第一工業製薬 4461 東証P
DKS Co. Ltd.|界面活性剤を基盤に、ハイエンドサーバー向け低誘電樹脂、リチウムイオン電池材料、食品・香粧品材料、ウレタン・高分子材料を展開する機能性化学品メーカー。
※2026年7月30日時点の情報
事業内容
2026年7月30日の時価総額は約1,104億円。同日の終値10,330円と、2026年3月期末の発行済株式総数10,684,321株を基準に算出した。
第一工業製薬は1909年4月創業、1918年8月設立。本社は京都市南区東九条上殿田町48番地2、代表取締役社長は山路直貴、決算期は3月。東証プライム市場に上場し、界面活性剤を始めとする工業用薬剤とライフサイエンス関連製品を製造・販売する。
2026年3月期は売上高82,886百万円、営業利益10,107百万円、経常利益10,372百万円、親会社株主に帰属する当期純利益6,169百万円で、各利益は前期を大幅に上回った。2027年3月期第1四半期は売上高27,501百万円、営業利益5,117百万円、経常利益5,228百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益3,116百万円。会社は通期予想を売上高97,000百万円、営業利益12,500百万円へ上方修正した。
2026年3月期から報告セグメントを従来の6区分から「電子・情報」「環境・エネルギー」「ライフ・ウェルネス」「コア・マテリアル」の4区分へ変更した。会社が新区分で組み替えた2025年3月期と2026年3月期のみをグラフ化し、それ以前の数値は推計していない。
電子・情報|主要製品・成長要因・収益構造
電子・情報セグメント 業績推移
現行4セグメントで比較可能な2期。全セグメントを共通縮尺で表示
単位:百万円。利益・損失も売上高と同一の金額尺度で表示
電子・情報セグメントは、デジタル社会の高速化・大容量化に対応する機能材料を扱う。主力はハイエンドサーバー向け低誘電樹脂材料であり、通信信号の伝送損失を抑える材料性能が採用競争の中心となる。
2026年3月期は、低誘電樹脂材料が国内・海外ともに大幅に伸長した。売上高は30,507百万円、セグメント利益は6,203百万円となり、4セグメント中で最大の利益を計上した。
セグメント利益率は20.3%で、全社営業利益率12.2%を上回る。高付加価値品の販売構成が利益率を押し上げており、数量の増加だけでなく製品ミックスの改善が収益拡大に寄与している。
取扱製品には低誘電樹脂材料、水系ウレタン樹脂、イオン液体、難燃剤が含まれる。電子部品向けでは封止材・コーティング材、接着剤、基板工程材料、導電性材料などを展開する。
半導体工程では、ウエハ洗浄剤「DKビークリヤ」、フォトレジスト工程材料、CMPスラリー向け高分子型分散剤などが製品群に含まれる。これらは微細化が進む半導体製造で、洗浄性、分散安定性、低残渣、高純度といった性能が求められる。
ディスプレイ関連では特殊界面活性剤や樹脂材料を供給する。2026年3月期はディスプレイ等に用いられる特殊界面活性剤が低調で、難燃剤も大きく落ち込んだが、低誘電樹脂材料の伸長がこれを上回った。
サーバー向け材料は、生成AIの計算負荷増大と高速通信需要の拡大に接続する。通信速度が上がるほど基板材料の誘電特性や耐熱性、加工性が重要となり、顧客の基板設計や製造条件に適合する処方提案が競争力となる。
同社は界面制御、分散、樹脂合成、高分子設計を組み合わせ、顧客ごとの要求性能に合わせた材料を開発する。単一製品の販売ではなく、評価、配合調整、量産条件への適合を含む開発型ビジネスである。
2027年3月期第1四半期は売上高10,840百万円、営業利益2,668百万円。前年同期比で売上高は56.3%増、営業利益は84.3%増となった。
第1四半期の利益率は24.6%まで上昇した。ハイエンドサーバー向け低誘電樹脂材料が国内・海外ともに大幅に伸長したことが主因である。
一方、会社は第1四半期の増収要因に一部製品の一時的な需要増を挙げている。四半期利益を単純に年率換算せず、顧客在庫、増産能力、価格改定の持続性を確認する必要がある。
当セグメントの確認点は、低誘電樹脂材料の販売数量、主要顧客への採用継続、海外売上の伸び、設備増強後の稼働率である。高収益製品への依存度が高まるほど、需要変動が全社利益へ与える影響も大きくなる。
中期経営計画「SMART 2030」では、2030年3月期に売上高400億円、営業利益50億円を目指す。2026年3月期の売上高は目標の約76%、営業利益は既に目標を上回っている。
ただし、中期目標は複数年度の事業規模と収益構造を示すものであり、単年度実績の超過だけで達成と判断するものではない。量産継続性、新製品の立ち上がり、顧客集中度が今後の評価軸となる。
電子・情報は現在の利益成長を主導するセグメントである。株価評価では、低誘電樹脂材料の成長率と同時に、20%前後のセグメント利益率を維持できるかを追う必要がある。
環境・エネルギー|主要製品・成長要因・収益構造
環境・エネルギーセグメント 業績推移
現行4セグメントで比較可能な2期。全セグメントを共通縮尺で表示
単位:百万円。利益・損失も売上高と同一の金額尺度で表示
環境・エネルギーセグメントは、電池材料、セルロース系高分子材料、合成潤滑油、電子部品用導電性ペースト、射出成形用ペレット、ウレタンシステムを扱う。
2026年3月期は売上高23,304百万円、セグメント利益3,142百万円。前期の97百万円の損失から大幅な黒字転換となった。
業績改善の中心は、リチウムイオン電池用途の負極用水系複合接着剤である。電極活物質を集電体に保持し、電池性能と生産工程の安定性を支える材料として販売が大幅に伸長した。
負極用水系複合接着剤は、電池メーカーの塗工条件、活物質、増粘性、接着性、電極の柔軟性に合わせた設計が必要となる。顧客ごとの評価期間が長い一方、採用後は量産数量が業績へ大きく影響する。
モビリティ分野では、電装部材に用いられる基板用封止剤と接着剤が大幅に伸長した。電動化に伴う電子部品点数の増加は、絶縁、耐湿、耐熱、振動対策を担う材料需要につながる。
太陽電池用途では高性能導電性ペーストを扱う。2026年3月期は国内販売が大幅に伸長した一方、海外販売は大きく落ち込んだため、地域別の需要差が生じた。
環境配慮型の合成潤滑油は低調に推移した。成長製品の寄与が大きい一方、既存製品の需要減少がセグメント内で混在している。
セルロース由来製品にはカルボキシメチルセルロース「セロゲン」とセルロースナノファイバー「レオクリスタ」がある。増粘、分散安定、ゲル形成、補強などの機能をエネルギー、農薬、工業用途へ展開する。
環境貢献型製品として、光硬化樹脂材料、水系ウレタン樹脂、ポリ乳酸用改質剤、非石化対応型界面活性剤も提案する。省エネルギー化、脱溶剤、植物由来原料への転換が需要テーマとなる。
2027年3月期第1四半期は売上高8,416百万円、営業利益1,734百万円。売上高は前年同期比81.9%増で、前年同期の73百万円の損失から黒字転換した。
第1四半期の利益率は20.6%となった。負極用水系複合接着剤の販売拡大に加え、価格改定の浸透が収益性を押し上げた。
太陽電池用導電性ペーストは国内で大幅に伸びたが、海外は大きく落ち込んだ。電池材料と太陽電池材料は同じセグメントに含まれるため、個別製品の数量動向を分けて確認する必要がある。
会社はリチウムイオン二次電池負極用水系複合接着剤の製造設備投資を進めている。設備能力の拡大は成長余地となる一方、顧客需要の変動や立ち上げコストが収益に影響する。
「SMART 2030」では2030年3月期に売上高300億円、営業利益30億円を目指す。2026年3月期は売上高が目標の約78%、営業利益は既に目標を上回った。
環境・エネルギーは、2025年3月期の赤字から2026年3月期に高収益セグメントへ転換した。今後は電池用バインダーの数量増が一時的なものではなく、設備稼働と採用拡大を伴って継続するかが最大の確認点となる。
ライフ・ウェルネス|主要製品・成長要因・収益構造
ライフ・ウェルネスセグメント 業績推移
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単位:百万円。利益・損失も売上高と同一の金額尺度で表示
ライフ・ウェルネスセグメントは、食品、香粧品、石けん・洗剤、医薬、消臭・除菌、健康食品など生活に近い市場へ機能材料と製品を供給する。
主な製品はショ糖脂肪酸エステル、ビニル系高分子材料、アクリル系高分子材料、健康食品、消臭・除菌剤である。界面活性、乳化、分散、増粘などの技術が製品設計の基盤となる。
2026年3月期は売上高13,892百万円、セグメント利益599百万円。売上高は前期比1.1%増にとどまったが、利益は105.6%増となった。
食品用途のショ糖脂肪酸エステルは国内・海外ともに堅調だった。乳化、分散、品質保持などの機能を食品製造工程へ提供する。
香粧品用途は海外が堅調に推移した。化粧品原料では、低刺激性、乳化安定性、感触調整、洗浄性などの性能が採用条件となる。
石けん・洗剤用途は低調だった。生活必需品向けの需要基盤を持つ一方、原材料価格、価格競争、顧客の処方変更が採算へ影響する。
公式製品群にはショ糖脂肪酸エステル「コスメライク」、セルロースナノファイバー「レオクリスタ」、非イオン界面活性剤「ノイゲン」、カチオン界面活性剤「カチオーゲン」などが含まれる。
健康食品・ヘルスケア分野では、カイコハナサナギタケ冬虫夏草を用いた製品などを展開する。化学材料事業とは販売チャネルや評価方法が異なるため、事業拡大にはブランド構築と継続購入が必要となる。
2027年3月期第1四半期は売上高3,809百万円、営業利益441百万円。売上高は前年同期比8.5%増、営業利益は94.8%増となった。
食品用途のショ糖脂肪酸エステルと石けん・洗剤用途が堅調に推移し、香粧品用途は低調だった。用途別の強弱が相殺される構造となっている。
第1四半期の利益率は11.6%で、2026年3月期通期の4.3%を上回った。価格改定と製品構成の改善がどこまで通期に残るかを確認する必要がある。
食品・香粧品材料は顧客ごとに安全性、品質安定性、規制対応が求められる。採用後の継続性が高い一方、認証や処方変更には時間を要する。
「SMART 2030」では2030年3月期に売上高150億円、営業利益10億円を目指す。2026年3月期の売上高は目標に近いが、営業利益は目標の約60%である。
成長評価では、売上規模よりも採算改善の持続性が重要となる。ショ糖脂肪酸エステルの海外展開、香粧品原料の採用、健康食品の黒字化が利益目標への到達を左右する。
ライフ・ウェルネスは、電子・情報や環境・エネルギーと比較して成長率は低いが、需要分散と生活関連用途によって事業ポートフォリオの安定性を支える。
コア・マテリアル|主要製品・成長要因・収益構造
コア・マテリアルセグメント 業績推移
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単位:百万円。利益・損失も売上高と同一の金額尺度で表示
コア・マテリアルセグメントは、第一工業製薬の基盤技術である界面活性剤、ウレタン、ポリオール、難燃剤、滑剤などを幅広い産業へ供給する。
主な製品は非イオン、アニオン、カチオン、両性の各種界面活性剤、難燃剤、アミド系滑剤、ポリエーテルポリオール、ウレタンプレポリマーである。
用途は土木・建築、住宅建材、塗料、インク、繊維、製紙、農薬、樹脂加工、工業洗浄など多岐にわたる。顧客の工程条件に合わせて濡れ、乳化、分散、消泡、帯電防止、接着などの機能を調整する。
2026年3月期は売上高15,182百万円、セグメント利益162百万円。売上高は前期比3.6%減、利益は46.4%減となった。
住宅建材用途の難燃剤は大きく落ち込み、土木・建築用途も低調に推移した。基盤事業で需要が弱く、利益率は1.1%にとどまった。
界面活性剤は汎用品に見えるが、用途ごとに分子構造、イオン性、HLB、泡特性、耐熱性、安定性が異なる。顧客別の配合技術と安定供給が参入障壁となる。
水系ウレタン樹脂やポリオールは、コーティング、接着、繊維加工、建材などへ展開される。環境規制への対応では溶剤系から水系への転換が中長期の需要テーマとなる。
難燃剤は建材、樹脂、電子部品などで使用される。法規制、難燃性能、機械特性、加工性のバランスが必要で、用途ごとの認証や顧客評価に時間を要する。
2027年3月期第1四半期は売上高4,435百万円、営業利益272百万円。売上高は前年同期比11.7%増、営業利益は123.1%増となった。
住宅建材用途の難燃剤と土木・建築用途が堅調に推移した。2026年3月期の低調から回復したが、四半期の利益率は6.1%であり、今後の継続性を確認する必要がある。
コア・マテリアルは、電子・情報や環境・エネルギーへ応用される基盤技術を保有する。研究開発成果を成長分野へ横展開するための技術プラットフォームとしての役割も持つ。
一方、汎用領域では原材料価格と国際価格競争の影響を受けやすい。価格転嫁、不採算品の見直し、生産効率化が利益率改善の中心課題となる。
「SMART 2030」では2030年3月期に売上高150億円、営業利益10億円を目指す。2026年3月期の売上高は目標水準に達しているが、営業利益は目標を大きく下回る。
したがって、当セグメントの評価軸は売上成長ではなく収益性改善である。低採算製品の整理、価格改定、設備稼働率、高付加価値用途への構成転換を追う必要がある。
コア・マテリアルが安定収益を確保できれば、成長セグメントへの研究開発投資を支える基盤となる。逆に低採算が続けば、全社利益率の上昇を抑える要因となる。
1.会社予想と実績
2023年3月期から2026年3月期は期首の通期会社予想と通期実績を比較。2027年3月期は2026年7月29日修正後の最新通期予想と第1四半期実績を掲載しています。
| 指標 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 2027年3月期 | ||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 会社予想 | 実績 | 達成率 | 会社予想 | 実績 | 達成率 | 会社予想 | 実績 | 達成率 | 会社予想 | 実績 | 達成率 | 会社予想 | Q1実績 | 単純進捗率 | |
| 売上高 (百万円) | 65,000 | 65,081 | 100.1% | 68,000 | 63,118 | 92.8% | 70,000 | 73,255 | 104.7% | 80,000 | 82,886 | 103.6% | 97,000 | 27,501 | 28.4% |
| 営業利益 (百万円) | 4,700 | 1,186 | 25.2% | 2,500 | 2,077 | 83.1% | 4,000 | 5,351 | 133.8% | 6,000 | 10,107 | 168.5% | 12,500 | 5,117 | 40.9% |
| 経常利益 (百万円) | 4,300 | 1,200 | 27.9% | 2,300 | 2,060 | 89.6% | 3,900 | 5,737 | 147.1% | 6,000 | 10,372 | 172.9% | 12,600 | 5,228 | 41.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 (百万円) | 2,500 | -407 | -16.3% | 1,200 | 1,174 | 97.8% | 2,000 | 2,585 | 129.2% | 3,200 | 6,169 | 192.8% | 7,700 | 3,116 | 40.5% |
| EPS (円) | 245.48 | -41.87 | -17.1% | 125.55 | 122.81 | 97.8% | 208.99 | 270.08 | 129.2% | 334.17 | 606.28 | 181.4% | 725.67 | 293.70 | 40.5% |
達成率=通期実績÷期首会社予想×100。2027年3月期はQ1実績÷最新通期予想の単純進捗率です。予想はすべて単一値で、レンジ予想はありません。
2.達成・未達理由
販売価格の改定が原材料高に追いつかず、研究開発費の増加、新規開発の遅れ、ウレタン材料の減損が重なりました。売上はわずかに超過しましたが、利益は大幅に未達となり最終赤字でした。
価格転嫁と経費削減で利益は回復した一方、海外向け難燃剤、太陽電池用導電性ペースト、ライフサイエンスが弱く、期首計画には届きませんでした。純利益とEPSは小幅未達にとどまりました。
ハイエンドサーバー向け光硬化樹脂材料と新規電池材料が大幅に伸び、全セグメントが増収となりました。高付加価値品の構成上昇で収益性も改善し、全指標が期首予想を超過しました。
低誘電樹脂材料と電池用負極バインダーが大幅に伸び、高付加価値品の販売拡大で過去最高益を更新しました。EPSの超過率が純利益より低いのは、公募等による期中平均株式数の増加が影響しています。
第1四半期の好調を受けて通期予想を上方修正しました。低誘電樹脂材料、電池用材料、価格改定が寄与する一方、一時的需要を含むため、Q1実績の単純な年率換算は適切ではありません。
3.事業セグメントの自信度
2026年3月期から報告区分が材料別6セグメントから市場別4セグメントへ変更されています。旧区分と新区分を分け、各年度で表現が変化した原文をカード内に掲載しています。
界面活性剤
旧6セグメント(2025年3月期まで)
営業利益は、原材料価格高騰の影響を受け17億49百万円(前期比29.4%減)
価格転嫁不足で採算が悪化。
営業利益は、営業経費の削減により18億16百万円(前期比3.8%増)
経費削減で持ち直したものの、売上は低調。
営業利益は、売上高が堅調に推移したものの営業経費が増加したことにより、15億47百万円(前期比14.8%減)
需要は底堅いが費用増で減益。
安定需要はあるものの、費用増と用途別の濃淡が残る事業でした。
アメニティ材料
旧6セグメント(2025年3月期まで)
1百万円の営業損失(前期は5億66百万円の利益)
原材料高と営業経費増で赤字化。
営業利益は、営業経費の削減により4億59百万円(前期は1百万円の損失)
経費削減で黒字回復。
営業利益は、売上高が大幅に伸長したことにより、7億73百万円(前期比68.4%増)
食品・香粧品用途が伸び、増益基調が明確。
収益回復が定着し、現行区分ではライフ・ウェルネスの基盤となっています。
ウレタン材料
旧6セグメント(2025年3月期まで)
2億47百万円の営業損失(前期は55百万円の利益)
原材料高と価格是正の遅れで赤字化。
2億43百万円の営業損失(前期は2億47百万円の損失)
改善幅が小さく、赤字が継続。
営業損失は2億19百万円(前期は2億43百万円の損失)
損失は縮小したが黒字化には未達。
赤字縮小は進んだものの、収益力の回復確認が必要でした。
機能材料
旧6セグメント(2025年3月期まで)
機能材料の売上高は、総じて大幅に伸長しました。
増収の一方、原材料高と研究開発費で利益は大幅減。
営業利益は高付加価値品の光硬化樹脂材料の大幅な売上高の伸長に加え、営業経費の削減により10億3百万円
高付加価値品が利益回復を牽引。
営業利益は、売上高が大幅に伸長したことにより、40億44百万円
ハイエンドサーバー向け製品が成長の主柱に。
現行の電子・情報へつながる高収益事業として成長が加速しました。
電子デバイス材料
旧6セグメント(2025年3月期まで)
電子デバイス材料の売上高は、総じて大きく落ち込みました。
ディスプレイ・太陽電池用途が低迷。
43百万円の営業損失(前期は1億39百万円の利益)
売上減と経費増で赤字化。
電池用途のリチウムイオンバッテリー用材料は大幅に伸長しました。
売上は急回復したが、研究開発費で赤字が残存。
電池材料の立ち上がりが現行の環境・エネルギー成長へつながりました。
ライフサイエンス
旧6セグメント(2025年3月期まで)
7億34百万円の営業損失(前期は5億43百万円の損失)
研究開発費増で赤字が拡大。
9億14百万円の営業損失(前期は7億34百万円の損失)
売上減と費用増で赤字がさらに拡大。
7億41百万円の営業損失(前期は9億14百万円の損失)
損失縮小に転じたが、黒字化は未達。
改善途上で、収益化の継続確認が必要です。
電子・情報
新4セグメント(2026年3月期から)
ハイエンドサーバー向け低誘電樹脂材料が国内、海外ともに大幅に伸長しました。
高付加価値品が売上・利益を牽引。
営業利益は、高付加価値品の売上高が伸長したことにより、26億68百万円(前年同期比84.3%増)
国内外のサーバー需要が継続し、利益成長も強い。
低誘電樹脂材料が全社利益の中核。需要継続を前提に最新予想の達成を支える主力です。
環境・エネルギー
新4セグメント(2026年3月期から)
電池用材料の負極用水系複合接着剤が大幅に伸長しました。
前期赤字から大幅黒字へ転換。
リチウムイオン電池用途の負極用水系複合接着剤は大幅に伸長し、モビリティ用途は堅調に推移しました。
電池材料が継続成長し、利益寄与が急拡大。
負極用水系複合接着剤が第二の利益柱。太陽電池用途の海外弱含みを補っています。
ライフ・ウェルネス
新4セグメント(2026年3月期から)
営業利益は、ショ糖脂肪酸エステルを中心に採算性が改善したことにより、5億99百万円(前期比105.6%増)
採算改善で利益が倍増。
営業利益は、4億41百万円(前年同期比94.8%増)
食品・洗剤用途が堅調で高い増益率。
売上成長は緩やかでも採算改善が進み、安定的な利益補完役になっています。
コア・マテリアル
新4セグメント(2026年3月期から)
コア・マテリアルセグメントの売上高は、総じて低調に推移しました。
難燃剤・土木用途の弱さと経費増で減益。
住宅建材用途の難燃剤、土木・建築用途は堅調に推移しました。
売上・利益が回復し、前年同期を大幅に上回る。
Q1は回復したものの、前年の低調からの反動も大きく、持続性の確認が必要です。
4.最新予想信頼度
第1四半期の利益進捗は約41%で、会社は同時点で通期予想を上方修正しました。高付加価値品の成長が続けば達成余地は大きい一方、一時的需要と下期減速を織り込む必要があります。
達成できると判断する理由
- Q1発表時に最新予想へ上方修正しており、会社自身が足元の利益水準を通期計画へ反映済みです。
- 電子・情報の低誘電樹脂材料と環境・エネルギーの電池用材料が、売上だけでなく高い利益成長を牽引しています。
- 価格改定の浸透が原材料・エネルギーコストの吸収に寄与しています。
- Q1の営業・経常・純利益の単純進捗率は約41%で、通期達成に必要な残余利益には一定の余裕があります。
- 2025年3月期、2026年3月期と2期連続で全5指標が期首予想を上回り、収益力の改善が継続しています。
達成できないと判断する理由
- Q1には中東情勢を背景とした一部製品の一時的需要が含まれ、同じ強さが通期で続くとは限りません。
- 地政学、通商政策、為替、原材料・エネルギー価格の変動は、販売数量と利益率の双方を押し下げる可能性があります。
- 太陽電池用高性能導電性ペーストは海外が弱く、成長分野内でも需要の濃淡があります。
- 利益が低誘電樹脂材料と電池材料に集中しており、顧客の投資・生産計画の変化に影響されやすい構造です。
- 旧6セグメントから新4セグメントへ再編されているため、長期のセグメント比較には限界があります。
利益計上時期の見方
会社は恒常的な下期偏重・上期偏重を明示していません。今回はQ1に一時的需要が含まれ、前年同期より利益率も大きく上昇しています。掲載した進捗率は季節性や製品構成を調整していない単純進捗率であり、Q1実績を4倍して通期を推定する評価は避けるべきです。
総合判断
最新会社予想は達成可能と判断します。 利益面の余裕が大きく、上方修正後の計画にもなお達成余地があります。ただし、売上高は利益ほど進捗が高くなく、一時需要の反動が強い場合は売上未達・利益達成という結果も想定されます。低誘電樹脂材料と電池用材料の継続成長、価格改定効果の維持が達成条件です。
直近5年業績サマリー
| 業績項目 | 2022/3 実績 |
2023/3 実績 |
2024/3 実績 |
2025/3 実績 |
2026/3 実績 |
2027/3 会社予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 62,672 | 65,081+2,409 / +3.8% | 63,118-1,963 / -3.0% | 73,255+10,137 / +16.1% | 82,886+9,631 / +13.1% | 97,000+14,114 / +17.0% |
| 営業損益 | 4,626 | 1,186-3,440 / -74.4% | 2,077+891 / +75.1% | 5,351+3,274 / +157.6% | 10,107+4,756 / +88.9% | 12,500+2,393 / +23.7% |
| 経常損益 | 4,192 | 1,200-2,992 / -71.4% | 2,060+860 / +71.7% | 5,737+3,677 / +178.5% | 10,372+4,635 / +80.8% | 12,600+2,228 / +21.5% |
| 当期純利益 | 2,492 | -407-2,899 / -116.3% | 1,174+1,581 / +388.5% | 2,585+1,411 / +120.2% | 6,169+3,584 / +138.6% | 7,700+1,531 / +24.8% |
| EPS | 234.85円 | -38.36円-273.21 / -116.3% | 110.64円+149.00 / +388.5% | 243.62円+132.98 / +120.2% | 581.39円+337.77 / +138.6% | 725.67円+144.29 / +24.8% |
| PER | 11.75倍 | 赤字 | 33.17倍 | 11.30倍 | 12.76倍 | 14.24倍 |
| PBR | 0.80倍 | 0.58倍 | 1.06倍 | 0.75倍 | 1.51倍 | - |
| BPS | 3,465.04円 | 3,236.87円-228.16 / -6.6% | 3,463.15円+226.28 / +7.0% | 3,649.94円+186.79 / +5.4% | 4,904.32円+1,254.38 / +34.4% | - |
| 純資産 | 40,383 | 38,296-2,087 / -5.2% | 41,297+3,001 / +7.8% | 44,504+3,207 / +7.8% | 58,257+13,753 / +30.9% | - |
| 営業CF | 5,520 | 724-4,796 / -86.9% | 7,091+6,367 / +879.4% | 7,528+437 / +6.2% | 9,962+2,434 / +32.3% | - |
| 投資CF | -2,700 | -2,883-183 / -6.8% | -2,008+875 / +30.4% | -2,138-130 / -6.5% | -3,536-1,398 / -65.4% | - |
| 財務CF | -2,336 | -1,030+1,306 / +55.9% | 1,646+2,676 / +259.8% | -5,045-6,691 / -406.5% | 854+5,899 / +116.9% | - |
| 現金及び現金同等物 | 12,151 | 9,051-3,100 / -25.5% | 15,947+6,896 / +76.2% | 16,556+609 / +3.8% | 23,830+7,274 / +43.9% | - |
中期経営計画
中期経営計画「SMART 2030」
「SMART 2030」は2026年3月期から2030年3月期までの5カ年計画で、前半2年をPhase1、後半3年をPhase2とする。高付加価値製品の拡販、事業別の収益責任明確化、研究開発速度の向上、資本効率改善を進める。
数値目標
Phase1の2027年3月期目標は売上高810億円、営業利益65億円、営業利益率8.1%、親会社株主に帰属する当期純利益35億円、ROE8.0%、ROIC5.5%。
2030年3月期のセグメント目標は、電子・情報が売上高400億円・営業利益50億円、環境・エネルギーが300億円・30億円、ライフ・ウェルネスが150億円・10億円、コア・マテリアルが150億円・10億円である。
2027年3月期の最新会社予想は売上高970億円、営業利益125億円で、策定時のPhase1目標を上回る。ただし、会社が「SMART 2030」の正式な数値目標を改定したことを示すものではなく、最新予想と策定時目標の比較である。
基本方針
市場分野別の事業本部制を採用し、営業と研究開発を一体運営する。顧客課題の把握から材料設計、評価、量産化までの意思決定を短縮し、製品開発期間の圧縮を目指す。
研究開発では中央研究所機能を強化し、界面制御、分散、樹脂、高分子設計などの基盤技術を電子・情報と環境・エネルギーへ横展開する。2030年の新製品化率25%以上、研究開発費売上高比率5.3%以上を掲げる。
資本配分では2026年3月期から2030年3月期までの累計営業キャッシュフロー430億円を想定し、成長投資約350億円、設備投資約300億円、株主還元80億円以上を計画する。
株主還元は利益成長に合わせた長期安定的な増配を目指し、最終年度の配当性向40%以上を目標とする。環境面では2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比30%削減する。
事業戦略
電子・情報はハイエンドサーバー向け低誘電樹脂材料を軸に、半導体工程材料、封止材、ディスプレイ材料へ展開する。環境・エネルギーはリチウムイオン電池用負極用水系複合接着剤、車載封止材、導電性ペーストを成長製品とする。
ライフ・ウェルネスはショ糖脂肪酸エステル、香粧品原料、健康食品の採算改善を進める。コア・マテリアルは価格転嫁、不採算品の見直し、高付加価値用途への構成転換によって利益率を引き上げる。
2026年3月期実績と2027年3月期第1四半期は、低誘電樹脂材料と電池用バインダーが計画の利益成長を先行して牽引した。今後は増産能力、顧客採用の継続、既存事業の採算改善が計画達成の持続性を左右する。
中期経営計画資料へ競合他社
① 日油(4403)
日油は、油脂化学を起点に機能材料、医薬・医療・健康、化薬などへ展開する高機能化学メーカーである。第一工業製薬との競合は、主として機能材料事業に集中する。
競合製品は界面活性剤、機能性ポリマー、電子情報材料、コート・シール材料、樹脂改質材、潤滑材料、化粧品・医薬品原料である。界面制御と分子設計を起点に高付加価値用途へ展開する事業モデルが近い。
電子・情報分野では、低誘電材料用硬化剤、電子部品向け添加剤、ディスプレイ用コーティング材、機能性シール材で競合する。第一工業製薬の低誘電樹脂材料、封止材、工程薬剤と同じ顧客開発案件で比較対象となる。
ライフ・ウェルネス分野では、化粧品原料、機能性脂質、医療材料と、第一工業製薬のショ糖脂肪酸エステルや香粧品原料が部分的に重なる。日油は医薬・医療用途の比重が高く、第一工業製薬は食品用乳化・分散材料に特徴がある。
2026年3月期は売上高257,967百万円、営業利益47,411百万円、経常利益50,366百万円、親会社株主に帰属する当期純利益40,550百万円。営業利益率は18.4%だった。
第一工業製薬にとって日油は、研究開発規模、海外供給網、利益率で上回る最大手競合である。一方、低誘電樹脂材料と電池用バインダーの個別製品成長では、第一工業製薬の売上規模に対する業績寄与が大きい。
② ADEKA(4401)
ADEKAは化学品、食品、ライフサイエンスを展開する総合素材メーカーである。半導体材料、界面化学品、樹脂、電池材料、難燃剤、食品材料まで、第一工業製薬の4セグメントすべてに対応する製品を持つ。
電子・情報分野では半導体用材料、光硬化材料、機能性樹脂、工業用洗浄剤が競合する。製品範囲とグローバル供給体制が広く、顧客の複数工程へ材料を提案できる点が強い。
環境・エネルギー分野では電池材料、ポリウレタン原料、水系樹脂、潤滑油添加剤、難燃剤が重なる。第一工業製薬の負極用水系複合接着剤や封止材は、ADEKAの電池・車載向け機能材料と採用競争になる。
ライフ・ウェルネス分野では食品用乳化剤、加工油脂、化粧品原料が重なる。コア・マテリアル分野では界面活性剤、樹脂添加剤、ウレタン原料、難燃剤で直接競合する。
2026年3月期は売上高約416,500百万円、営業利益約41,600百万円、経常利益約42,700百万円、親会社株主に帰属する当期純利益約27,800百万円。営業利益率は約10.0%だった。
ADEKAは製品構成上で最も包括的な競合である。第一工業製薬は、低誘電樹脂材料と電池用バインダーへの集中、顧客別の処方開発、売上規模に対する新製品の利益寄与で対抗する。
③ 三洋化成工業(4471)
三洋化成工業は、界面活性剤、ポリウレタン原料、ウレタン樹脂、潤滑油添加剤、電子材料、医療・健康材料を展開する機能性化学品メーカーである。
第一工業製薬との重複度が高いのは、界面活性剤、分散剤、ウレタン原料、水系樹脂、粘着材料、潤滑油添加剤、電子材料である。顧客仕様に合わせて性能を設計する営業手法も共通する。
コア・マテリアルでは、界面活性剤とウレタン材料が最も直接的に競合する。環境・エネルギーでは電池・車載向け分散材、樹脂、潤滑材料が比較対象となる。
電子・情報では半導体工程材料、電子部品用樹脂、光硬化材料で競合する。第一工業製薬の低誘電樹脂材料が急成長する一方、三洋化成工業は幅広い高分子・界面制御技術を持つ。
2026年3月期は売上高127,859百万円、営業利益10,007百万円、経常利益12,256百万円、親会社株主に帰属する当期純利益15,637百万円。営業利益率は7.8%だった。
高吸水性樹脂事業からの撤退で売上高は減少したが、収益性改善により営業利益と経常利益は増加した。純利益には税効果が含まれるため、営業利益との分離が必要である。
時価総額と事業規模が第一工業製薬に近く、伝統的な界面活性剤・ウレタン事業の収益性を比較しやすい。同規模の直接競合として、事業再構築と成長分野への転換速度が重要な比較軸となる。
出典
- 第一工業製薬 公式サイト
- 第一工業製薬 会社概要
- 第一工業製薬 私たちについて
- 第一工業製薬 製品情報
- 第一工業製薬 電子・情報
- 第一工業製薬 環境・エネルギー
- 第一工業製薬 ライフ・ウェルネス
- 第一工業製薬 コア・マテリアル
- 第一工業製薬 IRライブラリ・決算短信
- 第一工業製薬 セグメント情報
- 第一工業製薬 中期経営計画「SMART 2030」概要
- 第一工業製薬 中期経営計画「SMART 2030」説明資料
- 日油 機能材料事業
- 日油 決算短信
- ADEKA 事業内容
- ADEKA 決算情報
- 三洋化成工業 製品・技術情報
- 三洋化成工業 決算資料
本ページは公開情報を基に作成した企業分析であり、特定の有価証券の売買を推奨または勧誘するものではありません。 業績予想、株価、時価総額、投資指標、製品構成、競争環境は変動する可能性があります。 投資判断は最新の開示資料を確認したうえで、自身の責任で行ってください。

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