7740 タムロン

タムロン(7740)|交換レンズ・車載光学

タムロン 7740 東証P

Tamron Co., Ltd.|ミラーレスカメラ用交換レンズを中核に、監視・FA、車載、医療、ドローン向けの光学レンズとカメラモジュールを展開する総合光学機器メーカー。

※2026年7月30日時点の情報

事業内容

2026年7月30日の時価総額は約2,449億円。 同日の東証終値は1,434円で、2026年3月31日時点の発行済株式総数 170,800,000株を基準に算出した。買収提案に関する開示を受け、同日は前日比 300円高のストップ高で取引を終えた。

タムロンは1950年11月1日創業、1952年10月27日設立。本社は埼玉県さいたま市見沼区蓮沼1385番地、 代表取締役社長は桜庭省吾、決算期は12月末。東京証券取引所プライム市場に上場する。 2025年12月末の従業員数は単体950名、連結4,977名。 光学設計、精密加工、コーティング、樹脂成形、アクチュエータ、量産技術を基盤に、 写真関連、監視&FA、モビリティ&ヘルスケアの3事業を運営する。

2025年12月期は売上高85,071百万円、営業利益16,638百万円、 経常利益16,699百万円、親会社株主に帰属する当期純利益11,761百万円。 2026年12月期第1四半期は売上高18,485百万円、営業利益3,441百万円、 経常利益3,363百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益2,712百万円。 通期会社予想は売上高91,000百万円、営業利益18,500百万円、 親会社株主に帰属する当期純利益13,690百万円である。

2026年7月30日の重要開示: ソニー株式会社から、タムロンをソニーグループの完全子会社とする一連の取引について 法的拘束力のない提案を受領した。タムロンは特別委員会を設置して企業価値向上に向けた 複数の選択肢を検討しているが、取引の実施、条件、時期は決定していない。

写真関連事業|自社ブランド交換レンズとOEM

セグメント業績推移: 売上高は2021年12月期の41,999百万円から2024年12月期の64,835百万円まで拡大し、2025年12月期は60,643百万円へ減少した。セグメント利益は2024年12月期の18,111百万円をピークに、2025年12月期は15,630百万円となった。

写真関連事業は、ミラーレスカメラ用交換レンズと一眼レフカメラ用交換レンズを扱う最大セグメントである。 自社ブランド製品とカメラメーカー向けOEM製品を組み合わせ、企画、光学設計、機構設計、金型、成形、 コーティング、組立、品質保証までを一貫して管理する。

主力はソニーEマウント、ニコンZマウント、富士フイルムXマウントなどに対応する交換レンズである。 純正レンズにない焦点域、高倍率ズーム、小型・軽量、価格性能比を訴求し、 標準、大口径、広角、望遠、超望遠、マクロ、高倍率の各カテゴリーを展開する。

2021年12月期から2024年12月期まで売上高と利益は連続して拡大した。 2024年12月期のセグメント利益率は27.9%で、全社利益の中心だった。 ミラーレス市場への製品移行、円安、自社ブランドの新製品投入、OEMの増加が高収益化に寄与した。

2025年12月期はOEM出荷減と対米ドルでの円高影響により減収減益となった。 売上高は4,192百万円減少し、セグメント利益は2,481百万円減少した。 ただし利益率は25.8%を維持しており、事業自体の収益力は高い。

2026年12月期第1四半期は、交換レンズ市場が堅調に推移し、自社ブランド製品は増加した一方、 OEM製品が前年同期比で約4割減少した。売上高は11,305百万円、 セグメント利益は2,390百万円となった。

収益確認では、自社ブランドとOEMの売上構成、製品別平均販売単価、新製品本数、 EマウントとZマウントの構成、中国・北米・欧州の地域別販売を分けて追う必要がある。 OEMは数量変動が大きく、設備稼働率と固定費吸収に直結する。

カメラメーカーはボディ、マウント仕様、AFアルゴリズム、ファームウェア、純正ブランドを保有する。 タムロンはプラットフォームに依存しながら競争するため、レンズ性能だけでなく、 ライセンス、互換性、発売時期、純正限定機能も競争条件となる。

ソニーによる完全子会社化提案が進展した場合、Eマウントでの開発・供給連携は強化され得る一方、 ニコンZや富士フイルムXなど他社マウント製品、他社向けOEM、独立ブランドの位置付けが重要な論点となる。

監視&FA関連事業|監視カメラ・マシンビジョン・モジュール

セグメント業績推移: 売上高は9,360百万円から12,091百万円へ拡大し、2024年12月期に12,313百万円で最高値を記録した。セグメント利益は2021年12月期の478百万円から2025年12月期の1,675百万円へ伸び、利益率も改善した。

監視&FA関連事業は、ネットワーク監視カメラ用レンズ、FA・マシンビジョン用レンズ、 TV会議・遠隔コミュニケーション用レンズ、カメラモジュール、高倍率ズーム、 ドローン用レンズ、遠赤外線カメラモジュールを扱う。

監視用途では、高画素化、低照度性能、長焦点化、広角化、昼夜切替、耐候性、 温度変化への安定性が採用条件となる。都市防犯、交通監視、工場、物流、重要施設などでは、 長期供給と品質トレーサビリティも重視される。

FA・マシンビジョン用途では、解像力、周辺画質、低歪曲、作動距離、倍率、波長特性、 耐振動、寸法安定性が競争軸となる。半導体、電子部品、ディスプレイ、食品、物流、 ロボットビジョンなど設備投資の影響を受ける。

売上高は2023年12月期に一時減少したが、2024年12月期に12,313百万円へ回復した。 2025年12月期は売上高がわずかに減少する一方、利益は1,675百万円へ増加し、 利益率は13.9%まで上昇した。

2026年12月期第1四半期は売上高3,602百万円、セグメント利益523百万円。 高解像度監視用途の需要が底堅く、FA市場も在庫調整後の回復が進んだ。

この事業は写真関連より利益規模が小さいが、監視、検査、センシングの継続需要を取り込むことで、 カメラ市場への依存を下げる役割を持つ。モジュール化が進むほど、 レンズ単体からセンサー・筐体・制御を含む提案へ付加価値を広げられる。

一方、監視カメラやFA機器の顧客在庫、設備投資サイクル、中国需要、 競合による価格低下、センサー大型化への設計対応が変動要因となる。 売上回復だけでなく、製品ミックスと利益率を同時に確認する必要がある。

中期計画では写真事業のキャッシュカウ化と並行し、監視&FAの事業規模拡大を掲げる。 2026年に売上構成比15%未満でも、2023年比45%以上の増収を目標とする考えが示されている。

モビリティ&ヘルスケア、その他事業|車載・医療・精密光学

セグメント業績推移: 売上高は5年間連続で増加し、2021年12月期の6,178百万円から2025年12月期の12,336百万円へ約2倍となった。セグメント利益も812百万円から2,699百万円へ増え、2025年12月期の利益率は21.9%だった。

モビリティ&ヘルスケア、その他事業は、車載カメラ用レンズ、ADAS向け光学部品、 医療・ヘルスケア用レンズ、小型デジタルカメラ・ビデオカメラ用レンズ、 各種精密光学デバイスを扱う。

車載カメラは前方認識、周辺監視、電子ミラー、車内モニタリング、自動駐車などに使用される。 採用では高解像度、低照度、広角、耐熱、耐寒、耐振動、耐候性、 長期供給、量産品質、コスト低減が求められる。

ADASの高度化に伴い、1台当たりの搭載カメラ数が増えることは数量成長要因となる。 一方、車載部品は量産拡大に伴う継続的な価格低下要求を受けやすく、 売上高だけでなく単価、歩留まり、保証費用、設備投資回収を確認する必要がある。

医療・ヘルスケア用途では、小型、高精細、低歪曲、特殊波長、コーティング、 洗浄・滅菌への対応、長期供給、規制対応が重要となる。 顧客装置の開発期間が長い一方、量産採用後は継続供給が見込まれる。

5年間の売上高は一度も減少せず、2025年12月期には12,336百万円へ拡大した。 セグメント利益率は2021年12月期の13.1%から2025年12月期の 21.9%へ上昇した。

2026年12月期第1四半期は売上高3,577百万円、 セグメント利益901百万円。ADAS普及を背景に車載カメラ用レンズが伸長し、 3セグメントで最も高い利益率25.2%を確保した。

この事業の成長は、写真関連への依存低下と企業価値評価の再構築に直結する。 車載と医療は顧客認証、品質保証、製品寿命が長く、参入障壁がある一方、 顧客集中や量産立ち上げの遅れが業績変動につながる。

次期計画「Value Up29」では、写真関連の収益基盤を維持しながら、 その他産業向け事業での高成長と新規事業創出を強化する方針である。 光学にセンシング・解析を組み合わせることで、部品供給から課題解決型事業への転換を目指す。

1.会社予想と実績

2022年12月期から2025年12月期は期首の通期会社予想と通期実績を比較。2026年12月期は最新通期予想と第1四半期実績を掲載しています。

売上高の会社予想と実績 売上高 期首会社予想と通期実績(2026年12月期は通期予想と第1四半期実績) 会社予想 実績/Q1 0 50,000 100,000 61,000 63,445 2022 達成率 104.0% 70,000 71,426 2023 達成率 102.0% 75,500 88,475 2024 達成率 117.2% 92,000 85,071 2025 達成率 92.5% 91,000 18,485 2026 単純進捗率 20.3% 実績は第1四半期累計 単位:百万円
売上高:青は会社予想、赤は通期実績。2026年12月期の赤は第1四半期累計です。
営業利益の会社予想と実績 営業利益 期首会社予想と通期実績(2026年12月期は通期予想と第1四半期実績) 会社予想 実績/Q1 0 10,000 20,000 7,600 11,038 2022 達成率 145.2% 11,500 13,607 2023 達成率 118.3% 14,300 19,201 2024 達成率 134.3% 20,000 16,638 2025 達成率 83.2% 18,500 3,441 2026 単純進捗率 18.6% 実績は第1四半期累計 単位:百万円
営業利益:青は会社予想、赤は通期実績。2026年12月期の赤は第1四半期累計です。
経常利益の会社予想と実績 経常利益 期首会社予想と通期実績(2026年12月期は通期予想と第1四半期実績) 会社予想 実績/Q1 0 10,000 20,000 7,600 11,496 2022 達成率 151.3% 11,500 13,972 2023 達成率 121.5% 14,300 19,304 2024 達成率 135.0% 20,000 16,699 2025 達成率 83.5% 18,500 3,363 2026 単純進捗率 18.2% 実績は第1四半期累計 単位:百万円
経常利益:青は会社予想、赤は通期実績。2026年12月期の赤は第1四半期累計です。
親会社株主に帰属する当期純利益の会社予想と実績 親会社株主に帰属する当期純利益 期首会社予想と通期実績(2026年12月期は通期予想と第1四半期実績) 会社予想 実績/Q1 0 5,000 10,000 15,000 5,210 8,350 2022 達成率 160.3% 8,370 10,812 2023 達成率 129.2% 10,730 14,526 2024 達成率 135.4% 14,800 11,761 2025 達成率 79.5% 13,690 2,712 2026 単純進捗率 19.8% 実績は第1四半期累計 単位:百万円
親会社株主に帰属する当期純利益:青は会社予想、赤は通期実績。2026年12月期の赤は第1四半期累計です。
EPSの会社予想と実績 EPS 期首会社予想と通期実績(2026年12月期は通期予想と第1四半期実績) 会社予想 実績/Q1 0 50 100 31.24 50.00 2022 達成率 160.1% 50.08 64.64 2023 達成率 129.1% 64.12 87.90 2024 達成率 137.1% 89.77 72.79 2025 達成率 81.1% 84.91 16.82 2026 単純進捗率 19.8% 実績は第1四半期累計 単位:円
EPS:青は会社予想、赤は通期実績。2026年12月期の赤は第1四半期累計です。
指標2022年12月期2023年12月期2024年12月期2025年12月期2026年12月期
会社予想実績達成率会社予想実績達成率会社予想実績達成率会社予想実績達成率会社予想Q1実績単純進捗率
売上高
(百万円)
61,00063,445104.0%70,00071,426102.0%75,50088,475117.2%92,00085,07192.5%91,00018,48520.3%
営業利益
(百万円)
7,60011,038145.2%11,50013,607118.3%14,30019,201134.3%20,00016,63883.2%18,5003,44118.6%
経常利益
(百万円)
7,60011,496151.3%11,50013,972121.5%14,30019,304135.0%20,00016,69983.5%18,5003,36318.2%
親会社株主に帰属する当期純利益
(百万円)
5,2108,350160.3%8,37010,812129.2%10,73014,526135.4%14,80011,76179.5%13,6902,71219.8%
EPS
(円)
31.2450.00160.1%50.0864.64129.1%64.1287.90137.1%89.7772.7981.1%84.9116.8219.8%

達成率=通期実績÷期首会社予想×100。2026年12月期はQ1実績÷通期予想の単純進捗率です。予想はすべて単一値で、レンジ予想はありません。

EPS:2024年7月の1対2、2025年7月の1対4の株式分割を反映し、全年度を現行株式数ベースへ換算しています。
2.達成・未達理由
2022年12月期全5指標を達成
売上 104.0%営業利益 145.2%経常利益 151.3%純利益 160.3%EPS 160.1%

ミラーレス向け新製品、自社ブランド、監視・FA、車載が好調でした。円安と高収益な写真関連事業の構成上昇、原価低減も利益を押し上げました。

2023年12月期全5指標を達成
売上 102.0%営業利益 118.3%経常利益 121.5%純利益 129.2%EPS 129.1%

監視・FAの在庫調整を、写真関連と車載・医療の伸長、円安、原価低減で吸収しました。高利益率事業の販売増で利益が売上以上に伸びました。

2024年12月期全5指標を大幅達成
売上 117.2%営業利益 134.3%経常利益 135.0%純利益 135.4%EPS 137.1%

全セグメントが2桁増収増益となり、写真関連の新製品・OEM、FA・カメラモジュール、車載・医療が同時に拡大しました。円安と販管費抑制で収益性も上昇しました。

2025年12月期全5指標が未達
売上 92.5%営業利益 83.2%経常利益 83.5%純利益 79.5%EPS 81.1%

写真関連のOEM出荷減、中国市場の反動減、対米ドルの円高が売上を押し下げました。原材料・光熱費、人件費、研究開発費の増加も重なり、全指標が期首計画を下回りました。

2026年12月期Q1は計画超過、通期予想は据え置き
売上 91,000営業利益 18,500経常利益 18,500純利益 13,690EPS 84.91円

監視・FAとモビリティ・ヘルスケアが2桁増収増益となり、Q1は会社計画を上回りました。一方、最大事業の写真関連はOEM低迷で減収減益となり、会社は不透明な外部環境を理由に通期予想を据え置いています。

3.事業セグメントの自信度

報告セグメントは「写真関連事業」「監視&FA関連事業」「モビリティ&ヘルスケア、その他事業」の3区分です。各年度で変化した原文を事業別カード内に掲載しています。

写真関連事業

自信度推移:強気 → 非常に強気 → 非常に強気 → 弱気 → 中立
2022年12月期強気
ミラーレスカメラ用交換レンズの販売が好調に推移いたしました。

新製品と対応マウント拡充が成長を牽引。

2023年12月期非常に強気
市場状況を反映したミラーレスカメラ用交換レンズのラインナップ拡充より、2桁の増収となりました。

自社ブランドとOEMがともに増収。

2024年12月期非常に強気
OEMにおいても、市場の堅調な推移に伴い、カメラメーカーへの交換レンズの供給が好調に推移し、前期比で1.4倍以上となる増収となりました。

新製品7機種とOEM拡大で高成長。

2025年12月期弱気
OEMについては市場の停滞や一部受注機種の販売低迷等により減収となりました。

自社ブランドは横ばい、OEM減で減収減益。

2026年12月期 Q1中立
自社ブランド全体では増収となりました。欧州市場では、近年低迷が継続しておりましたが回復に転じることができました。

ブランド品は回復したが、OEM低迷で全体は減収減益。

最新判断中立

自社ブランドは新製品と欧州回復で持ち直していますが、最大の下押し要因であるOEM低迷が継続しています。年間10機種以上の投入効果が通期達成の鍵です。

監視&FA関連事業

自信度推移:強気 → 弱気 → 非常に強気 → 中立 → 非常に強気
2022年12月期強気
先進国における販売が好調に推移し、高解像度かつコンパクトなマシンビジョン用単焦点レンズシリーズの発売等、多様化する用途に応じたラインナップ強化を図りました。

中国の弱さを先進国と新製品で補完。

2023年12月期弱気
カメラメーカーの在庫適正化の動きを受け、当社からのレンズ供給が伸び悩みました。

在庫調整、中国低迷、TV会議の反動減が重なった。

2024年12月期非常に強気
FA分野では従来からの高精細、高解像ニーズの高まりを見据えたラインナップ拡充効果により好調を維持し、前期比で1.5倍以上となる大幅増収となりました。

FA・監視・カメラモジュールが揃って回復。

2025年12月期中立
売上総利益率の改善や販管費抑制等により、営業利益は16億75百万円(前期比7.0%増)と増益となりました。

売上は微減でも採算改善で増益。

2026年12月期 Q1非常に強気
これら全ての製品カテゴリーにおいて2桁の増収となりました。

在庫調整が一巡し、全カテゴリーが2桁成長。

最新判断非常に強気

在庫調整の一巡と全カテゴリーの2桁増収で成長が再加速しています。写真関連の弱さを補う有力な成長ドライバーです。

モビリティ&ヘルスケア、その他事業

自信度推移:強気 → 強気 → 非常に強気 → 非常に強気 → 非常に強気
2022年12月期強気
急速に進む安全運転支援システム(ADAS)の普及による旺盛な需要を背景にセンシング用途を中心に好調を維持しました。

車載需要は強く、医療分野の育成も継続。

2023年12月期強気
注力分野の医療用レンズでは、当社の強みである極小径や薄膜技術で低侵襲を可能にする製品ラインナップの増加により大幅増収となりました。

車載に加え医療が成長軌道へ。

2024年12月期非常に強気
車載カメラ用レンズは、急速に進む先進運転支援システム(ADAS)の普及による旺盛な需要を背景にセンシング用途を中心に好調を維持し、1.3倍以上となる大幅増収となりました。

車載・医療とも大幅増収。

2025年12月期非常に強気
車載カメラ用レンズは、売上高は初の100億円を達成しました。

車載100億円、医療10億円を初達成。

2026年12月期 Q1非常に強気
医療用レンズは、前年同期比約1.6倍の大幅な増収となりました。

中国向け車載が回復し、医療も高成長。

最新判断非常に強気

ADAS需要と医療用レンズの高成長が継続しています。売上規模と利益寄与が年々拡大し、第二・第三の収益柱としての確度が高まっています。

4.最新予想信頼度
達成可能性は中程度。Q1計画超過は好材料だが、下期の利益回復が必要。

Q1は会社計画を上回ったものの、通期予想に対する利益進捗は約18~20%です。監視・FAとモビリティ・ヘルスケアは好調ですが、最大事業の写真関連が減収減益で、通期達成には新製品とOEM回復による加速が必要です。

売上高910億円Q1単純進捗 20.3%
営業利益185億円Q1単純進捗 18.6%
経常利益185億円Q1単純進捗 18.2%
純利益136.9億円Q1単純進捗 19.8%
EPS84.91円Q1単純進捗 19.8%
写真関連中立ブランド回復、OEM低迷
監視&FA非常に強気全カテゴリー2桁増収
モビリティ&ヘルスケア非常に強気車載・医療とも高成長

達成できると判断する理由

  • 会社はQ1が計画を上回ったと明示し、通期予想を据え置いています。
  • 監視・FAは全製品カテゴリーが2桁増収、モビリティ・ヘルスケアも2桁増収増益です。
  • 写真関連の自社ブランドは日本・米国・欧州で2桁増収となり、欧州も回復へ転じました。
  • 2026年は年間10機種以上の新製品投入を目標としており、Q2以降の製品効果が期待できます。
  • 過去4期のうち3期で全5指標を期首予想以上で着地しており、成長局面では上振れ実績があります。

達成できないと判断する理由

  • 最大事業の写真関連はQ1売上が16.7%減、営業利益が37.2%減で、全社の重い下押し要因です。
  • Q1の営業利益進捗は18.6%にとどまり、残り9カ月で150.6億円の営業利益が必要です。
  • 中間期計画に対してもQ1営業利益進捗は44.7%で、Q2はQ1を上回る利益が必要です。
  • OEMの一部受注機種の販売低迷が前年下期から継続し、回復時期が不透明です。
  • 原材料・光熱費、人件費、研究開発費、物流コスト、通商政策、中東情勢が利益率を圧迫する可能性があります。

収益計上時期の見方

会社の中間期予想は売上414億円・営業利益77億円で、通期予想に対して売上45.5%、営業利益41.6%を上期に計上する前提です。通期達成には下期で売上496億円・営業利益108億円が必要で、会社計画は下期利益偏重です。

Q1の進捗率は季節性、製品投入時期、OEM出荷、為替を調整していない単純進捗率です。

総合判断

最新会社予想は条件付きで達成可能と判断します。 監視・FAとモビリティ・ヘルスケアの成長、写真関連の新製品投入が続けば達成余地があります。ただし、通期利益計画は下期回復を前提としており、写真関連OEMの低迷が続く場合は未達リスクが高まります。達成条件は、自社ブランド新製品の拡販、OEMの底打ち、監視・FAと医療の成長継続、コスト上昇の抑制です。

直近5年業績サマリー

連結・実績5期と2026年12月期会社予想。売上高・利益・純資産・キャッシュフローの単位は百万円。 EPS・BPSは2026年3月31日時点の自己株式控除後株式数161,244,949株で再計算。 2024年7月の1株2株、2025年7月の1株4株の株式分割に合わせ、PER・PBR用の過去期末株価は現在の株式単位へ調整した。
業績項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期 2026年12月期
会社予想
売上高57,53963,445+5,906 / +10.3%71,426+7,981 / +12.6%88,475+17,049 / +23.9%85,071△3,404 / △3.8%91,000
営業損益7,40811,038+3,630 / +49.0%13,607+2,569 / +23.3%19,201+5,594 / +41.1%16,638△2,563 / △13.3%18,500
経常損益7,53111,496+3,965 / +52.6%13,972+2,476 / +21.5%19,304+5,332 / +38.2%16,699△2,605 / △13.5%18,500
当期純利益5,1738,350+3,177 / +61.4%10,812+2,462 / +29.5%14,526+3,714 / +34.4%11,761△2,765 / △19.0%13,690
EPS32.08円51.78円+19.70 / +61.4%67.05円+15.27 / +29.5%90.09円+23.03 / +34.4%72.94円△17.15 / △19.0%84.90円
PER11.12倍7.18倍9.92倍12.48倍14.18倍16.89倍
PBR1.09倍0.99倍1.52倍2.20倍1.94倍
BPS325.81円375.66円+49.85 / +15.3%438.66円+63.00 / +16.8%510.61円+71.95 / +16.4%532.80円+22.19 / +4.3%
純資産52,53660,574+8,038 / +15.3%70,732+10,158 / +16.8%82,333+11,601 / +16.4%85,911+3,578 / +4.3%
営業CF8,6609,232+572 / +6.6%10,027+795 / +8.6%17,644+7,617 / +76.0%15,096△2,548 / △14.4%
投資CF△3,780△3,865△85 / 支出拡大2.2%△5,145△1,280 / 支出拡大33.1%△6,734△1,589 / 支出拡大30.9%△7,339△605 / 支出拡大9.0%
財務CF△1,250△2,044△794 / 支出拡大63.5%△2,778△734 / 支出拡大35.9%△6,022△3,244 / 支出拡大116.8%△11,129△5,107 / 支出拡大84.8%
現金及び現金同等物25,83229,948+4,116 / +15.9%32,640+2,692 / +9.0%38,384+5,744 / +17.6%35,371△3,013 / △7.8%

中期経営計画

Value Creation26 ver2.0 と次期計画 Value Up29

現行の「Value Creation26 ver2.0」は2024年から2026年を対象とし、 着実な既存事業成長と新規事業創出の加速働きがいのある、企業価値の高い企業へを基本方針とする。 写真事業のキャッシュカウ化、監視&FA・モビリティ&ヘルスケアの規模拡大、 新規事業の育成、財務効率と株主還元の強化を進める。

2026年 売上高目標950億円以上
2026年 営業利益目標205億円以上
2026年 ROE目標16%以上
2029年 売上高目標1,200億円以上
2029年 営業利益目標250億円以上
2029年 ROE目標20%以上
2029年 自己資本比率75%目安
追加還元約180億円
現行計画の事業戦略

写真関連事業は売上構成比を従来の約4分の3から2026年に約70%へ下げつつ、 高収益のキャッシュ創出事業として成長を継続する。 監視&FAとモビリティ&ヘルスケアは、2026年時点で構成比15%未満でも 2023年比45%以上の増収を目指す。

生産・調達ではベトナム第2工場の稼働による日本・中国・ベトナムの世界3極生産体制、 サプライチェーン強靭化、自動化・省力化、独立採算の徹底を進める。 マーケティングでは米州・欧州の挽回、中国内需、新興国需要、デジタルマーケティングを重点とする。

研究開発では光学・要素技術の高度化、設計生産性と品質向上、シーズ発掘、 新規事業創出、オープンイノベーションを進める。 2035年には「撮り、測り、つなぐ。人と自然の健康を創造する企業へ」を掲げ、 総合光学・センシングソリューション企業への転換を目指す。

2026年会社予想と現行目標

2026年12月期会社予想は売上高910億円、営業利益185億円。 現行中計目標に対し、売上高は40億円、営業利益は20億円下回る計画である。 第1四半期は写真関連のOEM減少により減収減益となっており、 自社ブランド新製品、OEM回復、FA在庫調整解消、車載・医療の伸長が達成条件となる。

次期中期経営計画「Value Up29」

「Value Up29」は2027年から2029年を対象とする。 2029年に売上高1,200億円以上、営業利益250億円以上、 ROE20%以上を持続的に達成することを主要目標とする。

事業戦略は、写真関連の高収益性を維持した売上成長、 その他産業向け事業の高成長、新規事業創出、成長性と収益性に応じた資源配分を中核とする。 オーガニック成長とM&A等のインオーガニック戦略を両輪とし、 新たな事業ポートフォリオと事業開発体制を構築する。

財務戦略では2029年の自己資本比率75%を目安とし、 配当性向60%またはDOE8%の高い方を2027年以降の配当基準とする。 次期中計期間末までに追加還元約180億円を掲げる。

2026年7月30日に開示されたソニーからの完全子会社化提案は、 「Value Up29」の資本政策、他社マウント、OEM、新規事業、株主還元の前提を変える可能性がある。 現時点では法的拘束力のない提案であり、正式な取引条件は公表されていない。

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競合他社

① ソニーグループ(6758)

株価約3,809円
時価総額約22.72兆円
基準日2026年7月30日

ソニーグループはゲーム、音楽、映画、エレクトロニクス、カメラ、イメージセンサー等を展開する。 タムロンとはミラーレスカメラ「α」、Eマウント交換レンズ、車載・産業センシング、 カメラモジュール、OEM光学で競合・協業する。

2026年3月期は売上高12兆4,796億円、営業利益1兆4,475億円。 エンタテインメント・テクノロジー&サービス分野の顧客向け売上高は 2兆1,848億円、営業利益は1,586億円だった。

Eマウントでは、ソニー純正のG Master・Gレンズと、タムロンの大口径・高倍率・小型ズームが 同じユーザーの予算を争う。ソニーはカメラ本体、AF、マウント仕様、ファームウェア、 純正ブランドを保有し、タムロンは独自焦点域と価格性能比で差別化する。

イメージセンサーとレンズは補完関係が中心だが、カメラモジュールやシステム一体提案では 顧客接点と付加価値配分が競争となる。車載ではセンサーとレンズの最適設計、 完成車メーカー・Tier1への採用で協業余地が大きい。

ソニーはタムロンの主要株主・取引先・マウント保有者であり、 2026年7月30日時点では完全子会社化に向けた法的拘束力のない提案者でもある。 通常の競合関係に資本政策が重なる特殊な位置付けである。

取引が進展する場合、提示価格、特別委員会の答申、取締役会の意見、 他社マウントとOEMの継続、タムロンブランドの位置付けを確認する必要がある。

② キヤノン(7751)

株価約4,750円
時価総額約6.3兆円
基準日2026年7月30日

キヤノンはカメラ、交換レンズ、プリンティング、医療、ネットワークカメラ、 産業機器、半導体製造装置を展開する総合光学・精密機器メーカーである。

2026年12月期上期は売上高2兆2,745億円、 営業利益2,306億円。イメージング事業は売上高5,527億円、 営業利益976億円で、レンズ交換式カメラ、コンパクトカメラ、 ネットワークカメラが伸長した。

交換レンズではEOS R用RF・RF-Sレンズ、一眼レフ用EFレンズと競合する。 キヤノンはカメラ本体、センサー、画像処理、AF、レンズを垂直統合し、 マウント仕様と純正機能を保有する。

タムロンは純正にない焦点域、小型・軽量、高倍率、価格性能比、複数マウント展開で対抗する。 RFマウントへの参入機会は、個別レンズの性能だけでなくライセンスと対応範囲に左右される。

ネットワーク監視、放送・映像制作、産業用光学、医療画像でも競合する。 キヤノンは完成システムを提供でき、タムロンは顧客装置へ組み込むレンズ・モジュールの 小型化、カスタマイズ、OEM供給を強みとする。

③ ニコン(7731)

株価約2,297.5円
時価総額約7,334億円
基準日2026年7月30日

ニコンはカメラ・交換レンズ、半導体・FPD露光装置、産業用測定・検査、 デジタルマニュファクチャリング、ヘルスケア、光学部品を展開する。

2026年3月期は売上収益6,771.63億円、営業損失1,124.48億円。 全社損失にはデジタルマニュファクチャリング事業の減損と構造改革費用が含まれる。 映像事業は売上収益2,900.53億円、営業利益167.15億円だった。

タムロンはニコンZマウント向けレンズを展開し、NIKKOR Zの標準、望遠、超望遠、 APS-C、大口径レンズと直接競合する。ニコンはカメラ本体、マウント、AF、 純正ブランドを保有し、タムロンは独自焦点域、コンパクト設計、価格、ズーム倍率で差別化する。

FA・マシンビジョンでは、ニコンの産業用レンズ「Rayfact」と競合する。 半導体ウエハ、基板、フィルム、ディスプレイ、精密測定では、 解像力、歪曲、作動距離、波長、耐振動、カスタム設計、長期供給が比較軸となる。

医療・ヘルスケアでは顕微鏡、細胞観察、画像診断用光学と競合する。 ニコンは完成システムと精密測定に強く、タムロンは量産性、小型化、コスト、 顧客別の光学ユニット供給を強みとする。

出典

本ページは公開情報を基に作成した企業分析であり、特定の有価証券の売買を推奨または勧誘するものではありません。 業績予想、株価、時価総額、投資指標、製品構成、競争環境、資本取引の検討状況は変動する可能性があります。 投資判断は最新の適時開示と決算資料を確認したうえで、自身の責任で行ってください。

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