ヒーハイスト 6433 東証S
HEPHAIST CO.,LTD.|小径リニアボールブッシュを中核に、精密部品加工、高精度位置決めステージ、球面軸受を展開。新経営ビジョンではJoint・Robot領域を成長テーマに据える。
※2026年6月22日時点の情報
事業内容
2026年6月22日の時価総額は約91億円。同日の終値は1,441円で、前営業日比300円高のストップ高となった。発行済株式総数6,316,700株を基準に算出している。
1962年7月19日設立。本社は埼玉県川越市今福580番地1、代表取締役社長は尾崎浩太。資本金は7億3,255万2,000円、決算期は3月、東京証券取引所スタンダード市場に上場する。中国に上海赫菲斯特精密機械有限公司と蘇州分公司を置き、国内では埼玉工場と秋田工場を生産拠点とする。
2026年3月期は売上高1,636百万円、営業損失262百万円、経常損失299百万円、親会社株主に帰属する当期純損失718百万円。産業用機械関連の需要回復の遅れ、中国市場の受注停滞、レース用部品のレギュレーション変更が減収要因となり、固定資産の減損損失413百万円も最終損失を押し下げた。2027年3月期は売上高2,066百万円、営業利益101百万円、経常利益98百万円、当期純利益92百万円への黒字転換を会社計画とする。
品目別売上高の5年推移
同社は「精密機器製造事業」の単一セグメントである。開示される品目別売上高では、2022年3月期から2026年3月期までに直動機器が1,838百万円から1,059百万円へ42.4%減、精密部品加工が788百万円から346百万円へ56.1%減となった。一方、ユニット製品は116百万円から232百万円へ約2倍に拡大した。
品目別売上高推移(単位:百万円)
5年間の売上構成を見ると、直動機器が最大の収益源である構造は変わらない。2026年3月期の構成比は64.7%で、精密部品加工21.1%、ユニット製品14.2%となった。
直動機器と精密部品加工の減収が全社売上高を押し下げた一方、ユニット製品は半導体関連装置向けステージと球面軸受の価格改定効果によって増収を確保した。
2027年3月期の品目別会社予想は、直動機器1,353百万円、精密部品加工432百万円、ユニット製品280百万円。各品目とも増収を計画するが、全社売上高2,066百万円は2022年3月期の2,742百万円をなお下回る。
直動機器:小径リニアボールブッシュを中核とする基盤事業
2026年3月期売上高は1,059百万円、前期比22.5%減。第4四半期には産業用機械関連で需要回復の兆しが見えたものの、通期では回復の遅れと中国市場の停滞が響いた。2027年3月期は1,353百万円、前期比27.9%増を見込む。
主力は、円筒シャフト上を低摩擦で直線移動させるリニアボールブッシュである。公式製品情報では、ミニチュアシリーズのリニアボールブッシュを世界で初めて量産した実績を掲げる。
リニアボールブッシュは、シャフト、保持器、外筒、鋼球などで構成され、装置の搬送、案内、位置決めに使われる。小径・軽量・低摩擦という特性は、限られた空間に精密機構を組み込む装置で重要になる。
製品群には標準型、フランジ型、ミニチュア型のリニアボールブッシュ、シャフトホルダ、リニアシャフト、ミニチュアボールねじスプラインがある。単品部品だけでなく、周辺部材を組み合わせた機構提案が可能である。
需要先は産業用機械、半導体製造装置、電子部品製造装置、医療・分析機器、ロボットなどである。設備投資循環の影響を受ける一方、高精度化、小型化、省人化が進むほど直動案内機構の採用機会は増える。
2023年3月には埼玉工場A棟を稼働し、増産に向けた設備投資と生産能力の拡充を進めた。需要減少局面では固定費負担が重くなるが、受注回復時には既存設備を活用して生産量を引き上げられる体制を持つ。
中期計画では「スマート生産プロジェクト」により、設備稼働、工程管理、在庫水準を見直し、安定生産と固定費率低下を目指す。不採算形番の選択と集中、高収益製品への資源集中も収益改善の柱である。
海外では中国子会社・蘇州分公司を通じた販売に加え、マレーシアのMIRAI INDUSTRIAL AUTOMATION社との連携を進める。国内需要だけでなく、アジアの装置メーカーへの販路拡大が数量回復の条件となる。
精密部品加工:レース用部品と高難度受託加工
2026年3月期売上高は346百万円、前期比49.2%減。レース用部品のレギュレーション変更が大きく影響した。2027年3月期は新規受託加工の獲得を含め432百万円、前期比25.2%増を計画する。
精密研削、切削、超精密仕上げ、熱処理後加工、組立までの一貫対応を強みとする。直動機器で培った寸法精度と表面品質の管理技術を、顧客仕様の部品製造に展開している。
主要用途の一つが自動車レース用部品である。高回転、高荷重、軽量化、耐久性が同時に求められる領域であり、加工精度だけでなく、品質の再現性と納期対応が重要になる。
2025年3月期はレース用部品の売上増加によって680百万円まで回復したが、2026年3月期は競技規則の変更に伴う供給減で345百万円へ縮小した。特定プログラムの仕様変更が売上高に直結する事業特性が表れている。
中期計画では、既存のレース用部品供給を維持しながら、技術的な強みを生かした新規受託加工を獲得する方針である。単一案件への依存を下げるには、半導体、ロボット、医療、光学、計測などへの顧客分散が必要になる。
自社製品である直動機器や球面軸受の開発・生産を持つため、単純な図面受託だけでなく、材料、加工方法、組立性を含む提案が可能である。設計段階から顧客に関与できれば、価格競争を避けやすくなる。
一方、少量多品種の高難度加工は、設備稼働率と段取り時間の管理が採算を左右する。受注量が不足すると、技能者と設備の固定費を吸収しにくい。
2027年3月期の増収計画は、レース用部品の継続供給に加え、新規受託加工の立ち上がりが前提となる。受注先、量産開始時期、採算性の開示が進むかが確認点となる。
ユニット製品・球面軸受:位置決めからロボット関節へ
2026年3月期売上高は232百万円、前期比16.9%増。5年間で唯一、売上規模が拡大した品目である。2027年3月期は280百万円、前期比20.6%増を計画する。
高精度位置決めステージは、直動機器、精密加工部品、駆動機構、制御技術を組み合わせた製品である。XYθステージ、超精密ステージ、Zチルトステージ、Z軸ステージなどを展開する。
半導体製造装置、電子部品製造装置、画像処理、検査、計測などでは、微小な移動量を繰り返し再現する性能が要求される。部品単体よりも設計・組立・調整の付加価値を取り込みやすい。
2026年3月期は半導体関連装置向け案件によりステージ製品が増加した。直動機器と精密部品加工が減収となる中で増収を維持した点は、事業ポートフォリオ上の重要な変化である。
球面軸受は、多自由度の揺動や傾きを一つのジョイントで受け持つ製品である。標準のSRJ、軸方向寸法を抑えたSRJS、滑り方式のSSJを展開し、機構の小型化、部品点数削減、ガタ低減を狙う。
新経営ビジョンは「自ら技術と人をつなぎ、世界のステージへ Joint・RobotのHEPHAIST」。直動技術、球面加工技術、レース用部品で培った加工ノウハウを、ロボット関節や周辺機構へ接続する方針を示した。
同社は京都ヒューマノイドアソシエーション「KyoHA」に参画し、チューリッヒ工科大学のオービットロボティクスチームへの提供パートナーとして、同社技術を関節ジョイントに使ったヒューマノイドロボットの紹介も公表している。
現時点ではロボット関節関連の売上規模や量産時期は開示されていない。株価材料としての期待と、業績への実際の寄与は分けて評価する必要がある。
中期計画では仕様標準化による設計効率化、顧客対応時間の短縮、NAF HWシリーズの販売拡大、海外市場の開拓を掲げる。標準品比率が上がれば、個別設計負担を抑えながら販売数量を伸ばせる。
直近5年業績サマリー
| 業績項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 2027年3月期 会社予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,742 | 2,414-328 / -12.0% | 2,310-104 / -4.3% | 2,245-65 / -2.8% | 1,636-609 / -27.1% | 2,066+430 / +26.3% |
| 営業損益 | 228 | -5-233 / 赤字転落 | -158-153 / 赤字拡大 | -121+37 / 赤字縮小 | -262-141 / 赤字拡大 | 101+363 / 黒字転換 |
| 経常損益 | 258 | 3-255 / -98.6% | -156-159 / 赤字転落 | -189-33 / 赤字拡大 | -299-110 / 赤字拡大 | 98+397 / 黒字転換 |
| 当期純損益 | 217 | -2-219 / 赤字転落 | -221-219 / 赤字拡大 | -203+18 / 赤字縮小 | -718-515 / 赤字拡大 | 92+810 / 黒字転換 |
| EPS | 34.47円 | -0.39円-34.86円 / 赤字転落 | -35.12円-34.73円 / 赤字拡大 | -32.21円+2.91円 / 赤字縮小 | -113.75円-81.54円 / 赤字拡大 | 14.72円+128.47円 / 黒字転換 |
| PER | 9.43倍期末株価325円 | –赤字・期末株価245円 | –赤字・期末株価258円 | –赤字・期末株価370円 | –赤字・期末株価1,251円 | 97.90倍基準株価1,441円 |
| PBR | 0.63倍 | 0.48倍 | 0.54倍 | 0.83倍 | 3.76倍 | – |
| BPS | 512.67円 | 511.33円-1.34円 / -0.3% | 477.84円-33.49円 / -6.5% | 446.22円-31.62円 / -6.6% | 332.64円-113.58円 / -25.5% | – |
| 純資産 | 3,238 | 3,229-9 / -0.3% | 3,018-211 / -6.5% | 2,818-200 / -6.6% | 2,101-717 / -25.4% | – |
| 営業CF | 417 | -39-456 / 赤字転落 | 166+205 / 黒字転換 | -183-349 / 赤字転落 | -162+21 / 赤字縮小 | – |
| 投資CF | -207 | -430-223 | -322+108 | -51+271 | -25+26 | – |
| 財務CF | -203 | 354+557 | 171-183 | -99-270 | 30+129 | – |
| 現金及び現金同等物 | 973 | 864-109 / -11.2% | 884+20 / +2.3% | 559-325 / -36.8% | 402-157 / -28.1% | – |
EPS・BPS・PER・PBRは比較条件をそろえるため、2026年3月期末の発行済株式総数6,316,700株で再計算した。PER・PBRには各期末の終値を使用し、2027年3月期予想PERは2026年6月22日終値1,441円を基準とする。
2024年3月期の当期純損益と純資産は、2025年3月期決算短信に掲載された比較情報を使用した。会社予想が公表されていない純資産、BPS、PBR、キャッシュ・フロー、現金及び現金同等物は空欄としている。
2026年3月期末時点で継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象または状況が存在する。同社は、手元資金と当座貸越契約の未実行残高などから、重要な不確実性は認められないと判断している。
中期経営計画
Hephaist Vision65:2027年3月期の黒字転換を最優先
中期経営計画は2024年3月期から2027年3月期を対象とし、毎期ローリング方式で更新する。最新の修正計画では、2027年3月期に売上高2,066百万円、売上総利益555百万円、営業利益101百万円を目指す。
2027年3月期の会社予想は、経常利益98百万円、当期純利益92百万円。直動機器の数量回復、価格改定、不採算形番の選択と集中、減損後の減価償却費減少による費用構造の軽量化を利益回復要因とする。
直動機器では、スマート生産プロジェクトによる生産量確保、電力費などのコスト削減、安定生産、固定費率低下、海外展開を進める。A棟と既存設備の稼働率を引き上げ、需要回復時の増産に対応する。
精密部品加工では、レース用部品の継続供給と新規受託加工の獲得を進める。ユニット製品では、仕様標準化、設計効率化、NAF HWシリーズの拡販、海外市場への展開を掲げる。
製品群はスクラップ・アンド・ビルドを進め、低採算形番の撤退を検討し、高収益製品へ経営資源を集中する。売上回復だけでなく、製品構成を変えることで採算性を引き上げる方針である。
同じ決算説明資料には中期経営指標として営業利益率10%以上、ROE8%以上、連結配当性向30%が示されている。一方、最新の2027年3月期修正計画は営業利益率4.9%であり、資料内で目標値が併存している点に注意が必要である。
新経営ビジョンは「Joint・RobotのHEPHAIST」。既存の直動機器を収益基盤としながら、球面ジョイント、位置決めステージ、ロボット関節への用途展開を進める。成長戦略の評価には、共同開発先、量産時期、受注規模の具体化が必要となる。
中期経営計画資料へ競合他社
1. THK(6481)
2026年6月22日終値は8,196円、時価総額は約9,800億円。東証プライム上場。
LMガイド、リニアブッシュ、ボールスプライン、ボールねじ、クロスローラーガイド、電動アクチュエータ、搬送・位置決めユニット、ロボットを展開する総合直動システムメーカーである。
ヒーハイストとは、小型リニアブッシュ、シャフト案内型直動部品、精密位置決め、半導体製造装置、医療・分析機器、産業用ロボット向けの領域で競合する。
2025年12月期の連結売上収益は240,444百万円、営業利益14,436百万円、営業利益率6.0%。売上収益は前期比7.9%増、営業利益は9.3%減となった。
THKは製品数、研究開発、量産能力、販売網、海外供給体制で大幅に上回る。顧客がLMガイド、ボールねじ、アクチュエータを一括調達する局面では、総合提案力が強い。
ヒーハイストにとっては販売先であると同時に製品市場の競合でもある。標準品の価格・供給力で正面競争するより、小径、特殊仕様、少量多品種、高精度用途で差別化する必要がある。
2. 日本トムソン(6480)
2026年6月22日終値は2,580円、時価総額は約1,900億円。東証プライム上場。
IKOブランドで、リニアブッシュ、リニアウェイ、リニアローラウェイ、ボールスプライン、クロスローラーウェイ、ニードルベアリング、精密位置決めテーブル、メカトロニクス製品を展開する。
ヒーハイストとは、リニアブッシュ、小型直動案内、シャフト案内型機器、位置決めテーブル、半導体製造装置、実装機、医療・分析機器、ロボット向けで直接競合する。
2026年3月期の連結売上高は63,031百万円、営業利益4,102百万円、経常利益5,162百万円。売上高は前期比15.9%増、営業利益は249.6%増となった。
国内の半導体製造装置、実装機、工作機械向けに加え、中国の半導体関連需要、北米のロボット・医療機器向けが伸長し、生産量増加による工場稼働率改善が利益を押し上げた。
製品ラインアップと海外販売網は日本トムソンが優位である。競争軸は価格だけでなく、寸法精度、摩擦抵抗、耐久性、納期、カスタマイズ対応となる。
3. 黒田精工(7726)
2026年6月22日終値は約1,547円、時価総額は約88億円。東証スタンダード上場。
精密ボールねじ、ボールねじアクチュエータ、リニアアクチュエータ、位置決めシステム、精密測定、金型、工作機械関連を展開する。
リニアボールブッシュとは構造が異なるが、精密な直線移動と位置決めを実現する顧客機能で競合する。半導体製造装置、電子部品製造装置、精密測定機、工作機械、医療機器、ロボットが共通市場となる。
2026年3月期の連結売上高は19,501百万円、営業利益32百万円、経常利益11百万円、親会社株主に帰属する当期純損失96百万円。売上高は前期比12.8%増、営業利益は89.7%減となった。
2027年3月期は売上高25,800百万円、営業利益770百万円を計画する。駆動システム事業の受注回復と収益改善が前提である。
ヒーハイストの位置決めステージと、黒田精工のボールねじ・アクチュエータは、装置メーカーが駆動機構を選定する際の比較対象となる。ヒーハイストは薄型化、小型化、特殊寸法、一体設計での差別化が必要となる。
強みと将来性
小径直動技術、超精密加工、球面ジョイントを接続できる技術の連続性
第一の強みは、小径リニアボールブッシュを長年量産してきた専門性である。ミニチュア領域では、鋼球循環、保持器、外筒、シャフトの寸法精度を小さな空間で成立させる必要があり、加工と組立の蓄積が参入障壁になる。
第二の強みは、精密研削、切削、超精密仕上げ、組立を社内でつなげられる点である。部品単体の寸法精度だけでなく、組み上げた機構としての摩擦、ガタ、繰り返し位置決め精度まで評価できる。
第三の強みは、部品からユニットへ付加価値を高める製品構成である。リニアボールブッシュ、シャフト、ボールスプライン、球面軸受、位置決めステージを持ち、顧客の機構設計に応じて組み合わせられる。
ユニット製品は2022年3月期116百万円から2026年3月期232百万円へ拡大した。全社が減収する局面でも増収を確保しており、部品単体から高付加価値ユニットへ移行する余地を示す。
球面軸受は、複数の回転軸やリンク機構を一つのジョイントに置き換えられる可能性がある。ロボット関節、把持機構、姿勢補正、医療・分析機器など、小型化と低ガタが重要な用途との相性がある。
新経営ビジョンでJoint・Robotを明確に掲げ、KyoHAへの参画と海外大学ロボティクスチームへの技術提供を公表したことで、研究段階の接点は形成されている。量産案件に移行すれば、直動機器とは異なる成長ドライバーになり得る。
半導体・電子部品製造装置では、微細化と高密度実装に伴って位置決め精度への要求が高まる。XYθ、Zチルト、超精密ステージを持つことは、軸受部品だけでは取り込めない設計・調整価値を収益化する基盤になる。
2023年に稼働した埼玉工場A棟と増産設備は、受注低迷時には固定費負担となったが、需要回復時には追加投資を抑えながら生産量を増やせる可能性がある。2027年3月期の直動機器27.9%増収計画は、既存能力の活用を前提とする。
2026年3月期に固定資産の減損を実施したため、2027年3月期は減価償却費の減少が見込まれる。販売数量回復と固定費低下が同時に進めば、損益分岐点を超えた後の利益改善幅は大きくなる。
海外販売では中国拠点とマレーシアの協業先を持つ。小径・特殊・高精度というニッチを維持しつつ、標準化したユニット製品を海外へ展開できれば、大手と異なる収益機会を作れる。
将来性の核心は、ロボットというテーマ性そのものではなく、既存の球面加工、直動案内、位置決め、精密加工を量産可能な関節モジュールへ変換できるかにある。売上高、受注残、採用機種、量産開始時期の開示が、期待を業績評価へ移す条件となる。
弱みとリスク要因
顧客集中、低稼働率、資金流出と高い期待先行バリュエーション
最大の弱みは顧客集中である。2026年3月期の売上高はTHK向け902百万円、ホンダ向け277百万円で、2社合計は全社売上高の72.1%を占めた。主要顧客の生産計画、在庫調整、仕様変更が全社業績へ直接波及する。
THKは主要販売先であると同時に、リニアブッシュや直動機器市場の有力競合でもある。取引関係と競争関係が重なるため、価格交渉力、製品内製化、調達方針変更の影響を受けやすい。
営業損益は2023年3月期から2026年3月期まで4期連続で赤字となった。2026年3月期の営業利益率はマイナス16.0%で、売上減少に対する固定費負担の大きさが表れている。
営業キャッシュ・フローは2025年3月期マイナス183百万円、2026年3月期マイナス162百万円。現金及び現金同等物は2022年3月期973百万円から2026年3月期402百万円へ58.7%減少した。
同社は継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象または状況が存在すると認識している。重要な不確実性はないとの判断だが、黒字化計画の未達が続けば、借入余力、運転資金、成長投資の自由度が低下する。
直動機器増産を目的とした工場A棟と設備投資は、需要回復が遅れると低稼働率のまま固定費を発生させる。2026年3月期には413百万円の減損損失を計上しており、過去投資の回収遅延が顕在化した。
2027年3月期は営業損失262百万円から営業利益101百万円への363百万円改善を計画する。売上高26.3%増、価格改定、製品選択、減価償却費低下を同時に実現する必要があり、計画の実行難度は低くない。
精密部品加工はレース用部品の規則変更で売上高がほぼ半減した。モータースポーツ案件は高い技術力を示す一方、競技規則、車両開発周期、顧客プログラムの終了による変動が大きい。
直動機器は産業機械、半導体製造装置、電子部品製造装置の設備投資循環に左右される。中国市場の受注停滞、顧客在庫調整、設備投資延期が重なると、数量回復が後ずれする。
原材料、エネルギー、物流、人件費の上昇も利益を圧迫する。小規模企業は大手より購買量が少なく、価格転嫁が遅れる場合には粗利率が悪化しやすい。
THKや日本トムソンに比べ、製品数、販売網、研究開発費、サービス拠点、量産規模が小さい。標準品の価格競争では不利になりやすく、カスタム対応が増えすぎると設計負担と製造効率が悪化する。
ロボット関節は成長余地がある一方、現時点で売上高と量産計画は開示されていない。技術提供や団体参画が商用受注へ直結するとは限らず、研究開発費だけが先行する可能性がある。
2026年6月22日終値1,441円を再計算BPS332.64円で割ったPBRは4.33倍、2027年3月期予想EPS14.72円に対する予想PERは97.90倍となる。黒字転換とロボット関連の成長期待が株価に織り込まれており、計画未達時の評価調整幅が大きい。
同日はストップ高で、短期の需給による値幅拡大も確認された。業績回復の進捗だけでなく、出来高、信用取引、適時開示前後の価格変動を分けて見る必要がある。
出典
- ヒーハイスト株式会社 公式サイト
- ヒーハイスト株式会社 会社概要
- ヒーハイスト株式会社 事業概要
- ヒーハイスト株式会社 製品情報
- ヒーハイスト株式会社 IR情報
- ヒーハイスト株式会社 IRライブラリー
- ヒーハイスト株式会社 2026年3月期決算説明会資料
- ヒーハイスト株式会社 新経営ビジョン
- THK株式会社 IR情報
- 日本トムソン株式会社 IR情報
- 黒田精工株式会社 IR情報
本記事は、企業が公表した決算短信、IR資料、商品・サービス情報などを基に作成したものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。業績予想、事業計画、株価指標は前提条件や市場環境の変化により変動します。投資判断は最新の開示資料を確認したうえで、自身の責任で行ってください。

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