半導体市場の長期的成長が追い風。
金型・工作機械事業
創業以来の精密金型(プレス金型)と、金型を使った工作機械(プレス機等)を製造する事業。「人の目には見えないミクロの世界」を操る超精密加工技術が同社の技術基盤であり、リードフレーム・モーターコアの製造を支えるコア技術でもある。外販に加え、グループ内の製造を支える役割も担う。
グローバル展開
中国・北米・欧州に現地法人を持ち、モーターコア製品の現地生産を進める。メキシコにも製造・販売拠点(ミツイ・ハイテック メヒカーナ)を設立。新中期経営計画では海外売上比率を約41%から57%へ引き上げる目標を掲げ、欧米を中心とした増産投資により電動車需要を現地で取り込む方針。
直近5年の業績サマリー
2026年1月期は売上高2,183.29億円(前期比+1.6%)と微増収だったが、営業利益126.51億円(同-21.0%)、経常利益138.15億円(同-18.5%)と減益。さらに特別損失約65億円を計上したことなどにより、当期純利益は31.51億円(前期比-74.2%)と大幅減益となった。売上高は2024年1月期(2,148.90億円)・2025年1月期(2,143億円前後)とほぼ横ばいで推移する一方、利益は2023年1月期(営業利益225.86億円)をピークに減益傾向が続いている。EV市場の成長ペース鈍化や先行投資の負担、特別損失の計上が利益を圧迫した。2026年1月期第1四半期(2-4月)も経常利益が前年同期比-77.1%減と落ち込み、通期計画に対する進捗率が低い状況。2027年1月期会社予想は売上高2,330億円・当期純利益70億円程度を見込む。PBR1.22倍・PSR0.63倍。新中期経営計画では2028年1月期に売上高3,100億円・営業利益235億円を目標とする。本日の株価上昇について、当社からの個別の適時開示は確認されていない。
| 項目(連結・百万円) | 2022年1月期 | 2023年1月期 | 2024年1月期 | 2025年1月期 | 2026年1月期 | 2026年1月期 会社予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 139,429 | 174,615 +25.2% |
195,881 +12.2% |
214,890 +9.7% |
218,329 +1.6% |
216,000 |
| 営業損益 | 14,959 | 22,586 +51.0% |
18,119 △19.8% |
16,017 △11.6% |
12,651 △21.0% |
11,000 |
| 経常損益 | 15,672 | 22,669 +44.6% |
21,733 △4.1% |
16,943 △22.0% |
13,815 △18.5% |
10,000 |
| 当期純損益 | 11,778 | 17,581 +49.3% |
15,545 △11.6% |
12,219 △21.4% |
3,151 △74.2% |
7,000 |
| EPS(一株利益) | 322.24円 | 480.99円 | 425.30円 | 66.86円 | 17.25円 | 38.30円 |
| 決算発表時株価 (参考) |
1,400円 | 1,378円 | 1,986円 | 835円 | 757円 | ― |
| 実績PER | 4.34倍 | 2.86倍 | 4.67倍 | 12.49倍 | 43.88倍 | ― |
| 予想PER | ― | ― | ― | ― | ― | 19.77倍 |
| PBR | 0.84倍 | 0.63倍 | 0.75倍 | 1.39倍 | 1.22倍 | ― |
| PSR | 0.37倍 | 0.29倍 | 0.37倍 | 0.71倍 | 0.63倍 | ― |
本ページに掲載している業績数値は、各社が公表する決算短信を一次情報として作成しています。 数値は決算短信発表時点のものであり、将来的に修正される可能性があります。 業績予想は会社発表時点のものであり、実績と異なる場合があります。 PER・PBR・PSRは決算発表日の終値で算出した参考値です。 正確な情報は各社公式IRサイトを必ずご確認ください。
※2026年1月期は特別損失約65億円の計上等により当期純利益が大幅減益となっています。2024年7月に株式分割を実施しており、1株あたり指標は分割の影響を含みます。
新中期経営計画(2026年1月期〜2028年1月期)
同社は3カ年毎の中期経営計画を策定しており、2025年3月に新中期経営計画(2026年1月期〜2028年1月期)を公表した。電動車向けモーターコア(電機部品事業)を「拡大成長事業」、ICリードフレーム(電子部品事業)を「安定成長事業」と位置付け、3年間で総額1,100億円を投資して増産体制を整備する。資本コストを意識した経営強化のため、財務目標にROE・ROICを追加している。
全社の財務目標(最終年度=2028年1月期)
- 売上高:3,100億円(2025年1月期比+44.3%)
- 営業利益:235億円(同+46.7%)
- 3年間の投資総額:1,100億円
- ROE・ROICを新たに財務目標に追加
セグメント別目標
- 電機部品事業(モーターコア・拡大成長):売上2,340億円・営業利益155億円、3年で920億円投資
- 電子部品事業(リードフレーム・安定成長):売上700億円・営業利益80億円、3年で125億円投資
- 海外売上比率:約41%→57%へ引き上げ
強みと注目点
① EVモーターコアで世界シェア6〜7割の技術的優位性
HV・EV向けの駆動用モーターコアで世界シェア60〜70%を確保しているとされる。「厚板を薄くした上で金型を打つ」独自の超精密加工技術により、競合の参入や顧客の内製化の脅威から事業を防衛している。電動車市場の中長期的な成長を取り込む成長ドライバーであり、新中計でも最大の投資対象(3年で920億円)と位置付けられている。
② ICリードフレーム世界首位級の安定基盤
半導体用ICリードフレームで世界首位級のシェアを持つ。精密金型技術を応用した量産体制を確立しており、半導体市場の長期的成長を背景とした安定収益源。新中期経営計画では「安定成長事業」として、製品開発と設備投資により売上700億円を目指す。モーターコアと並ぶ二本柱を形成している。
③ 超精密加工技術とグローバル増産投資
1949年創業以来培ってきた精密金型・超精密加工技術が全事業の基盤。中国・北米・欧州・メキシコに生産拠点を展開し、新中計では3年で1,100億円を投じて欧米中心に増産体制を整備、海外売上比率を41%→57%へ引き上げる方針。資本コストを意識したROE・ROIC経営への移行も進めている。
弱み・リスク要因
有価証券報告書・決算短信および公開情報から判明している同社の事業上の課題・リスクは以下のとおりです。
① 利益の減益傾向と大幅な最終減益
営業利益は2023年1月期(225.86億円)をピークに減益が続き、2026年1月期は営業利益126.51億円(前期比-21.0%)、さらに特別損失約65億円の計上等で当期純利益31.51億円(同-74.2%)と大幅減益となった。2026年1月期第1四半期も経常利益が前年同期比-77.1%減と低調なスタートで、通期計画に対する進捗率が低く、業績回復の確度には不透明感がある。
② EV市場の成長鈍化と大型先行投資の負担
主力のモーターコアはEV・HV市場の成長に業績が大きく依存する。EV市場の成長ペース鈍化や各国の補助金政策の変化は、需要・稼働率に直接影響する。一方で新中計では3年で1,100億円という大型投資を計画しており、需要が想定を下回った場合、減価償却費等の固定費負担が利益を圧迫するリスクがある。投資と需要のタイミングのズレに留意が必要。
③ 為替変動・競争激化と中計目標達成リスク
海外売上比率が高く(41%→57%へ引き上げ方針)、為替変動の影響を受けやすい。モーターコア・リードフレームとも競合との競争があり、価格・技術両面での競争力維持が課題。新中計の高い目標(2028年1月期 売上3,100億円・営業利益235億円)に対し足元の業績は減益基調で、目標達成のハードルは高い。本日の株価上昇についても当社からの個別の適時開示は確認されておらず、需給・思惑による値動きの可能性に留意が必要。
- 株式会社三井ハイテック 公式サイト
- 株式会社三井ハイテック IRリリース情報
- 株式会社三井ハイテック「2026年1月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」
- 株式会社三井ハイテック「新中期経営計画(2026年1月期〜2028年1月期)」(2025年3月11日策定)
- 株式会社三井ハイテック「有価証券報告書」
本ページは投資情報の提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。

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