4078 堺化学工業

堺化学工業 <4078> 企業紹介 | ストップ高安研究所

堺化学工業 4078 東証プライム

無機系粉体材料の総合化学メーカー ─ MLCC原料チタン酸バリウム・酸化チタン・バリウム製品

※2026年5月25日時点の情報

事業内容 ─ 無機系粉体材料の総合化学メーカー

堺化学工業は、無機系粉体材料(酸化チタン、バリウム塩など)を中心とした総合化学メーカーで、研究開発に注力する研究開発型企業と位置付けています。連結売上高の約90%が無機系を中心とした化学材料、残り約10%が医療事業。製造した材料は化学専門商社の堺商事(同社100%連結子会社)などを通じて多様な業界・用途向けに販売しています。MLCC(積層セラミックコンデンサ)の主原料であるチタン酸バリウムや高純度炭酸バリウムの大手メーカーで、AIサーバー向けMLCC需要拡大の恩恵を素材供給側として享受する位置付けです。

主要事業セグメント

電子材料事業(MLCC原料)

MLCC用材料(チタン酸バリウム、高純度炭酸バリウムなど)を中心に開発および拡販に注力。中期経営計画「変革・BEYOND2030」ではMLCC用関連へ57億円の投資を計画。誘電体はAIサーバー関連・車載向けが好調に推移し、誘電体材料も全体的には好調で、誘電体・誘電体材料双方で売上高・利益ともに増加している。2026年3月期は売上高113億7,700万円(前期比+13.6%)、営業利益18億1,600万円(同+21.7%)と高成長を遂げた。

酸化チタン・亜鉛製品事業(化粧品材料)

塗料用やインキ用などの酸化チタン大手メーカー。化粧品材料(微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛など)を中心に業容拡大を計画。化粧品関連へは55億円の投資を計画。一方、中国景気減速の影響で2026年3月期3Q累計で化粧品材料を中心とした減損処理を実施した経緯がある。

樹脂添加剤事業

海外子会社と連携をとりながら、東南アジアを中心に塩ビ樹脂安定剤およびハイドロタルサイトの海外展開を図る。中期経営計画では海外売上高比率50%以上を目標に設定。

触媒事業

環境配慮型触媒であるクロムフリーの銅触媒、アンチモンフリーのPET重合触媒への注力と、ニッケル触媒の増設を推進。触媒関連へは13億円の投資を計画。

有機化学品・衛生材料・受託加工・無機材料事業

有機化学品事業は価格改定効果により増収増益を達成。衛生材料事業は価格改定やコスト削減が寄与して増益で推移。多様な化学事業ポートフォリオで事業リスクを分散している。

医療事業(カイゲンファーマ)

連結子会社のカイゲンファーマを中心に、X線用バリウム造影剤、医薬品(風邪薬「改源」や消化性潰瘍治療薬「アルロイドG」など)、医療機器などを製造販売。連結売上高の約10%を占める。

直近5年の業績サマリー

2026年3月期は売上高814億4,700万円(前期比△3.5%)、営業利益64億5,200万円(同+5.9%)、経常利益65億4,500万円(同+4.2%)、親会社株主に帰属する当期純利益27億5,200万円(同△45.1%)となりました。当期純利益が大幅減となったのは化粧品材料を中心とした減損処理の実施が主因。電子材料事業は売上高+13.6%・営業利益+21.7%と好調で、AIサーバー・車載向け誘電体需要が業績を牽引しました。2027年3月期会社予想は売上高817億円、営業利益60億円、経常利益61億円、当期純利益44億円(+59.9%)で、減損反動による純利益の大幅回復を計画しています。

項目(連結・百万円) 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期 2027年3月期
会社予想
売上高 80,135 83,861
+4.7%
82,105
△2.1%
84,409
+2.8%
81,447
△3.5%
81,700
営業損益 7,494 4,407
△41.2%
2,942
△33.2%
6,093
+107.1%
6,452
+5.9%
6,000
経常損益 8,840 4,854
△45.1%
3,066
△36.8%
6,279
+104.8%
6,545
+4.2%
6,100
当期純損益 6,747 2,344
△65.3%
△7,092
赤字転落
5,013
黒字転換
2,752
△45.1%
4,400
EPS(一株利益) 407.05円 144.81円 △437.64円 309.16円 176.38円 287.37円
決算発表時株価
(参考)
4,180円 2,395円 1,927円 2,294円 3,465円
実績PER 10.27倍 16.54倍 -4.40倍 7.42倍 19.64倍
予想PER 12.06倍
PBR 0.79倍 0.46倍 0.38倍 0.47倍 0.68倍
PSR 0.43倍 0.23倍 0.20倍 0.24倍 0.36倍
【業績数値に関する免責事項】
本ページに掲載している業績数値は、各社が公表する決算短信を一次情報として作成しています。 数値は決算短信発表時点のものであり、将来的に修正される可能性があります。 業績予想は会社発表時点のものであり、実績と異なる場合があります。 PER・PBR・PSRは決算発表日の終値で算出した参考値です。 正確な情報は各社公式IRサイトを必ずご確認ください。

業績のポイント

2026年3月期は本業ベースで増益(営業利益+5.9%、経常利益+4.2%)を達成。電子材料事業がAIサーバー関連・車載向け誘電体の好調により売上高+13.6%・営業利益+21.7%と大幅な伸びを示した。一方、当期純利益は化粧品材料を中心とした減損処理の影響で△45.1%減となった。2027年3月期会社予想は売上高+0.3%増の817億円、営業利益60億円、当期純利益44億円(+59.9%)と、減損処理の反動と事業ポートフォリオ全体での採算是正による収益性改善を見込む。ROE目標8%達成に向けた取り組みを継続中。

中期経営計画「変革・BEYOND2030」

同社は2024年5月13日、2025年3月期から2027年3月期までの3年間を対象とする中期経営計画「変革・BEYOND2030」を策定・開示しました。資本コストを上回るROEの達成・PBR改善を経営課題とし、2027年3月期にROE目標8%達成を掲げています。事業ごとに大型の投資計画を設定し、無機化学を主軸としつつ、有機化学・触媒・高機能材料を成長戦略の柱として位置付けています。

2027年3月期数値目標(最終年度)

  • ROE(自己資本利益率):8%達成
  • 資本コストを上回るROEの達成・PBR改善

事業別投資計画

  • 電子材料事業(MLCC用関連):57億円投資
  • 酸化チタン・亜鉛製品事業(化粧品材料):55億円投資
  • 触媒事業(環境配慮型触媒):13億円投資
  • 化学その他事業(高屈折材料):21億円投資
  • 樹脂添加剤事業:海外売上高比率50%以上を目標

基本方針

資本効率を強く意識した取り組みを推進。MLCCのトレンドにマッチしたハイエンド・ミドルエンドの誘電体・誘電体材料を開発・拡販し、市場成長を超える成長を実現する方針。市場成長の中、微細化・高純度化・高均質化ニーズに基づくハイエンド・ミドルエンド製品の拡販を推進。技術・品質を強みとしたニッチトップ戦略を推進し、無機化学と共に両翼を担う事業へ育成する。

株主還元

  • 2026年3月期配当:中間65円・期末65円の年間130円
  • 2024年5月開催の取締役会決議に基づき自己株式914,000株(24億9,900万円)を取得(2025年11月終了)
  • 取得済み自己株式の消却を実施

強みと注目点

① MLCC主原料チタン酸バリウムの大手メーカー

MLCCの主原料であるチタン酸バリウム・高純度炭酸バリウムを製造する素材化学メーカー。AIサーバー向けMLCC需要拡大の恩恵を、MLCC本体メーカーではなく素材供給側として享受できる独自ポジション。電子材料事業の2026年3月期営業利益は+21.7%増と高成長を続けている。中期経営計画でMLCC用関連へ57億円の追加投資を計画中。

② 多様な事業ポートフォリオによる安定性

無機系粉体材料(酸化チタン、バリウム製品等)を中心に、有機化学品、衛生材料、医療事業など多様な事業を展開。連結売上高の約90%が化学材料、約10%が医療事業(カイゲンファーマ)と、特定事業への過度な集中を回避している。事業ポートフォリオ全体での採算是正等を実施し、収益性の改善を進めている。

③ 技術・品質を強みとしたニッチトップ戦略

無機化学分野でのニッチトップ戦略を推進。MLCCのトレンドにマッチしたハイエンド・ミドルエンドの誘電体・誘電体材料を開発・拡販し、市場成長を超える成長を実現する方針。技術・品質で他社との差別化を図っている。

④ 業績回復軌道とPBR改善余地

2024年3月期に純利益70億円の赤字を計上した後、2025年3月期に黒字転換、本業ベースでは2期連続で増益を達成。2027年3月期会社予想で当期純利益44億円(+59.9%)と回復を計画。PBR0.68倍と1倍を下回る水準で、中期経営計画ではPBR改善が経営目標として明示されており、株主価値向上の余地が大きい。

⑤ 株主還元の強化

2024年5月開催の取締役会決議に基づき自己株式914,000株・24億9,900万円を取得(2025年11月終了)し、取得済み自己株式の消却を実施。2026年3月期配当は年間130円。中期経営計画期間中も継続的な株主還元方針が示されている。

弱み・リスク要因

有価証券報告書および中期経営計画資料から判明している同社の事業上の課題・リスクは以下のとおりです。

① 当期純利益の大幅減と化粧品材料の減損

2026年3月期は化粧品材料を中心とした減損処理の実施により、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比45.1%減の27億5,200万円となった。中国経済の鈍化により化粧品材料事業は減収減益で、減損が必要な水準まで業績が悪化した。中国景気減速の継続が利益面のリスクとなり続けている。

② 業績ボラティリティの大きさ

過去5期の当期純利益は67億円→23億円→△70億円→50億円→27億円と大きく変動しており、業績の安定性に課題。2024年3月期には特別損失計上で70億円の純利益赤字を計上した経緯がある。市況・為替・特別損益要因による業績変動リスクが大きい。

③ 原料鉱石輸入と為替・原材料リスク

主要な原料鉱石を輸入しているため、原燃料高騰と円安がもたらす製造コストの上昇は免れ得ないと同社が認識。適正な販売価格の設定、収率の改善、製造設備の集約等の取り組みで対応しているが、為替・原材料価格変動が利益率を直撃しやすい構造。

④ 米国相互関税・地政学リスク

同社が決算短信で言及している通り、アメリカ政権が各国・地域に課した相互関税によるインフレ進行や景気後退が懸念。中国における景気低迷、ロシアのウクライナ侵攻によるサプライチェーンの混乱と景気停滞が継続。幅広い用途に使用されている酸化チタンやバリウム製品等がこれらの影響を大きく受けている。

⑤ ROE目標達成の道のり

中期経営計画最終年度(2027年3月期)のROE目標8%に対し、2026年3月期実績は3.54%、2027年3月期予想も5.66%にとどまる。ROE目標達成までには大幅な利益改善が必要で、計画達成の確度が市場の注目点。資本コストを上回るROE達成・PBR改善には継続的な業績向上が不可欠。

⑥ 酸化チタン本業の販売数量低迷

主力の酸化チタン事業は出荷数量が苦戦している状況。MLCC関連(電子材料)の伸びは順調だが、全社売上高は2026年3月期に前期比△3.5%減と減収。電子材料以外の事業領域での販売数量回復が業績拡大の鍵となる。

主な出典:

本ページは投資情報の提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。

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