7031 インバウンドテック

インバウンドテック 7031 東証G

Inbound Tech Inc.|24時間365日対応の多言語コンタクトセンター、電話・映像・AI通訳、カスタマーサポート、営業アウトソーシングを展開。FW・ウェブクルーとの統合により、集客から営業、契約後の顧客対応までを一体化する方針を掲げる。
※2026年7月15日時点の情報

事業内容

2026年7月15日の時価総額は約20.8億円。株価終値は753円、株式交付に伴う新株発行を反映した発行済株式総数は2,766,391株。

インバウンドテックは2015年4月1日設立、本社は東京都新宿区新宿1丁目8番1号。代表者は代表取締役社長の下大薗豊氏、決算期は3月、上場市場は東京証券取引所グロース市場。マルチリンガルCRM事業とセールスアウトソーシング事業を展開し、2026年6月にはFWを完全子会社化した。

2026年3月期の訂正後連結業績は、売上高2,133百万円、営業損失153百万円、経常損失194百万円、親会社株主に帰属する当期純損失235百万円。2027年3月期はFWの連結化を前提に売上高6,300百万円を予想する一方、取得原価配分やのれんの算定が完了していないため、利益予想は開示していない。

マルチリンガルCRM事業

外部顧客向け売上高は2022年3月期の1,884百万円から2023年3月期に2,351百万円まで拡大した後、2026年3月期は1,606百万円へ減少。セグメント利益は2023年3月期の536百万円をピークに、2026年3月期は181百万円となった。セグメント利益率は2022年3月期の24.3%から2026年3月期は11.3%まで低下している。
マルチリンガルCRM事業 業績推移(単位:百万円)
0 750 1,500 2,250 3,000 合計 2,341 1,884 457 2022年3月期 利益率 24.3% 合計 2,887 2,351 536 2023年3月期 利益率 22.8% 合計 2,743 2,219 524 2024年3月期 利益率 23.6% 合計 2,086 1,784 302 2025年3月期 利益率 16.9% 合計 1,787 1,606 181 2026年3月期 利益率 11.3% 外部売上高 セグメント利益
黄色は外部顧客向け売上高、赤色はセグメント利益。利益率はセグメント利益を外部顧客向け売上高で除して算出。棒上部の合計値はグラフ表示上の合算値であり、会計上の売上高を示す数値ではない。
マルチリンガルCRM事業は、24時間365日稼働の多言語コンタクトセンターを基盤に、外国語と日本語の問い合わせ対応、電話通訳、三者間通訳、映像通訳、AI通訳、カスタマーサポートを提供する。

顧客企業と外国語話者の間にオペレーターが入り、電話や映像を通じて会話を支援する。店舗、宿泊施設、交通機関、医療機関、自治体、消防、通信事業者など、外国語対応を常時自社雇用で賄うことが難しい組織が主な需要先となる。

電話通訳では、外国語話者、顧客企業、同社オペレーターを接続する三者間通話に対応する。来店客対応だけでなく、賃貸住宅、通信契約、緊急通報、医療、行政手続きなど、正確な意思疎通が必要な場面で利用される。

映像通訳では、タブレットやスマートフォンなどを介してオペレーターの映像を表示し、表情や身ぶりも含めた案内を可能にする。対面窓口や店舗で外国語スタッフを常時配置しなくても、多言語対応を導入できる。

AI通訳では、音声認識、機械翻訳、音声合成などを活用する。定型的な問い合わせをAIで処理し、判断や説明が必要な場面を人間のオペレーターへ接続する運用が可能となれば、対応件数と品質の両立が事業上の焦点となる。

多言語カスタマーサポートでは、商品、サービス、予約、契約、利用方法、障害、解約などの問い合わせを顧客企業に代わって処理する。通訳だけでなく、顧客企業の業務手順に沿って回答するため、運用設計、教育、品質管理、履歴管理が必要となる。

日本語コンタクトセンターも展開しており、多言語案件と日本語案件を組み合わせた受託が可能である。問い合わせ対応、予約受付、事務局運営などを一括して受託できる点が、通訳専業会社との違いとなる。

2026年3月期は売上高が前期比で減少したものの、セグメント単体では181百万円の利益を確保した。連結営業赤字の主因は、同セグメント単独の赤字ではなく、全社費用や先行投資を含む調整額にある。

売上回復には、観光・宿泊・交通需要だけでなく、自治体、医療、通信、住宅、業務委託など継続性の高い案件を積み上げ、センターの稼働率を改善する必要がある。

セールスアウトソーシング事業

外部顧客向け売上高は2022年3月期の886百万円から2024年3月期に1,099百万円まで拡大した後、2026年3月期は527百万円へ減少。セグメント利益は2023年3月期の290百万円をピークに、2026年3月期は117百万円となった。利益率は2025年3月期の16.2%から2026年3月期は22.2%へ改善した。
セールスアウトソーシング事業 業績推移(単位:百万円)
0 375 750 1,125 1,500 合計 1,058 886 172 2022年3月期 利益率 19.4% 合計 1,231 941 290 2023年3月期 利益率 30.8% 合計 1,338 1,099 239 2024年3月期 利益率 21.7% 合計 884 761 123 2025年3月期 利益率 16.2% 合計 644 527 117 2026年3月期 利益率 22.2% 外部売上高 セグメント利益
黄色は外部顧客向け売上高、赤色はセグメント利益。利益率はセグメント利益を外部顧客向け売上高で除して算出。棒上部の合計値はグラフ表示上の合算値であり、会計上の売上高を示す数値ではない。
セールスアウトソーシング事業は、顧客企業に代わって電話やオンラインによる営業活動を実施する。商品やサービスの案内、見込み顧客への接触、ニーズの確認、アポイント獲得、契約促進などを受託する。

顧客企業は、営業人員を固定的に抱える代わりに、販売期間や対象地域、商品、見込み顧客数に応じて外部の営業体制を利用できる。新規事業の立ち上げや短期間の販売強化にも対応しやすい。

インバウンドテックはコンタクトセンターの人員、電話設備、応対管理、スクリプト作成、録音、実績集計の機能を営業支援にも利用する。問い合わせ対応と営業活動の双方を持つため、受電から追加提案、見込み顧客への再接触までを連続して設計できる。

売上高は案件の受注時期、契約規模、稼働期間に左右される。大型案件の終了や入札の不調があると、前年同期との比較で売上高と利益が大きく変動しやすい。

2025年3月期は、期初に見込んだ入札案件や大口案件が予想を下回った。2026年3月期も売上高は527百万円まで減少したが、セグメント利益は117百万円を確保している。

案件単位では利益を確保できても、センター全体の人員、管理部門、開発、M&A、上場維持などの費用を吸収できる売上規模に達しなければ、連結営業利益にはつながらない。

FW傘下のウェブクルーが持つ比較サイトやインターネット集客と連携できれば、見込み顧客の獲得を外部から受け取るだけでなく、グループ内で見込み顧客を創出し、電話営業へ接続する事業モデルへ広げられる。

今後は売上規模だけでなく、継続案件の比率、顧客集中度、1席当たり売上高、成約率、人件費、案件終了後の人員再配置を確認する必要がある。

AI通訳・クラウド電話・コンタクトセンターBPO

AI通訳、映像通訳、音声AIチャットボット、クラウド型電話、コンタクトセンターBPOは、マルチリンガルCRM事業に含まれる。個別サービスごとの売上高、利益、契約数は開示されていない。
AI通訳は、音声認識、翻訳、音声合成を組み合わせ、外国語話者と日本語話者の会話を支援する。定型的な案内を自動化し、複雑な問い合わせをオペレーターへ転送する構成により、対応時間と人員負担の削減を目指す。

同社はChatGPTのリアルタイムAPIと連携した多言語音声AIチャットボットを開発している。音声による質問を認識し、複数言語で回答することで、営業時間外や問い合わせ集中時の一次対応に利用する。

AIだけでは誤認識、誤訳、判断を伴う相談への対応が難しい。インバウンドテックはAIと人間のオペレーターを同じ運用内に配置し、必要に応じて有人対応へ切り替えることを競争軸とする。

子会社OmniGridは、クラウド型の電話・コミュニケーションサービスを扱う。電話設備とコンタクトセンター運営を組み合わせることで、システム導入から実際の応対業務までを一括して提供できる。

コンタクトセンターBPOでは、問い合わせ窓口、予約受付、事務局、受注、カスタマーサポートなど、顧客企業の業務プロセスを外部で運営する。言語対応だけでなく、業務手順、教育、品質評価、報告、改善までを含む。

AIによって単純な問い合わせを自動化できれば、オペレーターを説明や交渉が必要な業務へ振り向けられる。一方、AIの利用料、開発費、監視、回答精度の検証、個人情報保護が新たなコストとなる。

2025年3月期にはOmniGridに関する減損損失を計上した。クラウド電話やAIサービスが将来の成長分野であっても、開発投資が契約数や継続収入へ結び付かなければ、再び損失要因となる。

投資判断では、AI関連の発表件数ではなく、有料導入企業数、月額売上高、解約率、運用原価、有人業務の生産性改善を確認する必要がある。

FW・ウェブクルーとの統合戦略

インバウンドテックは2026年6月9日にFWを完全子会社化した。2027年3月期はFWの連結化を前提に売上高6,300百万円を計画するが、利益予想は未開示となっている。
FW傘下には、比較サイトなどを運営するウェブクルーがある。ウェブクルーはインターネット上で保険、生活関連サービスなどの情報を提供し、商品を検討する利用者を提携企業へ送客する機能を持つ。

インバウンドテックが従来担ってきたのは、電話やコンタクトセンターを使った問い合わせ対応、通訳、営業支援である。ウェブクルーの集客機能を組み合わせることで、広告や比較サイトによる見込み顧客の獲得から、電話営業、契約、契約後の問い合わせ対応までをグループ内で接続する方針となる。

見込み顧客を外部から購入する場合と比べ、グループ内で集客経路を保有できれば、顧客獲得コスト、成約率、問い合わせ内容を横断して管理できる可能性がある。

比較サイト上の行動データ、電話営業の結果、契約後の問い合わせ履歴を連携できれば、対象顧客の選定、営業スクリプト、商品提案、解約防止などの改善に利用できる。

株式交付では379,216株を交付し、このうち136,300株を自己株式、242,916株を新株で充当した。新株発行は既存株主の1株当たり利益や議決権比率を希薄化させる。

2027年3月期の売上高予想6,300百万円は、2026年3月期の2,133百万円から約3倍となる。増収の大部分はFWの連結化によるものであり、既存2事業の有機的な回復とは分けて評価する必要がある。

取得原価配分、のれん、顧客関連資産、償却負担などが確定していないため、会社は利益予想を開示していない。売上高が拡大しても、買収関連費用、統合費用、のれん償却、重複費用によって利益が伴わない可能性がある。

統合後の評価では、連結売上高だけでなく、営業利益、のれん、営業キャッシュ・フロー、ウェブクルー経由の送客数、成約率、グループ内取引を除いた外部売上高を確認する必要がある。

直近5年業績サマリー

業績項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期 2027年3月期
会社予想
売上高
(百万円)
2,769 3,291 +522 / +18.9% 3,318 +27 / +0.8% 2,544 -774 / -23.3% 2,133 -411 / -16.2% 6,300 +4,167 / +195.3%
営業損益
(百万円)
291 394 +103 / +35.4% 330 -64 / -16.3% 21 -309 / -93.5% -153 -174 / 赤字転落
経常損益
(百万円)
288 390 +102 / +35.1% 324 -66 / -16.8% 15 -309 / -95.1% -194 -209 / 赤字転落
当期純利益
(百万円)
182 254 +72 / +39.2% 208 -46 / -18.1% -414 -622 / 赤字転落 -235 +179 / 赤字縮小
EPS
(円)
66.11 91.99 +25.88 / +39.2% 75.29 -16.70 / -18.1% -149.86 -225.15 / 赤字転落 -85.12 +64.74 / 赤字縮小
PER
(倍)
51.58 15.31 14.81
PBR
(倍)
5.14 1.86 1.46 1.36 1.13
BPS
(円)
663.95 755.88 +91.93 / +13.8% 762.33 +6.45 / +0.9% 590.74 -171.59 / -22.5% 496.46 -94.28 / -16.0%
純資産
(百万円)
2,351 2,631 +280 / +11.9% 2,682 +51 / +1.9% 1,983 -699 / -26.1% 1,720 -263 / -13.3%
営業CF
(百万円)
234 652 +418 / +178.6% 186 -466 / -71.5% 75 -111 / -59.7% 84 +9 / +12.0%
投資CF
(百万円)
-1,016 -129 +887 / +87.3% -207 -78 / -60.5% -145 +62 / +30.0% -78 +67 / +46.2%
財務CF
(百万円)
872 -136 -1,008 / -115.6% -321 -185 / -136.0% -224 +97 / +30.2% -76 +148 / +66.1%
現金及び現金同等物
(百万円)
1,657 2,044 +387 / +23.4% 1,701 -343 / -16.8% 1,407 -294 / -17.3% 1,336 -71 / -5.0%
EPS、BPS、PER、PBRは、株式交付後の発行済株式総数2,766,391株を全期間に適用して再計算。PERとPBRに使用した期末株価は、2022年3月期3,410円、2023年3月期1,408円、2024年3月期1,115円、2025年3月期803円、2026年3月期560円。2024年3月期、2025年3月期、2026年3月期は各訂正資料の数値を採用。2027年3月期は売上高以外の会社予想が開示されていないため、利益、EPS、PER、PBRなどを記載していない。
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中期経営計画

「事業計画及び成長可能性に関する事項」・FW統合戦略

複数年度の利益目標を示した専用の中期経営計画は確認できない。代替となる資料として、2026年6月29日付「事業計画及び成長可能性に関する事項」が公表されている。

2027年3月期の会社予想は売上高6,300百万円。2026年3月期の2,133百万円に対して195.3%増を計画する。FWを連結対象とすることが増収計画の主要因となる。

営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益、EPSは開示していない。FW取得時の取得原価配分、のれん、無形資産などの算定が完了していないためで、利益予想は2026年11月頃の公表を予定している。

成長戦略の中心は、ウェブクルーが持つインターネット集客、比較サイト、システム、AIと、インバウンドテックが持つコンタクトセンター、多言語対応、電話営業、顧客対応を組み合わせることである。

比較サイトやデジタル広告で見込み顧客を集め、セールスアウトソーシングで商品説明や契約促進を行い、契約後はマルチリンガルCRMで問い合わせ対応を受託する。顧客獲得から契約後の関係維持までを一体で提供する事業モデルを目指す。

AIについては、音声AIチャットボット、通訳、問い合わせの自動化、オペレーター支援、営業対象の選定、顧客データ分析などへの活用を進める。AIだけで完結させるのではなく、有人対応と組み合わせる運用が基本となる。

既存事業では、マルチリンガルCRMの継続案件を増やし、センター稼働率を改善する必要がある。セールスアウトソーシングでは、大型案件に偏らない顧客構成と継続的な営業案件の確保が課題となる。

FWとの統合では、グループ内の顧客基盤、データ、システム、営業人員の共有を進める一方、重複費用、統合費用、のれん、子会社管理の負担を抑える必要がある。

数値目標として確認できるのは2027年3月期売上高6,300百万円であり、利益率、営業キャッシュ・フロー、のれん、既存事業の有機的成長率は今後の開示を待つ必要がある。
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競合他社

① トランスコスモス(9715)
2026年7月15日の株価は3,690円、時価総額は約1,618.6億円。インバウンドテックの約77.7倍の時価総額を持つ。

2026年3月期の連結業績は、売上高393,866百万円、営業利益16,558百万円、経常利益18,970百万円、親会社株主に帰属する当期純利益13,084百万円。前期比では売上高4.8%増、営業利益14.4%増、経常利益21.0%増、親会社帰属純利益15.5%増となった。

コンタクトセンター、カスタマーサポート、セールス支援、デジタルマーケティング、EC、バックオフィス、システム運用などを世界各地で展開する大手BPO企業である。

インバウンドテックとは、多言語・グローバルコンタクトセンター、24時間365日対応、カスタマーサポート、電話営業、AI活用、デジタル顧客対応の領域で競合する。

トランスコスモスは、大規模な人員、国内外の拠点、システム開発力、デジタル広告、EC支援までを一体で提供できる。顧客企業が複数国・複数チャネルを含む大型案件を一括委託する場合、規模と実績が競争力となる。

インバウンドテックは規模で対抗するのではなく、多言語通訳の専門性、小規模・短期案件への対応速度、電話営業との連携、ウェブクルーの集客機能を使った機動的な提案で差別化する必要がある。
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② ベルシステム24ホールディングス(6183)
2026年7月15日の株価は1,382円、時価総額は約1,029.9億円。インバウンドテックの約49.4倍の時価総額となる。

2027年2月期第1四半期の連結業績は、売上収益36,701百万円、営業利益3,213百万円、税引前利益3,090百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益2,268百万円。前年同期比では売上収益0.3%増、営業利益11.2%増、親会社帰属四半期利益22.2%増となった。

2027年2月期の会社予想は、売上収益152,000百万円、営業利益13,000百万円。大規模コンタクトセンターの運営、CRM、自治体・公共BPO、金融・通信向け業務、アウトバウンド営業などを展開する。

インバウンドテックとは、問い合わせ窓口、カスタマーサポート、電話営業、公共案件、クラウド型顧客対応、AI・音声ボット、多言語対応で競合する。

ベルシステム24は、大規模センターの運営実績、採用・教育基盤、全国の拠点、大手企業との長期契約を持つ。大人数を必要とする継続案件では、人員供給力と運用品質が優位となりやすい。

インバウンドテックは、多言語通訳、比較的小規模で専門性の高い案件、FWとの集客・営業連携を通じて、大手が標準化しにくい案件を獲得する必要がある。
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③ プレステージ・インターナショナル(4290)
2026年7月15日の株価は675円、時価総額は約858.4億円。インバウンドテックの約41.2倍の時価総額を持つ。

2026年3月期の連結業績は、売上高70,911百万円、営業利益8,869百万円、経常利益9,772百万円、親会社株主に帰属する当期純利益5,920百万円。前期比では売上高11.3%増、営業利益11.4%増、経常利益16.1%増、親会社帰属純利益21.6%増となった。

2027年3月期は売上高76,000百万円、営業利益9,600百万円、経常利益9,930百万円、親会社株主に帰属する当期純利益5,920百万円を計画している。

24時間365日対応のコンタクトセンターを基盤に、自動車、海外旅行、カード、住宅、医療、自治体などのアシスタンス業務を展開する。電話受付だけでなく、現場への業者手配や事後処理まで一体で運営する。

インバウンドテックとは、多言語対応、グローバルアシスタンス、緊急時の問い合わせ、カスタマーサポート、自治体・金融・通信向けBPOで競合する。

プレステージ・インターナショナルは、自社拠点、専門人材、現場手配網、長期契約を組み合わせた高い収益性を持つ。2026年3月期の営業利益率は約12.5%で、インバウンドテックとの差は大きい。

インバウンドテックは、通訳や営業支援に加え、ウェブ集客やAIを活用して顧客獲得まで担当することで、緊急アシスタンス中心の競合とは異なる価値を示す必要がある。
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強みと将来性

多言語対応、営業支援、AI、ウェブ集客を連続させる事業基盤
インバウンドテックの強みは、外国語通訳だけでなく、日本語を含むコンタクトセンター、電話営業、クラウド電話、AIを同じグループで扱える点にある。

多言語コンタクトセンターは24時間365日稼働しており、宿泊、交通、医療、自治体、消防、住宅、通信など、時間帯を問わず外国語対応が必要な業務に対応できる。

顧客企業が言語ごとの人員を自社で採用し、教育し、夜間や休日も配置する場合、固定費と管理負担が大きい。同社のセンターを利用すれば、複数企業で人員と設備を共有できる。

電話通訳、三者間通訳、映像通訳、カスタマーサポートを持つため、単に発言を翻訳するだけでなく、顧客企業の業務手順に沿った案内まで受託できる。

マルチリンガルCRM事業は売上高が減少した2026年3月期も181百万円のセグメント利益を確保した。セールスアウトソーシング事業も117百万円の利益を確保しており、両事業自体には収益基盤が残っている。

連結営業赤字は、両事業の損失ではなく、管理部門、開発、先行投資などを含む全社調整額がセグメント利益合計を上回ったことによる。売上回復と全社費用の抑制が進めば、損益改善への感応度は高い。

AI通訳や音声AIチャットボットは、定型対応の自動化と24時間対応に利用できる。有人コンタクトセンターを持たないシステム会社と異なり、AIが処理できない問い合わせを人間へ引き継ぐ運用を自社内で設計できる。

AIの回答履歴と有人対応の結果を蓄積すれば、回答精度、FAQ、営業スクリプト、オペレーター教育の改善に利用できる。

FW・ウェブクルーの連結化により、顧客から問い合わせを受けるだけでなく、比較サイトやインターネット広告で見込み顧客を獲得する機能が加わった。

ウェブ上で見込み顧客を集め、電話営業で商品説明と契約促進を行い、契約後はコンタクトセンターで顧客対応を行う流れをグループ内で構築できれば、提供範囲が大きく広がる。

集客、営業、契約、顧客対応のデータを連携できれば、どの広告から獲得した顧客が契約し、どの問い合わせを行い、継続したかを分析できる。

2027年3月期の売上高予想は6,300百万円で、連結売上高は過去最高を更新する計画である。FW統合後の利益率が確認できれば、従来の小規模コンタクトセンター企業から、顧客獲得全体を支援する企業への評価転換余地が生じる。

訪日外国人、在留外国人、外国人労働者が利用する交通、宿泊、医療、住宅、行政、通信では、多言語対応の需要が継続する可能性がある。

将来性を判断する中心は、売上高6,300百万円の達成だけではない。既存事業の売上回復、FWの利益貢献、のれん、全社費用、営業キャッシュ・フローが同時に改善するかが重要となる。

弱みとリスク要因

連続減収、全社費用、M&A統合、決算訂正による不確実性
インバウンドテックは2024年3月期の売上高3,318百万円をピークに、2025年3月期は2,544百万円、2026年3月期は2,133百万円へ減収が続いた。

2025年3月期は営業利益21百万円まで低下し、2026年3月期は営業損失153百万円となった。売上減少に対して人件費、拠点費、管理部門費、システム費などの固定費調整が追い付かなかった。

2026年3月期は、マルチリンガルCRM事業とセールスアウトソーシング事業の合計で298百万円のセグメント利益を確保した一方、全社費用などの調整額が約452百万円のマイナスとなった。

既存2事業の利益だけでは全社費用を吸収できないため、売上高の回復だけでなく、本社費用、開発費、子会社管理費、上場維持費の適正化が必要となる。

セールスアウトソーシングは、大型案件、入札、販売期間の短い案件に影響されやすい。主要顧客の案件終了や入札不調が発生すると、人員を短期間で別案件へ移せず、稼働率が低下する。

コンタクトセンター事業は人材採用に依存する。外国語能力、業務知識、夜間・休日勤務への対応力を持つ人材は限られ、人件費、採用費、教育費の上昇が利益率を圧迫する可能性がある。

AI通訳や生成AIは生産性を高める一方、低価格の翻訳・音声サービスが普及すれば、従来の通訳料金やコンタクトセンター料金が下落する可能性がある。

AIによる誤訳、誤回答、不適切な案内が医療、行政、消防、契約などで発生した場合、顧客企業と利用者へ重大な影響を与える。最終確認、有人切り替え、会話記録、責任分界を明確にする必要がある。

コンタクトセンターでは、氏名、住所、電話番号、契約内容、決済情報、健康情報などを取り扱う可能性がある。情報漏えい、サイバー攻撃、誤送信、委託先管理の不備は、契約解除や損害賠償につながる。

24時間365日の運営には、停電、通信障害、災害、感染症、システム停止への備えが必要となる。センターやクラウド電話に障害が発生した場合、複数顧客の業務が同時に停止する可能性がある。

2025年3月期には、子会社OmniGridの有形・無形固定資産に関する減損損失の追加計上などにより、親会社株主に帰属する当期純損失を訂正した。

2024年3月期、2025年3月期、2026年3月期は、決算短信の提出後に数値訂正を公表している。税金、繰延税金資産、減損、費用区分などの訂正が続いたことは、決算業務と内部統制に対する信頼上のリスクとなる。

2025年3月期の親会社帰属純損失は414百万円、2026年3月期は235百万円の純損失となり、自己資本は減少した。最新株式数で再計算したBPSは、2024年3月期の762.33円から2026年3月期は496.46円まで低下している。

FWの取得では242,916株を新たに発行しており、既存株主の1株当たり利益と議決権比率に希薄化が生じた。

2027年3月期の売上高は6,300百万円へ急増する計画だが、利益予想は未開示である。売上規模の拡大だけでは、買収価格、のれん、無形資産償却、統合費用の妥当性を判断できない。

FWやウェブクルーの顧客、システム、人員、企業文化を統合できなければ、期待した相互送客や営業効率化が進まず、のれんの減損が発生する可能性がある。

2026年7月15日の株価はストップ高となった。時価総額が小さく出来高が限定されるため、M&A、決算、業績予想、需給の変化で株価が大きく変動しやすい。

利益予想が未開示の期間は、予想PERによる評価ができない。売上高6,300百万円への期待だけで株価が上昇した場合、利益予想の公表内容によって評価が急速に修正される可能性がある。

出典

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