ジャパンM&Aソリューション 9236 東証G
Japan M&A Solution Incorporated|中小企業の事業承継・会社譲渡・事業売却を支援するM&A仲介・アドバイザリー会社。小規模案件でも相談を断らない方針と、買い手探索ネットワークを特徴としています。
事業内容
2026年6月12日終値ベースの時価総額は約17億円。
ジャパンM&Aソリューションは2019年11月設立、本社を東京都千代田区麹町に置くM&A仲介・アドバイザリー会社です。代表者は三橋透氏、決算期は10月、上場市場は東証グロースで、M&Aアドバイザリー業務、M&A仲介業務、経営コンサルティング業務などを展開しています。
2026年10月期第2四半期は、売上高526百万円、営業利益142百万円、経常利益159百万円、中間純利益127百万円でした。2026年6月11日に通期業績予想を上方修正し、2026年10月期予想は売上高990百万円、営業利益178百万円、経常利益196百万円、当期純利益143百万円、EPS96.71円となっています。
M&A仲介・アドバイザリーサービス
主力事業は、中小企業の事業承継、会社譲渡、事業売却を対象とするM&A仲介・アドバイザリーです。
売り手企業と買い手企業の間に入り、譲渡相談、企業価値評価、買い手探索、条件交渉、契約手続き、成約までのプロセスを支援します。
公式サイトでは、会社譲渡だけでなく、事業売却、事業承継、成長戦略のためのM&Aなど幅広い相談に対応する方針が示されています。
中小企業の後継者不足や経営者の高齢化を背景に、M&Aを事業承継の選択肢として活用する需要は継続的に存在します。
同社は、相談段階から専任担当者が対応し、案件化、買い手候補の抽出、交渉支援までを一貫して行うモデルです。
成功報酬型の収益構造であるため、案件の成約件数と成約単価が業績を大きく左右します。
小規模案件にも対応する「断らない」方針
同社の特徴は、小規模案件でも原則として相談を断らない方針を掲げている点です。
公式サイトでは、赤字企業、小規模会社、大規模案件、スキーム案件を含め、相談されたら断らないM&A支援を行う姿勢が説明されています。
中小企業M&Aでは、案件規模が小さいほど仲介会社にとって採算が取りにくく、支援対象から外れやすいケースがあります。
その中で、小規模案件まで受けることで、後継者不在や事業承継に悩む経営者の受け皿になりやすい点が差別化要素です。
手数料体系についても、企業価値ではなく譲渡金額をベースに算定することや、売り手側の最低手数料を抑えることを訴求しています。
一方で、小規模案件を多く扱う場合、1件当たりの収益性や担当者の生産性を高める仕組みが重要になります。
買い手探索ネットワークと提携先チャネル
M&A仲介では、買い手候補をどれだけ広く、適切に探せるかが成約率に直結します。
同社は、中小企業の買い手データベース、金融機関、税理士・会計士、提携先ネットワークなどを活用して買い手探索を行っています。
公式サイトでは、独自ネットワークを生かした相手先探索や、スピーディーかつ質の高いM&Aを強みとして掲げています。
2026年10月期の業績予想修正では、AI Longlist Creation Systemの活用や社内買い手探索機能の強化により、外部紹介手数料の低減が進んだことも利益改善要因として示されています。
買い手候補リスト作成を効率化できれば、担当者の生産性向上、案件対応数の増加、粗利率改善につながる可能性があります。
提携先の獲得と深耕は、同社の中期的な案件獲得力を左右する重要なテーマです。
関連事業・直接案件獲得の強化
同社は、従来のM&A仲介だけでなく、関連事業や直接案件獲得の強化も進めています。
中期経営計画資料では、人材採用・育成、提携先獲得・深耕に加え、関連事業への進出と直接案件獲得の強化が成長戦略として示されています。
第2四半期決算説明資料では、飲食業や歯科業界など業種特化型M&A、ファンドビジネス、成長企業支援、買い手側FA業務などへの取り組みが示されています。
2026年10月期の業績予想修正では、ファンドビジネスにおける初成約案件が、利益率の高い大型案件として業績を押し上げたことが説明されています。
これらの取り組みは、従来の仲介手数料に依存しすぎない収益機会を広げる狙いがあります。
ただし、新規事業や業種特化型施策は実績の積み上げが必要であり、継続的に案件を創出できるかが確認点となります。
直近5年業績サマリー
| 項目 | 2021年10月期 | 2022年10月期 | 2023年10月期 | 2024年10月期 | 2025年10月期 | 2026年10月期予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 342 (+139.1%) |
434 (+27.0%) |
752 (+73.4%) |
602 (-20.0%) |
654 (+8.6%) |
990 (+51.3%) |
| 営業損益 | 38 | 60 | 176 | -14 | -56 | 178 |
| 経常損益 | 47 | 61 | 168 | -14 | -52 | 196 |
| 当期純損益 | 31 | 43 | 125 | -11 | -85 | 143 |
| EPS | 26.93円 | 36.15円 | 104.02円 | -7.78円 | -56.62円 | 96.71円 |
| BPS | 173.38円 | 209.54円 | 433.93円 | 465.40円 | 383.70円 | ー |
| 純資産 | 207 | 251 | 597 | 702 | 584 | ー |
| 営業CF | 79 | 31 | 200 | -118 | 7 | ー |
| 投資CF | 1 | -51 | 11 | -1 | -6 | ー |
| 財務CF | 25 | 0 | 221 | 113 | -47 | ー |
| 現金及び現金同等物 | 241 | 221 | 656 | 649 | 604 | ー |
| PER(期末日株価ベース) | ー | ー | 20.1倍 | ー | ー | ー |
| PBR(期末日株価ベース) | ー | ー | 4.81倍 | 2.14倍 | 2.62倍 | ー |
PER・PBRは期末日終値をもとに算出しています。2021年10月期及び2022年10月期は上場前のため算出していません。EPSがマイナスの期及び会社予想期のPER・PBRは算出していません。2022年1月1日付で普通株式1株につき2,000株の株式分割を実施しており、1株当たり指標は分割影響を遡及修正した数値です。
中期経営計画
中期経営計画と2026年10月期の進捗
同社は中期経営計画資料において、人材採用・人材育成、提携先獲得・深耕、関連事業への進出及び直接案件獲得の強化を成長戦略として掲げています。
第2四半期決算説明資料では、2029年10月期のKPIとして、アドバイザリー契約締結件数1,800件、成約組数600組を目標に掲げています。
2026年10月期は、アドバイザリー契約締結件数634件、成約組数103組を計画し、第2四半期までの実績はアドバイザリー契約締結件数263件、成約組数44組でした。
具体策として、AI Longlist Creation Systemの活用、CRM及びSFAの整備、買い手探索機能の内製化、提携先ネットワークの拡充、業種特化型M&A、ファンドビジネス、成長企業支援、買い手側FA業務などを進めています。
2026年10月期の会社予想は、2026年6月11日に上方修正され、売上高990百万円、営業利益178百万円、経常利益196百万円、当期純利益143百万円、EPS96.71円となりました。
上方修正の背景として、ファンドビジネス初の高収益案件の成約、AIを活用した買い手候補リスト作成、社内探索機能強化による外部紹介手数料の低減、売上総利益率の改善、販売管理費の抑制が挙げられています。
併せて、2026年10月期の期末配当予想は1株当たり10円に修正されています。
強みと注目点
① 小規模・中小企業案件に寄り添う差別化
ジャパンM&Aソリューションの強みは、小規模案件でも相談を断らない方針を明確に打ち出していることです。
中小企業のM&Aでは、案件規模が小さい、赤字である、スキームが複雑であるといった理由で、仲介会社が積極的に取り組みにくいケースがあります。
同社はその領域を支援対象とすることで、後継者不在や事業承継に悩む中小企業経営者の受け皿になりやすい立ち位置を取っています。
手数料体系も、売り手企業にとって相談しやすい設計を訴求しており、初期接点の獲得に有利に働く可能性があります。
中小企業の事業承継問題は短期的なテーマではなく、継続的に発生する社会課題です。
同社が小規模案件を効率よく成約まで導ける体制を構築できれば、大手仲介会社とは異なる市場ポジションを確立できます。
ただし、小規模案件は1件当たり手数料が限られるため、担当者の生産性や成約率の改善が利益成長の前提になります。
② 買い手探索の内製化とAI活用による粗利率改善
M&A仲介では、売り手企業に適した買い手候補をどれだけ早く、広く、精度高く探せるかが重要です。
同社は、買い手データベース、金融機関、税理士・会計士などの提携先ネットワークを活用し、買い手探索力を強化しています。
さらに、2026年10月期の業績予想修正では、AI Longlist Creation Systemの活用や社内買い手探索機能の強化により、外部紹介手数料が低減したことが説明されています。
外部紹介に頼りすぎず、社内で買い手候補を探索できる体制が進めば、売上総利益率の改善につながります。
第2四半期までの売上総利益率は前年同期比で改善しており、システム化と内製化の効果が数字に表れ始めている点は注目です。
AIは外販事業ではなく、同社のM&A実務を効率化するための社内ツールとして位置付けられます。
そのため、タグ上はAI関連銘柄とはせず、M&A仲介会社の業務効率化施策として整理しています。
③ 2026年10月期予想の上方修正と黒字転換見通し
2026年6月11日に、2026年10月期通期業績予想が上方修正されました。
営業利益は108百万円から178百万円、経常利益は129百万円から196百万円、当期純利益は109百万円から143百万円へ引き上げられています。
2025年10月期は営業損失56百万円、経常損失52百万円、当期純損失85百万円であったため、2026年10月期は黒字転換が見込まれる形です。
第2四半期時点では、売上高526百万円、営業利益142百万円、経常利益159百万円、中間純利益127百万円となっており、上方修正後の通期予想に対しても利益進捗は高い水準です。
ファンドビジネス初の成約案件が利益率の高い大型案件となったことも、収益源の広がりを示す材料です。
さらに、期末配当予想が1株当たり10円に修正された点は、赤字だった前期からの業績回復を投資家に示す動きといえます。
もっとも、M&A仲介は案件成約時期に利益が偏りやすいため、第2四半期までの高進捗を通期でどこまで維持できるかが今後の確認点です。
弱み・リスク要因
① M&A成約時期に左右される業績変動リスク
同社の収益は、M&A案件の成約によって発生する成功報酬に大きく依存します。
そのため、案件のクロージング時期が四半期をまたぐだけでも、売上高や利益が大きく変動しやすい構造です。
2023年10月期は売上高752百万円、経常利益168百万円と大きく伸びましたが、2024年10月期と2025年10月期は赤字となりました。
これは、M&A仲介業において案件数、成約単価、成約時期、外部紹介手数料、販売管理費のバランスが業績を大きく左右することを示しています。
2026年10月期は上方修正により黒字転換が見込まれていますが、ファンドビジネスの大型案件や粗利率改善がどこまで継続するかは確認が必要です。
成約件数が計画を下回った場合、固定費の負担が利益を圧迫する可能性があります。
投資判断では、売上高だけでなく、成約組数、アドバイザリー契約締結件数、売上総利益率、販売管理費の推移を合わせて見る必要があります。
② 人材採用・育成と生産性向上の実行リスク
M&A仲介は、担当アドバイザーの経験、交渉力、買い手探索力、案件管理力に依存しやすい事業です。
同社は中期経営計画で、人材採用と人材育成を成長戦略の柱に掲げています。
アドバイザーを増やせば案件対応能力は高まりますが、採用した人材が短期間で成約に貢献できるとは限りません。
教育期間中は人件費が先行し、成約件数が伸びなければ利益率が低下する可能性があります。
また、小規模案件を多く扱う場合、1件当たり手数料が限られるため、担当者1人当たりの成約数や粗利額を高める仕組みが重要になります。
AI Longlist Creation SystemやCRM、SFAの導入は生産性向上に寄与する可能性がありますが、実務現場で十分に活用されるまでには運用定着が必要です。
採用、育成、システム化、案件獲得が同時に進まない場合、固定費増加が収益を圧迫するリスクがあります。
③ M&A仲介に伴う規制・レピュテーションリスク
M&A仲介会社は、売り手と買い手の双方に関与するため、情報管理、利益相反管理、説明責任、契約条件の妥当性が重要です。
同社は中小M&Aガイドラインへの準拠や社内管理体制の整備を掲げていますが、仲介業務ではトラブルや不成立案件が発生する可能性があります。
買い手候補の選定、企業価値評価、条件交渉、デューデリジェンス、契約締結後の引き継ぎなど、各工程で慎重な対応が求められます。
特に中小企業M&Aでは、オーナー経営者の個別事情、従業員・取引先への影響、簿外債務や法務リスクなど、案件ごとの差が大きくなります。
不適切なマッチングや説明不足が生じた場合、評判低下や提携先からの紹介減少につながる可能性があります。
また、同社は時価総額が小さいグロース市場銘柄であり、業績開示や成約見通しに対して株価が大きく反応しやすい面があります。
事業拡大局面では、成長スピードだけでなく、内部統制、コンプライアンス、案件品質の維持が重要になります。
出典
本ページは以下の一次情報をもとに作成しています。
- 株式会社ジャパンM&Aソリューション 公式サイト
- 株式会社ジャパンM&Aソリューション 事業内容
- 株式会社ジャパンM&Aソリューション 会社概要
- 株式会社ジャパンM&Aソリューション 財務ハイライト
- 株式会社ジャパンM&Aソリューション IR情報
- 株式会社ジャパンM&Aソリューション IRニュース
- 株式会社ジャパンM&Aソリューション 決算短信
- 株式会社ジャパンM&Aソリューション 決算説明資料
- 2026年10月期 第2四半期決算短信
- 2026年10月期 第2四半期決算説明資料
- 2026年10月期業績予想の修正に関するお知らせ
- 剰余金の配当に関するお知らせ
本記事は公開情報に基づく企業分析であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。

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