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電線御三家 ─ データセンター向け光ファイバー事業に強み、AIインフラの物理層を支える
事業内容 ─ 電線御三家、AIインフラ向け光ファイバー大手
フジクラは1885年(明治18年)創業、1910年(明治43年)設立の老舗電線メーカー。代表取締役社長CEOは岡田直樹氏。電線御三家(フジクラ、住友電工、古河電工)の一角を担う。子会社108社及び関連会社13社により構成され、情報通信事業部門、エレクトロニクス事業部門、自動車事業部門、エネルギー事業部門、不動産事業部門、その他にわたって製品の製造、販売、サービス等の事業活動を展開。データセンター向けの光ファイバー事業に強みを持ち、近年は生成AIの普及・拡大を背景に情報通信事業が急成長。2026年3月期は売上高初の1兆円超え、営業利益・経常利益・当期純利益とも過去最高を更新。1万3,000本以上を束ねた最新の超多心型を含む光ファイバーケーブルを販売し、海外データセンターへの納入実績を持ちます。日米における光ファイバー新工場建設(千葉県佐倉市・米国子会社設立)も決定済みで、AIサプライチェーンの中核プレーヤーとしての地位を確立しています。
主要事業セグメント
情報通信事業部門(主力・成長エンジン)
光ファイバ、光ケーブル、通信部品等を手掛ける同社の主力事業。2026年3月期売上高6,530億円(前年度比+44.7%増)、営業利益1,527億円(同+65.7%増)と全社業績を牽引。生成AIの普及・拡大によりデータセンター向け光ファイバーケーブル需要が急増。1万3,000本以上を束ねた最新の超多心型光ファイバーケーブルを販売し、海外データセンターへの納入実績を持つ。2025年8月、千葉県佐倉事業所に約450億円投じて光ファイバー新工場建設(2029年度稼働予定)を発表。本格稼働後は光ファイバーケーブルの売上高を25年度見込み比1.8倍に拡大計画。生産性を従来の2〜3倍に高める方針。
エレクトロニクス事業部門
高精細な電子部品や配線・実装技術で、高速大容量かつ高機能な情報端末の進化に貢献。FPC(フレキシブルプリント基板)、コネクタ、車載電子部品等を展開。同社の中核技術領域の一つで、情報通信事業と並ぶ成長基盤となっている。
自動車事業部門
「走る情報端末」と言われ、高度な自動運転の社会実装を視野に、様々な技術革新が進む自動車向けにワイヤハーネス等を供給。CASEへの対応を進めている。2023年度に自動車事業部門の構造改革を最優先で実行。北南米拠点の生産性改善、中国工場閉鎖、モルドバでの生産終了等、外部環境変化に即した改革を実施。2016年度以降の構造改革効果が結実中。
エネルギー事業部門
電力ケーブル、産業用電線、超電導関連技術等を手掛ける。脱炭素社会・電力インフラ更新需要対応に加え、核融合分野への展開(Beyond 2025)も視野に入れた長期成長領域として位置付けられている。
不動産事業部門・その他
不動産賃貸事業を展開。安定的な収益貢献部門として位置付けられる。
新工場建設・米国子会社設立(AIインフラ供給拡大)
2025年8月7日、千葉県佐倉事業所に約450億円を投じて光ファイバー工場新設(2029年度稼働予定)を発表。さらに2026年5月19日には日米における投資方針進捗として、米国子会社設立を含む最大2,600億円規模のデータセンター向け光ファイバー増産投資計画を公表。AIインフラ供給拡大に向けた大型成長投資を継続実行している。
直近5年の業績サマリー
2026年3月期は売上高1兆1,823億円(前年度比+20.7%増、初の1兆円超え)、営業利益1,887億700万円(同+39.2%増)、経常利益1,994億8,100万円(同+45.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,572億円(同+72.5%増)と「過去最高4冠達成」。年間配当も前期100円から225円へと2倍以上に大幅増配。配当性向は従来の30%から40%目安へ引き上げ。2027年3月期会社予想は売上高1兆2,430億円(+5.1%)、営業利益2,110億円(+11.8%)、経常利益2,180億円(+9.3%)と引き続き増収増益を計画。2026年4月1日付で1株を6株に分割する株式分割を実施。
| 項目(連結・百万円) | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 2027年3月期 会社予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 670,350 | 806,453 +20.3% |
799,760 △0.8% |
979,375 +22.5% |
1,182,300 +20.7% |
1,243,000 |
| 営業利益 | 38,288 | 70,163 +83.3% |
69,483 △1.0% |
135,519 +95.0% |
188,707 +39.2% |
211,000 |
| 経常利益 | 34,089 | 67,897 +99.2% |
69,733 +2.7% |
137,240 +96.8% |
199,481 +45.4% |
218,000 |
| 当期純利益 | 39,101 | 40,891 +4.6% |
51,011 +24.8% |
91,123 +78.6% |
157,200 +72.5% |
156,000 |
| EPS(一株利益、分割前) | 137.46円 | 143.45円 | 179.16円 | 320.91円 | 553.94円 | 91.66円 (分割後) |
| 年間配当(分割前) | 50円 | 50円 | 50円 | 100円 | 225円 | 38円 (分割後) |
| 自己資本比率 | 36.1% | 41.2% | 47.1% | ― | ― | ― |
| 配当性向 | 36.4% | 34.9% | 27.9% | 31.2% | 40.6% | 40%目安 |
本ページに掲載している業績数値は、各社が公表する決算短信を一次情報として作成しています。 2026年4月1日付で1株を6株に分割する株式分割を実施したため、EPS・配当は分割前ベースと分割後ベースの両方を記載しています。 数値は決算短信発表時点のものであり、将来的に修正される可能性があります。 業績予想は会社発表時点のものであり、実績と異なる場合があります。 正確な情報は各社公式IRサイトを必ずご確認ください。
業績のポイント
2026年3月期は売上高初の1兆円超え(1兆1,823億円)、営業利益1,887億円(+39.2%)、経常利益1,994億円(+45.4%)、純利益1,572億円(+72.5%)と「過去最高4冠達成」を実現。情報通信事業(売上+44.7%・営利+65.7%)が業績を牽引し、生成AI需要拡大の恩恵を最大化。年間配当も100円→225円と2倍以上の大幅増配。配当性向は従来30%→40%目安へ引き上げ。2027年3月期も売上高1兆2,430億円・営業利益2,110億円と本格成長軌道入りを計画。2026年5月19日発表の新中期経営計画では、2029年3月期の売上高1兆6,000億円(26.3期比+35%)、営業利益3,150億円(同+67%)の壮大な数値目標を掲げる。「電線を作る会社」から「AI時代の物理層プラットフォーマー」へと変貌を遂げた。
新中期経営計画(2026/5/19発表、2029年3月期目標)
2026年5月19日、フジクラは2029年3月期までの新中期経営計画を発表。光ファイバーなど主力分野を軸に事業拡大を進め、AIインフラ向け供給能力を抜本的に拡大する方針。日本国内(千葉県佐倉事業所新工場・約450億円)と米国(米国子会社設立を含む最大2,600億円規模の投資)における大型成長投資を実行し、AIサプライチェーンの中核プレーヤーとしての地位を強化します。同時に配当性向40%目安への引き上げで株主還元も大幅強化。
2029年3月期数値目標(2026年5月19日発表)
- 売上高:1兆6,000億円(2026年3月期比+35%増)
- 営業利益:3,150億円(同+67%増)
- 主力光ファイバー事業を軸に事業拡大
大型成長投資計画
- 日本:千葉県佐倉事業所新工場(約450億円投資、2029年度稼働予定、2025年8月7日発表)
- 米国:米国子会社設立を含む最大2,600億円規模のデータセンター向け光ファイバー増産投資(2026年5月19日発表)
- 光ファイバー生産性を従来の2〜3倍に向上
- 光ファイバーリボン生産能力:25年度見込み比1.5倍
- 光ファイバーケーブル売上:25年度見込み比1.8倍に拡大
事業ポートフォリオ戦略
- 情報通信事業:生成AI・データセンター需要拡大への供給能力拡張
- エレクトロニクス:高速大容量・高機能情報端末の進化に貢献
- 自動車:CASE対応、構造改革効果の最大化
- エネルギー:脱炭素・核融合分野への展開(Beyond 2025)
株主還元方針の強化
- 配当性向:従来30%→40%目安への引き上げ
- 2026年3月期年間配当:225円(前期100円から2倍以上増配)
- 2026年4月1日付で1株を6株に分割(株式分割実施)
- 市場流動性向上と個人投資家アクセス改善
長期ビジョン(Beyond 2025)
- MCF(マルチコアファイバー)の実用化・量産ロードマップ
- 核融合分野への展開
- AI時代の「神経網」を物理層で支えるプラットフォーマー
強みと注目点
① 電線御三家、AIインフラ向け光ファイバー大手
電線御三家(フジクラ、住友電工、古河電工)の一角を担う老舗電線メーカー。データセンター向けの光ファイバー事業に強みを持ち、AIインフラの物理層を支える中核プレーヤー。1万3,000本以上を束ねた最新の超多心型を含む光ファイバーケーブルを販売し、海外データセンターへの納入実績を持つ。
② 2026年3月期「過去最高4冠達成」
売上高初の1兆円超え(1兆1,823億円、+20.7%)、営業利益1,887億円(+39.2%)、経常利益1,994億円(+45.4%)、当期純利益1,572億円(+72.5%)と4項目すべてで過去最高を更新。特に純利益は前年度比+72.5%と急成長。情報通信事業(売上+44.7%・営利+65.7%)が全社業績を牽引し、生成AI需要拡大の恩恵を最大化している。
③ 日米同時の大型成長投資(合計約3,050億円規模)
千葉県佐倉事業所の光ファイバー新工場(約450億円、2029年度稼働)と、米国子会社設立を含む最大2,600億円規模のデータセンター向け増産投資により、AIインフラ向け供給能力を抜本的に拡大。光ファイバー生産性を従来の2〜3倍に向上、光ファイバーケーブル売上を25年度見込み比1.8倍に拡大する計画。
④ 株主還元の大幅強化
配当性向を従来30%から40%目安へ引き上げ。2026年3月期年間配当は前期100円から225円へと2倍以上の大幅増配。2026年4月1日付で1株を6株に分割する株式分割も実施し、市場流動性向上と個人投資家アクセス改善を図っている。
⑤ デレバレッジと成長投資の両立
第2四半期決算分析では、爆発的成長(売上高+24.9%)を遂げながら、同時に「長期借入金の返済(デレバレッジ)」を達成。情報通信セグメントが生み出す営業キャッシュフローが極めて潤沢で、「成長投資(有形固定資産の増加)」「財務改善(有利子負債減少)」「株主還元(大幅増配)」のすべてを同時に賄える強固な高収益体制が確立。自己資本比率は2022.3期36.1%→2024.3期47.1%へと大幅改善。
弱み・リスク要因
有価証券報告書、決算短信および中期経営計画資料から判明している同社の事業上の課題・リスクは以下のとおりです。
① 「最高益でストップ安」の市場期待値リセットリスク
2026年5月14日の本決算発表時、売上・営業利益・経常利益・純利益の全てが過去最高を更新したにもかかわらず、株価は前日終値7,855円から一気にストップ安水準の6,355円まで急落(下落率19.1%)。1日で時価総額が数千億円単位で吹き飛ぶ事態となった。市場の期待値が過熱しており、好決算でも期待値に届かないと急落するリスクが顕在化している。AI関連株として高いマルチプル評価を受けているため、市場期待値リセット局面では大きな調整が発生し得る。
② 2027年3月期純利益は△0.7%減益予想
2027年3月期会社予想は売上高+5.1%、営業利益+11.8%、経常利益+9.3%と増収増益基調を維持するものの、当期純利益は1,560億円と前期比△0.7%の微減益予想。2026年3月期に達成した+72.5%増益の反動として、純利益成長の鈍化が見込まれる。前期の特殊要因(為替差益等)の剥落リスクが存在。
③ 大型成長投資の収益化リスク
千葉県佐倉事業所新工場(約450億円)と米国子会社設立を含む最大2,600億円規模の合計約3,050億円規模の大型投資が実行中。これらの投資の収益化は2029年度以降となり、当面は減価償却負担が業績を圧迫する可能性。また、AIデータセンター需要が想定通り拡大しない場合、過剰投資となるリスクが残存する。
④ 生成AIブームの持続性リスク
同社業績はAIデータセンター向け光ファイバー需要拡大に大きく依存。生成AIブームが調整局面に入る、または競合技術(光無線通信、新たなインターコネクト技術等)の台頭により、ファイバ需要の前提が崩れるリスクが存在。AI関連株一般の調整局面では、同社株も連れ安となるリスクがある。
⑤ 自動車事業の構造改革途上
自動車事業部門は2016年度以降の構造改革を実行中で、北南米拠点での生産性改善、中国工場閉鎖、モルドバでの生産終了等を実施。情報通信事業の急成長に比べて、自動車事業の収益性改善はまだ途上段階。CASE対応・EV化対応への投資負担も継続的に必要となる。
⑥ 為替変動・地政学リスク
米国子会社設立を含む大型海外投資、海外データセンターへの納入実績拡大により、為替変動リスクが業績に直接影響する構造。米中貿易摩擦・米国相互関税等の地政学リスクも、同社の事業環境に影響を与える可能性がある。
- 株式会社フジクラ 公式サイト
- 株式会社フジクラ「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年5月14日開示)
- 株式会社フジクラ「2024年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」(2024年5月13日開示)
- 株式会社フジクラ「新中期経営計画」(2026年5月19日発表、2029年3月期目標:売上高1兆6,000億円・営業利益3,150億円)
- 株式会社フジクラ「日米における投資方針の進捗に関するお知らせ(佐倉事業所新工場建設及び米国子会社設立について)」(2026年5月19日開示)
- 株式会社フジクラ「光ファイバー新工場建設のお知らせ」(2025年8月7日開示、佐倉事業所・約450億円・2029年度稼働予定)
- 株式会社フジクラ「2025年3月期 有価証券報告書」
本ページは投資情報の提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。

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