タカノ 7885 東証スタンダード
長野市本社の多角化メーカー ─ オフィスチェア・福祉用品と検査計測機器(ALTAX、ICパッケージ検査)の両軸、半導体先進パッケージング検査装置で注目
事業内容
タカノは長野県長野市に本社を置く多角化メーカーで、東証スタンダード上場(業種:情報通信・サービスその他)。住生活関連機器(事務・福祉・医療施設用椅子、オフィス家具)、検査計測機器(液晶、フィルム、半導体パッケージ)、産業機器(電磁アクチュエータ、ばね製品)、エクステリア、機械・工具の製造販売を行う4セグメントの多角化事業会社。子会社にタカノ機械株式会社、台湾鷹野股份有限公司、株式会社ユーキ・トレーディングを擁する。検査計測機器領域では、3D検査装置「ALTAX」シリーズが半導体後工程(および注目を集めている中間工程)向けの装置として展開され、2026年5月21日のJPCA Show 2026出展発表が直接の急騰要因となった。
主要事業セグメント(4セグメント体制)
① 住生活関連機器(売上の柱)
オフィス用椅子(事務用回転椅子・折畳椅子・会議用椅子)、福祉・医療用椅子、車椅子、福祉用具・健康用品、オフィス家具、個室空間製品等を製造販売。福祉用具・健康用品は子会社の株式会社ユーキ・トレーディングが輸出入および国内販売を担当。2025年3月期に通期業績予想を上方修正した際の主要因は、住生活関連機器事業における個室空間製品およびオフィス用椅子の販売が計画比で増加したこと。
② 検査計測機器
画像処理検査装置を中心とした検査計測装置の製造販売。主要製品は半導体検査装置、フラット・パネル・ディスプレイ(FPD)検査装置、フィルム検査装置、電池部材検査装置、ウェーハ検査装置、ICパッケージ検査システム、画像処理計測装置等。3D検査装置「ALTAX」シリーズは半導体後工程および中間工程向けに展開。一部のユニットを子会社のタカノ機械から購入し、タカノ本体が製造・販売。台湾における顧客のメンテナンスおよびサービスは子会社の台湾鷹野が担当。2026年6月開催のJPCA Show 2026への出展でガラスコア基板・光電融合対応の検査装置も展示予定。
③ 産業機器
産業用機械に用いられる電磁アクチュエータおよびそのユニット品、ユニット(ばね)製品が主要製品。AI・半導体関連機器の需要拡大の影響を受けて、検査計測機器と並んで成長領域として期待される。
④ エクステリア・機械工具
外構・エクステリア製品、機械・工具の製造販売。住宅・建築・産業領域の周辺需要を取り込むセグメント。
直近の業績サマリー
2026年3月期は売上高24,802百万円(前期比+3.5%増)、営業利益841百万円(+86.5%増)、経常利益1,000百万円(+89.4%増)、当期純利益616百万円(+18.5%増)と、利益面で大幅な増益を達成。EPSは40.48円。2025年3月期の上方修正(営業益見通しを5.5億円→10.5億円)から続く業績モメンタムが継続している。2027年3月期会社予想は売上高25,000百万円(+0.8%増)、営業利益750百万円、経常利益850百万円、当期純利益600百万円とやや控えめ。PBR 0.51倍と低水準であり、業績回復に対し株価指標は依然割安。
| 項目(連結・百万円) | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 2027年3月期 会社予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 22,748 | 23,037 +1.3% |
25,173 +9.3% |
23,969 △4.8% |
24,802 +3.5% |
25,000 |
| 営業損益 | 1,143 | 999 △12.6% |
880 △11.9% |
451 △48.8% |
841 +86.5% |
750 |
| 経常損益 | 1,237 | 1,103 △10.8% |
1,023 △7.3% |
528 △48.4% |
1,000 +89.4% |
850 |
| 当期純損益 | 894 | 828 △7.4% |
601 △27.4% |
520 △13.5% |
616 +18.5% |
600 |
| EPS(一株利益) | 58.84円 | 54.46円 | 39.50円 | 34.19円 | 40.48円 | 39.42円 |
| 決算発表時株価 (参考) |
795円 | 758円 | 1,000円 | 720円 | 1,098円 | ― |
| 実績PER | 13.51倍 | 13.92倍 | 25.32倍 | 21.06倍 | 27.12倍 | ― |
| 予想PER | ― | ― | ― | ― | ― | 27.85倍 |
| PBR | 0.40倍 | 0.38倍 | 0.48倍 | 0.34倍 | 0.51倍 | ― |
| PSR | 0.53倍 | 0.50倍 | 0.60倍 | 0.46倍 | 0.67倍 | ― |
本ページに掲載している業績数値は、各社が公表する決算短信を一次情報として作成しています。 数値は決算短信発表時点のものであり、将来的に修正される可能性があります。 業績予想は会社発表時点のものであり、実績と異なる場合があります。 PER・PBR・PSRは決算発表日の終値で算出した参考値です。 正確な情報は各社公式IRサイトを必ずご確認ください。
業績ハイライト
2025年3月期に営業利益が前期比△48.8%減と急減したものの、2026年3月期は営業利益+86.5%、経常利益+89.4%とV字回復を達成。住生活関連機器(個室空間製品、オフィス用椅子)の販売増、合理化推進が利益回復に寄与。PBR 0.51倍と依然割安な株価指標。半導体先進パッケージング向けALTAX検査装置のグローバル展開が中長期の成長ドライバー。
強みと注目点
① ALTAX 3D検査装置の半導体先進パッケージング対応
半導体検査装置「ALTAX」シリーズは、注目を集めている半導体中間工程(先進パッケージング)および後工程向けの3D検査装置として展開。タクトアップ(スピード改善)と光学系の改善等の継続的な開発を推進。ガラスコア基板や光電融合といった次世代技術にも対応した検査装置を2026年6月のJPCA Show 2026で展示予定。
② 多角化事業によるリスク分散
住生活関連機器(オフィスチェア、福祉用品)、検査計測機器(半導体、FPD、フィルム、電池部材)、産業機器、エクステリアの4セグメント体制で景気変動リスクを分散。検査計測機器が半導体市況に左右されても、住生活関連機器が下支えする収益構造。
③ 80年の歴史と確固たるブランド
2026年3月期には「創業80周年記念配当」を実施するなど、長い歴史と確かなものづくり技術を持つ。製造業の老舗としての信頼性と顧客基盤が強み。
④ V字回復の業績モメンタム
2025年3月期営業益451百万円→2026年3月期841百万円(+86.5%増)のV字回復を達成。利益面の改善モメンタムが継続している。住生活関連機器の販売増、合理化推進が業績回復の主因。
⑤ 割安な株価指標
PBR 0.51倍(2026年3月期)、PSR 0.67倍と業績水準に対して株価指標は割安。AI・半導体関連物色のテーマで再評価される余地が大きい。
弱み・リスク要因
① 売上成長の鈍化
売上高は2024年3月期25,173百万円をピークに2025年3月期23,969百万円→2026年3月期24,802百万円→2027年3月期予想25,000百万円と横ばい推移。トップラインの成長が鈍化しており、利益改善も合理化効果に依存する側面が大きい。
② 海外売上の減少傾向
同社IRによれば足元では海外売上が若干減少。グローバルな商流設計が今後の課題と認識。海外売上拡大なくして検査計測機器事業の本格的な成長は難しい。
③ FPD関連の減収影響
検査計測機器セグメントでは、FPD関連の減収が大きく、半導体事業をどれだけ伸ばせるかが課題。FPD産業の構造的な縮小傾向への対応が必要。
④ 営業利益の不安定さ
営業利益は2022年3月期1,143百万円→2025年3月期451百万円と60%減を経験。事業ポートフォリオは多角化されているものの、利益のボラティリティが高い。
⑤ 半導体後工程・中間工程の競合激化
半導体先進パッケージング検査装置の領域では、東京エレクトロン、アドバンテスト、レーザーテック等の大手と一部競合する可能性。ALTAX製品のコスト競争力と差別化が課題。
直近の急騰要因(2026年5月21日 ストップ高)
2026年5月21日の同社適時開示「JPCA Show 2026への出展について」が直接の急騰要因。2026年6月10〜12日に東京ビッグサイトで開催される「JPCA Show 2026」(プリント配線板・電子回路実装技術関連展示会)への出展を発表。ALTAX(3D検査装置)を中心に、パッケージ基板、ガラス基板、ウェーハ製造工程向け検査装置を出展。特に次世代技術として注目を集めるガラスコア基板や光電融合にも対応した検査装置をラインアップし、幅広いニーズに対応できる製品を紹介するとした。AI半導体の先進パッケージング技術関連として5月21日に一時ストップ高となり、終値1,100円(前日比+105円、+10.55%)で引けた。同日のソフトバンクグループ(OpenAI IPO申請観測)等のAI関連株上昇相場の中で物色対象となった。

コメント