4667 アイサンテクノロジー

銘柄紹介

公共セグメント

公共セグメント|業績推移
売上高・セクター利益(百万円)/利益率(%)
売上高利益損失
事業内容:公共セグメントは、測量・不動産登記市場を中心に、業務効率化を支える専用ソフトウェアの企画・開発・販売・保守を行う事業です。主力の「Wingneo INFINITY」に加え、3D点群処理「WingEarth」、点群CAD「ANIST」、測量設計向け「ANIST-Modeler」、各種測量計測機器、測量請負などを展開します。高精度位置情報、3D点群、測量専用CADの3技術を核とし、4,000超のユーザー基盤と全国販売網を活用。i-Construction、国土強靭化、都市計画、防災、不動産登記DXなど社会インフラのデジタル化需要を取り込み、ソフト販売と継続保守による安定収益を形成しています。

モビリティ・DXセグメント

モビリティ・DXセグメント|業績推移
売上高・セクター利益(百万円)/利益率(%)
売上高利益損失
事業内容:モビリティ・DXセグメントは、測量・地理空間情報技術を基盤に、自動運転と都市・インフラDXを一体で展開する成長事業です。MMSやドローン等による三次元計測、高精度三次元地図の構築、自動運転車両・システムの開発販売、全国の自治体・交通事業者向け社会実装支援までをワンストップで提供します。ティアフォー等のパートナーとLevel4実装を進めるほか、点群・都市モデル・行政データを統合する「DEXIO™」により、都市計画、道路・インフラ管理、交通DX、デジタルツインへ用途を拡大。実証から継続運行・保守へ収益モデルの転換を進めています。
2025年3月期から「モビリティセグメント」に自治体・土木・建設・交通・自動車分野を横断するDX事業を加え、「モビリティ・DXセグメント」へ変更。2024年3月期は2025年3月期短信で組み替えられた比較数値を使用しています。2022~2023年3月期は旧モビリティ区分を連続表示。「その他」は不動産賃貸業で、報告セグメントに含まれないため独立グラフ対象外です。

直近5年業績サマリー

業績項目2022年3月期2023年3月期2024年3月期 2025年3月期2026年3月期2027年3月期
Q1
2027年3月期
予想
売上高
4,190.8
+601.7 / +16.8%
4,463.4
+272.6 / +6.5%
5,478.5
+1,015.1 / +22.7%
6,220.6
+742.1 / +13.5%
7,593.1
+1,372.5 / +22.1%
1,237.5
+124.7 / +11.2%
8,000.0
最新会社予想
営業損益
257.5
+12.7 / +5.2%
331.3
+73.8 / +28.6%
449.6
+118.3 / +35.7%
449.4
△0.2 / △0.0%
760.5
+311.1 / +69.2%
6.8
+14.5 / +187.3%
850.0
最新会社予想
経常損益
253.4
+10.9 / +4.5%
330.9
+77.4 / +30.6%
455.7
+124.8 / +37.7%
445.0
△10.6 / △2.3%
761.2
+316.1 / +71.0%
4.6
+13.2 / +153.8%
830.0
最新会社予想
当期純利益
203.3
+21.5 / +11.8%
240.7
+37.4 / +18.4%
340.4
+99.6 / +41.4%
286.2
△54.1 / △15.9%
522.0
+235.8 / +82.4%
-46.2
△46.4 / △17324.6%
547.0
最新会社予想
EPS
36.74円
+3.93 / +12.0%
44.26円
+7.52 / +20.5%
62.52円
+18.26 / +41.3%
53.07円
△9.45 / △15.1%
98.95円
+45.88 / +86.5%
-8.74円
△8.79 / △17580.0%
34.56円
最新会社予想
一株配当金
13.00円
±0.00 / +0.0%
15.00円
+2.00 / +15.4%
20.00円
+5.00 / +33.3%
25.00円
+5.00 / +25.0%
37.00円
+12.00 / +48.0%
15.00円
最新会社予想
純資産
5,746.0
△59.0 / △1.0%
6,044.0
+298.0 / +5.2%
6,310.0
+266.0 / +4.4%
6,349.0
+39.0 / +0.6%
6,673.0
+324.0 / +5.1%
6,426.0
△247.0 / △3.7%
予想なし
営業CF
586.1
+178.1 / +43.7%
391.7
△194.4 / △33.2%
-240.2
△631.9 / △161.3%
933.8
+1,174.0 / +488.7%
865.3
△68.5 / △7.3%
四半期CF非開示
予想なし
投資CF
-201.8
△75.8 / △60.2%
-209.4
△7.6 / △3.8%
-125.5
+83.9 / +40.1%
-174.2
△48.7 / △38.8%
34.2
+208.4 / +119.6%
四半期CF非開示
予想なし
財務CF
-320.5
△143.5 / △81.1%
-122.3
+198.2 / +61.8%
-47.8
+74.5 / +60.9%
-427.6
△379.8 / △795.2%
746.8
+1,174.4 / +274.6%
四半期CF非開示
予想なし
フリーCF
384.3
+102.3 / +36.3%
182.3
△202.0 / △52.6%
-365.7
△548.0 / △300.6%
759.6
+1,125.3 / +307.7%
899.5
+139.9 / +18.4%
四半期CF非開示
予想なし
受注残高
72.8
比較データなし
301.6
+228.8 / +314.4%
175.5
△126.1 / △41.8%
1,024.5
+849.0 / +483.7%
1,170.1
+444.4 / +61.2%
予想なし
各セル下段は前年差/昨年比。2027年3月期Q1の損益項目は前年同期比、純資産は前期末比です。フリーCF=営業CF+投資CF。Q1ではキャッシュ・フロー計算書が作成されていないためCFは非表示。受注残高は「当該年度に収益計上予定の請負契約」の合計で、2022年3月期短信には同形式の記載がありません。2027年3月期予想のEPS34.56円・配当15円は1株→3株の株式分割後換算で、配当は分割前換算45円です。2022年短信の訂正後EPS予想39.21円をTask3で使用。2025年短信の訂正は個別財政状態のみで、連結数値には影響ありません。
1.会社予想と実績

2022年3月期から2026年3月期は期首の通期会社予想と通期実績を比較。2027年3月期は最新会社予想と第1四半期実績を比較しています。

売上高|会社予想と実績売上高期首会社予想と通期実績/2027年3月期はQ1実績会社予想実績4,450.04,190.82022/3達成率 94.2%4,600.04,463.42023/3達成率 97.0%5,700.05,478.52024/3達成率 96.1%6,000.06,220.62025/3達成率 103.7%7,200.07,593.12026/3達成率 105.5%8,000.01,237.5 Q12027/3単純進捗 15.5%単位:百万円
青=会社予想、赤=実績。2027年3月期はQ1累計の単純進捗。EPSのみ株式分割後換算のQ1値を比較しています。
営業利益|会社予想と実績営業利益期首会社予想と通期実績/2027年3月期はQ1実績会社予想実績220.0257.52022/3達成率 117.0%320.0331.32023/3達成率 103.5%500.0449.62024/3達成率 89.9%350.0449.42025/3達成率 128.4%600.0760.52026/3達成率 126.7%850.06.8 Q12027/3単純進捗 0.8%単位:百万円
青=会社予想、赤=実績。2027年3月期はQ1累計の単純進捗。EPSのみ株式分割後換算のQ1値を比較しています。
経常利益|会社予想と実績経常利益期首会社予想と通期実績/2027年3月期はQ1実績会社予想実績210.0253.42022/3達成率 120.7%310.0330.92023/3達成率 106.7%490.0455.72024/3達成率 93.0%335.0445.02025/3達成率 132.9%580.0761.22026/3達成率 131.2%830.04.6 Q12027/3単純進捗 0.6%単位:百万円
青=会社予想、赤=実績。2027年3月期はQ1累計の単純進捗。EPSのみ株式分割後換算のQ1値を比較しています。
親会社株主帰属純利益|会社予想と実績親会社株主帰属純利益期首会社予想と通期実績/2027年3月期はQ1実績会社予想実績147.0203.32022/3達成率 138.3%217.0240.72023/3達成率 110.9%332.0340.42024/3達成率 102.5%221.0286.22025/3達成率 129.5%382.0522.02026/3達成率 136.7%547.0△46.2 Q12027/3単純進捗 -8.4%単位:百万円
青=会社予想、赤=実績。2027年3月期はQ1累計の単純進捗。EPSのみ株式分割後換算のQ1値を比較しています。
EPS|会社予想と実績EPS期首会社予想と通期実績/2027年3月期はQ1実績会社予想実績26.5236.742022/3達成率 138.5%39.2144.262023/3達成率 112.9%59.8362.522024/3達成率 104.5%40.6053.072025/3達成率 130.7%70.8398.952026/3達成率 139.7%34.56△2.91 Q12027/3単純進捗 -8.4%単位:円
青=会社予想、赤=実績。2027年3月期はQ1累計の単純進捗。EPSのみ株式分割後換算のQ1値を比較しています。
指標2022/32023/32024/32025/32026/32027/3
予想実績達成率予想実績達成率予想実績達成率予想実績達成率予想実績達成率予想実績達成率
売上高
(百万円)
4,450.04,190.894.2%4,600.04,463.497.0%5,700.05,478.596.1%6,000.06,220.6103.7%7,200.07,593.1105.5%8,000.01,237.5Q1累計15.5%単純進捗
営業利益
(百万円)
220.0257.5117.0%320.0331.3103.5%500.0449.689.9%350.0449.4128.4%600.0760.5126.7%850.06.8Q1累計0.8%単純進捗
経常利益
(百万円)
210.0253.4120.7%310.0330.9106.7%490.0455.793.0%335.0445.0132.9%580.0761.2131.2%830.04.6Q1累計0.6%単純進捗
親会社株主帰属純利益
(百万円)
147.0203.3138.3%217.0240.7110.9%332.0340.4102.5%221.0286.2129.5%382.0522.0136.7%547.0-46.2Q1累計-8.4%単純進捗
EPS
(円)
26.5236.74138.5%39.2144.26112.9%59.8362.52104.5%40.6053.07130.7%70.8398.95139.7%34.56-2.91分割後換算/報告値△8.74円-8.4%単純進捗

達成率=実績÷期首会社予想×100。2027年3月期はQ1実績÷最新通期予想の単純進捗率で、季節性・案件計上時期は調整していません。2027年3月期EPS予想は株式分割後換算のため、Q1報告EPS△8.74円を3分の1の△2.91円に換算して比較しています。

2.達成・未達理由
2022年3月期売上未達、利益4指標は達成
売上 94.2%営業 117.0%経常 120.7%純利益 138.3%EPS 138.5%

売上高は期初予想4,450百万円に届きませんでした。半導体不足による測量・MMS機器の供給制約や、新中計に基づく人財・研究開発投資が重荷となった一方、WingEarthやGEOMARKETの販売、三和の子会社化による三次元データ取得能力・原価改善、モビリティ案件の納品が寄与。営業利益以下は予想を上回りました。

2023年3月期売上のみ小幅未達、利益4指標は達成
売上 97.0%営業 103.5%経常 106.7%純利益 110.9%EPS 112.9%

売上高は4,600百万円予想に対し4,463百万円と小幅未達。半導体不足や部品納期長期化の影響が続いたほか、高精度三次元地図など一部案件は伸び悩みました。一方、WingneoINFINITY等の保守契約増加、各種販売施策、MMS保守・ソフト販売、請負案件の年度内納品が利益を支え、営業・経常・純利益は計画を上回りました。

2024年3月期売上・営業・経常未達、純利益・EPS達成
売上 96.1%営業 89.9%経常 93.0%純利益 102.5%EPS 104.5%

公共では新たな自社ソリューションのリリース遅延、WingneoINFINITY等の販売苦戦、MMSの一部案件が補助金利用の関係で翌期納品となったことが未達要因です。モビリティは社会実装案件の増加で成長しましたが、先行投資も継続。最終利益は秋測の子会社化に伴う負ののれん発生益などもあり、会社予想をわずかに上回りました。

2025年3月期全5指標を達成
売上 103.7%営業 128.4%経常 132.8%純利益 129.5%EPS 130.7%

点群CAD「ANIST」の販売が計画を上回り、モビリティ・DXでは自動運転社会実装事業の採択増、新規顧客開拓、三次元地図の原価低減が寄与。公共の測量請負は弱かったものの、高付加価値ソフトとモビリティ案件の伸長が吸収し、売上・各利益とも期首計画を大幅に上回りました。

2026年3月期全5指標を大幅達成
売上 105.5%営業 126.7%経常 131.2%純利益 136.7%EPS 139.7%

公共ではWindows10サポート終了と作業規程改正に対応したWingneo INFINITYの更新提案、官公庁大型案件が好調。モビリティ・DXでは全国の自動運転社会実装案件、高精度三次元地図、車両・システム構築が伸びました。両主要セグメントで増収増益となり、営業利益760百万円は期首600百万円を大きく上回りました。

2027年3月期 第1四半期通期予想据え置き・年度末偏重
売上 単純進捗15.5%営業 単純進捗0.8%経常 単純進捗0.6%純利益はQ1赤字

Q1売上は前年同期比11.2%増、営業・経常損益は前年同期の赤字から小幅黒字へ転換しました。公共はWingneo、WingEarth、ANIST、ATM’Sが堅調。モビリティ・DXは増収ながら先行投資と案件の年度末計上により赤字です。会社はもともと第2四半期まで利益項目の赤字を計画しており、Q1時点の通期予想は据え置いています。

3.事業セグメントの自信度

2024年3月期以前の旧「モビリティセグメント」は、事業の連続性から現行「モビリティ・DXセグメント」の前身として掲載しています。原文コメントは各年度カード内にのみ掲載しています。

公共セグメント

自信度推移:強気 → 強気 → 弱気 → 強気 → 非常に強気 → 強気
2022年3月期 強気
「WingEarth Version2」をリリースすると共に、専用サポートサービスである「WingEarth-ATM’S」を提供開始したことで、販売は順調に推移しました。

新製品・保守サービスの拡張と三和の連結化で売上を伸ばしました。

2023年3月期 強気
前連結会計年度の自社ソフトウェア販売が堅調に推移したことからサポートサービスの新規契約、契約更新による売上が増加しました。

ストック性のある保守契約が増加し、利益率も上昇しました。

2024年3月期 弱気
新たな自社ソリューションのリリースが遅延したことにより、既存の主力製品を中心とした営業活動を行ってまいりましたが、総じて苦戦した結果となりました。

開発遅延と既存製品の伸び悩みが明確で、短期の自信度は低下しました。

2025年3月期 強気
新製品「ANIST」は、事前のプロモーションを積極的に行ったことで、お客様、販売店からの期待感もあり、販売は計画を上回りました。

新製品が計画超過となり、製品開発の成果が収益へ転化しました。

2026年3月期 非常に強気
「Wingneo INFINITY」は、アップデート提案が好調に推移したほか、官公庁での大型案件の受注に伴い、前連結会計年度と比較して売上高は増加しました。

大型受注と更新需要が重なり、売上・利益とも大きく伸長しました。

2027年3月期 Q1 強気
価格改定についてはお客様からのご理解も得られており、保守契約の継続状況も良好に推移していることから、安定的な収益の確保に繋がっております。

保守契約の安定性に加え、WingEarth・ANISTの販売も増加。Q1利益率30.2%と高水準です。

モビリティ・DXセグメント

自信度推移:強気 → 中立 → 強気 → 非常に強気 → 非常に強気 → 強気
2022年3月期 強気
自動車業界における各社の投資意欲も継続し、新たな商談が発生しております。

案件獲得と三和連結による生産能力・原価改善が進みました。

2023年3月期 中立
部品の納期が長期化することで想定よりも納品が遅れた案件も発生しておりましたが、翌年度へ繰越することなく、当連結会計年度内に成果物を納品することができました。

需要はあるものの供給制約と案件進行リスクが残り、売上は伸び悩みました。

2024年3月期 強気
自動走行の実用化に向けた実証実験の実施は第4四半期に集中し、売上を計上しました。その結果、前連結会計年度と比較し、売上高・利益ともに増加しました。

社会実装案件が増え、投資フェーズながら増収増益を実現しました。

2025年3月期 非常に強気
新規顧客の開拓に加え、自動運転社会実装推進事業の採択が増加することで、需要も比例して増加しました。

売上29.3%増、セグメント利益58.3%増。原価低減も利益率改善につながりました。

2026年3月期 非常に強気
全国67件の採択事業のうち17地域に参画し、業界をリードしています。

社会実装の参加地域が広がり、売上・利益とも過去最高水準へ拡大しました。

2027年3月期 Q1 強気
公共セグメント、モビリティ・DXセグメントともに多方面から受注を獲得しており、前年同期と比較して受注件数・規模は増加しております。

Q1損失は続くものの、受注残は前年同期比で大幅増。会社は年度末の収益計上を明確に見込んでいます。

4.最新予想信頼度
判定:やや高い(年度末偏重を前提)Q1の表面進捗は低いが、会社計画の季節性と受注残を踏まえると達成余地は十分
売上高予想8,000Q1単純進捗 15.5%
営業利益予想850Q1単純進捗 0.8%
経常利益予想830Q1単純進捗 0.6%
純利益予想547Q1は△46百万円
請負受注残1,170百万円 / 前年同期比+61.3%

達成できると判断する理由

  • 会社は2027年3月期計画策定時点から「第2四半期累計までは各利益項目の損失」を想定していましたが、Q1は営業・経常利益が小幅黒字となりました。
  • 請負受注残は公共67.7百万円、モビリティ・DX1,102.3百万円、合計1,170.1百万円。前年同期の725.6百万円から約61%増加しています。
  • 公共Q1は売上8.4%増、利益18.7%増。Wingneo、WingEarth、ANIST、ATM’S保守と複数の収益源が機能しています。
  • モビリティ・DXのQ1売上は19.2%増。損失額は拡大しましたが、利益率は△47.0%から△42.7%へ改善し、案件規模も増えています。
  • 2025年3月期・2026年3月期は主要5指標をすべて期首予想以上で着地しており、直近2年は計画を上回る実績が続いています。

達成できないと判断する理由

  • Q1時点の売上単純進捗15.5%は四半期均等の25%を下回り、営業利益は850百万円予想に対し6.8百万円にとどまります。
  • モビリティ・DXはQ1で156.8百万円のセグメント損失。先行人財・研究開発・車両・システム投資が利益を圧迫しています。
  • 自動運転社会実装や三次元計測は請負案件が多く、検収・納品時期のずれが売上・利益の年度間変動につながります。
  • 自動車関連企業の投資意欲、測量機器の仕入コスト・供給、官公庁案件の入札環境など外部要因の影響を受けます。
  • 2027年3月期は前期実績から売上5.4%増、営業利益11.8%増を計画しており、年度末案件の確実な納品と採算管理が必要です。
収益計上時期への注意:会社は、モビリティ・DXや子会社の請負業務の収益比重が高まり、収益計上が年度末に集中する傾向が年々強まっていると説明しています。2027年3月期Q1短信でも「第4四半期に大きく売上高が伸長する見込」と明記しているため、Q1の15.5%という売上進捗だけで未達と判断するのは適切ではありません。上記進捗率はすべて単純計算です。

アイサンテクノロジー(4667)
最新中期経営計画を分析

中期経営計画:Development & Evolution
計画期間:2025年3月期~2027年3月期
最終年度:2027年3月期
結論: アイサンテクノロジーの中期経営計画は、 前中計で行った先行投資を 「収益へ転換する3年間」と位置付けている。 コアの公共セグメントで安定収益を拡大する一方、 自動運転・高精度3次元地図・インフラDXを担う モビリティ・DXセグメントを次の収益柱へ育成し、 2027年3月期に売上高80億円・営業利益8.5億円を目指す。

① 企業が掲げる目標業績数字

2027年3月期 売上高
80億円
2026年3月期実績75.93億円から約5.4%増
2027年3月期 営業利益
8.5億円
2026年3月期実績7.60億円から約11.8%増
営業利益率
10.6%
収益力改善が中計の重要テーマ
経常利益
8.3億円
2027年3月期目標
親会社株主帰属純利益
5.47億円
2027年3月期目標
ROE
8.0%
中計策定時の最終年度目標。2026年3月期実績は8.2%。
指標 2026年3月期実績 2027年3月期目標 達成に必要な変化
売上高 75.93億円 80.00億円 約+5.4%
営業利益 7.60億円 8.50億円 約+11.8%
営業利益率 10.0% 10.6% 約+0.6pt
経常利益 7.61億円 8.30億円 約+9.1%
当期純利益 5.22億円 5.47億円 約+4.8%
中計2年目は計画を上振れ:
2026年3月期の当初中計目標は 売上高72億円・営業利益6億円だったが、 実績は売上高75.93億円・営業利益7.60億円。 売上高は計画比約5.5%、営業利益は約26.7%上回っており、 最終年度80億円・8.5億円との距離は大きく縮小している。

セグメント別の最終年度目標

セグメント 2027年3月期 売上高 利益 営業利益率
公共 37.57億円 6.55億円 17.4%
モビリティ・DX 42.33億円 4.32億円 10.2%
数値面のポイント:
2026年3月期時点で全社営業利益率は既に10.0%まで上昇している。 したがって最終年度は、単純な売上拡大だけでなく、 高収益な自社ソフトウェア・サービスの拡販と生産性向上によって 10.6%まで利益率を引き上げられるかが焦点となる。

② 目標達成へのロードマップ

STEP 1
前中計の投資を収益へ転換
前中計「Investment & Innovation」で進めた 研究開発、人財、自動運転、高精度三次元技術への投資を継続しながら、 今中計では製品・サービスとして収益化する。
STEP 2
公共セグメントで安定収益を拡大
主力測量CAD「Wingneo INFINITY」、 点群重畳CAD「ANIST」などの自社製品を強化。 新製品・サービスの継続投入、販売店との連携、 営業拠点拡張により既存顧客基盤からの収益を拡大する。
STEP 3
3次元測量・インフラDXへ市場を拡張
三次元点群データ、デジタルツイン、 ICTを利用した測量業務管理などへ用途を広げる。 高精度位置情報と三次元技術を、 従来の測量市場以外でも収益化する。
STEP 4
自動運転を「実証」から「社会実装ビジネス」へ
A-Driveと連携し、全国の自治体・交通事業者向けに 自動運転車両構築、高精度3次元地図、運行支援等を提供。 これまで蓄積した実証ノウハウを、 継続収入につながるストック型ビジネスへ転換する。
STEP 5
モビリティ・DXの収益性を高める
自社ソリューション領域を拡張し、 高精度三次元地図の生産性を向上。 三次元データを利用した新たなDX収益モデルを構築し、 モビリティ・DXセグメントを公共事業に並ぶコア事業へ育成する。
全社基盤
開発・人財・営業・資本効率を同時強化
製品開発力、人財獲得・育成、 データを活用した「科学的営業」を強化。 AI・クラウドによる社内生産性向上も進め、 ROE・ROIC・PBRを意識した資本効率経営へ移行する。
成長モデルを整理すると:
「測量CADの安定収益」 + 「3次元データ・インフラDX」 + 「自動運転社会実装」 の3層構造で80億円を目指している。

特にモビリティ・DXについては、 実証実験を受託する段階から、 社会実装後も継続収益が発生する事業モデルへ移れるか が中長期の企業価値を左右する。

最終年度の現在地 ― 2027年3月期 第1四半期

1Q 売上高
12.37億円
前年同期比+11.2%
1Q 営業利益
約0.07億円
前年同期の営業赤字から黒字転換
通期目標
据え置き
売上80億円・営業利益8.5億円
1Qセグメント 売上高 セグメント利益 状況
公共 8.69億円 2.62億円 Wingneo INFINITYの更新、ANIST等が寄与し増収増益。
モビリティ・DX 3.67億円 ▲1.57億円 売上は前年同期比19.2%増。人財投資等が先行し赤字。
進捗率だけで判断しにくい点に注意: モビリティ・DXでは請負案件の納品・収益計上が 第4四半期に集中する傾向が年々強まっている。 そのため1Qの単純な通期進捗率よりも、 受注残・案件進捗・第4四半期の納品状況が重要になる。

③ 目標達成リスク

会社が開示するリスク 発生可能性・影響度 中期計画への影響
自動運転社会実装における事故 1~3年に1回発生する可能性
長期にわたり経営に大きな影響
重大事故が発生した場合、 自動運転事業の拡大だけでなく、 会社は中期経営計画の達成そのものに影響する可能性を明記している。
技術・法令・規制の変化 1~3年単位で発生
長期にわたり経営に大きな影響
自動運転、AI、測位、3次元技術は変化が速く、 技術選択や研究開発投資が遅れれば競争力を失う可能性がある。
人財確保 すでに発生
長期にわたり経営に大きな影響
特に開発職・モビリティ関連人財の不足を会社が認識。 今中計は人財投資を成長の前提としているため、 採用難は開発速度・案件遂行能力に直結する。
特定ビジネスパートナーへの依存 すでに発生
長期にわたり経営に大きな影響
自動運転や計測機器では外部企業との連携が重要。 提携先の方針変更・事業撤退等が事業計画へ影響する可能性がある。
海外事業者による自動運転市場の競争激化 10年以内に発生する可能性
長期にわたり経営に大きな影響
海外プレーヤー参入によって国内自動運転市場の勢力図が変化し、 現在の競争優位が低下する可能性。
公共事業予算の執行 1~3年に1回発生する可能性
数か月にわたり経営へ影響
国・自治体の予算執行や選挙による執行延期が、 公共セグメントや自治体向けDX案件の受注時期を左右する。
請負案件の原価見積り すでに発生
数か月にわたり経営へ影響
人員、工程、外注費、現場条件等が想定から変化すると、 案件採算や収益認識額に影響する。
グループ会社ガバナンス すでに発生
長期にわたり経営へ影響
連結子会社・有限会社秋測で2026年に不適切な取引・不正行為を認識。 グループ管理体制の再構築、再発防止策の実効性が重要課題となる。
最大の事業リスク:
成長ドライバーである自動運転は、 会社自身が重大事故について 「中期経営計画の達成に影響を与える場合がある」と明示している。 自動運転の売上拡大だけを見るのではなく、 安全性・規制・パートナーとの関係まで同時に確認する必要がある。

計画達成の評価

確認項目 現在地 今後の注目点
売上高80億円 2026年3月期75.93億円 必要成長率は約5.4%と比較的小さい。
営業利益8.5億円 2026年3月期7.60億円 約11.8%増益と利益成長が売上成長を上回る必要。
営業利益率10.6% 10.0%まで改善 自社製品比率、生産性、案件採算の改善が重要。
公共事業 安定収益基盤 ANIST、Wingneo、3D測量関連の拡販。
モビリティ・DX 売上成長が継続 実証型から社会実装・ストック型収益への移行。
ガバナンス 再発防止フェーズ 子会社管理・内部統制改善の実効性。
総合評価:
数値上は2026年3月期に中計2年目の目標を大幅に上回り、 2027年3月期の売上80億円・営業利益8.5億円まで あと売上約4.1億円、営業利益約0.9億円の位置まで到達している。 目標達成までの距離そのものは比較的小さい。

一方、最終年度の成長率を見ると 売上+5%程度に対して営業利益は+10%超が必要となる。 したがって最終年度は 「売上を増やすこと」以上に 「利益率の高い売上を増やすこと」が重要になる。

投資家が特に追跡すべきなのは、 ①公共セグメントの高利益率維持、 ②モビリティ・DXの年度末案件の着地、 ③自動運転の社会実装案件拡大、 ④ストック型収益モデルへの転換、 ⑤子会社ガバナンス改善、 の5点と考えられる。
主な参照資料
・アイサンテクノロジー株式会社 「FY2024~2026 中期経営計画 Development & Evolution」2024年5月10日
・同社「中期経営計画」公式IRページ
・同社「2026年3月期 決算短信・決算関連資料」2026年6月19日
・同社「2026年3月期 有価証券報告書」2026年6月30日
・同社「2027年3月期 第1四半期決算短信」2026年8月7日
・同社「事業等のリスク」公式IRページ
※将来計画・目標数値は会社開示資料に基づくものであり、達成を保証するものではありません。

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