6981 村田製作所

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村田製作所 6981 東証P

Murata Manufacturing Co., Ltd.|ファンクショナルセラミックスを基盤に、コンデンサ、インダクタ、EMI除去フィルタ、高周波モジュール、センサ、リチウムイオン二次電池などを展開する総合電子部品メーカー。
※2026年6月18日時点の情報

事業内容

2026年6月18日の時価総額は約230,555億円。同日の株価終値11,745円、発行済株式総数1,963,001,843株を基準に算出しています。

村田製作所は1950年12月23日設立、創業は1944年10月、本社は京都府長岡京市東神足1丁目10番1号、代表取締役社長は中島規巨氏です。東京証券取引所プライム市場に上場し、決算期は3月末です。事業内容は、ファンクショナルセラミックスをベースとした電子デバイスの研究開発・生産・販売です。

直近の2026年3月期は、売上収益1,830,856百万円、営業利益281,835百万円、税引前利益308,643百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益233,920百万円でした。会社側は2027年3月期について、売上収益1,960,000百万円、営業利益380,000百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益293,000百万円を計画しています。

コンポーネント事業・MLCCを中心とする中核収益源

コンポーネント事業の外部顧客向け売上収益は、2022年3月期984,299百万円、2023年3月期914,165百万円、2024年3月期933,771百万円、2025年3月期1,033,118百万円、2026年3月期1,159,734百万円と推移しました。2026年3月期の営業利益は315,132百万円、営業利益率は26.8%で、全社利益を支える最大セグメントです。

このセグメントには、コンデンサ、インダクタ、EMI除去フィルタなどが含まれます。村田製作所を代表する製品は、スマートフォン、PC、サーバー、自動車、産業機器などに幅広く搭載される積層セラミックコンデンサです。

積層セラミックコンデンサは、電子回路で電圧を安定させたり、ノイズを取り除いたり、信号を整えたりする基礎部品です。最終製品の高性能化が進むほど搭載点数が増えやすく、スマートフォンの高機能化、自動車の電装化、AIサーバーの高密度化と相性がよい領域です。

2026年3月期は、AIサーバーおよび周辺機器で電子部品の搭載数が増加し、データセンター関連需要が拡大しました。積層セラミックコンデンサはサーバー向けを中心に幅広い用途で増加し、インダクタはスマートフォンやモビリティ向け、EMI除去フィルタはサーバーやモビリティ向けで増加しました。

コンポーネント事業は、量産技術、材料技術、微細加工、生産設備、品質管理が一体となる事業です。単純な価格競争ではなく、顧客の回路設計に入り込み、必要な容量、耐電圧、小型化、信頼性、供給安定性を満たすことが重要です。

2026年3月期の受注高でも、コンポーネントは1,297,647百万円と前年同期比25.3%増加し、受注残高も311,377百万円へ増加しました。AIサーバー、モビリティ、代理店向け需要の強さが、同社の中心事業を押し上げています。

デバイス・モジュール事業・高周波、電池、センサの複合領域

デバイス・モジュール事業の外部顧客向け売上収益は、2022年3月期815,040百万円、2023年3月期760,980百万円、2024年3月期695,236百万円、2025年3月期697,165百万円、2026年3月期655,966百万円と推移しました。2026年3月期は営業損失26,491百万円、営業損失率4.0%でした。

このセグメントには、高周波モジュール、表面波フィルタ、リチウムイオン二次電池、センサなどが含まれます。スマートフォンの通信機能、無線接続、電源、センシング、自動車や産業機器の制御など、最終製品の機能そのものに近い領域を担っています。

高周波モジュールや表面波フィルタは、スマートフォンなどの無線通信機器で電波を選別し、通信品質を支える部品です。通信方式が高度化するほど技術要求は高まりますが、スマートフォン市場の数量変動や顧客の採用動向に影響を受けやすい特徴があります。

2026年3月期は、高周波モジュールや樹脂多層基板がスマートフォン向けで減少しました。さらに、表面波フィルタ製品に係る事業でのれんの減損損失を計上したことが、セグメント損益の重荷になりました。

一方で、センサや電源関連、電池関連は、モビリティ、パワーツール、産業機器、エネルギー関連市場に接点を持ちます。村田製作所は2025年にマイクロ一次電池事業の譲渡を発表しており、円筒形リチウムイオン二次電池事業へ経営資源を配分し、パワーツール市場やESS市場を主軸に競争優位性を高める方針を示しています。

デバイス・モジュール事業は、コンポーネント事業よりも用途や顧客別の収益変動が出やすい領域です。ただし、通信、電源、センサ、電池は、電子機器の高度化に欠かせない機能であり、事業ポートフォリオの再構築が進めば、再び収益貢献が高まる可能性があります。

その他事業・ソリューション、ヘルスケア、機器製作

その他事業の外部顧客向け売上収益は、2022年3月期13,182百万円、2023年3月期11,651百万円、2024年3月期11,151百万円、2025年3月期13,069百万円、2026年3月期15,156百万円と推移しました。2026年3月期は営業損失6,806百万円でした。

その他事業には、ソリューションビジネス、ヘルスケア機器、機器製作などが含まれます。全社売上に占める比率は小さいものの、電子部品単体ではなく、周辺機器、システム、アプリケーションに近い領域を扱う点が特徴です。

村田製作所は、単に部品を販売するだけでなく、顧客の製品設計や用途に合わせて、部品、モジュール、回路、評価、ソフトウェアを組み合わせた提案を行います。その他事業は、そのようなソリューション展開の受け皿にもなります。

ヘルスケア機器や機器製作は、同社のセンサ、通信、電源、制御、製造技術を応用できる領域です。現時点では全社利益への貢献は限定的ですが、コア技術の応用範囲を広げる役割があります。

2026年3月期のその他事業は売上が増加した一方で、赤字が続いています。収益規模が小さいため、固定費や開発費の影響を受けやすく、全社としてはコンポーネント事業の強い収益力が損益を支えている構図です。

用途別市場・通信、モビリティ、コンピュータが中心

2026年3月期の用途別売上は、通信向け652,957百万円、モビリティ向け474,484百万円、コンピュータ向け310,392百万円、家電向け142,694百万円、産業・その他向け250,329百万円でした。

通信向けは全社売上の35.7%を占める最大用途です。スマートフォンの販売数量、端末メーカーの在庫調整、通信規格の移行、高周波部品の採用構成が業績に影響します。2026年3月期は高周波モジュールなどがスマートフォン向けで減少し、通信向け売上は前年同期比で減少しました。

モビリティ向けは全社売上の25.9%を占めます。自動車は、xEVの成長率鈍化がある一方、AD/ADASの進展により堅調に推移しました。自動車は安全性、耐久性、供給安定性の要求が高く、採用されるまでの時間は長いものの、採用後は比較的長期の需要につながりやすい市場です。

コンピュータ向けは全社売上の16.9%ですが、2026年3月期は前年同期比28.4%増と大きく伸びました。AIサーバーや周辺機器で電子部品の搭載数が増えたことが背景で、村田製作所の成長テーマとして注目度が高まっています。

地域別では、海外売上比率が92.7%と非常に高く、中国、アジアその他、米州、欧州に広く展開しています。世界的な電子機器需要を取り込める一方、為替、通商政策、地政学リスク、顧客の生産地域変更の影響を受けやすい事業構造でもあります。

直近5年業績サマリー

業績項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期 2027年3月期
会社予想
売上高 1,812,521 1,686,796
△125,725 / △6.9%
1,640,158
△46,638 / △2.8%
1,743,352
+103,194 / +6.3%
1,830,856
+87,504 / +5.0%
1,960,000
+129,144 / +7.1%
営業損益 424,060 297,887
△126,173 / △29.8%
215,447
△82,440 / △27.7%
279,702
+64,255 / +29.8%
281,835
+2,133 / +0.8%
380,000
+98,165 / +34.8%
経常損益
(税引前利益)
432,702 314,895
△117,807 / △27.2%
239,404
△75,491 / △24.0%
304,404
+65,000 / +27.2%
308,643
+4,239 / +1.4%
390,000
+81,357 / +26.4%
当期純損益 314,124 253,690
△60,434 / △19.2%
180,838
△72,852 / △28.7%
233,818
+52,980 / +29.3%
233,920
+102 / +0.0%
293,000
+59,080 / +25.3%
EPS(一株利益) 163.65円 133.78円
△29.87 / △18.3%
95.72円
△38.06 / △28.4%
125.08円
+29.36 / +30.7%
127.66円
+2.58 / +2.1%
160.96円
+33.30 / +26.1%
PER(期末日株価ベース) 16.5倍 20.8倍 29.5倍 18.4倍 26.7倍 73.0倍
PBR(期末日株価ベース) 2.3倍 2.2倍 2.1倍 1.7倍 2.3倍
BPS 1,179.27円 1,271.73円
+92.46 / +7.8%
1,353.01円
+81.28 / +6.4%
1,385.77円
+32.76 / +2.4%
1,493.58円
+107.81 / +7.8%
純資産 2,263,912 2,402,476
+138,564 / +6.1%
2,555,609
+153,133 / +6.4%
2,579,975
+24,366 / +1.0%
2,717,810
+137,835 / +5.3%
営業CF 421,458 276,278
△145,180
489,637
+213,359
451,905
△37,732
425,222
△26,683
投資CF △212,300 △157,850
+54,450
△201,571
△43,721
△208,070
△6,499
△193,814
+14,256
財務CF △117,505 △173,708
△56,203
△165,321
+8,387
△242,733
△77,412
△221,812
+20,921
現金及び現金同等物 512,072 469,406
△42,666 / △8.3%
622,007
+152,601 / +32.5%
625,148
+3,141 / +0.5%
653,701
+28,553 / +4.6%
単位は百万円。2022年3月期および2023年3月期は米国基準、2024年3月期以降はIFRSを中心に記載しています。経常損益の行は、連結基準の違いを踏まえ税引前利益を記載しています。
2023年10月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を実施しているため、2022年3月期と2023年3月期のEPS・BPSは分割後ベースに換算しています。PER・PBRは各期末日株価ベースです。2027年3月期会社予想のPERは2026年6月18日終値11,745円と会社予想EPS160.96円を基準に算出し、会社予想BPSは未公表のためPBRは空欄です。継続企業の前提に関する注記は、2026年3月期決算短信では該当事項なしです。

中期経営計画

中期方針2027で売上収益2兆円、営業利益率18%以上、ROIC12%以上を掲げる

村田製作所は「中期方針2027」で、2030年に向けてAIがドライブするエレクトロニクスの変革を先導し、豊かな社会の実現に貢献することを掲げています。通信領域をエッジデバイスとITインフラとして再定義し、AIサーバー、データセンター、モビリティ、産業機器などの市場機会を捉える方針です。

数値目標は、売上収益2,000,000百万円、営業利益率18%以上、ROIC税引後12%以上です。2026年3月期実績は、売上収益1,830,856百万円、営業利益率15.4%、ROIC税引後9.7%であり、目標に対しては売上拡大と資本効率改善の両方が課題になります。

事業戦略では、AIサーバーによるデータセンター需要拡大、モビリティの電装化、通信機器の高機能化を成長機会とし、コンポーネントとデバイス・モジュールの両領域へ投資を続ける方針です。2026年3月期決算短信では、サーバー向けコンデンサや電源モジュール、代理店向けコンデンサの増加を見込み、2027年3月期の売上収益を前期比7.1%増の1兆9,600億円としています。

キャピタルアロケーションでは、需要拡大が見込まれる製品の生産能力増強、土地・建物への投資、戦略投資、株主還元を組み合わせています。短期的には製品価格の値下がりや固定費増加が重荷になり得ますが、生産高増加による操業度益、コストダウン、AIサーバー関連需要の取り込みが利益拡大の中心になります。

中期方針2027へ

競合他社

① TDK(6762)

TDKは電子部品大手で、2026年6月18日時点の株価は3,855円、時価総額は約7.5兆円です。2026年3月期は、売上高2兆5,048億円、営業利益2,724億円と過去最高水準の業績でした。

村田製作所とは、コンデンサ、インダクタ、センサ、電源、二次電池などで競合します。TDKはエナジー応用製品や磁気技術、センサ応用に強みを持ち、スマートフォン、PC、AIデータセンター、産業機器向け部品で村田製作所と市場が重なります。

村田製作所がMLCCを中心とするセラミック部品で強い一方、TDKは電池や磁気応用部品を含む事業ポートフォリオの広さが特徴です。AIサーバーや電源周辺部品の需要拡大局面では、両社とも電子部品需要の恩恵を受けやすい一方、顧客の設計採用や価格競争で競合します。

② 京セラ(6971)

京セラはファインセラミックスを祖業とする総合メーカーで、2026年6月18日時点の株価は3,691円、時価総額は約5.2兆円です。2026年3月期は、半導体関連部品や電子部品の需要回復、構造改革効果により収益改善が進みました。

村田製作所とは、セラミック技術を基盤にした電子部品、コンデンサ、半導体パッケージ、通信関連部品で競合します。京セラはセラミックパッケージ、ファインセラミック部品、半導体製造装置向け部材、産業向け部品に強みがあります。

村田製作所が小型・高性能な電子部品の量産とグローバル供給で強いのに対し、京セラはセラミック材料の応用範囲が広く、半導体関連部材や産業用途に強みがあります。AI関連市場の拡大は両社にとって追い風ですが、対象製品は部分的に異なります。

③ 太陽誘電(6976)

太陽誘電はコンデンサ、インダクタ、複合デバイスを扱う電子部品メーカーで、2026年6月18日時点の株価は19,860円、時価総額は約2.6兆円です。2026年3月期は売上高3,553億円、営業利益199億円と増収増益でした。

村田製作所とは、MLCCを中心とするコンデンサ領域で直接競合します。太陽誘電は自動車、情報インフラ、通信機器向けのコンデンサやインダクタで存在感があり、AIサーバーや車載電子化の需要拡大を取り込む銘柄として比較されやすい企業です。

ただし、事業規模は村田製作所の方が大きく、村田製作所はMLCC以外にも高周波、センサ、電池、EMI除去フィルタなど広い製品群を持ちます。太陽誘電はコンデンサ需要の回復局面で業績感応度が高く、村田製作所は規模とポートフォリオの厚みで優位性があります。

強みと将来性

MLCCを中心とする技術・量産・顧客基盤と、AIサーバー需要への接続

村田製作所の最大の強みは、ファンクショナルセラミックスを核に、材料、プロセス、商品設計、生産技術、品質管理を一体化している点です。電子部品は小さな部品であっても、顧客製品の性能、信頼性、安全性、消費電力、通信品質に直結します。そのため、単に製品を安く作るだけではなく、顧客の設計段階から入り込み、安定供給できることが競争力になります。

コンポーネント事業の収益力は非常に高く、2026年3月期の営業利益率は26.8%でした。全社営業利益が281,835百万円であるのに対し、コンポーネント事業だけで営業利益315,132百万円を稼いでおり、同社の利益の柱が明確です。

特にMLCCは、AIサーバー、データセンター、モビリティ、スマートフォン、産業機器など、幅広い市場で必要とされます。AIサーバーは高性能CPU、GPU、メモリ、電源回路、通信回路を高密度に搭載するため、電源安定化やノイズ対策の重要性が高まります。電子部品の搭載点数が増えるほど、村田製作所の主力製品に需要が発生しやすくなります。

2026年3月期は、AIサーバーおよび周辺機器における電子部品の搭載数増加により、データセンター関連需要が拡大しました。コンピュータ向け売上は310,392百万円で前年同期比28.4%増となり、AI関連需要が実際の業績に反映され始めています。

さらに、受注面でもコンポーネントの受注高は前年同期比25.3%増、受注残高は前年同期比79.5%増でした。これは、需要が一時的なテーマだけでなく、生産能力や供給計画に関わる実需として積み上がっていることを示す材料です。

将来性という点では、中期方針2027で掲げる売上収益2兆円、営業利益率18%以上、ROIC税引後12%以上の達成が焦点です。現状では営業利益率とROICは目標未達ですが、AIサーバー向けコンデンサや電源モジュール、モビリティ向け高信頼性部品が伸びれば、固定費吸収と利益率改善が進む可能性があります。

村田製作所は、通信、モビリティ、コンピュータ、産業機器という複数の成長市場に接点を持ちます。スマートフォン向けが弱い局面でも、AIサーバーや車載が補完し、車載が調整しても通信や産業機器が補う余地があります。この用途分散と製品群の広さは、単一市場依存の電子部品メーカーに比べた強みです。

また、海外売上比率が高く、グローバル顧客に対して供給できる体制を持つ点も重要です。電子部品は顧客の量産計画に合わせた安定供給が求められるため、技術力だけでなく、世界各地での生産、品質保証、物流、顧客対応が競争力になります。

AI、電動化、自動運転、通信高度化、データセンター投資の拡大が続く限り、同社の基礎部品は最終製品の性能向上に不可欠です。短期的な株価評価は高くなっていますが、事業面では、MLCCを中心とした高収益基盤と、AIインフラ需要の拡大が将来性の中心になります。

弱みとリスク要因

スマートフォン依存、価格下落、減損、投資負担、株価評価の高さ

村田製作所のリスクは、電子部品需要が最終製品の販売数量や顧客在庫に強く左右される点です。通信向け売上は2026年3月期でも全社売上の35.7%を占めており、スマートフォン市場の低迷、端末メーカーの在庫調整、採用部品の変更、通信規格移行の遅れが業績に影響します。

2026年3月期は、高周波モジュールや樹脂多層基板がスマートフォン向けで減少しました。MLCCやインダクタ、EMI除去フィルタがサーバーやモビリティ向けで伸びても、通信関連部品が弱ければ全社売上や利益の伸びを抑える可能性があります。

価格下落も大きなリスクです。電子部品業界では、製品の標準化が進むと顧客から値下げ圧力を受けやすくなります。2026年3月期決算短信でも、製品価格の値下がりが減益要因として示されています。生産高増加やコストダウンで吸収できる局面はありますが、需要が弱い時期には利益率が低下しやすくなります。

デバイス・モジュール事業の収益性も課題です。2026年3月期は営業損失26,491百万円となり、表面波フィルタ製品に係る事業でのれんの減損損失を計上しました。2024年3月期には円筒形リチウムイオン二次電池の設備等、2025年3月期にはMEMS慣性力センサ事業の設備等でも減損を計上しており、成長を見込んだ先行投資が需要想定と合わない場合、損益を大きく悪化させるリスクがあります。

中期方針2027ではROIC税引後12%以上を掲げていますが、2026年3月期のROIC税引後は9.7%でした。AIサーバーやモビリティ向け需要を取り込むには、生産能力増強や設備投資が必要です。しかし、投資が先行して需要が想定を下回ると、固定費負担、減価償却費、減損リスクが高まります。

さらに、2026年3月期には第三者による同社グループの一部サーバーへの不正アクセスと情報取得が公表されています。決算短信では生産や販売への影響はないとされていますが、グローバルに顧客情報、技術情報、取引情報を扱う企業であるため、サイバーセキュリティ、情報管理、サプライチェーン管理は重要なリスクです。

為替リスクも大きいです。海外売上比率は92.7%であり、円高は円換算売上や利益を押し下げる可能性があります。2026年3月期は平均為替レートが前年より円高方向に動いており、為替変動は業績の見え方に影響します。

株価面では、2026年6月18日の終値11,745円を基準に、2027年3月期会社予想EPS160.96円で見た予想PERは約73.0倍です。AIサーバー向けMLCC需要への期待が高まっている一方、利益成長が市場期待に届かない場合、バリュエーション調整が起こりやすい水準です。

村田製作所は高品質・高収益の電子部品企業ですが、電子部品業界は景気循環、顧客在庫、価格下落、設備投資、為替、技術転換の影響を受けます。AI需要が強い局面では評価が高まりやすい一方、スマートフォンやデバイス・モジュールの弱さ、減損、投資回収の遅れが出ると、業績と株価の両面でリスクが大きくなります。

出典

本ページは公開情報をもとに作成したものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。掲載情報は作成時点の情報であり、業績、株価、事業環境は変動する可能性があります。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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