QDレーザ 6613 東証グロース
富士通研究所スピンオフベンチャー ─ 世界トップの量子ドットレーザ技術とレーザアイウェアの開発・製造・販売
事業内容
QDレーザは、2006年に富士通研究所からスピンオフして設立されたレーザ技術のベンチャー企業。「人の可能性を照らせ。」を理念に、レーザ技術を用いた製品の開発・製造・販売を展開。レーザデバイス事業と視覚情報デバイス事業の2セグメントで構成されており、結晶成長を自社で実施し、半導体レーザチップ加工・モジュール実装を社外協力会社に製造委託する「ファブレス製造」体制を採用。量子ドット結晶成長について他社にはないノウハウを保有しています。
主要事業セグメント
半導体レーザデバイス事業
通信、加工、センサ用の最先端半導体レーザを開発・製造・販売。量子ドットレーザ(1240-1310nm、シリコンフォトニクス用)、1030-1180nm材料加工・センサ用DFBレーザ、532-594nm小型可視レーザ、高出力レーザなどを主力製品として展開。マイナス210度〜200度の極端環境下でも稼働可能な量子ドットレーザは、データセンター・量子コンピューター用途で需要拡大期待。
視覚情報デバイス事業
世界初の網膜投影技術を活用した「網膜走査型レーザアイウェア」の製品化。ビジョンサポート(視覚障害者向け視覚補助)、ビジョンヘルスケア(医療機器)、スマートグラス、XRグラスなどの分野に製品や部材を提供。欧州ではドイツ子会社、米国では米国子会社を通じて販売。
開発受託サービス
研究機関からの基礎技術の研究開発受託、メーカからの新規アプリケーション光源開発受託も行う。直近では開発受託案件が業績の押し上げ要因として寄与。
直近3年の業績サマリー
2024年3月期は売上高+7.6%増収となったが、視覚情報デバイス事業の開発投資により営業赤字が続く。2025年3月期は売上+5%減収、営業損失も縮小。2026年3月期(2026年5月14日発表)は売上+4.9%増収、来期2027年3月期は売上+34.8%増の18.5億円・営業黒字転換予想を開示。中期経営計画初年度の2025年3月期は計画通り進捗し、2027年3月期の全社黒字化に向けて取組み中。
| 項目(連結・百万円) | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 2026年3月期 会社予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,101 | 1,159 +5.3% |
1,247 +7.6% |
1,308 +4.9% |
1,372 +4.9% |
1,387 |
| 営業損益 | △931 | △556 赤字縮小 |
△604 赤字拡大 |
△445 赤字縮小 |
△326 赤字縮小 |
△411 |
| 経常損益 | △893 | △546 赤字縮小 |
△600 赤字拡大 |
△443 赤字縮小 |
△305 赤字縮小 |
△401 |
| 当期純損益 | △880 | △550 赤字縮小 |
△642 赤字拡大 |
△445 赤字縮小 |
△357 赤字縮小 |
△445 |
| EPS(一株利益) | △25.17円 | △15.16円 | △15.44円 | △10.68円 | △8.55円 | △10.67円 |
| 決算発表時株価 (参考) |
480円 | 674円 | 490円 | 295円 | 1,579円 | ― |
| 実績PER | -19.07倍 | -44.46倍 | -31.74倍 | -27.62倍 | -184.68倍 | ― |
| 予想PER | ― | ― | ― | ― | ― | -147.99倍 |
| PBR | 4.81倍 | 5.86倍 | 3.61倍 | 2.36倍 | 13.51倍 | ― |
| PSR | 15.26倍 | 21.11倍 | 16.36倍 | 9.42倍 | 48.08倍 | ― |
本ページに掲載している業績数値は、各社が公表する決算短信を一次情報として作成しています。 数値は決算短信発表時点のものであり、将来的に修正される可能性があります。 業績予想は会社発表時点のものであり、実績と異なる場合があります。 PER・PBR・PSRは決算発表日の終値で算出した参考値です。 正確な情報は各社公式IRサイトを必ずご確認ください。
業績のポイント
営業赤字が継続しているが、レーザデバイス事業の好調と開発受託案件により赤字幅は確実に縮小傾向。会社側は2027年3月期での全社黒字化を明確に目標化しており、2026年3月期実績は中期計画進捗に沿った内容。2026年5月22日のストップ高は、米CHIPS法による量子コンピューター支援策と、来期営業黒字転換予想を受けた市場の評価が背景。
中期経営計画
同社は2024年11月に明確な中期経営計画を策定・公表。営業赤字脱却と長期成長の両立を目指す具体的な数値目標を含んでいます。
長期ビジョン
「人の可能性を照らせ。」という理念のもと、光半導体分野のメジャープレイヤーを目指す。2035年度に売上高100億円の達成を目指す長期ビジョンを公表。
中期経営計画の数値目標
- 2027年3月期:全社黒字化達成(営業利益ベース)
- 2026年3月期:売上高13.7億円(達成済み)、2027年3月期予想:売上高18.5億円(+34.8%増)
- 黒字化と成長可能性のバランスを図る事業計画
事業戦略の柱
- ベースライン計画(収益の柱):DFBレーザ、小型可視レーザ、高出力レーザを位置付け。レーザデバイス事業全体の9割近くを量子ドット以外の製品で構成
- 成長領域:量子ドットレーザの成長可能性を追求。データセンター・量子コンピューター用途を視野
- 視覚情報デバイス事業の海外展開(ドイツ・米国の子会社経由)
経営体制
- 大久保COOが社長就任を発表(2026年)
- 業績連動型譲渡制限付株式報酬(パフォーマンス・シェア・ユニット制度)を導入
強みと注目点
① 世界唯一の量子ドットレーザ技術
富士通研究所のスピンオフベンチャーとして設立された経緯から、量子ドット結晶成長のノウハウは世界トップクラス。世界で初めて通信用の電流無調整量子ドットレーザの開発と量産に成功。マイナス210度から200度の極端な温度環境下でも安定稼働可能な特性は他社が容易に追従できない技術的優位性。
② シリコンフォトニクス用量子ドットレーザ
1240-1310nm波長のシリコンフォトニクス用量子ドットレーザは、データセンターでの高速光通信、量子コンピューターの光源として需要拡大が期待される領域。半導体周辺は150℃を超えるため、極端温度に強い同社のレーザが優位。
③ ファブレス製造体制による効率性
結晶成長を自社で実施し、レーザチップ加工とモジュール実装を社外協力会社に委託する水平分業体制。コア技術(結晶成長)を内製しながら、設備投資負担を抑えるビジネスモデルを構築。
④ 視覚情報デバイス事業の独自性
世界初の網膜投影技術を活用したアイウェア製品は、視覚障害者向け視覚補助やXRグラスなどへの応用可能性を秘める。欧米での治験・販売基盤も構築済み。
弱み・リスク要因
① 営業赤字の継続
2016年3月期から視覚情報デバイス事業(旧レーザアイウェア事業)への開発投資が続いており、長期にわたり営業損失を計上。2024年3月期は営業損失6.04億円、2025年3月期4.05億円、2026年3月期3.26億円と縮小傾向にあるが、黒字化は2027年3月期予想時点でようやく営業利益+3百万円と僅か。
② 量子ドットレーザの収益貢献の遅さ
同社の代名詞である量子ドットレーザは、レーザデバイス事業の売上の1割程度に過ぎず、ベースライン計画では量子ドット以外の事業(DFBレーザ、小型可視レーザ、高出力レーザ)が収益の柱と位置付けられている。「量子コンピューター関連」という市場のイメージと実際の収益構造に乖離。
③ 小規模・少人数の組織
従業員数47名(2025年3月期時点)の小規模組織。大手競合との競争において、人員的制約から研究開発・量産化のスピードに限界がある。
④ 高い株価評価とPBR
PBR 12.6倍(2026/5/7時点)と極めて高い水準で取引されており、赤字企業のため予想PERは算出不能。市場の期待値が業績先行で織り込まれており、思惑剥落時の株価下落リスクが大きい。
⑤ 視覚情報デバイス事業の収益化未達
網膜走査型レーザアイウェアは技術的に画期的だが、ビジョンサポート・ビジョンヘルスケアともに本格的な収益化には至っていない。事業セグメントの損失が会社全体の赤字を構造的に押し下げている要因。
会社概要
| 社名 | 株式会社QDレーザ(QD Laser, Inc.) |
|---|---|
| 設立 | 2006年4月(富士通研究所からのスピンオフ) |
| 代表者 | 大久保 智彦(COO・社長就任発表) |
| 本社所在地 | 神奈川県川崎市 |
| 従業員数 | 47名(2025年3月末現在) |
| 事業内容 | 半導体レーザデバイス事業/視覚情報デバイス事業 |
| 上場市場 | 東証グロース(2021年2月東証マザーズ上場) |
| 決算月 | 3月 |
| 主要技術 | 量子ドット結晶成長、半導体レーザ製造、網膜投影技術 |
| 主要製品 | 1240-1310nm量子ドットレーザ、シリコンフォトニクス用量子ドットレーザ、1030-1180nm DFBレーザ、GaAs基板上エピタキシャルウェハ、532-594nm小型可視レーザ、網膜走査型レーザアイウェア |
| 非連結子会社 | QD Laser Deutschland GmbH(ドイツ)、QD Laser America, Inc.(米国) |
沿革 ─ 創業からの歩み
- 2006年4月富士通研究所のスピンオフベンチャーとして株式会社QDレーザを設立。富士通と三井物産のベンチャーキャピタル資金を活用
- 2007〜2010年世界で初めて通信用の電流無調整量子ドットレーザの開発と量産に成功
- 2013年頃精密加工用ピコ短パルスDFBレーザ、生命科学用の電流注入型緑・黄緑・橙色レーザ、シリコン光回路用の量子ドットレーザアレイ、眼科検査機器用の広帯域利得チップなどを開発
- 2016年3月期〜網膜走査型レーザアイウェアの開発投資を本格化、視覚情報デバイス事業(旧レーザアイウェア事業)を立ち上げ
- 2021年2月東京証券取引所マザーズ市場へ新規上場
- 2022年4月東証の市場区分見直しによりグロース市場へ移行
- 2024年11月中期経営計画を策定・公表(2027年3月期の全社黒字化目標)
- 2025年3月期中期経営計画初年度として、売上高・利益とも計画達成
- 2026年大久保COOが社長就任を発表、2035年度売上高100億円目標を公表
- 株式会社QDレーザ 公式サイト
- 株式会社QDレーザ「2024年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)」(2024年5月14日開示)
- 株式会社QDレーザ「2025年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)」(2025年5月14日開示)
- 株式会社QDレーザ「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)」(2026年5月14日開示)
- 株式会社QDレーザ「中期経営計画」(2024年11月策定)
- 株式会社QDレーザ「有価証券報告書」各年度
本ページは投資情報の提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。

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