指月電機製作所 6994 東証スタンダード
フィルムコンデンサ首位 ─ 三菱電機系・村田製作所と資本業務提携、車載用高耐熱フィルムコンデンサ首位
事業内容 ─ フィルムコンデンサ専業メーカー
指月電機製作所(略称:SEC)は1925年(大正14年)創業の老舗コンデンサメーカー。本社は兵庫県西宮市大社町10番45号。フィルムコンデンサを中核とし、関連商品の製造販売を行っています。連結子会社7社(秋田指月㈱、九州指月㈱、岡山指月㈱等)、持分法適用関連会社1社で構成。連結従業員1,209名。三菱電機グループの一角を担い、三菱電機(保有比率27.64%・筆頭株主)と村田製作所(同17.7%・第2位株主)の2社で発行済株式の約45%を保有する三菱電機系の電子部品メーカー。主要顧客はTMEIC、東芝三菱電機産業システム、三菱電機。大型コンデンサーに強みを持ち、車載用高耐熱フィルムコンデンサで首位の位置を確保。コンデンサ及び関連商品の開発・製造・販売を通して培った省エネルギー・電力品質改善の技術とノウハウを活用し、「省エネ」「安定操業」など市場要請に応える電力機器システム商品等の生産販売も展開しています。
主要事業セグメント
コンデンサ・モジュール事業(主力)
フィルムコンデンサを中核とする主力事業。連結子会社の秋田指月㈱、九州指月㈱、岡山指月㈱が製造し、主に当社が仕入れ販売する体制。車載用高耐熱フィルムコンデンサで国内首位、ハイブリッド自動車・xEV(電動車)向けコンデンサに強み。AIサーバー・データセンター向けフィルムコンデンサ需要拡大の恩恵を享受する位置付け。第Ⅲ期中期経営計画では、xEV事業と産業機器事業を統合し、持続的な成長が見込める市場に注力する方針。
電力機器システム事業
コンデンサ及び関連商品の開発・製造・販売を通じて培った省エネルギー、電力品質改善の技術・ノウハウを活用した電力機器システム商品の生産販売。鉄道用、力率改善装置などが堅調。2026年3月期は電力機器システム事業が好調で、売上高・営業利益とも過去最高更新の主要因となった。脱炭素社会に向けたエネルギーミックスの変化や電力ネットワークの次世代化、次世代パワー半導体の適用が加速する中、コンデンサとパワエレ装置の機能統合により、エネルギーマネジメント領域での革新的なソリューションビジネス確立を目指している。
車載用高耐熱フィルムコンデンサ(業界首位)
車載用高耐熱フィルムコンデンサで首位ポジション。ハイブリッド自動車(HEV)・電気自動車(xEV)向けの高耐熱・高信頼性コンデンサで圧倒的シェアを保有。2023年度はxEV用の急激な規模減により操業度が悪化し利益目標未達となったが、xEV市場の中長期成長は継続。
AIサーバー・データセンター向けフィルムコンデンサ
AIデータセンター・パワーエレクトロニクス分野でのフィルムコンデンサ需要拡大の恩恵を享受。電力需要の増加が見込まれる中、人的・物的資源の有効活用と製品競争力・企業価値の向上を進める方針。AIサーバー向けMLCC関連株一斉急騰の地合いで、コンデンサメーカーの一角として2026年5月の株価急騰の対象となった。
三菱電機グループの一角
三菱電機が筆頭株主(保有比率27.64%)として保有し、三菱電機グループの電子部品メーカーとしての位置付け。村田製作所とも資本業務提携(保有比率17.7%・第2位株主)し、両社で約45%の安定株主構造。2025年2月18日、三菱電機がコンデンサ関連機器の販売終了に伴い、代替品として指月電機製作所製を推奨することが報じられた。グループ内の補完関係が業績の下支えとなる構造。
直近5年の業績サマリー
2026年3月期は売上高279億9,500万円(前期比+2.4%)、営業利益25億2,900万円(同+27.1%)と過去最高更新を達成。電力機器システム事業が好調で、売上高・各利益項目とも4年連続で最高更新を継続中です。2027年3月期会社予想は売上高・営業利益のさらなる増収増益を見込んでいるものの、中東情勢や為替の不安定化など不透明要因が残る前提。長期経営ビジョン(2019年度起点・最終年度2028年度)に基づく中期経営計画第Ⅲ期(2025~2028年度)「融合からシナジーへ」を実行中で、コンデンサとパワエレ装置の技術融合による次期中期経営計画での事業化を目指しています。
| 項目(連結・百万円) | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 2027年3月期 会社予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | ― | ― | 26,305 | 27,347 +4.0% |
27,995 +2.4% |
増収予想 |
| 営業損益 | ― | ― | 1,098 | 1,991 +81.2% |
2,529 +27.1% |
増益予想 |
| 経常損益 | ― | ― | 1,121 | 1,797 +60.4% |
― | ― |
| 当期純損益 | ― | ― | 182 | 1,195 +555.9% |
― | ― |
| EPS(一株利益) | ― | ― | 7.20円 | 47.30円 | ― | 71.27円 |
| 決算発表時株価 (参考) |
― | ― | 1,069円 | 1,196円 | ― | ― |
| 実績PER | ― | ― | 148.5倍 | 25.28倍 | ― | ― |
| 予想PER | ― | ― | ― | ― | ― | 16.78倍 |
| PBR | ― | ― | 1.10倍 | 1.22倍 | ― | ― |
| PSR | ― | ― | 1.34倍 | 1.45倍 | ― | ― |
本ページに掲載している業績数値は、各社が公表する決算短信を一次情報として作成しています。 2026年3月期売上高・営業利益は会社発表のAI要約に基づきます。 数値は決算短信発表時点のものであり、将来的に修正される可能性があります。 業績予想は会社発表時点のものであり、実績と異なる場合があります。 PER・PBR・PSRは決算発表日の終値で算出した参考値です。 正確な情報は各社公式IRサイトを必ずご確認ください。
業績のポイント
2026年3月期は売上高279.95億円(+2.4%)・営業利益25.29億円(+27.1%)と過去最高更新を達成。電力機器システム事業が好調で、売上高は4年連続で過去最高を更新中。2025年3月期実績では営業利益+81.2%、経常利益+60.4%、当期純利益+555.9%と各利益項目で急回復を達成。フィルムコンデンサ首位の地位を活かしつつ、電力機器システム事業の業績寄与が顕在化している。三菱電機系(27.64%)+村田製作所(17.7%)の安定株主構造、自己資本比率61.79%の財務健全性も投資家評価のポイント。AIサーバー向けフィルムコンデンサ需要拡大の恩恵を享受する位置付けで、コンデンサ関連株一斉急騰の地合いで連れ高物色対象となった。
長期経営ビジョン+中期経営計画第Ⅲ期(2025~2028年度)「融合からシナジーへ」
同社は2019年度を起点とし、10年後の2028年度を最終年度とする長期経営ビジョンを策定し、中期経営計画を3期に分けて策定・展開しています。第Ⅲ期(2025~2028年度)では「融合からシナジーへ」をテーマに掲げ、コンデンサ製品を軸に事業間の相互補完を進め、コンデンサとパワエレ装置の技術融合による革新的なソリューションの構築を目指しています。長期経営ビジョンは、若手・中堅従業員を含むワーキングチームが中心となって策定され、10年後のあるべき姿を描いています。
長期経営ビジョン(2019年度~2028年度)
- 起点:2019年度
- 最終年度:2028年度
- 策定主体:若手・中堅従業員を含むワーキングチーム
- 10年後のあるべき姿を描く
- 中期経営計画3期に分けて展開(第Ⅰ期:2019-2021、第Ⅱ期:2022-2024、第Ⅲ期:2025-2028)
第Ⅲ期中期経営計画(2025~2028年度)テーマ
- 「融合からシナジーへ」
- コンデンサ製品を軸に事業間の相互補完を推進
- コンデンサとパワエレ装置の技術融合
- 革新的なソリューションビジネスの確立
- 次期中期経営計画における事業化を目指す
事業ポートフォリオ戦略
- xEV市場・産業市場の技術力向上
- コンデンサ・モジュール事業:xEV事業と産業機器事業を統合し、持続的な成長が見込める市場に注力
- 電力機器システム:エネルギーマネジメントにおける革新的なソリューションビジネス確立
- 脱炭素社会に向けたエネルギーミックスの変化・電力ネットワーク次世代化への対応
- 次世代パワー半導体の適用加速への対応
運営体制
- 各事業における中期経営計画の達成に必要な運営体制と生産体制を確保
- 環境変化に対応可能な強靭な経営体質の構築
- 組織間の連携と能力向上による競争力強化
株主還元
- 2026年3月期配当:21円(配当利回り1.76%)
- 2023年に自社株買い35億9,910万円実施
強みと注目点
① フィルムコンデンサ国内首位
フィルムコンデンサ専業メーカーとして国内首位のポジションを確立。大型コンデンサに強みを持ち、長年蓄積した技術力・品質管理力が競争優位の源泉。三菱電機がコンデンサ関連機器の販売終了に伴い、代替品として指月電機製作所製を推奨することが2025年2月に報じられたように、業界内での信頼性が高い。
② 車載用高耐熱フィルムコンデンサ首位
車載用高耐熱フィルムコンデンサで国内首位の地位。ハイブリッド自動車(HEV)・電気自動車(xEV)向けの高耐熱・高信頼性コンデンサで圧倒的シェアを保有。電動化の中長期トレンドに沿った成長機会を確保している。
③ 三菱電機系(27.64%)+村田製作所(17.7%)の安定株主構造
筆頭株主の三菱電機(保有比率27.64%)と第2位株主の村田製作所(同17.7%)の2社で発行済株式の約45%を保有。三菱電機系の電子部品メーカーとしてグループ内補完関係を持ちつつ、村田製作所との資本業務提携でMLCC本体メーカーとの戦略的シナジーも享受できる構造。極めて安定的な株主構成。
④ 自己資本比率61.79%の財務健全性
自己資本比率61.79%(2025年3月期末)と高水準の財務健全性を維持。2023年に自社株買い35.99億円を実施し、株主還元と財務効率改善を両立。借入金等の返済予定額は2年以内230万円、3年以内50億230万円と短期返済負担は限定的で、財務的余裕がある。
⑤ AIサーバー・データセンター向けフィルムコンデンサ需要
AIデータセンター・パワーエレクトロニクス分野でのフィルムコンデンサ需要拡大の恩恵を享受する位置付け。電力需要の増加が見込まれる中、AI関連電子部品株として2026年5月のMLCC関連株一斉急騰の地合いで物色対象となった。
弱み・リスク要因
有価証券報告書および中期経営計画資料から判明している同社の事業上の課題・リスクは以下のとおりです。
① xEV市場の急減リスク
2023年度(第Ⅱ期中期経営計画2年目)はxEV用の急激な規模減により操業度が悪化し、利益面で目標未達となった経緯がある。同社が公式に認識しているリスクで、xEV市場の需要変動が業績に直結する構造。受注・売上が好調に推移したにもかかわらず、利益目標に届かなかった事例があり、特定市場の急減リスクが残存している。
② 業績ボラティリティの大きさ
2024年3月期当期純利益182百万円→2025年3月期1,195百万円(+555.9%)と急回復した経緯のとおり、業績の振れ幅が大きい。フィルムコンデンサ事業は需要動向・操業度・原材料価格変動の影響を受けやすく、業績の安定性に課題。過去には実績PER148.5倍(2024年3月期発表時)まで利益が圧迫された期もある。
③ 特定顧客(三菱電機系)依存リスク
主要顧客はTMEIC、東芝三菱電機産業システム、三菱電機と、三菱電機系企業への依存度が高い構造。三菱電機グループの一角として安定的な受注基盤を持つ一方、グループ全体の事業環境変化が同社業績に直接影響する構造的リスクが存在する。
④ 中東情勢・為替リスク
同社が決算短信で言及しているとおり、翌期は電力需要の増加が見込まれる一方、中東情勢の影響や為替の不安定化など不透明要因が残る前提。海外市場(アジア・北米等)への展開もあり、地政学リスク・為替変動リスクが業績に影響する。
⑤ 市場規模の限定性
時価総額約395億円の中小型株で、フィルムコンデンサ専業メーカーとしての事業規模は限定的。連結売上高約280億円規模の中で、AI関連需要拡大の恩恵を取り込むには相応の設備投資・人的資源投入が必要となる。事業環境の急変等に対するバッファーが小型化学・電子部品メーカー一般と同様に限定的。
⑥ 有利子負債88億円(3年以内返済50億円)
有利子負債は88億円(2025年3月期末)。借入金等の返済予定額のうち、3年以内に50億230万円の返済が必要で、財務面の機動性が一部制約される。自己資本比率61.79%と健全性は維持しているものの、設備投資・成長投資余力との両立が経営課題。
- 株式会社指月電機製作所 IR情報
- 株式会社指月電機製作所「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年5月15日開示)
- 株式会社指月電機製作所「2025年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」(2025年5月15日開示)
- 株式会社指月電機製作所「2025年3月期 有価証券報告書」
- 株式会社指月電機製作所「新中期経営計画について」(2025年3月7日発表)
- 株式会社指月電機製作所「2026年3月期 通期連結業績予想値の修正および配当予想の修正(増配)に関するお知らせ」(2026年2月5日開示)
本ページは投資情報の提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。

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