2334 イオレ

イオレ 2334 東証G

eole Inc.|「らくらく連絡網」由来のデータと広告運用ノウハウを基盤に、HRデータ、AIデータセンター、暗号資産関連、メディア事業へ展開するインターネットサービス企業。

※2026年6月18日時点の情報

事業内容

2026年6月18日本日の株価(終値ベース)の時価総額は約240億円。
イオレは2001年4月25日設立、東京都港区西新橋に本社を置く東証グロース上場企業です。代表取締役社長兼CEOは瀧野諭吾氏、決算期は3月末です。アドテクノロジー商品「pinpoint」、運用型求人広告プラットフォーム「HR Ads Platform」、インターネット広告、旅行メディア、AIデータセンター、暗号資産事業などを手掛けています。
2026年3月期は連結売上高14,159百万円、営業利益200百万円、経常損失496百万円、親会社株主に帰属する当期純損失517百万円でした。AIデータセンター事業の売上高が10,120百万円まで拡大し、従来のインターネットメディア中心の会社から、AIインフラと暗号資産関連を含む事業ポートフォリオへ大きく転換しています。

AIデータセンター事業

セグメント業績推移サマリ:2026年3月期に新たに区分された成長事業で、販売高は10,120百万円。全社売上高14,159百万円の大半を占める急拡大分野です。
イオレのAIデータセンター事業は、生成AI時代に対応する高性能GPUサーバーを仕入れ、販売する事業です。公式サービスページでは「GPUサーバー販売」をAIデータセンター事業として掲げており、2026年3月期の売上急増の中心になりました。

2026年3月期は、AIデータセンター事業だけで10,120百万円の売上高を計上しました。2025年3月期以前はこの区分が存在していないため単純比較はできませんが、2026年3月期の全社売上高14,159百万円の約7割を占める規模となり、会社の収益構造を一変させました。

この事業の特徴は、従来の広告・求人メディア事業よりも案件単価が大きく、売上の立ち上がりが速い点です。一方で、GPUサーバーの仕入れ、販売先の確保、納入時期、在庫・前渡金・運転資金の管理が業績に与える影響も大きくなります。

中期経営計画では、AI関連事業を2026年3月期に立ち上げ、2027年3月期に売上拡大期、2028年3月期に収穫期へ移行する方針が示されています。AIデータセンター事業は、イオレの成長シナリオの中核である一方、AI投資ブームの需要変動やGPU供給環境の変化に左右されやすい事業でもあります。

AI UI事業・インターネットメディア事業

セグメント業績推移サマリ:2026年3月期のインターネットメディア事業の外部顧客売上高は3,994百万円。事業別販売高ではAI UI事業が3,687百万円、前年比14.9%増でした。
AI UI事業は、従来のコミュニケーションデータ事業、HRデータ事業、ペット事業、旅行事業などを含むインターネットメディア系の事業群です。2026年3月期決算では、インターネットメディア事業、AIデータセンター事業、暗号資産関連事業の3つが報告セグメントとして示されています。

イオレは、2026年3月期に「今後すべてのインターネットメディアにおけるUIがAIと統合されていくことを見据えて」、既存のコミュニケーションデータ事業とHRデータ事業をAI UI事業へ名称変更しました。これは単なる名称変更ではなく、広告、求人、メディア運営、データ活用をAIによるユーザーインターフェース改善と結び付ける方向性を示しています。

2026年3月期の事業別販売高では、AI UI事業が3,687百万円、コミュニケーションデータ事業が654百万円、HRデータ事業が2,756百万円、ペット事業が56百万円、旅行事業が220百万円、その他が306百万円と開示されています。

2025年3月期は、コミュニケーションデータ事業581百万円、HRデータ事業2,360百万円、Web3事業251百万円、旅行事業247百万円、ペット事業21百万円、その他87百万円でした。2026年3月期はAIデータセンター事業の拡大が目立つ一方、既存のインターネットメディア領域もHRデータを中心に一定の売上基盤を維持しています。

HRデータ事業・運用型求人広告

セグメント業績推移サマリ:HR関連の販売高は2022年3月期1,386百万円、2023年3月期2,494百万円、2024年3月期2,508百万円、2025年3月期2,360百万円、2026年3月期2,756百万円と推移しています。
HRデータ事業は、求人検索エンジン広告代理運用、e-FEED、JOBOLE、HR Ads Platformなどで構成されます。求人企業の採用サイト、求人検索エンジン、求人メディア、ATSをつなぐ領域で、イオレが長年蓄積してきた求人広告運用ノウハウを活用する事業です。

公式サービスページでは、Indeed、求人ボックス、スタンバイの広告代理運用、三大アグリゲート型求人サイトに特化したデータフィード運用、採用サイト作成支援システムJOBOLE、日本初の運用型求人広告プラットフォームHR Ads Platformが紹介されています。

2022年3月期のHRテクノロジー事業販売高は1,386百万円でした。2023年3月期はHRデータ事業として2,494百万円まで伸び、2024年3月期は2,508百万円、2025年3月期は2,360百万円、2026年3月期は2,756百万円となりました。2025年3月期に一度減収となりましたが、2026年3月期には回復しています。

この事業の強みは、求人広告運用のPDCA、求人検索エンジン向けデータフィード、メディアやATSとの連携にあります。求人企業にとっては採用効率の改善、求人メディアにとっては収益最大化という価値を提供できるため、単なる求人広告掲載ではなく、運用型広告とデータ連携を組み合わせたサービスとして差別化しています。

コミュニケーションデータ・pinpoint

セグメント業績推移サマリ:コミュニケーションデータ関連の販売高は2022年3月期659百万円、2023年3月期950百万円、2024年3月期802百万円、2025年3月期581百万円、2026年3月期654百万円と推移しています。
コミュニケーションデータ領域は、「らくらく連絡網」由来の会員基盤や独自データを活用し、ターゲティング広告、SNS広告、新卒・中途採用向け広告などへ展開する事業です。公式サービスページでは、pinpointについて、デモグラフィックが明確な独自オーディエンスデータとパートナー企業各社とのデータ連携を組み合わせ、精密なセグメント設定によって広告配信できるプラットフォームと説明されています。

2022年3月期のデータマネジメント事業販売高は659百万円、2023年3月期のコミュニケーションデータ事業は950百万円でした。その後、2024年3月期は802百万円、2025年3月期は581百万円、2026年3月期は654百万円と、ピークからは縮小したものの、広告・採用マーケティングの基盤事業として残っています。

この領域では、大学生、若年層、団体利用者などの属性データを活用できる点が特徴です。ただし、個人情報保護、広告配信規制、Cookie規制、SNS広告の仕様変更など、データ活用を取り巻く外部環境は変化しやすく、サービスの継続的なアップデートが必要です。

2026年3月期には「らくらく連絡網+」の営業終了・譲渡完了も開示されており、従来型の連絡網サービスをそのまま伸ばすというより、データ、広告、AI UIの方向へ再構成していく局面にあります。

暗号資産関連事業

セグメント業績推移サマリ:2026年3月期に暗号資産関連事業として45百万円の販売高を計上。中期経営計画では暗号資産金融事業を立ち上げ方針に含めています。
暗号資産関連事業は、Neo Crypto Bank関連の取り組みや暗号資産レンディング、暗号資産の調達と運用を含む新規事業です。IRページでは、イオレとNeo Crypto Bank合同会社が保有する暗号資産の状況を確認できるダッシュボードへの導線も設けられています。

2026年3月期の暗号資産関連事業の販売高は45百万円でした。売上規模だけを見るとAIデータセンター事業に比べてまだ小さいものの、経常損益には暗号資産評価損などの影響が出やすく、2026年3月期は営業利益が黒字だった一方、経常損失と最終損失を計上しました。

中期経営計画では、暗号資産金融事業は資金調達状況や相場により大きく変動するため、計画数値には含めない方針が示されています。これは、同事業の成長余地を認めつつも、収益や評価損益のブレが大きいことを会社側が認識していることを示しています。

暗号資産関連は、他の広告・求人・AIインフラ事業とはリスクの性質が異なります。価格変動、会計処理、規制、資金管理、レンディング先の信用管理などが重要であり、投資家にとっては成長性と同時に損益変動リスクを確認すべき分野です。

直近5年業績サマリー

業績項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期 2027年3月期
会社予想
売上高 2,086 3,564
+70.8%
3,817
+7.1%
3,549
△7.0%
14,159
+299.1%
25,552
+80.5%
営業損益 △40 55
黒字転換
41
△23.9%
△20
赤字転落
200
黒字転換
1,142
+471.0%
経常損益 △43 54
黒字転換
43
△19.3%
△24
赤字転落
△496
赤字拡大
1,494
黒字転換
親会社株主帰属当期純損益 △147 36
黒字転換
36
△0.5%
△493
赤字転落
△517
赤字拡大
1,270
黒字転換
EPS(一株利益) △3.42円 0.85円 0.85円 △11.45円 △12.00円 29.49円
PER(期末日株価ベース) 150.13倍 100.31倍
PBR(期末日株価ベース) 9.83倍 8.00倍 4.58倍 12.38倍 4.53倍
BPS 10.17円 16.04円 18.64円 7.20円 81.45円
純資産 438 691 803 310 3,508
営業CF 1 143 94 △18 934
投資CF △72 △291 △340 △83 △3,665
財務CF 42 213 45 220 3,664
現金及び現金同等物 392 457 257 375 1,310
単位は百万円。EPS、BPSは円、PER、PBRは倍。
2026年3月期から連結決算、2025年3月期以前は非連結決算です。2025年11月13日付で1株を10株に株式分割。EPS、PER、PBR、BPSは2026年6月3日時点の発行済株式総数43,068,920株を基準に再計算しています。PER、PBRは各決算期末日の終値株価を使用しています。赤字期のPERは表示していません。

中期経営計画

中期経営計画2026-2028:2028年3月期に売上220億円、営業利益33億円を目指す

2025年8月公表の中期経営計画では、2028年3月期に売上高220億円、営業利益33億円を目指す方針が示されています。前回計画から、既存事業の収益性改善に加え、AI関連事業、GPU販売を含む成長要素を織り込んだ計画です。

事業戦略方針は、AI Merge Japanを中心としたAI関連事業、Neo Crypto Bankを中心とした暗号資産金融事業、業務AI・DX化の3本柱です。2026年3月期はAI関連事業の確立、暗号資産金融事業の立ち上げ、既存サービスの選択と集中を重点施策としています。

2026年3月期決算では、AIデータセンター事業が10,120百万円まで拡大し、2027年3月期会社予想では売上高25,552百万円、営業利益1,142百万円、経常利益1,494百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,270百万円を見込んでいます。

ただし、中期計画では暗号資産金融事業について、資金調達状況や相場により大きく変動するため計画数値には含めないとしています。AIデータセンター事業と暗号資産関連事業の両方が、今後の成長要因であると同時に、業績変動要因にもなります。
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競合他社

1. ディップ株式会社(2379)

ディップは、アルバイト・パート求人情報サイト「バイトル」などを展開する大手人材サービス企業です。時価総額はイオレより大きく、求人広告・HRテック領域における有力な競合です。

イオレのHR Ads Platformや求人検索エンジン広告運用は、企業の採用広告予算を効率運用するサービスです。一方、ディップは自社求人メディアを保有し、企業の求人情報掲載、採用支援、DX支援を展開しています。

両社は事業モデルが完全に同一ではありませんが、アルバイト・パート採用、求人広告、HRテック、採用マーケティング予算の獲得という点で競合関係にあります。ディップは規模とブランド力、イオレは求人検索エンジン運用やデータ連携の柔軟性が比較軸になります。

2. ポート株式会社(7047)

ポートは、就職活動中の学生向けメディアや成約支援型のマッチング事業を展開する企業です。新卒採用領域、若年層データ、Webマーケティングを活用した集客力に強みを持っています。

イオレは「らくらく連絡網」由来の若年層・団体データと、pinpointによるターゲティング広告を持ちます。ポートは自社メディアを通じた新卒・若年層への接点を持ち、企業の採用マーケティング支援を行います。

そのため、大学生・若年層データを起点にした採用マーケティング予算の獲得という観点で競合します。ポートは成果報酬型マッチングの収益モデル、イオレは広告配信・求人広告運用・データ活用の収益モデルという違いがあります。

3. トヨクモ株式会社(4058)

トヨクモは、安否確認サービスやkintone連携サービスなど、法人向けSaaSを展開する企業です。高い営業利益率とストック型収益を特徴とするIT企業です。

イオレの旧来の基盤である「らくらく連絡網」は、団体や法人向けの一斉連絡、情報共有、コミュニケーション基盤としての性格を持っていました。トヨクモの安否確認サービスは、法人向け一斉連絡・安否確認という点で隣接する領域です。

現在のイオレはAIデータセンター、HRデータ、暗号資産関連へ大きく舵を切っていますが、団体・法人向けコミュニケーションツールの文脈では、トヨクモのようなSaaS企業が比較対象になります。トヨクモは安定収益型、イオレは事業転換による成長追求型という違いがあります。

強みと将来性

AIデータセンター急拡大と既存データ事業の組み合わせ

イオレの最大の強みは、従来の広告・求人・データ事業の基盤に、AIデータセンター事業という大型成長分野が加わった点です。2026年3月期はAIデータセンター事業だけで10,120百万円の売上を計上し、全社売上高は14,159百万円へ急増しました。これは、従来のHRデータ事業やコミュニケーションデータ事業だけでは実現しにくい売上規模です。

既存事業には、HR Ads Platform、求人検索エンジン広告運用、JOBOLE、pinpointなど、広告運用とデータ活用を組み合わせたサービスがあります。単にGPUサーバー販売へ参入しただけでなく、AI UI事業という名称に変え、インターネットメディアのUIがAIと統合される流れを見据えている点は、事業構想として一貫性があります。

2027年3月期会社予想では、売上高25,552百万円、営業利益1,142百万円、経常利益1,494百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,270百万円を見込んでいます。2026年3月期は営業黒字でありながら、暗号資産評価損などにより経常損失・最終損失となりましたが、会社予想では2027年3月期の大幅な黒字転換を見込んでいます。

財務面では、2026年3月期の純資産が3,508百万円まで増加し、営業キャッシュ・フローも934百万円のプラスとなりました。AIデータセンター事業の拡大と資金調達により、以前よりも大きな事業規模を扱える財務基盤へ変化しています。

また、HRデータ事業は2026年3月期に2,756百万円まで回復しており、AIデータセンター以外にも一定の売上基盤があります。求人広告市場が回復すれば、HR Ads Platformや求人検索エンジン広告運用の収益改善余地もあります。

将来性の中心は、AIインフラ需要、GPUサーバー販売、暗号資産金融、AI UI化による既存メディアの再成長です。AIデータセンター事業が単発の販売で終わらず、継続的な販売網、保守、関連サービス、自社AI活用へ広がるかどうかが、企業価値を左右するポイントになります。

弱みとリスク要因

急成長事業の変動性、希薄化、暗号資産評価損リスク

イオレの弱みは、事業構造の変化が非常に速く、収益の安定性を評価しにくい点です。2026年3月期の売上高はAIデータセンター事業によって大きく伸びましたが、同事業は仕入れ、販売先、納期、前渡金、在庫、代理店網の構築などに左右されます。GPUサーバー需要が強い間は成長要因になりますが、AI投資ブームの一巡や価格下落が起きると、売上・利益の変動要因になります。

暗号資産関連事業も重要なリスクです。2026年3月期は営業利益200百万円を確保した一方、経常損失496百万円、最終損失517百万円となりました。暗号資産価格の変動、評価損、会計処理、レンディング運用、規制変更が業績に与える影響は大きく、通常の広告・求人事業とは異なるリスク管理が必要です。

株主にとっては希薄化も重要です。2025年11月に1株を10株へ分割したうえで、2026年6月3日時点の発行済株式総数は43,068,920株まで増加しています。資金調達により成長投資が可能になる一方、一株当たり利益や一株当たり純資産の評価には希薄化の影響が出ます。

既存事業にも課題があります。コミュニケーションデータ関連は2023年3月期950百万円から2025年3月期581百万円へ減少し、2026年3月期は654百万円にとどまりました。2026年3月期には「らくらく連絡網+」の営業終了・譲渡完了も開示されており、従来型サービスの成長力には限界が見えています。

HRデータ事業は一定の売上基盤がありますが、求人広告市場の景気感、求人検索エンジンや広告媒体の仕様変更、競合の広告運用サービス、企業の採用予算の変化に影響されます。ディップ、ポートなどの人材・採用支援企業に比べると、ブランド力や事業規模では劣る部分があります。

投資判断では、AIデータセンター事業の粗利率、継続性、受注残、仕入れ条件、キャッシュ・フロー、暗号資産の保有・運用状況、追加資金調達の有無を継続的に確認する必要があります。売上成長だけでなく、営業利益、経常利益、最終利益、営業キャッシュ・フローが安定して伸びるかが重要です。

出典

本記事は公開情報をもとに作成したものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。掲載情報は作成時点のものであり、最新の情報や正確な数値は会社公式IR資料をご確認ください。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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