イワキ 6237 東証P
IWAKI CO., LTD.|ケミカルポンプと流体制御機器の総合メーカー。薬液の移送、定量注入、計測、制御を、水処理、半導体・液晶、医療機器、化学などの市場へ展開する。
※2026年7月18日時点の情報
事業内容
2026年7月18日の時価総額は約991億円。直前営業日である2026年7月17日の終値4,405円と、発行済株式総数22,490,910株を用いて算出した。
1956年4月10日設立。本社は東京都千代田区神田須田町2-6-6、代表取締役社長は藤中茂。決算期は3月で、東京証券取引所プライム市場に上場する。ケミカルポンプをはじめとする各種流体制御機器の開発、製造、販売を手掛ける。
2026年3月期は、売上高47,692百万円、営業利益5,924百万円、経常利益6,724百万円、親会社株主に帰属する当期純利益4,835百万円。医療機器、半導体・液晶、水処理の3市場が増収となり、売上高と各利益はいずれも前期を上回った。
ケミカルポンプ事業全体|単一報告セグメント
イワキグループは、ケミカルポンプ事業のみを報告セグメントとして開示している。製品別、地域別、市場別の売上高は関連情報として開示されているが、製品区分ごとの営業利益は開示されていない。
売上高は2022年3月期32,439.7百万円、2023年3月期37,730.4百万円、2024年3月期44,539.2百万円、2025年3月期45,763.3百万円、2026年3月期47,692.3百万円と毎期増加した。
営業利益は2022年3月期2,139.4百万円、2023年3月期2,254.8百万円、2024年3月期5,465.2百万円、2025年3月期5,845.2百万円、2026年3月期5,924.7百万円となった。
2023年3月期は、半導体・液晶市場、医療機器市場、米国の水処理市場などが売上を牽引した。一方、物流関連の製造経費、賞与などの人件費、海外展示会費用、旅費交通費、中国子会社ののれん償却費が増加し、営業利益率は6.0%となった。
2024年3月期は、中国連結子会社の損益を通期で取り込んだ影響、中国子会社以外の各社の増収、売上原価率の低下により、営業利益が5,465.2百万円へ拡大した。営業利益率は前期の6.0%から12.3%へ上昇した。
2025年3月期は、半導体・液晶市場向け製品を中心に棚卸資産評価減を計上した。一方、イワキ香港グループとイワキ上海の子会社化に伴って発生した無形資産償却費が減少し、営業利益率は12.8%となった。
2026年3月期は、生産調整と在庫適正化に伴う製品出荷構成の変化により、売上原価に占める製造関連固定費の負担が一時的に増加した。増収効果によって営業増益を確保したが、営業利益率は12.4%へ低下した。
2026年3月期の市場別売上高は、水処理市場11,428百万円、医療機器市場8,841百万円、半導体・液晶市場7,299百万円。水処理は米国向け、医療機器は国内、半導体・液晶は中国、韓国、台湾を含む海外市場が増収に寄与した。
地域別売上高は、国内22,568百万円、米国7,849百万円、欧州6,096百万円、アジア2,872百万円、中国5,790百万円、その他2,514百万円。海外売上高は25,123百万円で、連結売上高の約52.7%を占める。
外部顧客への売上高のうち、連結売上高の10%以上を占める特定顧客は存在しない。複数の市場、地域、製品用途へ展開することで、単一顧客への依存を抑えた収益構造となっている。
マグネットポンプ・定量ポンプ|主力製品群
マグネットポンプは、磁力を介してモーターの回転をポンプ内部へ伝えるシールレス構造を特徴とする。軸封部からの液漏れを抑えられるため、腐食性、危険性、高純度性を伴う薬液の移送に適する。
製品群は小型機種から大型機種まで幅広く、樹脂製、金属製、高純度用途など、液体特性と設備条件に応じた機種を展開する。化学装置、表面処理設備、水処理設備、半導体製造装置、各種生産設備への組み込み用途が中心となる。
マグネットポンプ売上高は、2022年3月期10,828.1百万円から2026年3月期15,657.9百万円へ44.6%増加した。5年間すべてで前期を上回り、製品別売上高の最大区分を維持している。
2026年3月期は、医療機器、水処理、半導体・液晶など各市場の需要を背景に、マグネットポンプ売上高が前期比4.0%増となった。単一用途ではなく、幅広い産業分野へ供給できる点が売上基盤となる。
定量ポンプは、設定した流量の薬液を一定量ずつ送液する装置である。モーター駆動定量ポンプと電磁定量ポンプを中心に、薬注制御、流量制御、周辺アクセサリーを組み合わせて使用される。
主な用途は上下水処理、工業用水、化学プロセス、食品、発電設備、殺菌、pH調整などである。流量精度、吐出圧力、薬品への耐性、制御信号への対応、メンテナンス性が製品選定の主要条件となる。
定量ポンプ売上高は、2022年3月期5,483.7百万円から2026年3月期8,270.0百万円へ50.8%増加した。2025年3月期に8,000百万円を超え、2026年3月期も増収を継続した。
ポンプ単体に加え、コントローラー、水質計測機器、薬液タンク、液面管理機器を組み合わせられる。水処理案件では、薬液の移送から注入、計測、制御までを一体で提案できる。
2026年3月期における主力2製品の合計売上高は23,927.9百万円で、連結売上高47,692.3百万円の50.2%を占めた。両製品の需要動向は全社売上高への影響が大きい。
空気駆動ポンプ・回転容積ポンプ|半導体・医療機器向け
空気駆動ポンプは、圧縮空気を動力としてダイヤフラムやベローズを往復運動させる。電動機を使用しにくい環境、腐食性薬液、高純度薬液、固形分を含む液体などの移送に使用される。
半導体・液晶製造装置向けでは、高純度薬液を低汚染で搬送することが求められる。接液部材質、パーティクル、金属溶出、脈動、液漏れリスク、保守時の汚染防止が重要な評価項目となる。
空気駆動ポンプ売上高は、2022年3月期4,243.2百万円から2024年3月期5,721.0百万円まで増加した。半導体・液晶市場の設備需要と受注残が売上高を押し上げた。
2025年3月期は、韓国、台湾、中国などの半導体・液晶市場が低調に推移し、空気駆動ポンプ売上高は前期比15.3%減の4,845.1百万円となった。
2026年3月期は、中国、韓国、台湾向けの半導体・液晶市場が回復し、空気駆動ポンプ売上高は5,017.1百万円へ増加した。ただし、2024年3月期の水準には届いていない。
回転容積ポンプは、回転体によって一定容積の液体を連続的に送り出す。高精度、小流量、高粘度、脈動を抑えた送液など、装置組み込み用途で採用される。
ファインセラミックスを使用するギヤポンプなどを含み、分析機器、医療機器、各種精密装置で要求される流量精度、耐久性、小型化への対応が競争要素となる。
2024年3月期は医療機器市場の大幅増収を背景に、回転容積ポンプ売上高が前期比49.1%増の3,000.5百万円となった。2025年3月期には3,423.9百万円まで増加した。
2026年3月期は3,105.1百万円へ減少したが、2022年3月期との比較では46.6%増加している。医療機器市場全体は2026年3月期に8,841百万円まで伸長した。
空気駆動ポンプは半導体設備投資の循環性、回転容積ポンプは医療機器メーカーの新規採用や量産動向の影響を受ける。用途市場が異なるため、製品ポートフォリオ内で需要変動を分散する役割も持つ。
エアーポンプ・システム製品・仕入商品・その他
エアーポンプは、気体の吸引、加圧、移送に使用される小型ポンプを中心とする。小型液体ダイヤフラムポンプ、ガスポンプ、リニアポンプなどを、分析機器、医療機器、各種OEM装置へ供給する。
OEM用途では、装置ごとに必要な流量、圧力、静音性、寿命、サイズ、消費電力が異なる。顧客の装置設計段階からポンプ仕様を合わせる開発対応力が、量産採用の条件となる。
エアーポンプ売上高は、2022年3月期1,566.0百万円から2026年3月期2,703.1百万円へ72.6%増加した。5年間すべてで増収となった。
システム製品は、ポンプ、流量制御機器、圧力制御機器、水質計測機器、残留塩素計、薬液タンク、液面管理機器などを組み合わせる。顧客が求める薬注、監視、制御機能を一つの設備として提供する。
水処理では、pH、ORP、残留塩素などの計測値に応じて薬液注入量を制御する。ポンプ単体の販売に比べ、制御機器、配管、タンク、設置、保守まで受注範囲を広げられる。
システム製品売上高は、2022年3月期1,625.2百万円から2026年3月期2,948.2百万円へ81.4%増加した。水処理市場の拡大とソリューション営業が需要基盤となる。
仕入商品は、自社製ポンプと組み合わせて販売する周辺機器や補完製品を含む。自社製品だけでは対応できない液体条件や設備仕様を補い、顧客への提案範囲を広げる。
その他売上高は、2022年3月期3,824.8百万円から2026年3月期6,669.9百万円へ74.4%増加した。2025年3月期に減少した後、2026年3月期は前期比13.2%増となった。
イワキの競争力は、耐食ポンプ、定量注入、精密流体制御、計測、監視、保守を組み合わせられる点にある。中期経営計画では海外水処理市場への貢献拡大を掲げており、システム製品とサービス体制の海外展開が成長課題となる。
直近5年業績サマリー
金額は連結決算の百万円単位。2023年3月期は、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定後に開示された比較情報と、キャッシュ・フロー訂正後の数値を採用した。EPSは親会社株主帰属利益、BPSは自己資本を、2026年3月期末の発行済株式総数22,490,910株で除して再計算した。PER・PBRはユーザー提供の各期末終値を使用した。
| 業績項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 2027年3月期 会社予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高百万円 | 32,439 | 37,730前期比 +5,291 +16.3% |
44,539前期比 +6,809 +18.0% |
45,763前期比 +1,224 +2.7% |
47,692前期比 +1,929 +4.2% |
50,959前期比 +3,267 +6.8% |
| 営業損益百万円 | 2,139 | 2,254前期比 +115 +5.4% |
5,465前期比 +3,211 +142.4% |
5,845前期比 +380 +7.0% |
5,924前期比 +79 +1.4% |
6,428前期比 +504 +8.5% |
| 経常損益百万円 | 2,992 | 3,745前期比 +753 +25.2% |
6,222前期比 +2,477 +66.1% |
6,517前期比 +295 +4.7% |
6,724前期比 +207 +3.2% |
6,986前期比 +262 +3.9% |
| 当期純利益親会社株主帰属・百万円 | 2,396 | 4,257前期比 +1,861 +77.7% |
4,459前期比 +202 +4.7% |
4,468前期比 +9 +0.2% |
4,835前期比 +367 +8.2% |
5,149前期比 +314 +6.5% |
| EPS円 | 106.53 | 189.28前期比 +82.75 +77.7% |
198.26前期比 +8.98 +4.7% |
198.66前期比 +0.40 +0.2% |
214.98前期比 +16.32 +8.2% |
228.94前期比 +13.96 +6.5% |
| PER倍 | 10.27 | 6.86 | 14.63 | 10.68 | 11.62 | |
| PBR倍 | 0.98 | 1.02 | 1.96 | 1.26 | 1.36 | |
| BPS円 | 1,119.43 | 1,276.34前期比 +156.91 +14.0% |
1,479.80前期比 +203.46 +15.9% |
1,684.46前期比 +204.66 +13.8% |
1,838.57前期比 +154.11 +9.1% |
|
| 純資産百万円 | 25,251 | 28,869前期比 +3,618 +14.3% |
33,521前期比 +4,652 +16.1% |
38,109前期比 +4,588 +13.7% |
41,482前期比 +3,373 +8.9% |
|
| 営業CF百万円 | 2,710 | 1,914前期比 -796 -29.4% |
2,564前期比 +650 +34.0% |
3,463前期比 +899 +35.1% |
5,251前期比 +1,788 +51.6% |
|
| 投資CF百万円 | -429 | -1,518前期比 -1,089 -253.8% |
-2,487前期比 -969 -63.8% |
-784前期比 +1,703 +68.5% |
-3,385前期比 -2,601 -331.8% |
|
| 財務CF百万円 | -579 | -419前期比 +160 +27.6% |
-1,854前期比 -1,435 -342.5% |
-1,876前期比 -22 -1.2% |
-1,277前期比 +599 +31.9% |
|
| 現金及び現金同等物百万円 | 8,573 | 8,692前期比 +119 +1.4% |
6,773前期比 -1,919 -22.1% |
7,941前期比 +1,168 +17.2% |
8,888前期比 +947 +11.9% |
業績達成率
中期経営計画
中期経営計画2027|2026年3月期から2028年3月期
長期ビジョン「イワキグループビジョンNEXT10」の最初の3年間を対象とし、着実な成長と将来の飛躍に向けた基盤固めを進める。2035年3月期の長期目標は、連結売上高1,000億円、営業利益率15%以上の維持継続である。
2025年3月期の在庫回転日数は193.8日であり、短納期対応を目的に積み増してきた在庫の適正化を重要KPIに設定する。在庫回転日数を150日へ短縮し、在庫削減によるキャッシュ創出とフリーキャッシュ・フローの改善を目指す。
3年間のキャッシュアロケーションは、営業キャッシュ・フロー約190億円と外部調達約30億円を原資とし、成長・基盤投資約80億円、株主還元約60億円、手元資金約80億円へ配分する方針である。
- 海外市場における水処理ニーズへの貢献拡大
- 水素をはじめとした次世代エネルギー社会づくりへのチャレンジ
- 海外ニーズに対応するグローバル製品の企画
- 調達リスクへの対応とグローバル調達の拡大
- DXによる生産性向上と働きやすさの向上
- マテリアリティの実現を目指すESG経営の推進
海外水処理は早期の収益化を見込む重点領域とし、販売拠点、メンテナンス体制、薬注システムの提案力を強化する。次世代エネルギーは、水素サプライチェーンにおける流体制御ニーズの探索と製品開発を進め、中長期の成長領域として育成する。
中期経営計画資料へ競合他社
① Ingersoll Rand Inc.(NYSE:IR)
コンプレッサー、真空機器、送風機、精密液体・ガス処理、ライフサイエンス機器を展開する世界的な産業機器企業。イワキとの競合は、Precision and Science Technologies部門の薬液定量ポンプ、ダイヤフラムポンプ、シールレスポンプ、医療・分析機器向け精密ポンプ、水処理用注入システムに集中する。
Milton Roy、LMI、Williams、Dosatronは薬液定量と注入制御、AROはエアー駆動ダイヤフラム、MP PumpsとOberdorferは磁気駆動・回転式ポンプ、ThomasとTriContinentは医療・分析機器向け精密流体で競合する。
2026年第1四半期は、全社売上高18.47億米ドル、親会社帰属純利益1.92億米ドル、調整後EBITDA4.69億米ドル、調整後EBITDAマージン25.4%。P&ST部門は売上高4.03億米ドル、調整後EBITDA1.22億米ドル、同マージン30.3%となった。
定量、AODD、磁気駆動、医療OEM、水処理を横断する製品群と世界規模の販売・サービス網が強み。時価総額と全社業績にはポンプ以外の事業も含まれる。
② Dover Corporation(NYSE:DOV)
産業機器、エネルギー・燃料供給、印刷・識別、ポンプ・プロセス機器、気候関連機器を展開する複合企業。イワキと直接競合する中心部門はPumps & Process Solutionsで、その中核となるPSGが多数のポンプ技術と流体制御ブランドを保有する。
Neptuneは薬液定量ポンプと薬注システム、Wilden、Almatec、All-Floはエアー駆動ダイヤフラムポンプ、Abaque、Blackmer、Mouvexはホース・回転容積式ポンプで競合する。Quattroflow、CPC Biotech、Malemaなどを通じて、バイオ医薬品向け流体経路にも展開する。
2026年第1四半期は、全社売上高20.54億米ドル、オーガニック売上成長率5%、調整後希薄化EPS2.28米ドル。Pumps & Process Solutions部門は売上高5.378億米ドル、セグメント利益1.695億米ドル、調整後EBITDA1.835億米ドル、同マージン34.1%となった。
水処理、化学、半導体、バイオ分野で、ポンプ、センサー、接続部品、制御機器を一括提案できる点が強い。部門売上高には買収と為替の影響が含まれ、オーガニック売上高は0.8%減だった。
③ IDEX Corporation(NYSE:IEX)
流体・計量技術、医療・科学技術、消防・安全機器を展開する高度専門型の産業機器企業。Fluid & Metering Technologies部門とHealth & Science Technologies部門の双方が、イワキの主要製品および用途市場と重なる。
Pulsafeederは薬液定量ポンプと水質制御、Treborは半導体向け高純度ダイヤフラムポンプ、Richterは耐食性マグネットポンプ、Warren Rupp、SANDPIPER、Versamaticはダブルダイヤフラムポンプ、Viking Pumpは回転容積式ポンプで競合する。
2026年第1四半期は、全社売上高8.869億米ドル、親会社帰属純利益1.200億米ドル、希薄化EPS1.61米ドル。FMT部門は売上高3.015億米ドル、調整後EBITDA0.987億米ドル、同マージン32.7%。HST部門は売上高3.984億米ドル、調整後EBITDA1.060億米ドル、同マージン26.6%となった。
定量、耐食磁気駆動、AODD、半導体高純度流体、医療・分析機器向け精密流体を一通りカバーする。3社では時価総額が最小だが、製品構成ではイワキとの直接競合度が高い。
出典
- 株式会社イワキ コーポレートサイト
- 株式会社イワキ 会社概要
- 株式会社イワキ 事業内容
- 株式会社イワキ 製品情報
- 株式会社イワキ 製品サイト
- 株式会社イワキ 製品の活用分野
- 株式会社イワキ 事例紹介
- 株式会社イワキ IR情報
- 株式会社イワキ 経営戦略・中期経営計画2027
- 株式会社イワキ 決算説明会資料
- 株式会社イワキ 有価証券報告書
- 株式会社イワキ 株式情報
- Ingersoll Rand Investor Relations
- Ingersoll Rand Quarterly Results
- Dover Corporation Investor Relations
- Dover Corporation Quarterly and Other Reports
- IDEX Corporation Investor Relations
- IDEX Corporation News Releases

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