6327 北川精機

北川精機 6327 東証S

KITAGAWA SEIKI CO.,LTD.|プリント基板プレス装置、新素材プレス装置、ラミネータ装置、FA・搬送機械を製造販売する産業機械メーカー。温度・圧力・真空の制御技術を軸に、半導体・電子材料、航空・宇宙、自動車、太陽電池向けの製造装置を展開する。

※2026年6月30日時点の情報

事業内容

2026年6月30日の時価総額は約667.5億円。同日の株価終値7,900円と、発行済株式総数8,449,600株を用いて算出した。2026年6月期の期末最終営業日にあたり、同日は前日比1,000円高のストップ高で取引を終えた。

北川精機は1957年1月14日設立。本社は広島県府中市鵜飼町800-8で、代表取締役社長は内田雅敏氏。6月決算企業で、東京証券取引所スタンダード市場に上場する。業務内容は、プリント基板プレス装置、新素材プレス装置、ラミネータ装置、FA・搬送機械の製造および販売である。2025年6月末の連結従業員数は151名。

2026年6月期第3四半期累計の連結業績は、売上高4,155百万円、営業利益682百万円、経常利益751百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益522百万円。第3四半期時点で経常利益は前年同期比78.9%増、四半期純利益は同80.6%増となった。2026年6月期通期会社予想は、売上高6,600百万円、営業利益850百万円、経常利益900百万円、親会社株主に帰属する当期純利益610百万円である。

産業機械事業|PCB・CCL向け真空プレスを核とする単一報告セグメント

報告セグメントは「産業機械事業」のみ。連結売上高は2021年6月期4,819百万円から2026年6月期会社予想6,600百万円へ拡大し、2026年6月期は営業利益850百万円、営業利益率12.9%を見込む。
連結売上高推移(単位:百万円)
7,000 5,250 3,500 1,750 0 4,819 2021/6 5,032 2022/6 6,462 2023/6 5,933 2024/6 6,227 2025/6 6,600 2026/6予想

北川精機の報告セグメントは「産業機械事業」のみである。その他の事業セグメントは開示の重要性が乏しいため、決算短信上は単一セグメントとして開示される。

同社の装置は、熱、圧力、真空を制御しながら材料を積層・成形する工程に使われる。単純なプレス機ではなく、顧客の材料、製品寸法、温度条件、真空度、加圧条件、生産ライン構成に応じて個別仕様で設計する受注型の産業機械である。

主力は、銅張積層板、プリント配線板、フレキシブルプリント基板、ICカードなどの製造に使う熱成形プレス関連装置である。AIサーバー、5G、車載電子機器、高速通信機器の高性能化に伴い、高多層・高機能基板の製造工程では、温度均一性、真空制御、加圧精度、量産安定性が重要になる。

2025年6月期は海外向けCCL成形用プレス装置とシステムストッカーが好調だった一方、一部低採算案件により売上総利益率が低下した。2026年6月期は、国内外向けのプリント基板関連装置とシステムストッカーが牽引し、工場稼働率の上昇、製造プロセス改善、為替影響が利益を押し上げる見通しである。

CCL・PCB・FPC成形用プレス装置|高性能基板需要を取り込む主力製品

CCL・PCB・FPC成形用プレス装置は、北川精機の中核製品である。CCLは銅張積層板、PCBはプリント配線板、FPCはフレキシブルプリント基板を指す。これらはスマートフォン、パソコン、サーバー、通信機器、自動車、産業機器などの電子回路を支える材料である。

プリント基板材料は、樹脂、ガラスクロス、銅箔などを積層し、熱と圧力を加えて成形する。成形工程で気泡、厚みムラ、温度ムラ、加圧ムラが出ると歩留まりや電気特性に影響するため、装置には高精度な温度制御、圧力制御、真空制御が求められる。

同社の強みは、長年蓄積した真空プレス技術を個別仕様に合わせて作り込める点にある。量産装置だけでなく、研究開発や試作に使うテストプレス装置も持つため、顧客の材料開発段階から量産設備まで関与しやすい。

高性能基板では、AI半導体、GPUサーバー、高速通信、車載電子化、パワーデバイス、衛星・航空宇宙向けなどの用途が広がる。高周波対応、低誘電、薄型化、多層化、耐熱性などの要求が高まるほど、単価の安い汎用装置ではなく、顧客仕様に合わせた高精度装置の価値が増す。

ただし、プリント基板関連装置は顧客の設備投資サイクルの影響を受ける。大型案件の納期、検収、為替、部材調達によって四半期業績が振れやすく、期ズレが売上高と利益に影響しやすい。

新素材・CFRP・ラミネータ装置|航空宇宙、自動車、太陽電池へ用途を拡張

新素材プレス装置は、熱可塑性樹脂シート、CFRP、CFRTP、各種複合材料、パワーモジュール関連材料などを対象とする。電子回路基板で培った熱・圧力・真空制御技術を、軽量化材料、耐熱材料、機能性材料の成形工程に応用する領域である。

CFRP関連装置では、炭素繊維強化熱可塑性樹脂の一方向連続繊維素材を自動積層する装置を展開する。航空・宇宙・自動車産業では、軽量かつ高強度の複合材料が求められ、材料の切断角度、積層順序、仮固定、プレス成形の精度が製品性能を左右する。

ラミネータ装置は、ソーラーパネル、車載用太陽光パネル、曲面ガラス、タッチパネル、装飾ガラスなどの成形に使われる。両面加熱やダイヤフラム方式などを採用し、生産性を高める装置群である。

この領域は、プリント基板向け装置に比べると顧客業界が広い。太陽電池、自動車軽量化、航空機材料、パワーモジュール、タッチパネル、曲面ガラスなどに用途を広げられるため、同社の成長戦略上はリスク分散と新市場開拓の役割を持つ。

一方、新素材装置は顧客側の材料開発や量産化の進捗に左右される。評価・試作段階から量産投資へ移行するまで時間がかかる案件も多く、受注時期と売上計上時期の見極めが重要になる。

FAシステム・評価試験|装置単体から生産ライン提案へ

FAシステム・特殊機械では、生産資材の保管、搬送、移載、自動倉庫、システムストッカー、フロアーリフトなどを提供する。プレス装置やラミネータ装置の前後工程と組み合わせることで、顧客工場の省人化、生産性向上、搬送効率化に貢献する。

2026年6月期の見通しでは、プリント基板関連プレス装置に加え、システムストッカーが業績を牽引する要因として挙げられている。装置単体だけでなく、保管・搬送・移載まで含めたライン提案ができれば、案件単価と顧客内シェアを高めやすい。

評価試験サービスでは、同社工場に設置されたプレス装置やラミネータ装置を使用し、真空下での加熱・加圧工程による試作・評価試験を実施できる。装置性能や成形プロセスの検証、新製品開発の試作成形に活用される。

研究開発用テストプレス装置は、400度高温対応、真空チャンバー、電気ヒーター加熱、工業用水冷却などを備える。顧客は装置導入前に材料や成形条件を検証でき、北川精機は顧客の開発テーマに早い段階から入り込める。

生産ライン提案、評価試験、テスト機、量産装置をつなげることで、単発の設備販売から継続的な技術パートナーへ関係を深められる。中期計画で掲げる品質向上、技術深化、人的資本経営とも結びつく領域である。

直近5年業績サマリー

項目 2021年6月期 2022年6月期 2023年6月期 2024年6月期 2025年6月期 2026年6月期
会社予想
売上高
(百万円)
4,819 5,032
+213 / +4.4%
6,462
+1,430 / +28.4%
5,933
-529 / -8.2%
6,227
+294 / +5.0%
6,600
+373 / +6.0%
営業損益
(百万円)
541 512
-29 / -5.4%
735
+223 / +43.6%
815
+80 / +10.9%
623
-192 / -23.6%
850
+227 / +36.4%
経常損益
(百万円)
546 674
+128 / +23.4%
804
+130 / +19.3%
851
+47 / +5.8%
599
-252 / -29.6%
900
+301 / +50.3%
当期純利益
(百万円)
492 588
+96 / +19.5%
702
+114 / +19.4%
632
-70 / -10.0%
394
-238 / -37.7%
610
+216 / +54.8%
EPS
(円)
60.24 71.99
+11.75 / +19.5%
85.95
+13.96 / +19.4%
77.38
-8.57 / -10.0%
48.24
-29.14 / -37.7%
74.68
+26.44 / +54.8%
PER
(倍)
11.27 6.76 9.27 8.85 12.83 105.78
PBR
(倍)
2.49 1.43 1.86 1.17 1.00
BPS
(円)
272.66 339.63
+66.97 / +24.6%
428.76
+89.13 / +26.2%
583.02
+154.26 / +36.0%
621.59
+38.57 / +6.6%
純資産
(百万円)
2,227 2,774
+547 / +24.6%
3,502
+728 / +26.2%
4,762
+1,260 / +36.0%
5,077
+315 / +6.6%
営業CF
(百万円)
221 1,399
+1,178
186
-1,213
504
+318
323
-181
投資CF
(百万円)
-21 -316
-295
-143
+173
-85
+58
-172
-87
財務CF
(百万円)
-431 12
+443
-163
-175
482
+645
-202
-684
現金及び現金同等物
(百万円)
1,493 2,609
+1,116 / +74.7%
2,498
-111 / -4.3%
3,435
+937 / +37.5%
3,357
-78 / -2.3%
EPS、PER、PBR、BPSは、2026年6月期第3四半期末の自己株式控除後株式数8,167,788株を用いて再計算した。PERとPBRの算定株価は、ユーザー提供の各期末終値である2021年6月期679円、2022年6月期487円、2023年6月期797円、2024年6月期685円、2025年6月期619円、および2026年6月30日終値7,900円を用いた。2026年6月期会社予想は2026年6月19日公表の上方修正後数値を採用した。2026年6月期の純資産、BPS、PBR、キャッシュ・フローは本決算未発表のため空欄とした。

中期経営計画

KITAGAWA 2030|世界のDXを支える唯一無二の企業へ

北川精機は中期経営計画「KITAGAWA 2030」を掲げ、2030年6月期に売上高100億円、営業利益15億円、営業利益率15%以上、ROE12%以上を目標とする。経営の中心テーマは、熱・圧力・真空制御技術の融合である複合制御システムをベースに、プリント基板、半導体・電子材料、新素材、FA領域で成長することである。

重点課題は、売上高100億円に向けた成長戦略の遂行、生産能力拡大と収益性向上の両立、既存技術の深化と製品・サービスの品質向上、技術力を支える人的資本経営の推進である。

2030年6月期目標 売上高100億円
2030年6月期目標 営業利益15億円
2030年6月期目標 営業利益率15%以上
2030年6月期目標 ROE12%以上

成長戦略では、AI半導体向けの高性能基板需要、車載・通信・サーバー向けの高多層基板需要、CFRPなどの新素材成形、FA・搬送システムによるライン提案を取り込む。既存のプリント基板関連装置に加え、システムストッカーや評価試験、テストプレスを組み合わせることで、装置単体販売から生産工程全体の提案へ広げる。

生産能力面では、工場稼働率の向上、製造プロセス改善、協力工場の開拓、工程自動化、部材調達体制の見直しが重要となる。2026年6月期の利益上振れも、高水準な工場稼働率と製造プロセス改善による原価低減が背景となっている。

人的資本では、若手社員の育成、技術伝承、働きやすい職場環境、多様な人材採用が課題となる。受注型産業機械では設計、加工、組立、据付、試運転、顧客対応の経験値が競争力に直結するため、人材の厚みが中長期の生産能力を左右する。

中期経営計画資料へ

競合他社

1. TOWA(6315)

時価総額:約2,510億円 / 株価:約3,000円台(2026年6月30日時点)

TOWAは、半導体モールディング装置、シンギュレーション装置、超精密金型を主力とする半導体後工程装置メーカーである。トランスファモールディング、コンプレッションモールディングなど、半導体チップを樹脂で保護・封止する工程に強みを持つ。

2026年3月期は売上高543.65億円、営業利益69.17億円。汎用メモリ向け投資の増加を背景に台湾・中国向け売上が伸びた一方、製品ミックス悪化や初回納入コストが利益を圧迫した。

北川精機とは、直接同一装置で競合するというより、先端半導体、パワーデバイス、AI半導体、パッケージ基板向けの設備投資予算を取り合う関係にある。北川精機がPCB・CCL向け真空プレスに強いのに対し、TOWAは半導体パッケージの樹脂封止・個片化工程で強い。

2. タツモ(6266)

時価総額:約699億円 / 株価:約4,710円(2026年6月30日時点)

タツモは、半導体製造装置、液晶製造装置、搬送機器、表面処理用機器などを展開する装置メーカーである。ウェーハ搬送、貼合、剥離、洗浄、コーター、装置自動化など、電子デバイス製造ラインの複数工程を対象とする。

2026年12月期第1四半期は、売上高59.67億円、営業利益0.86億円。半導体業界の需要は旺盛だったが、半導体装置、搬送機器、表面処理用機器で売上が計画未達となり、減収減益となった。

北川精機とは、半導体・電子材料製造ラインにおける貼合、剥離、洗浄、搬送自動化、ライン構築の領域で競合する。北川精機は熱・圧力・真空制御を使う成形・積層工程に強く、タツモは半導体製造装置と搬送自動化を広く展開する点が違いとなる。

3. ヒラノテクシード(6245)

時価総額:約285億円 / 株価:約1,852円(2026年6月30日時点)

ヒラノテクシードは、塗工機、乾燥機、熱処理装置、フィルム・シート関連装置を展開する機械メーカーである。リチウムイオン電池、電子材料、フィルム、光学材料、タッチパネル、太陽電池関連の製造工程に関わる。

2026年3月期は、北米EV市場の減速を背景に売上高322.85億円と前期比33.2%減となった。一方、受注条件の見直しや一部案件の改善により、親会社株主に帰属する当期純利益は13.13億円となった。

北川精機とは、コーティング、ラミネーティング、成膜、熱処理、高機能材料向け装置で競合する。北川精機は真空プレスとラミネータ、ヒラノテクシードは塗工・乾燥・熱処理に強く、電子材料や太陽電池、フィルム系材料の設備投資案件で比較されやすい。

強みと将来性

熱・圧力・真空制御を融合したニッチトップ型の装置技術

北川精機の強みは、温度・圧力・真空という3つの制御技術を組み合わせ、顧客仕様に応じた高精度な成形・積層装置を作れる点にある。標準品の量産メーカーではなく、材料と工程に合わせて個別に装置を設計する受注型の装置メーカーである。

プリント基板やCCLの製造では、材料の積層、脱泡、加熱、加圧、冷却、真空保持が重要となる。AIサーバーや高速通信機器では、基板材料の高多層化、高耐熱化、低誘電化、薄型化が進むため、装置には高い温度均一性と圧力制御が求められる。

この技術基盤は、PCB・CCLにとどまらない。CFRP、CFRTP、パワーモジュール、熱可塑性樹脂、ソーラーパネル、曲面ガラス、タッチパネルなど、真空下で熱と圧力を使う高機能材料加工に横展開できる。

2026年6月期は、プリント基板関連装置とシステムストッカーが牽引し、経常利益は900百万円、前期比50.3%増を見込む。高水準な工場稼働率と原価低減が利益率を押し上げており、受注型装置メーカーとしての操業度効果が表れている。

中期計画の2030年6月期売上高100億円、営業利益15億円、営業利益率15%以上という目標は、単なる売上拡大ではなく、収益性を伴う拡大を前提にしている。システムストッカーやFA装置を組み合わせ、装置単体から生産ライン提案へ広げられれば、案件単価と競争力が高まる。

また、評価試験サービスと研究開発用テストプレスを持つ点も強い。顧客の新素材開発段階から関与できれば、量産装置導入時に同社の仕様が採用されやすくなる。材料メーカーや基板メーカーと工程開発を共有できることは、装置受注の入口となる。

AI半導体、データセンター向け高性能基板、車載電子化、パワーデバイス、航空宇宙・自動車軽量化素材など、対象市場には複数の成長ドライバーがある。ニッチ領域での技術優位を守りながら、海外顧客、FAライン、材料評価まで広げられるかが将来性の焦点となる。

弱みとリスク要因

受注型装置メーカー特有の期ズレ、顧客投資サイクル、株価評価の急変

最大のリスクは、業績が大型装置案件の受注、納期、検収、採算に左右されやすい点である。受注型装置メーカーでは、売上計上が数件の大型案件に集中しやすく、検収時期がずれるだけで四半期売上高と利益が大きく変動する。

2024年6月期は売上高が前期比8.2%減少した一方、採算改善により営業利益は増加した。2025年6月期は売上高が増加したものの、一部低採算案件や販管費増加により営業利益は減少した。売上高だけでは利益を判断しにくく、案件ごとの採算と原価管理が重要である。

半導体・電子材料関連の設備投資サイクルもリスクとなる。AIサーバーや高性能基板需要が強い局面では受注が伸びやすいが、顧客の在庫調整、資本支出抑制、設備投資延期、技術仕様変更が発生すると、受注残と売上計上に影響する。

部材調達や為替も利益変動要因である。鋼材、電気部品、配線材料、塗装剤、梱包資材の価格や納期が変動すると、原価、納期、工場稼働率に影響する。海外向け案件では円安が利益を押し上げる局面もあるが、円高に振れた場合は採算悪化要因となる。

生産能力拡大も慎重に見る必要がある。中期計画で売上高100億円を目指すには、設計人材、加工・組立人材、協力工場、部品調達、試運転体制、品質保証の拡張が必要になる。人材育成と技術伝承が遅れれば、受注機会を取り逃がす可能性がある。

株価面では、2026年6月30日終値7,900円を用いた会社予想PERは再計算ベースで約105.8倍となる。過去の期末PERと比べて評価が大きく切り上がっており、AI半導体・高性能基板向けの成長期待が強く織り込まれている。

高い期待が織り込まれた局面では、受注動向、利益率、納期、次期予想、設備投資需要の変化に対して株価が敏感に反応する。好材料が続けば上値余地は残る一方、業績進捗が鈍化した場合はバリュエーション調整が大きくなりやすい。

出典

コメント

タイトルとURLをコピーしました