オンコリスバイオファーマ 4588 東証グロース
岡山大学発の創薬バイオベンチャー ─ がんウイルス療法「テロメライシン」承認申請完了、製薬会社型モデルへの転換期
事業内容
オンコリスバイオファーマは、2004年5月18日に設立された岡山大学発の創薬バイオベンチャー。「がんを切らずに治す」「未来のがん治療にパワーを与えよう(Powering Future Oncotherapy)」を標榜し、ウイルス学を技術基盤としたがん治療薬・重症ウイルス感染症治療薬の研究開発を展開しています。2025年12月15日に主力パイプライン「テロメライシン®(OBP-301)」の製造販売承認申請を完了し、創薬ベンチャー企業から製薬企業への転換期を迎えています。
主要パイプライン
テロメライシン®(OBP-301)─ 主力パイプライン
腫瘍溶解ウイルス療法。がん細胞のテロメラーゼ活性を利用してがん細胞内でのみ増殖し、がん細胞を破壊するアデノウイルス製剤。台湾メディジェン社と共同で研究開発・製造。2025年12月15日に食道がん局所治療薬として国内製造販売承認申請を完了。承認されれば食道がん局所治療薬として世界初の医薬品、アデノウイルスを用いた腫瘍溶解ウイルスとして市場に出る第一号となる見込み。富士フイルム富山化学との販売提携契約済み。
OBP-601(Censavudine)─ LINE-1阻害剤
米Yale大学から導入したLINE-1阻害剤。当初HIV感染症治療薬として開発されたが、現在は神経変性疾患領域へ展開。米Transposon Therapeutics社へライセンス供与し、契約一時金・マイルストーン収入を獲得。直近ではアイカルディ・ゴーディエ症候群を対象としたPhase2a臨床試験の投与を開始、アルツハイマー病領域への展開も期待されている。
OBP-702 ─ 次世代腫瘍溶解ウイルス
テロメライシンの次世代品。2026年に初めて人に投与する臨床試験を開始予定。テロメライシンで獲得したノウハウを活用し、適応がんの拡大を狙う。
テロメスキャン(OBP-401)
「見えないがんを可視化する」コンセプトのウイルス検査薬。販売中製品。NEDOの分子イメージング機器研究開発プロジェクトに採択された開発実績を持つ。
直近3年の業績サマリー
創薬バイオ企業として研究開発先行型の事業展開で、業績はライセンス契約一時金・マイルストーン収入の有無で大きく変動する構造。2023年12月期は売上6,300万円、経常損失19.14億円・当期純損失19.39億円。2024年12月期は売上3,138万円(前期比-50.2%減)と減収ながら経常損失16.64億円・純損失16.85億円と赤字縮小。2025年12月期は売上2,800万円、営業損失20.24億円・経常損失20.51億円(前期比-23.3%減益)・当期純損失20.58億円と赤字再拡大、研究開発費が3.8億円強増加。12月15日のOBP-301承認申請に向けた最終投資段階。2026年12月期の業績予想は「マイルストーン収入の有無で変動するため適正な算出が困難」として非開示。
| 項目(連結・百万円) | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 | 2022年12月期 会社予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 642 | 976 +52.0% |
63 △93.5% |
31 △50.8% |
28 △9.7% |
1,000 |
| 営業損益 | △1,454 | △1,204 赤字縮小 |
△1,929 赤字拡大 |
△1,681 赤字縮小 |
△2,024 赤字拡大 |
△1,600 |
| 経常損益 | △1,500 | △1,163 赤字縮小 |
△1,913 赤字拡大 |
△1,663 赤字縮小 |
△2,051 赤字拡大 |
△1,600 |
| 当期純損益 | △1,615 | △1,148 赤字縮小 |
△1,938 赤字拡大 |
△1,684 赤字縮小 |
△2,058 赤字拡大 |
△1,600 |
| EPS(一株利益) | △95.50円 | △66.31円 | △108.92円 | △77.17円 | △80.00円 | △94.59円 |
| 決算発表時株価 (参考) |
550円 | 559円 | 519円 | 570円 | 1,873円 | ― |
| 実績PER | -5.76倍 | -8.43倍 | -4.76倍 | -7.39倍 | -23.41倍 | ― |
| 予想PER | ― | ― | ― | ― | ― | -19.80倍 |
| PBR | 2.66倍 | 4.50倍 | 6.98倍 | 5.16倍 | 13.73倍 | ― |
| PSR | 14.49倍 | 9.92倍 | 146.62倍 | 401.41倍 | 1,720.87倍 | ― |
本ページに掲載している業績数値は、各社が公表する決算短信を一次情報として作成しています。 数値は決算短信発表時点のものであり、将来的に修正される可能性があります。 業績予想は会社発表時点のものであり、実績と異なる場合があります。 PER・PBR・PSRは決算発表日の終値で算出した参考値です。 正確な情報は各社公式IRサイトを必ずご確認ください。
業績のポイント
2025年12月期決算(2026年2月6日発表):売上高2,800万円、営業損失20.24億円、経常損失20.51億円(前期比-23.3%減益、赤字拡大)、当期純損失20.58億円。12月にOBP-301の承認申請を行ったため、研究開発費が3.8億円強増加し、損失が拡大。営業キャッシュ・フローはマイナス19.4億円。一方、2025年に行った資金調達が想定調達額を上回り、富士フイルム富山化学から前受金1.1億円を受領。純資産は2024年12月末から12.47億円増加、自己資本比率は85.8%(2024年12月末時点)と高水準を維持し、財務基盤は強化。創業22年の集大成を迎えており、2026年12月期はOBP-301の承認・発売、OBP-601のPhase3進展とアルツハイマー試験開始に注目。
中期経営計画・成長戦略
同社は「ライセンス型事業モデルと製薬会社型事業モデルのハイブリッド」を明示的な事業戦略として打ち出し、創薬ベンチャー企業から製薬企業への転換を進めています。明示的な数値目標を含む中期経営計画は業績予想自体が非開示のため公表していませんが、執行役員体制による事業展開ロードマップを開示しています。
事業モデル戦略
従来のライセンス型事業モデル(契約一時金・マイルストーン・ロイヤリティ収入)に加えて、自社で製造販売承認を得る「製薬会社型事業モデル」をハイブリッドで展開する方針。2020年6月のTransposon社とのOBP-601ライセンス契約締結、2025年3月のOBP-301の先駆け総合評価相談開始、2025年12月15日の承認申請完了でハイブリッドモデルを具体化。
2026年の重点活動
- テロメライシン(OBP-301):承認取得・上市・販売開始に全力投球、新たな効能を獲得するための効能拡大試験の実施
- OBP-702:次世代腫瘍溶解ウイルスを初めて人に投与する臨床試験を開始予定
- OBP-601:Transposon社経由でPhase3進展、アルツハイマー病領域への展開
- 富士フイルム富山化学との販売提携体制の構築強化
- 承認・販売後の物流体制の整備
マネジメント体制
- 各界のエキスパートを選りすぐった執行役員体制を構築
- メディカルサイエンス担当執行役員・CSO(吹野晃一氏)等を中心に研究開発計画の立案、開発試験の実施、規制当局との議論を推進
- 創業者・浦田泰生社長(京都薬科大学修士卒、小野薬品工業・日本たばこ産業勤務経験)が引き続き実行に関与
業績見通しに関する方針
- 業績はマイルストーン収入の有無により大きく変動するため、適正かつ合理的な数値算出が困難と判断
- 2025年12月期、2026年12月期とも通期業績予想を非開示
- 第2四半期業績予想も同様に非開示
強みと注目点
① 食道がん局所治療薬としての世界初の可能性
テロメライシン(OBP-301)が承認されれば、食道がん局所治療薬として世界初の医薬品、かつアデノウイルスを用いた腫瘍溶解ウイルスとして市場に出る第一号となる見込み。技術的・市場的にユニークなポジションを確保。
② 創業22年の研究開発実績
2004年の創業以来、22年間にわたりOBP-301(テロメライシン)の開発に邁進してきた研究開発実績。岡山大学藤原俊義教授との共同創業で、学術界との連携も深い。
③ 富士フイルム富山化学との販売提携
大手製薬企業の販売チャネル・営業基盤を活用できる体制を構築済み。承認後の販売・供給準備が進行中。前受金1.1億円も2025年に受領。
④ ハイブリッド事業モデル
ライセンス型(Transposon社へのOBP-601ライセンス供与など)と製薬会社型(OBP-301の自社承認取得)のハイブリッド展開により、収益源の多様化を進めている。
⑤ 改善した財務基盤
2025年の増資が想定額を上回ったことで純資産が12.47億円増加、自己資本比率85.8%まで改善。当面の研究開発・商業化に必要な資金基盤は確保されている状況。
弱み・リスク要因
① 営業赤字の継続と未安定収益
2023年12月期 経常損失19.14億円・純損失19.39億円、2024年12月期 経常損失16.64億円・純損失16.85億円(赤字縮小)、2025年12月期 経常損失20.51億円・純損失20.58億円(赤字再拡大)と毎期大幅な赤字を計上。安定的な収益基盤がなく、創薬ベンチャー特有のキャッシュバーン構造が継続。
② 業績予想が非開示
2025年12月期・2026年12月期ともに業績予想を非開示とする方針。マイルストーン収入の有無で売上が大きく変動する構造のため、投資家にとっての業績見通しの透明性が低い。
③ 承認取得の不確実性
2025年12月15日に承認申請を完了したが、承認取得の時期・条件・適応範囲は規制当局の判断次第。万一承認が下りない、または条件付き承認に留まる場合、株価・業績への影響が極めて大きい。
④ 単一パイプラインへの依存リスク
テロメライシン(OBP-301)に経営資源と市場期待が集中。OBP-301の承認・販売の遅延・失敗、または競合品の登場により、企業価値が大きく毀損するリスク。
⑤ 株式希薄化リスク
研究開発投資を継続する中、第三者割当による新株予約権発行などの資金調達を繰り返してきた経緯。今後も増資による株式希薄化リスクが続く。
会社概要
| 社名 | オンコリスバイオファーマ株式会社(Oncolys BioPharma Inc.) |
|---|---|
| 設立 | 2004年5月18日 |
| 創業者 | 浦田 泰生(京都薬科大学修士卒、小野薬品工業・日本たばこ産業勤務経験)、藤原 俊義(岡山大学教授) |
| 代表取締役社長 | 浦田 泰生 |
| 本社所在地 | 東京都港区虎ノ門4-1-28 虎ノ門タワーズオフィス10階 |
| 電話番号 | 03-5472-1578(代表) |
| 資本金 | 27億4,400万円 |
| 事業内容 | がんウイルス療法および重症ウイルス感染症治療薬の研究開発・事業化、検査薬の販売 |
| 上場市場 | 東証グロース(2013年12月6日 東証マザーズ上場) |
| 決算月 | 12月 |
| 研究拠点 | 京都研究センター(京都府京都市) |
| 主要技術基盤 | ウイルス学(腫瘍溶解ウイルス、LINE-1阻害剤等) |
| 主要顧客・パートナー | Transposon Therapeutics(米国)、岡山大学、富士フイルム富山化学、メディジェン(台湾) |
| 株主総会開催月 | 2026年3月24日 |
沿革 ─ 創業からの歩み
- 2004年5月18日腫瘍溶解ウイルスの研究開発及び分子標的抗腫瘍薬の研究開発を目的に、浦田泰生氏と岡山大学・藤原俊義教授によって「オンコリスバイオファーマ株式会社」を東京都港区に設立
- 2005年テロメスキャン(OBP-401)が、NEDOの平成17年度「分子イメージング機器研究開発プロジェクト」の助成事業に採択
- 2006年米国食品医薬品局(FDA)へテロメライシン®(OBP-301)の治験申請(IND)を実施
- 2007年頃Yale大学(米国)と新規HIV感染症治療薬の全世界における独占的ライセンス導入契約を締結し、OBP-601(Censavudine)として研究・開発に着手
- 2013年12月6日東京証券取引所マザーズ市場へ新規上場(証券コード4588)
- 2019年厚生労働省「先駆け審査指定制度」の対象品目にテロメライシンが指定
- 2020年6月Transposon社とOBP-601のライセンス契約を締結(ライセンス型事業モデルの具体化)
- 2022年4月東証の市場区分見直しによりグロース市場へ移行
- 2023年12月期売上高6,300万円、経常損失19.14億円・当期純損失19.39億円
- 2024年12月期売上高3,138万円(前期比-50.2%減)、営業損失16.81億円、経常損失16.64億円、当期純損失16.85億円。赤字縮小、富士フイルム富山化学との販売提携契約締結
- 2025年12月期売上高2,800万円、営業損失20.24億円、経常損失20.51億円(前期比-23.3%減益)、当期純損失20.58億円。12月にOBP-301承認申請完了に伴う研究開発費+3.8億円強増加で赤字再拡大
- 2025年3月国内承認申請に向けたOBP-301の先駆け総合評価相談を開始(製薬会社型事業モデルの具体化)
- 2025年12月15日テロメライシン(OBP-301)の食道がんを対象とした国内製造販売承認申請を完了
- 2026年テロメライシン承認取得・上市に全力投球、OBP-702の初の人体投与臨床試験開始予定、OBP-601のアルツハイマー試験開始準備
- 2026年5月22日米CHIPS法・エヌビディア決算追い風のバイオテック物色テーマでストップ高
- オンコリスバイオファーマ株式会社 公式サイト
- オンコリスバイオファーマ 会社沿革
- オンコリスバイオファーマ株式会社「2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)」(2026年2月6日開示)
- オンコリスバイオファーマ株式会社「2024年12月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)」(2025年2月13日開示)
- オンコリスバイオファーマ株式会社「2023年12月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)」
- オンコリスバイオファーマ株式会社「2024年12月期 決算説明会資料」(2025年2月7日)
- オンコリスバイオファーマ株式会社「2025年12月期 決算説明会資料」(2026年2月)
- オンコリスバイオファーマ株式会社「OBP-301の製造販売承認申請に関するお知らせ」(2025年12月15日)
- オンコリスバイオファーマ株式会社 有価証券報告書
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