HPCシステムズ 6597 東証グロース
高性能計算機(HPC)と産業用組込み機器(CTO)の二本柱 ─ 量子・AI・科学技術計算の総合インテグレーター
事業内容
HPCシステムズは、高性能コンピュータ・サーバの開発・製造・販売およびマテリアルズ・インフォマティクス支援・受託計算等を展開する技術系企業。「人の創造力とコンピューティングを融合させ未来をつくる企業になる」をビジョンに、研究者・開発者の課題解決を支援しています。大学や公的研究機関、製薬・化学・自動車・電機など幅広い業種に技術ソリューションを提供。
主要事業セグメント
HPC事業(High Performance Computer事業)
科学技術計算用コンピュータ/高性能計算機の開発・製造・販売。ワークステーション、ラックマウントサーバー、GPU搭載製品、ストレージ製品、水冷式HPC-AIシリーズなどのハードウェアと、計算化学・量子化学・分子動力学・固体物理・電子構造計算・マルチフィジックス・構造解析・機械学習・画像処理などのソフトウェアを統合提供。
CTO事業(Configure To Order事業)
産業用・組込型コンピュータの開発・製造・販売。半導体製造装置、医療機器、計測機器、マシンビジョンシステムなどへのカスタマイズPC供給を行う。少量多品種の受託生産が強み。千葉県匝瑳市の国内工場で生産。
マテリアルズ・インフォマティクス支援
機械学習を活用した材料開発の高速化を支援するソフトウェア「ProMIS」を独自開発。製造業の研究開発分野での新素材開発を加速するソリューションを提供。
受託計算サービス
研究者向けに大規模計算機リソースを利用した高度な数値解析、シミュレーションの受託サービスを提供。研究機関、大学、企業の研究開発部門が主な顧客。
直近3年の業績サマリー
2023年6月期に大型案件(推定35億円超のスパコン案件)の影響で売上は急増したが、原価率上昇により営業利益は急減。2024年6月期以降は本来の収益体質に戻し、2025年6月期は売上+1.7%増ながら営業利益+49.4%増、当期純利益+41.7%増の大幅増益。2026年6月期1Q(2026/11/13発表)は売上営業利益率が6.8%→8.8%へ改善、経常利益は前年同期比2.4倍と好調な進捗。
| 項目(連結・百万円) | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 | 2026年6月期 会社予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 5,828 | 6,021 +3.3% |
8,854 +47.1% |
6,945 △21.6% |
7,064 +1.7% |
7,800 |
| 営業損益 | 676 | 653 △3.4% |
258 △60.5% |
425 +64.7% |
636 +49.6% |
705 |
| 経常損益 | 665 | 630 △5.3% |
275 △56.3% |
426 +54.9% |
644 +51.2% |
700 |
| 当期純損益 | 447 | 432 △3.4% |
183 △57.6% |
299 +63.4% |
423 +41.5% |
480 |
| EPS(一株利益) | 107.87円 | 102.92円 | 42.93円 | 69.66円 | 101.59円 | 115.05円 |
| 決算発表時株価 (参考) |
2,917円 | 2,667円 | 1,989円 | 987円 | 1,853円 | ― |
| 実績PER | 27.04倍 | 25.91倍 | 46.33倍 | 14.17倍 | 18.24倍 | ― |
| 予想PER | ― | ― | ― | ― | ― | 16.11倍 |
| PBR | 7.00倍 | 5.09倍 | 3.70倍 | 1.70倍 | 2.95倍 | ― |
| PSR | 2.07倍 | 1.86倍 | 0.96倍 | 0.61倍 | 1.09倍 | ― |
本ページに掲載している業績数値は、各社が公表する決算短信を一次情報として作成しています。 数値は決算短信発表時点のものであり、将来的に修正される可能性があります。 業績予想は会社発表時点のものであり、実績と異なる場合があります。 PER・PBR・PSRは決算発表日の終値で算出した参考値です。 正確な情報は各社公式IRサイトを必ずご確認ください。
業績のポイント
2026年6月期1Q(7-9月)の連結経常利益は前年同期比2.4倍の1.6億円に急拡大し、通期計画7億円に対する進捗率は5年平均の11.2%を大きく上回る23.9%に達した。HPC事業ではAI・量子コンピューター関連、CTO事業では大口案件の獲得が業績を牽引している。会社予想の営業利益7.05億円達成に向けた進捗は順調。
中期経営計画・成長戦略
同社は明示的な数値目標を含む「中期経営計画」を対外的に公表していないが、有価証券報告書および決算説明資料で以下の経営方針および成長戦略を示している。
経営理念・ビジョン
「人とコンピューティングの力で世界平和に貢献する」を経営理念とし、「人の創造力とコンピューティングを融合させ未来をつくる企業になる」をビジョンに掲げる。「研究者には研究する力、開発者には製品を開発する力を提供すること」をミッションに位置付ける。
成長戦略の柱
- HPC事業:AI・量子コンピューター関連需要の取り込み、政府の「AI for Science」補助金活用支援を通じた研究機関への導入拡大
- CTO事業:半導体製造装置・医療機器分野での組込型コンピュータ供給拡大
- マテリアルズ・インフォマティクス領域での「ProMIS」拡販
- 受託計算サービスの拡充
株主還元方針
- 中間配当・期末配当の年2回を基本方針
- 2026年6月期予想配当:32円(前期比+14.3%増配)
- 2025年6月期は2億円の自社株買いも実施、総還元性向74.8%
強みと注目点
① HPC・CTOの二本柱事業モデル
科学技術計算向けの大型システム(HPC事業)と産業用組込型PC(CTO事業)という、技術的接点はありながら市場特性が異なる二本柱を持つ。HPC事業は大学・公官庁向けが多く年度末(1-3月)に売上が集中する傾向。CTO事業は産業機器向けで比較的安定的に推移する。
② AI・量子コンピューター関連の追い風
2026年に入り、生成AI需要拡大、米CHIPS法による量子コンピューター支援策などの波を取り込み、HPC事業が大きく伸長中。文部科学省の「AI for Science」補助金活用支援パッケージなど、研究機関向けの新提案も展開。
③ 自己資本比率の改善
2023年6月期に大型案件対応で総資産が一時急増し自己資本比率が29.3%に低下したが、その後2年で57.6%まで回復。有利子負債比率も20.19%まで低下し、財務健全性が大幅に向上。
④ 高ROE・高ROAの優良企業体質
2025年6月期はROE 16.3%・ROA 9.4%、2026年6月期予想はROE 21.8%・ROA 11.3%と高水準。営業利益率も10%近くまで改善見込み。
弱み・リスク要因
① 売上の年度末集中・四半期間変動
HPC事業の主要顧客が大学公官庁・大企業のため、受注が年度末(1-3月)に集中する傾向があり、第3四半期の比重が高い。四半期業績の変動が大きく、四半期ごとの株価評価が難しい構造。
② 大型案件に依存する売上ボラティリティ
2023年6月期は売上高88.5億円(+47.0%増)に急増したが、翌2024年6月期は69.5億円(-21.6%減)に反落。大型案件の有無で年度業績が大きく変動する構造で、安定した成長軌道を描きにくい。
③ 営業利益率の不安定さ
営業利益率は2021年6月期11.6%→2023年6月期2.9%→2025年6月期9.0%と大きく変動。案件の収益性、原価率の変動に左右されやすい収益体質。
④ 大企業競合との競争激化
HPC事業はNEC・富士通・日立等の大手SI企業、CTO事業はコンテック・アドバンテック等の専業メーカーと競合。規模・ブランド力で劣勢な中、技術的差別化と顧客密着型の対応で勝負する必要がある。
⑤ 小型グロース株としての株価ボラティリティ
時価総額約112億円(2026/4/24時点)の小型株で、市場テーマや短期資金の流出入による株価変動が大きい。2020-2025年のPERレンジは7.71-82.23倍と振れ幅が極めて大きい。
会社概要
| 社名 | HPCシステムズ株式会社(HPC SYSTEMS Inc.) |
|---|---|
| 設立 | 2006年9月(実質的事業開始) |
| 代表取締役 | 小野 鉄平 |
| 本社所在地 | 東京都港区海岸三丁目9番15号 Loop-X 8階 |
| 資本金 | 1億5300万円 |
| 従業員数 | 連結123名(臨時9名)(2025年6月末現在) |
| 事業内容 | HPC事業(科学技術計算用コンピュータ)/CTO事業(産業用組込型コンピュータ) |
| 上場市場 | 東証グロース(2019年10月新規上場) |
| 決算月 | 6月 |
| 主要顧客 | 日本電気(NEC)、ヤフー、各大学・公的研究機関、製薬・化学・自動車・電機業界の企業 |
| 子会社 | Intelligent Integration Company Limited |
| 国内工場 | 千葉県匝瑳市 |
沿革 ─ 創業からの歩み
- 2006年9月株式会社エッチ・アイ・ティー(HPC事業の源流)およびプロサイド株式会社(CTO事業の源流)から分社型吸収分割を行い、HPCシステムズ株式会社として実質的な事業を開始
- 2007年12月小野鉄平氏が代表取締役に就任
- 2009年事業拡大に伴い西日本営業所を開設
- 2010年HPC事業でGPGPUを用いたプログラム高速化サービス提供開始、CTO事業でマシンビジョン向け産業用PC「PoEタクサン」販売開始
- 2019年10月東京証券取引所マザーズ市場へ新規上場
- 2022年4月東証の市場区分見直しによりグロース市場へ移行
- 2023年大型HPCシステム案件受注により売上高88.5億円を達成
- 2024年〜マテリアルズ・インフォマティクス(ProMIS)拡充、AI・量子コンピューター関連需要の取り込み加速
- HPCシステムズ株式会社 公式サイト
- HPCシステムズ株式会社 IRサイト
- HPCシステムズ株式会社「有価証券報告書 第18期〜第20期」(2023〜2025年)
- HPCシステムズ株式会社「2025年6月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」(2025年8月13日開示)
- HPCシステムズ株式会社「2026年6月期 第1四半期決算短信」(2025年11月13日開示)
- HPCシステムズ株式会社「2026年6月期 第2四半期(中間期)決算短信」(2026年2月12日開示)
本ページは投資情報の提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。

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