4395 アクリート

アクリート 4395 東証G

Accrete Inc.|法人向けA2P-SMS配信を中核に、RCS・LINE、AI・GPUサーバー、投資育成へ事業領域を拡張するコミュニケーションプラットフォーム企業。

※2026年6月26日時点の情報

事業内容

2026年6月26日の時価総額は約61億円。同日の株価787円と、2026年5月末現在の発行済株式総数7,790,673株を用いて算出した。前日にコンテナ型データセンター事業への参入を公表し、株価は100円高のストップ高水準まで上昇した。

アクリートは2014年5月設立。本社は東京都千代田区神田小川町3-28-5 axle御茶ノ水3階301、代表取締役社長は株本幸二氏。12月決算企業で、東京証券取引所グロース市場に上場する。法人向けSMS配信事業は2010年から手掛けており、現在はコミュニケーション、ソリューション、投資・インキュベーションの3事業を報告セグメントとしている。

2026年12月期第1四半期の連結業績は、売上高2,167百万円、営業利益82百万円、経常利益82百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益41百万円。前年同期比では売上高が10.5%増加した一方、営業利益は24.1%減少した。国内SMSとGPUサーバー関連事業が増収へ寄与したが、海外SMSの減収、投資先・子会社の立ち上げ遅延、事業拡大費用が利益を圧迫した。通期会社予想は売上高9,590百万円、営業利益656百万円、経常利益636百万円、当期純利益420百万円である。

コミュニケーション事業|A2P-SMS、RCS、LINE、IVR

セグメント売上高は2021年12月期の2,833百万円から2025年12月期の6,516百万円へ拡大。2025年12月期のセグメント利益は1,136百万円で、連結利益を支える中核収益源となっている。
コミュニケーション事業・売上高推移(単位:百万円、内部取引を含む)
2,833 6,190 5,333 5,764 6,516 2021 2022 2023 2024 2025

主力サービスは、企業が保有する携帯電話番号宛てに通知や認証コードを送信するA2P-SMS配信である。本人認証、支払督促、予約確認、契約更新、配送連絡、重要通知、アンケートなど、確実な到達が求められる業務で利用される。

自社開発の大規模配信プラットフォームを保有し、短時間に集中する大量の配信要求、即時性、高い到達率、API連携へ対応する。グローバルIT企業や国内大手企業の大規模配信を扱ってきた運用実績が事業基盤となる。

サービスには「SMSコネクト」、双方向SMS、長文SMS、短縮URL、クリック計測、配信停止、アンケート、IVRによる電話番号認証などが含まれる。自治体向けにはLGWAN環境からSMSを送信できるサービスも展開する。

RCSでは画像、動画、ボタンなどを含むリッチメッセージを配信できる。RCSを受信できない端末へSMSを送るフォールバックや、LINE通知メッセージを含む複数チャネルの統合により、単純なSMS配信からCPaaS型の顧客接点基盤へ移行する方針である。

2022年12月期は国内SMSと海外SMSの拡大により売上高6,190百万円、営業利益1,172百万円まで成長した。2023年12月期は海外SMSの市況変化、価格競争、子会社の収益悪化などから売上高5,333百万円、セグメント利益約320百万円へ落ち込んだ。

2024年12月期は売上高5,764百万円、セグメント利益604百万円へ回復。2025年12月期は売上高6,516百万円、セグメント利益1,136百万円となり、利益率は約17.4%まで改善した。

2026年12月期第1四半期は売上高1,506百万円、セグメント利益276百万円。国内SMSは堅調だったが、海外SMSの減少により売上高は前年同期比10.8%減、利益は同5.8%減となった。国内需要の維持と海外事業の収益安定化が短期的な焦点となる。

ソリューション事業|AI、GPUサーバー、データセンター

2024年12月期に売上高445百万円で本格計上され、2025年12月期は1,205百万円へ拡大。2026年12月期第1四半期もGPUサーバー関連が増収へ寄与したが、セグメント損益は赤字が続く。
ソリューション事業・売上高推移(単位:百万円、内部取引を含む)
445 1,205 2021 2022 2023 2024 2025

ソリューション事業は、AI技術、セキュリティ技術、GPUサーバー、教育用IoT製品を組み合わせ、顧客ごとの課題に対応する事業である。SMS配信とは異なる収益源を構築し、グループの顧客基盤へ高付加価値サービスをクロスセルする役割を担う。

AI関連では、音声・顔画像などを分析するサービス、従業員のメンタルヘルスチェック、情報漏洩調査、認証強化などを対象とする。AIサーバーと周辺装置の販売も行い、生成AIの普及に伴う計算資源需要を取り込む。

教育分野では、ノープログラミングIoT教材「スクーミー」の販売や、学校向け連絡サービスを展開する。IoTセンサーを用いた計測と生成AIによる分析を教育現場へ導入することで、通信、AI、教育を組み合わせた用途開発を進める。

2025年12月期は売上高1,205百万円まで拡大した一方、セグメント損失34百万円を計上した。GPUサーバーなど機器販売は案件ごとの売上規模が大きい反面、受注時期や仕入条件によって四半期変動が大きくなりやすい。

2026年12月期第1四半期は売上高246百万円で、前年同期の8百万円から大幅に増加した。GPUサーバー関連が寄与したが、セグメント損失32百万円となり、売上拡大を継続利益へ転換する段階には至っていない。

2026年6月25日には、ゲットワークスと共同でコンテナ型データセンター事業を開始すると発表した。アクリートがGPUサーバーを調達し、コンテナ設備に耐量子暗号やAIエンジンを組み合わせ、システムインテグレーター、クラウド事業者、企業、行政・自治体などへ提供する。

取得予定設備は新潟県南魚沼郡湯沢町のコンテナ型データセンター設備一式。事業開始は2026年7月を予定し、今後5年間で50億円から100億円の売上規模を目標とする。ただし、2026年12月期業績への影響額は現時点で合理的に見積もれないとしている。

投資・インキュベーション事業|M&Aと新規事業育成

セグメント売上高は2023年12月期の100百万円から2025年12月期の1,182百万円へ拡大。子会社取得により規模は急拡大したが、2025年通期と2026年第1四半期はいずれもセグメント赤字となった。
投資・インキュベーション事業・売上高推移(単位:百万円、内部取引を含む)
100 139 1,182 2021 2022 2023 2024 2025

投資・インキュベーション事業は、業務提携や協業が見込める企業への投融資、スタートアップの育成、子会社化による新規事業の取得を行う。単純な金融投資ではなく、アクリートの顧客基盤、通信技術、営業網との事業シナジーを重視する。

主な投資・育成領域には、耐量子暗号、ディープフェイク検出、AIセキュリティ、音声・顔画像分析、ヘルスケア、HR、AIアナリティクス、教育IoTなどがある。

Forward Edge-AIは、耐量子暗号をはじめ、公共、安全保障、金融、医療、重要インフラ向けのAIセキュリティ技術を開発する。コンテナ型データセンター事業では、同社の耐量子暗号ソリューションをGPUサーバーや拠点間通信へ組み込む計画である。

CustIntCoの「Insight Genie」は、音声や顔画像を分析するAIエンジンを提供する。2026年6月公表のデータセンター事業では「Genie AIエンジン」を既存サービスの一つとして融合する方針が示された。

2025年にはフォーグローブを子会社化した。同社はLINEミニアプリ、CRM、デジタルマーケティング、システム開発などを手掛け、アクリートのSMS配信基盤とのクロスセルが期待される。

2025年12月期は売上高1,182百万円、セグメント損失17百万円。2026年12月期第1四半期は売上高424百万円、セグメント損失38百万円となった。フォーグローブの営業体制変更などに想定以上の時間を要し、立ち上げ費用が先行している。

投資先技術がソリューション事業やコミュニケーション事業へ組み込まれれば、投資収益だけでなく、グループ製品の付加価値向上につながる。一方、投資先の事業化時期、顧客獲得、資金需要、追加投資、のれん評価を継続的に確認する必要がある。

直近5年業績サマリー

業績項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期 2026年12月期
会社予想
売上高
(百万円)
2,833 6,190
+3,357 / +118.5%
5,433
-757 / -12.2%
6,347
+914 / +16.8%
8,791
+2,444 / +38.5%
9,590
+799 / +9.1%
営業損益
(百万円)
465 1,172
+707 / +152.0%
310
-862 / -73.5%
331
+21 / +6.8%
529
+198 / +59.8%
656
+127 / +24.0%
経常損益
(百万円)
461 1,176
+715 / +155.1%
305
-871 / -74.1%
331
+26 / +8.5%
525
+194 / +58.6%
636
+111 / +21.1%
当期純利益
(百万円)
300 851
+551 / +183.7%
33
-818 / -96.1%
73
+40 / +121.2%
307
+234 / +320.5%
420
+113 / +36.8%
EPS
(円)
38.51 109.23
+70.72 / +183.6%
4.24
-104.99 / -96.1%
9.37
+5.13 / +121.0%
39.41
+30.04 / +320.6%
53.91
+14.50 / +36.8%
PER
(倍)
36.2 30.7 247.9 79.6 30.2 14.6
PBR
(倍)
6.73 15.80 4.90 3.28 2.69
BPS
(円)
207.43 212.05
+4.62 / +2.2%
214.10
+2.05 / +1.0%
227.19
+13.09 / +6.1%
441.81
+214.62 / +94.5%
純資産
(百万円)
1,642 2,177
+535 / +32.6%
2,146
-31 / -1.4%
2,091
-55 / -2.6%
4,086
+1,995 / +95.4%
営業CF
(百万円)
359 976
+617 / +171.9%
191
-785 / -80.4%
214
+23 / +12.0%
-498
-712 / 赤字転落
投資CF
(百万円)
-464 -471
-7 / 支出1.5%増
-95
+376 / 支出79.8%減
-104
-9 / 支出9.5%増
-579
-475 / 支出456.7%増
財務CF
(百万円)
407 161
-246 / -60.4%
-461
-622 / 赤字転落
-473
-12 / 支出2.6%増
925
+1,398 / 黒字転換
現金及び現金同等物
(百万円)
1,521 2,189
+668 / +43.9%
1,824
-365 / -16.7%
1,471
-353 / -19.4%
1,317
-154 / -10.5%
EPS、BPS、PER、PBRは、株式数増加後の比較可能性を確保するため、2026年5月末現在の発行済株式総数7,790,673株へ統一して再計算した。EPSは親会社株主に帰属する当期純利益、BPSは自己資本を用いている。過去5期のPER・PBRは、提供された各期末最終営業日の終値で計算した。2026年12月期予想PERは2026年6月26日の株価787円を使用している。百万円単位の公表値を用いるため端数差が生じる場合がある。

中期経営計画

2025年から2027年の構造改革期|3セグメント体制の確立

アクリートは2025年から2027年を、コミュニケーション、ソリューション、投資・インキュベーションの3セグメントを確立する構造改革期と位置付ける。SMS依存から脱却し、既存顧客へのクロスセルとM&Aを通じて複数の収益源を構築する方針である。

2026年12月期予想売上高 9,590百万円
2026年12月期予想営業利益 656百万円
2027年12月期計画売上高 11,469百万円
データセンター事業・5年間目標 50億円から100億円

2027年12月期のセグメント別売上計画は、コミュニケーション事業7,416百万円、ソリューション事業1,744百万円、投資・インキュベーション事業2,309百万円。通信事業を成長させながら、AI・セキュリティ・LINE・CRM・投資育成の売上構成を高める計画である。

コミュニケーション事業では、国内SMSの収益維持、海外SMSの再構築、RCS、LINE通知メッセージ、IVRを統合したマルチチャネル型CPaaSへの進化を進める。フォーグローブの開発力と顧客接点製品を活用し、SMS利用企業へLINEミニアプリやCRMを販売する。

ソリューション事業では、GPUサーバー、AIプロダクト、耐量子暗号、教育IoTを重点領域とする。2026年7月開始予定のコンテナ型データセンター事業では、GPUサーバー、耐量子暗号、AIエンジン、データセンター運用を一体化し、継続課金型の付加価値提供を狙う。

投資・インキュベーション事業では、取得企業や投資先を単独運営するのではなく、グループ顧客基盤、営業網、通信基盤と統合する。短期的には先行費用と赤字負担があるため、売上成長だけでなく各セグメントの黒字化時期が計画達成を判断する重要指標となる。

競合他社

① KDDI(9433)

直近終値:2,668.5円(2026年6月25日)
時価総額:約10兆7,700億円
主な競合領域:KDDI Message Cast、法人向けSMS・RCS配信、認証、重要通知

KDDIは携帯通信、法人通信、金融、エネルギー、IoT、データセンターなどを展開する総合通信企業である。時価総額にはSMS以外の事業価値が含まれるため、企業規模や全社業績をアクリートと単純比較することはできない。

2026年3月期の連結業績は、売上高6兆719億円、営業利益1兆991億円、親会社の所有者に帰属する当期利益7,071億円。通信インフラ、法人顧客基盤、全国規模の営業網、資金力を持つ。

「KDDI Message Cast」は、企業が保有する携帯電話番号宛てにSMSやRCSを送信するサービスである。一斉配信、API連携、双方向SMS、IVR、長文SMS、短縮URL、誤配信防止、RCS配信などに対応する。

アクリートの「SMSコネクト」「RCSコネクト」と、本人認証、料金督促、予約通知、契約更新、コールセンター連絡、大企業向けAPI連携で競合する。特に通信会社の信用力や24時間365日の運用体制を重視する大型案件では強力な競争相手となる。

一方、アクリートは複数キャリアを横断する運用、個別カスタマイズ、自治体向けLGWAN、SMSとIVRの細かな機能設計により差別化する必要がある。

② ファブリカホールディングス(4193)

直近終値:2,278円(2026年6月25日)
時価総額:約125億円
主な競合領域:オーロラSMS、RCS、IVR、AIコール

ファブリカホールディングスは、今回の競合3社の中でアクリートと最もサービス構成が近い。子会社メディア4uを通じ、法人向けSMS、IVR、AI音声サービスを提供する。

2026年3月期の連結業績は、売上高105億6,700万円、営業利益12億1,900万円、親会社株主に帰属する当期純利益6億6,500万円。ビジネスコミュニケーション事業では、SMS配信通数とIVR認証件数が伸長した。

「オーロラSMS」は国内主要キャリアとの直接接続、一斉配信、双方向SMS、長文SMS、API連携、短縮URL、クリック計測、配信停止、承認フローなどを提供する。

RCSを受信できる利用者には画像や動画を含むRCSを送り、受信できない利用者にはSMSを送るハイブリッド配信も展開する。音声AI、IVR、SMSを一体化した顧客コミュニケーション機能も強化している。

法人向けA2P-SMS、キャリア直接接続、SMS認証、IVR認証、双方向SMS、API、RCS、金融・人材・不動産・医療・自治体向け販売でアクリートと正面から競合する。

アクリートにとっては、契約企業数、代理店網、Webマーケティング、SMSと音声AIの一体提案における競争力を継続的に比較する必要がある。

③ AI CROSS(4476)

直近終値:945円(2026年6月25日)
時価総額:約38億円
主な競合領域:絶対リーチ!SMS、絶対リーチ!RCS、AI・CRM連携

AI CROSSは、法人向けSMS・RCSを中核に、AIトランスフォーメーションとマーケティングソリューションを展開する東証グロース上場企業である。時価総額や事業規模が比較的近く、中小型SMS企業として比較しやすい。

2026年12月期第1四半期は、売上高13億3,100万円、営業利益1億9,600万円、親会社株主に帰属する四半期純利益1億2,100万円。前年同期比では売上高43.0%増、営業利益40.3%増となった。

「絶対リーチ!SMS」は、一斉配信、予約配信、差し込み配信、双方向SMS、Web API、SMPP、IVR、SMS認証、CRM・コンタクトセンター連携などを提供する。

「絶対リーチ!RCS」では画像、動画、ボタン、PDF、公式アカウント、開封・クリック確認、双方向チャットなどに対応する。RCSとチャットボットを組み合わせた顧客対応も進めている。

アクリートとは、本人認証、重要通知、コールセンター効率化、双方向通信、API連携、SMS・RCSを起点としたマーケティングで競合する。

AI CROSSはデータ分析、CRM、クリエイティブ、マーケティング成果まで含めた提案を強化している。アクリートが通知インフラから顧客接点プラットフォームへ進化する過程で競争が強まる可能性がある。

強みと将来性

SMS配信基盤と顧客接点を起点に、AI・セキュリティ・データセンターへ展開

最大の強みは、2010年から法人向けSMS配信を手掛け、大量配信、即時配信、高到達率、API接続に関する運用ノウハウを蓄積してきた点である。

SMSはメールアドレスや専用アプリを必要とせず、電話番号だけで送信できる。本人認証、督促、重要通知、予約確認など、連絡失敗のコストが大きい業務では継続利用されやすい。

自社開発の大規模配信基盤とグローバルIT企業・国内大手企業への提供実績は、安定性、セキュリティ、障害対応を重視する顧客への参入障壁となる。

SMSだけでなく、RCS、LINE通知メッセージ、IVR、双方向通信、短縮URL、クリック計測、自治体向けLGWANへ機能を広げている。単価下落が進むSMSを、複数チャネルを統合した顧客接点基盤へ転換できるかが成長余地となる。

2025年12月期のコミュニケーション事業は売上高6,516百万円、セグメント利益1,136百万円。新規事業への投資原資を生み出せる中核事業を保有している。

フォーグローブのLINEミニアプリ、CRM、システム開発力を組み合わせることで、既存SMS顧客へ高単価なデジタル顧客接点サービスを販売できる可能性がある。

ソリューション事業では、GPUサーバー、AI、耐量子暗号、教育IoTを展開する。通信サービス企業が保有する法人顧客基盤へ、計算資源とセキュリティを同時に提案できる点が事業上の特徴となる。

コンテナ型データセンターは、一般的な建物型データセンターより小規模かつ分散配置しやすい。GPUサーバー、拠点間通信、耐量子暗号、運用保守を一体提供できれば、機器販売から継続収益型サービスへ移行する余地がある。

ゲットワークスは300棟以上のコンテナデータセンターを構築・運用してきた実績を持つ。アクリートが単独で設備技術を開発するのではなく、外部ノウハウを利用して市場参入する点は、立ち上げ時間を短縮する要因となる。

投資・インキュベーション事業で取得したAI・セキュリティ技術を、自社のソリューションや通信基盤へ組み込む構造も特徴である。投資先の企業価値上昇だけでなく、グループサービスの付加価値向上を狙える。

2026年12月期会社予想は売上高9,590百万円、営業利益656百万円、当期純利益420百万円。予想達成には、国内SMSの安定収益、GPUサーバー案件の積み上げ、投資先・子会社の損失縮小が必要となる。

コンテナ型データセンターの5年間売上目標50億円から100億円は、2025年12月期連結売上高87億円に対して大きい。計画どおり顧客を獲得できれば、事業構成を変える規模へ成長する可能性がある。

弱みとリスク要因

SMS価格競争、新規事業の赤字、M&A統合、資金負担と株式希薄化

最大の弱みは、連結利益がコミュニケーション事業へ集中している点である。2025年12月期のコミュニケーション事業は1,136百万円の利益を計上した一方、ソリューション事業と投資・インキュベーション事業は赤字だった。

2026年12月期第1四半期も、コミュニケーション事業の利益276百万円に対し、ソリューション事業は32百万円、投資・インキュベーション事業は38百万円の損失を計上した。新規事業の規模拡大が連結利益の増加へ直結していない。

SMS市場では参入企業が増え、配信単価の低下が続く可能性がある。配信通数が増えても単価下落が上回れば、売上高と利益率が低下する。

携帯キャリア、総合通信企業、SMS専業企業、CRM・マーケティング企業が同じ市場へ参入している。機能差が小さい案件では価格、契約社数、営業網、障害対応体制が受注を左右する。

海外SMSは、通信経路、現地規制、接続先事業者、為替、単価、市場構造の影響を受ける。2026年12月期第1四半期は海外SMSの減収がコミュニケーション事業の減収要因となった。

GPUサーバー販売は案件単価が大きく、顧客の投資時期や仕入時期によって売上が変動しやすい。ハードウエア販売比率が高まる場合、在庫、調達価格、為替、技術陳腐化、納期の管理が必要となる。

コンテナ型データセンター事業は、固定資産取得、GPU調達、設置、電力、冷却、通信回線、保守、顧客獲得を伴う。取得資金の一部には金融機関からの借入を予定しており、売上計上前に資金負担が先行する。

5年間で50億円から100億円という売上目標は大きいが、開示時点で2026年12月期への影響額は合理的に見積もれない。受注時期、設備稼働率、電力確保、GPU価格、耐量子暗号への需要が計画を下回る可能性がある。

投資・インキュベーション事業では、投資先の技術が商用化されないリスク、追加資金が必要になるリスク、取得企業の業績が計画を下回るリスクがある。

フォーグローブは2026年12月期第1四半期に営業体制変更などの立ち上げが遅れ、投資・インキュベーション事業の赤字要因となった。M&A後の営業統合、顧客共有、管理体制整備に時間を要する可能性がある。

過去には子会社や取得事業に関連する減損損失が利益を圧迫した。今後も事業計画の未達が続けば、のれん、顧客関連資産、投資有価証券などの評価見直しが必要になる可能性がある。

2025年12月期の営業キャッシュ・フローは498百万円のマイナス、投資キャッシュ・フローは579百万円のマイナスだった。財務キャッシュ・フローは925百万円のプラスとなり、外部資金への依存度が上昇した。

発行済株式総数は2024年12月末の5,977,500株から、2026年5月末には7,790,673株へ増加した。増資や株式報酬は財務基盤を強化する一方、既存株主の1株当たり利益と持分を希薄化する。

最新株式数へ統一して再計算した2025年12月期EPSは39.41円であり、会社開示の期中平均株式数を用いたEPSとは異なる。業績成長率だけでなく、株式数増加後の1株当たり利益の伸びを確認する必要がある。

2026年6月26日の株価787円を用いた会社予想PERは約14.6倍。新事業への期待で株価が上昇した局面では、データセンター事業の受注、収益性、資金負担が想定を下回った場合の価格変動が大きくなりやすい。

出典

本ページは公開資料に基づく企業分析であり、特定の有価証券の購入、売却、保有を推奨するものではありません。業績予想、中期計画、新規事業目標などの将来情報は、市場環境、競争、資金調達、設備稼働、顧客獲得その他の要因により変動する可能性があります。過去5期の期末株価は提供された各期末最終営業日の終値を使用しています。競合企業の株価は2026年6月25日終値、時価総額は2026年6月26日時点の調査値です。投資判断は最新の決算短信、有価証券報告書、適時開示および株価情報を確認した上で行ってください。

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