186A アストロスケールHD

アストロスケールHD <186A> 企業紹介 | ストップ高安研究所

アストロスケールHD 186A 東証グロース

世界初の軌道上サービス専業上場企業 ─ 宇宙デブリ除去・寿命延長サービスのファーストムーバー、防衛関連需要も拡大

※2026年5月23日時点の情報

事業内容

アストロスケールホールディングスは、2024年6月5日に東証グロース市場に上場した「軌道上サービス(On-Orbit Services)」専業の世界初の上場企業。「スペースデブリ(宇宙ゴミ)除去」を含む宇宙空間での衛星サービスを事業とし、世界5か国7拠点(日本・英国・米国・フランス・イスラエル・シンガポール)で670名の多彩なメンバーが事業を推進。コア技術である「宇宙空間の非協力物体に対するRPO技術(ランデブー・近接運用技術)」を軸に、人工衛星運用者やロケット事業者の事業価値向上と宇宙の持続的利用に貢献しています。

主要事業セグメント(4分野の軌道上サービス)

ISSA(観測・点検サービス)

故障機や物体の観測・点検サービス。日本のJAXAが実施する「商業デブリ除去実証(CRD2)」のフェーズIで、サービサー衛星「ADRAS-J」が非協力物体(ロケットの上段)への接近、運動・損傷・劣化状況観測を実証済み。

EOL(寿命切れ衛星の除去サービス)

End of Life。今後打ち上げられる衛星にあらかじめ除去用「ドッキングプレート」を装着してもらい、運用終了時にアストロスケールの衛星が捕獲して大気圏に突入させて燃やし尽くす。将来のサブスクリプション型収益(待機料+除去料)の柱となる予定。携帯電話契約時の「廃棄料」積み立てモデルに近い。

ADR(既存デブリの除去サービス)

Active Debris Removal。すでに宇宙空間に漂う、ドッキングプレートを持たない大型デブリ(ロケットの上段など)を除去するサービス。技術的難易度が極めて高く、現在は各国の宇宙機関(JAXA等)からの「政府案件」として受注し、技術開発費を得ながら収益化。

LEX(寿命延長・燃料補給サービス)

運用中の衛星に対し、燃料補給・軌道変更・軌道維持・再利用・交換・製造・修理などのサービスを提供。衛星の運用寿命延長を実現する次世代サービス。

RPO技術(コア技術)

「宇宙空間の非協力物体に対するRPO技術(Rendezvous and Proximity Operations)」が同社の最大の競争優位性。人工衛星やデブリの除去、軌道変更・軌道維持、燃料補給、観測・点検、再利用・交換、製造・修理といった様々な軌道上サービスを実現可能にする技術。

直近3年の業績サマリー

軌道上サービス事業の単一セグメント。研究開発投資が先行する事業ステージのため、3期連続で営業赤字・純損失を計上。2025年4月期は売上収益2,456百万円(前年比△13.9%)、当期純損失は△21,551百万円と前期比拡大。2026年4月期予想(レンジ)は売上収益5,000~6,000百万円(+103.5%~+144.2%)、当期純損失△10,700~△9,700百万円と赤字縮小の見込み。会計基準はIFRS(経常利益欄は「税引前利益」を表記)。

項目(連結・百万円) 2021年4月期 2022年4月期 2023年4月期 2024年4月期 2025年4月期 2026年4月期
会社予想
売上高 2,852 2,456
△13.9%
5,700
営業損益 △11,555 △18,755
赤字拡大
△10,100
税引前損益
(IFRS)
当期純損益 △9,181 △21,551
赤字拡大
△6,900
EPS(一株利益) △101.45円 △188.91円 △51.28円
決算発表時株価
(参考)
1,101円 692円
実績PER -10.85倍 -3.66倍
予想PER -13.49倍
PBR 18.52倍 13.27倍
PSR 34.94倍 32.14倍
【業績数値に関する免責事項】
本ページに掲載している業績数値は、各社が公表する決算短信を一次情報として作成しています。 数値は決算短信発表時点のものであり、将来的に修正される可能性があります。 業績予想は会社発表時点のものであり、実績と異なる場合があります。 PER・PBR・PSRは決算発表日の終値で算出した参考値です。 正確な情報は各社公式IRサイトを必ずご確認ください。

業績のポイント

2026年4月期3Q累計時点で売上収益44.15億円(前年同期比+194.5%増)、プロジェクト収益83.49億円(+125.1%増)と大幅な事業拡大を達成。受注残高は411.48億円に積み上がり、来期も大幅な売上収益増加を見込む。研究開発投資継続により当期は損失計上が続くものの、赤字幅は縮小予想。会計基準はIFRS(国際会計基準)を採用。

中期経営計画・成長戦略

同社は「事業計画及び成長可能性に関する事項」を継続的に公表しており、明示的な数値目標を含む長期成長計画を提示しています。

長期ビジョン

「10年後には軌道上サービスをインフラに」を掲げ、ファーストムーバーにこだわり宇宙の課題をスピーディに解決することを目指す。技術実証フェーズから商業化フェーズへの移行を進めている。

事業フェーズの段階

  • フェーズ1:技術実証と政府案件(〜2025年頃):JAXAや他国機関からの委託事業でR&D費用を賄いながら、ADRAS-Jのような実証ミッションを成功させ、技術を確立する段階。現在はこのフェーズの終盤。
  • フェーズ2以降:商業サービスの本格化、EOLサブスクリプション型収益モデルの確立、防衛関連需要の取り込み

2026年4月期 業績修正の根拠

  • 売上収益は既存案件の進捗が順調で予想レンジの上限付近で着地見込み
  • 政府補助金収入は既存案件の収益認識遅延等により予想レンジの下限をわずかに下回る見通し
  • 最終損益69億円の赤字(従来予想97-107億円から大幅改善)

2026年5月の重要な戦略動向

  • 5月18日:2026年4月期通期業績予想の修正発表
  • 5月19日:スカパーJSAT株式会社との資本業務提携(軌道上サービス分野での戦略的パートナーシップ)
  • 5月19日:海外一般募集による2029年満期ユーロ円建CB並びに第三者割当による新株式および第1回無担保CBの発行(ヒューリック・スカパーJSATが新株引受、調達総額約306億円)
  • 5月19日:第3四半期決算短信、戦略的成長資金調達補足説明資料の開示
  • 調達資金の用途:人工衛星製造(70億円)、生産設備拡大(40億円)、防衛関連の受注拡大への投資、運転資金(160億円)
  • 5月21日:野村證券が5.40%の新規大量保有報告書を提出

グローバル組織戦略

  • 英国法人、米国法人、日本法人がそれぞれの国の宇宙機関と深く結びつく
  • 宇宙産業は安全保障に関わるため「自国の企業」であることが受注の条件になりがちな点を活用
  • 各国の現地法人を独立性の高い形で運営し、それぞれの国で「ローカル企業」として政府案件を獲得する組織戦略

強みと注目点

① 軌道上サービス専業の世界初上場企業

2024年6月の東証グロース上場時、軌道上サービス専業企業として世界初の上場を実現。スペースデブリ除去という新市場でのファーストムーバーポジションを確立しており、競合参入障壁が極めて高い。

② 独自のRPO技術(ランデブー・近接運用技術)

非協力物体(ドッキング装置を持たないデブリ)への接近・捕獲を可能にするRPO技術が世界最先端。JAXAの「商業デブリ除去実証(CRD2)」フェーズIで実証済み。技術的優位性が公的に検証されている。

③ グローバル5か国7拠点の組織体制

日本・英国・米国・フランス・イスラエル・シンガポールの5か国に拠点を構え、670名の多彩なメンバーが事業を推進。各国宇宙機関と深く結びついた「ローカル企業」として政府案件を獲得する巧みな組織戦略。

④ 強力な受注残高と防衛関連需要拡大

3Q時点の受注残高411.48億円という強力なパイプライン。防衛関連と民間需要の両面で事業機会が拡大しており、安定的な成長軌道を確保。

⑤ スカパーJSATとの資本業務提携

2026年5月19日に発表されたスカパーJSATとの資本業務提携は、日本の衛星通信大手との連携により、軌道上サービス分野での戦略的優位性を強化。ヒューリック・スカパーJSATを引受先とする総額約306億円の資金調達も同時実現。

弱み・リスク要因

① 大幅な営業赤字の継続

2026年4月期は最終損益69億円の赤字を計上見込み(上方修正後)。研究開発投資が継続するため、当面は赤字基調が続く見通し。商業化フェーズへの完全な移行までには時間を要する。

② 政府補助金収入への依存

プロジェクト収益の構成において政府補助金収入が大きな比重を占めるが、2026年4月期は既存案件の収益認識遅延等により予想レンジの下限を下回る見通し。政府案件の進捗・採択動向に業績が大きく左右されるリスク。

③ 株式希薄化リスク

2026年5月19日に総額約306億円の資金調達(CB・新株式発行)を実施。今後も大規模な研究開発投資が必要となる中、追加の資金調達による株式希薄化リスクが継続する。

④ 技術実証ミッション失敗のリスク

軌道上サービスは技術難易度が極めて高く、衛星打上げ・運用での失敗リスクが事業継続性に直結する。1回のミッション失敗で技術的信頼性・受注が大きく毀損する可能性。

⑤ 高い市場期待の織り込み

2026年5月22日のストップ高で上場来高値更新、株価は商業化期待を先行して織り込み済み。技術実証の遅延・商業化進捗の鈍化が表面化した場合の株価下落リスクが大きい。

会社概要

社名株式会社アストロスケールホールディングス(Astroscale Holdings Inc.)
事業内容軌道上サービス事業(スペースデブリ除去、人工衛星寿命延長、観測・点検、燃料補給等)
上場日2024年6月5日
上場市場東証グロース
決算月4月
会計基準IFRS(国際会計基準)
従業員数670名(連結、5か国7拠点)
連結子会社株式会社アストロスケール(日本)/Astroscale Ltd(英国)/Astroscale U.S. Inc.(米国)/Astroscale France SAS(フランス)/Astroscale Israel Ltd.(イスラエル)/Astroscale Singapore Pte. Ltd.(シンガポール)
主要パートナーJAXA、各国宇宙機関、スカパーJSAT、ヒューリック等
コア技術RPO技術(Rendezvous and Proximity Operations、ランデブー・近接運用技術)

沿革 ─ 創業からの歩み

  • 2013年株式会社アストロスケール 創業
  • 2019年Astroscale Israel Ltd. 設立
  • 2020年JAXAの「商業デブリ除去実証(CRD2)」フェーズIを受注
  • 2024年6月5日株式会社アストロスケールホールディングスとして東証グロースに新規上場(証券コード186A)。軌道上サービス専業の世界初の上場企業
  • 2024〜2025年サービサー衛星「ADRAS-J」によるCRD2フェーズI技術実証を実施
  • 2026年4月期3Q売上収益+194.5%増の大幅な事業拡大、受注残高411.48億円達成
  • 2026年5月18日2026年4月期通期業績予想を修正(最終損益69億円赤字へ上方修正)
  • 2026年5月19日スカパーJSATとの資本業務提携、約306億円の資金調達(CB+新株式発行)、第3四半期決算短信を一斉開示
  • 2026年5月21日野村證券が5.40%の新規大量保有報告書を提出
  • 2026年5月22日米CHIPS法・エヌビディア決算・連続大型IRを背景に宇宙・防衛関連株として上場来高値更新ストップ高(週間+23%超)
主な出典:
  • 株式会社アストロスケールホールディングス 公式サイト
  • 株式会社アストロスケールホールディングス「2026年4月期 通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」(2026年5月18日開示)
  • 株式会社アストロスケールホールディングス「2026年4月期 第3四半期決算短信〔IFRS〕」(2026年5月19日開示)
  • 株式会社アストロスケールホールディングス「事業計画及び成長可能性に関する事項」(2025年7月30日開示)
  • 株式会社アストロスケールホールディングス「スカパーJSAT株式会社との資本業務提携に関するお知らせ」(2026年5月19日開示)
  • 株式会社アストロスケールホールディングス「戦略的成長資金調達補足説明資料」(2026年5月19日開示)
  • 関東財務局 大量保有報告書(野村證券、2026年5月21日)

本ページは投資情報の提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。

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