2484 出前館
出前館事業
事業内容
出前館事業は、全国47都道府県でデリバリー総合サイト/アプリ「出前館」を運営し、10万店以上の加盟店とユーザーをつなぐプラットフォームです。加盟店自身が配達するモデルに加え、配達機能を持たない店舗には出前館の配達網を利用するシェアリングデリバリーを提供しています。フードを中心に日用品・飲料などのクイックコマースへ対象を広げ、注文・決済・配達マッチングを一体化したラストワンマイルサービスを展開しています。収益は加盟店向けサービス利用料や配達代行手数料などが中心で、アプリの利便性、価格競争力、加盟店網、配達効率の改善が事業成長と採算性を左右します。
通信販売事業は2022年6月30日に譲渡され、2023年8月期から「出前館事業」の単一セグメントです。2021・2022年8月期の利益は開示セグメント利益(減価償却費を考慮しない営業利益ベース=EBITDA)。2023年8月期以降はセグメント利益非開示のため連結営業損益を参考表示しています。
直近5年業績サマリー
| 業績項目 | 2021年8月期 | 2022年8月期 | 2023年8月期 | 2024年8月期 | 2025年8月期 | 2026年8月期 通期予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 (百万円) | 28,954 | 47,314 +18,360 / +63.4% | 51,416 +4,102 / +8.7% | 50,411 △1,005 / △2.0% | 39,721 △10,690 / △21.2% | 39,200 △521 / △1.3% |
| 営業損益 (百万円) | -19,157 | -36,442 △17,285 / △90.2% | -12,259 +24,183 / +66.4% | -5,991 +6,268 / +51.1% | -4,923 +1,068 / +17.8% | -7,900 △2,977 / △60.5% |
| 経常損益 (百万円) | -19,148 | -36,595 △17,447 / △91.1% | -12,122 +24,473 / +66.9% | -5,853 +6,269 / +51.7% | -4,968 +885 / +15.1% | -7,800 △2,832 / △57.0% |
| 当期純利益 (百万円) | -21,869 | -36,218 △14,349 / △65.6% | -12,154 +24,064 / +66.4% | -3,705 +8,449 / +69.5% | -4,971 △1,266 / △34.2% | -7,800 △2,829 / △56.9% |
| EPS (円) | -265.99円 | -284.24円 △18.25 / △6.9% | -92.25円 +191.99 / +67.5% | -28.19円 +64.06 / +69.4% | -43.62円 △15.43 / △54.7% | -70.01円 △26.39 / △60.5% |
| 一株配当金 (円) | 0.00円 | 0.00円 ±0.00 / 0.0% | 0.00円 ±0.00 / 0.0% | 0.00円 ±0.00 / 0.0% | 0.00円 ±0.00 / 0.0% | 0.00円 ±0.00 / 0.0% |
| 純資産 (百万円) | 6,875 | 54,225 +47,350 / +688.7% | 42,340 △11,885 / △21.9% | 36,548 △5,792 / △13.7% | 28,625 △7,923 / △21.7% | — |
| 営業CF (百万円) | -16,419 | -39,986 △23,567 / △143.5% | -12,290 +27,696 / +69.3% | -4,582 +7,708 / +62.7% | -4,970 △388 / △8.5% | — |
| 投資CF (百万円) | -2,346 | 50 +2,396 / +102.1% | -64 △114 / △228.0% | 2,187 +2,251 / +3517.2% | -2 △2,189 / △100.1% | — |
| 財務CF (百万円) | -3 | 83,001 +83,004 / +2766800.0% | 0 △83,001 / △100.0% | -3,999 △3,999 / — | -1,002 +2,997 / +74.9% | — |
| フリーCF (百万円) | -18,765 | -39,936 △21,171 / △112.8% | -12,354 +27,582 / +69.1% | -2,395 +9,959 / +80.6% | -4,972 △2,577 / △107.6% | — |
1.会社予想と実績
2021年8月期から2025年8月期は期初の通期会社予想と通期実績を比較し、2026年8月期は2026年7月15日修正後の最新通期予想と第3四半期累計を掲載しています。
| 指標 | 2021年8月期 | 2022年8月期 | 2023年8月期 | 2024年8月期 | 2025年8月期 | 2026年8月期 | ||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 予想 | 実績 | 達成率 | 予想 | 実績 | 達成率 | 予想 | 実績 | 達成率 | 予想 | 実績 | 達成率 | 予想 | 実績 | 達成率 | 予想 | 実績 | 達成率 | |
| 売上高 (百万円) | 28,000 | 28,954 | 103.4% | — | 47,314 | — | 60,000 | 51,416 | 85.7% | 56,000 | 50,411 | 90.0% | 53,000 | 39,721 | 74.9% | 39,200 | 28,290(Q3累計) | 単純進捗 72.2% |
| 営業利益 (百万円) | △13,000 | △19,157 | 52.6% | △52,500 | △36,442 | 130.6% | △20,000 | △12,259 | 138.7% | △8,000 | △5,991 | 125.1% | 1 | △4,923 | 0.0% | △7,900 | △6,370(Q3累計) | 単純進捗 80.6% |
| 経常利益 (百万円) | △13,000 | △19,148 | 52.7% | — | △36,595 | — | — | △12,122 | — | △7,960 | △5,853 | 126.5% | 13 | △4,968 | 0.0% | △7,800 | △6,331(Q3累計) | 単純進捗 81.2% |
| 親会社株主帰属純利益 (百万円) | △13,000 | △21,869 | 31.8% | — | △36,218 | — | — | △12,154 | — | △7,981 | △3,705 | 153.6% | 1 | △4,971 | 0.0% | △7,800 | △6,339(Q3累計) | 単純進捗 81.3% |
| EPS (円) | △158.12 | △265.99 | 31.8% | — | △284.24 | — | — | △92.25 | — | △60.36 | △28.19 | 153.3% | 0.01 | △43.62 | 0.0% | △70.01 | △56.89(Q3累計) | 単純進捗 81.3% |
レンジ予想は中央値を使用しています。赤字予想の達成率は「100%+(予想損失額-実績損失額)÷予想損失額×100」で、100%以上は予想以上の赤字縮小を示します。黒字予想に対して赤字となった場合は0.0%表示です。2026年8月期は通期実績未発表のため、Q3累計÷最新通期予想の単純進捗率です。
2.達成・未達理由
売上高は期初予想280億円を上回りました。一方、シェアリングデリバリーの全国展開、加盟店・ユーザー獲得、テレビCMや各種キャンペーンなどを積極化した結果、投資負担が想定を上回り、営業・経常・純利益・EPSは期初予想を大幅に下回りました。実績は2021年12月28日の訂正後数値を使用しています。
期初の営業損失予想は500~550億円で、中央値525億円に対し実績は364億円の損失まで改善しました。市場状況を見ながら広告宣伝費を効率重視で機動運用し、配送システム刷新によるマッチング改善や1件当たり配送報酬の最適化も進展しました。一方、期初時点では売上高以下4指標の予想は開示されていません。
期初の売上高レンジ580~620億円は中央値600億円を使用し、実績514億円は未達でした。一方、売上原価の適正化と投資対効果を重視した広告施策が進み、営業損失は期初レンジ190~210億円の中央値200億円に対して123億円まで縮小しました。
売上高は560億円予想に対し504億円で未達でしたが、売上原価の適正化で売上総利益率が20.4%から23.0%へ改善し、ROI重視の広告投資も継続したことで営業・経常損失は期初予想より縮小しました。純損失は投資有価証券売却益21億円も寄与し、期初予想を大きく上回りました。
期初は売上530億円・各利益の黒字化を見込みましたが、実績は売上397億円、営業損失49億円となりました。第2四半期から付与型クーポンを売上高から控除する会計処理へ変更した影響があるものの、固定費適正化とROI重視のマーケティングを続けても需要回復が期初想定に届かず、黒字化には至りませんでした。
第3四半期までのオーダー数とGMVが期初想定を下回ったため、通期予想は売上441億円から392億円、営業損失40億円から79億円へ下方修正されました。一方、Q3単体ではオーダー・アクティブユーザー・売上が前年同期比で成長へ戻り、会社はQ3を投資のピーク、Q4を増収・収益性改善局面とみています。
3.事業セグメントの自信度
2022年6月30日に通信販売事業を譲渡し、2023年8月期から「出前館事業」の単一セグメントです。各年度カード内の原文と業績変化から、会社の自信度を推理しています。
出前館事業
中期経営計画に沿った拡大が順調に進みました。
GMV・利用者・加盟店・配達エリアが拡大し、成長投資に自信。
業界におけるリーディングポジションの獲得にまた一歩前進する結果となりました。
市場シェアとサービス改善を前向きに評価。
売上原価の適正化は順調に進み、広告宣伝費についてもマーケットのトレンドを注視しながら、投資対効果を重視した施策を行っています。
成長一辺倒から採算・投資効率重視へ軸足を移行。
売上原価の適正化は順調に進み、売上総利益率は23.0%(前期は20.4%)と改善が進みました。
粗利改善が数値で進み、収益構造への自信が強まる。
固定費の適正化や、マーケットトレンドや投資対効果を重視したマーケティング投資を継続しております。
黒字化未達の中、守りと成長投資のバランスを重視。
オーダー数やGMVが期初想定より下回る見込みのため、売上高を392億円、営業利益を△79億円に修正いたします。
期初計画を下方修正。ただしQ3単体のトップラインは回復。
通期予想を下方修正したため期初計画に対する自信度は低下しています。一方、Q3単体ではオーダー・アクティブユーザー・売上が前年同期比で再成長しており、Q4の採算回復が確認できれば自信度が戻る余地があります。
4.最新予想信頼度
2026年8月期の最新修正予想は、Q3実績を織り込んだ7月15日時点の見通しです。Q3累計から通期予想に到達するためQ4に必要なのは、売上約109.1億円、営業損失約15.3億円で、会社の決算説明資料が示すQ4予想の売上約109億円・営業損失約15億円とほぼ同水準です。
上記は第3四半期累計÷最新通期予想による単純進捗率です。赤字項目は損失額の消化率であり、季節性や利益計上時期を考慮していません。
達成できるだろうと判断する理由
- 最新予想はQ3実績を受けて修正された直後の計画で、残りはQ4のみです。
- Q4に必要な売上109.1億円・営業損失15.3億円は、会社が説明資料で示すQ4見通しとほぼ一致しています。
- Q3単体のオーダーは前年同期比108%、四半期アクティブユーザーは102%、売上は111%とトップラインが再成長しました。
- 4月・5月のオーダーはともに前年同月比110%で、5月の貢献利益率は18%まで回復しました。
達成できないだろうと判断する理由
- Q3累計で営業損失予想の約80.6%をすでに消化しており、Q4はQ3単体の約31.7億円の営業損失から約15億円へ急改善する必要があります。
- Q3単体の売上総利益率はマイナス5.4%まで悪化しており、成長投資と収益性の両立には不確実性があります。
- 期初予想はオーダー数・GMVの下振れを理由に既に下方修正されており、需要回復が再び鈍れば最新予想にも下振れ余地があります。
- 「お店価格で出前館」など市場拡大施策や販促投資を継続するため、売上成長と同時に粗利・配達効率を改善できるかが条件です。
利益計上時期の見方
会社はQ3を戦略投資のピークと位置づけ、Q4は増収と収益性改善を見込んでいます。そのため、Q3累計の単純進捗だけを4分の3の経過率と比較するのは適切ではありません。Q4で必要な営業損失の縮小が実現するかを確認することが重要です。
出前館(2484)最新中期経営計画・現行成長戦略分析
基準日:2026年8月31日 / 東証スタンダード / 株式会社出前館
公式IR等で確認できる「中期経営計画」と題した最新の正式計画は、2020年10月15日に公表された 2021年8月期~2023年8月期の3カ年計画です。この計画期間はすでに終了しています。 その後は新たな3カ年の数値中計ではなく、FY2025/8下期からの 「再成長フェーズ」を現行の経営戦略として示しています。 したがって以下では、正式な最新中計の目標値に加え、現在の経営判断に直結する最新戦略とFY2026修正業績予想を併記します。
① 企業が掲げた目標業績数字
正式な最新中期経営計画:FY2021/8~FY2023/8
| 指標 | FY2021/8 計画 | FY2022/8 計画 | FY2023/8 計画 |
|---|---|---|---|
| 出前館流通金額 | 1,600億円 | 2,500億円 | 3,400億円 |
| 流通金額 前期比 | 156% | 156% | 136% |
| 連結売上高 | 280億円 | 600億円 | 970億円 |
| 連結営業利益 | ▲130億円 | ▲20億円 | 120億円 |
当時は巨額の先行投資を許容し、ユーザー・加盟店・配達網を一気に拡大した後、 FY2023/8に営業黒字化・営業利益120億円まで到達する構想でした。
現行戦略下の最新数値目標:FY2026/8修正予想
② 目標達成へのロードマップ・達成計画
旧・正式中計で掲げた3つの成長軸
-
加盟店数の拡大
営業体制を強化し、2022年中に加盟店舗数10万店舗を目指す。 -
ユーザー数の拡大
リブランディングとLINE ID連携を活用し、新規ユーザー獲得と利用頻度向上を図る。 -
シェアリングデリバリーの拡大
配達品質を差別化要因とし、人口カバー率を当時の約30%から50%以上へ高め、中期的な収益性改善につなげる。
現在のロードマップ:「再成長フェーズ」へ移行
マーケティングを中心に大規模投資を行い、ユーザー・加盟店・配達網を拡大。
事業拡大投資を抑制し、固定費適正化、ユニットエコノミクス改善、プロダクト競争力の向上を優先。
固定費の適正化を続けながら、限界利益を市場・トップライン成長へ再投資。 最終的に「フードデリバリー市場の成長」「市場No.1ポジションの奪還」「継続的な利益創出」を目指す。
再成長を担う具体策
| 施策 | 内容 | 狙い |
|---|---|---|
| 「お店価格で出前館」 | 店頭と同じ商品価格で注文できる店舗を拡大。2025年9月の約250店舗から、 2026年7月時点で全国2万3,000店舗超へ拡大。 | デリバリーの割高感を抑え、新規利用・利用頻度を高める。 |
| 送料無料施策 | 「お店価格」の全国展開と並行して、送料負担を抑える施策を実施。 | 注文時の価格障壁を下げ、オーダー総量を増やす。 |
| LYPプレミアム連携 | LYPプレミアム会員へ送料等の特典を提供し、LINE・Yahoo!系の会員基盤を活用。 | 新規ユーザー獲得、休眠復帰、注文頻度向上。 |
| マーケティング再開 | 財務・プロダクト基盤の改善後、FY2026第3四半期に成長投資を本格再開。 | トップラインを再び成長軌道へ乗せる。 |
| 固定費適正化 | 成長投資を行いながらも固定費の適正化を継続。 | オーダー拡大時に利益が残りやすい事業構造を作る。 |
再成長施策の効果として、会社は2026年4月・5月のオーダー数が 前年同月比110%となったと説明しています。 FY2026第3四半期ではオーダー数と四半期アクティブユーザー数も前年同期を上回り、 トップラインには回復の兆候が出ています。
③ 目標達成リスク
直近の有価証券報告書では、フードデリバリー市場動向について 「顕在化の可能性:高」「時期:1年以内」「影響度:大」としています。 景気悪化などにより市場が期待通り成長しない場合、業績に影響する可能性があります。
経営計画等の施策については 「顕在化の可能性:中」「時期:1年以内」「影響度:大」と開示。 市場が拡大しないこと、競合によるシェア獲得難、優秀な人材の確保難、 販売戦略・コスト削減策・成長戦略が奏功しないこと、技術革新への対応などをリスクとして挙げています。
2026年7月15日の業績予想修正では、 オーダー数およびGMVが期初想定を下回る見込みとなったことを理由に、 売上高を441億円から392億円へ、営業利益を▲40億円から▲79億円へ下方修正しました。 再成長投資による注文増加と、採算改善を同時に実現できるかが当面の最大の焦点です。
分析まとめ
旧中計で描いた大幅な規模拡大と利益成長は実現せず、その後は固定費削減とユニットエコノミクス改善を進めました。 FY2025/8下期から再び成長投資へ舵を切り、 「お店価格」「送料無料」「LYPプレミアム」「マーケティング再開」を使ってオーダー成長を取り戻そうとしています。
一方、FY2026は成長投資が先行し、最新会社予想では営業損失が79億円へ拡大する見込みです。 したがって今後は、①オーダー数の持続的な二桁成長、②限界利益率の回復、③赤字幅縮小、④市場シェア回復 の順で進捗を確認することが重要です。
- 株式会社出前館「中期経営計画策定に関するお知らせ」2020年10月15日
- 株式会社出前館「2025年8月期 第3四半期決算説明会資料」2025年7月15日
- 株式会社出前館「2025年8月期 通期決算説明会資料」2025年10月15日
- 株式会社出前館「2026年8月期 第2四半期決算説明会資料」2026年4月14日
- 株式会社出前館「2026年8月期 第3四半期決算説明会資料」2026年7月15日
- 株式会社出前館「業績予想の修正に関するお知らせ」2026年7月15日
- 株式会社出前館 第26期有価証券報告書(2025年11月26日提出)


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