7711 助川電気工業

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助川電気工業 7711 東証S

Sukegawa Electric Co., Ltd.|熱と計測のシステムエンジニアリング企業。シース熱電対、マイクロヒーター、シーズヒーター、溶融金属機器、原子力・核融合関連の試験研究装置を手掛ける。
※2026年6月17日時点の情報

事業内容

2026年6月17日終値ベースの時価総額は約332億円。終値5,650円に、発行済株式数5,870,000株を掛けた概算である。
助川電気工業は1949年2月3日創業、本社は茨城県高萩市、代表者は代表取締役社長の高橋光俊氏、決算期末は9月30日。東京証券取引所スタンダード市場に上場している。
直近の2026年9月期中間期は、売上高3,108百万円、営業利益784百万円、経常利益791百万円、中間純利益561百万円。エネルギー関連事業で研究機関向け原子力関連製品や原子力発電所の再稼働に向けた関連製品が増加し、通期予想は売上高6,070百万円、営業利益1,280百万円に上方修正されている。

エネルギー関連事業

2026年9月期中間期の外部顧客への売上高は1,901百万円、セグメント利益は663百万円。前年同期比では売上高34.1%増、セグメント利益45.6%増となり、直近の成長を主導した事業である。

主な対象は、原子力発電、次世代革新炉、核融合研究、高速炉、溶融金属を扱う研究開発設備である。助川電気工業は、模擬燃料集合体、溶融金属ループ、ナトリウム用電磁ポンプ、ナトリウム用電磁流量計、ナトリウム用液面計などを展開している。

この分野では、一般的な量産部品よりも、高温、高放射線、溶融金属、長期信頼性といった特殊条件への対応力が重要になる。助川電気工業は、熱、計測、加熱、流体制御を組み合わせた受注生産型の装置・部品を供給している。

2026年9月期中間期は、研究機関向け原子力関連製品と原子力発電所の再稼働に向けた関連製品が増加した。受注残高も3,840百万円となっており、エネルギー関連の研究開発投資や原子力関連設備の更新・再稼働対応が、当面の売上を支える材料となっている。

ただし、研究機関や電力関連の案件は大型化しやすく、納入時期や検収時期により売上が期ごとに変動する。政策、予算、研究開発計画、発電所の運転計画に影響を受ける点は、この事業の特徴でもある。

産業システム関連事業

2026年9月期中間期の外部顧客への売上高は1,207百万円、セグメント利益は301百万円。前年同期比では売上高19.9%減、セグメント利益28.7%減となった。

主な製品は、シース熱電対、測温抵抗体、マイクロヒーター、シーズヒーター、信号ケーブル、半導体製造装置関連製品、FPD製造装置関連製品、環境関連設備向け製品、アルミ給湯・鋳造用電磁ポンプ関連製品である。

半導体製造装置やFPD製造装置では、温度の均一性、応答性、耐久性が製造品質に直結する。助川電気工業のシース型熱電対やヒーターは、装置内部の高温環境、真空環境、狭小部位などで使われる熱制御部材として位置づけられる。

2026年9月期中間期は、自動車関連製品と環境関連設備向け製品が減少した一方、半導体製造装置関係は増加傾向に転じ始めた。受注高は1,962百万円、受注残高は1,577百万円となっており、半導体関連需要の回復が続くかが今後の焦点となる。

アルミ溶湯向けでは、電磁ポンプや鋳造関連装置を展開する。自動車、輸送機械、ダイカスト、素材加工などの分野で、溶融アルミを扱う工程の省力化や品質安定に関わる。産業システム関連事業は、半導体市況と自動車・素材設備投資の両方に影響を受ける事業である。

熱と計測の基盤技術

2026年9月期中間期から報告セグメントはエネルギー関連事業と産業システム関連事業の2区分となっている。従来のその他区分は、飲食店の経営等を廃止したことに伴い廃止されている。

助川電気工業の基盤は、MIケーブル、シース熱電対、測温抵抗体、マイクロヒーター、シーズヒーターなどの熱・計測部材である。会社の公式サイトでは、半導体、火力、軽水炉、高速炉、核融合、アルミ用鋳造装置など、幅広い用途が示されている。

同社が初めて国産化したシース熱電対は、細く感度が鋭敏で応用範囲が広いという特徴を持つ。そこから派生した測温、加熱、信号伝送、制御の技術が、エネルギー関連と産業システム関連の両方に横展開されている。

量産品だけで勝負するのではなく、顧客の装置仕様や研究テーマに合わせた受注生産に対応している点が特徴である。小規模ながら、特殊環境向けの設計、加工、検査、組立を一体で行う企業として、研究機関、電力、半導体、機械、素材分野の顧客基盤を持つ。

直近5年業績サマリー

項目(非連結) 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期 2026年9月期
会社予想
売上高 3,698 4,332
+634 / +17.1%
4,577
+245 / +5.7%
4,964
+387 / +8.5%
5,467
+503 / +10.1%
6,070
+603 / +11.0%
営業損益 292 445
+153 / +52.4%
589
+144 / +32.4%
916
+327 / +55.5%
1,165
+249 / +27.2%
1,280
+115 / +9.9%
経常損益 288 468
+180 / +62.5%
596
+128 / +27.4%
916
+320 / +53.7%
1,177
+261 / +28.5%
1,290
+113 / +9.6%
当期純損益 199 325
+126 / +63.3%
397
+72 / +22.2%
637
+240 / +60.5%
794
+157 / +24.6%
903
+109 / +13.7%
EPS(一株利益) 33.98円 55.46円 71.37円 115.68円 144.06円 163.74円
PER(期末日株価ベース) 28.2倍 23.5倍 17.3倍 16.1倍 32.0倍
PBR(期末日株価ベース) 1.61倍 2.10倍 1.94倍 2.43倍 5.19倍
BPS 596.16円 620.56円 638.51円 765.04円 886.74円
純資産 3,498 3,641 3,521 4,219 4,890
営業CF 633 451 65 202 826
投資CF △105 △98 △34 △81 △206
財務CF △188 △179 △750 △344 △336
現金及び現金同等物 998 1,172 453 229 513
単位は百万円。EPSとBPSは円、PERとPBRは倍。PERとPBRは各9月期末営業日の終値を使用して算出している。
2026年9月期会社予想は2026年5月7日公表の通期予想。2026年9月期は期末株価が未確定のためPERとPBRは空欄。直近短信における継続企業の前提に関する注記は該当事項なし。

中期経営計画

中期経営計画資料は未確認、最新業績予想を代替指標として整理

助川電気工業について、公式IR上で具体的な中期経営計画資料は確認できない。そのため、最新の決算短信に記載された通期業績予想と事業方針を代替して整理する。

2026年9月期通期予想は、売上高6,070百万円、営業利益1,280百万円、経常利益1,290百万円、当期純利益903百万円、EPS163.74円である。2025年9月期実績に対して、売上高11.0%増、営業利益9.9%増、経常利益9.6%増、当期純利益13.7%増を見込む。年間配当予想は52円に引き上げられている。

事業戦略の中心は、エネルギー関連事業では原子力関係、次世代革新炉、核融合に関する試験研究関係の需要を取り込むことである。直近中間期でも、研究機関向け原子力関連製品や原子力発電所の再稼働に向けた関連製品が増加している。

産業システム関連事業では、半導体製造装置関係が増加傾向に転じ始めている一方、自動車関連製品と環境関連設備向け製品の減少が足元の重荷になっている。今後は、シース熱電対、シーズヒーター、マイクロヒーター、アルミ用電磁ポンプなどの受注確保が重要になる。

生産面では、受注生産型企業として案件ごとの仕事量が変動しやすいため、人員配置の最適化や多能工化による生産性向上が課題となる。特殊製品の受注増を利益につなげるには、技術力だけでなく、納期管理、原価管理、教育体制の強化が重要となる。
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競合他社

① 横河電機(6841)

時価総額は約1.33兆円。制御、計測、産業オートメーションを中心とする大手で、プラントやエネルギー分野の計測制御システムにおいて、助川電気工業と顧客領域が重なる。

横河電機の2026年3月期は、売上高604,829百万円、営業利益82,555百万円、親会社株主に帰属する当期純利益58,113百万円。規模、海外展開、システム提案力では助川電気工業を大きく上回る。

直接の製品構成は異なるが、温度、流量、圧力、プロセス制御を含む工場・プラント向け計測領域では比較対象となる。助川電気工業が特殊環境向けの装置・部材に強いのに対し、横河電機は制御システム全体の設計・運用に強みを持つ。

② フェローテックホールディングス(6890)

時価総額は約4,900億円。半導体等装置関連事業を主力とし、真空シール、金属加工製品、石英製品、セラミックス製品、CVD-SiC製品、装置部品洗浄、石英坩堝などを展開する。

フェローテックの2026年3月期は、売上高288,933百万円、営業利益27,561百万円、経常利益26,063百万円、親会社株主に帰属する当期純利益14,886百万円。半導体製造装置向け部材の規模と品ぞろえでは大きな存在感がある。

助川電気工業の産業システム関連事業は、半導体製造装置向けの温度センサー、ヒーター、熱制御部材を含む。フェローテックは半導体装置部材・電子デバイス領域で競合または代替候補となり、半導体製造装置メーカーの設備投資サイクルという同じ外部環境に左右されやすい。

③ チノー(6850)

時価総額は約300億円。温度計測、センサ、計装システムを主力とする企業で、助川電気工業とは温度センサー、産業用熱管理、半導体・電子部品製造装置向け計測分野で競合する。

チノーの2026年3月期は、売上高31,648百万円、営業利益3,225百万円、経常利益3,326百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2,042百万円。計測制御機器、計装システム、センサの3分野を展開し、センサセグメントの需要増が業績を支えた。

助川電気工業がシース熱電対、測温抵抗体、マイクロヒーター、特殊試験装置に強みを持つのに対し、チノーは温度計測・監視・制御を含む計装システムの幅広さが特徴である。半導体、電子部品、脱炭素関連試験装置、工場の熱管理では顧客ニーズが重なりやすい。

強みと将来性

原子力・核融合向けの特殊技術と、熱計測部材の横展開力

助川電気工業の強みは、一般的な温度センサーやヒーターにとどまらず、原子力、核融合、高速炉、溶融金属といった特殊環境向けの装置・部材まで対応している点である。高温、腐食、放射線、真空、溶融金属などの条件では、単に部品を作るだけでなく、材料選定、設計、加工、検査、顧客仕様へのすり合わせが重要になる。

2026年9月期中間期では、エネルギー関連事業の売上高が1,901百万円、セグメント利益が663百万円となり、全社利益を大きく支えた。研究機関向け原子力関連製品と原子力発電所の再稼働に向けた関連製品が伸びており、同社の特殊技術が需要に結びついている。

受注面でも、エネルギー関連事業の受注残高は3,840百万円、産業システム関連事業の受注残高は1,577百万円となっている。全社受注残高は5,418百万円で、2025年9月期の年間売上高に近い水準まで積み上がっている。受注生産型企業にとって、受注残の厚みは業績の見通しを支える材料となる。

もう一つの強みは、熱と計測の基盤技術を複数市場に横展開できることである。シース熱電対、測温抵抗体、マイクロヒーター、シーズヒーター、MIケーブルは、半導体製造装置、FPD製造装置、各種プラント、アルミ溶湯機器、研究機関向け試験装置などに応用できる。

将来性では、原子力発電の再稼働、次世代革新炉、核融合研究、半導体製造装置の回復が注目点となる。特に、核融合や次世代炉は研究開発期間が長く、短期で大きな市場になるとは限らないが、特殊な熱・計測技術を持つ企業が限られるため、案件を獲得できれば高い収益性につながりやすい。

2025年9月期の売上高営業利益率は21.3%、2026年9月期中間期の売上高営業利益率は25%を超えている。小型企業ながら利益率が高く、固定費を吸収できる受注水準を維持できれば、売上増が利益に反映されやすい構造を持つ。

半導体製造装置関連については、2026年9月期中間期に増加傾向に転じ始めたとされている。産業システム関連事業は中間期では減収減益だったものの、半導体関連の回復が本格化すれば、エネルギー関連に偏らない収益拡大余地がある。

弱みとリスク要因

案件変動、顧客集中、半導体市況、株価評価の上昇

助川電気工業の弱みは、事業規模が小さく、受注生産型の大型案件に業績が左右されやすい点である。2025年9月期の売上高は5,467百万円であり、横河電機やフェローテックのような大手と比べると、製品ポートフォリオ、海外販売網、資金力の面では限定的である。

2026年9月期中間期の売上では、日本原子力研究開発機構原子力科学研究所、量子科学技術研究開発機構、シンワバネス向けの売上がそれぞれ10%を超えている。研究機関や特定取引先向けの比率が高い場合、案件の発注時期、検収時期、予算執行の変化が四半期業績に影響しやすい。

エネルギー関連事業は好調だが、政策や研究開発計画の影響を受ける。原子力発電所の再稼働、次世代革新炉、核融合関連の予算や研究テーマが変われば、受注の内容や時期も変動する。大型案件ほど仕様変更や納期変更が起こりやすく、原価見積もりの精度が利益を左右する。

産業システム関連事業にもリスクがある。2026年9月期中間期は、半導体製造装置関係が増加傾向に転じ始めた一方、自動車関連製品と環境関連設備向け製品が減少し、同事業は減収減益となった。半導体製造装置関連は市況の波が大きく、顧客の投資計画が遅れると、温度センサーやヒーターなどの需要も弱含みやすい。

収益性が高い一方で、成長期待が株価に織り込まれやすいこともリスクである。2025年9月期末株価ベースのPERは32.0倍、PBRは5.19倍まで上昇しており、過去数年と比べて評価水準は高い。業績予想の未達、受注残の減少、半導体関連の回復遅れ、エネルギー関連案件の期ずれが出た場合、株価の反応は大きくなりやすい。

財務面では自己資本比率が高く、2025年9月期末で64.8%と安定している。ただし、2026年9月期中間期では短期借入金や社債が増加し、負債も増えている。受注増に伴う運転資金、設備投資、研究開発対応が増える局面では、キャッシュフローの動きも確認しておきたい。

受注生産型の企業では、売上が増えても売上債権や仕掛品が増加し、営業キャッシュフローが一時的に圧迫される可能性がある。2026年9月期中間期の営業キャッシュフローは218百万円で、投資キャッシュフローは99百万円の支出、財務キャッシュフローは511百万円の収入となっている。利益だけでなく、資金回収と在庫・仕掛品の動きも継続して確認する必要がある。

出典

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