日本抵抗器製作所 6977 東証S
Japan Resistor Mfg. Co., Ltd.|抵抗器、センサ・ポテンショメーター、高密度実装電子回路、電子機器を手掛ける電子部品メーカー。車載、産業機器、FA、計測機器、電源、電流検出用途へ、抵抗技術と回路実装技術を展開する。
※2026年6月30日時点の情報
事業内容
2026年6月30日の時価総額は約24.0億円。同日の株価終値1,938円と、発行済株式総数1,240,000株を用いて算出した。同日は前日比400円高のストップ高となり、年初来高値を更新した。
日本抵抗器製作所は1943年5月21日設立。本社は富山県南砺市北野2315、代表取締役は木村準氏。12月決算企業で、東京証券取引所スタンダード市場に上場する。資本金は724,400,000円。事業内容は、抵抗器、センサ・ポテンショメーター、高密度実装電子回路、電子機器の開発・製造・販売である。
2026年12月期第1四半期の連結業績は、売上高1,379百万円、営業損失20百万円、経常損失34百万円、親会社株主に帰属する四半期純損失57百万円。売上高は前年同期比4.9%増加し、前年同期の営業損失107百万円から赤字幅は縮小した。通期会社予想は売上高6,500百万円、営業利益110百万円、経常利益100百万円、親会社株主に帰属する当期純利益100百万円で、黒字転換を見込む。
抵抗器|シャント抵抗器・固定抵抗器を中心とする基盤製品
抵抗器は日本抵抗器製作所の創業以来の中核領域である。固定抵抗器、シャント抵抗器、精密巻線抵抗器、電力型抵抗器、メタルクラッド抵抗器、皮膜抵抗器、車載用カスタム抵抗器などを展開する。
シャント抵抗器は電流検出用途で使われる。モーター制御、電源回路、バッテリー管理、産業機器、車載電子機器では、電流を正確に検出し、制御回路へ伝える部品が必要となる。低抵抗値、高精度、温度特性、放熱性、耐久性が競争要因となる。
同社は巻線抵抗器を中心に、プリント基板実装タイプ、セメント封入箱形タイプ、電力型、メタルクラッド型などを取り扱う。用途は民生機器から産業用まで幅広いが、収益面では高信頼性が要求される車載・産業機器向けの比率を高めることが重要となる。
2025年12月期は産業機械向け製品で設備投資需要の伸び悩みが続き、抵抗器の販売実績は減少した。一方、2026年12月期は顧客在庫調整の改善、センサー関連製品の売上増加、販売価格への転嫁、生産性向上により黒字転換を計画している。
センサ・ポテンショメーター|車載・建機・農機の位置検出用途
センサ・ポテンショメーターは、角度、位置、回転、操作量を電気信号へ変換する部品である。同社は巻線多回転形、有接触ポテンショメーター、無接触ポテンショメーター、印刷抵抗センサなどを展開する。
公式製品情報では、印刷技術を駆使した位置検出センサが自動車用エアコンの角度検出用として長年の実績を持つとされている。さらに、電流センサ、温度センサ、面触覚センサなどの用途展開も進める。
車載、建機、農機では電子制御化が進み、角度センサや位置センサの需要が増えやすい。アクセル、ペダル、レバー、空調、アクチュエータ、ステアリング関連などで、機械的な動きを電気信号へ変換する部品が必要となる。
無接触タイプは摩耗や接点劣化を抑えられるため、高耐久性が求められる用途で重要性が高い。同社はホールIC無接触ポテンショメーターなどを持ち、有接触タイプから無接触タイプまで品揃えを広げている。
2025年12月期にポテンショメーターが増収となったことは、同社の回復局面で注目される。2026年12月期第1四半期でも、センサー関連製品の売上増加が全社売上高の増加要因とされている。
高密度実装電子回路|車載電装向けハイブリッドIC
高密度実装電子回路は、ハイブリッドICを中心とする事業領域である。ハイブリッドICは、抵抗器、センサ、半導体、回路基板などを組み合わせ、小型化、高密度化、高信頼性化を実現する電子回路モジュールである。
公式製品情報では、同社のハイブリッドICは車載電装用を中心に、電装メーカー各社への納入実績を持つとされている。車載用途では、温度、振動、湿度、長期使用への耐性が求められ、単なる部品販売ではなく、回路設計、実装、品質管理まで含めた提案力が重要になる。
ハイブリッドICは、同社の抵抗器・センサ技術を組み合わせた付加価値領域である。抵抗器単体では価格競争を受けやすいが、モジュール化すれば顧客の回路設計に深く入り込みやすくなる。
車載電子機器では、電動化、ADAS、車内快適性、制御系の高度化により、センサと制御回路の重要性が高まる。同社にとって、ハイブリッドICは車載・産業機器向けの高信頼性需要を取り込むための中核領域である。
電子機器|ソフト・ハード・メカ設計を融合した複合商品
電子機器は、ソフト開発、ハード設計、メカ設計を融合した複合商品領域である。市場ニーズに合わせた電子機器の開発を手掛け、単体部品ではなく完成度の高いユニットやシステムに近い製品を提供する。
2021年12月期は、テレワーク普及やパソコン需要増加に伴い、半導体装置用電子機器や産業機器用電流センサーをはじめ、多くの品種で売上が増加した。2022年12月期も電子機器は販売実績2,933百万円まで拡大した。
その後は、顧客の在庫調整、産業機械向け製品の設備投資需要の伸び悩み、コスト上昇、海外生産拠点の体制構築費用などが重なり、電子機器の売上は減少基調となった。
ただし、電子機器は顧客の装置やシステムの中に組み込まれるため、単純な汎用品販売よりも顧客依存度が高く、採用後の継続取引につながりやすい。収益回復には、既存顧客の設備投資回復、新規量産案件、価格転嫁、海外生産の安定化が重要となる。
直近5年業績サマリー
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 | 2026年12月期 会社予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 (百万円) |
6,185 | 7,204 +1,019 / +16.5% |
7,176 -28 / -0.4% |
6,454 -722 / -10.1% |
5,905 -549 / -8.5% |
6,500 +595 / +10.1% |
| 営業損益 (百万円) |
111 | 311 +200 / +180.2% |
100 -211 / -67.8% |
-133 -233 / 赤字転落 |
-109 +24 / 赤字縮小 |
110 +219 / 黒字転換 |
| 経常損益 (百万円) |
104 | 287 +183 / +176.0% |
139 -148 / -51.6% |
-104 -243 / 赤字転落 |
-136 -32 / 赤字拡大 |
100 +236 / 黒字転換 |
| 当期純利益 (百万円) |
49 | 133 +84 / +171.4% |
84 -49 / -36.8% |
-181 -265 / 赤字転落 |
-376 -195 / 赤字拡大 |
100 +476 / 黒字転換 |
| EPS (円) |
39.61 | 107.50 +67.90 / +171.4% |
67.90 -39.61 / -36.8% |
-146.30 -214.19 / 赤字転落 |
-303.91 -157.61 / 赤字拡大 |
80.83 +384.74 / 黒字転換 |
| PER (倍) |
25.12 | 9.21 | 14.74 | ― | ― | ― |
| PBR (倍) |
0.66 | 0.61 | 0.58 | 0.53 | 0.72 | ― |
| BPS (円) |
1,512.28 | 1,633.52 +121.24 / +8.0% |
1,728.09 +94.57 / +5.8% |
1,534.11 -193.99 / -11.2% |
1,336.89 -197.22 / -12.9% |
― |
| 純資産 (百万円) |
1,871 | 2,021 +150 / +8.0% |
2,138 +117 / +5.8% |
1,898 -240 / -11.2% |
1,654 -244 / -12.9% |
― |
| 営業CF (百万円) |
275 | 144 -131 |
186 +42 |
76 -110 |
230 +154 |
― |
| 投資CF (百万円) |
88 | 103 +15 |
204 +101 |
-199 -403 |
-75 +124 |
― |
| 財務CF (百万円) |
9 | 221 +212 |
494 +273 |
240 -254 |
-168 -408 |
― |
| 現金及び現金同等物 (百万円) |
1,212 | 1,169 -43 / -3.5% |
1,294 +125 / +10.7% |
1,471 +177 / +13.7% |
1,459 -12 / -0.8% |
― |
中期経営計画
独立した中期経営計画は未確認|黒字転換と収益力回復が当面の焦点
2026年6月30日時点で、売上高、営業利益、ROE、投資計画を体系的に定めた独立した中期経営計画資料は公式サイト上で確認できない。このため、毎期の業績予想、製品別動向、事業方針を中期的な経営方針として確認する必要がある。
2026年12月期は、売上高6,500百万円、営業利益110百万円、経常利益100百万円、親会社株主に帰属する当期純利益100百万円を予想する。2025年12月期の営業損失109百万円、当期純損失376百万円からの黒字転換が最大のテーマである。
経営施策は、脱炭素社会に向けた欧州・中国市場での自動車関連向け電子部品、産業機器市場向け電子部品の受注拡大、高品質・高信頼性市場への販路拡大である。同時に、工程の自動化、省力化、販売価格への転嫁、生産性向上、経費削減による原価低減を進める。
2025年12月期は、売上減少、資源・エネルギー価格の高止まり、物価上昇、タイ国生産拠点の生産体制構築費用、減損損失などが重なり、最終赤字が拡大した。2026年12月期は、顧客在庫調整の改善、センサー関連製品の増加、受注回復をどこまで利益につなげられるかが焦点となる。
競合他社
1. ローム(6963)
主な競合領域:チップ抵抗器、シャント抵抗器、金属板低抵抗抵抗器、車載・産業機器向け電子部品
ロームは半導体メーカーとしての色合いが強いが、創業製品である抵抗器も主要製品群に含まれる。チップ抵抗器、シャント抵抗器、高電力・高信頼抵抗器などを展開し、車載、産業機器、民生機器、電源回路、電流検出回路向けで日本抵抗器製作所と競合する。
2026年3月期は売上高4,811億円、営業利益108億円と黒字転換した。一方、SiC事業の減損影響により親会社株主に帰属する当期純損失は1,584億円となった。2027年3月期は売上高5,100億円、営業利益300億円を見込む。
日本抵抗器製作所が中小ロット、車載関連、ハイブリッドIC周辺を含めた電子部品で展開するのに対し、ロームはグローバル販売網、半導体とのセット提案、品質認証対応の幅広さが強い。大手顧客の量産案件では強力な競合となる。
2. KOA(6999)
主な競合領域:面実装抵抗器、低抵抗抵抗器、パワーシャント、温度センサ、ハイブリッドIC
KOAは抵抗器専業色の強い電子部品メーカーで、面実装抵抗器、低抵抗抵抗器、パワーシャント、リード線形抵抗器、温度センサ、LTCC配線基板、ハイブリッドICなどを展開する。
2026年3月期は売上高722.87億円、営業利益36.46億円、親会社株主に帰属する当期純利益39.51億円。産業機器向け需要の回復、自動車向け、AI関連機器向け需要が堅調に推移し、大幅な増収増益となった。
日本抵抗器製作所とは、車載、産業機器、計測機器、IoT、ロボット、AI関連機器、電流検出、電子回路モジュールで競合する。とくにシャント抵抗器と電流検出用途では、顧客が要求する低抵抗値、高精度、温度特性、信頼性が競争要因となる。
3. 日本航空電子工業(6807)
主な競合領域:車載・産業機器向け電子部品、センサ、コネクタ、電子機器用部品
日本航空電子工業は、コネクタ、インターフェース・ソリューション、航機関連機器などを展開する電子部品メーカーである。抵抗器専業ではないが、車載、産業機器、電子制御システム向けの高信頼性部品で顧客層が重なる。
車載電子機器、建機・農機、産業機器では、センサ、接続部品、制御回路、モジュール部品が組み合わされる。日本抵抗器製作所のポテンショメーター、位置センサ、ハイブリッドIC、電子機器複合商品は、こうしたシステム部品市場で比較対象となる。
日本抵抗器製作所が抵抗技術と回路実装技術をベースに小回りの利く開発・製造を行うのに対し、日本航空電子工業は大手完成車・電子機器メーカーへの納入実績、グローバル供給体制、コネクタを中心とした製品群の幅が強みとなる。
強みと将来性
抵抗技術、センサ技術、回路実装を組み合わせた車載・産業機器向けの開発対応力
日本抵抗器製作所の強みは、抵抗器単体にとどまらず、センサ・ポテンショメーター、高密度実装電子回路、電子機器まで展開する製品構成にある。抵抗、電流検出、位置検出、温度検出、回路実装を組み合わせ、顧客仕様に合わせた電子部品や複合商品を開発できる。
抵抗器メーカーは価格競争に巻き込まれやすいが、同社はシャント抵抗器、カスタム抵抗器、ハイブリッドIC、センサ、電子機器複合商品へ広げることで、用途別・顧客別の仕様対応を行う余地を持つ。これは、汎用品だけを扱う企業との差別化要因となる。
車載・産業機器向けでは、長期供給、信頼性、耐環境性、トレーサビリティ、品質認証が重要になる。同社はISO9001、ISO14001、IATF16949を取得しており、車載・産業用途の品質要求に対応する基盤を持つ。
2026年12月期第1四半期では、センサー関連製品の売上増加と顧客在庫調整の改善による受注回復が確認された。売上高は前年同期比4.9%増加し、営業損失は前年同期の107百万円から20百万円へ縮小した。
収益回復の鍵は、価格転嫁、生産性向上、海外生産拠点の安定化、受注残の消化である。2025年12月期の受注高は全体で6,270百万円、前期比10.0%増となり、受注残高も1,730百万円、前期比26.7%増となった。受注回復が売上と利益へ転換されれば、2026年12月期の黒字転換計画に近づく。
脱炭素、電動化、産業機器の電子制御化、工場自動化が進むほど、電流検出、位置検出、温度検出、制御回路の需要は底堅くなる。小型企業であるため規模の制約はあるが、特定顧客・特定用途で信頼性を積み上げられる分野では、ニッチな競争力を維持できる可能性がある。
弱みとリスク要因
売上規模の小ささ、低収益、海外拠点立ち上げ負担、財務体質の悪化
最大のリスクは、売上規模が小さい中で固定費と原材料費の影響を受けやすく、利益率が低い点である。2024年12月期、2025年12月期は2期連続で営業赤字となり、2025年12月期は親会社株主に帰属する当期純損失が376百万円まで拡大した。
2025年12月期は、売上高の減少に加え、資源・エネルギー価格の高止まり、物価上昇、タイ国生産拠点の生産体制構築費用が利益を圧迫した。さらに、固定資産除却損、減損損失、過年度決算訂正関連費用も発生し、最終赤字が拡大した。
財務面では、2025年12月末の純資産は1,654百万円、自己資本比率は16.2%まで低下した。赤字が続くと自己資本の減少が進み、設備投資、開発投資、在庫確保、海外生産拠点の立ち上げに制約が生じやすくなる。
顧客業界の設備投資サイクルもリスクである。産業機械向け製品では設備投資需要の伸び悩みによる受注減少が続いており、需要回復が遅れれば、黒字転換時期が後ろ倒しになる可能性がある。
競合環境も厳しい。ローム、KOA、日本航空電子工業などの大手は、研究開発費、品質保証体制、グローバル供給網、顧客基盤で上回る。大口量産案件では、価格、供給安定性、品質認証対応で大手優位になりやすい。
株価面では、2026年6月30日にストップ高となり、時価総額は約24億円まで上昇した。2026年12月期の黒字転換期待が先行しているため、四半期決算で利益改善が鈍化した場合、株価の変動が大きくなりやすい。
出典
- 株式会社日本抵抗器製作所 公式サイト
- 株式会社日本抵抗器製作所 技術・製品情報
- 株式会社日本抵抗器製作所 事業展開
- 株式会社日本抵抗器製作所 会社概要
- 株式会社日本抵抗器製作所 財務情報
- 株式会社日本抵抗器製作所 グループ企業
- 株式会社日本抵抗器製作所 外部認証取得状況

コメント